この作品は執筆を終了しています。
【番外編】メガネ兵長!2 〜エピソード:ユミル
-
- 1 : 2013/12/19(木) 04:09:54 :
- ちょっとした思いつきです。
【番外編】と題させてもらいましたが、これは、メガネ兵長以前のリヴァイが登場するからです。つまり、ただのリヴァイ…(笑)
お話は、『エピソード:アニ(http://www.ssnote.net/archives/4593)』の「調査兵団見学会」後のシーンから始まります。
今回はどんな展開になるんでしょうか?楽しみですね〜♪(←)
そんじゃまあ、ゆるゆる〜っと始めましょうか^^
-
- 2 : 2013/12/19(木) 04:34:06 :
ー調査兵団見学会終了後ー
ー訓練兵団・女子寮ー
クリスタ「え?」
「アニ、リヴァイ兵長とお話したの?」
アニ「うん、まぁね…」
クリスタ「すごい、すごい!」
「いいなぁ〜」
「ねぇ、どんな人だったの?教えて!」
アニ「どうって言われても…」
「意外と、小柄…だったかな」
クリスタ「!」
「そうなんだ…それは、意外だね」
ユミル「・・・」
クリスタ「それから?」
アニ「え…っと」
「あ、そういえば、メガ」
ユミル「なんだよ、クリスタはリヴァイ兵長のファンなのか?」
アニ(ネ…)
クリスタ「そ、そういうんじゃないよ!」
ユミル「知らなかったなぁ〜」
「水臭い、もっと早くそうと言ってくれりゃー」
「あたしがリヴァイ兵長の話、聞かせてやってたのに」
クリスタ「え!?」
-
- 3 : 2013/12/19(木) 05:08:23 :
クリスタ「ユミル、リヴァイ兵長のこと知ってるの!?」
ユミル「いや、知ってるっていうか」
「昔、ちょっと世話になったことがあるっていうか」
クリスタ「ええーっ!?」
ユミル「聞きたいか?」
クリスタ「もちろんだよ!」
アニ「…あたしも、聞きたい」
「興味、ある」
ユミル「お?」
「アニが他人に関心を示すなんて珍しいな」
「よし、じゃあ話してやろうか」
「…って言っても、あんたらが期待してるような人類最強の兵士伝説とは少し違うと思うけど」
「それでもいいか?」
クリスタ「そう、なの…?」
ユミル「まァね」
「なんてったって、あれは5年も前の話だし」
「今とは少し状況も違う」
「あたしも、兵長もね」
アニ「…とにかく、」
「何があったの?」
ユミル「…そうだな」
「どこから話そうかーー…」
ーーー
ーー
ー
-
- 4 : 2013/12/19(木) 18:22:29 :
- めたんさんの新SS!!
ちょー期待!!ユミル大好き(≧∇≦*)
-
- 5 : 2013/12/20(金) 00:17:21 :
- メガネ兵長シリーズ大好きです!
期待&支援
-
- 6 : 2013/12/20(金) 01:30:58 :
- るーじゅん@1002さま、憲兵団さま
毎度ご贔屓くださって恐縮至極です(笑)
-
- 7 : 2013/12/20(金) 02:23:08 :
ーあの年は、例年よりも早く雪が散らつきはじめてさ。
ひどく寒い冬だったのを覚えているよ。
私は、そのころ、内地を転々とうろついては、生活のために金品を借りて回って歩いてたーー…
ーそして、あの日…
私はちょうど、ウォール・シーナのエルミハ区で一夜を過ごせる場所を探していた。
だけど、どうにも疲れ果ててしまってね。
立派な教会の扉の前に、身をうずくめるようにして座り込んでいたんだ。
そりゃあ立派な教会だった。
そのバカでかい扉は、けれど、がっちりと閉ざされていて、何人たりとも通れやしない。
全く、どこまでもおかしな世界だよ。ハハハ…
…まァ、とにかくだ。
私はそうやって、寒風吹きすさぶ中、足早に家路を急ぐ人の流れを、ただぼうっと眺めていたんだ。
どれくらいそこでそうしてたのか、しばらくすると、街にチラチラと明かりが灯り始めた。
ユミル(…ああ、もう陽もとっぷり暮れてしまった)
(これからどうすっかな…)
(ここで一晩過ごしても、死にゃあしないだろうけど)
(寒いことに、変わりはない…)モゾモゾ…
-
- 8 : 2013/12/20(金) 02:48:33 :
ユミル(つま先と指の感覚が、なくなってきた…)
(こりゃもしかすると、マジで死んじまうかもな…ハハハ……)
ザッ ザッ ザッ…
ユミル(ん…?)
憲兵a「ヤルケル区の盗人はまだ捕まらないのか?」
憲兵b「らしいな」
「なんでも、犯人はガキなんじゃねえかって噂だが」
憲兵c「おいおい、そりゃ本当か?」ヒック!
「…ック、ちゃんと仕事してんのかー?ヤルケル区の憲兵はよォー!」
憲兵a「ハハハ!」
「ヤルケルのヤツらもお前に言われたかねえよ、ってかァ!?」
ガッハハハハハ!!
ユミル(はっ ヤルケル区の盗人ねぇ…)
(そりゃ、私のことかい?)
(役立たずの憲兵さんたちよぉ)ックック…
憲兵b「…仕事といえばよ、」
「今夜、ウチの兵舎に調査兵団の幹部御一行が逗留することになってるだろ」
憲兵a「ああ、そんな通達もきてたっけな」
-
- 9 : 2013/12/20(金) 03:26:02 :
ユミル(調査兵団、だって…?)
憲兵c「あいつら、明日には王都に向けて発つんだろ?」
「俺たちには何の関係もねえ」
憲兵b「まァな… でもよ、」
「あいつらが王都に向かう理由、知ってるか?」
憲兵a「あぁ?」
憲兵b「いや、俺もさっきちょいと小耳に挟んだだけなんだがな…」
「最近、まだ無名の兵士なんだが、バカみてえに強えやつが調査兵団に入団したらしいんだ」
憲兵c「バカ強いって、そりゃ、ミケ・ザカリアスのことか?」
「俺らの同期だ、お前だってよく知ってんだろうが」
憲兵b「いや、違うんだ」
「噂じゃあな、そいつ訓練兵団を卒業してねえときた」
憲兵a「おい、それが本当なら前代未聞だぞ?」
憲兵b「ああ、そうなんだよ」
「そんな訓練兵団も卒業してねえような馬の骨を、上の許可もなしに壁外調査に連れ出した」
「そこんとこの審議が王都で執り行われるってわけだ」
憲兵a「はぁ… あいつらの考えることはサッパリわかんねえ」
「大人しく、壁の中で平和に過ごしておけばいいもんをよ」
「なあ、そうは思わねえか?」
憲兵c「ああ、まったくだ」
「規則破りもほどほどにしてほしいぜ」
憲兵b「バーカ」
「だから、お前がそれを言っても説得力の欠片もねえっつぅの!」
憲兵c「おっと、こりゃ失敬!」ダッハッハッハッ!!
ザッ ザッ ザッ…
-
- 10 : 2013/12/20(金) 04:06:26 :
ユミル(ふぅん…)
(ま、私には何の関係もない話だ)
(それより、どこでもいい、雨風を凌げるところを見つけないと)
「はぁぁー…っ」ガチガチガチ…
(…多少手足がもげようと、大したことにはならんが、)
(朝になって心臓が止まってたら、さすがに笑えねえ…)
(私は、何がなんでもこの人生を全うしてやるって決めたんだからな…!)ギリッ
「よ…っと…」ズズッ…
「はぁーっ はぁぁーっ…」ブルブル…
「…さみぃ……」
ーそんなこんなで、寒さに軋む身体に鞭を打って、私は、時々雪の吹きかける街をふらつき始めた。
…いやあ、このときばかりは参ったよ。
なんせ、エルミハ区は初めてだったもんでさ。
右も左もわからない。
金を出して泊まれる場所なんて、そうそうすぐに見つかるもんじゃないしね。
孤児(みなしご)が1人で宿屋に泊まろうとすれば、すぐに怪しまれて憲兵に突き出されちまう。
-
- 11 : 2013/12/20(金) 05:56:18 :
ー私は、薄暗い路地のそのまた影の中を、這うように渡り歩いていた。
そう、暗闇から暗闇へと、這いずり回っていたんだ。
そうして、もはや、自分が闇の中にいるのか、自分自身が闇なのか、わかんなくなってきた頃…
あいつは私の前に現れた…
リヴァイ「…オイ、坊主」
「店の扉の前に座りこむな」
ユミル「…!」クッ…
リヴァイ「どけ、邪魔だ」
ユミル「…ああ、そりゃぁ」ズルズル…
「悪かったな」
ぐぅぅぅぅ〜〜〜っ!!
ユミル「…!」
リヴァイ「…お前、腹減ってんのか?」
ユミル「・・・」
-
- 12 : 2013/12/20(金) 06:11:18 :
リヴァイ「着いてこい」
ユミル「…な、なんで」
リヴァイ「飯食わせてやるっつってんだよ」
「…なんだ、いらねえのか?」
ユミル「あんた、何者…?」
リヴァイ「そう警戒するな」
「この辺りをうろつくヤツに碌な人間はいねえ」
「…どうせ、お前もワケありなんだろ?」
ユミル「あんたも、なのか…?」
リヴァイ「まァ、そんなところだ」
「…それより、どうすんだ」
「飯、食うのか、食わねえのか?」
ユミル「・・・」
(信用していいのか、コイツ…?)
リヴァイ「オイ、さっさと答えろよ、このグズ野郎」
「さみぃだろうが」
ユミル「・・・」
ぎゅるるる〜〜…っ!
ユミル「ハッ!?」
-
- 13 : 2013/12/20(金) 06:30:35 :
リヴァイ「…ったく」
「最初っから、素直にそう言えよ」
「可愛げのねえガキだ」ガシッ
ユミル「!?」
「ちょ、放せよ!」
「まだ何も言ってな…!」
リヴァイ「うるせえな」
「誰もお前みたいな小汚ねえガキ、とって食いやしねえよ」
ユミル「こ、小汚くて悪かったな!!」
リヴァイ「ハァ…」ガチャ…
ギィィーーー…
店の親父「!」
「こりゃ珍しい客がきた」
リヴァイ「…しばらくぶりだな」
店の親父「おう」
「あんまり顔見せねえから、とっくにくたばっちまったかと思ってたぜ」
リヴァイ「ふん、バカ言え」
「こっちこそ、こんなしみったれた小料理屋なんかとっくに潰れちまってんじゃねえかと踏んでたんだがな」
店の親父「ハッハッ…!」
「口の悪さは相変わらずだな」
「えぇ?リヴァイよぉ?」ニカッ
-
- 14 : 2013/12/20(金) 06:48:22 :
ユミル「・・・」
店の親父「…それはそうと、そのガキはどうした?」
リヴァイ「ああ、」
「ちょうど店の前で拾ったんだ」
店の親父「ほお〜」
「まァ、細けえ話は後だ」
「坊主、さっさと入って戸を閉めてくんな」
「今夜はえらい冷える…」ブル…ッ
ユミル(…とにかく、温まるだけ温まらせてもらうか)
ギィィーーー… バタン…
リヴァイ「…やっと言うことをきいたか、クソガキ」
ユミル「べ、別に、あんたを信用したわけじゃ…!」
店の親父「ハッハッ…!」
「こりゃいい!」
「久方ぶりに愉快な夜になりそうだ!」
「ハッハッ…!」
-
- 15 : 2013/12/20(金) 07:17:41 :
店の親父「坊主、食いてえもんはあるか?」
「何でも言ってみな!」
ユミル「・・・」
リヴァイ「オイ、聞いてどうする」
「どうせいつものアレしかねえんだろ?」
店の親父「ハッハッ…!」
「ちげえねえや!」
「すぐに準備するが、おめェさんは先に始めとくかい?」クイックイッ
リヴァイ「いや…」
「今夜は酒はやめておこう」
店の親父「なにぃ!?」
「おいおい、どうしちまったんだよ?」
「訓練中に頭でもぶったのか?」
リヴァイ「はっ」
「親父もヤキが回ったみてえだな」
「誰に向かって言ってんのか、自分でわかってねえらしい」クックッ…
店の親父「ハッハッ…!」
「言ってくれるぜ!」
-
- 16 : 2013/12/21(土) 00:40:38 :
ー狭いカウンターにガタガタのイスが3つだけ並べられただけの小汚い店でさ。
看板だってすっかり煤けて、そうだと言われなきゃ誰にも気づかれそうにもない。
でも、そんときの私の身の丈にはぴったしな場所だった。
実際、居心地だってそんなに悪くなかったしね。
店の親父「ほれ、茶でもすすって待っといてくんな」コト…
ユミル(…あったかい)
リヴァイ「ふん…」ズズ…
ユミル「…訓練?」
リヴァイ「・・・」
店の親父「ハッハッ…!」カチャカチャ
「笑っちまうようなァ?」
「あんなにやんちゃして回ってたリヴァイがよ、」
「今じゃ、ご立派な兵士様だってんだからな!」
「ハッハッ…!」
ユミル「兵士…だって!?」ガタンッ
「だって、あんた…それじゃ…!」ギュッ
リヴァイ「・・・」ズズ…
店の親父「ん?」
ユミル「この、嘘つき!」ギュッ
-
- 17 : 2013/12/21(土) 00:59:44 :
リヴァイ「…落ち着け」
「言ったろうが、誰もお前なんか取ってくったりしねえよ」
「汚ねえしな」
ユミル「はぁ!?」
店の親父「まぁまぁ、坊主」
「そいつの言うとおりだぜ?」
「何があったか知らねェけどよ、こいつはお前さんをどっかに突き出したりなんかしねェから、安心しなって」
ユミル「そんなの…!」
リヴァイ「だいたい、そういう面倒事は憲兵団の管轄だ」
「俺の知ったこっちゃねェんだよ」
ユミル「…?」
リヴァイ「ハァ…」
「俺は、調査兵団に所属している」
「…が、今のところ、まだ正式な調査兵団の兵士として認められてねェんだと」
ユミル「調査兵…団…?」
リヴァイ「ったく、めんどくせェ」
店の親父「ハッハッ…!」
「それによお、坊主みたいなガキんちょをどっかに突き出すってんなら、それより先にコイツが捕まっちまうだろうよ?」
「ハッハッ…!」
-
- 18 : 2013/12/21(土) 09:05:06 :
- ユミル………(^-^;
-
- 19 : 2013/12/22(日) 08:59:35 :
- リアルすぎてすごい!
全裸待機ィ!
-
- 20 : 2013/12/22(日) 17:48:19 :
- ↑もしかして、ユンジさん!?
-
- 21 : 2013/12/22(日) 21:47:45 :
- >>20 もしかしてのユンジです。
るーじゅん様ではございませんか!
-
- 22 : 2013/12/22(日) 21:47:57 :
- めたんさんの順位上げに必死なう。
-
- 23 : 2013/12/23(月) 04:37:23 :
- るーじゅん@1002さま、ユンジさま ありがとうございます♪
-
- 24 : 2013/12/23(月) 04:50:52 :
ユミル(わけ、わかんねぇぞ…?)
店の親父「おい、そんなことよりよォ…」
リヴァイ「あ?」
店の親父「おめェさんこそ、こんなとこうろついてていいのか?」
リヴァイ「…どこでなにしてようと、俺の勝手だろうが」ズズ…
店の親父「そりゃそうだが… でもよぉ?」
リヴァイ「いいんだ」
「…明日には、王都に発つ」
「今夜くらい、なじみの場所でゆっくりしたって罰はあたらねえだろ」
店の親父「ハハッ…!」
「それも、そうだな…」
コトコト…
ユミル(あ… いいにおい…)
店の親父「よォし、できたぞぉ〜」トロトロ…
「ほうれ!」カチャン
ふわっ
ユミル(お…)
(こ、これは…)ゴクリ…
-
- 25 : 2013/12/23(月) 05:20:23 :
ー何の変哲もない、ただのたまごスープ……
だけどね、そんときの私には、それがどっかの教会でちょろまかした金のマリア像なんかの数倍輝いて見えたのさ。
私の身体は冷えに冷えきっていたし、何より空腹だった。
そりゃあ、無我夢中でスプーンを口に運び続けたよ。
…断言する。
あんなに美味いたまごスープは、あれより後にも先にも味わったことが無いってねーー…
ユミル「ぷはー…」ぽかぽか
店の親父「うめェか?うめェだろ!」
「ハッハッ…!」
リヴァイ「・・・」ズズー
(ふぅー… これだよ、これ…)
ユミル「…ごっそさん」ボソッ
店の親父「ハッハッ…!」
「礼の仕方を知ってるたぁ、大したもんだ」
「えェ?そうは思わねェか、リヴァイよ!」
リヴァイ「ふん…」ズズー…
-
- 26 : 2013/12/23(月) 05:31:11 :
リヴァイ「ふぅ…」カチャン
「ごっそさん」
店の親父「おう」
ユミル「じゃあ…」
「私は、もう行くよ」
リヴァイ「・・・」
店の親父「んん〜?」
「坊主、じゃなくて、嬢ちゃん、か…?」
ユミル「・・・」
「だったら何だよ」
店の親父「いやァ…」
ユミル(…同じことだ)
(こちとら60年以上生きてんだからな)
「助かったよ」
「じゃあな」カタン…
店の親父「あ、おい!」
「ちょいと待ちなよ!」
リヴァイ「ふん…」
「オイ、クソガキ」
ユミル「…なんだよ」
-
- 27 : 2013/12/23(月) 05:49:28 :
リヴァイ「…行く当てはあんのか?」
ユミル「…あんたの知ったことじゃない」
リヴァイ「まァな…」
「…だが、今夜は冷える」
ユミル「…知ってるよ」
店の親父「そ、そうだよ嬢ちゃん!」
「なんならうちに泊まってきな!」
「狭いけどよ、毛布くらい貸してやれるし…」
「第一、こんな夜に1人で街をうろついたら嬢ちゃんじゃなくたって凍え死んじまうって!」
ユミル「…あのさ」
「私はね、こう見えてもお尋ね者の悪党なんだ」
「この街の憲兵なんかに捕まるつもりはないが」
「あんたらに迷惑をかけるつもりもない」
店の親父「迷惑って…」
-
- 28 : 2013/12/23(月) 06:11:26 :
リヴァイ「ったく、きかねえガキだぜ…」ボソッ
(まるで昔の俺じゃねぇか…)
「お前、今夜はここに厄介になっとけ」
ユミル「はぁ?あんたは人の話聞けよ!?」
リヴァイ「お前のために言ってんじゃねぇよ」
「死なれたりなんかしたらこっちが胸クソわりぃだろうが」
ユミル「…そんな簡単にくたばってたまるかよ」
リヴァイ「だったら人の好意を見分ける術を身につけることだ」
「…なんなら、お前を憲兵んとこに連れてってやってもいいんだぞ」
ユミル「なっ!?」
「さっきは突き出さないって言ったくせに!」
「この嘘つき!!」
リヴァイ「じゃあ、大人しく親父の世話になっとくんだな」
「…オイ、親父」
「勘定だ」
店の親父「お、おう…!」
ユミル「ち…っ」
-
- 29 : 2013/12/23(月) 06:31:18 :
ーーー
ーー
ー
リヴァイ「じゃあな、親父」
「…頼んだぞ」
店の親父「おう」
「おめェさんも、達者でな」
リヴァイ「おい、クソガキ」
ユミル「…!」
「な、なんだよ…」
リヴァイ「ふん…」
「またな」ぽんぽんっ
ユミル「けっ…」パシッ
「あんたなんか二度と会いたかないよ!」
リヴァイ「ああ、俺もだ」
店の親父「まぁまぁ…」
リヴァイ「ふん…」カタン…
ガチャ…
ヒュオォォォォーーーーー……
ユミル(さぶ…)
バタン…
-
- 30 : 2013/12/23(月) 06:48:37 :
ユミル「・・・!」タタタッ
店の親父「あ、おい、嬢ちゃん!?」
ガチャッ
ヒュゥゥゥゥーーーーッ
ユミル「リ、リヴァイ…さん!」
リヴァイ「…あ?」
「なんだクソガキ」
「文句でも言い足りねえか?」
ユミル「ち…っ!」
「悪かったな、クソガキで!」ギュッ
「…その、礼だけしときたくて」
「あ、ありがと、な…」
リヴァイ「!」
ユミル「そ、そんだけだ…っ!」
リヴァイ「ふん…」
「さっさと中に入れ」
「風邪ひくんじゃねえぞ」クル…
ユミル「あ、あんたもな!」
リヴァイ「ふん…」ザッザッザッザーー…
-
- 31 : 2013/12/23(月) 07:19:25 :
ーそれ以来、私はあの人には会ってない。
…店に戻ると、親父さんがいろいろと教えてくれたよ。
リヴァイさん、あ、いや、今は兵長って言った方がいいのか?
とにかく、あの人は、昔は都でなかなかに有名なゴロツキだったんだと。
ある日、彼は都の地下街で結構なバカやって憲兵に追われてた。
おかしいのはそこからでさ、エルミハ区まで逃げてきたリヴァイさんは、その日の私みたいに、親父さんの店の前でくたばりかけてたっていうじゃないか。
そこでリヴァイ兵長は親父さんに"拾われた"ってわけだ。
…まったくさ、やられた!と思ったね。
だから、リヴァイ兵長は私に同情したのか、なんて膨れっ面でさ。
でも、そんな私に親父さんは言ったんだ。
店の親父「嬢ちゃんよぉ、同情されんのがそんなに嫌かい?」
ユミル「は?」
「嫌に決まってんだろ?」
「私は私でしかない」
「私は自分のためだけに生きていくって決めたんだよ」
「同情なんて、バカにされてるみたいだ」
店の親父「そうかい…」
「まぁ、俺にはよくわかんねェんだけどさ」
「…同情でもなんでもいいじゃねェか?」
-
- 32 : 2013/12/23(月) 07:30:35 :
ユミル「え…?」
店の親父「人と人との巡り合わせにさ、」
「同情もクソもあったもんじゃねェと思うぜ?」
「いいじゃねェか」
「リヴァイのやつが嬢ちゃんに同情したとして、」
「そのおかげで俺は嬢ちゃんのために飯を作ってやれた」
「…このクソさみいだけの夜が、愉快な夜になった」
「飯は、1人で食うもんじゃねェしな」
ユミル「…よく、わかんねー」
店の親父「ハッハッ…!」
「そうか、悪かったな!」
「ふぁぁ〜〜〜っ」ぽきぽきぽきっ
「っし!そろそろ寝るかぁー!」
「明かり消すぞー?」
ユミル「うん」
「おやすみ、なさい」
店の親父「おう」
「なんか起こしてくれや」
「俺は台所の奥で寝てっからよ」
ユミル「・・・」コクン…
-
- 33 : 2013/12/23(月) 07:41:21 :
- おっふ…修正:「なんかあったら起こしてくれや」
あとはエンディングだけですが… 続きはまた次回!!
-
- 34 : 2013/12/24(火) 00:52:30 :
ー翌朝、私は親父さんを起こさないようにそっと店を出た。
元々、厄介になるつもりなんてなかったしな。
それにしたって、一言でも言えたらよかったんだけどさ。
面と向かって話したら、また甘えちまいそうでな。
ハハ…我ながら情けないよ。
親父さんとこの店にもそれ以来行ってない。
行けるわけがないと思ってさ。
あー、元気にしてっかなー?
無事、訓練兵団を卒業できたら、ちょっと顔だけ出しに行こうかなー
なんつってな、ハハハ……
それにしても、それから1年としない頃にさ、リヴァイ兵長の名前を再び耳にするとは思わなかったね。
そりゃ驚いたよ。
まさか、あんときの口の悪いにーちゃんがさ、人類最強の兵士だなんて持て囃されてんだもん。
巡り合わせかぁ、なんてつぶやいてみたりしたよ。
まったく、笑い話もいいとこだろ?
あの私がさ、兵士になろう、だなんてね。
…まぁ、これはまた別の話なんだけどさ。
ーーー
ーー
ー
-
- 35 : 2013/12/24(火) 00:59:39 :
クリスタ「そんなことがあったんだ…」
アニ「なん、ていうか…」
「聞けてよかったよ」
ユミル「ん?そうか?」
「まぁ、ちょっとこっぱずかしい話ではあるんだけどな」
「調査兵団に入りでもすりゃ、また会うことになるだろうなーなんて思ってみたりもするが…」
「私のこと、覚えてるとも限らねえしなぁ」ハハハ…
クリスタ「覚えてるよ!」
「きっと、覚えてくれてると思う」
ユミル「ハハ…!」
「さすが私のクリスタだな!」
「可愛いこと言ってくれるぜ!」ぎゅ〜っ!
クリスタ「わわっ」
アニ「…じゃ、もう消灯しないとね」
クリスタ「ユ、ユミル〜ッ!!」
ユミル「ハハハ…!」
-
- 36 : 2013/12/24(火) 01:35:26 :
ーーー
ーー
ー
ーそう、そんな悪党だった私が、なんで兵士を目指したか。
とある教会で"ご厄介"になってたちょうどそのとき、私は、クリスタ、あんたの話を小耳に挟んだんだ。
妾の子だってんで家から追い出されて、今は、名前を変えて生きてる女の子がいるらしいってね。
お涙頂戴話なんてたくさんだって思いながら、なんでか、私はその話を忘れることができずにいた。
…あるとき、ふと、親父さんの言葉がよみがえった。
ーーー『人と人との巡り合わせにさ、』
『同情もクソもあったもんじゃねェと思うぜ?』
『いいじゃねェか』
ああ、そういうことか、ってそんときやっとわかったよ。
会ってみたい、って素直にそう思った。
…そして、会えたんだ。
やっぱり、同情なんてまっぴらだけどさ。
どうやら、それも私の人生の一部だったってことらしい。
私は、何の後悔もしてないよ。
ユミルとしてこの世に生を受けたことは、私の誇りだからね。
ーおしまいー
-
- 37 : 2013/12/24(火) 01:55:01 :
ーおまけー
リヴァイ「おい、親父」
「ちゃんと掃除してんのか」
店の親父「お、おう…」ギクッ
「ったりめーだろ!」
(こ、これは、まずい…)
リヴァイ「ほう…?」ギラッ
「それにしちゃーどこもかしこも煤けてるじゃねーか」
店の親父「んなこと言ったって、しょーがねーだろ?」あせあせ…
「この店だって歳重ねてんだからよ!」ギリッ
リヴァイ「あのなぁ…」
「こんなもん、俺の手にかかれば…」うずうず…
「ぞ、雑巾とほうき、それにちりとりはどこだ…」そわそわ…
店の親父「う、うわぁぁーーーーーっ!」
「やめろ、リヴァイ、それだけは…っ!!」
リヴァイ「うるせえぇぇーーーっ!」
店の親父「ヤ、ヤメロオォォーーーーーッ!!」(CV:エレン)
リヴァイ「掃除させろぉぉぉーーーーーッ!!」
どんがらがっしゃーーーん… どたばたどたばた…
ユミル「はぁ…」
(余計にホコリ立ててんじゃねーか…)
ーほんとに、おしまい。ー
-
- 38 : 2013/12/24(火) 02:13:03 :
- はひー。こんなかんじになりましたねー。
予想外にも(?)ほぼ初(?)となるオリキャラ(?)がでてきちゃいました。
まあ、これも番外編の醍醐味ということで(笑)
いかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたらなら幸福至極にございます。
これからもマイペースに書いて参ります所存です。
それではまた次回作でお会いしましょーノシ めたん
-
- 39 : 2013/12/24(火) 17:39:45 :
- 乙 良かった!
-
- 40 : 2013/12/25(水) 02:10:16 :
- ふわってぃさま コメ感謝です♪
-
- 41 : 2013/12/26(木) 11:55:15 :
- 面白かった!
お疲れ!
-
- 42 : 2013/12/26(木) 12:07:43 :
- 3k猫さま ありがとうございます!楽しんでいただけたようで何よりです^^
-
- 43 : 2013/12/27(金) 16:23:55 :
- 面白かったぁ!毎回読んでますー!
リヴァイとユミルと店のおっちゃんがまたあったらどうなるんだろ…
乙でした!
-
- 44 : 2013/12/28(土) 04:23:53 :
- まじすか!めちゃくちゃうれっしーっす!!
うーん…原作が完結したら書いてみたい気もしますねw
コメ感謝です♪
-
- 45 : 2013/12/29(日) 22:16:48 :
- シリーズ読破〜ヽ(゚⊥゚)ノ モヘー
-
- 46 : 2013/12/30(月) 02:48:26 :
- あにきだぁーーーっ!
まじ!?めっちゃ嬉しいっす!さんきゅー☆★☆
-
- 47 : 2013/12/30(月) 14:14:50 :
- 良かった乙
-
- 48 : 2013/12/31(火) 04:50:57 :
- リヴァヒザさまー(省略ごめんw)
ありがとうー!!またがんばりまーす♪
-
- 49 : 2013/12/31(火) 19:50:57 :
- >>48
え??いや、省略べつに全然いいよ!!
というかニックネームだし
次回もがんばれ
おっと・・・自分は勉強を頑張らなくては・・・
-
- 50 : 2014/01/03(金) 21:52:10 :
- お疲れ様です。とても楽しいお話しを見せていただきました。また続編があれば読みたいと思うので焦らなくていいのでできたら、続編を書いてもらえますでしょうか?これから他の作品を読みたいと思います。本当に面白かったです。ありがとうございました。私はリヴァイ兵士長が大好きなので、できればリヴァイ兵士長のよく出る作品を書いてくださいますでしょうか?迷惑かもしれませんが宜しくお願い致します。
長文失礼しました。
-
- 51 : 2014/01/04(土) 01:13:50 :
- 進撃のyuzuさま
楽しんでいただけたようで何よりです!迷惑だなんてことはありませんよ。
丁寧なコメントをお寄せくださって本当にありがとうございます。
-
- 52 : 2014/01/04(土) 21:53:28 :
- シリーズ全部読みました!
とても楽しませていただきました♡
個人的にはリヴァハン&今回のユミル編が
大好きです笑
これからも頑張ってください(o´艸`o)
-
- 53 : 2014/01/05(日) 07:34:08 :
- わお!ありがとーございます!!
ふむふむ!そう言ってもらえると書いてよかったなぁ(@^u^@)
そうですね、マイペースにがんばります〜♪
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
-
メガネ兵長! シリーズ
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場