このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
六つ子が六つ子じゃなくなる話
-
- 1 : 2016/07/11(月) 15:51:09 :
- 腐要素はないです。
もしかしたら一カラに見えるかもしれませんが、私は兄弟の友情()のつもりで書いてます。
-
- 2 : 2016/07/11(月) 16:04:45 :
- 期待
-
- 3 : 2016/07/11(月) 16:12:12 :
六つで一つだった僕たちの生活は、たった一瞬で、簡単に壊れてしまった。
-
- 4 : 2016/07/11(月) 16:18:37 :
- 期待です
-
- 5 : 2016/07/12(火) 16:58:43 :
-
六つ子が六つ子じゃなくなる話
-
- 7 : 2016/07/12(火) 20:19:34 :
目を覚ますと、そこは白い天井が広がっている病室だった。
一番最初に確認したのは、周りに五人がいるか、ということ。
無意識に兄弟たちを探していた。
兄弟はいない、と認識できたその次に、酷い頭痛がやってきた。
それは嫌な予感の合図だったような気もしたし、ただ単に頭痛がしただけかもしれない。
「…一松!」
その瞬間、耳に響いたのは、耳にタコができるほど聞いていた、あのカラ松の声。
「あぁ、起きたか…良かった…良かった…!」
「…僕は寝てただけだけど。昨日何してたっけ?なんも覚えてないや」
「!頭を強く打ったからか…少し待ってろ、看護師を呼んでくる」
…?
僕にはカラ松の行動が分からなかった。
いつもはイタイ台詞ばっかり言うカッコ悪い(でも少しかっこいいような)次男とばかり思っていたが、今日はどうも違った。
そわそわ、していて。
どきどき、していて。
そして何より、“おそ松兄さんを呼んでくる”と言っていないのだ。
本当は、誰かが怪我をしているなら、すぐに兄弟を呼び、無事かどうかを確かめ合う。
何故カラ松は、おそ松兄さんたちを呼ばなかったのだろうか。
-
- 8 : 2016/07/12(火) 20:58:42 :
- 「看護師さん…!一松が何も覚えていないんです…!事故のことも、みんな!」
「ただいまドクターを呼んできますので、カラ松さんは一松さんに……」
廊下でぼんやりと声が聞こえる。
カラ松が焦っていて、とても珍しい。
「…カラ松。事故って、なあに」
なんだか薄々気付いていた。
周りに四人がいないこと、カラ松しか顔を見せないこと、僕が何も覚えてないということ。
分かっている。分かっていた。分かってしまった。
「っ…い、いちまつ…!落ち着いて、聞いて欲しい…んだ…」
ほら、ね。
カラ松が滅多に見せない涙を僕 に見せているんだ。
「松野おそ松…チョロ松…十四松…トド松は…っ、全員死んだ…!じ、事故死…だったんだ」
なぁ一松、死んだ。死んだんだって。みんな死んじゃったんだ。
「母さんは…今来る…それまでの間、休んでていてくれ…」
-
- 9 : 2016/07/12(火) 20:59:09 :
- 期待
-
- 10 : 2016/07/12(火) 21:13:42 :
- >>9
ありがとうございますん
-
- 11 : 2016/07/12(火) 21:28:03 :
- 起きてから数十分の出来事にもかかわらず、僕は焦らず、乱さずいた。
「死んだ…のか」
死ぬって、なんだ。
人が死ぬって、本当に実感がないんだよね。
ひょっこり帰ってくるような気がして。
「母さん、犯罪者予備軍とナルシだけが生きてて、災難だなぁ…」
「一松!!」
「本当のことだろ…松野家の長男、真面目なチョロ松、元気な十四松、一番孫ができそうなトッティが死んで……僕ら、だけ…いき、のこ…っ」
「……一松……」
何故、何故僕とカラ松だけ生き残っていたのだろうか。
それは疑問に残っていたが。
「カラ松!一松!!」
「!母さん!」
母さんが病室を壊す勢いでドアを開け、いきなり僕に抱きついてきた。
「大丈夫一松。心配ない。心配ないから」
「……解離、か」
カラ松がボソリと呟いたのを僕は見逃さなかったけど、
「前みたいにはさせないからね…!」
今はただ、母さんの温もりに触れていたかった。
-
- 12 : 2016/07/12(火) 21:39:17 :
- 期待
-
- 13 : 2016/07/14(木) 08:44:56 :
- 確かに人の死って最初の内はあんま実感無いよね
あと六つ子が六つ子じゃなくなるってそう言う・・・・
うん、期待。
-
- 15 : 2016/07/15(金) 18:07:20 :
「一松、お帰り!!」
「一松…!」
「あぁ、お帰り!」
「…ただいま、」
久方ぶりの我が家。
どうやら今夜の晩ご飯はお肉らしい。台所から匂いがする。
「いやぁ、一松が無事で本当に良かったよ!」
父さんがそう言って僕を抱きしめた。
「晩ご飯、すぐできるからねー」
「おぉ、母さんの肉料理は上手いぞー」
全く、カラ松は小さい頃からの口癖が変わらないな。
いつもいつも、母さんの料理が、母さんの料理が……
「…早く食べたい」
でもやっぱり、病院の薄い食事よりも、母さんの温かいご飯の方が、絶対美味しい。
-
- 16 : 2016/07/15(金) 21:31:38 :
- 「ふふ、早く食べたいかい。そう言ってくれると嬉しいねぇ」
「一松を待ち続けてお腹が減ったよ」
それなら早く食べれば良かったのに、と言うくらい、僕は子供じゃなかった。
「…四人がいれば、もっと嬉しがっていただろうな」
「カラ松…そういうこと言うなよ」
「っ、あぁ、すまん」
おそ松兄さんがいれば、きっと下手な歌を歌って喜んだ。
チョロ松兄さんがいれば、きっとニコニコしながらテーブルに座っている。
十四松は、そう、いつも通り、跳ねて飛んで近所迷惑になっていただろう。
トド松なら、母さんの料理のネタで女の子に近付いていたんだろうな。
「なに考えてるんだ、一松」
「別に…なんも考えてないよ」
-
- 17 : 2016/07/15(金) 23:47:03 :
- は、何も考えてないよ、なんて。
本当は皆の思い出を一日中語っていたいのに。
僕ってどこまでもクズだよね。
「……ほら、お肉!しゃんとしなさい!」
「…やっほい!肉だぞ一松!」
「うん…お肉だ…久しぶりの…ご飯…」
「美味しそうだな…」
いただきます、と。
いただきますと、その声がない。
「……カラ松、どうする」
「……おそ松兄さん、いないな」
いないんだ。
いないんだ、もう。おそ松兄さんは。
「…食べましょう!一松!カラ松!ほら、いただきます!!」
「い、いただきます…」
「いただきます…」
揃わない挨拶。四人だけの食卓。弾まない会話。
「ぅ…ぁ…っ…く、ぅっ…」
そんな、“兄弟がいない”という、前から分かっていた筈の事実に、涙が出てきた。
「っ…ぃちま、つ…っ…」
「……ごめん、ね…いちまつ、からまつ…!母さんが、母さんがこんなんで……」
-
- 18 : 2016/07/16(土) 08:16:25 :
- 「………母さんは、別に……」
「そ、そうだ、母さんが気に病むことはないよ…!」
「…あぁ……こんなに自分を傷つけちゃ駄目だね…まだ、あんたたちが残ってるんだから…」
あんたたちが残ってるんだから。
僕達は残らない方が良かったのか…?
僕達が残ってるから仕方なく生きているのか…?
「…ごちそうさま、父さんはもう寝るよ」
「あ……食べ、なきゃ」
「…だな。食べよう」
折角の退院祝いなんだから、食べなきゃ勿体無い。
「あぁ…美味しい…美味しいよ母さん」
「は、一松はずっと病院食だったもんなぁ…」
-
- 19 : 2016/07/16(土) 16:22:30 :
- 「そうかい、なら母さんの分まで食べなさい。私は食欲がないからね、先に寝てるよ。ごめんね、一松。折角の退院祝いだってのに…」
「ううん、いいよ。疲れてるんでしょ?寝て疲れをとってよ」
「うぅ…本当に優しい息子だねぇ…おやすみ…」
結局、テーブルにはカラ松と僕の二人だけになった。
たった二人だけのご飯に、寂しさがなかった訳じゃないけど。
「…一松。少しこっちこい」
「えぇ?」
「いいから、早く」
そう言うと、カラ松はそぉっとそぉっと、トイレに近づいた。
なんだよ、トイレに一人じゃ行けないのかな?
「うっ、うおえええええ…げほっ、げほっ」
「!?かあ、」
「しっ…!黙ってろと言ったろ…!?」
母さんの酷い嗚咽の声。嘔吐。
-
- 20 : 2016/07/17(日) 22:27:02 :
- 「なん…!」
「…母さんは、皆が死んでからずっとそうだ。食べても食べても吐いてしまう…病院に行けと言ってるのに、お金は俺たちのために使いたいんだと」
僕達のために、お金を使う…?
「だから、だからな一松。少し相談があるんだ。部屋に来い」
何を言っているんだ、母さんは。
僕達の為にお金を使うとか、それで母さんが死んだら本末転倒じゃないか。
お金が少ないのは分かる。でも……
「…バイトでもなんでも…お金稼ご。自立しよ」
「いいとこ取りしやがって…俺はそれが言いたかったんだっ!」
-
- 21 : 2016/07/18(月) 15:39:10 :
- 続き期待だぜ!!!!
-
- 22 : 2016/07/18(月) 15:49:01 :
- >>21
ありがとうだぜ!!!!
-
- 23 : 2016/07/27(水) 18:36:18 :
「母さん、俺達、自立しようと思うんだ!流石にこれじゃあまずいだろ!だからまずはバイトをしてな、それからは…」
「クソ松少し黙れ」
「ぬ、ぬぁっ!?」
「俺達、まだこの家にはいたい。でもこれからお金稼いで、家買って、しあわせになるよ」
「い、一松…カラ松…!自立するのかい…偉いねぇ…」
母さんはそう言って涙を流しながら笑った。
僕はその母さんの笑顔を、絶対に忘れない。
-
- 24 : 2016/07/27(水) 18:44:33 :
- 期待してます(∩´∀`)∩
-
- 25 : 2016/07/27(水) 18:45:05 :
- >>24
ありがとうございますぶひ!()
-
- 26 : 2016/07/28(木) 08:06:52 :
- 全く、松野家は呪われているのか。
松野家の兄弟の四人が死に、次はいつもいつも僕達を支えてくれていた母さんが死んだ。
仕事をすると宣言してから、1週間のことだった。
「なんっ…でだよ…!俺達がなにかしたのかよ…!母さん…母さん…ッ!」
「……母さん…」
カラ松が激しく涙を流し、母の亡骸にすがりついた。
「………カラ松…」
「…一松。父さんが来るまで待ってよう。母さんと一緒に」
-
- 27 : 2016/07/30(土) 21:38:52 :
- …呪われているとしか、言えない。
あんなに元気だった母さんが、過労死。
いや、呪われているんじゃない、偶然なんかじゃない。これは僕達のせいだ。
医師に過労死と診断された。過労なら目のくまの色や様子で分かるはずだし、僕達は1回母親が吐いたりしているのを見た。
その時に言えばよかったのに。
『母さん、母さんは悪くない。母さんは充分頑張ってる。抱え込まないで』
って。
あぁ…嫌になるよ。
こんな、僕ら6人を産んでくれた母親でさえ守れないなんて。
「…一松。お前は悪くないぞ。悪いのは全部…全部次男である俺だ。1人で抱え込むな」
「…そんな事言われても…そんな事言われても…なんの慰めにもならないし…!」
あぁ…!
馬鹿だ、自分よりも辛い思いをしているだろう兄にも、そんな辛い言葉を吹きかけるなんて…!
-
- 28 : 2016/08/04(木) 19:10:11 :
- 「…っ、もういいよ…!」
「一松…!…父さんが来るだろう…?」
「…僕、休憩所で待ってる」
そう言うと、僕はすぐに病院を走った。途中で看護師さんに何か声を掛けられたような気がするが、今はそれに構っていられない。
そんな情けない自分に反吐が出る。こんな燃えないゴミは消えればいいのに。
「死にたい」
僕の中で消化できずに、僕の口を伝い外へ出る、言葉。
「消えたい」
いや、消えたいんじゃない。消えなければいけない存在なんだ。
駄目だ。願っては駄目だ。兄さんたちに、弟達に会いたいなんて、願っては駄目だ。
『別に一松兄さんはゴミなんかじゃないのにね』
-
- 29 : 2016/08/21(日) 11:54:30 :
「はぁ…っ、はぁ…っ、一松…!一松っ…」
父さんが病院に着いた時、これまでに見せた事がない表情で俺と母さんを見つめた。
震えていた唇でなんとか俺に一松を探すように命じ、母さんと二人きりになった父さんは、とても辛そうだ。
「一松、どこにいる!」
「返事をしてくれ、頼むから…!」
六つ子の内の四人が死に、母さんでさえ亡くなった今、唯一生き残った一松でさえも無くしたくない。
「どうしたの?兄さん」
「へ…?一松…?」
一松の声。
紛れもなく一松の声なんだが。
「…うん、一松だよ、カラ松兄さん。さっきは取り乱したりしてごめんなさい。僕、辛くって」
「…いや、多分あれが普通の反応だよ。一松は優しい子だ」
「本当?」
「あぁ、一松はいつも優しいじゃないか」
-
- 30 : 2016/08/21(日) 11:59:47 :
- 期待
-
- 31 : 2016/08/21(日) 12:31:52 :
- >>30
ありがとうございます!
-
- 32 : 2017/04/19(水) 21:33:16 :
- !援応とれそ!待期
↑右から読んでwww
-
- 33 : 2017/05/02(火) 19:40:44 :
- >>32
期待!それと応援!
ありがとうございます!w
- 著者情報
- 「おそ松さん」カテゴリの最新記事
- 「おそ松さん」SSの交流広場
- おそ松さん 交流広場