この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
この作品は執筆を終了しています。
シゲキ
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- 1 : 2016/04/06(水) 23:21:19 :
- どうもきゃわです。
なんやかんや2作品目。もう書くことはないでしょう。
SSのまとめ(- -;*)に載ることを重視しているので、執筆中のコメントは全て消しています。
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- 2 : 2016/04/06(水) 23:25:06 :
- 雪の降る夜
男は繁華街の路地裏を走り回っていた。
狙われる身であった
組織を裏切りサツに情報を渡そうとしたところどうやらバレてしまったらしい
しかし裏切り者を始末するにしてもヤツは何者だ
頭が痛い 吐き気がする
いくら運動不足のおっさんが走ったにしてもこれは異常だ
心当たりはある これは全てヤツの"眼"を見てからだ
途端、暗闇に一点の光が見えた。禍々しく、しかし見とれてしまう美しさ。
その光がヤツの眼だと解ったとき、男の視界は赤黒く染まった。
初めその眼を見たときと同じく、わけがわからずそのまま倒れていく。
ただ違ったのは、死したことだけであった。
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- 3 : 2016/04/06(水) 23:28:18 :
- 「ふぁー...」
喫茶店である。
ため息のような、欠伸のような声を漏らし
似合わない白縁眼鏡で真っ黒な本と見つめ合う人物がいた。
"ヤツ"である。
昨晩あんなことをしておいてこの冷静さ、いやむしろどこか気の抜けたような男である。
このような年端もいかぬ者が昨晩人を一人、この世から消したとは誰も思うまい。
しかしなんでか、人々の視線は時折ヤツに向けられる。
理由は単純。なにより目立つのだ。
周りの客から店の主まで黒か茶色というような髪の毛に対し、ヤツは白金の髪を身に纏っていた。
(落ち着いて本も読めやしねぇ)
ヤツが席を立とうと黒本を閉じると、向けられていた視線が一斉に分散する。
するとヤツは遠くの席で誤魔化すようにコーヒーを飲む男を睨み付ける。
昨晩のように。
「ッブッファッ!!?!」
男が口に付けたカップを投げ捨て、電気でも走ったかのように勢いよく立ち上がる。
盛大に床に叩きつけられたコーヒーは、やけに湯気が出ていた。
「だっ大丈夫ですか御客様!!!」
騒ぐ店奥を横目に、ヤツは店をあとにした。
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- 4 : 2016/04/06(水) 23:32:33 :
- 店を出たヤツは、平静を装いながらまた別の静かな店を探す。
毎日この調子である。元は澄んだ黒髪も今や面影も無く、無駄に注目を浴びるようになってしまった。
ヤツは派遣で雇われ仕事をこなす。聞けば普通だが内容は殺し。ヤツは所謂殺し屋である。
目には見えない"眼"の力で目標を死へと導く━━━これはヤツが授かったものである。彼はこれを欲していたが、しかしあまりにも刺激的過ぎたようだ。
路地裏を歩いていると、一人の男と会った。
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- 5 : 2016/04/06(水) 23:33:53 :
- 元々はどこにでもいる青年、詳しく言えば新社会人であった。
秀才である彼は職に困らず、交際中の彼女とアパートで同棲することにもなった。
━━━つまらない。彼は常々そう思っていた。
なんの変哲もない人生に嫌気が差していたのだ。
上司と噛み合わないと感じ始めた初夏頃、彼女と喧嘩になった。些細な原因。ストレスで神経が尖っていたのだろう。
その日彼は、初めてヒトという動物を殺した。
焦り、罪悪感、恐怖、残る悲鳴、高揚、最期の顔....
刺激的であった。己に足りなかった物、正に欲していた物であった。
しかし秀才な彼には、これからの自分の運命を安易に予想できた。隠す、逃げる、はたまた自首。
彼の選んだ道はこの中には無かった。全て棄てることにした。自分でさえも....
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- 6 : 2016/04/06(水) 23:36:41 :
- 徐にアパートの屋上へと行く。
高層だがボロアパートだったので立ち入りを阻む扉も意味を為さない。
実に開放的な空間は、まるで自分のこれまでの人生のようだった。
遠慮がちなフェンスを乗り越え、重心を前に移す。
すると、近くに人の気配を感じた。
辺りを見渡すが誰もいない。すると空虚な闇に一点の光が見えた。
「....誰だあんた」
彼は見えない相手に話しかける。
すると姿が見えた。
魔女...?いや男だ。しかし西洋の伝書に記される魔女のような帽子をかぶり、白く長い髪を靡かせ、黒いスーツで彼に近づく。
「死ぬのかい?」
幽かに笑うように訪ねる男に、彼は不気味さを感じた。
「このつまらん世に用はない。終わらせたいんだ。」
「本当にそうかね?君はもう刺激の味わい方を知っているだろう?」
知っているふうな口だった。
「どういう意味だ。」
「....また殺ればいいんだよ。人を。」
「ッ!!」
こいつ....
見ていやがった。
まずい。通報されたか。捕まる。ムショはごめんだ。逃げなきゃ。
焦りすぎた彼は、不意に足を滑らす。
「んなっ!?」
後方に頭から真っ逆さまに自由落下。
こんなはずじゃない。
途端、彼の頭に映像が流れた。
(これは....走馬灯?)
走馬灯━━━ 死の直前、脳活動は活発になり、精神状態が高まることにより今までの人生が脳裏を駆け巡るのだという。
彼にも同じことが起きた。言い換えれば、彼はこの時、精神状態が高まり━━━高揚している。
さらにその上、先程の彼女のあの顔が映し出された。
秀才な彼は悟った。人は彼女だけではない。ならばそいつらで、己を満たせばいい。
死んだらもう、あの刺激は味わえない。
(俺はまだ、死ぬわけにはいかない!!)
迫るコンクリートを睨み付ける。
気づけば彼は、朝を迎えていた。
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- 7 : 2016/04/06(水) 23:44:47 :
- 路地裏にいる男。それこそ彼があの日会った男だ。
「....何の用だ」
「そんな怒るんじゃない。私のお陰で君は刺激的な人生を送れているだろう?」
「俺は頼んでない!!」
彼の眼は男から授かったものだ。
簡単に殺せる━━━刺激を得られる術を与えてやったのだ。
「しかし私がいなければ君はあの日死んでいる。後悔したままね。」
「でもこの眼は....ッ」
彼は気づいているようだった。この力の導く先を。
「....死が怖いか?君はその恐怖を一体何人に味会わせてきたのかな?」
彼は眼を使って幾人の人を殺してきた。
男、女、老人、子供、ヤクザ、OL、学生....
己を満たすため、刺激を求め殺した。
「俺は....後悔したままだ。」
しかしいったい満たない。初めの、あのとき殺したような刺激はもう得られない。
愛する人を殺した罪 は、もう別の罪に塗り潰されてしまった。
「今ごろもう遅いよ。君は眼を使いすぎた。その髪が表している。」
彼の髪はもう白金ではなく、細く傷んだ白髪になっていた。
「まだ死ねない....最後のぶんはあるさ」
「....どうするつもりだい?」
「お前と会わなければ飢えなかった。お前が居なければ全て終わっていた。
お前が授けなければ、俺はシゲキを知らずに死ねた!!!
最期に
━━━お前を殺す!!!!!」
彼の眼が耀く。鋭い眼光は男を捕らえた。
だが....
その眼は誰が授けたか覚えてないのだろうか?
「ッ!?」
男の眼が光る。
途端に景色が変わる。夜だ。
見覚えがある。ここはあの日の....
アパート横、空中にいた。
眼が使えない。あの日のように自由落下だ。
ただ違うのは、走馬灯が━━━彼女の顔が、映らない。そんな。
「最期は君と....一緒が.....」
彼が最期に視たのは、建物で四角い夜空と白い髪と、
不吉に微笑む、私 である。
「....彼には少し、刺激が強すぎたかな?だが彼の刺激は私の命 で生き続けるだろうよ。」
白く長い髪に埋もれて、鮮やかな黒髪が見え隠れしている。
私はまた、罪を求めて歩きだした。
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- 8 : 2020/10/14(水) 14:07:03 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
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