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《銀のエルフと冥府の石》➁

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  1. 1 : : 2016/01/10(日) 21:28:40



    指輪物語やホビットの世界を進撃の巨人のキャラで描きます、第2話です!



    僕の作品を見てくださる読者の皆様に感謝!


    僕の作品にコメントしてくれる皆さんに感謝!


    作品発表の場をお借りしているssnote様に超感謝!!!




    趣味の延長ですが、こうしてnoteに載せるからには妥協なく作り上げたいと思っております。



    そのため更新が不定期になりがちですが、どうかご容赦ください…


    また、今作は筆者二作目でありますので、まだまだ未熟な点も多々ありますがどうぞよろしくお願いします!





    では始めます!!




  2. 2 : : 2016/01/10(日) 21:36:31
    期待です!
  3. 3 : : 2016/01/10(日) 21:42:27



    MGSさんありがとうございます!



    頑張ります‼︎
  4. 4 : : 2016/01/11(月) 00:12:50


    《キリス・アンゴラス》


    エレノールの東街道の終着点である《赤の山脈》を越え、古の王国《アノーリエン》の跡地を流れる大河《アドウィン川》の上流。




    この世とあの世を隔てると言われる長大な《黒の山脈》の北端に現れる冥府への入り口である。







    その裂け目を超えた、この地で最も日の光の当たらぬ漆黒の闇の中に、その塔は存在した。








    《バラド=ヴルズム》








    上古の昔に冥王がこの地に根差した魔境。






    数多の血と鉄によって築かれた冥王の力と恐怖の象徴である。








    その最上階に渦巻く赤黒い影……





    崩れかけた塔の頂に、“それ”はいた……




  5. 5 : : 2016/01/11(月) 00:25:18



    《時が来た…》







    《我が国を再建する時が…》






    「我が君…」スッ




    渦巻く影の前に、漆黒の禍々しい装束に身を固めたしもべが跪く。





    その目は焼けただれ、鼻は潰れ、肌は白く、まるで死人のようであり、


    左右に大きく裂けた口からは、黄ばんだ歯がむき出しになっている。







    そのしもべに名前はない。



    主人から与えられたものは何一つない。





    彼の役目は体を持たぬ冥王の口となること…



    すなわち、冥王の言葉を冥王に変わって喧伝することである。



  6. 6 : : 2016/01/11(月) 00:32:36




    《わが宝石を盗んだ奴隷の末裔が人間どもの国におる…エルフの小娘が、わが石を持っておるのだ…》





    冥王の口「準備は整っております、我が君…我らは十分待ちました…」









    《いかにも……》










    《2000年の長きにわたり待ちこがれていた……》










    《永遠の命を手にし、再び世界を暗黒の力で支配するこの時を…!》





    冥王の口「おお、我が君…!」







    《……軍団を率い、エレノールに進軍せよ……石を見つけ出し、わが元に持ちかえるのだ……》





    冥王の口「ははっ!して、盗人は如何に…」






    《我が欲するは、我が永遠の命のみ…》









    《それ以外には何も要らぬ……殺せ…》






    冥王の口「御意…」サッ








    《人間、エルフ、われに刃向かうもの全て…》






    《必ずや後悔させてくれよう……》ゴゥ…







  7. 7 : : 2016/01/11(月) 00:39:18


    冥王の口『闇の冥王の命は下れり!!』グッ





    冥王の口『進め!闇の軍勢よ!』バッ





    冥王の口『我らの火と鉄!』





    冥王の口『刀と槍が、奴らを死に導くだろう!!』






    冥王の口『刃向かうものに情けは無用!』





    冥王の口『野を焼け!街を蹂躙せよ!』





    冥王の口『人間の肉の味を知れ!』










    冥王の口『ーーーー戦いだ!!』








    グゥォオオオオォォォーーーーーー‼︎‼︎








    冥王の口の暗黒の言葉によってオークの軍勢は一斉に向きを変え、西へと進軍した……







    はるか東の地で、闇が動き出したのだーーーー


  8. 8 : : 2016/01/11(月) 14:34:17



    パカッパカッパカッパカッ 




    三つの影がエレノールの東街道を下ってゆく。




    馬にまたがる者の鎧には『盾に重ね剣』




    すなわち、王国の訓練兵の紋章が打ち抜かれている。


  9. 9 : : 2016/01/11(月) 14:49:07




    エレン「なあ、アルミーン。今どの辺りだ?」




    先頭を行く黒髪の少年が振り向きながら問いかける




    アルミン「もうだいぶまできたと思うよ!昨日ディンネン川を越えたから、シガンシナまではあと半日くらいじゃないかな?」




    その後ろを行く金髪の少年が答える。




    ミカサ「この道を通ったのはもう3年も前になるのね……たった3年なのに、なんだか遠い昔のことのように感じられる…」




    一行の最後を行く黒髪の少女がつぶやく。






  10. 10 : : 2016/01/11(月) 14:57:17



    アルミン「そうだねミカサ。けど、あのときよりもだいぶ人通りは少ないみたいだ…」






    アルミン「最近は街道にも野盗が出るらしいし……やっぱりここ数年で王国の威が地に落ちてるっていうのは本当なのか…」







    エレノールは、その前身となる古王国《アノーリエン》から2000年以上脈々と続く由緒正しい人間の王国である。




    建国当初は、言葉や文化の違う民族を偉大な五人の王たちが話し合いによって一つの国の元に統治していた。




    しかしその後の歴代国王は必ずしも前代の偉業をしのぐ機会を与えられることはなく、民の心は少しずつ国王から離れていった。




  11. 11 : : 2016/01/11(月) 15:13:02



    現国王のフリッツ王は本来の王家の血筋ではない。




    主家の血が何代も前に絶えた時、正統王家のあとを継いだ執政官の血を継ぐものである。




    執政官の血筋が王家に取って代わったとき、王国の分裂は決定的となった。







    西の騎馬民族は自分たちの首長を新たな王として新王国《アドラス》を建国し、エレノールから独立。





    南方の《灰色山脈》をこえた荒野の《アスワド族》や、東の《砂漠の民》らは国王への貢ぎ物を拒否し、やがてエレノールに刃を向けるようになった。





    更に近年では、赤の山脈や白の山脈において、オークやトロルたちが麓の民家を襲っては住民が殺されるという被害も散見されている。







    ミカサの両親も、ミカサが幼い時、明け方の深い眠りの中でオークの一団に襲われ、なすすべもなく殺されてしまった。


  12. 12 : : 2016/01/11(月) 22:03:02



    エレン「ったく、ホント頼りねえよな!俺たちの王様はよ!」



    エレン「俺たちが兵士になったら、野蛮人だけじゃなくて、盗賊からもみんなを守らなきゃなんねえな!」



    エレン「ったく、兵士はやること尽くめだぜ!」ハハハ




    アルミン「そうだね、僕らが頑張らなきゃ!」アハハ



  13. 13 : : 2016/01/11(月) 22:08:22




    それから一行はふた時ばかり歩を進めた。






    途中静かな湖畔で休息を取り、街道をそれて故郷へと続く細い脇道を行く。






    境の森を抜け、その先の緩やかな丘を越えると、目の前にようやく見慣れた景色が飛び込んできた。




    ミカサ「‼︎……二人とも、見て!赤の山脈が見える。」



    エレン「おお!ってことはやっと着いたか!」



    アルミン「よかった!なんとか今日のうちに着けたみたいだ!」






  14. 14 : : 2016/01/11(月) 22:15:29



    眼前に広がる雄大な山脈





    夕焼けの日の光を浴びて山肌が赤く色づくことからその名がつけられた東街道の終着点





    《赤の山脈》






    そしてその麓で簡素な城壁に囲まれ、寄り添うように家々が立つ小規模な集落





    彼らの故郷、《シガンシナ》である





    すでに日は暮れかけ、街の城門では門番らしき護衛兵が今にも門を閉めようとしていた。






  15. 15 : : 2016/01/11(月) 22:17:36




    エレン「ーーーッ、行くぞお前ら!うちはすぐそこだ、門が閉まっちまう!」ダッ




    アルミン「あ、エレン!」




    ミカサ「アルミン、急いで。」ダッ





    アルミン「み、ミカサも!」




    アルミン「お、置いてかないでよ〜!」ダッ




    三人は全速で丘を駆け下りると、街の西門へと急いだ。


  16. 16 : : 2016/01/12(火) 13:07:13


    ゴ-ン ゴ-ン ゴ-ン




    キッツ「門兵!閉門急げ!」





    門兵「「はっ!」」





    門の櫓から守備兵長が指示すると、四人の門兵が門を引き込み始める





    ゴゴゴゴゴ......





    門兵は守備兵の中でも選りすぐりの屈強な兵士たちであったが、彼らのでもってしてもこの大門を動かすのは並大抵のことではなかった。






  17. 17 : : 2016/01/12(火) 13:08:56


    エレン「ま、待ってくれー!」バカラ!バカラ!バカラ!




    門兵「⁉︎」




    キッツ「なんだ!何者だ、貴様らは⁉︎」




    ザザザツ





    ミカサ「我々はエレノールの訓練兵、この街の出身のものです!」バッ






    アルミン「家族に会いにやってきました!どうかお通し願いたい!」バッ





    キッツ「………ならん!」





    三人「!?」






  18. 18 : : 2016/01/12(火) 13:11:34



    キッツ「すでに閉門の鐘が鳴らされている!よってこれより先には、何人たりとて通ることは能わぬ!」





    エレン「なっ…まだ門は閉まってないだろ⁉︎通してくれよ‼︎」






    キッツ「ならん!我々には貴様らが本当に訓練兵であるという確証もない!ここを通りたければ、夜明けを待って正式な手順を踏んでからにせよ!」





    エレン「なに言ってんだ!この紋章が見えないのかよ⁉︎」バン!


    自身のプレートアーマーを叩いて自分たちが訓練兵であるという主張をするが、櫓の上の男は全く取り合う素振りを見せない。





  19. 19 : : 2016/01/12(火) 13:12:30



    キッツ「規則には従わなければならない!門兵、早く門を閉めろ!この不審者どもを街に入れてはならぬ!!」





    ゴゴゴゴゴ.....






    アルミン「ああ!そんな……」





    ミカサ「……こうなっては仕方がない。今日は街の外に野営して、明日の朝出直そう。」





    エレン「まじかよ……ここまで来たのに…」






  20. 20 : : 2016/01/12(火) 13:17:42


    「んっ?…もしかしてあいつら…!」




    アルミン「?何だろ…」



    「おいおい!まじかよ、お前ら帰ってきたのか!こりゃイエーガー先生に早く伝えなきゃな‼︎」




    エレン「な、なんだ?誰だあんたは!」



    「俺だおれ!ハンネスだ!おいキッツ、こいつら変なヤツじゃないぞ。早く入れてやれ!」



    エレン「は、ハンネスさん!!」



    キッツ「なっ…しかし隊長…」



    ハンネス「あいつらの身元は俺が保証する。イエーガー先生のとこの子達だ。」



    キッツ「……っ、だとしても規則が…」



    ハンネス「うん?なんだお前、隊長の言うことが聞けねえのか…?」



    キッツ「い、いえ!そういうわけでは……っ、直ちに門を開けさせます!」



    キッツ「門兵!開門だ!」



    ギギギギ....


    ハンネス「さあ入れ、三人とも!俺もすぐ降りてくから!」



    エレン「ありがとうハンネスさん!」パカパカッ



    アルミン「よかった…今日は野営しなくて済んだね、」パカッ





  21. 21 : : 2016/01/12(火) 14:44:56



    ギ-....バタン!!



    三人がくぐり終わると、すぐさま門が閉められ、閂が下された。



    三人は下馬し、馬を引きながらハンネスとともに街の中を歩き出す。





    ハンネス「しっかしホント、よく帰ってきたなぁお前ら!…たった3年でひとまわりもふたまわりもでっかくなりやがって、見違えたぞ!」





    エレン「ハンネスさんだっていつの間にか隊長になってんじゃねえか!あの飲んだくれのダメオヤジが、いったいどういう風の吹き回しだよ!」ゲラゲラ





    アルミン「もうエレン!ハンネスさんのおかげで街から締め出されずにすんだんだよ?感謝しなきゃ。」




    ハンネス「ハハハ!いいんだよアルミン。ホントのことだしな。」





  22. 22 : : 2016/01/12(火) 14:46:16



    ハンネス「それよりキッツを悪く思わないでやってくれ。悪いやつじゃあないんだが…いかんせん規則にうるさくてな。融通の利かない男なんだ。」




    ミカサ「あの警備兵のことなら、もう気にしていない。この時間に押しかけてしまった私たちにも非はある。それに、辺境の警備はあれくらい厳しくなければ務まらない。」





    ハンネス「そう言ってくれるとありがたいな。」ハハハ





  23. 23 : : 2016/01/12(火) 14:47:16



    ハンネス「それにしてもすげえ荷物だな、アルミン。」


    ハンネス「いったい何をそんなに持ってきたんだ?」





    三人は王都からの長い旅に備え食料や調理道具、寝袋などたくさんの荷を抱えていたが、アルミンの荷はとりわけ多くのものが積まれていた。




    アルミン「いやぁ、せっかくの帰郷だからと思って王都のお土産を持ってきたんだよ!おじいちゃんや近所の人たちに配ろうと思ってね。」




    ハンネス「そうか、さすがだなアルミン。その辺しっかりしてるんだな。」




    アルミン「ふふ、ハンネスさんにもあるよ!ええっとたしかこの辺に…ゴソゴソ……おっと!」ゴトッ




    馬の背に乗せたたくさんの荷物を探っていると、一冊の本が落ちてしまった。



  24. 24 : : 2016/01/12(火) 14:47:59



    ハンネス「この本が俺への土産か?」ヒョイ




    アルミン「あっ、そ、それは…」




    エレン「あぁ、ハンネスさん。そりゃ違うと思うぞ?」





    エレン「それはアルミンが訓練所の図書室から持ってきたやつだからな。てか、お前この本持ってきてたのかよ。」



    アルミン「いやぁ、一度読み始めたら止まんなくってさ…」



    アルミン「そ、そんなことより、ハンネスさんこれ!」バッ



    アルミンの手には頭にリボンをあしらった可愛らしい人形が握られていた。



  25. 25 : : 2016/01/12(火) 14:49:46



    ハンネス「こ、これが俺へのプレゼント?」



    エレン「っ、だははは!まあそうっちゃあそうなんだけどよ……」チラ


    ハンネス「?」



    ミカサ「ハンネスさん、娘がうまれたんでしょ?この間の手紙で教えてくれた。」




    ハンネス「あ、ああ!確かにそうだが、もしかしてこれ、うちの娘に…?」



    エレン「ま、まあな。ハンネスさんには小さい頃から世話になってるからな。俺たちからのささやかな祝いの品だ!大したもんじゃねえけどな…」





    ハンネス「お、おまえら……」ジワッ



    ハンネス「ありがとう。大切にするよ。最高の贈り物だ。」ギュ




  26. 26 : : 2016/01/12(火) 14:54:38



    アルミン「あはは!喜んでもらえて僕らも嬉しいよ!……ん?」





    「・・・・・・」スッ






    アルミン(今のは…?)



  27. 27 : : 2016/01/12(火) 14:55:33



    ハンネス「いやーホント立派になったな、お前ら。久しぶりに話せて楽しかったよ!」



    ハンネス「けどそろそろ家に帰って、その元気な顔見せてこい!こっちに居られる時間も、そう長くはないんだろ?」



    ミカサ「ええ、あまり時間はない。」



    ハンネス「なら、なおさらこんなとこで井戸端会議してる暇はねぇな。」



    エレン「そうだな。じゃあ俺たちそろそろ行くよ。」



    アルミン「娘さんにそのお人形、渡してあげてね。」



    ハンネス「おう。ありがとなー!」

  28. 28 : : 2016/01/12(火) 18:33:15


    ハンネスと別れた三人は街の中央にある噴水広場に差し掛かった。



    エレン「じゃあアルミン。とりあえずここでお別れだな。」



    アルミン「うん。うちは街の北側だからね。明日の朝にこの噴水広場で集合にしよう。」



    ミカサ「わかった。」



    エレン「それじゃ、」



    アルミン「またあした。」





    アルミンは街の北へ、



    エレンとミカサは街の東へと歩を進めた。




  29. 29 : : 2016/01/12(火) 18:37:06


    エレン「…」ポクッポクッ

    ミカサ「…」ポクッポクッ






    エレン「……よし、着いたぞ…」




    ミカサ「…ええ。」




    エレン「我が家だ…帰ってきたんだな。」




    ミカサ「ええ、やっと。」











    エレン「…」





    ミカサ「…」








    エレン「な、なにしてんだよミカサ……早く入れよ…」





    ミカサ「ええ、そうね……」





    ミカサ「…」






    エレン「な、なんだよ。ここまで来て怖気付いてんのか?」





    ミカサ「ううん、ちがうの。ただ…」





    エレン「?」





    ミカサ「少しだけ、この瞬間をかみしめていたいの。なんだかあの頃に戻れたみたいで…」





    エレン「そうか……そうだよな。悪かった……」





  30. 30 : : 2016/01/12(火) 22:04:13


    ガチャ



    カルラ「まだかしらね〜あの子達。せっかくいっぱいご馳走つくったのに!……あら?」





    エレン「…か、母さん…」



    カルラ「エレン、ミカサ…あなたたちなの?」



    ミカサ「あ、あの…私たち…その……」アセアセ





    カルラ「はあっ!」ダキッ




    エレン「うおっ!」

    ミカサ「きゃっ!」





    カルラ「……よく帰ってきたわねふたりとも!あぁ…こんなに立派になって…」ギュッ....




    エレン「か、母さん…」ジワッ

    ミカサ「ううっ…おかあさん…!」グスッ




    グリシャ「カルラ、どうした?大きな音がしたが……!」



    エレン「と、父さん‼︎」



    グリシャ「エレン‼︎」



    ミカサ「おとうさん…」



    グリシャ「ああ、ミカサも…二人ともよく無事で帰ったな…」






  31. 31 : : 2016/01/12(火) 22:05:44


    カルラ「道中大変だったでしょう…怪我はしてない?……あら、」カチャ



    エレン「へへ、見てくれよ父さん、母さん。兵団から支給された鎧と剣だ。」



    エレン「かっこいいだろ⁉︎」



    グリシャ「ああ…二人とも、一人前の兵士になったんだな……」



    ミカサ「王都のお土産も買ってきた。みんなで食べよう。」



    カルラ「それは楽しみね!さあ、早く中に入りましょう。二人の好きなものいっぱい作ったから。」


    エレン「まじかよ!チーハンもある⁉︎」



    カルラ「ええ、もちろん。たくさんつくったわ。」フフ



    エレン「やったー!ミカサ、早く食おうぜ!」




    エレンッタラ コドモミタイ 

    ウ,ウルセエナ!チ-ハンスキナンダカラショウガナイダロ!?

    フタリトモテハアラッタノ-?

    イマアラッテルトコ(ダヨ)!!






























    「・・・・・」ザッ


















  32. 32 : : 2016/01/13(水) 19:35:31





    エレン「っ、はぁーーー!うまかったーー!」


    ミカサ「久しぶりのおかあさんのお料理、とってもおいしかった。」



    カルラ「ありがとう、二人とも。」フフ


    グリシャ「二人のおかげで久しぶりにごちそうにありつけたな。」




    エレン「……やっぱり最近は、食料も手に入りにくくなってるのか?」



    グリシャ「……ああ。東街道の野盗に加え、東方人の動きが活発になっていることで、中央からの物流が滞りつつある。」



    グリシャ「なんとかこの地にもたらされたわずかな食料も、ほとんどが山の向こうの兵士たちに徴用されるからな…人々の王政への不満は募るばかりだよ……」



    ミカサ「そんな…私たちが王都にいる間は、そんなこと一度も耳に入らなかった。」



    グリシャ「そうだろうな……我々もこの3年、ただ黙ってこの状況を受け入れていた訳ではない。何度も政府に嘆願しようとしたが、街の役人にすら聞き入れられなかった。王都まで伝わっていないのも無理はない。」






  33. 33 : : 2016/01/13(水) 19:45:28



    エレン「な、なんだよそれ…確かに今の王様は頼りねえと思ってたけど、まさかそこまで腐ってたなんて……!」




    グリシャ「今はまだこの辺境の地での小さな声だが、近いうちにその声は王都にまで届くだろう。そうなったらこの国は終わりだ。」




    グリシャ「我々だけではない……重税に苦しんでいる民は中央にも多くいる。」



    グリシャ「貧しい山間の村々は、いつオークに襲われるかわからないという恐怖と、納税のために土地を離れられないという葛藤とで板挟みになり苦しんでいるんだ……」




    グリシャ「王は民の命よりも兵士を食わせるための金の方が大事だというのか……!」バン!!





    エレン「と、とうさん……」







  34. 34 : : 2016/01/13(水) 20:00:11




    グリシャ「エレン!」ギュッ




    エレン「な、なに⁉︎」ビクッ




    グリシャ「この世界は、すこしずつ病んできている……我々人間にはどうしようもない、とてつもなく強大な力が、この地を蝕んでいるんだ!」




    カルラ「あ、あなた……⁉︎」




    グリシャ「私は…いや、私たちは騙されていたんだ!長い間ずっと……」




    グリシャ「本当の敵は、言葉や肌の色のちがう同じ人間ではない!本当の敵は、もっとすぐ近くに……」




    カルラ「あなた!もうやめて!!」バッ




    グリシャ「‼︎…カルラ…」ハッ




    カルラ「せっかくエレンとミカサが帰ってきたっていうのに、どうしてそんな話をするの!?すこし冷静になって…!」




    グリシャ「す、すまない……私としたことが、つい…」ハアハア






  35. 35 : : 2016/01/13(水) 20:04:31






    シ-ン





    ミカサ「あ、あの…」




    エレン「ど、どうした、ミカサ。」




    ミカサ「王都から持ってきたお菓子がある……ので、みんなで食べよう。」




    カルラ「あら…それは美味しそうね!」




    カルラ「じゃあテーブルのうえを片付けるから、ミカサはお母さんのお手伝いをしてくれる?」




    ミカサ「うん。喜んで。」




    グリシャ「私は……すこし外を歩いてこよう。頭を冷やしてくる…」ガタ




    エレン「と、父さん…俺もいk「いや、」




    グリシャ「すこし、一人になりたいんだ。悪いがエレン……」




    エレン「そ、そうか……うん、わかったよ。気をつけて、」




    グリシャ「すまない、エレン…」ガチャ





  36. 36 : : 2016/01/14(木) 11:43:37


    バタン!


    エレン「ーーーっ、なあ母さん!父さんいったいどうしちゃったんだよ!あんな怖い顔初めて見たぞ…」




    カルラ「エレン、実はね……あなた達に余計な心配をかけたくないからって、手紙には書かなかったけれど……」




    カルラ「お父さん、あなた達が王都に旅立ってから、医術の腕を買われて東の前線に1年ほど従軍していたの。」




    エレン「なっ!それ本当かよ?」

    ミカサ「《アモン=アノール》に1年も⁉︎」



    カルラ「ええ。」



    カルラ「なんとか無事に帰ってきてくれたけれど、戦地で辛い思いをたくさんしたみたいで、詳しいことは何も教えてくれなかった……」


    カルラ「かわりに王政への批判をよく口にするようになったのよ。」



    エレン「そ、そうなのか……」






  37. 37 : : 2016/01/14(木) 11:44:32



    カルラ「お父さんは戦場の悲惨さを身をもって感じたから、あなた達を兵士にするために送り出したことをすごく後悔していたの……」

    カルラ「けれど、こうして立派になって帰ってきてくれたことはもちろん喜んでいるはずよ?だから今は…少しそっとしておいてあげて?」



    エレン「うん。もちろんだよ、かあさん。」



    カルラ「ありがとうエレン。」



    エレン「じゃあ俺は少し横になってくるよ。道中野営ばっかで、少し疲れたからな。」



    カルラ「ええ、2階のあなたの部屋もきれいにしてあるわ。ミカサはどうする?」



    ミカサ「私も休みたい。けれど、お母さんのお手伝いをしてからにする。」



    カルラ「そう。じゃあお願いするわね。」ガチャガチャ





  38. 38 : : 2016/01/14(木) 11:45:26


    ミカサ「エレン、お父さんが戻ってきたら起こしに行く。ので、それまで休んでいて。」


    エレン「あんまり無理するなよ?お前だって疲れてるだろ?」


    ミカサ「私は大丈夫。お母さんと家事をするのは楽しいから。」


    エレン「そっか。じゃあほどほどにな」ギシギシ



  39. 39 : : 2016/01/14(木) 11:49:10


    ガチャガチャ ゴシゴシ


    ミカサ「お母さん、このお皿はこの棚でいい?」


    カルラ「ええ、そこに重ねておいてくれればいいわ。」


    ミカサ「こっちのコップは?」


    カルラ「ああ、それは…」



    ガチャ



    グリシャ「ただいま……」


    カルラ「あなた!おかえりなさい。」


    ミカサ「お父さん…大丈夫?」


    グリシャ「ああ、ミカサ。心配かけてすまなかったね。少し外を歩いたらすっきりしたよ……エレンは?」


    カルラ「少し疲れたからって自分の部屋で寝てるわ。」


    ミカサ「今起こしてくる。」ダッ


    グリシャ「ああ、いいよミカサ。」


    グリシャ「長旅の疲れもあるだろう。ゆっくり寝かせておいてあげなさい。」


    ミカサ「そう…」





  40. 40 : : 2016/01/14(木) 11:50:47


    カルラ「さあミカサ、そろそろあなたもお休みなさい。とっても助かったわ、ありがとう。」


    ミカサ「うん、分かった。おやすみなさい。」


    カルラ「……」


    ミカサ「?」


    カルラ「……ねえ、ミカサ?ちょっと、こっちきてくれる?」


    ミカサ「…うん。」スタスタ





    カルラ「……」ギュッ



    ミカサ「!?」






  41. 41 : : 2016/01/14(木) 11:52:35



    カルラ「ミカサ、お母さんと約束して?あの子から…エレンから離れないって。」


    ミカサ「え?」


    カルラ「あの子は昔っからそそっかしいから…危ない事に首を突っ込んでいっては怪我ばかり…」

    カルラ「そんな時はいつも、あなたがあの子を助けてくれてたわね。」


    ミカサ「うん……」


    カルラ「けど兵士になったら、けがをするだけでは済まないわ。あの子のことだから、そういう時に限って無鉄砲に飛び出していきそうだけれど……」


    ミカサ「たぶん…それがエレンだから……」


    カルラ「フフ、そうね。だからそんな時は、エレンをこんな風にしっかり抱きしめて、引き止めて、」


    カルラ「どんなことがあっても、これからも二人で支え合って、生きぬくのよ……」



    ミカサ「お母さん…」



    グリシャ「私からも頼むよミカサ。エレンを守ってやってくれ。」



    ミカサ「……うん。わかった。」

  42. 42 : : 2016/01/14(木) 11:53:56


    カルラ「ーーーっ、さて、引き止めてごめんなさいね!明日も早いんだから、早く寝なさい?」


    ミカサ「うん、わかった。」




    ギシギシ




    カルラ「ーーーミカサ?」


    ミカサ「?」



    カルラ「愛しているわ。これからもずっと。」フッ


    ミカサ「うん。私も、」ニコ


    グリシャ「おやすみなさい、ミカサ。」


    ミカサ「おやすみ。お父さん、お母さん、」




    ギシギシギシギシ





  43. 43 : : 2016/01/14(木) 17:27:43



    「ん……んぅ」ゴソ


    ギィ




    エレン「………」


    ミカサ「エレン……起きてるんでしょ?」ポフ


    エレン「……なんだよ、ばれてたのかよ…」ゴソゴソ


    ミカサ「ええ…」スッ




    エレン「……父さん、帰ってきたんだろ?行かなくていいのか。」


    ミカサ「寝かせてあげておいてって。お父さんが言ったの。」


    エレン「そっか…」




  44. 44 : : 2016/01/14(木) 17:28:24


    エレン「…」

    ミカサ「…」


    エレン「……お前は、寝ないのか。」


    ミカサ「……ええ。不思議と疲れはない。」


    エレン「そっか…」





  45. 45 : : 2016/01/14(木) 17:29:39


    ミカサ「……今日は楽しかった…」


    エレン「そうだな…」


    ミカサ「こんなに幸せな日が、明日も明後日も、これからもずっと続けばいいのに……」


    エレン「……ああ、」


    ミカサ「……今日は怒らないのね。私が後ろ向きなことをいっても。」フフ


    エレン「…まあな、俺も、」ファ-


    エレン「もう1日くらいこうやって、のんびり過ごしたいなぁなんて思ったよ。」


    ミカサ「うん。」


    エレン「けど、父さんの話を聞いちまったら、そういうわけにもいかなくなった……」


    エレン「兵士になることしか頭になくて、いままで考えもしなかったけど、この国の人々がこんなに苦しんでいたなんて…」





    エレン「俺は無力だな……」






    ミカサ「……」






  46. 46 : : 2016/01/14(木) 17:31:09




    ギュッ




    エレン「⁉︎……み、ミカサ…?」




    ミカサ「……大丈夫。私がいる。アルミンも、」


    ミカサ「…エレンは1人ではない。だから、」



    ミカサ「あなたは無力なんかじゃない。」





  47. 47 : : 2016/01/14(木) 17:33:11



    エレン「……くっ、くはは!」


    ミカサ「!……な、なぜ笑うの⁉︎」ガバッ


    エレン「へへ、母さんの差し金か?」


    ミカサ「え⁉︎……な、なんで?」


    エレン「母さんはすぐ抱きついてくるからな。そんなことだろうと思ったぜ。……けど、」


    ミカサ「けど?」


    エレン「なんか落ち着いた。なかなか寝付けなくてな……父さんの姿を見てちょっと動揺してたのかも…」



    ミカサ「…うん。」



    エレン「さ、早く寝ようぜ!早起きして、少しでも長く家族の時間を過ごすんだ!」ガバ


    ミカサ「ええ、おやすみなさいエレン。」フフ


    エレン「ああ、おやすみ。」フア-





    ガチャ



    スタスタスタ




  48. 48 : : 2016/01/14(木) 18:08:10




    窓の外から月の光が差し込み、夜の闇を照らしだす


    吸い込む息が冷たくて、少し身震いした





    ガチャ





    自分の部屋のベッドは、3年前に旅立った日とまるで変わらない


    きちんとしわの伸びたシーツは、定期的に洗濯されていることを物語っている



    布団をめくり身体を潜り込ませると、暖かくて幸せな気持ちになった












    ああ、帰ってきたんだ……



















    布団の中で小さく丸まっていた少女はこわばった身体を少しずつゆるめ、そしてゆっくりと意識を手放していった……













  49. 49 : : 2016/01/14(木) 18:24:09


    はい!第2話終了です!



    エレンたちは無事に故郷に帰って家族に会うことができました。


    しかしそんな彼らの故郷には、東の地からゆっくりと悪の手先たちが近づいてきています。



    エレンたちはこの先どうなってしまうのか…


    またアルミンが落とした本を物陰から見つめていた人はいったい誰なのか…


    そのあたりを楽しみに読んでいただけるとうれしい限りです!





    また次回からは、他の104期のメンバーも出演する予定です!


    エレンたちの旅も、次回から本格的に始動することになります!


    どうか楽しみにしていて下さい!!






    最後になりましたが、僕の作品にここまでつきあっていただき誠にありがとうございました!


    第3話も頑張りますので、応援よろしくお願い致します!


    以上、ツナマヨでした!



  50. 50 : : 2023/08/24(木) 13:30:07
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
    toyama3190

    oppai_jirou
    catlinlove

    sukebe_erotarou
    errenlove

    cherryboy
    momoyamanaoki
    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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tsunamayo1996

ツナマヨ

@tsunamayo1996

この作品はシリーズ作品です

《銀のエルフと冥府の石》 シリーズ

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