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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

エレン「エピソードⅡ」 ヒストリア「クローンの攻撃」 ④ 進撃×スター・ウォーズ

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  1. 1 : : 2015/10/10(土) 22:06:17
    進撃×スター・ウォーズ、エピソードⅡ、クローンの攻撃の第4話です。


    よろしくお願いします。
  2. 2 : : 2015/10/10(土) 22:56:18






    第4話


    暗黒の潮流














    ドゴオォオンッ!!

    エレンとヒストリアを乗せたヌビアン・ヨットはハイパースペースを離脱し、タトゥイーンの近くへと姿を現した。



    ※ヌビアン・ヨット
    http://www.starwars.jp/wiki/images/1/1f/Naboo_Yacht.jpg










    銀色のクロームに覆われた、ナブー王室専用の船は、前回とは違い、モス・エスパの街の中にある宇宙船の発着場へと着陸した。








    「ここもあんま変わってねえなぁ・・・・・・。」


    モス・エスパの街は、相変わらずたくさんのエイリアンや人間たちでごった返していた。







    慣れ親しんだ街を進みながら、エレンはヒストリアと一緒に、かつて奴隷として使われていた店へと足を運んだ。








    <ほらッ! さっさとしねえぇかッ!!>


    店の外で腰を下ろし、従業員のドロイドにハット語であれこれと指示を出しているのは、かつての所有者であるトイダリアン、ワトーであった。








    <手伝おうか、ワトー?>


    エレンがハット語で話しかけると、ワトーは如何にも胡散臭そうな目でエレンを見た。
    エレンはそんなことを意にも介さず、ワトーがいじっていたドロイドを取り上げた。






    <何の真似だ!? おっと、お前はジェダイか!? わしは何にもしちゃいねぇぞ!?>





    ワトーは食ってかかろうとしたが、腰にぶら下げているライトセイバーを見た瞬間にひるんだようだった。
    ・・・・・・余程エルヴィンさんのことがトラウマになっているらしい。





    ドロイドを修理しながら、エレンはワトーに簡単に尋ねた。


    <なぁ、カルラ・イェーガーはどこにいるんだ?>







  3. 3 : : 2015/10/10(土) 22:56:53









    ワトーは一瞬動きを止め、それからまじまじとエレンの顔を見た。


    「・・・・・・エレン? お前・・・・・・エレンか?」







    修理し終わったドロイドをワトーに差し出すと、ワトーは驚いて思わず背中についた羽をばたつかせた。


    「間違いねぇッ! お前はエレンだなッ!! あんなチビがこんなに立派になりやがってッ! しかも、ジェダイになったとはなッ!!」









    十年ぶりに再会したワトーは、無精ひげを生やし、牙も何本か抜けてしまったようだった。
    懐かしさを感じないわけではなかったが、今の俺は再会を楽しむ気にはなれなかった。







    「借金の取り立てを手伝ってくれねぇか? お前がいれば早く終わりそうだ。」

    「母さんはどこにいるんだよ?」







    ぴしゃりというエレンに、ワトーは急にばつの悪い顔をした。







    「あ~、カルラか。カルラはもう・・・・・・わしのもじゃない。売っちまったんだ。」

    「売った!?」







    エルヴィンに賭けで大敗した後、ワトーは間もなくカルラも手放していた。




  4. 4 : : 2015/10/10(土) 22:57:55







    「すまねぇとは思ってる。だが分かるだろ? 商売は商売だ。ラーズとかいう農家に売ったんだ。そしたら驚いたことに、カルラを自由の身にして結婚したんだとよ!」

    「!! ワトー、母さんが今どこにいるか分かるか?」

    「ここからはかなり遠いぞ。確かモス・アイズリーの向こう側だったはずだ。」







    エレンはほっとした半面、何か嫌な予感に駆られた。
    何かまだ見落としているような、そんな感覚だった。








    「教えてくれ、ワトー。」

    「ああ、店の販売記録を見に行こう、な?」







    ワトーはエレンとヒストリアを店内へと招き入れた。
    店内も十年前とあまり変わっていなかったが、ここにはあまりいい思い出がない・・・・・・。








    エレンはカルラが今どこにいるのかを教えてもらうと、早々にこの店を立ち去っていった。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  5. 5 : : 2015/10/10(土) 23:19:27










    ドゴオォオンッ!!


    ケニーの乗ったスレーヴⅠは、ハイパースペースを抜けて、荒涼とした岩の惑星、ジオノージスの近くに姿を現した。




    ※スレーヴⅠ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/9/99/Firespray_Attack.jpg

    ※ジオノージス
    http://www.starwars.jp/wiki/images/5/59/Geonosis.jpg













    ドゴオォオンッ!!


    後を追うようにアルミンの乗ったジェダイ・スターファイターもハイパースペースを離脱。







    円状のハイパードライブ・リングを取り外すと、矢尻型の戦闘機はケニーのスレーヴⅠを追跡し始めた。











    「父さん、つけられてるぜ?」


    モニターを見たケニー・ジュニアが、スレーヴⅠの後ろをつけてくる機影を確認した。








    「あのクソ野郎め、俺の船に発信機を仕込みやがったな? 踏ん張れよ、小惑星帯にはいる。」


    スレーヴⅠはそのまま、ジオノージスを取り巻く小惑星帯へと入っていった。









    「少し脅かしてやるか?」


    親子ともどもにやけながら、ケニーはサイズミック・チャージのスイッチを押した。







    スレーヴⅠの後ろから、一発の爆弾が放たれた。










    ジェダイ・スターファイターのコクピット内に警報音が鳴り響く。


    「サイズミック・チャージだ。衝撃準備!」







  6. 6 : : 2015/10/10(土) 23:20:39








    その爆弾は、小惑星帯の隕石の一つに着弾した。



    ※サイズミック・チャージ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/7/71/Seismic_Charge.jpg







    一瞬の無音。
    すべての音を吸い取り、それから衝撃波が炸裂した。







    ビイィィィィィン・・・・・・ッ!!


    衝撃波は瞬く間にたくさんの小惑星を破壊した。
    アルミンは機体を左右に揺らし、何とか衝撃波を凌ぐ。











    「もう一発来る! 耐えるんだ、R4!」


    今度はアルミンの背後の小惑星に着弾した。
    再び音が吸い込まれ、衝撃波が広がる。







    ビイィィィィィン・・・・・・ッ!!


    後ろから襲い来る衝撃波、それから破壊された小惑星。
    巨大な小惑星と小惑星の間を潜り抜け、アルミンは二撃目のサイズミック・チャージも何とかやり過ごした。







  7. 7 : : 2015/10/11(日) 16:53:53











    アルミンが巧みに衝撃波や隕石を躱す様子を、ケニーもモニター越しに確認していた。


    「おいおいおい、人の優しさの分からねぇ奴だな。」








    ケニーにとってサイズミック・チャージは、ただの警告であった。
    アルミンのスターファイターよりも一回り大きいスレーヴⅠの舵を握り、ケニーは小惑星帯を抜けていく。







    「よし、あれを抜けるぞ。」

    「頑張って! 父さん!」






    間もなくケニーは一際大きな小惑星に目を付けた。
    そこに空いている穴の中にスレーヴⅠが突入していく。








    「僕を撒くつもりか・・・・・・そうはさせない。」


    アルミンもまた、ケニーを逃がすまいと小惑星の空洞の中に入っていく。







    暗い小惑星の洞窟の中を、二機の戦闘機がトップ・スピードで駆け抜けていく。







    「父さんッ! 危ないッ!!」

    「おおっとッ!!」






    ドゴォンッ!!

    咄嗟に機体を横に回転させ、狭い空洞を切り抜けるスレーヴⅠ。








    「よし、もうすぐ出口だ。」


    ケニーは空洞から出るや、すぐに機体を上昇、上方の小惑星の後ろに身を隠した。









  8. 8 : : 2015/10/11(日) 16:56:12









    「まずいなぁ・・・・・・このままだと振り切られるぞ。」


    後方から追尾してきたアルミンも出口に到着する。
    そして、ケニーを追跡することに集中するあまり、アルミンは洞窟からまっすぐ出てしまった。









    小惑星の影からアルミンの背後へと姿を現すスレーヴⅠ。
    ここに来て、狩人と獲物の関係が逆転した。








    「わりいなぁ、これも仕事だからなぁッ!」


    ケニーはヘビー・レーザーのトリガーを思いっきり引いた。












    ピュピュピュピュピュピュピュッ!!


    「!! しまったッ!!」







    アルミンの背後から、容赦なくレーザーの猛射が襲い掛かる。
    必死に機体を左右に揺らし、回転させてレーザーを躱していく。


    「もうッ! だから飛ぶのは嫌いなんだッ!!」







    アルミンのスターファイターはスピードを重視した設計であり、防御シールドを備えていなかった。
    一発でもレーザーを喰らえば、たちまち致命傷になる。









    ピュピュピュピュピュピュピュッ!!


    狭い小惑星帯の中、背後からのレーザーを躱しながら、トップ・スピードで逃げるアルミン。
    アルミンは弟子のエレンから操縦のトリックを学び、ジェダイの中でもエレンやエルドに次ぐエース・パイロットであった。






    だが・・・・・・






  9. 9 : : 2015/10/11(日) 16:57:50







    「やるじゃねぇか、ジェダイ様よぉ。だが、いつまでもつかな?」


    ケニーは攻撃の手を一切緩めなかった。
    放ったレーザーが隕石に命中して爆発し、赤い火花を散らしていく。








    ドゴォンッ!

    「うわっ!!」




    そして、スレーヴⅠの一撃が遂にスターファイターに命中した。
    なんとか爆発までには至らなかったのだが・・・・・・








    「くっ、出力低下だ・・・・・・。」


    最高速度を出せないまでに、機体にダメージを負ってしまった。









    スレーヴⅠの中では、父親の活躍に息子が歓喜していた。






    「やったッ!!」

    「よし、止めを刺すとするか・・・・・・。」






    そう言うとケニーは振盪ミサイルのスイッチに手をかけた。


    「じゃあな、ジェダイ様。」








  10. 10 : : 2015/10/11(日) 16:58:45










    ボシュウッ!!


    スレーヴⅠから追尾型の振盪ミサイルが一発、放たれた。










    「R4! ミサイル接近ッ!!」


    舵を思いっきり握り、スターファイターはありったけのスピードを出して小惑星の中を駆け抜ける。
    前後左右に機体を揺らし、或は機体を回転させて隕石の間を潜り抜けていく。








    「くそ、振り切れないッ!!」


    だが、損傷した機体ではミサイルを振り切れるだけの速力は最早望めなかった。









    手にべっとりと汗を滲ませ、アルミンは叫んだ。


    「R4! スペアパーツ放出準備ッ!! 合図を出したら放出するんだッ!!」








    R4が電子音を出して応答する。
    パーツのしまってある格納室の扉にアクセスする。


    アルミンはそのまま、大きな小惑星と小惑星の間に入った。






    「今だッ!!」


    R4が格納室の扉を開けた。
    中にしまってあったスペアパーツが放出。


















    ドゴオォオンッ!!


    振盪ミサイルはスペアパーツに衝突、眩しい光と共に大爆発を起こした。

















    スレーヴⅠの計器から、アルミンのスターファイターの機影が消えた。









    「よし、これで邪魔者はいなくなったな。はぁ、まったく割に合わない仕事だなぁ。」


    しつこく追撃してきたジェダイ野郎を駆逐し、ケニーは大きくため息をついた。











    ケニーのスレーヴⅠはそのまま小惑星帯を抜けると、ジオノージスへと接近。




    夜明け前の赤い台地。
    その一角に隠された発着場の入り口が開くと、スレーヴⅠは静かにその中に入っていった。







  11. 11 : : 2015/10/11(日) 22:49:12























    「・・・・・・そろそろいいかな、R4?」





    ____________まったく、海の藻屑になりかけたかと思えば、今度は宇宙の塵になるところだった・・・・・・。









    振盪ミサイルが爆発した瞬間。
    僕は強引に近くの小惑星へ不時着して張り付いた。



    下手すればこの機体も木っ端微塵になるところだったが、何とか耐えてくれたようだ。
    毎回ではあるけれど、自分の悪運の強さを呪いたくなる。









    「さて、そろそろ出発だ。」


    小惑星からスターファイターを切り離し、アルミンもまた惑星ジオノージスの地表を目指した。














  12. 12 : : 2015/10/11(日) 22:50:19
















    夜明け前の光が差し込むジオノージスの赤い台地。
    アルミンはここで、驚くべき光景を目の当たりにした。








    「・・・・・・どうしてここに、通商連合の船がこんなに停泊しているんだ?」


    地上にたくさん停泊しているのは、紛れもなく通商連合のバトルシップであった。
    しかもこのバトルシップは、十年前にナブー侵略の際に使われたものと同じ・・・・・・。



    ※ジオノージスに停泊する通商連合のバトルシップ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/8/88/Lucrehulk-class_Core_Ships_on_Geonosis.jpg









    「・・・・・・どうも嫌な予感がするんだよなぁ。」









    アルミンの嫌な予感はよく当たる。
    スターファイターはそっと、渓谷の中、目立たない場所へと着陸した。





    アルミンはコクピットを開けると、しげしげとスターファイターを確認した。
    機体は激しく損傷し、長い航行にはもう耐え切れそうにない・・・・・・。









    「R4、機体をできるだけ修理しておいてくれ。僕はこれから・・・・・・この惑星で何が起こっているのかを探ってくる。」



    忠実なR4は電子音を立てて返事をした。
    アルミンは息を殺し、周りを警戒しながら不毛の大地を歩き始めた。











    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇









  13. 13 : : 2015/10/12(月) 21:13:27











    「あれだ・・・・・・あの小さな家がそうに違いない。」








    エレンとヒストリアは、モス・アイズリーの外れにある、小さな水分抽出農家の近くに船を降ろした。
    砂漠の惑星、タトゥイーンでは、大気中から水分を抽出する農家がたくさんある。



    ここ、ラーズ家も、そんな何の変哲もない農家の一つに過ぎなかった。



    ※ラーズ家
    http://www.starwars.jp/wiki/images/b/b9/Lars_Homestead.jpg








    「よし、R2・・・・・・お前は船の中に残っててくれ。」


    R2をヌビアン・ヨットの中に残し、エレンはヒストリアを引き連れて船を降りた。







    ラーズ家の入り口に向かって歩いていくと、外で働く古ぼけた外見のドロイドを発見した。
    そのドロイドはエレンを見つけると丁寧なあいさつをしてきた。







    「こんにちは。何か御用でしょうか? 私はC-――――――――「3POかッ!?」


    エレンは思わず声を上げた。
    すると、C-3POも同じように驚きの声を上げた。







    「創造主よ! エレン様! きっと戻ってくると思っておりました! それに・・・・・・クリスタ様も!」

    「こんにちは、C-3PO。」










    ____________十年前はカバーをつけて無くて、配線が剥き出しだったのに・・・・・・。


    きっと、母さんが取り付けてくれたんだ。







    詳しいことを聞かなくとも、エレンはそのあたりの事情を察した。
    俺がガキの頃に組み立てたドロイドを、今だに大切にしてくれている・・・・・・そのことだけで胸の詰まる思いがした。






  14. 14 : : 2015/10/12(月) 21:14:08








    「またお会いできて、わたくし回路がショートしそうです!」

    「母さんに会いに来たんだ。会わせてくれるかい?」








    ひどく無邪気に言うエレンに対し、C-3POはまごついた。


    「あの・・・・・・とりあえず中に入られたほうがよろしいかと存じます。」









    何か後ろめたい様子で、C-3POは家の中に案内してくれた。






    ____________何か、あったのだろうか・・・・・・。


    エレンの心は急激に曇っていった。



    何かが胸を騒がせる。
    何か、嫌な予感がする・・・・・・。









    「フランツ様、お客様です。」


    家に入って階段を下っていくと、地面に開けられた穴の中へと繋がっていた。



    ※ラーズ家
    http://www.starwars.jp/wiki/images/5/53/Lars_Homestead2.jpg








    すると、穴の壁に開けられた部屋の一つから、男と女が一人づつ出てきた。






    「やぁ、君がエレンだね?」

    「あぁ、俺はエレン・イェーガーだ。こっちはヒストリアっていうんだ。」

    「義兄弟の君がいつかやってくると思っていたよ・・・・・・ああ、自己紹介が遅れたね? 僕はフランツ・ラーズっていうんだ。こっちはガールフレンドのハンナ・ホワイトサンだ。」

    「こんにちは、エレン、ヒストリア。」







    フランツとハンナは丁寧なあいさつをした。


    見たところ、フランツとハンナは俺と同じか少し上くらいだ。








    暗い予感に胸を騒がせていた俺は、二人にすぐに母さんのことを尋ねた。


    ____________顔を見合わせ、暗い顔をするフランツとハンナ。






  15. 15 : : 2015/10/12(月) 21:15:12








    「・・・・・・済まない、カルラはもうここには居ないんだ。」


    すると突然、部屋の奥から声が聞こえた。








    一人の男性が浮遊式の車椅子に乗ってこちらにやってきた。
    見た目は60代の老人であり、しかも右足を失っていた。


    その老人はエレンに近づくと、スッとエレンに右手を差し出した。







    「グリシャ・ラーズだ。」


    エレンとグリシャは握手を交わした。
    その力の強さ、伝わってくる意志の強さに、母さんがなぜ惹かれたのかが分かった気がした。









    「エレン、君には話さなければならないことが沢山ある。中に入ろう。」


    そう言ってグリシャは俺たちをキッチンへと案内してくれた。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  16. 16 : : 2015/10/13(火) 17:42:32










    「あれは夜明け前のことだった・・・・・・。カルラは水分凝結機にいつも生えるマッシュルームを取りに外に出ていたんだ。だが、いつまでたっても戻ってこなかった。
    不審に思った私が外に出ると、カルラは既に攫われた後だった・・・・・・足跡からすると恐らく、タスケン・レイダーの狩猟隊だ。」

    「そんな・・・・・・。」







    グリシャは食卓のテーブルの前につくと、母さんの身に起こったことを話し始めた。
    彼の表情は苦痛に歪み、如何にも苦しげだった。


    足を失ったことによる幻肢痛か、
    妻を失ったことによる心痛か、
    はたまたその両方か。







    「それで、母さんはどうなったんだよ?」

    「すぐに私たちは討伐隊を結成し、スウ―プ・バイクに乗って奴らを追いかけた。しかし、30人で追ったのに、生きて帰ってこれたのは私を含めて4人だけだった。
    また行きたいと思ったのだが、私は右足を失って・・・・・・傷が癒えるまでは動くこともままならなかった。」








    余りの惨状に、エレンもヒストリアもかける言葉が見つからない。
    やがてグリシャは、苦痛の中から絞り出すように言った。












    「カルラが行方不明になってから・・・・・・すでに一ヶ月が経った。もはや望みはないだろう・・・・・・。」







  17. 17 : : 2015/10/13(火) 17:43:16







    悲しみが食卓に圧し掛かり、沈黙が全員の口を鎖した。


    すると、エレンは不意に立ち上がった。







    「エレン・・・・・・どこに行くんだ?」

    「・・・・・・母さんを助けに行きます。」








    グリシャの問いに、エレンは真っ直ぐに答えた。
    グリシャはエレンの目を見つめると、ゆっくりと尋ねた。








    「私は・・・・・・止めはしない。だが、カルラはもう死んでいるだろう。それでも行くのか?」

    「俺は・・・・・・母さんをこのままにはしておけない、から。」









    エレンはそう言うと、食卓を出て階段を昇り、家の外へと出た。
















  18. 18 : : 2015/10/13(火) 17:44:25



















    遥か彼方の地平線に・・・・・・双子の太陽が沈んでいく。


















    表へと出たエレンは、沈む太陽のその先を望んでいた。









    「・・・・・・エレン。」


    しばらくして、ヒストリアが後ろから声をかけると、エレンはゆっくりと後ろへと振り返った。








    振り返ったエレンは、涙を流していた。


    既に前兆はあったのに・・・・・・。
    あの悪夢を見てからすぐに動かなかったことを、エレンは悔いていた。











    彼は何も言わず、私をただ抱きしめた。
    まるでここに、私がいることを確かめるかのように・・・・・・。









  19. 19 : : 2015/10/13(火) 17:45:12











    やがてエレンは私を離すと、一言、呟くように言った。







    「あの人たちはいい人だ、ヒストリア。ここで待っててくれ。」

    「エレン?」

    「すぐ戻る。」







    そう言うとエレンは踵を返し、フランツのスウ―プ・バイクに跨った。









    ブゥウンッ!!

    バイクに跨ったエレンがみるみる小さくなっていく。
    地平線に吸い込まれるように、やがてエレンが見えなくなった。


















    日が沈んでいく砂漠の中を、エレンはひたすらに走った。



    ※スウ―プ・バイク
    http://www.starwars.jp/wiki/images/c/cc/Anakin_on_Owen_Swoop.jpg







    ある時はフォースが告げる直感に従い、
    ある時はジャワの商人たちに道を尋ね、
    ひたすらに、バイクを飛ばした。






    ごめんなさい、母さん。


    ごめんなさい。
    ごめんなさい。









    心の中で祈るように詫びつつ、暗くなっていく荒地を駆けていった・・・・・・。












    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  20. 20 : : 2015/10/14(水) 18:58:40










    惑星ジオノージスは、一見するとただの不毛の惑星であるが、よく見るとテクノロジーの発達した惑星であった。




    今アルミンが入ろうとしている、赤土で出来た尖塔は、かつてはジオノージアンたちが作り出した巣であったが、この巣の中には高度なテクノロジーが隠されている。
    侵入した尖塔の底をアルミンが覗くと、そこには巨大なドロイド工場が稼働しているといった塩梅であった。



    ※ドロイド工場
    http://www.starwars.jp/wiki/images/c/cf/Geonosis_droid_foundries.jpg










    「思った通りだ・・・・・ケニーは独立星系連合の連中とつるんでるに違いない。」





    しかし、そうなると話のつじつまが合わない気がする。


    ケニーのクローン軍団は、共和国のための軍隊だとカミーノアンたちは言っていた。
    けれど、当のケニーは独立星系連合と関係を持っている。









    どこまでが嘘で、どこまでが本当か・・・・・・いや、言っていることがすべて本当だとしたら、この事件を裏から糸を引く黒幕がいるはずだ。
    そうでなければ話のつじつまが合わない・・・・・・。










  21. 21 : : 2015/10/14(水) 19:04:21











    (「コマース・ギルドと企業同盟に、協定へのサインを説得せねばならん。」)

    「!!」








    考え事をしているうちに遠くから話し声が聞こえ、アルミンは咄嗟に物陰へと姿を隠した。









    「あのナブーの議員はどうした!? あの女の首がデスクに届かなければ、私はサインをしないぞ!?」

    「私は約束を守る男だよ、ガンレイ総督。」










    どうやら話をしているのは、通商連合の総督、ヌート・ガンレイ。


    そして・・・・・・











    「・・・・・・ダリス・ザックレー伯爵だ。」


    聞こえないように、アルミンはぼそりと呟いた。








    最高級の黒色のスラックスをまるで普段着のように着こなし、茶色のマントを優雅に羽織っている。
    彼の白い髪の毛や髭は手入れがしっかりと行き届いており、惑星セレノーの貴族の出であることを思わせる。



    ダリス・ザックレー伯爵は、独立星系連合の幹部たちを引き連れ、秘密の会合を開こうとしていた。







  22. 22 : : 2015/10/14(水) 22:14:41










    アルミンは密かに伯爵の後を付けていった。



    会合のための部屋に入っていく伯爵たちを見届けたアルミンは、そっと別の道を通り、会議室の屋根裏部屋へと入っていった。
    天井の岩の割れ目から、会議室の様子が見える。







    よくよく見ると、円卓を囲むように会議に出席しているのは何とも豪華なメンツだった。





    武器商人にしてジオノージスの大公、ポグル・ザ・レッサー。
    テクノ・ユニオンの代表、ワット・タンバー。
    インター・ギャラクティック・銀行グループ常務取締役、サン・ヒル。
    コマース・ギルド会長、シュ・マーイ。
    通商連合総督、ヌート・ガンレイ。


    更に銀河共和国元老院からも、パッセル・アージェンテ議員やパルパティーン最高議長の政敵として知られるトンバック・トゥアラ議員まで・・・・・・。






    ※ポグル・ザ・レッサー
    http://www.starwars.jp/wiki/images/4/41/Poggle_the_Lesser.jpg

    ※ワット・タンバー
    http://www.starwars.jp/wiki/images/3/30/Wat_Tambor.jpg

    ※サン・ヒル
    http://www.starwars.jp/wiki/images/e/e5/San_Hill.jpg

    ※シュ・マーイ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/1/1c/Shu_Mai.jpg

    ※パッセル・アージェンテ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/5/5f/Passel_Argente.jpg

    ※トンバック・トゥアラ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/6/69/Toonbuck_Toora.jpg








    いずれも経済界に絶大な影響力を持つエイリアン企業や、その関係者ばかりであった。



    「彼らは一体・・・・・・何を始めようとしてるんだ?」












    頭の回るアルミンでさえも、彼らの目的を推測するのは困難であった。





    まぁ、どう考えてもボランティアが目的じゃないだろう・・・・・・。
    それに、この建物の地下には、大規模なドロイド工場があった。











    ・・・・・・まさか。










  23. 23 : : 2015/10/15(木) 00:04:39








    「ご出席のみなさん。先に説明した通り、あなた方の支援によって一万を超す星系が我々の大義の元に集結するだろう。」

    「伯爵、それは・・・・・・共和国に対する“反逆”を意味するのではないかしら?」








    会議を取り仕切るザックレー伯爵に対し、コマース・ギルド会長、シュ・マーイの口から“反逆”という言葉がタイミングよく飛び出して、僕はぎょっとした。






    ・・・・・・間違いない。


    彼らは共和国に対して戦いを挑む気だ。
    戦争を起こす気でいるのだ。







    「テクノ・ユニオンのドロイドはあなたの意のままです、伯爵。」

    「我々銀行グループも協定にサインしましょう。」

    「よろしい。大変に結構だ。」









    満足そうな笑みを浮かべて、伯爵は威厳たっぷりにうなずいた。
    ザックレーは通商連合のガンレイ総督を見やり、それから低い声でゆっくりと話し始めた。


    「通商連合の同士たちも支援を約束してくれた。みなさんのドロイドを合わせれば、我々は銀河に類を見ない強大な軍隊を手に出来る。ジェダイすら問題にならない。共和国は我々の要求を呑まざるを得なくなるだろう。」












    ・・・・・・しかも、戦うに足るだけの十分な軍隊は既に揃っているようだった。







  24. 24 : : 2015/10/15(木) 00:06:19









    ____________おかしすぎる。




    あまりにタイミングが良すぎる。
    あまりに話が出来過ぎている。






    独立星系連合には強大なドロイド軍があり、
    一方で共和国にも、クローンの軍隊が既に発注されている。






    ここにおいて、アルミンは一つの結論に達した。


    「誰かが・・・・・・共和国と独立星系連合を戦わせようとしているんだ。」








    そうなると、この事件の黒幕は独立星系連合と元老院の両方に影響力を持つ人間ということになる。
    アルミンはそいつがシスの暗黒卿だろうと仮定した。


    「でも、一体何のために・・・・・・。」









    とにかく、この重大な事実を共和国に報告しなければ。


    アルミンはこっそりと屋根裏部屋から抜け出し、通信設備のあるスターファイターへと急ぎ足で戻り始めた。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  25. 25 : : 2015/10/15(木) 05:39:29










    深夜になり、砂漠の水平線の上に三日月がかかった頃、エレンは漸くタスケン・レイダーのキャンプへと到着した。











    粗末なテントがいくつも立てられている彼らの集落は、遊牧民らしくいつでも移動が可能なように簡素な造りになっていた。
    何人かのタスケン・レイダーの男性がたき火を熾して見張りをしている。



    エレンは崖の上から集落の様子を覗いていたが、やがて決意を固めると、崖の上から飛び降りて集落へと近づいた。













    エレンが集落に近づいた丁度その時、タスケンが飼いならしていたマシッフたちが骨を巡ってケンカし始めた。



    ※マシッフ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/d/d3/Massiff_Tatooine.jpg








    ____________チャンスだ。




    騒音に紛れ、フォースに導かれるままにエレンはテントに近づき、ライトセイバーを起動した。
    ケンカをするマシッフの立てる音が、光刃の唸るような起動音やテントに穴を開ける音をかき消してくれた。











    開けた穴からエレンがテントの中に入ると、そこには両手を木に縛られ、ひどく痛めつけられているカルラがいた。
    一ヶ月にも渡ってタスケン・レイダーから暴行を受けていたカルラは、それはひどく衰弱していた。







  26. 26 : : 2015/10/15(木) 05:40:13







    「母さんッ!」


    そっとエレンは近寄り、両手を縛っている革ひもをほどくと、座った姿勢をとり右腕を使ってカルラを抱えた。
    涙で声を詰まらせながら、エレンは母親に語り掛けた。









    「母さん・・・・・・俺だよ、分かるだろ?」

    「エレ・・・・・・ン・・・・・・? エレンなの・・・・・・?」










    焦点の合わない虚ろな目で、カルラは息子を見た。










    「とっても・・・・・・ハンサムになったのね・・・・・・」

    「当たり前だろ、母さんの息子なんだから! 今助けてやるからな!」

    「ふふ・・・・・・もう心残りは・・・・・・ないわ・・・・・・」

    「何言ってんだよッ! 俺が助けるよッ!」








    必死に頭を振ってカルラの言葉を否定するエレン。
    カルラはゆっくりと右手をエレンの頬に当てた。









    「聞いて・・・・・・エレン・・・・・・あい・・・・・・してる・・・・・・あい・・・・・・し・・・・・・て・・・・・・・・・・・・」



















    カルラは短く息を吐くと、力なくうなだれた。
    命の最後の灯が、消えた。
















    ____________どうして?


    どうして俺は、助けられなかった?



    どうして?
    どうして!?






    震える左手でエレンはそっと・・・・・・・・・・・・カルラの目を閉じた。











  27. 27 : : 2015/10/15(木) 05:41:07












    「う・・・・・・うぅ・・・・・・・・・・・・ぐおおぉおおああぁああッ!!」


    エレンは叫び声・・・・・・悲鳴を上げると、ライトセイバーを握って青い光刃を起動した。











    駆逐・・・・・・シテヤル・・・・・・


    イッピキノコラズッ!!











    叫び声に気が付いたタスケンが二人、テントの中に入ってきた。
    エレンはためらうことなく、タスケンの首をライトセイバーで刎ねた。




    テントから出たエレンは、立ち向かって来るタスケンたちを容赦なく血祭りにあげた。
    何か体に力が満ち、エレンはそれに操られるままにタスケンを斬りまくった。







    「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・うおおぉおぉぉッ!!」


    戦意を喪失し、逃げ出すタスケンに対しても、エレンは容赦せずに追撃した。
    フォースでテントを掴み、それを持ち上げると、それを投げつけてタスケンたちを押しつぶした。














    ・・・・・・・・・・・・めろ・・・・・・止めろッ! エレンッ! エレンッ!!






    すると、何処からか、自分を止める声が聞こえてきた気がした。
    それでもエレンは止まらずに、ただひたすらにタスケンを殺しまくった。



    残ったテントの中にずかずかと入ると、タスケンの子供と女性がそこにいた。
    気が付くと、子供を守ろうとしたタスケンの女性の胸を光刃が貫き、女性は悲鳴を上げて倒れた。









    倒れた母親を見て泣き叫ぶ子供を・・・・・・エレンは斬って捨てた。








  28. 28 : : 2015/10/15(木) 05:42:00











    フォースに大きな乱れが生じた。
    巻き起こった暗黒の潮流は、波紋が広がるように銀河中を震えさせた。






    それは、銀河を半分ほど隔てたコルサント。
    ヨーダの私室にさえも届いた。










    瞑想に耽っていたヨーダは、突如として現れたフォースの乱れに大きく心を乱した。
    そして、ヨーダもエレンを止めようとする叫び声を聞き、その声の主に驚愕した。









    ・・・・・・・・・・・・エルヴィン・スミスの声だった。




    10年前にエレンを見出し、ジェダイにしようとした男。
    そして、ダース・モールに敗れてフォースと一体になったはずの男。







    ____________死者が蘇るなどあり得ない。


    だが、確かに聞こえてくる声はエルヴィンのものだった。







    エレンにもエルヴィンの声は聞こえてはいた。
    しかし、ダークサイドに囚われたエレンは、かの声がエルヴィンのものだと気が付かなかった。



    やがてエレンは、タスケンたちを全員虐殺した。
    男だけではない・・・・・・女子供も含めて、全員。











    「今のは何だ? 何が起こっている!?」


    同じく異変を感じ取ったリヴァイが、ヨーダの私室を訪ねてきた。
    死んだはずのエルヴィンの声をリヴァイもまた聞き取り、心中、穏やかではなかった。











    「痛み、苦痛・・・・・・そして、死を感じる。若きイェーガーが苦しんでおる。恐ろしいほどに、苦しんでおる。」


    ヨーダは沈黙し、それ以上は語ろうとはしなかった。











    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  29. 29 : : 2015/10/15(木) 20:14:58











    「・・・・・・ダメだ、R4。長距離通信装置が・・・・・・壊れてる。」



    アルミンはスターファイターからコルサントへ直接通信を取ろうと試みていた。
    だが、コルサントはあまりに遠すぎ、通信を取ることは叶わなかった。







    ____________レーザーに当たらなければ、こんなことにはならずに済んだのに・・・・・・。


    直そうにもスペアパーツは全て放出してしまって部品が足りない状況だ。





    あれ? 
    前にも部品がなくて立ち往生したことがあるような・・・・・・。







    アルミンはため息をつくと、通信機の状態を詳しく調べ始めた。



    「送信器自体は正常なんだけど・・・・・・そうだ、ナブーにいるエレンになら通信が取れるかな?」










    アルミンはR4に命じ、通信機をナブーへと向けた。



    「あれ? エレンがナブーにいない? そんなバカな・・・・・・捜索範囲を広げよう。」










    ____________何事もなければいいんだけど・・・・・・。




    アルミンもまた、フォースの乱れを感じ取っていた。
    ただし、彼にはその乱れの中枢にエレンがいたことまでは感じ取ることが出来ていなかった。


    それほどまでにアルミンは危険な状況にあり、そこに全神経を注ぐわけにはいかなかったためである。











    暫く星図を見ながらエレンの行方を捜すアルミン。
    すると、モニターに反応があったことを示すサインが映し出された。









    「!! エレンの追跡シグナルだ・・・・・・・・・・・・タトゥイーンからだって!? 君は一体何をしているんだ!?」







    命令を無視してナブーを飛び出していたエレンに驚くアルミン。
    また弟子が独断で飛び出したことに師匠は頭を痛めたが、今はそれどころではない。



    仕方がないと呟くと、アルミンはR4にホログラムを録画するように命じた。














    「エレン、聞こえる!? こちらアルミン・アルレルト。このメッセージをコルサントに送信してくれ!」











    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  30. 30 : : 2015/10/16(金) 00:26:31











    夜が明けて、双子の太陽が地平線の上に昇った頃、エレンは戻ってきた。










    ヒストリアやグリシャ、フランツやハンナが駆け寄る中、エレンは無言で後ろに乗せた、布に包まれた母の遺骸を両腕で抱えた。



    誰も言葉を発せなかった・・・・・・。
    エレンは悲痛な表情をしたまま、遺体を抱えて家の中に入っていった。





































  31. 31 : : 2015/10/16(金) 00:28:08










    「エレン、何か食べないと体に悪いわ・・・・・・。」



    ラーズ家のガレージに引きこもり、機械を修理しているエレンを気遣い、ヒストリアが食べ物を持ってきた。
    エレンはヒストリアに目をやろうとせず、ひたすらに機械を修理していた。



    ヒストリアも無理に話を聞こうとはせず、ブルー・ミルクや食べ物をエレンの近くにそっと置いた。








    ややあってエレンは、まるで独り言を言うように話を始めた。



    「シフターが壊れてる。機械に比べたら、命なんて簡単だと思うときがある。機械を直すのは昔から得意だったからな。俺はいつも簡単に機械を直せたんだ。
    でも、出来なかった・・・・・・。母さんを・・・・・・救えなかった。なぁ、どうして死ななきゃならなかったんだ!? どうしてッ!?」









    機械を見つめたまま話すエレンの声は、震えていた。







    「時にはどうにもならないこともあるわ、エレン。誰だって万能じゃないもの。」

    「でもそうあるべきだったんだッ! いつかきっと・・・・・・俺は最強のジェダイになるッ! 人を死から救って見せるッ!!」

    「・・・・・・エレン。」







    話ながら、エレンはヒストリアに顔を向けた。



    どれだけ涙を流したのだろう・・・・・・。
    瞼は赤く、腫れぼったくなっていた。









    「全部アルミンが悪いんだッ! あいつは俺の才能に嫉妬して、俺の邪魔ばっかしやがるんだッ!!」



    エレンは怒鳴ると、手に持っていたドライバーを部屋の隅へと力まかせに投げつけた。







  32. 32 : : 2015/10/16(金) 00:30:19










    ____________言っていることが支離滅裂だ。



    恐らくエレンは悲しみに耐えず、それをアルミンへの不満へと結びつけたのだ。
    そうでもしないと、エレン自身が耐えられないほどに、深く悲しんでいるのだ。













    「・・・・・・・・・・・・何があったの、エレン?」



    ヒストリアがいたわるように聞くと、エレンは胸を焼くような悲しみと怒りがないまぜになったような表情をして答えた。










    「俺は・・・・・・サンド・ピープルを皆殺しにした。」

    「!!」

    「男だけじゃない・・・・・・女も子供も、全員だッ! あいつらはけだものだッ! だからけだものみたく殺してやったんだッ!!」









    エレンの瞳に、燃えるような復讐の炎が・・・・・・映った。
    ほんの一瞬、エレンの深緑の瞳が、黄色く見えたような気がした。








    「・・・・・・怒るのは、人として当然よ?」

    「でも、俺は・・・・・・ジェダイなんだ。ほんとは・・・・・・怒りに呑まれちゃ、いけないのに・・・・・・クソォ・・・・・・。」









    そのままエレンは再び涙を流し始めた。
    感情を持て余し、エレン自身もどう扱ったらよいか分からず、ただひたすらに泣き続けた。
























  33. 33 : : 2015/10/16(金) 01:02:24







































  34. 34 : : 2015/10/16(金) 01:02:36


























    カルラの遺体はラーズ家から少し離れた、小さな墓の中に埋葬された。












    グリシャは車いすの上から、最愛の妻へと別れを告げた。


    「カルラ・・・・・・お前は男が望むことのできる、最高の伴侶だった。さようなら。そして・・・・・・ありがとう。」










    フランツとハンナもグリシャに寄り添い、カルラに別れを告げた。
    すると、エレンが2、3歩前に出たかと思うと、墓の前で膝をついた。



    「俺に力がなかったから、母さんを救えなかった・・・・・・。でも、もう同じ失敗はしない、約束する。」



















    でも・・・・・・寂しくて堪らないよ、母さん。










    エレンの心から、大切な何かが抜け落ちた。
    生きた屍みたいに、虚ろな気持ちになって、エレンはふらふらと立ちあがった。









  35. 35 : : 2015/10/16(金) 13:33:38












    丁度その時だった。
    エレンとヒストリアが乗ってきた船のほうから、電子音が聞こえた。






    「!! どうしたの、R2?」


    ヒストリアがR2に呼びかけると、C-3POがR2の言葉を通訳してくれた。







    「アルミン・アルレルトという人からのメッセージを預かったのだそうです。エレン様、お心当たりはありますか?」

    「!! 本当なのか!? R2!?」








    まるで頷くように、R2は電子音を立てた。








    ____________一体どんなメッセージだろうか?


    そんなことを考えていると、グリシャがふいにエレンに話しかけた。








    「エレン・・・・・・そろそろ出発するのか?」

    「・・・・・・まだ、分かりません。」









    躊躇いがちに返事をすると、不意にグリシャは微笑んだ。








    「エレン・・・・・・君に、C-3POを返そうと思うんだ。」

    「えっ!?」

    「このドロイドは君が作ったんだろう? それに、今となってはカルラの形見だ。君が持っていた方がカルラも喜ぶだろう。」

    「グリシャさん・・・・・・。」










    思わず目頭が熱くなった。
    俺は、C-3POを喜んで引き取ることに決めた。







  36. 36 : : 2015/10/16(金) 13:34:57










    さて、船内に戻ると、R2は船のコクピットにある端子にアクセスした。
    コクピットの真ん中にあるホログラム装置から、アルミンの青いホログラムが映し出された。








    『エレン、聞こえる!? こちらアルミン・アルレルト。このメッセージをコルサントへ送信してくれ!』









    ____________何かあったのだろうか?


    エレンはすぐに、メッセージをコルサントへとつないだ。
















    コルサントにある元老院最高議長のオフィス。
    ロイヤルレッドの壁を持つ公的オフィスの真ん中に、アルミンの映像が映された。




    オフィスにはパルパティーン最高議長やマス・アメダ副議長。
    ナイル・アッカーマン議員やハンジ・ゾエ議員をはじめとする議員団。


    更に、リヴァイやヨーダ、ミケやエルド、オルオにペトラといったジェダイたちが待機していた。









    「マスター・リヴァイ、発信源はタトゥイーン、エレンくんからです!」

    「そうか、ご苦労だったな、ペトラ。」









    映し出されたアルミンが、少し口早に話し始めた。


    『賞金稼ぎのケニー・アッカーマンを追って、ジオノージスのドロイド工場を発見しました。通商連合がここでたくさんのドロイドを生産しています。
    ヒストリア議員暗殺の背後には、やはりガンレイ総督が絡んでいました。コマース・ギルドや企業同盟もドロイドを提供することをザックレー伯爵に約束して・・・・・・!! お待ちをッ!!』








    『ビュウウンッ!』


    ホログラムのアルミンがライトセイバーを起動したかと思うと、彼にレーザーが襲い掛かった。
    レーザーを跳ね返しながら後退するアルミン。


    ホログラム映像からアルミンの姿が消え、替わりにドロイデカが映り込んだところで映像は途絶えた・・・・・・。








  37. 37 : : 2015/10/16(金) 17:29:41











    「そんな、マスター・アルミンが・・・・・・。」


    船の中でホログラムを見ていたヒストリアは絶句した。
    ふとエレンを見ると、エレンもまた血の気の引いた顔をしていた。








    ____________きっとアルミンは、殺されたか捕まってしまったに違いない・・・・・・。


    俺はまた、大切な人間を奪われるのか?











    最高議長のオフィスでも、アルミンのもたらした報告の大きさに、戸惑いを隠せなかった。







    「アルミンくん・・・・・・そんな・・・・・・。」

    「リヴァイ、ヨーダ、どうする?」







    ペトラが深くアルミンの身を案じ、ミケがリヴァイとヨーダに問いかけた。
    ヨーダは手を顎に当て、深く考え込むような様子で呟いた。







    「ジオノージスでは沢山のことが起こっているようじゃ。わしらが分かっている以上のことがのう。」

    「・・・・・・気に入らねぇな。」








    リヴァイはそう呟くと、アルミンに次いで映されたエレンのホログラムに命じた。











    『エレン、ザックレー伯爵は俺たちが何とかする。お前はヒストリア議員を守り、そこから動くな・・・・・・いいな?』

    「・・・・・・はい、マスター・リヴァイ。」









  38. 38 : : 2015/10/16(金) 17:30:34









    「エレン!? あなたそれでいいの!?」


    リヴァイのホログラムが消えた後、ヒストリアはエレンに抗議した。







    「コルサントからジオノージスまでは遠すぎるわ! 銀河の半分を横切らないといけないのよ!?
    それに比べてここタトゥイーンはジオノージスから1パーセクも離れてない!
    今動けばアルミンを助けられるかもしれないのよ!?」

    「でも、俺の任務はお前を守ってここから動かないことだ! 分かるだろ!?」

    「じゃあ、私はアルミンを助けに行くわ。」

    「ヒストリア・・・・・・お前!?」

    「あなたの任務は私を守ること。なら私に従うことね。それに、なんだかんだ言ってもアルミンは大切な人なんでしょ?」











    ヒストリアに問われ、エレンは改めてアルミンのことを考えた。



    ____________もう、大切な人を失いたくはない。











    「・・・・・・アルミンは、俺の親友で、家族で・・・・・・父親みたいなマスターだ。」



    ____________そうだ、アルミンも、俺にとってかけがえのない存在なんだ。











    「覚悟は・・・・・・決まったようね。」

    「あぁ、済まない、ヒストリア・・・・・・俺はどうかしてたよ。」




    エレンとヒストリアは再び命令を無視して、アルミンを助けに行くことに決めた。















    「だ、大丈夫ですよ、R2。ただ・・・・・・宇宙旅行は初めてでして。」



    不安がるC-3POを仲間に加え、ヒストリアのヌビアン・ヨットはジオノージスへ向けて出発した。








  39. 39 : : 2015/10/16(金) 19:51:34











    さて、パルパティーンの公的オフィスでは、議員たちがこれからの対応について話し合っていた。










    「もう疑いようはないだろう・・・・・・コマース・ギルドは戦争の準備をしている。」

    「ザックレー伯爵が彼らと協定を結んだに違いない・・・・・・。」






    ヒストリアと並んで軍隊法反対の筆頭であるナイルは頭を悩ました。
    そんな彼に対し、パルパティーン最高議長も寄り添う。


    彼らに対し、マラステアの代表であるアスク・アックは異を唱えた。



    ※アスク・アック
    http://www.starwars.jp/wiki/images/d/de/Ask_Aak.jpg








    <議論の余地はない。共和国のために作られたというクローン軍が必要だ。>

    「まだ議論は終わっていない、アック議員。分離主義者が先制攻撃をしない限り、元老院はクローン軍を承認しないだろう。」

    「攻撃されてからでは遅すぎる、ナイル。これはもうとっくに緊急事態なんだから・・・・・・結論を出す時だよ。」






    アック議員へ向けたナイルの反論に対し、ハンジは結論を出す時期だと説いた。
    彼女の言う通り、決断の時は迫っていた。








    次に発言したのは、副議長であるマス・アメダであった。






    「これは重大な局面です。元老院が議長に非常大権を与えるべきでしょう。そうすれば軍隊の創設を承認できます。」

    「しかし・・・・・・そんな過激なことを提案できる議員がいるかね?」








    最高議長がそう言うと、アメダもため息をついた。



    「せめて・・・・・・ヒストリア議員がいれば・・・・・・。」










    アメダがそう呟くのを、ヒストリアの代理人を任されたジャー・ジャー・ビンクスは神妙な面持ちで聞いていた。








  40. 40 : : 2015/10/16(金) 19:53:17
    以上で第4話は終了になります。


    アルミンの運命や如何に・・・・・・。
    次回もよろしくお願いします。
  41. 41 : : 2015/10/16(金) 19:56:49
    乙!
  42. 42 : : 2015/10/16(金) 20:12:12
    >>41
    コメント&お気に入り登録ありがとうございます!


    やっぱりコメがあると嬉しいですw
  43. 43 : : 2023/07/05(水) 19:28:56
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
    toyama3190

    oppai_jirou
    catlinlove

    sukebe_erotarou
    errenlove

    cherryboy
    momoyamanaoki
    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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進撃×スター・ウォーズ ~クローンの攻撃~ シリーズ

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