この作品は執筆を終了しています。
エレン「エピソードⅥ」 ヴェイダー「ジェダイの帰還」 ⑥ 進撃×スター・ウォーズ
-
- 1 : 2016/01/22(金) 00:06:36 :
-
__________AT-STウォーカーの進撃は、止まらない。
散り散りになって逃げていくイーウォックを追って、ターボレーザーで撃っては駆逐していく。
そんな中、森林の中で戦っていたチューバッカと二人のイーウォック――――――ウィドルとワンカが、一機のAT-STウォーカーに目を付けた。
この二人のイーウォック、村ではトラブルメーカーとして知られる迷コンビである。
http://www.cineol.net/~izan/Erroramas/S/SWepisodeVI/bandolera01.jpg
さて、トラブルメーカーとウーキーはごにょごにょと示し合わせた後、見つからないようにこっそりと移動し始めた。
ゆっくりと、気付かれないように木に登り、そして・・・・・・・・・・・・
ウ~~~~ウゥ~~~~~ッ!!
まるでターザンの如く叫びながら空中を移動すると、三人はAT-STウォーカーの頭の上へと降り立った。
-
- 2 : 2016/01/22(金) 00:07:37 :
-
二人乗りになっているAT-STウォーカーのコクピット内に、ガコンという音が響き渡る。
すると、空いている二つの窓の右側から、ウィリックが中を覗いてきた。
「!! オイッ!」
「片付けろッ!!」
操縦していた士官たちは、たかがイーウォック一匹と侮り、迂闊にもコクピットのハッチを開けた。
その途端、屈強な体を持つチューバッカに肩を掴まれ、
一人の士官がAT-STの機体の上から地面へと放り投げられた。
「うわあぁあぁぁぁッ!!」
投げられた士官は哀れにも、地面に激突して絶命した。
コクピットにいる中の士官ももれなく、入ってきた二人のイーウォックによってフルボッコにされた。
__________こうして、帝国が誇るAT-STウォーカーのうちの一機を、チューバッカと二人のイーウォックが乗っ取ったのである。
-
- 3 : 2016/01/22(金) 00:10:23 :
AT-STウォーカーが、強力なターボレーザーでもって、イーウォックたちを撃ち殺していく。
だが・・・・・・・・・・・・
その背後から、突如として別のAT-STウォーカーが攻撃を仕掛けてきた。
ドゴォンッ!!
背後から攻撃され、AT-STウォーカーは爆発、炎上――――――突然の奇襲に帝国は浮足立ち、イーウォックたちは歓声を上げた。
チューバッカとイーウォックたちが乗っ取ったAT-STウォーカーが、帝国軍のストーム・トルーパーを駆逐していく。
爆発音がして閃光が走り、地面に展開していたストーム・トルーパーたちが吹き飛ばされる。
一転して追われる立場になったストーム・トルーパーたちは、散り散りになって逃走していく。
操縦席にいるチューバッカは上機嫌でイーウォックたちと一緒に帝国軍を駆逐していった。
-
- 4 : 2016/01/22(金) 00:11:27 :
戦況は完全に逆転した―――――――――浮足立った帝国軍に、イーウォックたちの逆襲が始まる。
ターゲットは森の中を高速で進んでいくスカウト・トルーパーのスピーダーバイク。
そのうちの一機に、イーウォックの一人が、大木に繋がっている縄を投げた。
縄はバイクの先端に絡まり、バイクは大木の周りをぐるぐると廻った。
「わああぁあぁぁッ!!」
悲鳴を上げるスカウトを乗せて、バイクは大木に激突して爆発。
更に、イーウォックたちはスカウト・トルーパーたちに対して、もっとえげつない罠を用意していた。
猛烈なスピードで走るスピーダーバイクの進行方向に、イーウォックたちはロープを張って待ち構えていたのだ。
「げふっ!?」
首の高さにロープを張られ、スカウト・トルーパーは体をロープに持っていかれた。
__________次々と罠が嵌まり始め、最新のテクノロジーで武装しているはずの帝国軍が駆逐されていく。
帝国軍は総崩れになり、絶望的なまでの優位を、あっけなく切り崩されてしまった。
-
- 5 : 2016/01/22(金) 00:13:20 :
残る脅威はAT-STウォーカーであるが、ここにおいて親友を殺されたロンバが、用意していた秘策に打って出た。
逃げていくイーウォックたちを追撃するAT-STウォーカー。
機体が丁度とある木と木の間を通りかかった時、その罠は発動した。
両脇から吊るしていた丸太を、まるでプレスするかのように上から斜め下へと落としのだ。
ベコッ!!
二本の丸太はAT-STウォーカーのコクピットを両脇から押しつぶした。
更に・・・・・・・・・・・・
ロンバが木の上から合図を出し、斜面の下を通りかかったAT-STウォーカー目がけて、丸太を何本も転がした。
転がってきた丸太に足元を掬われたAT-STウォーカーは、横転して爆発、炎上した。
__________親友を殺されたロンバの執念が、帝国の大型兵器を上回ったのである。
-
- 6 : 2016/01/22(金) 00:14:40 :
さて、裏口で籠城していたジャンは、漸く使えそうな配線を見つけ出した。
「よし、この配線とこの配線をつなげば扉が開くぞ! 準備しろ、ミカサ!」
「分かった。」
そう言ってジャンは、その配線をつないだ。
この大切な局面において、
それも、最も大切なドアを開けるという役割を背負って、
__________ジャンはドアをもう一枚閉めるという渾身のギャグを披露した。
呆れてものも言えないミカサに対し、ジャンは気まずそうな顔で再び配線をいじり始めた。
丁度、その時だった・・・・・・・・・・・・
「あ゛ッ!!」
「!! ミカサッ!!」
一瞬の隙を突かれ、ミカサは右肩を被弾した。
撃たれたミカサは苦痛に顔を歪めて、ぐったりとした。
-
- 7 : 2016/01/22(金) 00:16:43 :
「大丈夫ですか!? ミカサ姫!?」
「大丈夫か!?」
「な、何とか・・・・・・・・・・・・。」
C-3POが軽いパニックになる中、しゃがみこんで、心配そうに声をかけるジャン。
すると・・・・・・・・・・・・
「動くなッ!!」
二人のストーム・トルーパーに背後を突かれ、ジャンは銃を突きつけられてしまった。
だが・・・・・・・・・・・・
こっそりとミカサが、ジャンの影に隠れて銃を構える。
今度はジャンが呆れた顔になり、ミカサに対してくすっと笑った。
「お前には敵わないな。」
「誉め言葉なの?」
「勿論だ・・・・・・・・・・・・後、お前に一言、愛してる。」
「ふふ・・・・・・・・・・・・知ってる。」
こんな形での告白だなんて、全くどうかしてる・・・・・・・・・・・・。
ミカサは呆れながらも、全くもってジャン・キルシュタインらしいと、心の中で微笑んでいた。
「ゆっくり手を上げろッ! 立てッ!!」
ジャンが命令に従って、ゆっくりと立ちあがる。
その隙をついて、ミカサが銃の引き金を引いた。
赤い光弾が一気に二発放たれ、ミカサはストーム・トルーパーを駆逐した。
-
- 8 : 2016/01/22(金) 00:18:48 :
-
「よし、これでもう大丈夫・・・・・・・・・・・・じゃないな。」
すると今度は、ジャンの目の前に、AT-STウォーカーが歩いてきた。
機体は裏口の目の前で止まると、ジャンとミカサ、二体のドロイドをゆっくりと見下ろした。
「下がってろ・・・・・・・・・。」
ジャンはミカサに裏口の影へ身を隠させると、自らは手を上げてAT-STウォーカーの前へと出た。
すると・・・・・・・・・・・・
ガコンッと音を立ててAT-STウォーカーのハッチが開き、中から見慣れた相棒が姿を現した。
「チューイ!?」
嬉しそうに驚くジャンに対し、チューバッカも嬉しそうな唸り声を上げた。
「ミカサが怪我を負ったんだ! すぐに降りてきてくれッ! いや待てッ!!」
ジャンはミカサを介抱しようと、チューバッカに降りてくるよう言ったのであるが、途中でその言葉を取り消した。
ジャンはミカサを見下ろすと、ニヒルな笑顔を浮かべてこう言った。
「名案が浮かんだんだ。お前ら、力を貸せ。」
◇◇◇◇◇
-
- 9 : 2016/01/22(金) 02:28:10 :
-
バチィッ!
バチバチィッ!!
皇帝の玉座の目の前で、緑と赤の光が交差、
眩い光を放ちながら火花を散らす。
エレンとヴェイダーは暫くの間、互角の勝負を繰り広げ、お互い一歩も引かずに激しい剣戟を演じた。
ヴェイダーは内心、焦りを感じていた。
一年前とは比較にならないほどの成長を目の当たりにし、徐々に押され始めているのを自覚した。
アルミンが、手を貸したとでも言うのか?
訳もなく押され、守勢にまわされるヴェイダー卿。
__________エレンは、この一年で劇的な成長を遂げた。
ライトセイバーの戦い方には、一定の形がある。
ほとんど独学で戦い方を身に付けたエレンの形は、二つの形の混交から成り立っていた。
エレンが防御に回る時、彼は防御に優れたフォーム3、ソレスの形を応用した。
これは、短期間ながらエレンの師匠であったアルミンが最も得意としたフォームである。
一方、攻撃に回る際のエレンは、フォーム5、シエンの形を使用した。
攻撃に優れたこの形は、父親であり宿敵でもあるヴェイダーから盗み取ったものであった。
戦いながら、ヴェイダーは、防御の形を使うエレンにアルミンの影を見出し、攻撃の形を使うエレンに自分自身の影を見ていた。
再びエレンが前へと踏み出し、シエンの形から鋭く重い一撃を繰り出してくる。
ヴェイダーは辛うじてこの斬撃を受け止めるものの、この次に来た攻撃までは防ぎきれなかった。
ドゴッ!
「がはぁッ!!」
エレンに蹴り飛ばされた暗黒卿は階段の上を一回転して転げ落ち、不様にも尻餅をついた。
-
- 10 : 2016/01/22(金) 02:39:07 :
-
「良いぞ、攻撃的な感情を使え。憎しみに身を委ねるのだ。」
戦いを玉座に座って眺めていた皇帝が満足そうに笑いながらエレンを煽ってくる。
するとエレンは、階段の下で立ち上がるヴェイダーを見下ろしながら、緑色の光刃をしまった。
息子を見上げながら、立ちあがったヴェイダーは無機質な声で呟いた。
「アルミンに・・・・・・・・・・・・良く鍛えられたな。」
一方のエレンは、悲しみに沈んだ表情で答える。
「僕は、父さんとは戦いたくないんだ。」
コツッ、コツッと音を立てながら、ヴェイダーはゆっくりと階段を昇ってくる。
エレンの横に並ぶと、怒ったような口調で、
「戦いの最中に構えを解くなッ! 愚か者ッ!!」
そう叫ぶと、再びヴェイダーはエレンに斬りかかった。
咄嗟にライトセイバーを起動し、ヴェイダーの斬撃を防ぎきるエレン。
それから剣を交えること数戟、鍔迫り合いになり、力と力での押し合いとなる。
力で少しずつエレンを押していくヴェイダー卿。
すると、エレンは剣を、まるで円を描くように振り回し、隙をついて飛びあがった。
そのままエレンは階段の脇にあるコンソールに着地。
逃がすまいとしたヴェイダーが刃を向けるとエレンはさらに飛びあがり、天井近くの足場へと着地した。
-
- 11 : 2016/01/22(金) 12:33:20 :
- 期待!!
-
- 12 : 2016/01/22(金) 13:14:52 :
- >>11
ご期待ありがとうございます!
いよいよクライマックスまで来ました。
直方さんには随分と励ましていただき、本当に感謝しております!
-
- 13 : 2016/01/22(金) 13:16:47 :
-
__________ヴェイダーの心の中では、再び、誰かがすすり泣くような声が聞こえていた。
俺は時々、聞こえてくるこの声に悩まされていた。
くっ、こんな時に・・・・・・・・・・・・「心が乱れているよ、父さん?」
「!!」
足場に乗ったエレンは、必死に、ヴェイダーの中に眠る良心に語り掛ける。
父親の頭の中の声が、彼自身を苦しめていることに、エレンは気が付いていた。
「父さんの中の善の心が、戦ってるんだ。」
「戦ってなど、いない。」
__________そんなはずなど、ない。
もう、エレン・イェーガーは死にきったのだ。
ヒストリアを、殺したあの日から。
全てを失った、あの日から・・・・・・・・・・・・。
「あなたはこの前も僕を殺せなかった。だから今回も僕も殺せるはずがない。」
「・・・・・・・・・・・・。」
一瞬の間、沈黙するヴェイダー。
次の瞬間には、しかし、ヴェイダーは再び鋼鉄の声で答えた。
「ダークサイドの力を見くびるな。お前がダークサイドに入らないというのなら、待っているのは死だけだッ!!」
しまいにはそう叫ぶと、ヴェイダーはエレン目がけてライトセイバーを投げた。
バチッ!!
目も眩むような火花を散らし、赤いライトセイバーはエレンの乗っている足場を切断。
「なっ!? うわぁあぁッ!!」
足場はそのまま下へとひしゃげ、乗っていたエレンは階段の下、暗い空間の中へと転げ落ちた。
「ふっふっふっふっふ・・・・・・・・・・・・良いぞ、実に良い。」
皇帝が玉座から立ち上がり、戦いの推移を満足そうに見届ける中、ヴェイダー卿は階段を降り、手元に再びライトセイバーを呼び寄せて、赤い光刃を起動する。
__________心の声に耳を塞ぎ、ヴェイダーは、闇の中へと入っていった。
◇◇◇◇◇
-
- 14 : 2016/01/22(金) 13:53:43 :
帝国軍艦隊と、反乱同盟軍艦隊の一大決戦は、佳境を迎えていた。
既に戦力の三割余りを喪失し、敗色濃厚・・・・・・・・・・・・
そんな中にあって、反乱同盟軍艦隊はなお、文字通り最後の一矢 になるまで戦う覚悟だった。
「気を付けるんだ! ポイント06から敵の中隊だッ!!」
『了解、ゴールド・リーダーッ!』
マルコが必死に指揮を執り、部下のゴールド中隊も一丸となってマルコの指揮のもとに戦う。
「いいぞ、レッド2、ナイスショットだ!」
『ありがとうございます!』
ベルトルトが部下を励まし、レッド中隊の部下もそんなベルトルトを慕って戦う。
帝国軍のスター・デストロイヤーと反乱軍のスタークルーザーがすれ違いざまに激しくレーザーを撃ち合い、
数秒間のうちにいくつもの眩い爆発が起こり、煙を上げ、或は轟沈していく。
モブリット率いるグリーン中隊も、
リコ率いるグレー中隊も、
反乱軍全体が一丸となって、数の上では圧倒的に勝る帝国軍を相手に、これ以上ないくらい善戦。
__________まさに戦いの渦中にあって、マルコは一言、念じるように呟いた。
「戦いのど真ん中だ・・・・・・・・・・・・頼むよ、ジャン。僕らを犬死させないでくれ。」
-
- 15 : 2016/01/22(金) 13:54:49 :
さて、地上のシールド発生装置の制御室では、待ちに待った通信が漸く入った。
『戦いは終わりました。反乱軍は総崩れになって森の中を逃走中です。追跡のため、援軍をお願います。』
__________やっと反乱軍のクズどもを片付けた。
通信を受けた士官たちは、一様ににやけて勝利を祝った。
「よし、三個中隊を出すぞ。裏口を開けろ。」
「はっ!」
暫くして、二重に閉じていた裏口のドアが開き、中から三個中隊が出てきた。
これから反乱軍の残党どもを駆逐してやる。
そう息巻いて、意気揚々と出てきた帝国軍の兵士たち。
その周りを取り囲んだのは、しかし、反乱軍の兵士たちと大勢のイーウォックだった。
「わりいなぁ、俺の変装はそんなに上手かったかよ?」
得意げに話すのは、帝国軍の士官に変装したジャンだった。
まんまと内側から裏口を開けさせたジャンは、そのまま爆弾を持って中へと入っていった。
__________銀河帝国の最新鋭のテクノロジーは、彼らに勝利をもたらさなかった。
原始的なイーウォックたちのちっぽけな勇気と尊い犠牲が、奇跡の大逆転を呼び寄せたのである。
◇◇◇◇◇
-
- 16 : 2016/01/22(金) 14:54:55 :
-
暗い暗い、黒瞑々とした闇の中で、一振りの赤い光刃が光を放つ。
階段下の暗い空間の中に入って、ヴェイダーはエレンへと語り掛けた。
「いつまでも隠れてはいられんぞ、エレン?」
「僕は・・・・・・・・・・・・戦いたくない。」
あくまでもエレンは父親との対決を避けたがり、闇の中へと姿を隠していた。
そんなエレンに対し、ヴェイダーはエレンを煽っていく。
「ダークサイドに身を委ねるのだ。それしかお前の仲間を救う方法はない。」
「・・・・・・・・・・・・。」
エレンを煽るにあたり、ヴェイダーは仲間を引き合いに出した。
大切なものを失うまいと、ダークサイドに落ちたのがヴェイダーであり、
息子であるエレンもまた、同じ運命。
俺たちは・・・・・・・・・・・・運命共同体、そう、
俺は、お前だ。
-
- 17 : 2016/01/22(金) 14:56:25 :
対してエレンは、固く心を閉ざした。
踏みとどまらなくてはいけない、
乗せられてはいけない、
乗るな、
ヴェイダーの、誘惑に・・・・・・・・・・・・。
「そうだ、お前こそ自分の心を偽っている。今も仲間のことを案じているのだろう。特に・・・・・・・・・・・・妹だとッ!?」
「!!」
心の奥底を見破られ、エレンは動揺した。
だが、それにもまして、ヴェイダーの動揺は大きかった。
「そうか・・・・・・・・・・・・俺には双子の妹がいたのか。心が乱れたせいで分かったぞ。アルミンめ・・・・・・・・・・・・俺から娘を隠すとは小賢しい真似を。だが、これで奴の目論みも潰えた。」
__________思慕と怨嗟。
愛憎入り混じる複雑な感情が、ヴェイダーの中で渦巻いた。
そして、ヴェイダーはこの感情を、エレンを煽り立てるのに利用した。
「エレン、お前がダークサイドに入らないのなら、代わりに妹を引きずり込むまでだ。」
「ふざけるなあぁあぁッ!!」
突如、闇の中から緑色の光刃が浮かび上がり、猛烈な勢いでヴェイダー卿に襲い掛かった。
目も眩むほどの怒りに呑まれ、エレンはその怒りを剥き出しにした。
-
- 18 : 2016/01/22(金) 14:57:19 :
・・・・・・・・・・・・駆逐・・・・・・シテヤルッ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・イヤ、殺スッ!!
激しい攻撃に晒され、一年前とは逆に、ヴェイダーは押されに押されまくって後退していく。
まるで、23年も前、若きヴェイダーがザックレー伯爵を追い詰めていったときのように。
ヴェイダーの防御は弾き飛ばされ、後退していくごとにエレンの斬撃は鋭さを増していく。
遂にリアクター・シャフトの側にまで追い詰められ、呼吸を乱したヴェイダーは足がもつれて仰向けに転倒。
何とかエレベーターへと続く手すりに左手で摑まるも、エレンは何度も光刃を打ち付け、ヴェイダーの防御を弾き、
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ザシュッ!
「ぐあぁあぁぁッ!!」
エレンの緑の光刃が、ヴェイダーの右手を切り落とした。
「ああぁ、あぐ・・・・・・・・・・・・。」
仰向けに崩れ落ちるヴェイダーの喉元に、エレンはライトセイバーの切先を突きつけた。
-
- 19 : 2016/01/22(金) 14:58:23 :
「はっはっはっはっはっは・・・・・・・・・・・・良いぞッ!!」
すると背後から、皇帝の笑い声が聞こえてきた。
エレンが振り返ると、皇帝は階段の上から満足そうな声で笑っている。
「憎しみがそなたに力を与えたのだ。さぁ、自分の運命を完結させるがいい。父を殺し、私に仕えるのだ。」
皇帝は、怒りに呑まれたエレンがダークサイドへと足を踏み入れたと確信していた。
そして、右腕を切り落とされ、機械の配線が剥き出しになったヴェイダーもまた、そう確信していた。
__________ここで、俺の役割は終わる。
23年前、俺が伯爵の首を刎ねたように・・・・・・・・・・・・エレンもまた、俺を殺す。
これが、エレンの最初の残忍な殺しになるのだ。
恐らくこれが、最後ではない・・・・・・・・・・・・。
ヴェイダーは静かに運命を受け入れ、黒いマスクの中で目を瞑った。
-
- 20 : 2016/01/22(金) 14:59:14 :
シュウウゥゥゥッ!
次にヴェイダーが聞いた音は、しかし、彼が首を刎ねられる音ではなかった。
「・・・・・・・・・・・・決して。」
エレンは光刃をおさめると、ライトセイバーを投げ捨てた。
「決して僕は、ダークサイドには入らない。あなたの負けです、陛下。」
再び目を開けたヴェイダーの双眸に映ったのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「僕は、ジェダイだ。かつて父さんが、そうだったように。」
__________かつての自分とは違う、ジェダイ・ナイト、エレン・イェーガーの凛とした姿だった。
すると、皇帝は怒りに歪んだ表情になり、ややあって、ぼそりと呟いた。
「よかろう、ジェダイ。」
◇◇◇◇◇
-
- 21 : 2016/01/22(金) 15:00:36 :
「走れッ!! 逃げろッ!!」
裏口から飛び出したジャンが一目散に走ってくる。
ジャンが地面の窪みへと飛び込んで振り返ったその瞬間――――――――巨大な地鳴りと共に、裏口から炎が噴き出した。
__________シールド発生装置の巨大なアンテナが炎に包まれ、巨大な火柱になって爆発した。
http://vignette4.wikia.nocookie.net/starwars/images/0/05/ShieldGeneratorBunkerDeath.png/revision/latest?cb=20130421043714
ホーム・ワンの艦橋において、レーダーが異常をキャッチした。
モニターを確認したアクバー提督が通信機に向かって叫んだ。
「デス・スターのシールドが消えたッ!主反応炉 へ向けて進撃せよッ!!」
通信を受けたマルコは歓びのあまり手を叩いた。
「待ってましたッ!! よし、レッド中隊、グリーン中隊は僕に続けッ!! ははははははッ!! ジャンがやってくれたんだッ!!」
__________一世一代の大博打は、大当たり。
ミレニアム・ファルコンを先頭に、戦闘機がデス・スターへ向けて突撃していく。
ここに来て、漸く反乱同盟軍艦隊の進撃が始まった。
◇◇◇◇◇
-
- 22 : 2016/01/22(金) 15:01:29 :
さて、ダークサイドに入ることを拒絶された皇帝は、エレンに対して怒りをあらわにした。
「ダークサイドに入らないのなら、貴様はここで死んでもらう。」
バチィッ!!
突き出された皇帝の両手から、突如、いかづちが放たれた。
「ぐあッ!!」
あまりにも不意に、それが放たれたため、防ぐ間もなくエレンはいかづちを喰らい、床へと倒れ込んだ。
「馬鹿な男だ。殺されなければ、分からないとはな。」
傷ついたヴェイダーが立ち上がる中、倒れ込んだエレンに向けて、皇帝は容赦なく電撃を浴びせていく。
このままでは・・・・・・殺られるッ!
何とか、攻撃を防がなくてはッ!!
そう思ったエレンは皇帝と同じように両手を突き出した。
初めのうちは、皇帝の電撃を両手で何とか逸らすことが出来ていた。
しかし・・・・・・・・・・・・
「貴様の未熟な技など、ダークサイドの力の前には通用せんわッ!」
「ぐあぁあッ!!」
威力を増した皇帝のいかづちが、エレンの防御を弾き飛ばした。
「愚かさの代償は、高くついたものよッ!」
しかも、電撃はますます強くなっていく。
-
- 23 : 2016/01/22(金) 15:02:12 :
皇帝は階段を降りて次第にエレンに近づき、至近距離から電撃を浴びせてエレンをいたぶり始めた。
苦痛に耐えず、エレンが悲鳴を上げてもがき苦しむさまを、ヴェイダーは皇帝の側で眺めていた。
__________かつて、皇帝の電撃をライトセイバーで防いだマスター・リヴァイを眺めていた時のように。
「ぐう、あぁぁ、があぁあぁぁあぁぁぁッ!!」
皇帝は、まだ本気ではない・・・・・・・・・・・・。
一思いに殺すことをせず、じわじわと痛めに痛めつけてから、殺すのだ。
エレンは結局、ダークサイドには入らなかった。
ならば我らにとって、障害でしかない。
こうなるのも、仕方がない。
これが、エレン・イェーガーの・・・・・・・・・・・・運命だ。
__________本当にそうなのだろうか?
ヴェイダーの心の中で、常に悲しい声を上げ続ける何かが疼く。
俺は今まで、多くの大切なものを失ってきた。
母さん、
ヒストリア、
アルミン、
皆みんな、俺が心から愛おしいと思ったものばかりだ。
・・・・・・・・・・・・愛おしい?
-
- 24 : 2016/01/22(金) 15:04:22 :
すると、皇帝が電撃を止め、エレンを見下ろした。
「さぁ、若きイェーガーよ・・・・・・・・・・・・貴様は死ぬのだ。」
そう言うと、皇帝はサディスティックな笑みを浮かべた。
ややあって、その表情は、怒りへとすり替わった。
「や゛ッ!!」
「う゛あぁああぁああぁああぁぁああああぁあぁぁぁッ!!」
皇帝は遂に本気の電撃を浴びせ始めた。
激痛がエレンの体を駆け巡り、エレンはゆっくりと死へ近づいて行く。
エレンが・・・・・・・・・・・・死ぬ?
そうだ、死ぬのがエレンの運命なのだ。
運命に従い、エレンは・・・・・・・・・・・・死ぬ・・・・・・・・・・・・
ヴェイダーは本気の電撃でエレンを殺しにかかる皇帝の、怒りと狂気を孕んだ表情を見つめ、
それから、電撃に苦しみ、死に行くエレンを見つめた。
-
- 25 : 2016/01/22(金) 15:06:16 :
死ぬ、しぬ、しぬ・・・・・・・・・・・・シヌ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヴェイダーの心の中の声が、叫び声へと変わった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・めろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・止めろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「止めろおぉおおぉぉぉぉおぉぉぉッ!!」
心の叫びが、言葉となって、ヴェイダーを突き動かした。
そして、漸く自分の心を取り戻したエレン・イェーガーは、皇帝を背後から掴むと、高々と彼を持ち上げた。
「!! ああああぁああぁああぁああぁぁぁぁッ!!」
持ち上げられた皇帝は悲鳴を上げ、両手からあらん限りの力で電撃を放ち、必死に抵抗した。
邪悪な電流が、エレンの体を駆け巡り、エレンは悲鳴を上げた。
-
- 26 : 2016/01/22(金) 15:07:28 :
「ぐぅ・・・・・・があぁッ!!」
エレンの体を、想像を絶する激痛が這いずり回る。
あまりの電撃の強さに、生命維持装置が音を立てて壊れていく。
体が・・・・・・・・・・・・ぐちゃぐちゃに、なりそうだ・・・・・・。
ダメだ・・・・・・・・・・・・
俺の体は、もう・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「!!」
すると、フッと誰かに、背中を押された気がした。
エレンの耳に、かつて聞き馴染んだ声が聞こえてきた。
<いけえぇぇぇぇッ、エレェェンッ!!>
__________ずっと、側にいてくれていたんだ。
こんな俺になっても、あなたは俺を、見ていてくれたんだ。
・・・・・・・・・・・・ありがとう、アルミン。
ごめんな。
「ぐおおおぉおおおああぁあぁあぁぁぁぁッ!!」
かけがえのない親友に背中を押され、渾身の力を込めて、エレンは皇帝をリアクター・シャフトへと投げ落とした。
「ぬあああぁあぁああぁああぁあぁあぁぁぁぁぁッ!!」
電撃を両手から放ったまま、皇帝は悲鳴を上げてリアクター・シャフトを落ちていき・・・・・・・・・・・・・・・・・・
http://i.stack.imgur.com/Tnfpp.jpg
底に流れるエネルギーに突っ込んで爆散した。
http://vignette3.wikia.nocookie.net/starwars/images/b/b0/Forcestorm.png/revision/latest?cb=20130421044320
-
- 27 : 2016/01/22(金) 15:08:23 :
-
強大なダークサイドの嵐が巻き起こり、青い炎が拡散していき・・・・・・・・・・・・
やがて、静かになった。
__________シスの暗黒卿ダース・シディアス、銀河帝国皇帝シーヴ・パルパティーンは、かくして、永久に滅び去った。
ヒュー・・・・・・
ヒュー・・・・・・
全ての力を使い果たしたエレン・イェーガーは、弱々しい呼吸音と共にぐったりとくずおれた。
「父さん・・・・・・。」
かけがえのない息子が、エレンを初めて、大切そうに介抱する。
起き上がることもままならず、抱きかかえられた膝の上で、傷ついたエレンは、弱々しい息を吐いて、ぐったりとなった。
◇◇◇◇◇
-
- 28 : 2016/01/22(金) 17:20:32 :
-
嵐のようなレーザー飛び交うデス・スターの地表すれすれを、反乱軍のスターファイターが猛スピードで駆け抜けていく。
繊細な操縦テクニックで巧みにレーザーを躱していき、戦闘機は、漸く目的地へと辿り着いた。
「突入する!」
ベルトルトの操縦するXウィングが先陣を切って、デス・スター内部の通路へと突入する。
<突入だッ!>
「いよいよだ、覚悟を決めようッ!!」
続いてマルコのミレニアム・ファルコンが突入し、AウィングやYウィング、Xウィングがそれぞれ続いた。
彼らに続いて、帝国のTIEファイターやTIEインターセプターが追撃してくる。
「強力なエネルギー波をキャッチした。恐らくそこが主反応炉 だ。」
「一列になって飛ぶんだ。通路は狭いぞ。はみ出して激突しないように注意してッ!」
マルコとベルトルトが交互に注意を出し、トップスピードでパイプの張り巡らされた通路を駆け抜けていく。
すると、後続のTIEファイターが壁に接触、きりもみして何回か壁にぶつかり、爆発した。
さて、反乱軍を追いかける帝国軍のパイロットは冷静に、前を行くスターファイターに狙いを定めていた。
TIEファイターの一機が標準を合わせ、レーザーを放つ。
レーザーはXウィングに命中。
「ぐああぁあぁぁッ!!」
狭い通路の中で、撃たれたXウィングは宇宙の塵と化した。
-
- 29 : 2016/01/22(金) 17:21:16 :
__________このままたくさんのTIEファイターに追われるのは得策じゃない。
そう考えたマルコは通信機に向かって命令を下した。
「後続のスターファイターは反転して地表を目指してくれ。敵を少しでも多く引きつけるんだ!」
『了解! ゴールド・リーダー!』
マルコの命を受け、分かれ道から地表を目指し始めるAウィングやYウィング。
マルコの目論み通り、敵の多くはそちらに引きつけられたものの、主反応炉 を目指すベルトルトとマルコに、二機のTIEインターセプターがついてきた。
すると、副操縦士のニエン・ナンが声を上げた。
<うわぁっ!! ぶつかるッ!!>
ドゴオォンッ!!
ミレニアム・ファルコンに衝撃が走り、丸いアンテナが吹き飛んでいく。
極端に狭い通路を力技で切り抜け、マルコは冷や汗を流しながら呟いた。
「き、きわどかった・・・・・・・・・・・・。」
傷一つつけずに帰すなんてもう最初から不可能に決まってる。
マルコはそう居直って最深部――――――――主反応炉 を目指し続けた。
-
- 30 : 2016/01/22(金) 17:41:04 :
-
__________デス・スターの地表では、反乱同盟軍艦隊のスタークルーザーと、銀河帝国軍艦隊のスター・デストロイヤーの撃ち合いが起こっていた。
「突入したスターファイターのために時間を稼ぐのだ。あのスーパー・スター・デストロイヤーに集中砲火せよッ!!」
かつてミカサのタンティヴⅣを拿捕したデヴァステーターが轟沈する中、アクバー提督はホーム・ワンの艦橋から命令を下した。
スーパー・スター・デストロイヤー<エグゼキューター>の艦橋の上にあるドーム型のシールド発生装置に、反乱軍のスターファイターが集中砲火。
ドゴオォオンッ!!
プロトン魚雷によってドームが破壊され、エグゼキューターの艦橋が大きく揺れた。
「トーマス提督! 艦橋のシールドが消失しましたッ!!」
「前面の砲塔からの攻撃を強化せよ! 一隻たりとも通すなッ!!」
部下からの報告に対し、トーマスは命令を下した。
あくまで一人の軍人として、最後まで戦い抜く―――――――トーマス提督もナック将軍も覚悟の上で指揮をとり続けた。
丁度その時、艦橋を目指していたAウィングが砲塔に撃たれ、制御不能になった。
機体はきりもみしながら、真っ直ぐ、艦橋に向かって突っ込んでくる。
-
- 31 : 2016/01/22(金) 17:42:45 :
-
「!! トーマス・・・・・・・・・・・・どうやら、手遅れだ。」
「!!・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうか。」
長年一緒に戦ってきた二人の士官は、最後の瞬間を悟った。
次の瞬間、制御を失ったモブリットのAウィングがエグゼキューターの艦橋に特攻した。
__________ヴェイダーの旗艦であり、デス・スターを除けば帝国軍の最高戦力であるエグゼキューターから、火の手が上がった。
制御を失ったエグゼキューターは、デス・スターの地表めがけて、ゆっくりと墜落し始めた。
エグゼキューターが轟沈していく様を見たホーム・ワンの艦橋からは、歓声の上がった。
部下が喜びの声を上げる中、漸く反乱同盟軍の勝利を決定づけたアクバー提督は、大きくため息をつくと、ゆっくりと深く椅子に腰かけた。
__________エグゼキューターはデス・スターの地表に突き刺さり、大爆発を起こして炎にくるまれ、轟沈した。
◇◇◇◇◇
-
- 32 : 2016/01/22(金) 18:18:23 :
__________デス・スターの内部は、大混乱に陥っていた。
皇帝が死んだばかりか、主力戦艦が轟沈したのだ。
我先にと脱出ポッドに乗るものもいれば、最後まで戦うと喚き散らすものもいて、艦内は阿鼻叫喚に包まれていた。
シールドも失い、守るものが無くなったデス・スターの通路の中を、二人の人間が通っていく。
二メートルもの巨体を誇るヴェイダーを、エレンは肩で担いで必死に歩いていた。
漸くハンガーベイまで辿り着いたところでヴェイダーは倒れ、動けなくなったのをエレンは引き摺っていく。
やっとの思いでヴェイダーのシャトルまで辿り着き、ヴェイダーの上半身を起こすと、かすれた声で、エレンに呟いた。
「エレン・・・・・・・・・・・・この、マスクを・・・・・・取ってくれないか?」
「!! ダメだよ父さん。そんなことしたら・・・・・・・・・・・・。」
「気にするな・・・・・・・・・・・・俺はもう、助からない。だから、せめて・・・・・・一度だけでも、俺自身の目で、お前の顔が見たい。」
振り絞るようなヴェイダーの言葉に、エレンは頷くと、ゆっくりと、黒のマスクを外していった。
マスクの下から、重度の火傷により白く爛れた、エレン・イェーガーの素顔が現れた。
髪の毛も睫毛もなく、顔は傷だらけだけれど、その翡翠のような深緑の目は、間違いなく僕と同じ目をしていた。
-
- 33 : 2016/01/22(金) 18:20:20 :
自分自身の目で成長した息子を見たエレンは、満足そうにゆっくりと微笑むと、やがて弱々しく呟いた。
「さぁ、行くんだ、エレン・・・・・・・・・・・・俺を、置いて・・・・・・。」
「嫌だよ、父さん。僕が、父さんを救うんだ。」
「もう、救ってくれた・・・・・・・・・・・・お前の勝ちだ、エレン。俺には、善の心が、残っていた。
お前の、妹にも、そう・・・・・・伝えて、やって・・・・・・・・・・・・くれ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
今わの際、エレンの深緑の瞳に映ったのは、彼が大切にしていた人間たちであった。
母さん、
ヒストリア、
アルミン、
__________これで、良かったんだ。
本当に、守りたかったものを、俺は、やっと守れたのだから・・・・・・・・・・・・
ありがとう・・・・・・・・・・・・
エレン・・・・・・・・・・・・
「父さん・・・・・・・・・・・・僕は、あなたを置いてはいかないよ・・・・・・・・・・・・。」
息子は、父の亡骸の前で両手をついて、父親と同じ深緑の瞳から涙を流した。
__________漸く心を通わせた、最愛の息子に看取られて、
エレン・イェーガーは、その波乱に満ちた生涯に・・・・・・・・・・・・
静かな幕を、降ろしたのだった。
-
- 34 : 2016/01/22(金) 18:21:01 :
-
-
- 35 : 2016/01/23(土) 01:25:11 :
- エレンもだけど、ここに来てモブリット …
-
- 36 : 2016/01/23(土) 15:37:26 :
- >>35
コメントありがとうございます。
お気に入りのキャラが退場されるのは、やっぱりどのSSでも辛いですよね。
-
- 37 : 2016/01/23(土) 15:38:01 :
最深部を目指して進撃を続けていたベルトルトとマルコは、遂に狭い通路を抜けて、広い空間へと出た。
「マルコ、あれが・・・・・・・・・・・・主反応炉 だ!」
__________彼らは遂に、主反応炉 へと到着した。
http://vignette3.wikia.nocookie.net/starwars/images/b/be/DeathStar2Core.png/revision/latest?cb=20130421050155
「よし、ベルトルト、君は北側タワーのパワー・レギュレーターを狙え!」
「了解! すでに向かっています!」
__________やっとここまで来れたよ、エレン、ライナー・・・・・・・・・・・・
僕もやっと、君たちと肩を並べられたかな。
ベルトルトは手に力を籠め、ミサイルのトリガーを引いた。
バシュウッ!
放たれた二発のプロトン魚雷は、パワー・レギュレーターに正確に命中。
レギュレーターが炎を吹きあげ始めた。
続いて、ミレニアム・ファルコンが振盪ミサイルを二発、主反応炉 の先端へと発射。
ドゴオォオンッ!!
目も眩むような火花を散らし、主反応炉 から膨大なエネルギーが放たれる。
後ろからついてきたTIEインターセプターの一機がエネルギーに巻き込まれて爆発する中、主反応炉 から遠ざかるミレニアム・ファルコン。
そして・・・・・・・・・・・・
__________エネルギーの支えを失った主反応炉 が下へと落下し、巨大な炎を上げて大爆発した。
-
- 38 : 2016/01/23(土) 15:58:27 :
-
「全艦! デス・スターより至急退避せよッ!!」
アクバー提督は、崩壊していくデス・スターの周りを固めていた戦艦に退避命令を発した。
__________デス・スターの内部が、炎に包まれていく。
ハンガーベイでは、吹きあげ始めた炎の中を、一機のシャトルがゆっくりと離陸。
「帰ろう・・・・・・父さん、皆の元へ・・・・・・・・・・・・。」
炎に巻き込まれる直前、父親の亡骸を乗せたシャトルがハンガーベイから飛び出した。
続いて、狭い通路の中から、ベルトルトを乗せたXウィングが宇宙空間へと飛び出していく。
ミレニアム・ファルコンの背後から、炎が迫ってくる。
https://static-ssl.businessinsider.com/image/5673f88cdd089539748b45f6-960-720/another-superfan-named-gary-m-sarli-who-is-not-a-physicist-closely-analyzed-the-death-stars-explosion.jpg
後に続いていたTIEインターセプターを飲み込んだ炎が迫る中、
遥か先に見える出口に向かって全速力で駆け抜けて、
そして・・・・・・・・・・・・
爆風と共に狭い出口から、ミレニアム・ファルコンが宇宙空間へと飛び出した。
「いやっほおおおおうッ!!」
脱出を果たした瞬間、マルコは思い切り快哉を叫んだ。
__________第二デス・スターは、超新星のような光を放ち、大爆発―――――――初代デス・スターと同じ運命を辿った。
http://vignette2.wikia.nocookie.net/starwars/images/f/f1/Death-star-explosion.jpg/revision/latest?cb=20100320153516&path-prefix=nl
-
- 39 : 2016/01/23(土) 19:59:52 :
その眩い光は、地上からも確認できた。
第二デス・スターが爆発した瞬間、地上もまた歓喜に沸いた。
「終わったな・・・・・・。」
「そうね・・・・・・。」
反乱軍とイーウォックたちが歓喜に沸くなか、ミカサはジャンに手当てを受けていた。
爆発を見上げていたジャンは、少し心配になってミカサに尋ねた。
「まさかとは思うが・・・・・・死に急ぎの奴、あの爆発に巻き込まれちゃいねえだろうな。」
「いえ、エレンは生きてる・・・・・・・・・・・・感じるの。」
空を眺めて、独り言のように呟くミカサ。
ジャンは、以前からずっと心に引っかかってきたことをミカサに尋ねた。
「お前・・・・・・・・・・・・エレンを愛してるな?」
「ジャン?」
「そうなんだろ?」
「ええ、愛してる。」
__________そう、だよな。
これが・・・・・・・・・・・・本音だよな。
ジャンは途端に無表情になって、淡々とこんなことを言い始めた。
「そうか・・・・・・・・・・・・分かった、いいさ・・・・・・。俺はもう、お前たちの邪魔はしない。」
するとミカサは、少し呆れた様な、だがどこか微笑ましいといった感じでジャンに話しかけた。
「そうじゃない・・・・・・・・・・・・エレンは、私の、兄さんなの。」
狐につままれたような顔をするジャンに、ミカサは微笑んでキスをした。
お互いに微笑み合い、もう一度キスをする。
二人を祝福するように、森の中に、イーウォックの勝利の角笛が響き渡る。
__________小さなすれ違いもなくなり、素直になった二人はやっと、結ばれた。
-
- 40 : 2016/01/23(土) 20:00:13 :
-
- 41 : 2016/01/23(土) 20:01:52 :
-
すっかり日の暮れたエンドアの森の中。
エレンは一人、薪木を高く積み上げていた。
堆く積まれた薪の上に、エレンはそっと、父親の亡骸を横たえる。
「・・・・・・・・・・・・ありがとう、父さん・・・・・・。」
怒りを忘れたわけではない。
してきたことを、忘れたわけではない。
口を突いて出たのは、しかし、感謝の言葉であった。
手に持った松明を近づけると、瞬く間に薪木は燃え上がり、父親の亡骸を炎で包み込んだ。
火の粉が空へと舞い上がり、父親がフォースと一体になっていく・・・・・・・・・・・・
__________空を見上げると、戦勝祝いの花火がうち上がっては散っていく。
勝利の宴が始まったことを知ったエレンは、しかし、炎が消えて煙が空に昇っていくまで、ずっとここに佇んでいた。
-
- 42 : 2016/01/23(土) 20:02:19 :
-
__________銀河中の至る所で、反乱軍の勝利が祝われた。
帝国軍に占領されたベスピン―――――――マルコのクラウド・シティや、辺境の惑星、タトゥイーンの住民さえ、外に出ては飛び跳ねて、躍り上がっては勝利を祝った。
http://www.starwars.jp/wiki/images/e/ed/Cloud_Cuty_Celebration.jpg
http://www.starwars.jp/wiki/images/a/a2/Tatooine_celebration.jpg
更には、皇帝の地元であるはずのナブーでさえ、皇帝の死は祝われた。
http://www.starwars.jp/wiki/images/a/a6/Theed_ROJ.jpg
「なぁ、ヒストリア・・・・・・・・・・・・やっとだ。やっと・・・・・・終わったぞ。」
勝利の喧騒から離れた、ヒストリアの墓標の前で、今や年配の女性となったユミルは、静かに呟いた。
一番大きな騒ぎになったのは、銀河帝国の首都惑星であるコルサントであった。
インペリアル・シティの広場に住民が集まり、喜び勇んだ彼らによって、皇帝の像は引き倒された。
http://www.starwars.jp/wiki/images/8/83/Imperial_City.jpg
-
- 43 : 2016/01/23(土) 20:03:20 :
-
__________聖なる森の月、エンドアでも、追悼を兼ねた祝勝会が盛大に開かれた。
広場という広場にはキャンプファイアーの炎が点され、反乱同盟軍の兵士たちとイーウォックたちが一緒になって戦いの勝利を祝った。
http://www.starwars.jp/wiki/images/8/89/Bright_Tree_Village_celebration.jpg
__________華々しい宴の中で、別々の場所で戦ってきた反乱軍の英雄たちが、一堂に集う。
ジャンとマルコが互いの健闘をたたえ合い、
マルコとチューバッカが互いにしっかりと抱きしめあう。
マルコが得意げに戦闘機での活躍を話せば、ジャンは少し気まずそうに地上での戦闘を語り出す。
そして、いよいよ宴もたけなわになった時、エレンがみんなのところに戻ってきた。
駆け寄ったミカサをしっかりと抱きしめるエレン。
それからエレンはジャンに近寄り、固く抱きしめあって周りを驚かせる。
幼馴染みのベルトルトとも抱き合い、マルコとも抱き合って、勝利の喜びを分かち合うエレン。
ジャンがミカサを愛おしそうに抱きしめ、
戦いに参加した皆が勝利に酔いしれて舞い上がっている。
-
- 44 : 2016/01/23(土) 20:08:07 :
そんな中、エレンはふと、遠くを見やった。
そこには、
僕をジェダイの道へと導いてくれたアルミン、
僕に強い心のありかたを教えてくれたヨーダ、
そして・・・・・・・・・・・・
若きジェダイ・ナイトとして帰還したエレン・イェーガーの霊体が、エレンを見守るように佇んでいた。
ヨーダが、微笑んでいる。
エレンとアルミンが、親しげに微笑み合っている。
二人は漸く親友に戻れたのだ。
長い長い恩讐を、乗り越えて・・・・・・・・・・・・
__________フォースに選ばれし者の予言は、ここに成就した。
フォースにバランスがもたらされ、
フォースに選ばれし者、エレン・イェーガーがライトサイドへと帰還した。
最終話
ジェダイの帰還
Return of the Jedi
The end
-
- 45 : 2016/01/23(土) 20:11:26 :
- 以上でエピソードⅥ、ジェダイの帰還が終了になります!
エピソードⅥはエピソードⅢと並んで、私の最も好きなエピソードになります。
これまで多くのコメントを頂き、ホントに励まされました。ありがとうございます<m(__)m>
次作、エピソードⅦ、フォースの覚醒は、しばらく休んでから書きだしたいと思います。
その時はまた、よろしくお願いいたします<m(__)m>
-
- 46 : 2016/01/23(土) 21:00:42 :
- お疲れ様です!感動しました!
-
- 47 : 2016/01/23(土) 22:03:37 :
- 執筆お疲れ様でした‼︎
いやぁ、凄いの一言ですねww
エピソードVll、楽しみにしてます!
本当にお疲れ様でした‼︎
-
- 49 : 2016/01/23(土) 23:02:05 :
-
CAST(epⅣ~Ⅵ)
ルーク・スカイウォーカー・・・・・・エレン・イェーガー
レイア・オーガナ・・・・・・ミカサ・アッカーマン
ハン・ソロ・・・・・・ジャン・キルシュタイン
ランド・カルリジアン・・・・・・マルコ・ボット
チューバッカ・・・・・・ピーター・メイヒュー
R2-D2・・・・・・ケニー・ベイカー
C-3PO・・・・・・アンソニー・ダニエルス
オビ=ワン・ケノービ・・・・・・アルミン・アルレルト
ヨーダ・・・・・・フランク・オズ
ビッグス・ダークライター・・・・・・ライナー・ブラウン
ウェッジ・アンティリーズ・・・・・・ベルトルト・フーバー
ジャン・ドドンナ・・・・・・ドット・ピクシス
カーリスト・ライカン・・・・・・キース・シャーディス
ギアル・アクバー・・・・・・ティモシー・M・ローズ
ニエン・ナン・・・・・・マイク・クイン
モン・モスマ・・・・・・ハンジ・ゾエ
オーウェン・ラーズ・・・・・・フランツ
ベルー・ラーズ・・・・・・ハンナ
ボバ・フェット・・・・・・ケニー・アッカーマン
グランド・モフ・ウィルハフ・ターキン・・・・・・ジェル・サネス
モフ・ジャジャーロット・・・・・・フレーゲル・リーブス
カシオ・タッグ・・・・・・ダズ
コナン・アントニオ・モッティ・・・・・・ティモ・リーブス
ケンダル・オゼル・・・・・・ニック
ファーマス・ピエット・・・・・・トーマス・ワーグナー
ロース・ニーダ・・・・・・ミリウス・ゼムルスキー
マキシミリアン・ヴィアーズ・・・・・・ナック・ディアス
シーヴ・パルパティーン・・・・・・イアン・マクダーミド
アナキン・スカイウォーカー/ダース・ヴェイダー・・・・・・エレン・イェーガー
※置き換えていない配役は、演じた俳優の名前を記入。
-
- 50 : 2016/01/23(土) 23:22:41 :
- これからも頑張ってください!貴方がNo.1です!
エレンを最後アルミンが助けて一緒に皇帝を倒すシーンなんか感激しちゃいました(T ^ T)
ⅶ楽しみにしてますb
フォースと共にあらん事を(^o^)>
-
- 51 : 2016/01/24(日) 00:41:16 :
- お疲れ様です!
映像で表現できないキャラの心の声や揺れ動きも文章は
表現できるのでお陰で映画を観てて「?」となった展開も
合点がいきました
個人的に面白かったのが、両作の設定年齢の差です
20、30代の主人公勢はともかく、エルヴィン(60)とかハンジ(53)
リヴァイ(57)とか大人達が全体的にヤバイですね…(^^;)
一番は老アルミン(57)ですがww
次はどのシリーズとクロスオーバーするのかなと
思わずにはいられません。期待してますm(__)m
リヴァイ・ハリソンのスタートレ……ゲフンゲフン
ハンジのSHERLO……ゲフンゲフン
あ、無視してください…ゲフンゲフン
-
- 52 : 2016/01/24(日) 00:50:18 :
- マスター・ベジータさん、いつも本当にありがとうございます!
一番だなんてとても恐れ多いのですが、エピソードⅦ、頑張りますね!
名無しさんも、いつもコメントいただき、本当に励まされました。
年齢は本当にヤバイですね汗
次の作品ではエレンとミカサが53歳、ジャンに至っては63歳になる予定ですwww
そうですね、実は今、考えているコラボがあります!
ズバリ、インディ・ジョーンズですwww
機会がありましたら書き出しますので、
よろしくお願い致しますm(_ _)m
-
- 53 : 2016/01/24(日) 00:53:27 :
- お疲れ様です‼
次のコラボのインディ・ジョーンズも頑張ってください‼
-
- 54 : 2016/01/24(日) 00:58:25 :
- 直方さん、ありがとうございますm(_ _)m
インディ・ジョーンズとのコラボは、フォースの覚醒が書き終わりましたら書き出したいと思います。
-
- 55 : 2016/01/24(日) 10:25:17 :
- 楽しみ!頑張ってください!
-
- 56 : 2016/01/24(日) 10:29:05 :
- ありがとうございます<m(__)m>
その時が来たら頑張りますね!
-
- 57 : 2016/01/27(水) 23:59:16 :
- インディ・ジョーンズですか…
ならもしかして主人公はエレン以外の誰かですか?
-
- 58 : 2016/01/28(木) 00:53:43 :
- 面白かったです!
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
- 「進撃の巨人」カテゴリの人気記事
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場