この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
承太郎「東京にて」
- ジョジョの奇妙な冒険
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- 1 : 2016/06/17(金) 00:46:59 :
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【注意】
この物語は作中には描かれることのなかった3部と4部の間に承太郎とポルナレフが『弓と矢』について調査していた時のお話です。
オリジナルキャラクターが多数登場します。
ご注意ください。
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- 2 : 2016/06/17(金) 00:47:44 :
ーーーーーー1990年代初頭
邪悪の化身・DIOを倒した承太郎は仲間のポルナレフと共にスタンド使いを生み出す『弓と矢』を追っていた。
SPW財団の協力もあり、日本の東京に『弓と矢』があるという情報を掴んだ承太郎は単身、日本に向かうのであった。
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- 3 : 2016/06/17(金) 00:48:26 :
東京ーーーーーーー
承太郎「ああ、ポルナレフか?……そうだ、日本に着いた。………ああ、大丈夫だ。また何かあったら電話するぜ…………じゃあな」
コツ コツ コツ コツ コツ コツ コツ
コツ...コツ...コツ.........コツ........コツ..............コツ
ガヤガヤ
ザワザワ
承太郎「……………」
承太郎「………やれやれ、久しぶりだぜ………日本は」
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- 4 : 2016/06/17(金) 00:49:12 :
ーーーーーーーー
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」
少年は走っていた。
街の光も、街灯の灯も届かない裏の世界。何かから逃げるかのように、走り続けていた。
ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ
「『これ』は……『これ』だけは守らなくては………ッ!」
少年は服の内側の『それ』を掴み、確認する。ギュッと強く握りしめ、また後ろを振り返る。
「ハァ……ハァ……………ッ!」
ズザァァァァァァァ----ッ!
車が急ブレーキをかけたかのように、少年は何かが自分の前に立っていることを視認し、滑りながらも止まった。
「お゛お゛お゛ぉぉい!待てよ、ガキ」
少年の前に立つ男が言う。
右手には、拳銃を持ち、少年に向けて構えている。
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- 5 : 2016/06/17(金) 00:50:30 :
「さっきからこっちはなァ、『それ』さえ渡してくれれば、命だけは見逃してやる………そう言ってるんだぜ……?こっちもむやみやたらと人なんぞ殺したかァ、ねぇんだ」
「…………」
「特にお前みてえェなガキなんぞ、殺したところで何もねェ………ッと………こんな無駄話してる場合じゃあないんだったぜ」
「さあ、『渡す』か『渡さない』か、3秒で決めろ。この銃をハッタリだとは思うなよ?いつでも引く『覚悟』はできてるぜ」
少年は男を睨む。
しかし、動けない。
死ぬことへの『恐怖』
16歳の少年には計り知れない恐怖が襲いかかっていた。
「………『3』」
カウンドダウンが始まる。
少年はまた、『それ』を握りしめる。
「………『2』」
少年は目を閉じ、ふっと息を吐く。
息を吸い、目を思い切り開く。
「………『1』」
少年が人生で最後に聞く言葉、それが告げられた、その時ーーーーー
服の内側から、『矢』を取り出し、大きく振り上げた
「………ッ!!!」
「なにをしても、無駄だァーーーーーッ!」
少年の行動を見た、男は叫び、引き金を引いた。
(僕を………僕を………生かしてくれッ!!!)
ズ カ ン ッ ! !
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- 6 : 2016/06/17(金) 00:51:56 :
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
承太郎「…………」
承太郎「やれやれ……お前が財団のスタンド使いだな……」
岡本「はい、岡本と申します。そしてあなたは……」
承太郎「空条承太郎だ」
岡本「…………」ジィィ---
岡本「………あなたが、あの『DIO』を…」
承太郎「……ああ、俺がやった。だからこそ、後始末も俺がやらなくてはな……」
岡本「……そうですね。ただ、その後始末はかなりの大事になりそうです。あなたが思っている以上に、そして我々SPW財団の想定以上に」
承太郎「ああ、頭では理解しているつもりだぜ。『覚悟』はできてる」
岡本「……OK。…では早速、本題に移りましょうか。我々SPW財団やあなたが追い求めている『矢』について、ねーーーーー」
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- 7 : 2016/06/17(金) 00:53:00 :
岡本「『矢』についてですが、この日本の東京「あるという情報はほぼ確実です。確かな情報筋によるものです」
承太郎「更に細かい場所までは分からないのか?『世界のどこか』や『日本のどこか』に比べれば幾分マシだが、『東京のどこか』でも相当骨が折れるぜ………やれやれ。砂漠の中で落としたコインでも拾うかのような………」
岡本「それに関しては安心してください。更に細かいことも、例えば八王子市のどこかなんかよりも細かいところまで分かっています」
承太郎「…………」
岡本「………場所は小金井市。ある『一族』が『矢』を守り、受け継いできているようですね」
承太郎「なら、早速その家に………」
岡本「………いえ、その必要はありません。わざわざ今日この日本に来ていただいたことにはちゃんと意味があるんですよ」
承太郎「………意味だと?」
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- 8 : 2016/06/17(金) 00:53:39 :
岡本「ええ、意味があるんです」
承太郎「どういうことだ………?」
岡本「満月の夜。例の『一族』は満月の夜に『矢』を持って先祖の墓に行くんです。伝統、ですかね。そして、今日は満月の夜なんです」
承太郎「……そこを狙うのか?」
岡本「できれば、『矢』を回収したいところです。しかし、伝統というものは中々手放せないものですよね。『矢』を守り通すという使命がある『一族』です」
承太郎「………」
岡本「交渉をしましょう。ダメならば、力ずくでも取るべきです。現在、『矢』を守っているのは16歳の少年です。彼は何もしていないとはいえ、もし、『矢』が『奴』に渡ってしまったら…………」
承太郎「…………DIOめ……死してなお、といったところか………」
岡本「………夕日が、眩しいですね……」
承太郎「もうすぐ沈む…………日没だ」
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- 9 : 2016/06/18(土) 21:20:20 :
太陽は完全に沈んだ。
辺りは既に暗闇に覆われ、それまでの喧騒はピタリとやんでいた。
ヒュオオオオオオオ
ブルッ
体が寒さに震える。
今晩はよく冷えるとお天気コーナーのお姉さんが言っていたことを思い出し、この格好で外に出た過去の自分を恨む。
スタスタスタスタ...
少年は歩き続ける。
東京の賑やかで騒がしい明かりなど、ここらには1つもない。
ただただ闇に覆われている。
だからこそ。
ここに建てた。
ただ1つだけ。そこに墓石があった。
『栄井家の墓』
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- 10 : 2016/06/18(土) 21:20:54 :
墓石の前で目を瞑り手をあわせる。
何秒だろうか。
もしかしたら何十秒。
そこには何も変化がない。
まるで時が止まったかのように。
ゆっくりと目を開ける。
墓石を見つめ、手を離す。
隣の石に目を向ける。
先祖代々、名前が刻まれていた。
ただ、父の名前はない。
今、服の内に隠している『矢』を託し、その後失踪した。
この少年ーーーー栄斗が14歳の時だった。
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- 11 : 2016/06/18(土) 21:21:19 :
栄斗は服の内から『矢』を取り出す。
少し力を加えればすぐに折れてしまいそうな代物だった。
そんな『矢』を眺める。
父には2つの奇妙な『習慣』があった。
1つ目は、今手にしているこの『矢』を常に持ち歩くこと。
家でも、外出先でも。勤め先にも、である。
しかし、父は息子の栄斗にさえも託すまでは『矢』を見せることはなかった。
2つ目は『満月』の夜に『矢』を携えてこの墓に来ることだった。
毎満月(言い方がおかしいかもしれないが、他に言い表す言葉が見当たらないのでこのままにしておく)ごとに、この墓に訪れていた。
この『矢』を託された時に父は2つの『習慣』を忘れるなと言っていた。
そのため、今彼はしっかりと『習慣』を守り続けている。
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- 12 : 2016/06/18(土) 21:22:07 :
一先ず、用事を終え帰路につこうとしたその時ーーーーー
3つの視線を感じた。
彼は追われている。
この『矢』を目的とした連中に。
かくいう自分も、この『矢』の隠された力は理解しているつもりだし、実際に体験している。
つまり彼は『スタンド使い』である。
栄斗(………先手必勝だ…………父さんから受け継いだこの『矢』は渡さねェ…………)
栄斗は落ちている豆粒のような小石を素手で掴み、そのまま拾い上げた。
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
栄斗(…………………)
栄斗(……………行くぜ)
ブ ウ ウ ゥ ゥ ウ ン
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- 13 : 2016/06/18(土) 21:22:47 :
ーーーーーーーーーーーーー
その時だったッ!
地面から何かを拾い上げた彼の後ろに、現れたビジョンを2人は見逃さなかったッ!
承太郎「あれは…………スタンドッ!!」
承太郎が叫ぶのと同時に。いや、承太郎が叫ぶ直前に、少年のスタンドは投球モーションに入っていた。
常人のそれを超えたスピードで腕が振り下ろされたのだッ!
持っていた小石のようなものは凄まじい速度で一直線に向こう側の茂みに投げ込まれた。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
承太郎「……………遊び……じゃあ、断じてなさそうだぜ……。奴の行動には……今!混じりっ気のない…本気の殺意が含まれていたッ………!」
岡本「向こうの茂みにはッ!何があるというんだッ!?彼は何かに気がついていたッ!野良猫やァ、イタチみたいなものではない何かがッ………!!」
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- 14 : 2016/06/18(土) 21:23:46 :
ガサガサと石を投げつけた方の茂みから音がする。栄斗は確信を持っていた。
それは『確実に』人間であると。
父から『矢』を受け継いでから命を狙われ続けている人間だけが気付くことのできる僅かな殺気。
それを感じ取っていた。
栄斗「いるなら……さっさと出てこい。この前の奴のように命は奪わないでおいてやる………この僕の『レット・ミー・リブ』でちょぉ〜〜いと……ほんの数十発………少しだ………少しお仕置きをするだけだぜ」
茂みの向こうにいるであろう、今もなお自分に殺気を放ち続けている顔も見たことのない人間に向かって言う。
栄斗(いつまでもウダウダウダウダ…………最っこぉ〜〜〜〜〜〜〜〜に…………イラつくぜ)
栄斗「…………………」
栄斗「クラスに1人はいるよなァ?教師に指名されてもだ……いつまでもウジウジとしていてクラスメイトにひじょぉ〜〜〜〜〜にッ!迷惑をかける奴だ………。もしかして……お前はそのタイプか?」
何を言っても反応がない。
ここまで何も反応がないと、絶対の自信を持っていた自身の『殺気感知能力』のミスかと疑ってしまうほとだ。
栄斗「………さっさと出てこい。今の僕は何も恐れないぜ……この『レット・ミー・リブ』がある限り……な。政治家でもヤクザのボスでも殺し屋でもだ」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
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- 15 : 2016/06/18(土) 21:25:08 :
流石にここまで反応がないと人間ではない、と考えた栄斗は体を翻し、再び帰路につこうとした。
しかし、そこから一歩を踏み出せなかった。
なにか、誰も見ていないからこそ、屈辱感を味わっていた。
自信があったのだ。
殺気感知能力に。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
栄斗(チッ…………もう一発だ…………これが最後のチャンスだぜ………これで出てこないなら、もう知らねェ…………)
栄斗は再び体を先ほどの茂みに向けた。
ムンズッ!
栄斗はできるだけ大きな石を探し、掴んだ。
そして、つい数分前と同じように投球モーションに入った。
その時だったッ!
彼のスタンド、『レット・ミー・リブ』の手の中に収まっている石はいつの間にか、手からはみ出ていたッ!
ブ オ ン ッ !
またしても豪速球が投げ込まれた。
ゴ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ
手から離れてなおも先ほどまで小石だったものは岩のように『膨らん』でいたのだッ!
栄斗(これなら茂みに隠れてても関係ねェ………あの大きさなら避けきれやしねえぜッ!)
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
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