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ジャン「エピソードⅤ」 ミカサ「帝国の逆襲」 ④ 進撃×スター・ウォーズ
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- 1 : 2015/12/26(土) 23:00:59 :
- 進撃×スター・ウォーズ、帝国の逆襲、第4話です。
よろしくお願いします<m(__)m>
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- 2 : 2015/12/26(土) 23:01:59 :
悪臭を放つ不気味な沼地の惑星に、夜の帳が降りた。
夕方から降り出した雨は勢いを増し、しきりに小屋の屋根を叩く。
エレンは謎の小さなエイリアンに案内され、彼が生活している小さな小屋の中にいた。
因みに、小屋の入り口に入れなかったR2は、雨にうたれながら外で待たねばならず、不満そうに窓から小屋の中を覗いていた。
http://www.starwars.jp/wiki/images/0/0f/Yoda_hut.jpg
「なあ、まだヨーダに会えないのか?」
「そう焦るな、ジェダイも飯の時間じゃ。さあ、たんと食え、温まるぞ?」
さて、中に案内されたはいいものの、緑色のエイリアンは中々ヨーダに会わせようとはしてくれなかった。
イライラしながらエレンは竈にかかっている小さな鍋から、茶色いシチューを器によそった。
「ヨーダはここから遠いのか?」
「遠くないぞ。ヨーダはここの近くにおる。焦るな、すぐに会えるぞ。」
「・・・・・・・・・・・・おえっ。」
何だこりゃ!?
あまりのまずさに、言葉にならず、吐き気さえ催すエレン。
「根っこじゃ。わしが調理した。どうじゃ、うまいじゃろう?」
「根っこ!? 人間になんてもん食わせんだ!?」
「なんじゃ? 口に合わなかったのかのう?」
しょんぼりして見せる緑色のエイリアンにますます苛立つエレン。
すると、エイリアンは不意にエレンに尋ねてきた。
「お主、なぜジェダイになりたいのじゃ?」
「え? ああ・・・・・・・・・・・・父さんの影響かな?」
「お前の父親か・・・・・・強いジェダイだったのう。そうとも、強いジェダイじゃった。」
「何言ってんだよ、お前? なんで俺の父さんのことを知ってんだよ? 第一、俺はまだお前に名乗ってすらいねえんだぞ? くそ、こんなの・・・・・・時間の無駄じゃねえか!」
イライラが限界に来たのか、エレンは言葉をまくし立てた。
すると、緑色のエイリアンは顔を逸らし、今までのおどけたような態度から一転して、思いつめたような表情になった。
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- 3 : 2015/12/26(土) 23:02:45 :
「・・・・・・・・・・・・だめじゃな、わしにこの子は教えられん。」
目の前の空間に向かって呟く緑色のエイリアン。
すると今度は、どこからともなく声が聞こえてきた。
<辛抱することをいずれは学ぶはずです。>
「とても怒りっぽい・・・・・・・・・・・・父親とよく似ておる。」
<私が教えを受けていた時も、そうだったと思いますが?>
「いや、この子は準備が出来ておらんのじゃ。」
聞こえてきた声には、聞き覚えがあった。
間違えるはずがない。
・・・・・・・・・・・・アルミンの声だ。
とすると、アルミンと話をしているこの小さな緑色のエイリアンが・・・・・・・・・・・・
「あなたが・・・・・・・・・・・・マスター・ヨーダ?」
信じられないという面持ちで見つめるエレンに対して、ヨーダはゆっくりと頷いた。
第4話
ヨーダ
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- 4 : 2015/12/26(土) 23:03:22 :
「お、俺は準備が出来ています!」
今までの失礼過ぎる行為を思い出し、エレンは慌てて苦しい言い訳を始めた。
「アルミン! 言ってくれよ! 俺は・・・・・・痛っ!!」
気が動転したエレンは立ちあがろうとして、天井に思いっきり頭をぶつけた。
みっともないほど、エレンは慌てふためいた。
「準備が出来ておるじゃと? そのざまでか!? わしは800年ジェダイを教えてきた。わしの目にかなったものしか教えはせん!
ジェダイには深い献身と厳格な精神がなければならん。わしはお主の様子を見てきたが、お前の目には、遠い未来、地平線の彼方しか見えておらん! 地に足が付いていないのじゃ!
冒険? ふん! スリル? ふん! ジェダイには必要のないものじゃ。お前には思慮が足らんのじゃ!」
「うっ・・・・・・。」
徹底的にこき下ろされ、エレンはぐうの音も出ない有様だった。
事実、ヨーダは様々な実力あるジェダイたちを訓練してきた。
ザックレー伯爵やリヴァイ、ミケは、ヨーダに手ほどきを受けて力あるジェダイとなった。
ジェダイとしての実力もさることながら、ヨーダは優れた名教師でもあったのだ。
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- 5 : 2015/12/26(土) 23:04:30 :
<お忘れでなければ、私もそうだったはずです。>
「もう歳も行き過ぎておる。訓練を始めるには遅すぎる。」
霊体なってこの世にとどまっているアルミンは、エレンに修業をつけるよう、ヨーダに懇願した。
確かにマスター・ヨーダの言う通り、既に歳を取りすぎている。
思慮が足りず、怒りっぽいのはジェダイとしては致命傷だ。
でも、今この状況では、エレンが最後の希望だ。
「マスター・ヨーダ・・・・・・俺は今、多くのことを学びました。」
エレンもまた神妙な面持ちで、ヨーダに懇願した。
ヨーダは顔を逸らし、しばらく無言のまま答えなかった。
・・・・・・・・・・・・ややあって、ヨーダはエレンに問いただした。
「お主は・・・・・・・・・・・・始めたことを終わらせることが出来るのか?」
「失望はさせません。恐れもしません。」
ヨーダはため息をつき、一言呟いた。
「きっと、恐れるじゃろう。そうじゃ、恐れるとも。」
こうしてエレンは、霊体となったアルミンの懇願の元に、マスター・ヨーダの修行を受けることとなった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 6 : 2015/12/26(土) 23:05:44 :
- 期待してます!
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- 7 : 2015/12/27(日) 21:56:21 :
- 早速のコメントありがとうございます!
頑張ります!
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- 8 : 2015/12/27(日) 22:59:24 :
帝国の捜索は、一夜が明けるほどの時間が立った現在に至るまで続いていた。
スター・デストロイヤーが近づいてくる隕石を破壊しながら周囲を見渡し、
爆撃用の戦闘機であるTIEボマーは巨大な小惑星に爆弾を落としていく。
遠くから聞こえてくる爆撃の音に耳を傾けながら、ミカサはコクピットの椅子に座り、先ほど起こったことを頭の中で反芻していた。
どうしようもなく嫌いだと思っていたあの男に、
どうしようもなく腹の立つあの男に、
私は、どうしようもなく惹かれている・・・・・・。
そう言えば、エレンは一体どうなったのだろう?
無事に合流地点へと移動できたのだろうか?
今頃は、私たちの心配をしているのかもしれない。
そう思うと、ミカサはエレンに対して何だか申し訳のない気持ちになった。
エレンも私に対して、好意を寄せていることには気が付いていた。
でも、私のエレンに対する気持ちと、ジャンに対する気持ちは・・・・・・・・・・・・違う。
「・・・・・・・・・・・・!!」
これまで物思いに沈んでいたミカサであったが、一瞬にして現実に引き戻された。
ミレニアム・ファルコンの外に、一瞬、何かが飛んでいるのが見えたのだ。
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- 9 : 2015/12/27(日) 23:00:26 :
「船長、私が思いますに―――――――「おい、少しは黙ってらんないのかよ?」
「少しは私の話を聞いてくださいよ!?」
ラウンジエリアでは、またしてもC-3POが、ジャンからぞんざいな扱いを受けていた。
ジャンはC-3POのもったいぶった話し方にイライラしっぱなしだったのだ。
すると、コクピットからミカサが現れた。
「ジャン、船の外に何かいる。」
「あん? 何処にいるって?」
「洞窟の外。」
「船長、私が申し上げたかったのはその事です!」
C-3POは重要な話ほどもったいぶったしゃべり方になる傾向にある。
全く、それならどうして要件から先に言わないんだ!
「ミカサ、船の外に出るぞ。」
「ジャン、あなたは正気なの?」
「これは俺の船だからな。バラバラにされるのはごめんだ。」
「・・・・・・・・・・・・私も行くわ。」
ミカサとジャン、チューバッカは酸素マスクを取ると、口に当ててタラップへと移動し始めた。
「私は中に残って船を守るのがよろしいのでしょうね。ああ、嫌だ嫌だ。」
C-3POの嘆きをよそに、三人は船の外へと出ていった。
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- 10 : 2015/12/29(火) 14:32:37 :
「ジャン、この地面、何だか変。まるで岩じゃないみたい。」
「ちっ、ひでえ湿気だな。」
「私・・・・・・嫌な予感がする。」
「同感だね。」
三人が降り立った地面は、奇妙なほどに柔らかく、尋常ではないほどに湿っていた。
銀河中を旅してきた俺だが、こんな地面はついぞ聞いたことがない。
さて、ミカサが見た何かを探し出さねばならねえ訳だが・・・・・・
「!! 見て、ジャン! あれだ!!」
ジャンがそう思った瞬間、ミカサが叫んだ。
ジャンは素早く引き金を引き、ミレニアム・ファルコンに張り付いていた生物を撃ち殺した。
どさっと音を立てて地面に落ちる生物。
「思った通りだ。こいつはマイノックだ。」
「マイノック?」
「船のパワー・ケーブルを食い荒らす厄介者だ。チューイ、船の残りの部分を調べろ。一匹残らず駆逐するぞ。」
※マイノック
http://www.starwars.jp/wiki/images/c/c8/Mynock.jpg
全く、何だってこんなところにマイノックがいやがるんだ?
この小惑星帯の中で寄生されちまったのか?
と、次の瞬間、大量のマイノックがジャンとミカサを襲撃した。
ギイイと奇妙に甲高い鳴き声を上げ、ジャンとミカサ目がけて急降下してくる。
チューバッカにも数匹のマイノックが群がり、コクピットの窓にもマイノックが何匹も張り付いた。
「うわあッ!! しっ! しっ!」
コクピットの中にいたC-3POは完全にパニックを起こし、大げさに手を振っては叫び倒すという次第。
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- 11 : 2015/12/29(火) 14:33:39 :
「くそっ、ぶっ殺してやる!」
咄嗟にジャンが銃を構え、マイノックの群れに向かってレーザーを放った。
何発かが当たって、マイノックたちを駆逐していく。
そのとたん、地面が急にぐらついた。
揺れはすぐに収まったが、嫌な予感が頭から離れない。
「ちょっと待てよ・・・・・・。」
ジャンは呟くと、地面に向かってレーザーを放った。
その瞬間、再び地面が大きく揺れ、ジャンはふらつきながらも走り出した。
「ミカサ! 船に戻れ!」
「一体何があったの!?」
「いいから戻れ!」
まるで大地震が起こったかのように地面が揺れるなか、ミカサを強引に引っ張って船に乗るジャン。
後から乗ってきたチューバッカに、ジャンは大声で叫んだ。
「チューイ! ここから出るぞッ!!」
「!! 外にはまで帝国軍がいる! 今外に出るのは危険!」
「委員会で議論してる暇はねぇ! とっとと出るぞ!」
「からかわないで! 小惑星帯の中では光速にジャンプできない!」
「いいから座れ! 離陸するぞ!!」
ミカサの反対を押し切り、ジャンは強引にミレニアム・ファルコンを発進させた。
「船長! 見てください!」
「洞窟が・・・・・・崩れる!?」
「違う・・・・・・ここは洞窟じゃねえ!」
閉じゆく洞窟の先を駆け抜けていくミレニアム・ファルコン。
宇宙空間へと飛び出した直後、巨大な穴の中から、規格外のスケールを誇るスペース・スラッグが再び鉄くずを飲み込もうと大口を開けて迫ってきた。
http://www.starwars.jp/wiki/images/4/4a/SpaceSlug.jpg
バクンッ!
間一髪、ミレニアム・ファルコンは、スペース・スラッグの大口から逃れ出た。
「あいつの胃袋の中に俺たちはいた。危うく糞にされちまうところだったな。」
「ジャン、とにかく小惑星帯を抜けなければ。」
「ああ、とっとと光速にジャンプする。」
帝国軍に見つからなければいいが・・・・・・。
不安をよそへと押しやり、ジャンはミレニアム・ファルコンの舵を握った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 12 : 2015/12/29(火) 16:16:32 :
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「はぁ、はぁ。」
「息が上がっておるぞ、エレン。もう止めにするか?」
「ぐ・・・・・・・・・・・・まだだ!」
惑星ダゴバの鬱蒼とした、昼でも薄暗いジャングルの中を、一人の青年が疾走していく。
背中にはヨーダを背負い、息を切らしながら、エレンは蔓に掴まり、手に力を込めて力いっぱいに昇っていく。
ある程度登り切ると、別の蔓に掴まり、木から木へと移ると、そこから地面へと着地。
再び駆けだして跳躍、倒木の上を一回転して飛び越えると、さらに目的地へと向かって走り出した。
エレンに負ぶわれながら、ヨーダはエレンに語り掛けた。
「そうじゃ、走れ。そうじゃ。ジェダイの力はフォースから溢れてくる。じゃが、ダークサイドには気を付けるのじゃ。怒り、恐れ、攻撃・・・・・・これらがダークサイドじゃ。
これらの感情は、容易にお前を戦いへと引きずり出す。そして、一度暗黒の道にはまった者は、永遠にその運命を支配されてしまうのじゃ。かつてのアルミンの弟子のようにのう。」
「それが・・・・・・・・・・・・ダース・ヴェイダーですか。」
エレンは足を止め、ヨーダの話に耳を傾け始めた。
フランツおじさん、
ハンナおばさん、
ライナー、
アルミン、
そして、父さん・・・・・・・・・・・・
俺の大切なものを悉く奪っていったヴェイダーに対する憎しみを、エレンは心の中に抱えていた。
「ダークサイドのほうが強いのですか?」
「いや、そうではない・・・・・・入りやすいのじゃ。」
「・・・・・・どうやって見分ければ?」
「冷静で穏やかで受け身でいればわかる。ジェダイはフォースを知識と防御のために使うのじゃ。攻撃に使ってはならん。」
「でもどうして―――――「ならんのじゃ。理由を尋ねてはならん。ここまでじゃ、今日の教えはな。心から疑問を払拭するがよい。」
心の中に釈然としないものを感じながら、エレンはヨーダを背中から降ろし、自らも倒木の上に腰かけた。
水筒の中に入った水を飲みながら、エレンは漸く一息ついた。
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- 13 : 2015/12/29(火) 19:53:19 :
・・・・・・・・・・・・ゾクッ
急に、エレンは今まで感じたことの無いような寒気を感じた。
振り返ってみると、奥に見える洞窟から、肌を指すような、溺れるような冷気を感じた。
「何だよ、あの洞窟・・・・・・。」
思わず声を漏らすエレンに対し、ヨーダは呟くように答えた。
「そこはフォースのダークサイドが渦巻いておる、悪の領域じゃ。行くが良い。」
その洞窟を見ただけで、嫌な汗が噴き出してくる。
その洞窟の近くにいるだけで、とても強い・・・・・・・・・・・・“死”を感じる。
「あの洞窟の中には・・・・・・一体何が。」
「お前自身じゃ。」
「!? 俺自身が?」
洞窟の先は、そこに何かべっとりと張り付いているかのような、底いなき闇に覆われていた。
蔓の絡まった洞窟の先が見渡せず、まるで奈落の底だ。
エレンはライトセイバーを握りしめ、洞窟の中を進もうとする。
すると、ヨーダがゆっくりとした、しかし決然とした口調で言った。
「武器は必要ないぞ。」
それでもエレンはライトセイバーを手放さず、光なき洞窟の中を進んでいった。
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- 14 : 2015/12/29(火) 19:54:11 :
何だ・・・・・・・・・・・・この洞窟は。
空気が、重い。
それに、冷たい。
まるで何か、圧し掛かってくるような・・・・・・・・・・・・
進むたびに重くなっていく足取り、
益々濃くなっていく闇、
汗をびっしょりとかきながら、それでも進んでいくエレン。
すると・・・・・・・・・・・・
コー ホー
聞こえてきた恐ろしい呼吸音に、全身の毛が逆立った。
洞窟に広がる闇の向こうから、鋼鉄の肺の呼吸音を響かせ、ヴェイダー卿はゆっくりと、エレンに向かって歩いてきたのだ。
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- 15 : 2015/12/29(火) 19:55:37 :
宿敵の突然の出現に、エレンはまず恐怖心に襲われた。
何でこんなところにこいつが!?
頭の中で全く理解が追い付かず、思わず後ずさるエレン。
だが、最初の恐怖心を過ぎると、次第にヴェイダー卿に対する敵対心―――――怒りが鎌首をもたげてきた。
奪われたすべてのものを取り戻す。
これは・・・・・・・・・・・・チャンスだ。
ここで俺がこいつを・・・・・・・・・・・・殺す!
ビュウウンッ!
青い光刃を起動させるエレン。
対してヴェイダー卿も、赤い光刃を起動させた。
バチッ!
暗い洞窟の中で、青と赤の光が交錯し、激しい火花を散らしていく。
怒りに呑まれ、がむしゃらに攻撃を繰り出すエレン。
ヴェイダーの攻撃を受け切り、光刃を横へとはじき、そして・・・・・・・・・・・・
ザシュッ!
エレンの光刃が、ヴェイダー卿の首を刎ねた。
胴体がゆっくりとうつぶせに倒れる。
黒のマスクがエレンの足元に転がってくる。
エレンが転がってきたマスクを見下ろすと、突如としてマスクが爆発した。
「何だよ、これ・・・・・・。」
剥き出しになったのは、俺自身の顔だった。
沈黙する俺の顔は、じっと、俺自身を見つめてきた。
<マスター・ヨーダ、エレンはどうやら、失敗したようです。>
洞窟の外で、ヨーダの側に現れたアルミンの霊体は静かに呟いた。
ヨーダは何も言わず、小さなため息をついた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 16 : 2016/01/01(金) 18:41:08 :
エグゼキューター艦橋。
ヴェイダー卿の旗艦の中には、彼が銀河中から呼び寄せた賞金稼ぎたちが一堂に会していた。
http://www.starwars.jp/wiki/images/6/63/BountyHunters.jpg
曲者ぞろいの彼らに交じって、特に異彩を放っていたのは、テンガロンハットを被った背の高い男であった。
ぎらつく目を暗黒卿に向けるその男は、彼に対しても不敵な笑みを浮かべていた。
「クソ、賞金稼ぎのクズどもめ。」
「俺たちであの反逆者どもを捕まえてやる。」
「ああ。」
艦橋にいる将校たちが口々に不満を漏らす中、ヴェイダー卿は賞金稼ぎたちに依頼の説明を行っていた。
「ミレニアム・ファルコンを生け捕りにしたものには、望むままの報酬を与えよう。手段は問わないが、生け捕りの状態でだ。決して殺してはならん。」
「おうおうおうおう、そいつは随分奇妙な依頼だなあ?」
ひときわ異彩を放つ男―――――――ケニー・アッカーマンはニヒルな顔でヴェイダー卿に話しかけた。
対してヴェイダー卿は大した反応も見せず、ただ淡々と返事をした。
「殺さないのは優しさのためではない。」
「はっ、そうかよ。」
ヴェイダー卿の声は相変わらず鋼鉄のように冷たかった。
まあ間違いなくこの話には裏があるだろう。
条件は魅力的だが、都合が悪くなればヴェイダー卿は手のひら返しをするに違いない。
「いいぜ。この話、乗ってやるよ。」
ケニーはそう言うと、踵を返して艦橋を後にした。
他の賞金稼ぎたちも依頼を引き受けては艦橋から立ち去っていく。
そんな中、トーマス提督がヴェイダー卿に近づいてきた。
「ヴェイダー卿。」
「何だ、提督?」
「戦艦アヴェンジャーが発見しました!」
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- 17 : 2016/01/01(金) 20:49:00 :
「クソッ!! 見つかっちまったか!!」
帝国軍の戦艦、アヴェンジャーに追撃され、ジャンは思いっきり毒づいた。
小惑星帯の中を見つからないように移動していたものの、遂にジャンは帝国軍のスター・デストロイヤーと鉢合わせしてしまった。
クソッ、もう少しで小惑星帯を抜け出せるところだったのに!
「船長! いよいよ小惑星帯から抜け出します!」
「分かってんだよこのポンコツッ!!」
C-3POに怒鳴り散らすジャン。
追撃されながらも、何とか小惑星帯を抜け出すミレニアム・ファルコン。
「よし、ここからずらかるぞ! 光速の準備はいいな!?」
「ジャン、座標はセットした。」
「珍しく気が利くな、ミカサ。」
「早く抜け出そう!」
ミカサに促され、ジャンはハイパードライブの装置に手をかけた。
よし、これで漸く帝国の追撃からおさらばだ!
「よし、カウントダウンだ。3・・・・・・2・・・・・・1ッ!!」
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- 18 : 2016/01/01(金) 20:49:24 :
ギュンギュンギュンギュンギュン・・・・・・・・・・・・
ハイパードライブ起動装置が、再び停止した。
「クソォッ!! 俺は悪くないッ! 俺は悪くないッ!!」
ミカサと無言で顔を見合わせた後、ジャンが大声で叫んだ。
ミカサはもう呆れてものも言えないご様子で、チューバッカは気が動転して叫んだ。
C-3POは・・・・・・言わずもがなである。
ドゴオォオン!
すると、船内に大きな衝撃が走った。
「!! まずいです、船長! 後方のシールドが破られました! 後一撃喰らったらおしまいです!」
「クソ・・・・・・・・・・・・反転しろッ!! 前方のシールドに全ての力を集中させろッ!!」
「!! ジャン!? まさか・・・・・・特攻する気ッ!?」
咄嗟のジャンの判断に、流石のミカサも度肝を抜かれた。
機体が大きく反転する際、一瞬船内の電源が落ち、重力装置が停止して一瞬体が宙に浮いた。
「船長! スター・デストロイヤーに特攻することなんて無謀です!!」
「3P0、黙って。」
遂にミカサにまで黙るように言われる中、ミレニアム・ファルコンのブースターが火を噴いた。
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- 19 : 2016/01/02(土) 12:00:18 :
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「!! ミリウス艦長! ミレニアム・ファルコンがこちらに向かってきます!」
「血迷ったのか? シールドの出力を上げろ!」
突っ込んでくるミレニアム・ファルコンに対し、艦橋にいる士官の一人がシールドの出力を上げた。
彼らを逃すまいと、ミリウスは意気込んでいた。
だが・・・・・・・・・・・・
「!! 危ないッ!!」
そのままミレニアム・ファルコンは、艦橋に真っ直ぐ突っ込んできた。
次にミリウスが顔を上げたとき、ミレニアム・ファルコンのすがたはもうなかった。
ミレニアム・ファルコンが艦橋の上すれすれを飛んでいくと、忽然と姿を消してしまったのである。
「ミリウス艦長、船がスコープから消えました!」
「き、消えるはずがない! あんな小さな船にクローキング装置は無いはずだ!」
「痕跡が全く消えてしまったのです!」
「ミリウス艦長! ヴェイダー卿が報告を求めています!」
何ということだ。
ミリウスの視界が暗転した。
ミレニアム・ファルコンを逃したとあっては、ヴェイダー卿はきっと・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・シャトルを準備しろ。」
ややあって、ミリウスは呟くように部下に命じた。
「見失ったのは私の失態だ。ヴェイダー卿にお詫び申し上げてくる。その間、付近一帯をスキャンしろ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 20 : 2016/01/02(土) 15:33:54 :
惑星ダゴバ。
ダークサイドの洞窟での失敗の後、エレンは着実に力をつけていた。
「フォースを使え、そうじゃ。」
ヨーダの修業は厳しく、エレンをしてへとへとに疲れ切るほどであったが、そのかいもあって、エレンのフォースは少しづつ強くなってきた。
「石を持ち上げてみるのじゃ。」
地面に胡坐をかいて座り、目を閉じたエレンは、周囲の石を持ち上げ始めた。
ゆっくりと持ち上げた石を、他の石の上にそっと乗せる。
パワーと繊細さを同時に求められる、見た目の地味さからは想像が出来ないほど過酷な修業だった。
すると、R2が悲鳴のような音を立てた。
なんと、沼に浮いていたエレンのXウィングが沼に沈み始めてしまったのだ。
「!! ヤバイ! 俺のXウィングが!!」
「これ、集中せんか!」
ヨーダの諫言にもかかわらず、エレンは立ち上がり、呆然と立ち尽くした。
Xウィングはごぼごぼと音を立てて、沼の底へと沈んでいく。
そして、エレンの機体は完全に、沼の底へと沈んでしまった。
「マジかよ・・・・・・もう引き上げられねえ・・・・・・。」
沼に沈んでしまってしまっては、もう引き上げることは不可能だ。
引き上げることが出来ないということは、もうこの惑星から出ていくことはできないということだ。
なすすべもなく、俺はただその場に突っ立っていることしか出来なかった。
くそ・・・・・・・・・・・・これから一体、どうすりゃいいんだよ。
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- 21 : 2016/01/02(土) 15:34:32 :
「随分と確信しておるのう。お前はいつも二言目には無理だという。わしの言うことを全く聞いておらんのう。」
するとヨーダは、エレンに厳しい目線を向け、エレンを問いただした。
ため息混じりに、エレンはヨーダの問いかけに答えた。
「マスター、石を動かすのとはわけが違いますよ。」
「何も違わん。違うのはお前の心の中だけじゃ。学んだことを忘れたのか?」
「・・・・・・・・・・・・そこまで言うなら、やってみます。」
「やってみるのではない。やるかやらぬか、じゃ。やってみるなどはない。」
ヨーダに厳しく叱責され、エレンは沼のほとりへと立つと、静かに目をつぶり、右手を前に差し出した。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・
地鳴りのようなフォースの唸りが聞こえ、沼が俄かにボコボコボコと泡立つ。
ゆっくりと、少しずつ、機体が沼の底から姿を現し始めた。
初めのうち、この様子を見ていたR2も喜んでいるような電子音を立てた。
だが・・・・・・・・・・・・
(くそ・・・・・・・・・・・・ダメだ・・・・・・・・・・・・。)
今のエレンには力が足りず、機体は再び沈み始めた。
エレンは意識を集中し、再び機体を持ち上げようと試みるも、沼の底へと沈んでいってしまった。
ヨーダは失望したように目を閉じ、少し俯いては憂いに満ちた表情となった。
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- 22 : 2016/01/02(土) 15:35:22 :
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
びっしょりと汗をかき、エレンはその場に座り込んだ。
「だめだ・・・・・・・・・・・・大きすぎる。」
息を切らせながら、エレンは呟いた。
「大きさではない。」
ヨーダはエレンの側に歩み寄り、エレンに語り掛けた。
「わしを見ろ。小さいから弱いか? わしにはフォースが付いておる。強力な味方じゃ。それはな、生命がそれを生み出し、育てるのじゃ。
そのエネルギーはわしらを取り囲み、わしらと宇宙を結び付けておる。わしらは輝ける存在じゃ。お前の肉体は粗雑な物質ではない。
周囲のフォースを感じ取るのじゃ。ここにも、お前とわしの間にもある。木にも、岩にもある。そう、あの機体と陸の間にもじゃ。」
「・・・・・・・・・・・・ふざけやがって。」
エレンは一言呟くと、立ちあがってヨーダの元を立ち去った。
出来るわけないことを、ヨーダは俺に押し付けている。
その不満から、エレンのイライラは頂点に達していた。
立ち去っていくエレンを見つめ、ヨーダは小さなため息を一つついた。
やがてヨーダは眼を閉じ、そっと右手を前につきだした。
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- 23 : 2016/01/02(土) 15:36:04 :
ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・
フォースの唸りが再び聞こえてくる。
聞こえてくる音に対して、エレンは見向きもしなかった。
のだが、R2が驚いたような電子音を立てるので、仕方なく沼地のほうを見やった。
「な・・・・・・・・・・・・何だ、何が起こってるんだ!?」
それ以上は言葉にならなかった。
持ち上げられるわけがない。
そう思っていたXウィングが、沼地の底からゆっくりと上がってくる。
大きな音を立てて、沼から持ち上がったXウィングが、沼の水を吐き出しながらこっちへと近づいてくる。
そして・・・・・・・・・・・・
大きいと思っていたXウィングは、沼のほとり、エレンの目の前へと、静かに降り立った。
http://cinescopia.com/wp-content/uploads/2015/08/x-wing-dagobah-clone-wars-611.jpg
すぐさまエレンはヨーダの側へと駆け寄り、彼の前へと膝を折った。
ヨーダは右腕を降ろすと、静かに両目を開けた。
「し、信じられないです。マスター・ヨーダ。」
「うむ、だから失敗するのじゃ。」
驚くエレンに対し、ヨーダは一言、呟くように言い放った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 24 : 2016/01/02(土) 15:42:50 :
- 期待!!
-
- 25 : 2016/01/02(土) 17:09:20 :
- 期待ありがとうございます!
いつもグループでは全力で悪ふざけをして申し訳ないですwww
執筆頑張ります!
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- 26 : 2016/01/02(土) 18:38:12 :
エグゼキューター、艦橋。
「がはぁッ!! あぁあ・・・・・・ああぁあぁぁぁ・・・・・・・・・・・・」
ヴェイダー卿の前にミリウスは喉を押さえて膝をつく。
両手をついて、それから仰向けに倒れると、ミリウスはそのまま動かなくなった。
「貴様の謝罪はしかと受け取ったぞ、ミリウス艦長。」
ヴェイダー卿はそう言うと、片手を上げて士官たちに合図を出した。
たちまちのうちに二人の士官がミリウスの死体に駆け寄り、両肩で担ぎ上げると、宇宙空間へと放り出すべく、ミリウスの遺体を動かし始めた。
ミリウスがフォースによって首を絞め殺される様を横で見ていたトーマス提督は、機を見てヴェイダー卿に話しかけた。
「ヴェイダー卿、本艦もスキャンを行いましたが、ミレニアム・ファルコンの機影を捉えることはできませんでした。光速にジャンプしたのであれば、今頃は銀河の反対側だと思われます。」
「全軍に指令を出せ。最後の航跡から、行先を全て割り出すのだ。」
「はい、閣下。必ず見つけ出して見せます。」
「二度と俺を失望させるなよ? 提督。」
ヴェイダーの言葉に、トーマスは息をのんだ。
ニック提督が、
ミリウス艦長が、
失態により、ヴェイダーの死の制裁を受けた。
もし、私が失態を犯せば、ヴェイダー卿は躊躇なく私をフォースで絞め殺すに違いない・・・・・・。
「全軍に指令を出せ。艦隊を配置につかせろ!」
震える声で、トーマスは艦橋にいる士官たちに命じた。
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- 27 : 2016/01/02(土) 21:43:21 :
- 進撃の巨人もSWもどちらも大好きで、設定も凄く私好みです!これからも楽しく読ませていただきます!
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- 28 : 2016/01/03(日) 20:21:27 :
- >>27
コメントありがとうございます!
今後ともよろしくお願いいたします!
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- 29 : 2016/01/03(日) 20:21:37 :
「キルシュタイン船長! 今度こそ一巻の終わりです!」
さて、ミレニアム・ファルコンの船内では、パニックになったC-3POが喚き散らして、チューバッカから盛大な顰蹙を買っていた。
「黙らないぞ、チューバッカ! 私の言うことに耳を貸してください!」
それでもC-3POはまくし立てるように自説を曲げようとしなかった。
全く、このポンコツと来た日には、どうしてこうも空気が読めないのだろうか。
__________姿を消したミレニアム・ファルコンはどこへ消えたのか?
なんと、戦艦アヴェンジャーの背後にピタリとくっついていたのだ。
ランディングクローで、戦艦の背中にぴったりと張り付き、レーダーの捜索から巧みに逃れていたのである。
「おっ、見ろ、艦隊が離散し始めたぞ。」
窓の外の艦隊の動きを注視していたジャンが、慌ただしく動く帝国の艦隊の動きに気が付いた。
よし、俺の思惑通りだ。
そんなジャンの思惑とは関係なしに、C-3POは喚き続けた。
「全く理解できません、船長! この状況では降伏以外あり得ません! 帝国にも慈悲くらいは―――――――・・・・・・・・・・・・
あまりの鬱陶しさに、C-3POの電源を落としたのはミカサだった。
帝国に慈悲など、期待する方が間違っている。
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- 30 : 2016/01/03(日) 20:22:27 :
「ナイスだ、ミカサ。」
「それで、次の奥の手は何?」
「標準的な帝国軍の作法に従えば、奴らは光速にジャンプする時にはゴミを捨てるんだ。」
「ゴミなら私たちにお似合いだ。それで?」
「どっか安全な港が近くにありゃいいんだけどな・・・・・・。」
ジャンはそう言うと、目の前のモニターのスイッチを入れ、星図を確認し始めた。
「ジャン、ここはどのあたりなの?」
「アノート星系だ。」
「目立った星は私の知識には無い。」
「ん? ちょっと待てよ・・・・・・こいつは面白いな、マルコだ。」
「マルコ星系?」
「違う、人間だ。マルコ・ボット。サバックのプレイヤーでお前の大好きな悪党だ。」
「それはどうも。」
にやけながら言うジャンを冷静にあしらうミカサ。
あっさりとあしらわれて少し不満げに、ジャンは話を続けた。
「惑星べスピンか・・・・・・・・・・・・少し遠いが行けるだろ。」
「この惑星は・・・・・・・・・・・・採鉱植民地?」
「ああ、ティバナ・ガスのな。マルコが誰かからだまし取った。俺とマルコはそうだな、腐れ縁だ。」
「信用できるの?」
「いや・・・・・・だが、帝国を憎んでいるのは確かだ。」
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- 31 : 2016/01/03(日) 20:23:49 :
ギイイ・・・・・・・・・・・・
不気味な音が、ミレニアム・ファルコンの船体の全体に響いた。
「帝国の奴ら、いよいよゴミを捨てるみてえだな。よし、チューイ、準備しろ。」
__________今だ!
ジャンが合図を出し、チューバッカは船体をスター・デストロイヤーの背中から切り離した。
捨てられていくゴミに紛れて、ミレニアム・ファルコンが帝国の戦艦からゆっくりと離れていく。
ドゴオォオン!!
スター・デストロイヤーが光速にジャンプし、ミレニアム・ファルコンは再びエンジンを点火した。
「何とか逃げ切れたな。」
「ジャン、あなたのことを、少しは見直した。」
ミレニアム・ファルコンは惑星べスピンを目指し、亜光速で飛んでいく。
「・・・・・・・・・・・・わりいなあ、ジャン。お前のトリックはお見通しってな。」
その背後を、同じようにゴミに紛れたケニーのスレーヴⅠが、密かに追跡しているとも知らずに・・・・・・。
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- 32 : 2016/01/03(日) 20:25:46 :
- 以上で、第4話が終了になります。
次回はいよいよ、惑星べスピン、クラウド・シティ編です。
クラウド・シティは、エピソードⅡで出てきた海上都市、ティポカ・シティと対になる都市になります。
次回も、よろしくお願い致します<m(__)m>
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進撃×スター・ウォーズ ~帝国の逆襲~ シリーズ
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