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エレン「エピソードⅡ」 ヒストリア「クローンの攻撃」 ⑤ 進撃×スター・ウォーズ
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- 1 : 2015/10/16(金) 20:57:46 :
- 進撃×スター・ウォーズ、エピソードⅡ、クローンの攻撃、第5話です。
よろしくお願いします。
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- 2 : 2015/10/16(金) 20:58:41 :
ジオノージスの尖塔の中には、他とは隔離された空間が存在した。
そこにある装置は稼働にコストがかかる上に、他の装置からの干渉を受けやすいため数が少なく、極めて危険、あるいは強力な力を持つ捕虜に限って使用されていた。
ジェダイ・ナイト、アルミン・アルレルトは、ジオノージアンの強力な拘束フィールドに囚われていた。
※拘束フィールド
http://www.starwars.jp/wiki/images/0/08/GeonosianContainmentField.jpg
第5話
黒幕
「まいったな・・・・・・身動きが・・・・・・取れない・・・・・・。」
両手両足に嵌められた手錠からは電気が発せられており、地面と天井にある二つのオーブから発せられるエネルギーと結んで僕の体を浮かせていた。
しかも、この拘束フィールドは緩い苦痛を絶えず僕に与えており、脱出しようにも集中力を削がれてフォースを使うことさえままならなかった。
身動きが取れないまま浮かんでいると、目の前の扉が開いた。
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- 3 : 2015/10/16(金) 22:40:09 :
「裏切り者め・・・・・・。」
部屋に入ってきたザックレー伯爵をそう罵ると、伯爵は僕に対して釈明を始めた。
「ああ、友よ。これはとんでもない誤解だ。彼らは明らかにやり過ぎだ・・・・・・困ったものだよ。」
「白々しいね、君がリーダーだろう?」
「私は何も知らなかった。本当だ・・・・・・君を釈放するよう、手配するとしよう。」
「早くして欲しいね、僕にはやることがあるんだ。」
伯爵の言葉に一々皮肉をつけて返すと、伯爵はため息をついた。
「聞かせてもらいたいのだが、なぜジェダイ・ナイトの君がこのジオノージスに来たのかな?」
「ケニー・アッカーマンという賞金稼ぎを追ってね・・・・・・君の仲間だろう?」
「知らんね。ここの惑星の連中は賞金稼ぎを信用しないのだ。」
「誰だってそうだろう。でも、あいつはここにいる・・・・・・それだけは確かだ。」
____________まさか知らないはずはない。
伯爵は恐らく嘘を付いている。
だとすれば、その意図するところは・・・・・・何だ?
アルミンが探りを入れようとすると、伯爵は目線を落として語った。
「君とこれまで話してこなかったことが悔やまれる・・・・・・。エルヴィンはいつも君を高く評価していたからね。彼が生きていれば・・・・・・私の力になってくれただろうに。」
「マスター・エルヴィンが君なんかと組むはずはない。」
「忘れてもらっては困るね・・・・・・君がエルヴィンの弟子なら、エルヴィンは私の弟子だった。彼は元老院の腐敗をよく知っていた。“真実”を知れば彼は力を貸してくれたはずだ。」
「“真実”?」
「もし・・・・・・共和国がシスの暗黒卿の支配下にあると言ったら?」
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- 4 : 2015/10/16(金) 22:43:01 :
____________僕の頭の中で、ようやく話が繋がった気がした。
やはり、この事件の黒幕は共和国にも影響力を持っていた。
それに、ここでひとつ、分かったことがある。
・・・・・・・・・・・・この事件の黒幕は、恐らく共和国側の人間だ。
「そんなバカな・・・・・・ジェダイが気が付くはずだ。」
ある種の確信を胸のうちにしまい込み、僕は何も知らないふりをした。
伯爵は僕の予想通り、まるで僕に言い聞かせるように話し始めた。
「ダークサイドが彼らの見識を曇らせているのだ。既に何百もの議員が・・・・・・“ダース・シディアス”というシス卿によって支配されている。」
「信じられない話ですね、伯爵?」
“ダース・シディアス”――――――――――僕は漸く、十年前には分からなかった暗黒卿のしっぽを掴んだ。
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- 5 : 2015/10/16(金) 22:43:55 :
「通商連合のガンレイ総督はかつてシディアス卿と組んでいた。だが、彼は十年前に裏切られのだよ。そしてガンレイは私に助けを求め、すべてを打ち明けてくれたのだ。」
____________確かに話の筋はあっている。
あのナブー騒乱の裏に、シディアス卿がいたことはもう間違いない。
そして、今回の事件にも・・・・・・。
問題は、伯爵がシディアスとどのような関係にあるか・・・・・・だ。
「アルミンよ・・・・・・私と組もう。一緒にシスの暗黒卿を倒そうじゃないか!」
伯爵は僕に、手を組むように提案してきた。
だが、僕は首を縦には振らなかった。
「君と一緒に組むなんて、あり得ないね。」
この先僕をどのように扱うかで、彼の真意が見抜けると思ったからだ。
すると、伯爵の顔に、かすかに・・・・・・怒りが現れた。
「では、君を釈放することは難しいかもしれん。」
そう言い残して伯爵は部屋を後にした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 6 : 2015/10/17(土) 01:16:24 :
同刻。
銀河を半分ほど隔てたコルサントの元老院では、明らかになったクローンの軍隊のことで議論が紛糾していた。
「静粛にッ! 静粛にッ!」
副議長の度重なる注意も効果なく、喧々諤々、議論が沸騰してしまっていた。
そんな中、中央の演壇に座る最高議長が立ちあがった。
「それでは、ナブー代表団に発言を許可します!」
賛成派も反対派もヤジを飛ばしあい、一瞬即発の空気を醸し出す中、ナブーの代表であるジャー・ジャー・ビンクスの話す番がやってきた。
円形のリパルサー・ポッドが宙に浮き、静かに最高議長の演壇に近づいていく。
「しっかりやれよ、ジャー・ジャー。」
「ミー頑張るね。」
同じくポッドに座るユミルに励まされ、ジャー・ジャーは立ち上がった。
「え~、元老院のみなしゃまッ!!」
肝心の出だしで思いっ切り噛み、ジャー・ジャーは早速他の議員たちの失笑を買った。
(ったく、大丈夫かよ、こいつ・・・・・・。)
ユミルが心の中で思いっきり毒づくなか、ジャー・ジャーは必死にしゃべり続けた。
「失礼、元老院のみなさま。分離主義者と通商連合がミーたちを攻撃をするのは明らかであります! この直接的な共和国の危機に際し、ミーは提案しますッ!」
_________元老院は最高議長に、非常大権を委ねましょうッ!!
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- 7 : 2015/10/17(土) 01:17:06 :
元老院は再び騒がしくなった。
しかしそれは、出だしを噛んだことによる笑いではなかった。
非常大権の動議が出されたことによる、驚愕故の騒ぎであった。
軍隊法賛成派は拍手喝采し、反対派は異議を唱えた。
しかしながら、反対派の声は次第に小さくなっていった。
____________今まで軍隊法反対の筆頭だったナブーが賛成に回った。
この事実が反対派の声を徐々に小さくしていったのだ。
言うまでもなく、これはヒストリアの政治的な影響力の大きさを物語っていた。
やがて、賛成派の拍手喝采で元老院ロタンダは満たされた。
議論の成り行きを見守っていたパルパティーン最高議長は再び立ち上がった。
「この指名を受けることに、私は・・・・・・大変なためらいがあります。ですが、私は共和国を愛し・・・・・・民主主義を愛している。
皆様が与えてくださった権力は、危機消滅の際には手放すことをお約束します。」
一息ついて、パルパティーンは話を続けた。
「この新しい権限に基づき、私は銀河共和国に“正規軍”を設立し、分離主義者への脅威に対抗します!」
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- 8 : 2015/10/17(土) 01:18:06 :
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元老院から再び拍手喝采が沸き起こった。
それは先ほどよりも大きく、かつ熱狂的な拍手であった。
ここにおいて議論は終わり、銀河共和国は遂に軍隊を持つことを決定した。
「決まったな・・・・・・。」
議論の成り行きを、ナブー代表団のリパルサー・ポッドが接続する回廊から見守っていたリヴァイが呟いた。
リヴァイは振り返って後ろを見ると、二人のジェダイ・ナイトに声をかけた。
「オルオ、ペトラ、準備は出来たか?」
「勿論です、マスター・リヴァイ! 俺はいつでも準備万端―――――ブシャッ!!」
「まったく・・・・・・いつでも行けます、マスター・リヴァイ。」
出撃の準備が整ったことを確認すると、同じく隣で議論の成り行きを見守っていたヨーダに話しかけた。
「俺はジェダイ聖堂にいるジェダイを連れてジオノージスへ行く。あのチビを救出するためにな。」
「うむ、わしはカミーノのクローン職人を尋ねるとしようかの。共和国のために作られたという軍隊を見せてもらうために・・・・・・。」
二人のジェダイ・マスターは、それぞれの目的に向かって動き出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 9 : 2015/10/17(土) 12:24:35 :
囚われたアルミンを救出するため。
エレンとヒストリアの乗ったヌビアン・ヨットは、リヴァイたちが着くよりもずっと早くジオノージスへと到着した。
ジオノージスの赤い台地を船の中から眺めていると、不意にヒストリアが指をさした。
「あれを見て、エレン。蒸気が真っ直ぐ上に昇ってる・・・・・・排気口の一種かしら?」
「恐らくな・・・・・・。」
エレンは慎重に蒸気の中に入っていき、その中へと船を降ろした。
「いい、エレン? 何があっても私に従うのよ? ここで戦争を起こすつもりはないわ。元老院の一員として、この問題を外交的な交渉で解決するわ。」
「分かってるって・・・・・・お前に議論を仕掛けても勝てねぇよ。」
____________アルミンに弁論術をもっと学んでおくべきだったかもしれない。
まぁ、今更なんだが・・・・・・。
先を歩いて船を降りていくヒストリアに、俺は後ろからついて行った。
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- 10 : 2015/10/17(土) 12:25:40 :
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さて、船の中にはR2-D2とC-3POが残った。
R2は“俺もついて行く”とC-3POに訴えると、C-3POは若干彼を見下して言った。
※因みに、C-3POは人間機械間通訳ドロイドであるため、R2の言っていることが理解できるのだ。
「君は鈍感だね。もし助けが必要ならエレン様やクリ・・・・・・ヒストリア様だってそう言うだろう。君はもっと人間の行動について学ぶ必要があるよ。」
R2はなおも抗議すると、3POは呆れたような声を上げた。
「君は機械のくせに考え過ぎですよ、まったく・・・・・・。」
“なら、お前は人間のことが分かるのか?”
「勿論です! 私は人間の行動を理解するようにプログラムされてますから!」
“それはどういう意味だ?”
「どういう意味かって? 私はこの場を任されているということ・・・・・・ってちょっと待ちなさい、R2!! いったいどこへ行くんです!? 向こうに何があるのか知らないくせに!! このマヌケ!!」
もう付き合ってられんと、C-3POにだけ俺様気質なR2は主人の元へと向かい始めた。
「待ってよ、R2!」
なんだかんだで一人だと心細いC-3POは、しぶしぶR2の後を追っていった。
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- 11 : 2015/10/17(土) 12:58:28 :
エレンとヒストリアは上へと持ち上がった自動扉を通り、暗い通路へと入っていった。
「何だか・・・・・・嫌な予感がするわ。」
「奇遇だな、俺もそうだ。」
____________暗くてよく見えないが、何かが影の中で蠢いている。
「グオオォオォォッ!!」
「!!」
不意に壁が二人に襲い掛かり、エレンは咄嗟にライトセイバーを起動した。
ビュウウンッ!
青い光刃が襲いかかってくるエイリアンを切り裂いた。
壁だと思っていたものは、実はこの惑星の住人であるジオノージアンたちであった。
エレンとヒストリアはジオノージアンのねぐらへと足を踏み入れてしまったのだ。
※ジオノージアン
http://www.starwars.jp/wiki/images/6/65/Geonosian.jpg
「くそっ! 走れ、ヒストリアッ!!」
次から次へと襲い掛かってくるジオノージアンたちを切り裂きながら、エレンとヒストリアは先にある出口を目指して走った。
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- 12 : 2015/10/17(土) 12:59:10 :
「!! 止まれッ!!」
「きゃっ!!」
寸のところでエレンはヒストリアを掴んだ。
出口の先は狭い足場になっており、その先には巨大なドロイド工場―――――――アルミンが上から覗き込んだあの工場が広がっていた。
と、次の瞬間には出口の扉が閉まり、足場が引っ込み始めた。
咄嗟にエレンは左手で扉の突起に手をかけ、右手でヒストリアの手をつかんだ。
しかし・・・・・・
「いやあぁあぁぁッ!!」
「ヒストリアッ!!」
片手では支えきれず、ヒストリアはすぐ下のベルトコンベヤーへと落下してしまった。
「待ってろッ! 今助けに行くからなッ!!」
エレンもすぐに飛び降り、ヒストリアを助けに行こうとした。
が、そんな彼にジオノージアンの兵士たちが襲い掛かった。
「くそっ! 邪魔だッ!!」
プラズマ砲を発射し、攻撃を仕掛けてくるジオノージアンたちをエレンは斬ったが、次から次へと飛んでくるジオノージアンにヒストリアとは反対方向へと進まざるを得なかった。
____________エレンとヒストリアは、引き離された。
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- 13 : 2015/10/17(土) 19:30:57 :
- 期待です!
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- 14 : 2015/10/17(土) 19:59:21 :
- 期待ありがとうございます!
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- 15 : 2015/10/17(土) 23:00:10 :
ヒストリアの乗ったベルトコンベヤーは、バトル・ドロイドの本体を作るためのレーンだった。
ドゴォンッ!
熱々の鉄板がプレス機にかけられ、形を整えられていく。
____________覚悟を決めなきゃ。
私は・・・・・・こんな所では死ねないッ!!
ベルトコンベヤーに流されるまま、ヒストリアはプレス機の間を潜り抜けた。
幾度も押しつぶされそうなところを寸で躱し、まっすぐ走っていった。
「くそぉ、ヒストリアと離れちまったか・・・・・・。」
襲い来るジオノージアンたちを斬りながら、エレンは少しでもヒストリアに近づこうと必死だった。
エレンはフォースの力を借りて跳躍し、別のレーンへと飛び移った。
遠ざかっていくヒストリアを視界に捉えながら・・・・・・。
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- 16 : 2015/10/17(土) 23:00:49 :
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「まあ、何てことでしょう! 機械が機械を造ってる!? 頭がおかしくなりそうだよ!」
後を追って来たC-3POが、先ほどエレンたちが落っこちた出口までやってきた。
開けた扉からC-3POが呟くと、後ろからR2が3POを押した。
「おい止めろって! 私を落とす気かい?」
ドンッ!
ってうわああぁああぁあぁぁああぁッ!!
邪魔だと言わんばかりにC-3POはR2に落とされてしまった。
C-3POは運悪く、ヒストリアとは別のレーンに落っこちてしまった。
さて、一方のR2はというと・・・・・・
ボシュウウゥウゥッ!
両足にある小型ジェットを取り出し、空を飛んで移動し始めた。
なんとこのR2、空も飛べるのである。
____________エレンとヒストリアはどこに行ったんだろう?
ドロイド工場内を飛び回り、主人に対する揺るがぬ忠誠心を持つR2は二人を探し始めた。
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- 17 : 2015/10/17(土) 23:02:02 :
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「うう、これは悪夢だぁッ!!」
うつぶせの状態から、泣き言を言いつつ立ちあがるC-3PO。
彼はベルトコンベヤーの上に落ち、そのまま運ばれてしまっていた。
「まったく・・・・・・R2ときたら、自分からトラブルに入り込むなんて―――――」
バコ~ンッ!
呟いていたのもつかの間、C-3POの頭はベルトコンベヤーの脇についていたアームに吹き飛ばされて、バトル・ドロイドの頭が並ぶレーンに入り込んでしまった。
ガシッ!
バチッ! バチッ!
そして、アームに頭を掴まれて、バトル・ドロイドの胴体にそのまま溶接されてしまった。
「そ、そんな・・・・・・。」
一方頭を無くしたC-3POの胴体も、そのままふらふらとバトル・ドロイドの胴体が流れてくるベルトコンベヤーに入り込んだ。
バチッ! バチッ!
胴体は胴体でバトル・ドロイドの頭部を溶接されてしまった。
「アッ、オウ・・・・・・。」
____________とにかくついてないC-3POである。
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- 18 : 2015/10/17(土) 23:11:20 :
プレス機のたくさんあるコンベヤーを抜けたところで、ヒストリアは飛んできたジオノージアンと取っ組み合いになった。
「ギイィイィィッ!!」
「いやっ! 止めてッ!!」
流石にヒストリアは戦士ではないため、ジオノージアンの戦士に押されてしまった。
ベルトコンベヤーの淵で、ギリギリの取っ組み合いになる二人。
そして・・・・・・
「いやあぁッ!!」
力負けしたヒストリアは、溶けた鉄を注ぐための巨大なるつぼの中に落ちてしまった。
すると、巨大なクレーンがそのるつぼを持ち上げ、溶けた鉄を注ぐために溶鉱炉へと運び始めた。
まずい!
このままじゃ・・・・・・溶けた鉄を注がれるッ!!
____________ヒストリアは、窮地に陥った。
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- 19 : 2015/10/18(日) 17:16:30 :
「ヒストリアッ!!」
ジオノージアンたちと戦いながら、エレンは叫んだ。
____________このままじゃ、ヒストリアが!
「ちっ、これでも喰らえッ!」
フォースを使い製造ラインを流れるバトル・ドロイドの腕や胴体をジオノージアンたちに投げつけるエレン。
自分の気持ちとは裏腹に、どんどん引き離されていくことにエレンは焦りを感じ始めていた。
そして、その気持ちが致命的なミスを招いてしまった。
ジオノージアンたちを駆逐したところでエレンは再び跳躍し、別のレーンへと飛び移った。
その時だった。
作業用アームの一つがエレンに襲い掛かった。
バコッ!
「ぐあっ!!」
アームはエレンの顔面を直撃。
そのまま仰向けに転倒したエレンの、ライトセイバーを持った右腕がプレス機に押しつぶされた。
ドゴォンッ!
「ぐっ・・・・・・。」
幸い、腕は潰されなかったものの、基盤を作るための鉄板にエレンの右腕は押さえつけられ、仰向けのまま身動きが取れなくなってしまった。
ふと先を見ると、鉄板を切り取るための巨大な刃の列が目に入った。
クッソ、ヤバすぎるだろ、コレ!?
____________致命的なミスから、エレンもまた命の危険に晒された。
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- 20 : 2015/10/18(日) 17:53:25 :
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ヒストリアが落っこちてしまった巨大なるつぼは、他のるつぼと一緒にクレーンで吊り下げられ、次々と溶けた鉄を注がれていた。
ボシュウウゥウゥッ!!
注ぎ口から赤々と熱した鉄が注がれ、火花が散る。
ヒストリアは、次第に溶けた鉄の凄まじい熱を感じると共に、近づいてくる死を感じ取っていた。
____________このままじゃ、本当に・・・・・・。
何とかるつぼから這い上がろうとするも、中々這い上がれない。
すると、向こうのほうから何かが飛んできた。
____________見つけた!
R2は大慌てで溶鉱炉の近くの通路に着陸すると、端子を出して溶鉱炉の回路にアクセスした。
注ぎ口が開き、溶解した鉄が注がれる直前。
システムは・・・・・・停止した。
R2はそのままクレーンを操作し、るつぼを下へと落とした。
「きゃッ!!」
るつぼはそのまま横に倒れ、ヒストリアは外に投げ出された。
「うっ・・・・・・・・・・・・。」
投げ出された衝撃で、しばらくは視界もはっきりしなかった。
が、視界がはっきりしてくると、漸く私は状況を掴むことが出来た。
「ギイィイィィッ。」
ジオノージアンたちがプラズマ砲を向けてヒストリアを包囲した。
____________ヒストリアは、ジオノージアンたちによって捕縛されてしまった。
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- 21 : 2015/10/18(日) 17:54:58 :
ドゴォンッ!
「うおっ、危ねッ!!」
身をよじり、エレンは包丁のように振り下ろされる刃を何とか躱していた。
切り取られた鉄板が加工され、基盤になって作業用アームに回収されていく。
そしたら次はまた刃がやって来て鉄板を切断するといった塩梅だ。
ドゴォンッ!
今度はエレンの右手すれすれに刃が落ちてきた。
すると、右手を押さえつけていた鉄板が緩くなった。
____________よし、今だッ!!
エレンは思いっ切り右手を鉄板から引き抜くと、ライトセイバーを起動した。
バチッ! バチッ!
「はっ!?」
が、エレンのライトセイバーは先ほどの刃のせいで真っ二つになってしまっていた。
「マジかよ・・・・・・・・・・・・アルミンに殺される。」
エレンは思わずため息をついて言葉を漏らした。
____________ライトセイバーを落っことしただけであれだけ怒るアルミンのことだ。
壊したと知った日には俺を絞め殺すんじゃないかって気がしてくる。
すると、俺の周りにドロイデカが転がってきた。
ボールモードから戦闘モードへと移行し、ドロイデカは無防備な俺に銃を向けた。
「おうおうおう、動くんじゃねえぞ!? ジェダイのクソ坊主?」
ドロイデカと一緒に、ケニーもジェットパックで飛んできた。
ケニーはエレンに銃を向けると、にやけた表情でドロイドたちに簡単に命じた。
「よし、このクソ野郎をもてなしてやれ。」
____________ケニーの率いるドロイドたちに、エレンもまた、捕縛されてしまった。
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- 22 : 2015/10/18(日) 17:55:53 :
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- 23 : 2015/10/18(日) 18:23:52 :
ジオノージスの大公、ポグル・ザ・レッサーによって、エレンとヒストリアは即日、死刑を命じられた。
ジオノージスの処刑闘技場 ――ペトラナキ・アリーナ――
闘技場の控えの間で、手錠をかけられたエレンとヒストリアは、処刑用のカートに乗せられた。
____________私はこれまで、何をしてて来たのだろう・・・・・・。
子供のころから政界に入り、14歳という異例の若さで私は女王となった。
女王を退位した後、私は政治から身を引くこともできたはずだ。
でも、周りに引き留められ、後任のミーナ女王に請われて私は元老院議員となった。
そして私は、巻き起こった分離主義者の危機。
それに続く軍隊法の反対運動に全てを捧げてきたのだ。
今、こうして死を前にすると、何もかもが虚しく感じられた・・・・・・。
もっと別の道はなかっただろうか・・・・・・。
もっと・・・・・・素直になれたら・・・・・・。
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- 24 : 2015/10/18(日) 18:35:28 :
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「・・・・・・怖がらないで、ヒストリア。」
その時、ふとエレンの言葉が聞こえてきた。
私はそっとエレンを見た。
相変わらずエレンはその深緑の瞳で私を見ていてくれる・・・・・・。
目線と目線が繋がった時、私は、何かの暗示にかかったかのように身動きが取れなくなってしまった。
その時私は、どれだけエレンを愛してしまったのかを自覚した。
私はエレンの愛を受け入れなかった。
でも、私はそうする以前にもう・・・・・・エレンを受け入れてしまったのだ。
「大丈夫よ、エレン・・・・・・死ぬのは恐くない。だって、あなたと出会ってから、私は・・・・・・少しずつ死んでいたんだもの。」
「・・・・・・どういう意味だ?」
「エレン、聞いて・・・・・・・・・・・・私は、エレンを愛してる。」
「愛してる?」
_________俺は思わず、ヒストリアに聞き返してしまった。
「どういうことだよ? お前が・・・・・・お前が愛は忘れようって言ったんじゃねえか! それはお互いの破滅だからって!!」
すると、ヒストリアはゆっくりと首を振り、それから答えた。
「もう破滅は目の前なのよ? それに・・・・・・私はもう、いえ、私こそ自分の気持ちをもう誤魔化せそうにない・・・・・・。」
「ヒストリア・・・・・・。」
俺が動けないでいると、ヒストリアの顔がゆっくりと迫ってきた。
近づいてくる顔、
青い瞳、
金色のまつ毛に胸が高鳴る・・・・・・。
唇が触れる直前に、ヒストリアは囁いた。
「死ぬ前に知って欲しかったの・・・・・・。
私は・・・・・・エレンを、愛しています。」
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- 25 : 2015/10/18(日) 18:41:39 :
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唇と唇が繋がった時、ジオノージアンの御者がオーレイに鞭打った。
※オーレイ
http://www.starwars.jp/wiki/images/e/e6/GeonosianCart.jpg
ワアァアアァァッ!!
控えの間から闘技場に出ると、数万のジオノージアンの観衆が熱狂に沸き立っていた。
※ペトラナキ・アリーナ
http://www.starwars.jp/wiki/images/e/ea/Geonosis_arena.jpg
私たちはゆっくりと処刑カートに乗せられて、闘技場の中央にある3本の柱へと運ばれていった。
そこには既に先客がいた。
「エレン!? 君が・・・・・・どうしてここに!?」
柱の上から垂れ下がる鎖に繋がった手錠をかけられ、アルミン・アルレルトは腕を上げた状態で柱に繋がれていた。
エレンとヒストリアもカートから降ろされ、二人もアルミンと同じように柱に繋がれた。
その途中、ヒストリアはこっそりとベルトの中から口の中に、先の曲がった小さな鉄の棒を咥えた。
「僕のメッセージはちゃんとコルサントへと届けたのかい!?」
「マスターのご注文通り送信しました。それで俺たちはマスターを助けに来たんです。」
「へぇ、それは上出来 だね。」
マスター・アルミンから嫌味たっぷりに皮肉られ、エレンは少しぶすくれた顔をした。
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- 26 : 2015/10/19(月) 13:38:27 :
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ワアァッとひときわ大きな歓声が上がった。
VIP席にザックレー伯爵やポグル・ザ・レッサー以下、独立星系連合の幹部たちが現れた。
「くっ、ケニーめ・・・・・・やっぱり伯爵と一緒にいるじゃないか・・・・・・。」
アルミンが思わず毒づく。
ケニーは息子と一緒に、この悪趣味なショーの見物に来ていた。
<静まれ! 静まらんか!>
ポグル大公が独特なジオノージアン語で会場に呼びかけた。
一瞬ではあるが、会場が静かになる。
<よし、処刑を始めろッ!!>
まるで何かが爆発するように、会場は歓声と熱気に包まれた。
会場の端にある三つの入り口の檻が上がり始めた。
そして、その入り口の中から、三匹の猛獣が姿を現した。
“パンと見世物”―――――――――厳しい階級社会を敷くジオノージアンにとって、最高の見世物が始まったのだ。
グルルルルルッ!!
一番右の入り口から現れたのはネクスー。
白い体毛に覆われた体に、四つの目、鋭い爪と牙を持つ俊敏な猛獣。
※ネクスー
http://www.starwars.jp/wiki/images/9/91/Nexu.jpg
バチッ!
オーレイに乗ったジオノージアンのピカドールが猛獣を制御しようと、電流の流れる長槍でネクスーを突いた。
ガウッ!!
イヤアァァァッ!!
が、逆上したネクスーに飛び掛かられ、早速今回の処刑最初の犠牲者と相成ってしまった。
「やっべ・・・・・・嫌な予感がする・・・・・・。」
エレンが思わずつぶやいた。
グオオオォオォォッ!!
続いて、真ん中から出てきた猛獣が雄叫びを上げた。
三本の角を頭から生やし、赤く堅い皮膚に覆われた猛獣は、一度暴れ出したら手の付けられないリーク。
※リーク
http://www.starwars.jp/wiki/images/8/8e/Reek.jpg
そして、一番右の入り口からはこの銀河系でも最も危険視される猛獣の一匹が姿を現した。
六本の鋭利で巨大な爪を持ち、かつ俊敏に移動する猛獣、アクレイが闘技場に姿を現すと、会場の盛り上がりは最高潮に達した。
※アクレイ
http://www.starwars.jp/wiki/images/6/6a/Acklay2.jpg
「父さんッ! アクレイだッ!! アクレイだよッ!!」
「おいおいおい、またその話かぁッ!?」
この猛獣はケニー・ジュニアのお気に入りらしく、この猛獣の登場もジュニアのリクエストであった。
ジュニアは夢中になってこの猛獣にまつわる伝説を話し始めた。
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- 27 : 2015/10/19(月) 13:59:51 :
「やれやれ・・・・・・エレンッ! 気持ちを落ち着かせて・・・・・・集中するんだッ!」
向かって来る三匹の猛獣に対し、アルミンは覚悟を固めた。
「でもマスター! ヒストリアは!?」
「ん、彼女は心配ない!」
そう言われてヒストリアのほうを見ると、彼女は口の中に仕込んだ鉄の棒を使って右手にかかった手錠を既に外していた。
手錠を外したヒストリアは、柱を登りはじめた。
____________うん、確かに心配はいらなかった。
グオオォオォォ・・・・・・
アクレイは最短ルートで死刑囚へと襲い掛かった。
「うわっ!!」
標的にされた金髪のジェダイ・ナイト、アルミン・アルレルトは何とか身をよじり、鋭い爪の一撃を躱した。
____________ここに縛られたままじゃ絶対に殺される!
ここは敵の攻撃を利用して・・・・・・。
土壇場に強いアルミンは、咄嗟に敵の攻撃を利用することを思いついた。
斜め左上から入ってくるアクレイの一撃を利用し・・・・・・
バキィンッ!
手錠と柱をつなぐ鎖を引きちぎらせた。
「よし、こっちだ! 化け物めッ!!」
手錠はかかったままだったものの、ようやく動けるようになったアルミンは走り出した。
-
- 28 : 2015/10/19(月) 14:38:03 :
真ん中の入り口から飛び出したリークは真っ直ぐに、エレンめがけて突進した。
「うおっとッ!!」
ドゴォンッ!!
華麗な跳躍を決めてエレンはリークを躱し、そのまま背中に跨った。
暴れ出すリークの角に手錠をつなぐ鎖を巻き付け・・・・・・
バキィンッ!
遂に鎖が千切れ、エレンもまたアルミンと同じように動けるようになった。
____________流石は変わり者同士の師弟、考えることも大体同じだった。
さて、残ったネクスーはヒストリアに標準を定めた。
バキィッ!
鋭い爪を立てて柱を登ってくるネクスーに、柱の上から鎖を鞭のように打ち付けるヒストリア。
バキ・・・・・・
_________!! しまった、一撃が浅・・・・・――――――――
そう感じた次の瞬間にネクスーは勢いよくヒストリアに飛び掛かった。
ザシュッ!
「あぁッ! あああぁああぁぁぁッ!!」
鋭い爪に背中を切り裂かれ、ヒストリアは苦痛に悲鳴を上げた。
背中に痛々しい三本の切り傷が入り、服が破れてへその部分が露出した。
少し勢いが足らず、ネクスーが地面に落ちたのだけが不幸中の幸いであった。
「・・・・・・くくくッ。」
そんなヒストリアの様子をVIP席から眺めていたガンレイ総督はこっそりとガッツポーズした。
十年前のナブー騒乱で一泡ふかされてから、彼はずっとヒストリアを憎んでいたからだ。
-
- 29 : 2015/10/19(月) 15:05:15 :
「おっと! くっ・・・・・・。」
次から次へと鋭い爪を繰り出すアクレイに対し、丸腰のアルミンはただただ逃げ回るだけだった。
____________ライトセイバーさえあれば・・・・・・。
グオオオォオォォッ!!
唸り声を上げながらアクレイが柱に突進。
柱が折れてアルミンに襲い掛かる。
ドゴオォオンッ!!
間一髪。
アルミンは横に転がって倒れる柱を躱した。
「くそ、この暴れ牛がッ!!」
リークに跨ったエレンも乗りこなすのに苦戦していた。
角に鎖を巻いただけでは、十分にリークを御することは出来なかった。
リークは暴れ、飛び跳ね、エレンを振り落とした。
「ぐあっ!!」
それでもエレンは鎖にしがみつき、リークに引きずり回されるだけ引きずり回された。
____________こいつを乗りこなせば、反撃のチャンスはある!
エレンはそう、確信していた。
-
- 30 : 2015/10/19(月) 17:32:47 :
焼けつくような背中の痛みに耐えながら、ヒストリアは歯を食いしばる。
____________このままだとこの化け物に捕食されてしまう。
ネクスーは再び爪を柱に食い込ませ、私を切り裂き、捕食しようと登ってくる。
漸く・・・・・・エレンと気持ちを確かめ合ったのに・・・・・・。
「こんな所で死んでたまるかッ!!」
ヒストリアは鎖を掴み、柱から思い切ってジャンプした。
ゴスッ!!
ギャウゥッ!!
鎖の遠心力を利用した飛び蹴りがネクスーの腹部を直撃した。
ネクスーは悲鳴を上げ、柱から落下した。
「!! あの女ッ! あの女を何とかしろッ!」
駆逐されたネクスーを見て、VIP席からガンレイ総督が喚いた。
ネクスーは登るのを諦め、ヒストリアの乗っている柱の下を周回し始めた。
舌なめずりをするネクスーがじっと見つめてくる中、ヒストリアは再び鉄の棒を取り出し、左手にかかった手錠を外しにかかった。
アクレイから逃げ回るアルミンに、オーレイに乗ったピカドールが近づいてきた。
逃げ回るアルミンを殺そうと、ピカドールが長槍をアルミンに突き出した。
____________これだッ!!
「失礼、ちょっと借りるよ・・・・・・はあぁっ!!」
アルミンは長槍の一撃を容易く躱すと、両手で長槍を持って思いっきり振り回した。
「ホワアァァアアァァッ!!」
ピカドールはそのままアルミンに吹き飛ばされて地面に打ち付けられた。
「やっ!!」
バキッ!
「アウッ!!」
起き上がろうとしたピカドールを槍の柄で容赦なくたたくアルミン。
そして、不幸なことに、ピカドールの落ちたところは、アクレイの近くであった。
グオオオォオォォッ!!
イヤアァアァァァッ!!
哀れなピカドールはアルミンが槍を持ち替えて戦う態勢を整えるための時間稼ぎとなった。
アクレイは容赦なくピカドールに爪を立て、ジオノージアンは引き裂かれて絶命した。
-
- 31 : 2015/10/19(月) 22:34:03 :
「くう、痛って・・・・・・。」
散々エレンを引きずった後で、リークは漸く動きを止めた。
角に絡まっていた鎖はひとりでに解けてしまい、地面にジャラジャラと音を立てて落ちた。
痛みに耐えながらエレンはゆっくりと起き上がった。
____________今は動きを止めている。
もう一度・・・・・・
もう一度、やってやるッ!!
「はあっ!!」
エレンは力を込めて、勢いよく跳躍。
再びリークの背中に跨ると、リークは激しく暴れ出した。
____________俺は、母さんの前で誓った・・・・・・。
「もう・・・・・・失敗するわけにはいかねぇんだよッ!!」
エレンは頭の上で鎖を回し、勢いをつけてから鎖をリークの顔へ投げた。
エレンは鎖をリークの口へかませ、まるで手綱のように両手でこれを掴んだ。
「やった・・・・・・やったぞッ!!」
エレンは遂にリークを乗りこなし、目一杯鞭打った。
ウオオォオォォッ!!
雄叫びを上げながら、リークは一直線に隣のネクスーへと突進していった。
ドゴッ!!
ギャウゥッ・・・・・・
突進してくるリークの角にわき腹を思いきり突かれ、吹き飛ばされたネクスーは即座に息絶えた。
「エレンッ!!」
「飛べッ!! ヒストリアッ!!」
丁度左手の手錠を外したヒストリアが、柱の上からリークの上、エレンの後ろへと飛び降りた。
必死にエレンの背中にしがみつき、ヒストリアはそっと、エレンの左頬に口づけをした。
-
- 32 : 2015/10/19(月) 22:51:12 :
「やっ!! はっ!! はぁっ!!」
アルミンは長槍でもってアクレイと戦っていた。
アクレイの繰り出す巨大な爪を躱しながら、果敢に槍を突き立てていた。
____________今だッ!!
「はぁっ!!」
アルミンは助走をつけ、勢いよく槍をアクレイ目がけて投げつけた。
ドスッ!
ギャアアァアァウッ!!
長槍は見事右肩に刺さり、アクレイは悲鳴を上げた。
だが・・・・・・
今の一撃で怒ったアクレイは、口で槍を咥えて引き抜くと、バキンと真っ二つにへし折った。
「あっ、これはマズい。」
アルミンは素直に逃げに転じ、リークに乗っているエレンへと近づいた。
「マスターも乗るんだッ!」
「ごめん、エレンッ! 助かったよッ!!」
そのままアルミンは素直にヒストリアの後ろへと座った。
-
- 33 : 2015/10/19(月) 23:22:51 :
猛獣たちはエレンたちを処刑するどころか、却ってエレンたちに制圧されてしまった。
不甲斐ないこの状況に、小心者のガンレイ総督は怒り心頭だった。
「こ、こんなはずでは・・・・・・ケニー!! あの女を撃ち殺せッ!!」
だが、ケニーは一向に応じようとしなかった。
「冗談だろ!? あんな楽しい見世物をもう終わらせるつもりか!? そりゃあねぇんじゃねぇの?」
「そうカッカするな、総督。女は間違いなく死ぬのだからな。」
ザックレーもこの見世物を心底楽しみながら総督を宥めた。
そして、次の瞬間には伯爵の意図するところが明らかになった。
「!! マスター、ドロイデカです!!」
エレンが叫び、アルミンとヒストリアが競技場の入り口を見た。
闘技場の入り口から、七体のドロイデカがボールモードで勢いよく転がってきた。
ドロイデカはあっという間にエレンたちを包囲すると、戦闘モードになってツイン・レーザーを向けて来た。
「さて、処刑も大詰めだ。」
「おいおい、もうおしまいかよ・・・・・・まぁ楽しませてもらったからなぁ。特にあの金髪チビにはよぉ。」
伯爵は満足そうにつぶやき、ケニーも楽しませてもらったとその最後の瞬間を見届けようとしていた。
三人の死刑囚の、いよいよ最後の瞬間に会場が湧くなか、
一人の男が、ゆっくりとVIP席へと近づいていた。
-
- 34 : 2015/10/19(月) 23:23:57 :
-
ビュウウンッ!
「うおっと!?」
突然、紫色の光刃の切先が、ケニーの喉元に押し付けられた。
伯爵はゆっくりと振り返り、その光刃の持ち主に余裕の笑みを浮かべて挨拶をした。
「マスター・リヴァイ・・・・・・突然のお越し、歓迎しよう。」
「パーティは終わりだ、クソ野郎ども。」
それが一つの合図だった。
ビュウウンッ!
ビュウウンッ!
ビュウウンッ!
闘技場のあちこちで、ライトセイバーの唸るような起動音が聞こえ、青や緑の光刃が至る所から出現した。
ライトセイバーを見たジオノージアンたちが、慌てて空を飛んで逃げ始めた。
ミケ・ザカリアスやエルド・ジン、
グンタ・シュルツにオルオ・ボザド、
ペトラ・ラルやナナバ、ゲルガー、
キット・フィストーやエージェン・コーラ、プロ・クーン、
サシー・ティンやコールマン・トレバー、アイラ・セキュラなど・・・・・・
実力あるジェダイたち、総勢200人余りが一斉に剣を抜いた。
※キット・フィストー
http://www.starwars.jp/wiki/images/d/db/Kit_Fisto.jpg
※エージェン・コーラ
http://www.starwars.jp/wiki/images/0/03/Agen_Kolar.jpg
※プロ・クーン
http://www.starwars.jp/wiki/images/0/04/Plo_Koon.jpg
※サシー・ティン
http://www.starwars.jp/wiki/images/e/e9/Saesee_Tiin.jpg
※コールマン・トレバー
http://www.starwars.jp/wiki/images/7/7c/Coleman_Trebor.jpg
※アイラ・セキュラ
http://www.starwars.jp/wiki/images/b/bc/Aayla_Secura.jpg
-
- 35 : 2015/10/19(月) 23:40:10 :
伯爵はなおも余裕の笑みを崩さなかった。
「勇敢だが、愚かだな、我が懐かしき友よ・・・・・・多勢に無勢だぞ?」
「どうだがな。」
「今にわかる。」
ザッザッザッザッ・・・・・・
リヴァイがさっき通ってきた通路から、整列したスーパー・バトル・ドロイドがレーザーを連射してきた。
※スーパー・バトル・ドロイド
http://www.starwars.jp/wiki/images/6/6e/B2_super_battle_droid.jpg
リヴァイは素早く反応し、レーザーを撃ちかえして攻撃を防いでいく。
すると、フォースが警告を発した。
ボォオォォウッ!!
ケニーの腕に装着した火炎放射器が火を噴いた。
咄嗟にリヴァイは跳躍し、VIP席からはるか下の闘技場に飛び降りると、引火したローブを脱ぎ捨てて紫の光刃を振り回した。
入り口という入り口から、バトル・ドロイドが波のように押し寄せる。
放たれるレーザーがまるで雨のように降り注ぐ。
ジェダイたちはライトセイバーを片手に、数千ものドロイドの大軍へと突っ込んでいった。
「エレンくん! アルミンくん!」
「受け取れッ!! ガキども!!」
ペトラとオルオがエレンとアルミンに向かい、ライトセイバーをそれぞれ投げた。
ビュウウンッ!
ビュウウンッ!
アルミンが青、エレンが緑のライトセイバーを起動し、お互いの手錠を切断した。
「いくよ! エレンッ!!」
「はいッ!!」
アリーナで、
観客席で、
レーザーが嵐のように飛び交い、光刃がいかづちのように煌めく。
____________ここにおいて、遂にジオノージスの戦いが勃発した。
-
- 36 : 2015/10/20(火) 12:31:09 :
-
次から次へと入ってくるバトル・ドロイドたち。
その中に、C-3POの胴体を持ったバトル・ドロイドも入ってきた。
「アシノカンセツガウゴカナイ・・・・・・モットオイルヲ。」
____________不自由な体に苛立つバトル・ドロイドであった。
ドゴオォオンッ!!
「うわぁッ!!」
「うおッ!?」
「きゃっ!!」
ジオノージアンの巨大なプラズマ砲が火を噴き、大規模な爆発。
エレンたちはリークから投げ出され、それぞれ剣を握り、銃を取って戦い始めた。
____________ライトセイバーには、それぞれ形がある。
アルミンは10年前とは違い、フォーム3、ソレスを使用して戦っていた。
銀河中に広がったブラスターの攻撃を逸らすために開発された、防御を基調としたフォーム。
堅実で隙のない、これといった強みは無いが死角もあまりない。
派手でアクロバティックなフォーム4より、よりアルミンに適したフォームであった。
一方エレンはフォーム5、シエンの形を使っていた。
攻撃に力点を置き、相手を斃すことに重点を置いたフォーム。
あまりある才能と力強い斬撃を繰り出せるエレンに、このフォームはこれ以上ないほど似つかわしかった。
攻撃形と防御形――――――――二人は足りないものを補い合い、絶妙なコンビプレーで戦ってきた。
確執はあったが、二人は確かな絆で結ばれていた。
-
- 37 : 2015/10/20(火) 13:05:38 :
ヒストリアはドロイドの落とした銃を拾い、ジェダイたちに混じって懸命に戦っていた。
処刑用カートを引くオーレイに乗ったジオノージアンを撃ち殺すと、ヒストリアは駆け寄ってオーレイの背中に乗った。
この様子を見たアルミンが叫んだ。
「エレン!! カートに乗ってヒストリアを援護するんだッ!!」
「!! 了解ですッ!!」
エレンはカートに飛び乗ってヒストリアの援護に回った。
カートの上からライトセイバーを振り下ろし、すれ違いざまにドロイドやジオノージアンたちを切り裂いていった。
「数が多いわね、オルオ。」
「ちっ、気に入らねぇな!」
「おいおい、それはマスターの真似か? ったく。」
「まあ言ってやるな、エルド。こいつなりに尊敬してるんだ。」
リヴァイの弟子だったジェダイ・ナイト、オルオとペトラはコンビを組み、
ジェダイ・マスターとなったエルドとグンタも連携して戦っていた。
____________高度なコンビプレーで知られる彼らは、ジェダイ・オーダーの中でも傑出して堅い絆を誇っていた。
さて、ドロイドたちが次から次へと投入される中、C-3POの頭を持ったバトル・ドロイドがアリーナに入ってきた。
「こ、この音は・・・・・・戦争ですか!?」
気が弱く、パニックに陥りやすいこのドロイドは、あっさり泣き言を漏らした。
「私は機械人間間通訳ドロイドです! 戦闘用じゃありませんッ!!」
-
- 38 : 2015/10/20(火) 13:42:33 :
-
「はぁッ!!」
ジェダイ最強の男、リヴァイ・アッカーマンは、他のどのジェダイよりも多くの敵を斃していた。
フォースのヨーダ、剣術のリヴァイ―――――――――フォースの強さにおいてリヴァイはヨーダに劣るものの、ライトセイバーではリヴァイのほうが勝っていた。
ジェダイ・オーダー最強の二枚看板は伊達ではなく、歴代のジェダイたちから見てもずば抜けた力を誇っていた。
そんなリヴァイの操るライトセイバーの形はフォーム7、ヴァーパッド―――――――――複数のフォームを極めたジェダイのみが習得できる最高難度のフォーム。
防御を棄てて攻撃のみに全てを捧げたリヴァイは、まさに超攻撃形と形容するにふさわしい火力を誇っていた。
リヴァイはしばらく一人で戦っていたが、やがて正反対のフォームをもつジェダイと即席のコンビを組んだ。
「アルミン!! 後ろは任せる!」
「はいッ!!」
お互い背中を預け、リヴァイとアルミンはくるくると、入れ替わり立ち替わり戦った。
ドロイドが上方に防御態勢を取ると、くるっと回ってアルミンが下方を切り裂き、
下方に防御の姿勢を取ると、リヴァイが上方を切り裂いた。
「アルミンくん、マスターと中々のコンビプレーね。」
「ちっ、あのクソガキめ・・・・・・。」
「オルオ? アルミンはお前より年上だぞ?」
「!! マジかよ、グンタ!?」
「ああ、ああ見えてアルミンは35歳だからな。お前より6つは年上だぞ。」
「フゴッ!!」
見かけによらず年上なアルミンに驚愕しすぎて、オルオは再び舌を噛んだ。
「まったく・・・・・・俺たちも負けてられないぞ! グンタ、オルオ、ペトラ。行くぞッ!!」
「「「おうッ!!(はいッ!!)」」」
-
- 39 : 2015/10/20(火) 17:05:39 :
「むっ!?」
ミケは戦いながら、摩訶不思議なドロイドを見つけた。
「ふむ・・・・・・バトル・ドロイドの胴体をもつ人間機械間通訳ドロイドとはな・・・・・・。」
そう、例のC-3POの胴体を持つバトル・ドロイドがミケに向かって発砲してきた。
「なぜかは分からんが・・・・・・気の毒な気がしてきたな。」
ミケは青い光刃を振り回し、レーザーを的確に跳ね返し、C-3POの胴体からバトル・ドロイドの頭を吹き飛ばした。
頭部を失ったC-3POの胴体は、ガシャッという音を立てて仰向けに倒れた。
「これでよし。」
ミケは呟くと、再び戦いに舞い戻った。
混戦極まる中、ザックレー伯爵のいるVIP席にコールマン・トレバーが飛び移った。
咄嗟に剣を抜こうとする伯爵。
「バキュンバキューンッ!!」
すると、背後から妙な掛け声とともにケニーがブラスターを連射してきた。
突然の不意打ちにコールマンは攻撃を防ごうとしたが、ライトセイバーを持つ右手を、
次いで心臓を撃たれてVIP席から転落した。
「はっ! こんなもんかよ、伯爵。ジェダイ・マスターってのはよぉ?」
「安心するんだ。まだまだ強いジェダイはいる。」
ケニーはブラスターをくるくる回すと、スチャッとホルスターに収めた。
-
- 40 : 2015/10/20(火) 17:50:43 :
「おい、まだいけるか、アルミン?」
「いけます!!」
紫と青が交差し、赤いレーザーを跳ね返していく。
近づくドロイドを、次から次へと切り裂いていく。
ドロイドたちはリヴァイとアルミンを避けるように戦い始めた。
ウオオォオォォッ!!
するとそこへ、先ほどまでエレンたちが乗っていたリークが突如二人に突進してきた。
「うわッ!!」
アルミンが間一髪横に飛んで躱し、リヴァイとアルミンは突如として引き離された。
リヴァイは後ろへと走っていき、リークを自分へと引きつけた。
「ぐあっ!!」
振り返って迎撃、顔についている三本の角の内、右頬の角を切り落とすも、勢いのあるリークを仕留めきれずに吹き飛ばされた。
「はっ、惨めなもんだな?」
「!! お前か・・・・・・ケニー・・・・・・。」
丁度その時、ケニーが地面に臥したリヴァイの側にジェットパックで飛んできた。
ケニーは銃を向け、いとこである最強のジェダイに銃を向けた。
「せめてもの情けだ、一思いに殺してやるよ。」
「ぐ・・・・・・。」
-
- 41 : 2015/10/20(火) 17:52:20 :
-
ところが、ここで番狂わせが起きた。
暴走するリークがケニーめがけて突進してきたのだ。
ドゴッ!
「フゴォッ!!」
不意を突かれたケニーは思いっきり吹き飛ばされ、地面にたたきつけられた。
叩き付けられた弾みに、ケニーのジェットパックは壊れて飛べなくなってしまった。
「くっそ、いってぇなあッ!!」
毒づきながら起き上がるケニーに、リークは再び突進してきた。
____________さっきは不意を突かれたが、今度はそうはいかねえぜ?
突進してくるリークの顔面めがけて、ケニーはブラスターを発射した。
バキュウッ!!
レーザーは顔面を直撃し、リークは前につんのめるように倒れて絶命した。
ケニーはそのままリヴァイへ向けてレーザーを連射した。
「なっ!! 早っ――――――――」
体勢を立て直し、紫の刃を握ったリヴァイはリスクを恐れず、全力でケニーに突っ込んできた。
ケニーの放つレーザーをすべて弾き飛ばし、ブラスターを切り落とし・・・・・・
ザシュッ・・・・・・
首を切り落として勝負はあっという間に決着した。
最強のジェダイはケニーですら手に負える相手ではなかった。
首を無くしたケニーの胴体は、ゆっくりと崩れ落ちた。
「・・・・・・・・・・・・とう・・・・・・さん・・・・・・?」
競技場の隅で戦いを眺めていたケニー・ジュニアは、がっくりと、膝をついた。
-
- 42 : 2015/10/20(火) 19:39:31 :
-
「死ねッ! ジェダイめッ!! ・・・・・・はっ!? 私なんか言いました!?」
C-3POの頭を持つバトル・ドロイドは暴走して戦っていた。
そんな彼を、ジェダイ・マスターであるキット・フィストーが見つけた。
「すみません! 止まらないんですッ!!」
フィストーはフォース・プッシュで暴走するC-3POを押し倒した。
フィストーは会心の笑みを浮かべ、スーパー・バトル・ドロイドを倒し、C-3POの上に乗せた。
「あの・・・・・・今度は動けないんですが・・・・・・。」
初め優勢に立っていたジェダイであったが、後から後からアリーナに入ってくるドロイドに次第に押され始めた。
実力のあるジェダイたちが数に押され、次々と殺害されていく・・・・・・
ギャウゥッ!!
「きゃっ!!」
「うあっ!!」
ヒストリアの乗っていたオーレイがドロイデカに撃たれ、カートごと横転。
エレンとヒストリアは再び地面へと投げ出された。
「大丈夫か、ヒストリア?」
「平気よ、エレン・・・・・・ありがとう。」
エレンはすぐに立ち上がり、ヒストリアに差し出した。
エレンの手を取り、ヒストリアは立ち上がると、横転したカートに身を隠しながらドロイドたちへ銃を撃って応戦した。
エレンがヒストリアの側で、飛んでくるレーザーを跳ね返して護衛する様は、まさに女王を守るための騎士といった感じだった。
「なぁ、ヒストリア・・・・・・これがお前の言う“外交的な交渉”なのか?」
「いえ、これはエレンの言う“過激な交渉”よ。」
そう言うとヒストリアは銃の引き金を引き続けた。
エレンはくすっと笑うとライトセイバーを握りしめ、嵐のようなレーザーを跳ね返した。
-
- 43 : 2015/10/20(火) 19:40:37 :
-
「はあぁあぁッ!!」
アルミンが刃を逆手に持ち、ドロイドの集中砲火をすべて跳ね返す。
「アッオウ!」
「「リョウカイリョウカイッ!!」」
すると、ドロイドが驚いたそぶりを見せ、互いの顔を見合わせた後に逃げ始めた。
____________今の技、そんなに驚いたのかな?
そんなことを考えていると、後ろから声が聞こえてきた。
グウゥゥゥ・・・・・・
「!!」
唸るような声に気が付いて後ろを見ると・・・・・・
ギイィイイィィィッ!!
因縁のアクレイがアルミンを再び殺そうと、爪を振り上げて接近してきた。
「やれやれ・・・・・・決着をつけようか。」
ザシュッ!!
ギャアウッ!!
アルミンはライトセイバーで右前脚を切断、次いで左前脚を容赦なく斬り落とした。
バシッ!!
続いて、バランスを崩して前のめりに倒れたアクレイの顔面を光刃で強打。
ギャウゥウゥ・・・・・・
ドスッ!!
仕上げにアルミンは、断末魔の声を上げるアクレイの脳天にライトセイバーを突き刺して止めを刺した。
-
- 44 : 2015/10/21(水) 01:51:20 :
-
「もう・・・・・・R2のせいで・・・・・・散々だ・・・・・・。」
動けなくなったC-3POの頭部が泣き言を言っていると、あの忌々しい電子音が聞こえてきた。
「R2!? 君は今までどこに!?」
R2はC-3POの言葉をあっさり無視すると、吸盤付きのワイヤーを発射した。
「待って、何すr―――――――止めて! そんなに引っ張ったら!!」
ポンッ!
何ともマヌケな音を立てて、バトル・ドロイドの胴体からC-3POの頭が外れた。
R2はそのまま、3POの頭を引きずり始めた。
「君は私をどこに連れていく気だい? こうなったのは君のせいだからな?」
押し寄せるドロイドの大軍に、ジェダイたちは次第に包囲され始めた。
「まずいです、マスター。俺たち・・・・・・包囲され始めてます。」
「分かってるよ、エレン! でも・・・・・・数が多すぎる!」
死者もすでに相当な数に上っている。
気が付けばリヴァイまでもが数に押されて守勢に回っていた。
-
- 45 : 2015/10/21(水) 02:15:57 :
-
「ああ、懐かしや・・・・・・私の体だ。」
R2はC-3POの頭を胴体まで運んでいき、アームを使って溶接し始めた。
「痛! 回路が焦げ無いように注意するんだ! 首は曲がってない!?」
溶接するR2にあれこれ注文を付けるC-3POに、直さなきゃよかったかもと思ったR2だった。
R2がC-3POを直している間に、ジェダイは遂に追い詰められた。
200名ほどいたはずのジェダイは、20名ほどに数を減らし、アリーナの中央へと追い立てられてしまった。
必死になって光刃を振るい、攻撃を防ぐジェダイたち。
____________もう、逃げ道は無い。
アルミンは最早、ジェダイに勝ち目がないことを悟った。
「エレン?」
「分かってますって、マスター。俺は・・・・・・最後まで諦めませんよ?」
「・・・・・・ありがとう。」
向かって来るレーザーの嵐に、二人の師弟は覚悟を固め、ライトセイバーを握って最後の反攻に移ろうとした。
その時だった。
突如として、ドロイドたちが攻撃を停止し、武器を上空へと向けた。
ザックレー伯爵が合図を出し、攻撃を停止させたのだ。
伯爵はアリーナ中に聞こえる声でジェダイたちに呼びかけた。
-
- 46 : 2015/10/21(水) 02:16:42 :
-
「マスター・リヴァイ! 君たちは勇敢だった! ジェダイの歴史に名を刻むような戦いぶりを見せてくれた!
だが、もうおしまいだ! 投降するんだ。そうすれば・・・・・・命だけは助けてやる。」
すると、リヴァイが伯爵を睨み返して言った。
「ちっ、交渉の人質になるくらいなら・・・・・・ここで俺たちは戦い続ける!」
「そうか・・・・・・・・・・・・。」
「では、済まないな、我が懐かしき友よ。」
伯爵のこの言葉を合図に、ドロイドたちが再び武器を構えた。
「やっぱり・・・・・・こうなりましたね、マスター・リヴァイ。」
「後悔はあるか、エルド?」
「いえ、ありません・・・・・・俺たちは、全力を尽くすだけです。」
マスターの問いに、同じくジェダイ・マスターのエルドは冷静に答えた。
「グンタ、エルド、ペトラ・・・・・・俺たちは、いいコンビだったよな?」
「当然よ。」
「ああ、勿論だ。」
「今更そんな水臭いことを言うな、オルオ。」
オルオの問いに、ペトラが、エルドが、グンタが同調する。
堅い絆で結ばれたリヴァイの弟子たちが剣を構え、続いて他のジェダイたちも剣を構え始めた。
「エレン。」
「ヒストリア・・・・・・済まない、俺が巻き込んだばかりに・・・・・・。
俺は、何があってもお前を守るからな!」
ヒストリアを守ろうと、ゆっくりとエレンが攻撃の形をとった。
続いてアルミンも、防御の形をとる。
____________生き残ったすべてのジェダイが、それぞれのマスターした形をとり、戦う姿勢を示した。
-
- 47 : 2015/10/21(水) 07:48:36 :
-
ゴオオォオォォッ!!
「!! 見てッ!!」
突然聞こえてきた空からの轟音にヒストリアが叫んだ。
ジェダイたちが一斉に上空を見上げるとそこには・・・・・・・・・・・・
新たに新設された共和国軍の輸送艇が何艘も降りてきた。
カミーノで作られたクローンたちを率い、マスター・ヨーダが救援に駆けつけたのである。
※共和国輸送艇
http://www.starwars.jp/wiki/images/f/f7/LAATi.jpg
輸送艇のレーザーが火を噴き、ドロイドたちを駆逐し始めると、アリーナは再び飛び交うレーザーの嵐となった。
「生存者を取り囲むように円形で防衛せよ。」
ヨーダが白い装甲服を纏ったクローン・トルーパーたちに命じた。
トルーパーたちは命令に忠実に輸送艇を、ジェダイを取り囲むようなかたちで降下させた。
輸送艇の中からトルーパーたちが降下し、青いレーザーでドロイドたちを駆逐していく。
「お乗りください!」
トルーパーたちのエスコートを受け、生き残った20人あまりのジェダイたちは、それぞれ近くに着陸した輸送艇へと乗り始めた。
「ヒストリアッ!」
エレンも近くの輸送艇に飛び乗り、手を差し出した。
ガシッ!
しっかりとエレンの手を掴み、ヒストリアもエレンと同じ輸送艇に乗った。
「マスターも・・・・・・早くッ!!」
「今行くよッ!!」
襲い来るレーザーを凌ぎながら、アルミンもまたエレンの乗った輸送艇へと飛び乗った。
「・・・・・・助かった。」
心のどこかで死を覚悟していたアルミンは、思わず本音を呟いた。
ジェダイたちを乗せた輸送艇は上空へと急上昇し、アリーナから離脱していった。
「ふう、何だか・・・・・・変な夢を見ていたみたいです。」
首が繋がり、上体を起こしたC-3POはボソッと呟いた。
沢山のドロイドの残骸や、ジェダイの死体が転がるアリーナの中を、一人の少年が歩いていた。
「父さん・・・・・・。」
少年はしゃがみ、冷たくなった父親の頭を拾うと、涙を流して顔をうずめた。
-
- 48 : 2015/10/21(水) 08:44:51 :
-
共和国軍の輸送艇の中で、リヴァイはヨーダと会話を交わした。
「ここでザックレーを逃がせば、より多くの星系が奴に靡くじゃろう・・・・・・。」
「同感だな、ヨーダ。あいつを捕まえるか殺さなければ・・・・・・戦禍は限りなく広がるだろう。」
共和国輸送艇はそのまま、独立星系連合の船が停まっている大地へと飛んでいく。
「エレン! ヒストリア! 手すりに捕まって!」
敵の戦艦からヘビーレーザーが飛んできた。
レーザーは輸送艇の近くで爆発し、船を大きく揺らした。
輸送艇は次々と、通商連合のバトルシップやテクノ・ユニオンの宇宙船に攻撃を仕掛けていく。
※テクノ・ユニオン輸送船
http://www.starwars.jp/wiki/images/6/6d/Hardcell-class.jpg
すると、エレンがトルーパーたちに指示を出した。
「燃料タンクの上を狙えッ!」
「了解です!」
輸送艇からミサイルが火を噴き、飛んでいったミサイルが燃料タンクの上、テクノ・ユニオンの宇宙船のくびれているところに命中した。
宇宙船は大爆発を起こして轟沈した。
「流石はドロイド博士・・・・・・恐れ入ったよ。」
機械や宇宙船の知識について、エレンはアルミンを上回っていた。
素直にアルミンは、エレンの的確な指示を称賛した。
さて、ザックレー伯爵はジオノージスの尖塔の中、隠された軍事司令室の中に入った。
部屋の中央には巨大なホログラム装置があり、戦況が刻々と映し出されていた。
※ジオノージアン戦略室
http://www.starwars.jp/wiki/images/c/c3/Warroom2.jpg
部屋の中には既に他の独立星系連合の幹部が集結していた。
その中の一人であるガンレイ総督が呻いた。
「ジェダイの率いるあの軍隊ッ!!」
「信じらん・・・・・・・・・・・・ジェダイはどうやってあのような大軍を集めたのだ?」
突然やってきた共和国の大軍に、伯爵も困惑する様子を見せた。
ガンレイは何とか戦おうと伯爵に提案した。
「全軍を投入して共和国を駆逐しようッ!!」
「・・・・・・・・・・・・それでも足りぬ。」
伯爵はジオノージアンの大公、ポグル・ザ・レッサーに目配せし、他の惑星から援軍を呼び寄せるよう暗に示した。
が、帰ってきた返事は伯爵の希望に沿うものではなかった。
<通信を妨害されている・・・・・・。>
-
- 49 : 2015/10/21(水) 12:17:01 :
共和国の輸送艇はヘビーレーザーを躱しながら独立星系連合の戦艦に近づいていた。
ドゴォンッ!!
だが、ヘビーレーザーに撃たれ、一機の輸送艇が墜落した。
____________これ以上輸送艇で行くのは・・・・・・危険だな。
そう感じ取ったリヴァイが叫んだ。
「パイロット! あそこの合流地点に着地しろッ!!」
「了解!!」
輸送艇が高度を落とし、クローン・トルーパーたちが合流する地点へと着陸する。
リヴァイやエルド、グンタ、オルオ、ペトラが輸送艇から降下し、クローン・トルーパーの部隊と合流した。
「マスター・リヴァイ。五つの精鋭部隊が待機しています!」
「よし、エルド、グンタ、オルオ、ペトラ・・・・・・精鋭部隊を率いていくぞ!」
「「「「はいッ!!」」」」
リヴァイたちがライトセイバーを起動し、前線へと走り出すと、輸送艇に残ったヨーダがパイロットに命じた。
「わしを前線基地まで連れていってくれ。」
再び輸送艇が浮上し、ヨーダは上空からジオノージスの戦場を眺めた。
____________独立星系連合のドロイド軍と共和国のクローン軍の全面衝突。
双方から雨あられの如くレーザーが飛び交い、至る所で爆発が起こり、土煙が舞う。
生き残ったジェダイたちが先頭に立って軍を率い、戦っている姿が見える。
この戦いの司令官として、ヨーダを乗せた輸送艇は即席の前線基地に到着した。
「マスター・ヨーダ。全ての局面において我々が優位に立っています。」
「うむ、良いぞ・・・・・・大変に良い。」
ヨーダは杖を突き、前線基地へと入った。
-
- 50 : 2015/10/22(木) 02:15:41 :
共和国は歩兵であるクローン・トルーパーたちに続いて、全地形用歩行兵器であるAT-TEウォーカーを投入した。
※AT-TEウォーカー
http://www.starwars.jp/wiki/images/f/f3/Atteclone1.jpg
クローンたちが華々しく進撃する傍らで、この戦略兵器も優れた火力で敵を駆逐していった。
これに対し、独立星系連合は死に物狂いの反撃に出た。
通商連合のバトル・ドロイドだけでなく、インター・ギャラクティック銀行やコマース・ギルドのドロイドも投入しての全面戦争となった。
※銀行グループのドロイド・タンク
http://www.starwars.jp/wiki/images/c/c6/Hailfire_Geonosis.jpg
※コマース・ギルドのドワーフ・スパイダー・ドロイド
http://www.starwars.jp/wiki/images/4/4b/DSD1_dwarf_spider_droid.jpg
※コマース・ギルドのホーミング・スパイダー・ドロイド
http://www.starwars.jp/wiki/images/8/8e/OG-9_Geonosis.jpg
まるで無数の蟻のようにドロイドが湧いて出てくる。
その中でも、ドロイド・タンクの背中についた大量のミサイル攻撃は脅威だった。
「くっ、あのタンクを止めるんだッ!!」
「ヤバイッ!! ミサイルが・・・・・・・・・・・・ワアァアアァァッ!!」
ドゴオォオンッ!!
火花を散らし、重い衝撃があたりに響く。
AT-TEウォーカーの進撃は、ドロイド・タンクによって阻まれていた。
この様子を前衛基地からつぶさに観察していたヨーダは、次なる一手を打とうとしていた。
その時、ヨーダ宛に通信が入った。
『マスター・ヨーダッ!!』
「むっ、マスター・アルレルトか・・・・・・何かの?」
アルミンからの通信であった。
まだ輸送艇に乗っているアルミンは、上空からこのドロイド・タンクの弱点を見て取った。
『あのドロイド・タンクは上空からの攻撃に弱いです! 輸送艇から攻撃しますッ!!』
「うむ、良かろう、マスター・アルレルト。輸送艇からドロイド・タンクを攻撃せよ!」
『ありがとうございます!』
アルミンは通信を切ると、輸送艇の砲手たちに命じた。
「よし、ドロイド・タンクへ攻撃を集中するんだッ!!」
「「「了解ッ!!」」」
アルミンの機転により、ドロイド・タンクへの集中砲火が始まった。
-
- 51 : 2015/10/22(木) 02:16:55 :
-
この様子をホログラムから確認していた独立星系連合の幹部たちは一様に青褪めていた。
「不利な展開になった・・・・・・。」
「戦艦を宇宙空間へ避難させなければ。」
通商連合のガンレイ総督と副官のルーン・ハーコが、脱出のために会議室を後にする。
他の幹部たちもそれぞれのタイミングで撤退を始めていた。
<全軍を撤退させるッ!!>
ポグル大公は杖を突きながら、唸るように言った。
「我がマスターは共和国の背信を許さないだろう。」
伯爵は落ち着き払ってポグル大公に答えた。
<全兵力を地下墓地に隠します。それと、究極兵器 の設計図をジェダイどもから隠さねば・・・・・・。>
そう言うとポグル大公は、壁に表示されていたホログラムのスイッチを切った。
そこに表示されていた究極兵器のホログラムが消え、大公はそこからコンパクトなホログラム装置を取り出した。
<この設計図を見られたら、我々はおしまいだ。>
そう言いながら大公は、設計図がダウンロードされたホログラム装置を伯爵に手渡した。
「私がこれをコルサントに持っていこう。」
伯爵は手のひらの上でホログラム装置を起動させる。
そこには、球体の形をした、想像を絶するほど巨大な究極兵器の設計図が映し出された。
※究極兵器の設計図
http://www.starwars.jp/wiki/images/7/7f/Ultimate_Weapon.jpg
「我がマスターにこれを預ければ安全だ。」
そう言うと伯爵はホログラムを消し、自らの宇宙船が停めてあるハンガーへ移動すべく、スピーダーバイクの格納庫へと歩き始めた。
-
- 52 : 2015/10/22(木) 14:01:08 :
-
ドロイド・タンクはアルミンの集中砲火作戦によって悉く駆逐され、敵の戦艦は撤退を始めた。
遂にヨーダは最後の一手を打った。
「戦艦に向けて攻撃を集中させるのじゃ。」
「了解。セクター515へ砲撃せよ。」
ビュウウゥゥンッ!!
前線基地から伝達が届き、STHA-Tウォーカーが火を噴いた。
上昇していく通商連合の、球状のバトルシップは、緑色のターボレーザーによる集中砲火を浴びた。
ドゴオォオンッ!!
遂にバトルシップの一つが動力を失い、ゆっくりと墜落し始めた。
音を立ててバトルシップは墜落していき、ドゴオォオォォンッと大きな音と共に墜落。
衝撃で激しい砂ぼこりが舞い、視界が一切効かなくなった。
そんな中でも、共和国の勇敢なクローンたちは銃を握り、連隊を組んで銃を撃ち続けた。
砂ぼこりの中、次から次へとドロイドが駆逐されていく様は、まさに地獄絵図だった。
エレンたちの乗っている輸送艇も、巻き上がった砂ぼこりに覆われていた。
「!! 見て、エレンッ!!」
まるで砂嵐のような砂ぼこりから輸送艇が抜け出した時、二機のジオノージアン・スターファイターに護衛され、スピーダーに乗って砂丘へと逃げる老人の姿をアルミンが発見した。
※ジオノージアン・スターファイター
http://www.starwars.jp/wiki/images/b/b2/Nantex-class_starfighter.jpg
※フリットノット・スピーダー
http://www.starwars.jp/wiki/images/8/84/Flitknot_Speeder.jpg
アルミンの指さす方向を確認したエレンが叫んだ。
「ザックレーだ・・・・・・撃ち落とせッ!!」
「弾切れです。」
「ちっ、追うんだッ!」
____________くそ、こんな時に弾切れかよ!
エレンは心の中で毒づいた。
「エレン、アルミン、応援を呼びましょう!」
「時間がないよ、ヒストリア。僕とエレンでやる!!」
砂漠の上を猛スピードで逃げていく伯爵に対し、救援を呼びに行く時間は無かった。
今のところ、伯爵と戦えるのはエレンとアルミンだけであった。
-
- 53 : 2015/10/22(木) 14:05:04 :
「ん?」
一方伯爵も、自分を追って来る機影に気が付いた。
伯爵は手を振り、合図を出す。
すると、護衛についていた二機のスターファイターが動き出した。
スターファイターは輸送艇の後ろにつくと、輸送艇めがけて紫色のレーザーを立て続けに連射してきた。
何とか躱そうと必死に操縦桿を握るクローンのパイロット。
機体はまっすぐ進み、巨大な砂丘を超えようとして失敗。機体の底を擦った。
その時、レーザーの一撃が機体の近くで爆発し、機体が大きく揺れ・・・・・・
「いやあぁあぁぁッ!!」
「!! ヒストリア!!」
その衝撃でヒストリアが砂丘へと落ちていってしまった。
砂丘へと打ち付けられ、ヒストリアはそのまま気絶してしまった。
「船を降ろすんだッ!!」
エレンは大声でパイロットに命じた。
すると、アルミンがエレンの前に立ちふさがった。
「ダメだ、エレンッ! 感情に流されるなッ!」
「!?」
「パイロット、スピーダーを追うんだ。」
「!! ふざけんじゃねえッ!!」
____________非情に徹するアルミンと、非情になり切れないエレン。
両者の確執は、ここにおいて頂点に達した。
「僕一人ではザックレーとは戦えないッ!! 君の力が必要なんだッ!! あいつを倒せば戦争も終わるッ!! そんなことも分からないのかッ!!」
「知ったこっちゃねえよッ!! 船を降ろせッ!!」
「ジェダイ・オーダーから追放だぞッ!!」
「俺はヒストリアを置いてはいけねぇよッ!!」
お互いに大声で怒鳴り合い、お互いの不満が爆発した。
お互いがお互いに与えた傷を、全力で踏みにじってしまった。
「冷静になるんだ、エレン・・・・・・もしヒストリアが君だったら、彼女はどうする!?」
マスターの問いかけに、エレンは沈黙した。
エレンはアルミンから顔をそらし、やがて吐き捨てるように言った。
「・・・・・・任務を、優先する。」
「ふむ・・・・・・。」
巻き起こったフォースの乱れを、ヨーダは感じ取っていた。
「マスター・ヨーダ、敵は敗走中です。」
「よくやった、司令官。」
この報告を受けても、ヨーダの顔は渋いままだった。
ややあってヨーダはクローン・トルーパーに命じた。
「輸送艇を一艘、ここに呼んでくれんかの?」
-
- 54 : 2015/10/22(木) 14:20:59 :
-
やがて伯爵を乗せたスピーダーは、崖の中腹にあるハンガーの中へと入っていった。
その後を、エレンとアルミンが全力で追いかける。
ハンガーの狭い入り口から伸びる足場に輸送艇が横付けされ、エレンとアルミンはライトセイバーを起動して飛び降りた。
ドゴォォォンッ!!
直後、スターファイターによって輸送艇が破壊され、二人の退路は断たれてしまった。
伯爵専用のソーラー・セーラーが停められている狭いハンガーの中、二人のジェダイは遂にザックレー伯爵と対峙した。
自動操縦ドロイドがソーラー・セーラーの中に入っていくのをよそに、伯爵は後ろを振り返ってエレンとアルミンを見た。
「なあ、伯爵・・・・・・お前はどんな大義があってジェダイを殺せたんだ?」
エレンが緑色のライトセイバーを握りながら、伯爵を詰るように問いただした。
その中に、沢山の仲間を殺された・・・・・・怒りが滲んでいた。
「エレン、挟み撃ちで行くよ。ここは慎重に―――――――「必要ねぇよッ!!」
エレンはそう叫ぶと、師匠の制止を振り切ってザックレーの元へと走り出した。
「!! ダメだッ、エレン!! 止めろッ!!」
バチッ!!
「ぐああぁあぁッ!!」
刹那、伯爵の右手から青い稲妻が放たれた。
エレンは正面からフォース・ライトニングを喰らってしまい、吹き飛ばされ壁に打ち付けられて気絶した。
これを見たアルミンは慎重に、真っ直ぐ剣を構えて伯爵とは距離を取った。
「ご覧の通りだ。私の力は君たちよりはるかに勝っている。去れ、死にたいか?」
そう言うと伯爵は、アルミンに向かって電撃を放った。
バチッ!
電撃は、しかし、アルミンの構えた青の光刃によって防がれた。
「やってみるさ。」
アルミンは剣を構え直し、伯爵に挑戦する姿勢を示した。
-
- 55 : 2015/10/22(木) 14:22:37 :
ビュウウンッ!
伯爵は柄の曲がった、独特なカーブ=ヒルト・ライトセイバーを起動、赤い光刃を現出させた。
「ならば、かかってくるといい。マスター・アルレルト。」
その言葉を合図に、アルミンは赤い光刃を持つ伯爵に斬りかかった。
「はぁっ!!」
アルミンは必死になって伯爵に攻撃を仕掛けた。
対して伯爵は、最低限の動きしか見せなかった。
ザックレーは余り労もせず、アルミンの刃を捌いてみせたのだ。
「失望したよ、マスター・アルレルト。ヨーダは君を買い被っていたらしい。」
余裕の笑みすら浮かべるザックレー伯爵。
____________強すぎる!
ザックレー伯爵は飛び抜けたライトセイバーの名手であった。
彼のエレガントなライトセイバーの形はフォーム2、マカーシ―――――――――――ライトセイバー同士の戦いに力点を置いた、防御崩しの形である。
シスが千年前に滅びたとされてからは、実践的ではないという理由で顧みられなかった、伝統あるフォーム。
伯爵はこれを徹底して身に付け、古今無双の剣士の一人となったのである。
実際、彼に勝ったことがあるのは、ヨーダとリヴァイのみ。
-
- 56 : 2015/10/22(木) 14:23:54 :
今度は伯爵が攻勢に出た。
鋭い伯爵の攻撃に、アルミンの防御はなすすべもなく崩されていく。
アルミンがこの10年で習得したフォーム3は、防御崩しの伯爵とすこぶる相性が悪かったのだ。
「その程度か?」
あざ笑う伯爵に対し、アルミンは全力で反撃、積極的に攻撃し始めた。
____________とにかくせめて、相手の攻撃を抑えるしかない。
アルミンは連続して攻撃を浴びせることで、伯爵を守勢に回らせようとした。
攻撃的なエレンを鍛えていただけあって、アルミン自身も攻撃を苦手としている訳ではなかった。
勢いに押され、伯爵は後退していく。
アルミンの攻撃は、しかし、伯爵に全て捌かれてしまった。
どの攻撃も躱され、受け止められ、伯爵を傷つけ得なかった。
そして、攻撃が止まった時、アルミンは前に出過ぎていた。
____________しまった!
伯爵はこの隙を逃さず、猛然と攻め立ててきた。
____________僕の防御が、崩されていく。
しかも、後退するたびに、伯爵の攻撃は鋭さを増していく。
伯爵はアルミンの左太ももを狙ってきた。
____________させない!
咄嗟にアルミンは刃を下に構え、攻撃を防ごうとした。
が、伯爵に動きを読まれてアルミンの防御は空を切った。
ザシュッ!
「あ゛ッ!」
そのまま伯爵は刃を滑らせ、アルミンは左肩を切り裂かれた。
ザシュッ!
「ぐあッ!!」
それから伯爵は元の狙い通り、アルミンの左太ももを容易く切り裂き、アルミンは地面に倒れた。
「うぐ・・・・・・。」
激痛に顔をしかめるアルミン。
「さて、これでおしまいだ。マスター・アルレルト。」
伯爵はそういうと、赤い光刃を振り上げた。
-
- 57 : 2015/10/22(木) 14:26:54 :
-
「うおおぉおぉっ!!」
バチィッ!
振り下ろされた刃は、しかし、飛んできたエレンの光刃が受け止めた。
感心したように伯爵は、エレンの顔を見つめた。
「勇敢だな、エレン・イェーガー。だが、何も学んではいない。」
「生憎と覚えが悪くてな!」
バチッ!!
力強く赤い光刃を弾き飛ばし、驚いた伯爵は後退した。
「エレン! 受け取って!」
傷ついたアルミンが残る力を振り絞り、ライトセイバーを投げ渡した。
ビュウウンッ!
青と緑の光に、エレンは包まれたかのようであった。
次から次へと繰り出される攻撃。
守勢に回る伯爵。
エレンは実によく動き、年老いた伯爵を追い詰め始めた。
____________いける!
エレンは伯爵と互角に渡り合い、青と緑、赤の光がぶつかり合って火花を散らしていく。
____________このまま押していけばこの勝負、若いエレンに分がある。
固唾を呑んで弟子の奮闘を見守るアルミン。
守勢に回りながら、伯爵はエレンを観察していた。
____________攻と守。
エレン・イェーガーは攻撃に優れている。
だが、アルミンほど防御は固くない。
突如、それまで後退していた伯爵が攻勢に出た。
「ぐっ!!」
急な前進に不意を突かれ、バランスを崩すエレン。
シャキッ!
伯爵の一撃をエレンは受け止め損ね、緑色のライトセイバーのが真っ二つに切り落とされて光刃が消えた。
なおも伯爵は、手を緩めずにエレンへと襲い掛かった。
「エレン! 危ない!!」
ザシュッ!!
「ぐああぁあぁッ!!」
遂に伯爵はエレンの右腕を切断した。
苦痛に顔を歪めたエレンを伯爵はフォースで吹き飛ばし、エレンはアルミンのそばに倒れた。
「ぐう・・・・・・エレン・・・・・・。」
傷ついたアルミンは、腕を切り落とされて激痛にあえぐエレンに寄り添うだけで精いっぱい・・・・・・。
____________くそ、僕らじゃ・・・・・・時間稼ぎにもならなかった・・・・・・。
「やれやれ、年寄りに連戦は堪えるな。」
ザックレー伯爵はライトセイバーを消し、一息ついた。
-
- 58 : 2015/10/22(木) 20:37:58 :
「・・・・・・ん?」
気配を感じ、振り返る伯爵。
そこには、自分のかつての師。
そして今や、最大の敵が立ちはだかった。
「・・・・・・・・・・・・マスター・ヨーダ。」
「ザックレー伯爵。」
かつての弟子を前に、グランド・マスターは厳しい顔で臨んだ。
「そう言えば、我々の決着はついていませんでしたな?」
伯爵はそう言うと、右手を壁に向けて差し出した。
ガコンッ!
バシュッ!!
外れたパイプが勢いよくヨーダへと向かう。
「むうっ!!」
ヨーダは杖を放して右手を差し出し、フォースでこれを掴む。
そのまま右手を動かして、パイプはヨーダの左側に転がった。
続いて伯爵は別のパイプをフォースでつかんだ。
先ほどと同じようにヨーダに投げつける伯爵。
ヨーダも同じように右手で受け止め、さっきとは逆に、右側へと受け流した。
すると、今度は両手をヨーダの上の天井へと突き出した。
バキッ!
バキバキバキッ!!
轟音を立てて、岩の天井にひびが入る。
伯爵は突き出した両手を下に降ろし、ヨーダめがけて天井の岩を落とした。
「ふんっ!!」
ヨーダは両手を上へと突き上げ、岩を空中へ静止させると、再び左側へと岩を投げ落とした。
-
- 59 : 2015/10/22(木) 20:38:32 :
「力をつけたのう、ザックレー・・・・・・ダークサイドの力を感じるわい。」
「私はどのジェダイよりも強い。あなたよりもだ。」
バチィッ!!
伯爵は右手を突き出し、フォース・ライトニングをヨーダへ放った。
だが、ヨーダは右手でこれを受け止め、伯爵へと跳ね返した。
「!!」
受け止めようとした伯爵は受け切れずに逸らすのが精いっぱいだった。
そのまま稲妻は天井に当たって弾けた。
バチィッ!!
今度は怒りを込めて、伯爵は再びヨーダへ向けて稲妻を放った。
そのすべてを、ヨーダは右手の身で受け止めた。
そして、そのいかづちをすべて、右手の中に握りつぶして見せた。
「その程度か・・・・・・まだまだ修行が足りんのう。」
ジェダイ最高のフォースを味方につけた、900歳近いグランド・マスターは厳しい声で言った。
「フォースでは決着がつきそうにありませんな。ライトセイバーで決着をつけましょう。」
ビュウウンッ!
伯爵は赤い光刃のライトセイバーを起動させると、刃を構えて敬礼を送った。
ヨーダは何十年かぶりに、自らのライトセイバーに手をかけると、そのスイッチを押した。
ビュウウンッ!
ヨーダの手の中に、鮮やかな緑色の光刃が出現した。
-
- 60 : 2015/10/22(木) 21:41:22 :
ヨーダがライトセイバーを起動するのと同時に、伯爵は動いた。
伯爵は先ほどとは違い、まるでアルミンと立場が変わったかのように目まぐるしく攻撃を仕掛けた。
対してヨーダは、先ほどの伯爵のようにほとんど動かずに刃を捌いていった。
どの角度から攻撃を仕掛けても、伯爵はヨーダを切り崩しえず、徐々に息を切らし始めた。
____________やはり、強い・・・・・・。
やがて伯爵は、自分がヨーダを打ち破ることの不可能を悟り、戦いを諦めて逃走を図った。
だが、そうするためには素早さが足りなかった。
ヨーダは突然、跳躍した。
「!!」
そのあまりの速さに、一瞬消えたように伯爵の目には映ったほどだった。
フォースの力を借りたヨーダは、驚異的ともいうのも生ぬるいほどの速さで飛び跳ね、続けざまに斬撃を伯爵に浴びせた。
ヨーダのライトセイバーのフォームは4、アタロ――――――――フォースで全身を強化し、目にもとまらぬほどのスピードで伯爵を圧倒した。
右腕を失った痛みの中、朦朧とする意識の中で、エレンは伯爵が次第にヨーダによって押されていくのを目撃した。
(俺たちは、まだまだ・・・・・・弱い。)
そうエレンが思えるほど、ヨーダの力は凄まじかった。
-
- 61 : 2015/10/22(木) 21:42:48 :
伯爵は足元への攻撃を予測し、ライトセイバーを振るう。
だが、これを予想していたヨーダは飛び跳ねて躱し、伯爵の懐へと飛び込んできた。
伯爵は激怒し、赤い光刃を撓る鞭のように振るう。
鋭い突き、フェイント、突然の退却からの斬撃と、手練手管を尽くして伯爵はヨーダに何とか対抗した。
そして、鍔迫り合いになり、ヨーダは一言、呟いた。
「腕を上げたのう、わしのかつての弟子よ。」
「これはまだ、始まりにすぎんッ!!」
伯爵はそう言うと、柱のうちの一本の根元をフォースで押しつぶした。
柱は音を立てて崩れ、エレンとアルミンへと倒れ掛かった。
傷ついたエレンとアルミンには、柱を防ぐ力は既に残されていなかった。
だが、ヨーダにはまだその余裕があった。
ヨーダはライトセイバーをしまうと、両手を突き出して倒れ掛かる柱を空中で静止させた。
その隙を見て、伯爵は彼の宇宙船、ソーラー・セーラーに乗り込んだ。
ヨーダがエレンたちの上から柱をどかしている間に、伯爵は離陸の準備を整えた。
ドゴォンッ!!
ヨーダが柱を地面に降ろすと同時に、ソーラー・セーラーはハンガーを飛び出した。
やがて宇宙空間へと飛び出したソーラー・セーラーは、正面から独特なソーラーの帆を開き、悠々と宇宙空間を飛行し始めた。
※ソーラー・セーラー
http://www.starwars.jp/wiki/images/4/49/Punworcca_116-class_interstellar_sloop.jpg
-
- 62 : 2015/10/22(木) 21:43:46 :
「エレン・・・・・・しっかりするんだ。」
アルミンはゆっくりと、右腕を失う重傷を負ったエレンを起こした。
ヨーダはため息をつき、杖を呼び寄せると、ゆっくりと杖を突いて歩き始めた。
超人的なスピードを見せたグランド・マスターは、元の900歳近い老人へと戻った。
やがて、ハンガーの中に、意識を取り戻したヒストリアがエレンを追って入ってきた。
「エレン・・・・・・。」
ヒストリアは右腕を失ったエレンを見て絶句した。
ヒストリアは優しくエレンを抱き寄せると、そっと頬に、口づけをした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 63 : 2015/10/22(木) 21:44:02 :
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- 64 : 2015/10/22(木) 21:45:04 :
伯爵の優雅なソーラー・セーラーはハイパースペースを抜け、銀河共和国の首都惑星であるコルサントへと接近した。
ソーラー・セーラーは帆をたたみ、夕方の柔らかい闇に包まれる摩天楼の上を通り過ぎていく。
やがて伯爵の船は、かつて繁栄を極めていた工業地帯の廃墟であるザ・ワークスの中へと入っていく。
※ザ・ワークス
http://www.starwars.jp/wiki/images/8/89/The_Works.jpg
その中のビルの一角。
そこに用意されたハンガーに、伯爵の船は入っていった。
着陸した伯爵の船に、一人の男が近づいていく。
黒の大きなフードのついたローブを纏った男――――――邪悪なシス・マスター、ダース・シディアスは船から降りてくるザックレー伯爵を出迎えた。
「フォースは我らと共に、マスター・シディアス。」
「戻ったか、ティラナス卿 。よくやってくれた。」
ザックレー伯爵こと、シスの暗黒卿、ダース・ティラナスはシディアス卿にある報告をもたらした。
「いい知らせがあります・・・・・・戦争が始まりました。」
シディアス卿はローブの中でにやけていった。
「素晴らしい・・・・・・すべて私の計画通りに進んでおる。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 65 : 2015/10/22(木) 22:02:33 :
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夕方の闇に包まれ、コルサントのジェダイ聖堂は陰鬱な空気に包まれていた。
「エルド・・・・・・俺たちの仲間は、一体何人死んだんだ?」
「ざっと180人は下らないだろう、グンタ。」
あまりにも多くの同志をこの戦いで失ったのだ。
ジェダイ評議会が開かれる尖塔の部屋の中で、リヴァイ、アルミン、エルド、グンタは、深く意気消沈していた。
「僕を尋問する中で、ザックレー伯爵は言っていました。元老院は最早、“ダース・シディアス”という暗黒卿に支配されていると・・・・・・。」
窓辺に立つアルミンが呟いた。
すると、評議員の椅子に座るヨーダがアルミンに話しかけた。
「ザックレーはダークサイドへと寝返った。嘘や欺瞞、不信をこの銀河中に植え付けようとしておる・・・・・・。」
「いずれにしても、元老院には監視の目が必要だ。」
リヴァイの提案に、ヨーダもゆっくりと頷いた。
「で、お前の弟子はどこに行った?」
「エレンはヒストリアをエスコートして、ナブーへと向かいました。」
リヴァイの問いに答えるアルミンの顔に、ちらりと、懸念の色が浮かんだ。
話を変えるように、アルミンは別の話を切り出した。
「不本意ながら、今回の戦いは、クローン無しでは勝利できませんでした。」
「勝利じゃとッ!?」
アルミンの発言に対し、ヨーダが突然に声を張り上げた。
「我らが勝利したとな? マスター・アルミン、これは、勝利ではない―――――――――・・・・・・
・・・・・・・・・・・・ダークサイドの帳が降りてきた。
始まったのじゃ、クローン戦争が。
その場に居合わせた誰の耳にも残ったこれは、ヨーダの口から初めて聞く、不吉な予言であった。
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- 66 : 2015/10/22(木) 22:17:02 :
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コルサントの広場では、今回の戦いにおいて華々しいデビューを飾った、十万を超えるクローン・トルーパーたちが、巨大戦艦へと乗り込んでいた。
その様子を、建物のバルコニーの上から、パルパティーン最高議長とその取り巻きである議員が眺めていた。
※戦艦に乗り込むクローン・トルーパーたち
http://www.starwars.jp/wiki/images/8/8a/Imperialmarch.jpg
____________迫ってくる戦争に対し、俺は、あまりに無力だった。
議長と一緒に兵士たちを眺めるナイルは、己の無力さに切歯扼腕していた。
飛び立っていく矢尻型の戦艦――――――――スター・デストロイヤーを見上げる議長を、ナイルは見つめた。
議長は、何か決意を固めたかのように、強いまなざしで飛んでいく戦艦を見つめていた。
※スター・デストロイヤー
http://www.starwars.jp/wiki/images/4/4b/Acclamator.jpg
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- 67 : 2015/10/22(木) 22:25:46 :
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ナブーの湖水地方。
ヒストリアの別荘地。
甘い時間を共に過ごしたこのバルコニーで、俺たちは向かい合っていた。
目の前のヒストリアは、見るだに美しいウェディング・ドレス。
純白のドレスが、夕日に映えて、まるで燃え盛るかのように俺の目には映った。
俺はそっと、生身の左手を、機械になった右手を差し出した。
お互い向かい合って両手をつなぎ、俺たちは口づけをした。
初めはおずおずと、そして、次第に深く・・・・・・。
ユミルとC-3POは、そっとR2-D2の頭の上に手を置き、言葉を発するともなく祝福した。
この思い出の地において、二人は密かに・・・・・・結ばれたのだった・・・・・・。
Attack of the Clones
The end
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- 68 : 2015/10/22(木) 22:30:22 :
- 以上で、エピソードⅡ、クローンの攻撃は終了になります!
・・・・・・そして物語は、悲劇へと動き出す。
次はいよいよ前半三部作のクライマックス。エピソードⅢ、シスの復讐になります。
これまでシリーズを閲覧してくださった皆さん、ありがとうございます!
次回もまた、よろしくお願いします<m(__)m>
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- 69 : 2015/10/22(木) 22:37:58 :
- 期待です
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- 70 : 2015/10/22(木) 22:53:44 :
- 期待ありがとうございます!
頑張ります!
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- 71 : 2015/10/23(金) 11:05:14 :
- 全作品読みました!
とても面白いです!
エピソード4以降の配役も楽しみにしてます!
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- 72 : 2015/10/23(金) 15:17:01 :
- 面白いと言っていただけてとてもうれしいです!
エピソードⅣからの配役もある程度考えていますので、よろしくお願いいたします<m(__)m>
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