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エレン「エピソードⅥ」 ヴェイダー「ジェダイの帰還」 ⑤ 進撃×スター・ウォーズ
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- 1 : 2016/01/19(火) 03:04:10 :
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__________決戦前夜。
静まりかえった帝国軍のシールド発生装置の巨大なプラットフォームに、一隻のシャトルが降りてくる。
https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/736x/25/53/fb/2553fb4501fc2d4c1a9190352fec73fe.jpg
翼を折りたたんで着地したシャトルから、一人の男が降りてきた。
その男は鋼鉄の肺の呼吸音を響かせながら、エレベーターに乗り込むと、プラットフォームの下にある足場へと降りた。
http://www.theforce.net/swtc/Pix/books/scrapbook/atatdock1.jpg
すると、足場へと接続したAT-ATウォーカーの扉が開き、中から帝国の士官と、二人のストーム・トルーパー、そして、手錠を掛けられた一人の男が降りてきた。
その男は、黒のジェダイ装束に身を包み、ヴェイダーを見据えた。
男を捕えた士官は、ヴェイダー卿に報告した。
「投降者を捕えました。この男は否定していますが、仲間がいると思われます。周囲の捜索許可をお願いします。武器はこれだけしか持っていませんでした。」
士官はそう言うと、男が所持していた武器―――――ライトセイバーを手渡した。
「よくやった、司令官。」
ヴェイダー卿は珍しく部下をねぎらうと、命令を下した。
「下がっていいぞ。周囲を捜索し、必ず仲間を見つけ出すのだ。」
「はい、閣下。」
士官はそう言うと、ストーム・トルーパーたちを引き連れて、AT-ATウォーカーの中へと戻っていった。
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- 2 : 2016/01/19(火) 06:42:21 :
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ヴェイダーは一年ぶりにエレンと対峙すると、並んで歩き始めた。
「皇帝がお前をお待ちかねだ。」
「分かっていますよ、父さん。」
「・・・・・・そうか、お前も真実を受け入れたのか。」
「受け入れたよ・・・・・・父さんの本当の名前が、僕と同じ、エレン・イェーガーだという真実を――――――「その名前にはもう何の意味もない!」
ヴェイダーは歩みを止め、エレンの方を振り返った。
もう何年も呼ばれていなかった、自分の本当の名前に驚き、ヴェイダーは思わず声を荒げた。
「それが父さんの本当の名前だ。父さんの中にはまだ善の心が残ってる。皇帝もすべてを奪い取ることは出来なかった。」
「・・・・・・。」
強い意志を秘めた瞳でヴェイダーを見据えるエレン。
ややあってエレンはヴェイダーから目を逸らし、手錠をかけられた両手を手すりへと乗せた。
「だから、父さんは僕を殺さなかったんだ。僕をすぐに皇帝へ差し出さないのも、そのためなんだ。」
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- 3 : 2016/01/19(火) 06:45:27 :
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ビュウウンッ!
エレンの背後から、唸るような起動音が聞こえてきた。
エレンがゆっくりと振り返ると、ヴェイダーは緑の光刃を起動させ、確かめるかのようにライトセイバーを手に取っていた。
「新しいライトセイバーを作ったのか。」
ヴェイダーはこのライトセイバーのデザインをよく知っていた。
ジェダイが自分のライトセイバーを作る際、マスターのデザインに似せて作るという伝統がある。
このライトセイバーのデザインは・・・・・・・・・・・・アルミンのものに、よく似ている。
「修業を終えたようだな。」
ヴェイダーはエレンのライトセイバーの、緑色の光刃をしまうと、エレンに背を向けて、同じように手すりに手を置いてから呟いた。
「皇帝が予見した通り、お前は強くなった。」
「・・・・・・・・・・・・僕と一緒に来てよ。」
エレンが振り返り、背を向けるヴェイダーに語り掛ける。
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- 4 : 2016/01/19(火) 06:51:10 :
「・・・・・・・・・・・・アルミンもかつて、俺を引き戻そうとした。」
ヴェイダーは、しかし、エレンの方へ再び振り返ると、拒絶するかのように話し始めた。
「ダークサイドの力を知らないからそんなことが言えるのだ。俺は、皇帝には、逆らえん!」
「では、僕を・・・・・・・・・・・・殺せるの?」
「・・・・・・・・・・・・それが、お前の運命ならば。」
「自分の心を見つめてよ、父さん。出来るはずがない。あなたは迷っている!」
エレンに改心を迫られるヴェイダー。
だが、そうするためには、彼はもうどっぷりと闇に浸かり過ぎていた。
「もう、遅いのだ、息子よ。」
ヴェイダーは改心を拒絶すると、右手を振った。
足場にあるエレベーターがひとりでに開き、中で待機していた二人のストーム・トルーパーがエレンの側へと歩いてきた。
「皇帝にフォースの神髄を学ぶがいい。今からは、皇帝がお前のマスターだ。」
ヴェイダーは、エレンに対して、決別するかのように言い放った。
「・・・・・・・・・・・・アルミンの言う通りだったね。父さんは本当に死んだんだ。」
エレンはそう呟くと、ストーム・トルーパーに連行されて、エレベーターへと乗り込んだ。
__________ヴェイダーは再び手すりに両手を置いて、ひとり、いつまでもそこに佇んでいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 5 : 2016/01/19(火) 16:53:32 :
翌日。
ジャンとミカサ、チューバッカと二体のドロイドは、工作部隊と合流し、遠くからシールド発生装置のプラットフォームを覗いていた。
プラットフォームからは丁度、帝国のシャトル―――――彼らは知らないが、ヴェイダーとエレンが乗っている―――――が、丁度デス・スターへと飛び去ったところだった。
「ジャン・・・・・・・・・・・・メイン・エントランスはあのプラットフォームの向こう。警備が、厳重過ぎる。」
「大丈夫だ、俺とチューイはあれより厳重な警備を何度も潜り抜けてきたからな。」
ジャンが得意そうに息巻く中、C-3POはここまで案内をしてくれたウィケットやパプルーに話しかけられていた。
二人のイーウォックといくつか言葉を交わすC-3POに、ミカサはその内容を尋ねた。
※パプルー
http://www.starwars.jp/wiki/images/e/e4/Paploo.jpg
「C-3PO、彼らは何て?」
「彼らが言うには、山の反対側に秘密の入り口を知っているそうです。」
このメイン・エントランスから潜入するのは、無理とは言わないまでも、かなりの困難を伴うのは確実だった。
暫くジャンは考えて、やがて決断を下した。
「よし、その入り口とやらに案内しろ。」
◇◇◇◇◇
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- 6 : 2016/01/19(火) 16:54:38 :
同刻。
サラスト星系付近。
反乱同盟軍の大型戦艦から、小型のスターファイターが飛び出していく。
マルコが操縦するミレニアム・ファルコンを先頭に、
おなじみのXウィングにYウィング、高速艇Aウィング、
そして、ギリギリ開発が間に合った爆撃艇Bウィングなど、およそ70機が宇宙空間へと飛び出した。
※Aウィング
http://www.starwars.jp/wiki/images/3/35/A-wing.jpg
※Bウィング
http://www.starwars.jp/wiki/images/8/81/B-wing_starfighter.jpg
ミレニアム・ファルコンの座席についたマルコが、戦艦ホーム・ワンの艦橋で指揮を執るアクバー提督に連絡を入れた。
「全機、配置につきました。点呼完了です。」
『カウントダウン開始。全グループ、攻撃座標につけ。』
ミレニアム・ファルコンをはじめとした戦闘機、ホーム・ワンをはじめとした大型戦艦がハイパースペース・ジャンプへ秒読みを開始する。
そんな中、ミレニアム・ファルコンの副操縦士としてマルコの隣に座るサラスタン、ニエン・ナンが、サラスティーズ語でマルコに話しかけた。
※ニエン・ナン
http://www.starwars.jp/wiki/images/f/f7/Nien_Nunb.jpg
「心配ないよ、僕の友人が既に潜入してるからね。きっとシールドを破壊してくれるさ。」
ナンの心配を笑顔で受け止めるマルコ。
マルコは、しかし、内心ではナンと同じ心配を抱えていた。
もし、まだシールドが消えていなかったら――――――ナンの問いに、マルコは少しの不安を滲ませて、「じゃなきゃ史上最短の自爆劇になるだろうね。」と呟いた。
「全艦、わしの合図でハイパースペースへとジャンプせよッ!!」
アクバー提督がホーム・ワンの艦橋から、全艦に向けて命令を下した。
「了解、スタンバイッ!!」
マルコがそう言うと、ハイパードライブ装置のレバーを引いた。
目の前の星が一斉に伸び、それから青いまだら模様のトンネル――――――ハイパースペースへ次々と戦艦がジャンプしていく。
__________聖なる森の月、エンドアへと向けて、反乱同盟軍艦隊が一斉にハイパースペースへとジャンプした。
◇◇◇◇◇
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- 7 : 2016/01/19(火) 19:37:49 :
「ほう、あれが裏口か・・・・・・名案だな。」
ジャンが率いる工作部隊は、二人のイーウォックたちに案内されて、シールド発生装置へ続く裏口へと到着した。
http://vignette1.wikia.nocookie.net/starwars/images/9/91/EndorBunker-ROTJ.png/revision/latest?cb=20130421043208
「見張りも少ないし、これなら楽だな。」
「油断しない、ジャン。」
「分かってるよ、音を立てずに始末するさ。」
ミカサのツッコミに、ジャンがにやけて応ずる。
すると・・・・・・・・・・・・
「た、大変です!! ミカサ姫――――――「静かに。どうしたの、C-3PO?」
「毛むくじゃらのお仲間が勝手な真似を・・・・・・・・・・・・。」
なんと、イーウォックのパプルーが勝手に、見張りである4人のスカウト・トルーパーの元へ、こっそりと近づいていたのである。
チューバッカが唖然としたような唸り声を上げる。
ジャンとミカサも思わず眉間に手を当てた。
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- 8 : 2016/01/19(火) 19:38:32 :
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「どうしよう・・・・・・ジャン。」
「奇襲が台無しだ・・・・・・・・・・・・。」
さて、こうなってはもう一刻の猶予もない。
覚悟を決めて、襲撃の準備をし始めた、その時だった。
ヴォン・・・・・・
パプルーがスカウト・トルーパーのスピーダーバイクに跨り、勝手にスイッチを入れ始めた。
「!! あれを見ろ、捕まえるんだ!!」
パプルーに気が付いたスカウト・トルーパーたちが一斉に走り出す中、パプルーの乗ったスピーダーバイクがブオンと低い唸り声を上げて走り出した。
後を追うために三人のスカウト・トルーパーがスピーダーバイクに跨って追跡していった結果、何と見張りはスピーダーバイクを奪われたスカウト・トルーパー一人だけになった。
思わぬ怪我の功名に、ジャンとミカサは顔を見合わせ、くすっと笑った。
「毛玉ボールもやるもんだな。よし、これから残る一人を片付ける。お前たちはここに残れ。」
「我々はここに残ります!」
ジャンはドロイド2体とウィケットにそう言うと、C-3POは割と仰々しく返事をした。
さて、ジャンとミカサ、チューバッカは、他の工作部隊のメンバーと共に、茂みの中を移動し始めた。
一人取り残されて、内心心細い様子で見張りをするスカウト・トルーパー。
その肩を、誰かにポンと叩かれて振り返ると、ジャンが逃げていくところだった。
「!! 待てッ!!」
ジャンを追ってスカウトが走っていくと、工作部隊が銃を持って待ち構えていた。
__________見張りのスカウトをフルボッコにした後、ジャンを含む工作部隊は、シールド発生装置の中へと入っていった。
◇◇◇◇◇
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- 9 : 2016/01/19(火) 19:43:33 :
- 期待!!
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- 10 : 2016/01/19(火) 20:58:01 :
- いつも期待を寄せていただき、ありがとうございます!
頑張ります!
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- 11 : 2016/01/19(火) 20:59:23 :
聖なる森の月、エンドアの軌道上に浮かぶ超大型宇宙要塞、第二デス・スター。
その北極点に存在する司令塔の最上階、皇帝の玉座の間のエレベーターのドアが開いた。
ロイヤル・ガードが二人、入り口の側に控えるエレベーターの中から、エレンとヴェイダーが並んで歩いていく。
目の前にある大きな階段をゆっくり上ると、正面には巨大な、丸い窓。
まるで蜘蛛の巣のような意匠を凝らした窓の中央には、回転式の玉座。
その玉座に座って、パルパティーン皇帝は宇宙空間を眺めていた。
http://vignette2.wikia.nocookie.net/starwars/images/5/51/ROTJ_Throne_Room.png/revision/latest?cb=20150924201519
ややあって、大きな玉座がゆっくりと回転し、エレンは遂に皇帝と謁見した。
「ようこそ、若きイェーガーよ。そなたがやってくるのを心待ちにしておったぞ。それはもう必要あるまい。」
皇帝がその青白い指を立てると、独りでにエレンに掛けられた手錠が外れ、ガチャリと音を立てて床に落ちた。
「衛兵は、下がれ。」
エレベーターの側に控えていたロイヤル・ガードが退出していく。
青白く、醜い皺が寄った顔に、ぎらつく黄色い目がこちらを見据えてくる。
__________まるで生きる屍だ・・・・・・・・・・・・。
一種の嫌悪感を感じながら皇帝の顔を眺めていると、皇帝は再びエレンに話しかけてきた。
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- 12 : 2016/01/19(火) 21:00:32 :
「そなたの修業を完成させてやろう。その時、そなたは私を、マスターと呼ぶのだ。」
「あなたは勘違いしている。僕は父さんのように誘惑されない。」
「それはどうかな、若きジェダイよ。」
皇帝は玉座から立ち上がり、エレンに近づいてくる。
「勘違いをしているのは貴様の方だ。多くの点について、な。」
エレンの目の前にまで近づいてきた皇帝の口からは、腐臭が漏れ出していた。
あまりに強大なダークサイドの力が、自らの体を蝕んでいるかのように。
「エレンのライトセイバーです。」
すると、ヴェイダーは皇帝にエレンのライトセイバーを差し出した。
「ほう、これが・・・・・・そなたのライトセイバーか。」
皇帝はエレンのライトセイバーを受け取ると、邪悪な笑みを浮かべた。
「父親のものによく似ておる。そなたの父親は決してダークサイドからは取り戻せぬぞ。そなたも同じ運命をたどるのだ。」
「!!」
__________内心、エレンは動揺した。
心の奥底に秘めていたはずのことを、皇帝はすぐに見破ってきた。
何とか動揺を抑え、エレンは自身の覚悟を皇帝に示した。
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- 13 : 2016/01/19(火) 21:01:11 :
「それは違う・・・・・・僕は死ぬ覚悟だ。あなたを道連れにね。」
「ふっふっふっふっふ・・・・・・・・・・・・反乱同盟軍の総攻撃のことを言っているのか?」
「!?」
__________どういうことだ?
なぜ、このことを知っている?
どこかから、情報が漏れたのか?
「私がここにいる限り、反乱軍は手も足も出んわ。」
皇帝は少し機嫌を損ねたように言うと、踵を返して玉座へと戻り始めた。
何とか動揺を抑え、エレンは皇帝に抵抗した。
「過信は命取りですよ?」
「そなたの仲間への過信こそそうだ。」
皇帝は振り返って呟くと、再び椅子へ向かって歩き出した。
「抵抗は無意味だ、エレン。」
鋼鉄の声で、ヴェイダーがエレンに呟くなか、皇帝は玉座に腰を据えると、冷たい表情を浮かべながら話を続けた。
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- 14 : 2016/01/19(火) 21:01:52 :
「全ては私の計画通りに物事は進んでおる。」
__________計画?
「エンドアの月にいる、そなたの友人たちは“罠”にはまる。反乱同盟軍艦隊も同様だ。」
「!!」
__________どういうことだ?
まさか・・・・・・・・・・・・今まで俺たちが建ててきた計画は、すべて・・・・・・・・・・・・
「シールド発生装置の座標をボザンのスパイにわざと教えてやったのだ。だが、反乱軍如きにシールドは破れん。わが軍の精鋭部隊が待ち構えておる。」
皇帝は、反乱同盟軍を壊滅させるため、壮大な罠を張っていた。
だが、皇帝にとって、反乱同盟軍を壊滅させるのは、もう一つの目的があった。
「例え反乱同盟軍艦隊が到着しても、シールドはびくともしておらんよ。ふふふふふふふ・・・・・・・・・・・・。」
動揺するエレンを嘲笑う皇帝。
__________全ては、執拗にエレンを駆り立てて、ダークサイドへと転向させるため。
その為の、壮大な舞台装置の幕が、いよいよ上がろうとしていた。
◇◇◇◇◇
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- 15 : 2016/01/20(水) 02:16:56 :
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ドゴォンッ!
「手を上げろッ!!」
扉を撃ち抜いて無理やりこじ開けたジャンが、大声で怒鳴った。
シールド発生装置の制御室に侵入し、ジャンやチューバッカが速やかに部屋を占拠する。
「!! ジャン、急いで、もう艦隊が到着する!」
すると、モニターを見たミカサが声を上げた。
__________モニターには、第二デス・スターに近づくいくつもの機影が映されている。
間もなく到着してしまう。
早急にここを爆破しなければ。
「チューイ! 爆弾をよこせ! 早くッ!!」
ジャンが大声で怒鳴り、チューバッカから爆弾の入った箱を受け取る。
ジャンのつもりでは、中にある時限式サーマル・デトネーターを仕掛けてから脱出する算段であった。
だが・・・・・・・・・・・・
「た、大変だ! 皆捕まっちゃうよ!」
丁度外では、裏口から帝国の士官や大勢のストーム・トルーパーたちが入っていくのを、残ったC-3POやR2、ウィケットが目撃していた。
すると、ウィケットがどこかへと走り去っていった。
「ま、待て! 戻ってくるんだ! R2、一緒にいてくれ!」
心細い声を上げるC-3PO。
「動くなッ!!」
さて、C-3POが目撃した士官が制御室に突入し、ジャンに銃を向けた。
その言葉を合図に制御室の脇の空間から大勢のストーム・トルーパーたちが一斉に突入。
「なっ!?」
「どうしてこんなに敵が!?」
ジャンとミカサが呟いた間にも、敵はどんどんと押し寄せてきて、工作部隊に銃を向けた。
「反乱軍のクズどもが。」
士官の一人がそう呟くなか、工作部隊は武器を奪われ、生け捕りにされてしまった。
◇◇◇◇◇
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- 16 : 2016/01/20(水) 02:17:49 :
ドゴオォオォォンッ!!
エンドア近くの宇宙空間へ、爆音とともに反乱同盟軍艦隊がハイパースペースを脱し、姿を現す。
彼らの目線の先には、聖なる森の月エンドアと、その軌道上に浮かぶ第二デス・スターがあった。
レーダーにシールドの反応は無い。
シールドは・・・・・・・・・・・・消滅している。
「よし、各隊、報告せよ。」
先陣を切るゴールド中隊のリーダー、マルコが点呼を取る。
「レッド・リーダー、準備よし。」
レッド中隊を率い、Xウィングで進撃するエレンの幼馴染み、ベルトルト。
「グリーン・リーダー、準備よし。」
グリーン中隊を率いるは、普段はハンジの副官を務め、最新鋭のAウィングを操縦するモブリット。
「グレー・リーダー、準備よし。」
グレー中隊を率い、旧式のYウィングで戦うのは、ピクシスの副官、リコ。
「よし、Sフォイル戦闘ポジション。」
ベルトルトが合図を出し、XウィングとBウィングが戦闘翼を開く。
いよいよ進撃の準備が整い、各自緊張の面持ちで操縦桿を握った。
「フォースとともにあらんことを。」
ホーム・ワンに乗り込み、戦闘の経過を見守るハンジが呟いた。
だが・・・・・・・・・・・・
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- 17 : 2016/01/20(水) 02:20:51 :
ミレニアム・ファルコンがシールドとは別の反応をキャッチした。
副操縦士であるニエン・ナンがサラスティーズ語でマルコに話しかける。
<妨害電波が出ているんだけど!?>
「なに、もう一度シールドの有無を確かめるんだ!」
もう一度、今度は妨害電波を遮断する装置を使って調べるニエン・ナン。
すると・・・・・・・・・・・・
<シールド、生きてます!>
「そんな、僕たちの奇襲攻撃が・・・・・・・・・・・・ばれてる?」
次の瞬間、マルコは全艦に通信を入れた。
「攻撃中止! シールドはまだ生きているッ!!」
『読み取れないです、本当ですか!?』
「妨害電波だ、ベルトルト! 全機反転せよッ!!」
ミレニアム・ファルコンを先頭に真っ直ぐ突っ込んでいたスターファイターが反転。
ホーム・ワンでも、艦橋からアクバー提督が命令を下した。
「回避行動を取れッ! グリーン中隊、セクターMV-7へ移動せよッ!!」
小回りが利かないなか、力任せに反転する反乱同盟軍大型戦艦。
すると・・・・・・・・・・・・
「提督! セクター47に敵艦隊ッ!!」
副官のカラマリアンが叫び、全てを悟ったアクバー提督が叫んだ。
「これは・・・・・・・・・・・・罠だッ!!」
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- 18 : 2016/01/20(水) 02:22:10 :
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反転していく反乱同盟軍艦隊、その先に・・・・・・・・・・・・
スーパー・スター・デストロイヤー<エグゼキューター>をはじめとした銀河帝国の大艦隊が出現した。
第5話
エンドアの戦い
「まずい、敵戦闘機が来るぞ!」
マルコが叫ぶと同時に、先陣を切る反乱軍のスターファイターへ、敵のTIEファイターやTIEインターセプターが雲霞の如く殺到した。
「物凄い大軍ですッ!!」
反乱軍のパイロットの一人がそう叫ぶ中、レーザーが雨あられの如く降り注ぎ、反乱軍のスターファイターはなす術もなく散開していく。
「攻撃速度に加速するんだ! 巡航艇から敵の攻撃を逸らしてくれッ!」
「了解! ゴールド・リーダー!」
マルコの命令に、ベルトルトが自ら囮となって敵の攻撃を引きつけていく。
__________皇帝の罠が、閉じた。
◇◇◇◇◇
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- 19 : 2016/01/20(水) 12:20:12 :
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「来るがいい、わが弟子よ。」
皇帝に誘われ、彼の背後にある窓から外を見ると、反乱同盟軍の艦隊が見えた。
ヴェイダーは皇帝を挟んで、エレンとは反対側から戦いの様子を覗いている。
帝国のスターファイターに迎撃され、次々と撃墜されていく反乱軍のスターファイター・・・・・・・・・・・・
正にこの世の地獄絵図が広がっていた。
「その目で確かめるがいい。反乱軍の蛆虫どもの哀れな最期をな。」
皇帝が嘲笑うように言い、エレンは皇帝の方を振り返る。
すると、エレンの目の中に、皇帝の肘掛けにおいてある彼自身のライトセイバーが飛び込んできた。
__________こいつさえ、駆逐すれば・・・・・・。
「これが・・・・・・・・・・・・欲しいのだろう?」
「!!」
エレンの怒りを感じ取った皇帝が語り掛けてくる。
「そなたの中で怒りが増殖しておる・・・・・・・・・・・・武器を取れ。使うのだ。私は丸腰だ。私を斬り捨てるがいい。怒りに身を任せるのだ。そなたは刻一刻と、私の僕となりつつある。」
「違うッ!」
__________怒りに呑まれてはいけない。
呑まれれば、ダークサイドへと誘われる。
それこそ、皇帝の思うつぼだ。
だが、皇帝は既に、エレンが怒りに呑まれつつあることを確信していた。
「逃れられぬぞ。それがそなたの運命だ。そなたは、父親のように、今や・・・・・・・・・・・・私のものだ。」
◇◇◇◇◇
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- 20 : 2016/01/20(水) 15:54:20 :
待ち伏せしていた帝国軍に捕えられてしまったジャンが裏口から外に出ると、そこには既に、帝国軍の精鋭部隊が展開していた。
外で待機していた工作部隊も、両手を頭につけさせられ、銃を向けられている。
森の奥には、二足歩行で歩く兵器――――――AT-STウォーカーの姿も見える。
http://overmental.com/wp-content/uploads/2015/08/TempestForceEndor-ROTJ.png
「くそ、罠だったのか・・・・・・・・・・・・。」
ようやく事態を察知したジャンが毒づくも、後の祭り。
後は、命令通り反乱軍を全員銃殺し、地上における戦いは終わりを告げる。
__________そのはずだった。
「お~いッ! こっちだよ~! ここまでお~いでッ!!」
向こうの小高い丘の茂みから、あの気弱なC-3POがなんと、帝国軍を挑発してきた。
「あいつを捕まえろ!」
ジャンとミカサがポカンとする中、士官の命令を受けたストーム・トルーパーたちがC-3POの元へと駆け寄っていく。
「これでよかったのかい、R2?」
さて、精一杯の勇気を振り絞ったC-3POは、木陰に隠れ、弱々しい声でR2に尋ねた。
すると、やすやすと彼らの周りをストーム・トルーパーたちが取り囲み、二体のドロイドは銃を向けられた。
「動くなッ!!」
「こ、降参ですッ!!」
銃を向けられたC-3POはあっさりと降参した。
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- 21 : 2016/01/20(水) 15:56:12 :
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アオ~~~ア~~~ッ!!
すると突然、ストーム・トルーパーたちの背後から、イーウォックたちが唸り声を上げて飛び掛かり、彼らを棍棒で殴って駆逐した。
予想外の出来事に、反乱軍と帝国軍双方が呆然とする。
「おいおい、どうなってんだ!?」
「ジャン! あの子を見て!」
ジャンが目を凝らすと、小さなウィケットが手を振っているのが見える。
危機を察したウィケットが、小さくも勇敢な戦士たちを連れて来たのだ。
森林の中に響く、角笛の音色・・・・・・・・・・・・。
すると、茂みという茂みから、イーウォックたちが出現。
小さな弓をめいいっぱい引き絞って、小さな矢を帝国軍めがけて放ってきた。
突然の攻撃に大混乱に陥る帝国軍。
「!! ミカサ!」
「分かってる!」
ジャンとミカサ、チューバッカが混乱に乗じてストーム・トルーパーたちに襲い掛かり、自分の武器を奪い返す。
自由の翼を背負った反乱軍の兵士たちが武器を取り戻し、或は武器を奪って戦い始める。
__________原始的なイーウォックたちの思わぬ参戦に、エンドアの戦いは、皇帝だに予想しえなかった方向へと転がり始めた。
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- 22 : 2016/01/20(水) 20:09:18 :
- えと、ダースヴェイダーじゃなくて、普通にダースベイダーだと思います…。
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- 23 : 2016/01/20(水) 20:12:08 :
- >>22
表記の揺れですね。
媒体によってはベイダーだったりヴェイダーだったりベーダーだったりします。
このssでは一貫して「ヴェイダー」で統一しています。
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- 24 : 2016/01/20(水) 21:42:08 :
武器を奪い返してから、ジャンとミカサは裏口のドアへと走った。
だが・・・・・・・・・・・・
「!! くそ、遅かったかッ!」
「ジャン! やるしかない!」
「俺の側から離れんな! いいな!?」
閉められてしまった裏口のドアの前で、ジャンとミカサは籠城戦を開始した。
裏口の脇にも工作部隊の兵士が数名身を隠し、茂みの中からレーザーを撃ってくるストーム・トルーパーたちとの戦闘になった。
最初の不意打ちから暫くして、帝国軍は体勢を立て直し始めた。
森の中へと消えていくイーウォックたちを撃ち殺し、極めて効率的に敵を駆逐していく。
数の上では劣っていたものの、帝国軍には最新鋭の兵器が多く備わっていた。
その為、最初の奇襲を凌がれると、イーウォックたちはたちまち劣勢となった。
特に、イーウォックたちにとって脅威となったのが、彼らが二足歩行の化け物と呼んでいたAT-ATウォーカーだった。
二機のターボレーザーを備えたこの恐るべき兵器は、森の中を蹂躙しては、次々とイーウォックたちを撃ち殺していく。
対して、イーウォックたちは様々なアイディアを駆使して、帝国のテクノロジーに対抗した。
例えば、イーウォックの一人は、グライダーに乗って空を飛び回り、上から落石を落として攻撃した。
http://www.starwars.jp/wiki/images/6/63/Hang_glider.jpg
この戦い方は、確かにストーム・トルーパーのような兵士たちには有効だった。
だが、堅い装甲を持つAT-STウォーカーの前には、完全に無力であった。
やがて、空を飛ぶ勇敢なイーウォックは翼を撃たれ、きりもみしながら地面に落下して命を落とした。
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- 25 : 2016/01/20(水) 21:42:55 :
地上でも進撃するAT-STウォーカーを止めようと、イーウォックたちが必死になって知恵を絞った。
例えば、並び立つ二本の木の木陰に隠れたイーウォックたちが、その間をAT-STウォーカーが通ろうとしたとき、足元めがけてロープを張った。
だが、AT-STウォーカーのパワーを止めることが出来るはずもなく、あえなく引き摺られる結果となった。
AT-STウォーカーの進撃を止められないイーウォックたち。
戦いは帝国軍優勢のまま進んでいった。
さて、ドアの前に籠城するジャンとミカサは、ドアを開けようと懸命だった。
だが・・・・・・・・・・・・
「ジャン、番号が変わってしまった!」
「だろうな、敵も馬鹿じゃねえ! 端子があるからR2を呼べ!」
「!! 分かった!」
暗号が変えられた以上、R2に端子からコンピュータに接続して開けてもらうしか方法はない。
ストーム・トルーパーたちが浴びせてくる銃弾の嵐の中、ミカサは通信機を片手に叫んだ。
「聞こえる、R2!? 今すぐドアを開けに裏口まで来てほしいッ!!」
裏口から離れた茂みの中で、R2が反応したような電子音を立てた。
「行く!? 行くってどこに!? 」
C-3POが驚くのも構わず、R2-D2は危険も顧みず、ミカサの待つ裏口に向かって進み始めた。
「待ちなさい! R2! 英雄を気取ってる場合じゃない! 戻って来い!!」
そう言いつつも、取り残されるのが怖いC-3POは必死になってR2を追いかけた。
-
- 26 : 2016/01/20(水) 21:44:20 :
-
__________AT-STの進撃が止められず、次々と殺されていくイーウォックたち。
続いてイーウォックたちは、村一番の罠づくりの名人、ロンバが設置した投石機でAT-STウォーカーに攻撃を仕掛ける。
だが、ガンッ、ガンッと音を立てて岩がぶつかっただけで、AT-STにダメージは与えられなかった。
ドゴォンッ!
ゴドォンッ!!
却って居場所を知られたイーウォックたちがAT-STのターボレーザーの砲撃を受け、散り散りになっていく。
AT-STのターボレーザーの威力たるやすさまじく、次々と爆発を引き起こしては、大木さえなぎ倒していった。
__________圧倒的なテクノロジーを有する帝国の優勢は、覆ることはなかった。
◇◇◇◇◇
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- 27 : 2016/01/20(水) 23:25:56 :
エンドアのはるか上空、デス・スターの目の前では、地上以上に凄惨な戦いが続いていた。
無数の敵のスターファイターに包囲され、反乱同盟軍のスターファイターは、地獄のような戦いを強いられていた。
『気を付けるんだ、ベルトルト! 上から三機来たぞ!』
マルコから通信が入り、ベルトルトは手に力を込めて操縦桿を握り直す。
「レッド3、レッド2、下がってッ!」
「了解ッ!」
部下を退避させると、ベルトルトは華麗な操縦テクニックを披露し、即座に三機を撃墜。
「隊長! 20度の方向からまた三機来ます!」
「左に旋回するんだ! 僕が隊長機をやる!」
別の方角から攻撃を仕掛けてくるTIEインターセプターの攻撃を躱し、隊長機をレーザーで駆逐。
背後から攻撃を仕掛けられるも、追撃を躱し続け、追ってきたTIEインターセプターは反乱同盟軍の大型戦艦に追突して爆発、炎上。
__________エレンから隊長を引き継いだベルトルトの技量は並でなく、隊を引っ張るだけの度量も持ち合わせるようになった。
4年前のヤヴィンの戦いでの悔しい思いが、ベルトルトをここまで成長させた。
今は亡き幼馴染みであるライナーの分も、ベルトルトは背負って戦っていた。
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- 28 : 2016/01/20(水) 23:27:44 :
「マルコ! 病院船に戦闘機が向かった! 撃墜してくれ!」
『分かった!』
三機のTIEインターセプターが反乱同盟軍の大型フリゲート艦である病院船に接近。
すると、その背後からミレニアム・ファルコンが接近して、即座に一機を撃墜した。
<圧力安定。>
「よし。」
マルコがトリガーを引き、放たれた光弾がインターセプターを撃墜。
そのままマルコはもう一機のインターセプターを追撃し、これを撃墜せしめた。
__________ジャンがきっとシールドを解除してくれる。
絶望的な状況の中で、この一筋の希望だけが、マルコの体を動かしていた。
さて、戦いながら、マルコはとあることに気が付いた。
「それにしても、スター・デストロイヤーは何をやってるんだ? 一向に攻撃してこないなんて。」
__________スターファイターばかりが攻撃を仕掛け来るばかりで、敵の巨大戦艦が一向に攻撃を仕掛けてこない・・・・・・・・・・・・。
戦いにおいては不自然とも思える敵の動きに、マルコは嫌な予感がぬぐえなかった。
◇◇◇◇◇
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- 29 : 2016/01/20(水) 23:28:30 :
エグゼキューターの艦橋では、逸る部下をトーマス提督が抑えていた。
「提督、攻撃を仕掛けないのですか?」
今すぐ攻撃するよう進言するナック将軍に対し、トーマス提督は冷静に答えた。
「皇帝陛下直々のご命令だ。何か策がおありらしい。現時点では敵の退路を断てとのことだ。」
◇◇◇◇◇
「見ての通りだ、我が若き弟子よ。そなたの友人たちは失敗した。」
さて、皇帝の玉座の間では、パルパティーン皇帝が遂に動き出そうとしていた。
「さて、それではこの要塞の恐るべき威力をこの目でとくと見届けるがいい。」
「!! まさか・・・・・・・・・・・・。」
事態に気が付いたエレンが動揺を隠せないなか、邪悪な声で皇帝はそう言うと、玉座の脇にある通信コムリンクのスイッチを入れた。
「いつでもいいぞ、司令官。」
-
- 30 : 2016/01/20(水) 23:30:20 :
-
皇帝の命令が、第二デス・スターの制御室へと伝わると、砲手たちがコンソールを操作し始めた。
デス・スターが恐れられる所以、銀河帝国が作り出した最悪の兵器。
「発射ッ!!」
モフ・フレーゲルが合図を出すと、要塞の中を、巨大な振動が駆け抜けた。
悪夢が再び訪れる・・・・・・・・・・・・
第二デス・スターの巨大な窪みから、惑星をも破壊するスーパー・レーザーが火を噴いた。
http://www.starwars.jp/wiki/images/f/f8/DeathStar2_Superlaser.jpg
レーザーは反乱同盟軍の大型戦艦に直撃。
砲撃された戦艦は、一撃で粉砕されて宇宙の塵と化してしまった。
「なっ!? 今のは・・・・・・・・・・・・デス・スターからか!? そんな・・・・・・・・・・・・敵の攻撃システムは完成していたのかッ!?」
大型戦艦が蒸発させられる様を目の当たりにしたマルコは、呆然となって呟いた。
それまで会議室の中で、戦いの推移を見守っていたハンジも立ちあがった。
「なんてこった・・・・・・・・・・・・ぐっ、パルパティーンめ。」
__________皇帝はわざと不正確な情報を流していた。
攻撃システムは未完成という情報すら、皇帝の罠だった。
情報に踊らされた反乱軍は、その時点ですでに敗北していた。
袋の中のネズミ。四面楚歌。
反乱軍は退路さえスター・デストロイヤーに断たれ、後はデス・スターによる破滅的な攻撃を待つばかりの状況。
ハンジの脳裏には23年前の光景・・・・・・・・・・・・銀河共和国が銀河帝国にとってかわった、その瞬間が蘇っていた。
『私たちの、負けだね・・・・・・いや、完敗だよ・・・・・・。』
__________あの時と同じく、もうどうすることもできないこの状況に、ハンジは一つの決断を下した。
「・・・・・・・・・・・・総員、直ちに撤退せよッ!!」
◇◇◇◇◇
-
- 31 : 2016/01/21(木) 00:06:19 :
- ハンジさん、元老院の仲間みんな失っちゃったんだよね…
-
- 32 : 2016/01/21(木) 00:16:01 :
- 辛い役どころですよね…。
志を同じくしたヒストリアやナイルを失って、それでも帝国と戦うことを止めない。
モスマ役にハンジさんを当てた理由はここらへんでしょうか。
-
- 33 : 2016/01/21(木) 20:08:24 :
ドゴオォオンッ!!
「イヤアアァアァァッ!!」
爆発に吹き飛ばされたイーウォックが断末魔の悲鳴を上げる。
戦況は帝国に傾いたままで、すでに多数のイーウォックたちが殺されてしまっている。
裏口の脇に籠城したジャンとミカサは、手を取り合って懸命に戦っていた。
周りの茂みから飛んでくるレーザーを躱しながら、お互いをかばい合うようにレーザーを放ち合う。
「くそ、数が多いな!」
「もうすぐ来るはず! 耐えなければ!」
「!! 危ないッ!!」
咄嗟にミカサを抱き寄せ、レーザーを放つジャン。
放たれたレーザーはストーム・トルーパーの顔面に直撃するも、倒木の向こうにいる他のストーム・トルーパーたちの攻撃は止むことはない。
と思われた次の瞬間、突然に攻撃がやんだ。
彼らの背後を突いたイーウォックたちにコテンパンにされたのだ。
「あいつら・・・・・・意外とやるな。」
ジャンが感心していると、遠くから聞き慣れた電子音が聞こえてきた。
-
- 34 : 2016/01/21(木) 20:08:54 :
-
「!! R2、3PO、待ちくたびれたぞッ!!」
「ただいま参ります!」
R2の後ろをC-3POが叫びながら、弾丸飛び交う中を歩いてくる。
「よし、こっちだ! R2ッ!!」
ジャンがR2を招き入れ、端子の前へと案内する。
R2は体から端子を出してコンピュータへと接続、扉のロックを解除し始めた。
「頑張れッ! R2ッ!!」
C-3POが励まし、敵味方の銃弾が飛び交う中、必死にロックを解除しようとするR2。
だが・・・・・・・・・・・・
ドゴオォオンッ!!
ウワアァアァアァァァォッ!!
ストーム・トルーパーの放った銃弾が、R2の端子に直撃。
悲鳴のような電子音を立ててR2は反対側の壁へと叩きつけられた。
-
- 35 : 2016/01/21(木) 20:09:25 :
-
「!! しまったッ!!」
R2を撃ったストーム・トルーパーをジャンが駆逐するも時すでに遅し。
R2はショートして体から火花を散らし、様々なギミックが全て飛び出してしまった。
http://www.dvdactive.com/images/editorial/screenshot/2011/9/r21983.jpg
「カッコつけるからだよぅ・・・・・・。」
C-3POが心配そうに声をかけると、クゥンと弱ったような電子音をR2は立てた。
さて、頼みのR2が故障してしまい、遂に万事休すかと思われた。
が、ジャンの頭に、この危機的状況を乗り切るためのアイディアが閃いた。
「ミカサ・・・・・・・・・・・・回路を故障させりゃドアは開くよな?」
「!? どういうこと!?」
「R2の仕掛けが全部開いたみたいに、故障させりゃドアが開くかもしれねえ!」
「全く・・・・・・・・・・・・援護する。」
ミカサは少し呆れたが、他に乗り切る方法もない。
ジャンが扉のコンソールをぶっ壊して配線をいじり始め、ミカサが彼を守るように銃を撃ち始めた。
-
- 36 : 2016/01/21(木) 20:25:54 :
-
__________恐るべきAT-STの進撃は、幾多の悲劇を生みだした。
この二足歩行の怪物に対抗するための罠を設置したイーウォックのロンバは、親友のナンタと降り注ぐ砲弾の雨から逃げ惑っていた。
ドゴオォオンッ!!
二人の近くでAT-STウォーカーの砲弾が着弾して爆発。
二人は勢いよく投げ出された。
ややあってロンバは、まだ耳鳴りがする中、ゆっくりと起き上がった。
それから、後ろに倒れたままのナンタを揺さぶった。
・・・・・・・・・・・・返事がない。
親友は、既に息絶えて、もう二度と目を開けることはなかった。
最も親しかったナンタの死に直面し、ロンバは何度も、ナンタの体を揺さぶった。
・・・・・・・・・・・・返事がない。
もう、返事をすることは、ない。
__________悲しみに沈んだロンバは、ナンタの亡骸に寄りかかり、体を震わせて涙を流した。
http://www.starwars.jp/wiki/images/e/e6/Nanta_Romba.jpg
◇◇◇◇◇
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- 37 : 2016/01/21(木) 20:56:49 :
第二デス・スターの誇る、巨大なスーパー・レーザーが、再び火を噴いた。
http://www.starwars.jp/wiki/images/7/75/HO_toast.jpg
巨大な爆音とともに反乱軍の大型戦艦が再び轟沈し、敗色濃厚な中、一人だけ希望を捨てず、通信機に訴える男がいた。
「そうですッ! 敵の中に・・・・・・・・・・・・スター・デストロイヤーの包囲網に突っ込むんですッ!!」
ハンジが撤退を命令し、アクバー提督が全艦に命令を告げる中、マルコ・ボットはただ一人、徹底抗戦を主張したのである。
勿論、ただ突っ込むだけではない――――――スター・デストロイヤーの中に混じれば、下手にスーパー・レーザーを撃てなくなるとの算段もマルコにはあった。
驚いたアクバー提督がマルコを嗜めるように通信に出た。
『それではこちらもただではすまんぞ!?』
「デス・スターを相手にするよりはマシです! 敵も何隻か道連れに出来ますよ!」
『冷静になるのだ、マルコ将軍! ここは撤退して再起を図ろう!』
「もう一度は無いんです! 提督ッ!!」
冷静に考えれば、アクバー提督の方が正しかったかもしれない。
だが、マルコには、この戦いで反乱同盟軍が敗北すれば、もう再起することの不可能だということを悟っていた。
ややあって、二人の言い分を聞いていたハンジが通信に出た。
『・・・・・・・・・・・・アクバー提督、マルコ将軍。スター・デストロイヤーの包囲網の中への突入を命ずる。』
「『!!』」
『マルコの言う通りだ・・・・・・・・・・・・私たちに、もう一度はない。これを・・・・・・・・・・・・最後の戦いにするッ!』
-
- 38 : 2016/01/21(木) 20:58:15 :
ハンジが突撃の命令を下し、戦いは続行されることになった。
ややあって、今度はアクバー提督が通信に出た。
『・・・・・・・・・・・・マルコ将軍。我々はこれより、スター・デストロイヤーの包囲網へと突撃する! 全艦に告ぐ! 心臓を捧げよッ!!』
__________こうして、マルコ将軍は、丁半なかば、一世一代の大博打に打って出た。
皇帝の目論み通り、反乱同盟軍艦隊は、銀河帝国の誇る大艦隊の中へと飛び込んでいった。
そして、戦艦に近づいた多くのスターファイターが、スター・デストロイヤーの激しい砲撃に晒されて、散っていった。
◇◇◇◇◇
-
- 39 : 2016/01/21(木) 21:48:40 :
-
皇帝の玉座の間という最悪の特等席から、反乱同盟軍艦隊が絶望的な攻撃を仕掛けるさまを、エレンは見つめていた。
次から次へと散っていくスターファイター・・・・・・・・・・・・
エレンはいよいよ、焦燥に駆られてきた。
「反乱同盟軍の負けだ。エンドアの月にいるそなたの友人たちも、無事ではあるまい。逃げ道は無いぞ、我が若き弟子よ。」
エレンの焦燥を感じ取った皇帝が、煽り立てるように言葉を浴びせる。
「反乱同盟軍は壊滅する・・・・・・・・・・・・そなたの友人もろともな。」
__________この男、俺の仲間を、どこまで・・・・・・・・・・・・
エレンの焦燥は、間もなく皇帝に対する怒りへとすり替わった。
その怒りを感じ取った皇帝は、満足そうな声を上げた。
「いいぞ・・・・・・・・・・・・そなたの怒りを感じる。私は無防備だ、武器を取れ! 全ての怒りを込めて私を討ち滅ぼして見せろッ!
そうすれば貴様はダークサイドへと入ることが出来るのだッ! さぁ早くせいッ!!」
目を見開き、口角を上げて皇帝はエレンを焚き付けた。
-
- 40 : 2016/01/21(木) 21:49:36 :
-
ぐっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
くそぉ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・駆逐・・・・・・してやるッ!!
遂に焚き付けられたエレンは次の瞬間、皇帝の玉座に向けて手を伸ばした。
肘掛けにあったライトセイバーが彼の手元に呼び寄せられ、エレンはライトセイバーを起動した。
ビュウウンッ!
緑の光刃がエレンの手から飛び出し、皇帝目がけてライトセイバーを振り下ろす。
バチィッ!!
その刃は、しかし、ヴェイダーの赤い光刃が受け止めた。
「はっはっはっはっはっはっ!!」
皇帝が邪悪な高笑いを響かせる中、ヴェイダーは猛然としてエレンに斬りかかった。
__________父親 と息子 。
ダークサイドとライトサイド。
シスとジェダイ。
五千年もの間続いてきた、長きにわたる抗争。
運命は再び、二人を戦いへと結びつけた。
皇帝の御前において、悲劇の戦いは、再び幕を開けた。
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- 41 : 2016/01/21(木) 21:51:04 :
- 以上で、第5話が終了になります。
次回でいよいよ、エピソードⅥ、ジェダイの帰還が完結いたします。
よろしくお願い致します<m(__)m>
-
- 42 : 2016/01/27(水) 23:56:46 :
- 面白かったです。早く続編が見たいと思いました。
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- 43 : 2016/01/28(木) 04:23:56 :
- >>42
ベーダー卿、コメントありがとうございます!
続きもありますので、ぜひご覧ください<m(__)m>
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