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エレン「エピソードⅡ」 ヒストリア「クローンの攻撃」 ③ 進撃×スター・ウォーズ

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  1. 1 : : 2015/10/06(火) 08:41:06
    進撃×スター・ウォーズ、エピソードⅡ、クローンの攻撃の第3話です。


    よろしくお願いします。
  2. 2 : : 2015/10/06(火) 08:43:56








    リシ・メイズから南に十二パーセクあたり・・・・・・。









    ドゴオォンッ!!

    一機のジェダイ・スターファイターがハイパースペースを抜け、宇宙空間に姿を現した。



    ※ジェダイ・スターファイター
    http://www.starwars.jp/wiki/images/c/c7/Delta-7_Aethersprite.jpg








    周りに取り付けられた円形のハイパードライブ装置を切り離すと、矢尻型をしたジェダイ・スターファイターは、目的の惑星へと接近。
    アルミンはそこに、目的であった謎の惑星、カミーノを捉えた。







    「宇宙は広いね、R4。」


    アルミンは感慨深げに、補佐を務めるアストロメク・ドロイド、R4-P17に呟いた。



    ※R4-P17
    http://www.starwars.jp/wiki/images/6/6b/R4-P17.jpg










    第3話


    暗雲










    嵐の吹き荒れる海の惑星、カミーノ。


    太古の昔に急激な温暖化に見舞われ、陸という陸が水没したこの惑星には、かつて長い嵐の季節による水害から逃れるシェルターとして築かれた水上都市―――――――ティポカ・シティが存在した。



    ※ティポカ・シティ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/2/2f/Tipoca_City.jpg





    アルミンの操縦するスターファイターは、荒れ狂う嵐に耐えるよう設計されている円盤状の都市の、プラットフォームの一つに着陸した。








    「酷い嵐だ・・・・・・。」


    コクピットを開けると、たちまち打ち付けるような強い雨が降り注いだ。
    アルミンは茶色のローブについた大きなフードを被るとスターファイターから降り、近くの自動ドアへと歩き始めた。







  3. 3 : : 2015/10/06(火) 15:50:01









    ティポカ・シティの中は、外の暗い嵐とはまるで別世界だった。





    ____________まるで、白い光に包まれるがごとく、変に明るい空間だ。



    そんなことを考えていると、カミーノアンとでもいうべきだろうか、首のすらっと長いエイリアンが歩いてきた。




    ※トゥーン・ウィ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/4/43/Taun_We.jpg







    「ようこそ、ジェダイ・マスター殿。首相があなたをお待ちです。」

    「僕を・・・・・・ですか?」







    女性と思しき声を持つカミーノアンの言葉が信じられず、僕は思わず聞き返してしまった。






    ____________一体何が起こっているんだろう?


    僕らジェダイは、カミーノという星の存在を先日知ったばかりだというのに。








    動揺する僕をよそに、そのカミーノアンは話を続けた。


    「勿論です、ジェダイ・マスター殿。お待ちし続けて数年、最近はもうあきらめかけていたのですから。」









    ____________話が見えてこなかった。


    取りあえず僕は事情を知っているふりをし、首相の元へと案内してくれるというカミーノアンの女性の後をついて行った。







  4. 4 : : 2015/10/06(火) 18:05:32







    白い光の眩しいティポカ・シティの内部を奥まで進んでいくと、目の前の扉がするりと開いた。
    その奥には男性と思しきカミーノアンが一人、椅子から立ち上がって僕にお辞儀をした。


    僕もお辞儀を返すと、カミーノアンの女性は首相を紹介してくれた。







    「こちらが首相のラマ・スーです。彼はジェダイ・マスターの――――――「アルミン・アルレルトです。」



    ※ラマ・スー
    http://www.starwars.jp/wiki/images/7/73/Lama_Su.jpg






    ____________本当はジェダイ・ナイトなんだけどね。


    心の中で苦笑いを浮かべながら、アルミンは彼らに話を合わせていた。






    「ご滞在をお楽しみください。さあ、座って。」


    ラマ・スーがそう言うと、椅子が一脚、部屋の上からアルミンの高さに降りてきた。







    二人が椅子に腰かけると、首相は早速話を切り出した。






    「では、早速ビジネスの話から・・・・・・。お喜び下さい、既に20万ユニットが完成、さらに100万ユニットを生産中です。」

    「それは・・・・・・朗報ですね。」







    アルミン・アルレルトは頭の回るジェダイ・ナイトである。
    後に優れた戦略家として名を馳せることになるその頭脳は、リヴァイやヨーダ、ミケといったジェダイ評議会主要メンバーも一目置いていた。


    その彼が、今まさに困惑し、頭の中はまるで外の嵐のようであった。






    (ユニットって一体・・・・・・彼らはここで何を作っているんだ!?)





  5. 5 : : 2015/10/06(火) 18:06:58






    努めて冷静を装い、アルミンは話を聞き続けた。







    「マスター・サイフォ=ディアスにはご注文通りの納期でお届けできるとお伝えください。」

    「失礼、マスター・・・・・・?」

    「ジェダイ・マスター、サイフォ=ディアスです。彼はジェダイ評議会の主要メンバーでは?」









    サイフォ=ディアスは実在したジェダイ・マスターだった。
    そう、実在したマスターだったのだ。








    「サイフォ=ディアスは十年前に殺されました。」

    でも、彼は既に十年前に殺されている。







    _________あまりにも話が出来過ぎている。





    シスの暗黒卿が出現し、僕やマスター・エルヴィンを襲撃したのも十年前。
    僕がマスター・エルヴィンを亡くし、エレンを弟子にしたのも十年前。


    そして、ダリス・ザックレー伯爵がジェダイ・オーダーを去ったのも十年前。





    余りにもおかしい。
    言うまでもなく不自然だ。




    僕はそこに、十年前には遂に分からなかった、もう一人のシスの暗黒卿の影を認めた。





  6. 6 : : 2015/10/06(火) 18:07:58







    「何と・・・・・・それは残念なことです。」


    サイフォ=ディアスの死を知って、首相は肩を落とした。








    「もし彼が生きていたら、ご依頼で作成した“軍隊”に、きっとご満足いただけたでしょうに・・・・・・。」

    軍隊(・・)?」








    まるで鉄の棒で後頭部を殴られたかのような衝撃だった。
    心の中で激しく動揺する僕のことなどお構いなしに、首相はビジネスの話を続けた。







    「ええ、軍隊です。これまでで最高の出来だと自負しています。」

    「首相、マスター・サイフォ=ディアスはその軍隊の用途について、何か話しましたか?」







    何とか動揺を抑えて質問したアルミンに対し、首相はひどく冷静に答えた。







    「勿論です、これは共和国の軍隊だと。直接その目で確かめられますか?」

    「えぇ、それが私の目的ですから。」









    ____________何ということだろう。


    銀河の中央では軍隊を組織するかどうかで揉めているというのに、銀河の端ではすでに軍隊が用意されていたなんて・・・・・・。









    追っている影の計り知れない深さに、僕は一抹の不安を覚えずにはいられなかった。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  7. 7 : : 2015/10/07(水) 00:36:09








    「もうすぐ到着するわ。」

    「はは、ナブーにはこんな所もあったんだな。」






    二人はゴンドラ・スピーダーに乗って、レイク・カントリーへと到着した。
    湖の上に浮かぶ、煌めくような小島は、まるで緑の宝石のような輝きを放っている。



    水の上をゆったりと走るゴンドラ・スピーダーはやがて、小島の上に建てられた古風な石造建築の別荘へと接岸した。




    ※ヒストリアの別荘
    http://www.starwars.jp/wiki/images/b/bb/Varykino.jpg







    「ここは代々レイス家の別荘なの。」

    「へぇ、すっげえな!?」







    エレンに手を引かれ、ヒストリアはゆっくりと船から降りる。
    そのままエレンはヒストリアを、湖の見える石造りのバルコニーまでエスコートした――――――手のひらから伝わってくるヒストリアの体温に、胸の高鳴りが抑えられず、顔がほころびそうになるのを堪えながら。








    「とても懐かしいわ・・・・・・。学校が休みになるとここに来て、よく友達と水浴びをして遊んだの。砂辺に寝そべって、鳴いている鳥の当てっこをよくしたわ。」


    バルコニーの手すりに両肘をついて、懐かしそうに思い出を語るヒストリア。








    「俺は・・・・・・砂が嫌いだったよ。」

    「どうして?」

    「砂は・・・・・・ざらざらしてて、どこにでも入ってくるからな。」

    「食事のときにも?」

    「そりゃもうあれだ・・・・・・時々砂を齧るような飯だって食ってたから・・・・・・。」









    砂漠の惑星タトゥイーンで奴隷だったエレンにとって、砂は苦々しいものでしかなかった。
    砂の話を聞くだけで、本当は気分が悪くなるはずだったのだ。



    けれど、不思議と今は嫌な気分にならなかった。










    「でも何でだろうな・・・・・・ここの砂は違うんだ。全部が・・・・・・柔らかい。」







  8. 8 : : 2015/10/07(水) 00:37:12








    俺はそっと、露出したヒストリアの背中をさすった。




    驚いたことに、ヒストリアは俺を拒否しなかった。
    すると、ヒストリアがそっと俺のほうを見た。
    その青い瞳で、真っ直ぐに俺を見た。









    ____________ヒストリアが、真っ直ぐ俺を見つめている。


    その瞳に吸い寄せられるかのように、俺はゆっくりと顔をヒストリアの顔に近づけた。

















    ・・・・・・・・・・・・初めての口づけは、とてももろくて、切ないものだった。



    目を閉じて、お互いの気持ちを探り合うような、そんなキスだった。
    お互いの心が燃え上がり、さらに唇を重ね―――――――「ダメッ!」











    すっと唇を離したヒストリアの一言で、我に返った。








    ____________俺だけじゃなかった。


    ヒストリアも、俺のことをそういう目で見つめてくれていたのだ。
    俺は嬉しくなったが、同時に悲しくなった。







    じゃあ何で、俺のキスを途中で拒否したのだろうか・・・・・・。













    ふとしたことから、一線を超えてしまった。
    もう、以前の関係には戻れない・・・・・・。






    お互いがそのことに気が付いて、しばらくしゃべれないままに時間は過ぎ去っていった。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  9. 9 : : 2015/10/07(水) 05:35:57







    「・・・・・・素晴らしいです。」

    「きっとそう言っていただけると思いました。」









    アルミンはラマ・スー首相とトゥーン・ウィ補佐官に案内されて、クローンを作る施設を案内されていた。


    チューブ型の渡り廊下の外には何本も柱があり、その一つ一つに五つずつ円盤が取り付けられていた。
    そこには液体に満たされた筒がいくつもあり、その中に一つずつ胎児が培養されていた。



    ※クローン工場
    http://www.starwars.jp/wiki/images/2/27/Kamino_Facility.jpg






    「クローンには思考力があります。ドロイドとは比べ物になりません。戦闘教育と訓練プログラムにも自信を持っています。あれは生まれてから五年目の部隊です。」


    首相の指さしたほうを見ると、なるほど、取り付けられた円盤の中は、まるで一つの学校のようになっており、10歳前後の子供がモニターを前に学習していた。









    「見たところ、あのクローンたちの見た目は10歳だ。成長を加速させているんですね?」

    「ええ、人と同じ成長速度では時間がかかります。それ故、遺伝子に手を加えて、通常の半分ほどで成熟したクローンを作ります。」

    「つまり、十年(・・)ほどでクローンは成熟するということですか。」








    ____________あまりにも出来過ぎた話で気味が悪かった。


    首相は自らの製品に自信を持っているらしく、誇らしげに話を続けた。




  10. 10 : : 2015/10/07(水) 05:36:58






    「彼らは完璧な従順さで疑問を抱かず命令に従います。オリジナルの持っている強烈な自我を遺伝子操作で削っているのです。」

    「ちなみにそのオリジナル・ホストとは?」

    「“ケニー・アッカーマン”という賞金稼ぎです。」






    僕はその名前に聞き覚えがあった。
    銀河中でも悪名高い、賞金稼ぎの一人。最近は消息を聞かなかったけれど、まさか・・・・・・。






    「その賞金稼ぎは今どこに?」

    「ここに住んでいます。報酬の一部がとても変わっていましてね、ケニーは全く手を加えていないクローンを一体要求してきたんですよ。」

    「手を加えていない?」

    「遺伝子操作を行わない、全く純粋なクローンです。」







    ____________どうやらケニーは、ここに腰を落ち着けたようだ。


    僕がぜひ会ってみたいと言うと、補佐官のトゥーン・ウィが喜んで取り計りましょうといってくれた。





    彼が何らかの事情を知っていることは間違いない。
    ここは何としても聞きださなければ・・・・・・。










    やがて、渡り廊下が尽きて僕らはバルコニーに出た。
    僕らの眼下には、驚くべき光景が広がっていた。
















    完成した20万ユニットもの兵士―――――――クローン・トルーパーが、白い装甲服に身を纏い、銃を携えて整然と整列していた。



    ※クローン・トルーパー
    http://www.starwars.jp/wiki/images/1/1e/Clone_Troopers.jpg











    僕は思わず身震いした。

    ____________この存在が公になれば、必ず戦争になる。






    ヒストリア議員がなぜ軍隊法に反対するのか、その理由が分かったような気がした。













    「どうです? 壮観な眺めでしょう?」


    首相の言葉に、僕は無言でうなずくしかなかった。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  11. 12 : : 2015/10/09(金) 19:20:52










    そこはまるで、夢のように美しい場所だった。
    青々と広がる草原に、どうどうと流れる滝の音が、遠くから柔らかく聞こえてくる。


    ここは、ヒストリアお気に入りの場所の一つ。






    ※レイク・カントリー
    http://www.starwars.jp/wiki/images/0/03/LakeCountry.jpg







    草むらに身体を投げ出し、俺たちはそこで飽きるほどいろんな話をした。




    時に笑って、
    時に拗ねて、
    そして時に・・・・・・苦しくなった。











    「なぁ? フリーダさんが言ってただろ?」

    「ふふ、知らないわ、エレン。」

    「初恋の時の話、聞かせてくれよ?」

    「マインド・トリックを使ってみたら?」

    「意志の強いお前には効かねぇよ。それに、その手の技はあんま得意じゃねぇし。」








    ヒストリアは微笑むと、まるで懐かしむかのように分かったわと言って、昔話を始めた。






  12. 13 : : 2015/10/09(金) 19:21:53








    「12歳の頃だったわ。彼の名前はパロ。立法機関の青少年プログラムで一緒だったの。私より少し年上、黒い巻き毛に、夢見る瞳――――――「あ~も~大体分かった。それで?」

    「妬いてるの?」

    「べ、別にそんなんじゃねえよ!」







    そんな風に言いながらも、ムスッとむくれるエレンが可愛らしくて、私は思わず笑ってしまった。







    「私は政治家に、彼は芸術家の道を選んだわ。」

    「少なくともそいつは賢明な奴だったんだな。」

    「よっぽど政治家が嫌いなのね、エレン?」

    「好きな奴も2、3人はいる。そのうちの一人はよく分からねぇ奴だけどな。」







    基本的にマスターに似て、エレンも政治家は苦手だった。







    「今の共和国は機能不全に陥っているからな。」

    「じゃあどうすればいいと思う?」







    不意にヒストリアに聞かれ、戸惑うエレン。
    嫌いながらも政治に詳しく、外交調停を得意とするアルミンとは違い、エレンは単純に政治そのものをよく分かっていなかった。








    「そ、そりゃ、あれだ・・・・・・議員がガッツリ問題に取り組んで話し合えばいいだろ?」

    「みんなそうしたいんだけどなかなかまとまらなくて。」

    「じゃあ、その意見を取りまとめる人間が必要だな。」

    「誰がまとめるの? エレン?」

    「いや、俺じゃねぇよ! でも、誰か能力のある人だ。」

    「私には独裁政治に聞こえるわ。」

    「しっかりと統治が行われるならそれもありだろ?」










    ____________エレンの幼い政治観は危うい側面を孕んでいる。


    本気でそう思っているというよりは、恐らく関心がないのだ。







    「エレン、私をからかっているのね?」

    「いやいや、議員に冗談なんて恐れ多いな。」







    無邪気に笑うエレンに、私も思わず笑顔になった。



    とにかく、政治の話はもう止そう。
    今は・・・・・・エレンと一緒に過ごせる、この瞬間を大切にしたい。







  13. 14 : : 2015/10/09(金) 20:15:10







    「おい、あれ見ろよ、ヒストリア。」

    「えっ?」






    不意にエレンが指さしたほうを見ると、草を食むシャクの群れがそこにいた。



    ※シャク
    http://www.starwars.jp/wiki/images/3/30/Shaak.jpg








    「よっと!」


    エレンはシャクに飛び乗り、驚いたシャクが走り始めた。
    巧みにシャクを乗りこなすエレンに、ヒストリアは見とれていた。







    だが・・・・・・






    「おわっ!!」


    一瞬エレンがバランスを崩し、エレンはそのまま地面へと叩きつけられた。







    「エレンッ!!」


    ヒストリアが呼んでも、エレンが動く気配すらない。
    うつぶせに倒れたまま、エレンは起き上がれないようだった。








    ____________まさか、そんな・・・・・・。



    ヒストリアはすぐにエレンの元へと駆け寄った。
    まるで、すべてが崩れ去ってしまったかのようだった。











  14. 15 : : 2015/10/09(金) 20:15:41







    「エレンッ!! しっかりしてッ! エレンッ!!」


    うつぶせになって動かないエレンをヒストリアは介抱しようと仰向けにした。








    「ぷっ、ははははは・・・・・・引っかかったな!?」

    「!?」







    無傷だったエレンは声を上げて大笑いした。
    一瞬あっけにとられたヒストリアは、次の瞬間には頬を膨らませてエレンの体をぺしっと叩いた。






    「もう! またからかったのね!!」

    「いてててて! 身体打ったのはホントだって!」









    ____________俺たち二人は、まるで恋人になったかのような甘い時間を過ごした。



    いつしか俺は、任務でここに来ているということを忘れていた。
    それくらいここで過ごした時間は甘美で、かけがえのないものだった。









    それは、ヒストリアにとっても同じだった。









    初めてかもしれない・・・・・・。
    常に公職に身を捧げてきたヒストリアが、今はエレンのことしか見えていなかった。




    でも、私たちにはこの関係は・・・・・・許されていない。
    それをいつ、エレンに切り出すか・・・・・・。

















    いつか終わらせなければいけない。
    そのことをどうしても、ヒストリアはエレンに言い出せなかった。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  15. 16 : : 2015/10/10(土) 08:35:31










    建物の外では、いつまでも嵐が吹き荒れている。
    ティポカ・シティの外では、稲妻が光り、遅れて雷鳴が聞こえてくる。



    トゥーン・ウィに案内され、アルミンはケニーの部屋の前に来ていた。










    ウィが扉を開けると、10歳前後の少年が出てきた。







    「ジュニア、お父さんはいるかしら?」

    「いるよ。」

    「お会いできるかしら?」

    「いいよ。」







    鋭い目つきをしたその少年は、一瞬僕を不審そうな目で見、部屋の奥へと入っていった。
    どうやらこの子が、ケニー・アッカーマンの純粋なクローンらしい。







    「父さん! トゥーン・ウィが来たよ!」


    ケニー・アッカーマン・ジュニアが呼びかけると、たった今帰ってきたところなのだろう、奥の扉が開いて、そこからラフな格好をしたケニー・アッカーマンが現れた。







    「ケニー、帰ってきたのね。実りある旅だったかしら?」

    「まぁな。随分クソッたれな旅だったぜ?」







    にやけながら言うケニーに、トゥーン・ウィはアルミンを紹介した。






  16. 17 : : 2015/10/10(土) 08:36:26







    「こちらはジェダイ・マスターのアルミン・アルレルトです。」

    「おうおう、偉大なマスター様がわざわざご苦労なこったな。ん?」







    少し尊大な態度を取るケニーに対し、アルミンはあくまで慇懃な態度で応じた。
    他の人間にはそれと分からない作り笑いを浮かべて、アルミンは話を切り出した。






    「初めまして、ケニー・アッカーマンさん。あなたのクローンは素晴らしかったです。」

    「この俺のクローンだからな、当然だろ? この銀河の歴史に名を刻むクソすんばらしい軍隊になるぜ?」

    「コルサントにも足跡を刻んだのかな?」






    唐突に切り出すアルミン。
    ケニーはまったく意にも介さない様子で切り返した。






    「一、二回は行ったことがあるな。」

    「最近は?」

    「・・・・・・行ったかもな。」







    アルミンは作り笑いを崩さず、ケニーは尊大な態度を崩さない。
    お互いの足元を見たうえでの腹の探り合いに、場の空気は氷の惑星ホスのように凍り付いた。





  17. 18 : : 2015/10/10(土) 08:37:19







    「そうですか。では、マスター・サイフォ=ディアスのことも知っているはずですね?」

    「んん? マスター・・・・・・何だって?」

    「マスター・サイフォ=ディアスですよ。確かこの仕事を君に依頼したジェダイ・マスターですよ。」

    「・・・・・・知らねぇな。」







    アルミンはケニーに探りを入れつつ、部屋の隅々をそれと無く目で探っていた。
    アニを殺した男(恐らく男だと思うが)は、テンガロンハットにジェットパックを背負った男だった。



    ただ、ケニーのほうから尋常ならざる殺気が放たれており、アルミンとて油断はできない。
    よそ見は直ちに死につながる・・・・・・そうフォースが告げていた。







    「俺はボグデンの月のティラナスって男に雇われたんでなぁ。」

    「・・・・・・面白い。」








    さて、ここは狭い室内だ。
    それに、後ろにはトゥーン・ウィもいる。


    ・・・・・・ここでやりあうのは得策とは言えない。







    「ところでよぉ? 俺の軍隊は気に入ったか、ジェダイ・マスター様よぉ?」

    「是非戦うところが見てみたいですね。」








    言外に宣戦布告を滲ませるアルミン。
    対するケニーはまるで話を逸らすかのようににやけた。






    「この俺のクローンだ。性能は保証しといてやるよ。」

    「わざわざありがとう、ケニー・アッカーマンさん。」

    「ジェダイ様ならいつでも大歓迎だぜ?」







    アルミンは丁寧にお辞儀をし、トゥーン・ウィと共に部屋を後にした。






  18. 19 : : 2015/10/10(土) 08:38:26

















    「・・・・・・あのクソ野郎。どうしてここが分かった?」








    ケニーにとっては想定外の事態だった。
    アニを始末したのも、この場所が割れないようにするための策略だったのに・・・・・・。



    思いもしなかったのだ。
    まさか俺の使った毒矢を分析して後を付けてくるようなクソッたれがいようとは・・・・・・。




    あの毒矢は、闇の世界でのみ知られる暗殺用のセイバー・ダート。
    つまり、あのジェダイは闇の住人かそいつらと繋がりのある人間ということになる。











    「父さん?」


    ケニー・ジュニアが不安そうに顔色を覗くと、ケニーは渋い顔をした。









    「ジュニア・・・・・・荷物を纏めろ。」

    「えっ!?」

    「ずらかるぞ。」








    ケニーはそう言うなり、奥の部屋の扉を開けると、ジェットパックを背負い、テンガロンハットを被った。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  19. 20 : : 2015/10/10(土) 11:22:25








    夕刻になり、柔らかな夕日の光が注ぎ込むレイク・カントリー。






    エレンとヒストリアは向かい合い、一緒に夕食をとっていた。





    長い時間を二人っきりで過ごした。
    それでも俺はまだ話し足りない。



    _________まだまだ一緒に同じ時を過ごしたい。










    「・・・・・・それでよ、俺が到着したころには“過激な交渉”になってたって訳だ。」

    「“過激な交渉”?」

    「ライトセイバーを使った交渉さ。」

    「ふふ、何それ。」

    「アルミンは交渉の席で弁舌の代わりにライトセイバーを振るってたんだぜ?」

    「あはは、信じられない!」









    アルミンと初めて行った外交調停任務の思い出。
    結局交渉は罠で、アルミンを殺害する計画だったんだが、アルミンはライトセイバーで難無く切り抜けた。


    ライトセイバーを持って穏やかに話すアルミンに少し寒気を覚えたのは俺だけじゃなかったと思う。







    「多分敵は生きた心地がしなかっただろうな。」

    「なんだかんだで仲がいいのね、あなたのマスターと。」

    「そりゃそうだろ。マスター・アルミンはすげえジェダイなんだぜ。」








    話を聞きながら、ヒストリアはエレンとアルミンの絆の強さを想った。


    ____________エレンはアルミンに不満を持ちつつも、心の底では尊敬しているのだ。






  20. 21 : : 2015/10/10(土) 11:23:27







    そんなことを考えながら洋ナシをナイフとフォークで食べようとすると、突然洋ナシが転がった。
    ヒストリアのフォークは、かちゃんと音を立てて皿にぶつかった。






    「あなたの仕業ね!? エレン!?」

    「ん? 何のことだよ?」







    とぼけるエレンにヒストリアは少しむくれて、洋ナシをフォークで刺そうとするとまた洋ナシが転がった。
    お皿が再びかちゃんと大きな音を立てる。







    「もう! またからかって!」

    「はは、そう怒んなよ。」








    すると今度は、洋ナシが宙に浮いた。
    洋ナシはゆっくりとエレンの皿に転がり、エレンは洋ナシを小さく切り分けた。








    「アルミンに見られたらすこぶる機嫌が悪くなるだろうな。」


    切り分けた洋ナシをエレンはヒストリアに送った。
    洋ナシはそのままヒストリアのフォークに刺さった。








    _________すべてが愛おしかった。



    一つひとつのしぐさも、
    俺の冗談に反応する様子も、
    洋ナシを食べる、その瞬間さえ・・・・・・







    (好きだ、ヒストリア、大好きだ。)








    ・・・・・・もう、気持ちを抑えられない。


    俺は、ヒストリアに想いを打ち明けることを決意した。







  21. 22 : : 2015/10/10(土) 11:24:35







    夜の帳が降り、俺とヒストリアは暖炉の前でお互いソファーに隣り合って座った。


    暖炉の炎に照らされて、ヒストリアの横顔が一層綺麗に見える・・・・・・。
    ヒストリアは何か思いつめているのか、沈鬱な表情をしていた。







    「なぁ、ヒストリア・・・・・・俺たちが知り合って、もう何年だ?」

    「・・・・・・10年になるわ。あの時のエレンは、まだ小さな少年だったわ。」








    ヒストリアはちらとエレンを見た。


    緑色の目は、触れれば火傷しそうなほどに燃えている。
    凛々しくなった顔立ちは、もう10年前のあどけない少年の時とは違う。




    それに、エレンを想う、私の気持ちも・・・・・・変わった。
    でも・・・・・・









    「俺は会えなかった10年間、ずっとお前のことを想ってた・・・・・・。でも、何でだろうな。会えない時は寂しかったのに、会ったら会ったで、今度は苦しいんだ。」








    エレンは胸の内を切実に訴えてくる。


    聞きたかった。
    でも、聞きたくなかった。








    「俺はどうすればいいんだ、ヒストリア。お前の言うことなら何でも聞くよ、だから・・・・・・お前の答えを聞かせてくれ。俺は・・・・・・お前が好きだ。」

    「ダメよッ!!」






  22. 23 : : 2015/10/10(土) 11:25:24






    ヒストリアははっきりと拒絶し、ソファーから立ち上がった。





    「何でだよ・・・・・・何でなんだよッ!!」

    「エレン、良く聞いて! 私たちは現実を生きているの! あなたはジェダイを目指す身で、私は元老院議員・・・・・・。このまま気持ちに流されたら、私たちは・・・・・・破滅するわ。」








    _________気が付きたくなかった私の気持ち。








    (私は、エレンを・・・・・・愛してる。)









    その気持ちに気が付かなかったら、
    エレンが10歳の少年のままだったら、


    どんなに楽だったことだろう・・・・・・。








    「お前も、思うところがあるんだな?」

    「そうよ、エレン。だから・・・・・・だからこそ、私のせいであなたの将来を棒に振って欲しくないの!」

    「理性的になれってのか? そんなこと出来ねえよ!」






  23. 24 : : 2015/10/10(土) 11:26:08







    エレンにこんなにも求められている・・・・・・。


    そのことがとてもうれしくて、
    そのことがとても辛かった。







    自分を引き裂くように、ヒストリアは言葉を続けた。


    「私は・・・・・・感情には屈しないわ。」













    「なら、秘密にすればいい。」

    「秘密を抱えて生きるなんて・・・・・・そんなことが出来るの? 偽りの人生を送ることが?」












    エレンはしばらく答えなかったが、やがて口を開いた。


    「・・・・・・無理だよな。秘密を抱えたまま生きるなんて・・・・・・。お前の言う通りだよ、ヒストリア。待ってるのは・・・・・・破滅だけだ。」








    気が付くと、エレンは涙を流していた。
    いや、彼だけじゃない。私も知らず知らずのうちに泣いていた。













    私たちは結ばれない・・・・・・。


    エレンも私も、そのことに気が付いてしまった。















    ああ、世界は、
    世界はとても、





    残酷だ・・・・・・。











    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  24. 25 : : 2015/10/10(土) 14:51:02










    「今日は本当にありがとうございました。充実した視察になりました。」


    アルミンはトゥーン・ウィに見送られ、ジェダイ・スターファイターのあるプラットフォームの入り口に来ていた。








    「最初の大隊の準備は整ったと評議会にはお伝えください。それと、追加の兵員を送るには今しばらく時間がかかることも。」

    「分かりました、きっと、お伝えしましょう。」







    アルミンは深く頭を下げると、フードを被って吹き荒れる嵐の中へと出ていった。
    ジェダイ・スターファイターの元まで歩いていくと、アルミンはR4へ叫んだ。


    「R4! スクランブル・コード5だ! コルサントの老人ホーム宛にメッセージを出してくれ!」








    R4は電子音を立てると、ジェダイ・スターファイターからアンテナをコルサントへ向けた。


















  25. 26 : : 2015/10/10(土) 14:51:52


















    銀河共和国首都惑星、コルサント。



    アルミンのスクランブル・コードは、ジェダイ聖堂にあるヨーダの私室へと繋がった。






    私室にはヨーダのほかに、リヴァイがアルミンの報告を待っていた。
    部屋の中央に柱状のホログラム装置があり、激しい雷雨に降り込められるアルミンの青い幻影がそこに映された。







    『マスター・ヨーダ! マスター・リヴァイ! カミーノの首相と接触することに成功しました!』

    「ほう、よくやったじゃねぇか、アルミン。」

    「して、何か分かったかのう?」

    『驚くべき報告です! 彼らはケニー・アッカーマンという賞金稼ぎを使ってクローンの軍隊を作っていました! しかも、ケニーはヒストリア暗殺未遂事件の犯人かもしれません!』








    この報告はリヴァイに、そしてヨーダに少なからず動揺を与えた。







    「おい、そのクローン職人とやらもこの暗殺に関わってんのか?」

    『いえ! 彼らには動機がありません!』

    「決めてかかってはならぬぞ、アルミン。心を研ぎ澄ますのじゃ。」

    『はい、マスター! 彼らが言うには、マスター・サイフォ=ディアスが十年前に元老院の要請で軍を発注したそうです! 彼はその前に死んでいたはずですが・・・・・・評議会はそのような許可を出しましたか!?』

    「いや、俺たちがそのような許可を出したことはない。」






  26. 27 : : 2015/10/10(土) 14:53:24









    十年前――――――――――リヴァイもまた、この奇妙な一致に違和感を覚えた。




    忘れもしない・・・・・・十年前のナブー騒乱。
    ジェダイ・マスター、エルヴィン・スミスが命を落とした戦いだ。



    十年前のこの戦いと、今回の件は恐らく繋がっている。








    「ケニーをここへ連れてくるのじゃ、マスター・アルミン。わしらが尋問しようぞ。」

    『分かりました! ケニーを捕えたらまた連絡します!』








    ヨーダの命を受けて、アルミンからの通信は切れた。
    ヨーダは目を閉じ、やがて吐き出すようにしゃべり始めた。







    「・・・・・・クローンの軍隊とは。わしらの目は節穴じゃった。」

    「気に入らねぇな・・・・・・ダークサイドが増大し、俺たちの目は曇らされてる。どうする、ヨーダ? 元老院に報告するか? 俺たちがフォースを使う能力に、衰えが生じたと?」









    ____________十年もの間、密かに作られていたクローンの軍隊に気が付けなかった。


    広がっていくダークサイドの暗雲は、次第に影を濃くし、ジェダイたちを覆うようになっていた。
    十年前の見えざる脅威(ファントム・メナス)は、次第に形をとって現れ始めた。












    「シスの暗黒卿だけじゃ、わしらの弱点を知るものはな。元老院に報告すれば、敵を増やすことになるじゃろう。」









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  27. 28 : : 2015/10/10(土) 16:37:56

























    俺は・・・・・・懐かしい風景を見ていた。








    ふと目を覚ますと、母さんがキッチンで夕食の準備をしている。



    何の変哲もない。
    いつもの風景。










    「母さん・・・・・・まだ?」


    俺がそう呼びかけると、母さんは振り返った。






    「母さん?」


    瞳から涙を流し、母さんは泣いていた。












    すると、周りの風景が暗転し、母さんと俺だけが残された。


    「!! 待ってくれよ! 母さんッ!!」








    母さんがゆっくりと遠ざかっていく。



    俺は一生懸命になって追いかけた。
    なのに、一向に距離が縮まらない。








    すると今度は母さんの体が透明になり始めた。
    まるでガラスのように透き通っていく母さんの体に俺は思わず手を伸ばした。



    「やめろおぉぉおぉぉぉッ!!」













    ガシャアァアァンッ・・・・・・


    母さんの体は、粉々に砕け散った。























  28. 29 : : 2015/10/10(土) 16:38:51





















    ガバッ!

    「はぁッ! はぁッ! はぁッ! はぁッ!」









    目を覚ますと、俺はヒストリアの別荘の一室にいた。




    そうだ・・・・・・
    俺は、ヒストリアを護衛するって任務でここに来たんだった。










    ・・・・・・もうすぐ夜が明ける。


    俺はベットを抜け出し、日課となっている瞑想をするため、湖を一望できるバルコニーへと出た。





















  29. 30 : : 2015/10/10(土) 16:39:40

























    夜明けの日差しが、部屋の中に差し込んできた。



    ガウンを纏ってバルコニーへ出ると、エレンが手を後ろに組み、静かに瞑想をしているのが見えた。








    (邪魔しちゃったかな・・・・・・。)


    そう思って静かにバルコニーから離れようとすると、エレンが目を瞑ったまま声をかけてきた。









    「ここにいてくれよ、ヒストリア。」


    エレンに言われるままに、私はしばらくその場に立っていた。
    エレンもその方が安心するらしく、静かに瞑想を続けていた。



















  30. 31 : : 2015/10/10(土) 16:40:19

















    ややあって、私はエレンに声をかけた。











    「・・・・・・うなされていたわね? エレン?」

    「ジェダイは悪夢なんて見ない。」

    「嘘・・・・・・うなされているのが聞こえたわ。」











    夜明け前。
    エレンがうなされる声に、私は目を覚ました。




    確かに聞こえたのだ。
    母親を呼ぶ、エレンの声が・・・・・・。








    エレンはゆっくりと目を開き、ヒストリアのほうへ振り向いた。


    「・・・・・・母さんの夢を見たんだよ。母さんが・・・・・・ガラスのように透明になって、粉々に砕け散る夢だ・・・・・・。ヒストリア、俺の任務はお前を守ることだ。それは分かってる。でも・・・・・・。」









    _________俺、行かなくちゃ。


    エレンの決意は固いようだった。
    例えヒストリアがここで引き留めても、エレンはここを飛び出したことだろう。







    「私も一緒に行くわ、エレン。」

    「ヒストリア?」

    「そうすれば・・・・・・命令違反にはならないでしょ?」







    ヒストリアも、エレンを引き留めるつもりはなかった。
    むしろ、少しでも一緒にいたい・・・・・・矛盾したその想いがヒストリアを突き動かしていた。














    「・・・・・・すまない、ヒストリア。」










    しばらくして、エレンとヒストリアはナブーを発った。
    エレンの故郷、タトゥイーンを目指して。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  31. 32 : : 2015/10/10(土) 16:43:43









    ティポカ・シティのプラットフォームの一つには、ケニーの船であるスレーヴⅠが停まっていた。
    ケニーとケニー・ジュニアは密かに自分の部屋を抜け、荷物を船へと運び入れていた。



    ※スレーヴⅠ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/b/bf/Slave_I_Kamino.jpg













    「父さん! 見て!」


    ジュニアが甲高い声で叫ぶ。
    彼が指さした方向をケニーが見ると、アルミンがプラットフォームへと走ってきた。








    「ちっ、とっとと船に乗れ!」







    ビュウウンッ!

    追いかけてきたアルミンはライトセイバーを起動し、青い光刃を現出した。







    「無駄な抵抗はしないで、おとなしく捕まるんだ!」

    「はッ! これでも喰らいな!」







    ケニーはホルスターから拳銃タイプのブラスターを二丁構え、アルミンへ向けて連射した。


    続けざまに飛んでくる赤いレーザーを、アルミンは的確に捌いて突進。
    そのままケニーに斬りかかった。








    ボシュウッ!

    が、ケニーは背中のジェットパックを起動させてこれを回避。
    そのまま空を飛んで上空から連射。



    アルミンは一旦光刃をしまい、前転してこれを躱すと、再び起動して正面に光刃を構えた。
    ケニーはそのまま、柱の後ろに身を隠した。




    柱の後ろにいるケニーを睨みつけるアルミン。













  32. 33 : : 2015/10/10(土) 16:44:27










    すると、フォースが突如、警告を発した。








    ドゴオォオンッ!!

    咄嗟にアルミンが回避行動に移ると、耳をつんざくような爆発が起こった。





    「うわあぁっ!!」


    ヘビー・レーザー砲だ。
    ケニー・ジュニアがスレーブⅠから援護射撃をしかけてきたのだ。










    ――――――キーンと耳鳴りがする。


    音がほとんど聞こえない・・・・・・。





    寸のところで躱したアルミン。
    だが、その先に、ケニーのジェットパックの先についていたミサイルが飛んできた。







    ドゴオォオンッ!

    「がはぁっ!!」



    直撃は何とか免れたものの、アルミンは爆風に吹き飛ばされ、手からライトセイバーを落っことしてしまった。









    _________エレンに見られなくてよかった。


    体勢を立て直しながらそんなことを考えるアルミン。






    彼にライトセイバーを落としたことを知られたら、何ていわれるか分からない。






  33. 34 : : 2015/10/10(土) 16:45:12









    すると、ケニーが柱からアルミンに止めを刺すべく飛来してきた。





    「はあぁッ!!」

    すぐにアルミンは動き、飛び跳ねた。






    バキッ!

    「おわっ!!」



    空中でアルミンの飛び蹴りが炸裂。
    ケニーはそのまま後ろへと吹き飛ばされ、彼の両手からブラスターが落ちてしまった。



    そのままアルミンは墜落したケニーに襲い掛かる。








    「おいおいおい、ジェダイ様はライトセイバーで戦うんじゃねえのかよ!?」

    「ご生憎さま、ジェダイはライトセイバーだけじゃないんだ!」









    ____________僕の師匠からの教え。






    アルミンは剣術だけでなく、体術にも優れていた。


    エルヴィン亡き後もアルミンは修練を重ね、エレンにもそれは引き継がれた。
    アルミン本人はまともなつもりだが、やはり二人はジェダイの中では異色の師弟だった。








    「やッ!!」

    二度目の飛び蹴りを喰らわせるアルミン。
    何とか腕でガードし、アルミンは地面に着地。






    「はっ! そう何度もくらわ―――――――げふっ!」


    仰向けの体勢からケニーの顔面を右足で蹴飛ばすアルミン。








    「ちっ! 全く何て野郎だ!」

    「まだまだぁ!」






  34. 35 : : 2015/10/10(土) 17:31:26







    お互い体勢を立て直し、拳と拳でやりあうアルミンとケニー。





    バキッ!

    アルミンの右ストレートが炸裂し、よろけるケニーに左フック。
    が、これはしゃがんで躱され、ケニーのカウンターパンチがアルミンのみぞおちに入った。





    メキッ!

    「ぐふっ!」



    生じた隙を逃さず、ケニーはヘッドロックでアルミンを吹き飛ばした。






    バキッ!

    「がはぁッ!!」



    仰向けに倒れたアルミンは、その視界に落っことしたライトセイバーを捉えた。
    すぐに起き上がり、右手を差し出してライトセイバーを呼び寄せるアルミン。







    「おっと、そうはさせねぇよ?」


    ケニーは背中のジェットパックを噴射させて飛び上ると、アルミンの右手めがけて、右手に仕込んだワイヤーを発射した。








    「くっ・・・・・・うわっ!!」


    ワイヤーが手首に絡まり、ライトセイバーを受け取り損ねたアルミンは、そのまま空を飛ぶケニーに引きずられ始めた。







  35. 36 : : 2015/10/10(土) 17:32:12









    ____________まずい、このままじゃ海に落とされる!








    咄嗟にアルミンは踏ん張って柱のほうへと転がり込んだ。







    「なぁッ!?」


    ワイヤーは柱に引っかかり、今度はケニーがワイヤーに引っ張られ、プラットフォームの隅へと墜落。
    背中のジェットパックが外れ、あさっての方向に飛んで行っては尖塔にぶつかって爆発した。







    「クソッたれが!!」


    アルミンは墜落したケニーめがけて走ってくる。
    落っことしたブラスターを拾い、ケニーはアルミンめがけて放とうとする。






    「はあッ!!」





    バキッ!

    「ぐああぁあぁッ!!」




    アルミンはそのまま飛び上がり、ケニーの放った光弾を躱すと、そのまま本日三度目の飛び蹴りを炸裂させた。


    ケニーは蹴飛ばされ、プラットフォームから転落。
    斜めになっているプラットフォームの淵を滑り落ち始めた。






    ここまでは良かった。
    が・・・・・・







    「ああ、やらかした・・・・・・うわぁッ!!」


    右手に絡まったワイヤーに引っ張られ、アルミンもまたプラットフォームから転落。淵を滑り落ち始めた。







  36. 37 : : 2015/10/10(土) 17:32:58









    「へっ、わりいな。」


    ケニーはにやけると、両腕につけたリストバンド状の仕込みから鋸のような刃が出てきた。
    火花を散らしながらケニーは何とか淵に刃を食い込ませ、転落するのを防いだ。





    が、仕込みのないアルミンはそうはいかなかった。
    そのままアルミンは淵から転落。







    「!! しまった!!」


    咄嗟にケニーは衝撃に備えた。






    ガクンッ!

    手首に絡まったワイヤーのおかげで、アルミンは宙づり状態になった。







    「クソ、一緒に仲良く落っこちるなんてごめんなんだよッ!!」


    アルミンの重みでゆっくりと滑り落ちていくケニー。
    必死でワイヤーの重みに耐え、腕を内側へと引き・・・・・・








    バシュッ!

    「うわあぁあぁぁッ!!」



    遂にワイヤーがケニーの腕から外れ、アルミンは再び落下し始めた。












    落下しながらもアルミンは必死に腕に絡まったワイヤーをほどく。
    ほどいたところでアルミンはワイヤーのフックをティポカ・シティの渡り廊下に投げ、アルミンは再び宙づりになった。



    海に落ちて死ぬかと思った・・・・・・。








  37. 38 : : 2015/10/10(土) 17:34:12








    ケニーはプラットフォームの上から下の様子を覗いた。


    あのクソ野郎はここからでは見えなかった。
    海の藻屑になっちまったことを祈ろう。






    ケニーは両腕を使い、刃をめり込ませてプラットフォームの淵を登りはじめた。










    アルミンはワイヤーから渡り廊下に飛び移ると、フォースを使って扉を開けた。
    ティポカ・シティの中を全速力で駆け上がり、再びプラットフォームへ出ると、スレーヴⅠは既に上昇を始めていた。







    ゴンッ!

    「痛ってな~ッ!!」


    閉まる扉に頭を打つケニー。







    アルミンは咄嗟に腰につけた追跡用の発信器を手に取り、スレーヴⅠに投げつけた。
    そのままスレーヴⅠは、嵐の雲の中へと消えていった。












    ____________絶対に逃がさない。


    アルミンはライトセイバーを拾うと、自分のスターファイターが停めてあるプラットフォームへと走り出した。








    アルミンの追跡劇は、まだまだ続く。







  38. 39 : : 2015/10/10(土) 17:35:14
    以上で第3話が終了になります。


    直方さん、お気に入り登録ありがとうございます!
  39. 40 : : 2023/07/05(水) 12:32:52
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
    toyama3190

    oppai_jirou
    catlinlove

    sukebe_erotarou
    errenlove

    cherryboy
    momoyamanaoki
    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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進撃×スター・ウォーズ ~クローンの攻撃~ シリーズ

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