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東方怨冠怪

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  1. 1 : : 2016/10/21(金) 19:39:20
    このスレッドは東方再終焉記の続編であり、東方幽蠍録シリーズ第四期になります
    オリキャラを含みます
    始めます
  2. 2 : : 2016/10/23(日) 02:19:13
    -地霊殿 倉庫

    さとり「〜♪」

    陽気に鼻歌を歌いながら掃除をするさとり

    コトッ

    さとり「…?これは…」

    さとりが手にしたのは金色のティアラだった。それはさとりにとってとても大切な思い出の品でもあった。いい意味でもあり、悪い意味でもある…そんな思い出

    -昔、ある青年が二人の妖怪の少女を悪の人間から救った事があった。その二人の少女がさとりとこいしである。

    その青年は半妖だった。大人の男にさとり達が囲まれている所を三人の男を殺めて救い出したのだ。そして彼はその死骸を喰った後、さとり達を慰め、去った-
    ここまでが以前までのさとりの記憶。とても暖かく、暗い記憶

    しかし彼女はこのティアラで自分の中に眠っていた記憶を引っ張り出された。その青年…幽蠍猶斗がさとりの頭を撫でた際、彼は彼女の頭にそっとこのティアラを乗せた。きっと彼は慰め程度のつもりでこのティアラを渡したのだろう。しかしさとりにとってとても大事な記憶の一つになった…

    さとり「よっと…」

    ティアラを自分の頭に乗せて、鏡に己の姿を映す

    さとり「…綺麗……」
  3. 3 : : 2016/10/23(日) 02:27:43
    -地霊殿 食堂

    猶斗「燐」

    お燐「はい?」

    今日の夕食の仕度をしているお燐に話しかける猶斗

    猶斗「さとりは…どこだ」

    お燐「そ〜ですね…確か倉庫の掃除をしてくると仰っていました」

    猶斗「分かった。少し様子を-

    ガシャァァアン

    二人「⁉︎」

    猶斗「な、何の音だ!!燐は待っていろ!!」

    急いで倉庫に向かう猶斗

    -地霊殿 倉庫

    猶斗「さとり、どうした⁉︎」

    一見誰もいない様に見えたが、良く見ると隅っこの方でさとりがうずくまっていて、辺りが散らかっている。どうやら物を落として、驚いてうずくまったのだろう。杞憂だった事に胸を撫で下ろし、さとりに近づく

    猶斗「ほら、さとり。立てるか?」

    さとり「…」

    猶斗「…さとり?」
  4. 4 : : 2016/10/23(日) 02:35:33
    どこか様子がおかしい。頭でも打ったのではと心配になる猶斗

    猶斗「おい…大丈夫か」

    さとりがこちらを見た

    猶斗「⁉︎…貴様…誰だ」

    さとりの紅い瞳はより赤黒く染まっていた。それも不気味に光りながら。普通の人間には見分けれない程の違い。しかしそれも何年も連れ添ってきた仲だからこそ分かった事なのであろう

    さとり「…」

    この表情をどこかで見た気がする…。それも脳裏にこびりついて取れない位に鮮明に表情が記憶されている。しかし人物が思い出せない-いや、今、思い出した

    猶斗「…靈影…!」

    さとり「…リョ…ウエ…イ…とは…なん…だ」

    猶斗「!!」

    まるでサルが人間の見様見真似で言語を話した様な喋り方。カタコトとも捉えずらい喋り方。猶斗は人生で初めて、恐怖を憶えた
  5. 5 : : 2016/10/24(月) 21:00:43
    さとり「まァ…イイ…」

    猶斗「答えろさとり!!何があった⁉︎答えてくれ!!いつもの笑顔はどうした!!折角靈影を倒したのに…!!」

    猶斗は顔面蒼白になってさとりを揺さぶって問い詰める

    さとり「イ…まの…行動…攻撃とミた」

    猶斗「!!」

    さとりの頭にしがみついたティアラに埋め込まれた赤黒い宝石が光の反射で光るのを猶斗は見た。直後、腹部に鈍い衝撃が走る

    もう恐怖も無かった。痛みも無かった。しかし猶斗は確信した

    『靈影を凌ぐ程の妖気をコイツは持っている』

    壁に叩きつけられ、ずり落ちる猶斗。さとりは彼の首を掴み、絞めながら持ち上げる

    猶斗「さと…り…!!」

    さとり「…飛べ」

    ドッ…
  6. 6 : : 2016/10/27(木) 00:54:43
    博麗神社

    霊夢「…はー。お茶はやっぱり落ち着くわねー…」

    魔理沙「私は紅茶の方が好きだけどな」

    いつもの、日常の中の他愛のない話。これから起こる非日常も知らずに…

    魔理沙「ん、そういや依姫は?トイレか?」

    霊夢「いや、月に忘れ物したから取りに行くって」

    魔理沙「アイツが?珍しい-

    ドッシャアアァァァァァ

    二人「⁉︎」ガタッ

    外から轟音が聞こえる。気になった二人は様子を伺う

    外には…

    猶斗「ぐ…ぅ…」

    霊夢「猶斗⁉︎」

    猶斗「さ…と…り…」

    霊夢「さとり?さとりがどうかした-

    魔理沙「おい?」

    魔理沙が話しかけた方向を見る。そこにはさとりがいた
  7. 7 : : 2016/10/31(月) 00:24:53
    さとり「フハ、ハハハ!!ハハハハハハハハ!!」

    猶斗(なんて事だ…笑い…方まで…ヤツにそっくりじゃねぇか…)

    霊夢「大丈夫?」

    猶斗「ああ…」

    霊夢の助けを借りて立ち上がる猶斗。その顔には覚悟が刻まれていた。さとりとの戦いを覚悟していた

    猶斗「恐らく…あのティアラを引きちぎれば、さとりを救い出せる…!!」

    さとり「青ざめたな…猶斗。キサマの身体…ズタズタに引き裂いてやろう!!」

    猶斗「!!」

    遂に言語が安定した。まるで蜚蠊が己の住処の危険性を把握するように、僅かな時間で人間の言語を理解した!!

    猶斗「……さとり」
  8. 8 : : 2016/11/04(金) 17:58:31
    パキッ

    キーーーーーーーン

    甲高い音が博麗神社に木霊する。それと同時にさとりに取り憑いているティアラの上半分が割れる

    猶斗「…依姫!!」

    依姫「ご無事ですか!!」

    霊夢「もうっ…遅いわよ!!」

    魔理沙「でもこれで形勢逆転だぜ!!」

    猶斗「さとり今すぐその…っ!!」

    さとりがうずくまっている。目が覚めたのか。そんな期待を込めて猶斗は近付こうとする。その時
  9. 9 : : 2016/11/06(日) 01:07:10
    さとり「ああああああああああああああああ!!」

    涙を流し、奇声をあげるさとり

    直後、さとりのサードアイが肥大化し、さとり本人を呑み込んでいく

    猶斗「さと…り…?」

    巨大な角と羽が生え、一つ目が大きく見開く。その姿にはさとりの『さ』の字も無かった

    化物「ヴァァァァァァァァァ!!」

    霊夢「な、何よ!!デカくなったくらいで私達がビビるとでも⁉︎」

    依姫「師匠、倒してしまいましょう?」

    猶斗「…」

    依姫「…師匠?」

    猶斗「…許さん」

    魔理沙「おい?」

    猶斗「さとりをこんな目に遭わせて、許さんぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

    彼の左目の赤い瞳が黒く光る。明らかに殺意をむき出しにしていた
  10. 10 : : 2016/11/09(水) 00:18:49
    魔理沙「お、おい…あんまり」

    猶斗「うるせえ!!飛行甲板は黙ってろ!!」

    魔理沙「ひこっ…!!」

    霊夢(貧乳が悩みの魔理沙にはとんでもないダメージね…)

    依姫(師匠にはあとでお灸を据えますか)

    猶斗「さとり…今すぐその忌々しい王冠を引き剥がして、身体をズタズタに引き裂いて、出してやるからな…」

    依姫「ヒッ…」

    魔理沙「」

    霊夢(…ダメね。飛行甲板胸が相当効いたのね…。目が死んでるわ)
  11. 11 : : 2016/11/12(土) 21:34:23
    化物「キャェァァァァァァァア!!」

    猶斗「悪夢を見せてやろう…!!」

    -破符「ギャラクティックジェノサイド」発動

    猶斗「はぁぁぁあぁぁぁぁぁあ!!」

    化物の大きく見開いた一つ目に拳を捩じ込む猶斗

    化物「グギャァァォァァァァォァァォォァ⁉︎」

    化物は奇声をあげながらどこかのデスタムーアを彷彿とさせる手をじたばたと動かした

    猶斗「キサマの正体が靈影であろうなかろうと…俺はキサマを殺し、さとりを引っ張り出す!!」

    霊夢(うわ…病んでますわ)

    依姫(い つ も の 師匠じゃない…)
  12. 12 : : 2016/11/12(土) 21:48:00
    ドスッ

    猶斗「……がはっ」ビチャッ

    いつの間にか、猶斗の左肩と右膝に大剣が食い込んでいた。正気にもどり、後ずさりする猶斗

    魔理沙「…ハッ⁉︎猶斗⁉︎」

    依姫「師匠⁉︎」

    猶斗(な、なにが…)

    猶斗「何⁉︎」

    化物を見ると、両手に大剣を持ってたたずんでいた

    猶斗「な…」

    化物が大剣を振り上げる

    猶斗(ここまでか…)
  13. 13 : : 2016/11/13(日) 20:34:40
    刹那、化物が吹っ飛んだ!!

    一同「…?」

    お燐「全く…人騒がせな御主人だにゃ」

    お空「なーに諦めてんのよ!!靈影と戦う時の威勢はどこに行っちゃったの!!」

    猶斗「燐…空…」

    お燐「ほらほら、お姉さん達も」

    霊夢「え、えぇ…」

    猶斗「フッ…俺はさとりを救わなければならん…ありがとよ。燐、空」

    お燐「えへへ」

    お空「うにゅ///」
  14. 14 : : 2016/11/13(日) 20:39:07
    猶斗「…俺は到底、お前の英雄にはなれない。せいぜい戦力の内。程度の存在だ」

    お空「そんなことない!!」

    一同「」ビクッ

    お空「猶斗はいつだって私のヒーローな-

    お燐「お空」ニヤニヤ

    お空「!!///」カァァァ

    依姫(なるほど…ほの字。というヤツですか)

    猶斗「……作戦を練るぞ」
  15. 15 : : 2016/11/20(日) 01:39:03
    猶斗「…そう言えば」

    お空「何かあった?」

    猶斗「アレが使えるかも知れん」

    霊夢「は?」

    猶斗「一度空時…俺の弟と共に西行時と戦った事があっただろう。あの時の…」

    魔理沙「あの黄金のヤツか?」

    猶斗「ああ」

    霊夢「でもどうやって」

    猶斗「霊夢から霊力、魔理沙から魔力を大量に受け取れば可能だ」

    霊夢「…時間は?」

    猶斗「約30秒」

    魔理沙「意外と短いな…」
  16. 17 : : 2016/11/23(水) 17:00:03
    依姫「では、私達は時間稼ぎを」

    猶斗「頼んだ」

    お空「さとり様!!今助けてあげますから!!」

    お燐「アタイ達の力舐めんな!!」

    ゆっくりと近づいてくる化物

    霊夢「良い?」

    猶斗「ああ」

    霊夢と魔理沙が猶斗に霊力と魔力の供給を始める

    依姫「たぁぁぁ!!」

    依姫が化物に切りかかる

    化物「グッ!!」

    それを剣で防ぐ化物
  17. 18 : : 2016/12/01(木) 22:25:19
    化物がお空とお燐を吹っ飛ばす

    その先には博麗神社の鳥居

    お空「うにゅっ!」

    お燐「にゃっ⁉︎」

    依姫「燐さん、空さん!!」

    化物「ウガァァァァア!!」

    あっという間に三人とも猶斗達の下に吹っ飛ばされた

    そこに化物が畳み掛けようとする。その時

    ___三十秒が経過した
  18. 19 : : 2016/12/01(木) 22:39:18
    黄金に輝いた身体が化物を突き飛ばし、あっという間に見えなくなる

    依姫「…」タラリ

    どうやら目視出来ているのは依姫だけのようだ

    _光より速いモノを人間は目視できない

    つまりはそう言う事だろう

    依姫「あっ」

    一同「!!」

    化物が爆発四散した

    そして猶斗が霊夢達の前に降り立つ

    魔理沙「猶斗、さ、さとりは⁉︎」

    猶斗「あぁ、ここにいる」

    さとりは猶斗に"オヒメサマダッコ"たるものをされながら猶斗の胸で寝息をたてていた

    お燐「さとり様…」ホッ

    お空「てか猶斗、あんなあっさり倒したら話的にどうなの?」

    猶斗「話?」

    お空「いや、何でもない…」
  19. 21 : : 2016/12/03(土) 14:23:31
    霊夢(色々聞きたいことあるけど今はやめておきましょう…)

    猶斗「俺はさとりが目覚めるまで付き添うがお前らは明日に備えて休めよ」

    魔理沙「は?なんで?」

    猶斗「この前明日は地獄の事で映姫に呼び出されていると話していたではないか」

    魔理沙「…げ」

    思い出した様に顔をしかめる魔理沙

    猶斗「依姫」

    依姫「は、はい」

    猶斗「ご苦労だった」

    依姫「…はい!」

    霊夢「……ヤレヤレだわ」

    …続く

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著者情報
yuukathu

幽蠍猶斗

@yuukathu

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