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エレン「エピソードⅡ」 ヒストリア「クローンの攻撃」 ② 進撃×スター・ウォーズ
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- 1 : 2015/09/29(火) 00:56:22 :
- 進撃×スター・ウォーズ、エピソードⅡ、クローンの攻撃の第2話です。
よろしくお願いします。
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- 2 : 2015/09/29(火) 01:21:48 :
ヒストリアが襲撃された翌日。
アルミンとエレンはジェダイ評議会の前で、襲撃してきた謎の女性が、毒矢によって口を封じられたことを報告していた。
評議会のメンバーは、十二人の選ばれしジェダイから構成されている。
そのメンバーであるが、十年前とは異なるメンバーも座っていた。
ヤレアル・プーフはコールマン・トレバーに、
ヤドルはグンタ・シュルツに替わった。
「一体誰が、その女の口を封じたのか・・・・・・調査を続けろ、アルミン。」
「ですが、マスター・リヴァイ。ヒストリア議員には護衛が必要です。」
アルミンは調査を続けたい気持ちもあったのだが、それよりも議員の安全を確保することが先決だと考えていた。
すると、マスター・ヨーダが意外なことを言った。
「その役目は、エレン・イェーガーに負わせる。」
一瞬、エレンの顔がこわばった。
今まで常に、任務はマスターであるアルミンと一緒だった。
つまり、今回が初めての単独任務ということになる。
「エレン、難民を装い、便を予約してヒストリア議員を護衛しろ。」
リヴァイもすでに承諾済みのようだ。
エレンに任務の詳細を伝えた。
他の評議員が異を唱えないなか、反対意見を述べたのは他ならぬアルミンであった。
「ヒストリアは軍隊法反対派の筆頭です。果たして議員はこんなことを承諾するでしょうか?」
「安全が確保されるまでは、わしらの判断に従ってもらおう。」
「エレン。パルパティーン最高議長に会って、ヒストリア議員の説得を依頼しろ。議長の頼みなら議員も断れないだろう。」
ヨーダとリヴァイにいわれ、アルミンとエレンは深々と頭を下げた後、評議会の間を退出した。
第2話
それぞれの任務
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- 3 : 2015/09/29(火) 01:57:32 :
エレンは早速、パルパティーン最高議長のオフィスを訪れた。
俺が説明をしている間、パルパティーンは真剣に俺の話に耳を傾けてくれた。
「私がヒストリアに言えば、確かに彼女も断らないだろう。分かったよ、エレン。彼女は私が説得しよう。」
「ありがとうございます、最高議長。」
「そうか・・・・・・君もいよいよ単独での任務を任されたのか。辛抱が実ったね。」
目を細めるパルパティーンに対し、俺は少し恥ずかしくなった。
“あなたのご指導の賜物です”と、謙遜して感謝の意を述べると、パルパティーンはふっと微笑んだ。
「何度も言っていることだけれど、君ほど才能豊かなジェダイはお目にかかったことがないよ。」
「ありがとうございます、最高議長。」
____________最高議長はこのように、俺の成長をいつでも側から見守ってくれている人間だった。
もし、父親がいたとしたら、こんな人なのだろうか・・・・・・。
母親しか知らない俺には、いつしかパルパティーンに、理想の父親像を重ねるようになっていた。
「君はきっと偉大なジェダイになれる。マスター・ヨーダすら敵わない、強いジェダイに、ね。」
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- 4 : 2015/09/29(火) 14:27:07 :
- 今回は悪役も進撃側がキャスティングされてるんですね
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- 5 : 2015/09/29(火) 17:08:42 :
- はい。
今後も何人かに悪役を担ってもらう予定です。
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- 6 : 2015/10/01(木) 11:35:36 :
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「浮かない顔をしているな、アルミン?」
「エレンには・・・・・・単独任務はまだ早いのではないでしょうか?」
リヴァイやヨーダと共に、ジェダイ聖堂の回廊を歩くアルミンの表情はどこか冴えなかった。
十年もの間一緒に修業をしてきて、その長所も短所もアルミンは理解していた。
すると、ヨーダとリヴァイからこんな返事が返ってきた。
「評議会が自信を持って決めたことじゃ。弟子を信用することじゃよ、マスター・アルレルト。」
「それに、予言ではあいつは選ばれし者だ。そうだろ?」
「信じていないわけではありません。ですが、才能がエレンを・・・・・・傲慢にしています。」
ヨーダの顔が俄かに厳しくなった。
「ふむ、最近のジェダイに言えることじゃな。皆傲りたかぶっておるわ。それは年長のジェダイにも当てはまるのう・・・・・・。」
____________僕にはそれが誰を指しているのか、容易に想像が付いた。
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- 7 : 2015/10/01(木) 12:46:38 :
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「ジャー・ジャー・ビンクス代議員。私がコルサントを留守にする間、あなたに代理を頼みます。」
議長に説得され、ヒストリアはしばらく故郷の惑星ナブーに身を隠すことになった。
荷造りをしている最中、議員はジャー・ジャーに引き継ぎを行っていた。
「ミー大役を任されて光栄ね! モリモリ頑張って―――――――「ジャー・ジャー、もう仕事があるでしょ?」
ヒストリアはぴしゃりというと、昨日襲撃を受けた寝室に向かってツカツカと歩いてきた。
これは、相当怒っているようだ・・・・・・。
「納得できないわ、こんなこと! この一年、軍隊法反対に捧げてきたのに、投票の時にいられないなんて!」
「しかたねぇよ、ヒストリア。時には忍耐も必要だから。」
「エレン、大人になったのね!」
いつにも増して厳しい口調でまくし立てるヒストリアに対し、エレンはわずかに微笑んだ。
「何がおかしいの!?」
「いや・・・・・・やっと俺のことを見てくれただろ?」
_________嬉しかったのだ。
タトゥイーンの子供としてではなく、大人として見てくれたことが。
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- 8 : 2015/10/01(木) 12:49:22 :
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ヒストリアが不思議そうな目で見てきたので、俺は慌てて釈明した。
「悪い悪い・・・・・・周りの人間から、中々認めてもらえなくて。」
「アルミンからも?」
ヒストリアがそう言うと、エレンの表情がかげった。
「・・・・・・認めてはくれない。あぁ、誤解しないでくれよ? アルミンは凄いマスターだ。特に、やべえ時ほどマスターは冷静に動く。弟子として誇らしい師だ。だけど・・・・・・。」
次の瞬間には、エレンの顔に不満と・・・・・・怒りが現れた。
「俺は多くの点で・・・・・・アルミンに勝ってる! そりゃ、頭はとても及ばないけど、俺はもう試練を受ける準備が出来てる! なのに・・・・・・アルミンはまだだって言うんだ!」
「エレン・・・・・・成長を焦っちゃダメよ。先生は生徒の欠点がより多く見えるものなのよ?」
「俺はもう大人だよ。ヒストリア、お前がそう言ったんだろ?」
エレンはその燃えるような深緑の瞳でヒストリアを見つめた。
____________まるで、一人の見知らぬ男がそこに立っているかのようだった。
エレンはもう、十年前のあの小さな少年ではない。
そのことが、ヒストリアの胸を騒がせた。
「そんな目で見ないで、エレン。」
「どうして?」
「・・・・・・何だか落ち着かないわ。」
ヒストリアは目線をそらし、そのまま部屋を出て行ってしまった。
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- 9 : 2015/10/01(木) 13:34:53 :
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コルサント、貨物ターミナル。
本来ここは貨物の運搬用に作られた施設であったが、いつからかここは難民たちの便利な足として利用されるようになった。
ターミナルの近くに、エアバスが一台、近づいてくる。
その中には、難民の装いをしたエレンとヒストリア。
二人を見送るアルミンとユミル。
そして、旅のお供を務めるR2-D2が乗っていた。
エアバスはゆっくりと着陸し、タラップが降りた。
「じゃあ、いってくるわ、ユミル。」
「無茶すんじゃねえぞ、ヒストリア。」
バスの中で二人は抱き合い、しばしの別れを惜しんだ。
「エレン、何かあったら僕かジェダイ評議会に報告するんだよ、いいね?」
「分かってますって。」
「・・・・・・気を付けてね、エレン。」
こちらもバスの中で、少しぞんざいな返事に苦笑しつつ、エレンを見送るアルミン。
ガシッ!
すると突然、ユミルがエレンの右肩に掴みかかった。
「おいエレン!」
「な、何だよ!?」
まるで今にも殺さんばかりの勢いで睨みつけるユミル。
ユミルは切実な声で、エレンに話し始めた。
「頼んだぞ!? ヒストリアのこと、頼んだからな!!」
側近として、片時も離れたことの無かったユミルは、祈るような気持ちでエレンに頼み込んだ。
エレンはその手を掴み、ユミルをしっかりと見据えた。
「大丈夫だ! ヒストリアは、俺がしっかりと守ってやるよ!」
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- 10 : 2015/10/01(木) 13:35:28 :
エレンはそういうと、ヒストリアとR2と一緒に貨物船へ向かって歩き出した。
「何だか怖くなってきたわ。とても・・・・・・不安なの。」
「俺も初めての単独任務だ・・・・・・少し怖い。」
お互い不安を顕わにするエレンとヒストリア。
「大丈夫、R2がいるだろ?」
「ふふ、そうね。」
貨物船へと乗っていく二人を、アルミンとユミルもまた心配そうに見守っていた。
「エレンが馬鹿なことをしなければいいんだけれど・・・・・・。」
「その点じゃヒストリアのほうが心配だがな。」
アルミンとユミルは顔を見合わせ、苦笑した。
「昔もこんなことがあったな。お前そん時はエルヴィンを心配してやがったろ?」
「君は相変わらずヒストリアを心配しているね、ユミル。」
「お互い気苦労が絶えねぇなあ。」
貨物船がゆっくりと空の彼方へと上昇していく。
____________さて、僕はこれから任務のことのみを考えよう。
エレンを見送ったアルミンは、再びエアバスへと乗り込んだ。
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- 11 : 2015/10/01(木) 14:12:58 :
コルサントの中でも下町に当たるココ・タウン。
アルミンはこの下町にある大衆食堂、デックス・ダイナに足を運んでいた。
※デックス・ダイナ
http://www.starwars.jp/wiki/images/f/fd/Dexs_Diner.jpg
店の中に入ると、銀河共和国の黄金時代を偲ばせる、古き良き時代の佇まいがそこにあった。
古ぼけたウェイターのドロイド、FLOがアルミンを出迎えた。
※FLO
http://www.starwars.jp/wiki/images/6/61/WA-7.jpg
「店長、お客さんですよ! ジェダイみたいだけど。」
ウェイターが呼びかけると、店長のデクスター・ジェッスターが厨房から顔をのぞかせた。
四本の腕を持つ、中々たくましいベサリスクの男である。
※デクスター・ジェッスター
http://www.starwars.jp/wiki/images/4/4c/Dexter_Jettster.jpg
「アルミン!! 久しぶりだなぁッ!!」
「やあデックス、久しぶりだね。」
「座ってくれ! 今すぐ行くから!」
自由奔放な師匠と反抗的な弟子に挟まれ、自分では苦労人だと思っているが、アルミン・アルレルトもまた、一風変わったジェダイであった。
このデクスターという男、かつては傭兵であり、武器の密売人でもあった。
そして今でも、裏社会の情報に通じた怪しい男である。
アルミンはこの男と繋がりがあり、それはアルミン独自の情報網を作り上げていた。
「ジャワ・ジュースは飲む?」
「ありがとう、一杯もらうね。」
店長の知り合いだと分かってか、ウェイターの愛想も良くなった。
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- 12 : 2015/10/01(木) 20:13:49 :
「よく来たくれた! わが友よ!」
四本の腕を大きく広げ、厨房から出てきたデクスターはアルミンと親愛を示す抱擁を交わした。
「いたたたたっ! 君は相変わらずだねっ!」
「おっと失礼! 押しつぶしちまうところだった!」
背の低いアルミンをからかう、いつもの冗談が済んだところで、二人はボックス席に向かい合うように座った。
「それで、このわしに何のようだい?」
「実はね、これを見て欲しいんだ。」
そう言ってアルミンが取り出したのは、毒矢―――――――アニ・レオンハートの命を奪った、あの小さな毒矢である。
「おぉっ!? こいつは・・・・・・アウター・リムの外れのサブテレルで採鉱をしていた時以来だ。」
「見たことがあるんだね? これは一体何なんだい?」
「これはカミーノのセイバー・ダートだ・・・・・・“クローン”を作っている連中だよ。」
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- 13 : 2015/10/01(木) 20:15:24 :
アルミンは思わず首をひねった。
「どうしてアーカイブの分析ドロイドは分からなかったんだろう。」
実はここに来る前に、アルミンはこの毒矢をジェダイ聖堂の分析室で解析していた。
ところが、アーカイブにこの毒矢は登録されておらず、やむなくアルミンはここに来たのだった。
「この側面のおかしな刻み目が特長なんだ。ドロイドどもは模様しか見ないからな。分からなかったんだろうよ。ジェダイはもっと、知識と知恵の違いに感謝すべきじゃねえのか?」
「ドロイドに知恵がついたら、僕らはたちまちお払い箱さ。」
デクスターの皮肉に苦笑しながらも、ようやく手がかりを得たアルミン。
ここに来て正解だった。
「カミーノか・・・・・・知らない惑星だ。共和国の惑星じゃないね?」
「あぁ、アウター・リムの外れにある惑星だ。確かリシ・メイズから十二パーセク南に行ったところだ。だが、気を付けろよ?」
「気を付ける?」
「カミーノは排他的だ。それに、一流のクローン職人だからな。」
「歓迎されないのは慣れてるよ。それで、友好的になるにはどうしたらいいのかな?」
デクスターは皮肉な笑みを浮かべた。
「そうだな・・・・・・必要なのは二つだ。」
「まずは謙虚な態度、それと・・・・・・ポケットの中身だ。」
「お財布の軽い連中とは付き合えないということだね? ありがとう、参考になったよ。」
そう言ってアルミンは、ひとしきり料理を堪能した後、デックスの店を後にした。
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- 14 : 2015/10/02(金) 17:33:30 :
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それからしばらくして、アルミンはジェダイ聖堂の知識の集大成、ジェダイ公文書館へと足を運んでいた。
※ジェダイ公文書館
http://www.starwars.jp/wiki/images/b/b0/Jedi_Archives.jpg
「あら、アルミンくんじゃない?」
「こんにちは、ペトラさん。」
「忙しそうね、今は何をしているの?」
「ちょっとした任務ですよ、マダムはこちらに?」
公文書館で僕は、先輩のジェダイ・ナイトであるペトラさんと再会した。
とても忙しかったせいか、ペトラさんと随分久しぶりに会った気がした。
「ええ、マダムはここにいらっしゃるわ。呼んできてあげる。エレンくんにもよろしくね!」
「ありがとうございます、ペトラさん。」
ペトラさんはそのまま、マダムを呼びに行った。
____________僕はこの公文書館が大好きだった。
まだエルヴィンの弟子になる前、周りを見返そうとしていた僕は、ここで一生懸命勉強に勤しんでいた。
そんな僕をいつも見てくれていたのは、史書を務めるマダム―――――――現役を引退した元ジェダイ・マスター、ジョカスタ・ヌーだった。
※マダム・ジョカスタ・ヌー
http://www.starwars.jp/wiki/images/4/44/Jocasta_Nu.jpg
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- 15 : 2015/10/02(金) 17:34:42 :
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とある銅像を見つめて待っていると、やがて奥のほうから声が聞こえた。
「あら、ミンちゃん、いらっしゃい。」
「お久しぶりです、マダム。」
僕をこんなあだ名で呼ぶのは、同じく本の好きなマダムだけ。
僕がぺこりとお辞儀をすると、マダムは目を細めて、嬉しそうに話し始めた。
「ザックレー伯爵の銅像を見ていたのね?」
「はい。」
失われし二十人――――――――公文書館に飾られている二十体の胸像は、自らの意志でジェダイ・オーダーを離反した二十人のジェダイ・マスター。
その中でも、ダリス・ザックレーは特にフォースが強く、また剣技も優れていたことから、最大の損失であると考えられていた。
「彼は立派なジェダイ・マスターだったわ。でも、理想が高すぎてオーダーと決別してしまったのね・・・・・・。」
マダムは同年代のザックレーを強く尊敬しているらしかった。
「あら、私としたことが、つい立ち話をしてしまったわね。何か力になれることはあるかしら? ミンちゃん?」
「実は・・・・・・カミーノという惑星を探しているんです。」
「カミーノ? 聞いたことがないわねぇ・・・・・・。」
そう言うとマダムはテーブルの上にある星図を開き、僕はデックスに言われた座標―――――――リシ・メイズから南に十二パーセクあたりを打ち込んだ。
だが、そこには重力井戸の痕跡はあるのだが、肝心の惑星カミーノは記されていなかった。
「その情報は正確なの? 何だかタレこみ屋の情報のように聞こえるけど?」
「タレこみ屋で裏社会に通じた友人の情報ですよ、マダム。」
すると、マダムは少し心外だと言わんばかりの態度を取り始めた――――――公文書館よりタレこみ屋の怪しい情報を信じるアルミンに、まるで権威を傷つけられたように感じたのだろう。
「残念だけど、そのような星は存在しないわね。」
「そんな・・・・・・この星図に欠損があるのでは?」
この言葉がいけなかった。
「この公文書館にないものは存在しないのよ、ミンちゃん!?」
まるで孫を叱るお婆ちゃんのように、マダムはぴしゃりといった。
僕が何か言いかけると、そのまま踵を返してマダムは待たせていたオルオさんと話し始めた。
____________手ががりを得たと思ったら、また謎が増えていく・・・・・・。
さて、どうしたものか。
頬杖を突き、頭を掻くアルミン。
謎の惑星カミーノをめぐり、頭の中が渦巻き始めた。
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- 16 : 2015/10/03(土) 17:39:36 :
「ドロイドはお断りだ! 失せやがれ!!」
ナブーへ向かう、難民を乗せた貨物船の中には、彼らのために調理ドロイドが腕を振るっていた。
ただし、ドロイドのくせに他のドロイドは嫌いなようで、料理を取っていたR2にこんな暴言を吐いていた。
「ありがとう、R2。」
「うおっ! 辛ッ!!」
R2がいたずらに選んだ辛い料理に仰天するエレン。
「R2!! お前ッ!!」
エレンがR2に突っ込むと、僕は知らないよと言わんばかりにR2は電子音を立てた。
そんな様子が微笑ましくて、ヒストリアも知らず知らず声を上げて笑っていた。
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- 17 : 2015/10/03(土) 17:40:19 :
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エレンとヒストリアは食事をとりながら、お互い十年間どう過ごしてきたのかを話していた。
話をしているうちに、ヒストリアは、エレンがやはり変わったことを実感していた。
「ジェダイは大変ね。行きたいとこにも行けないし、やりたいこともできないんだもの。」
「まぁな。せめて好きな奴と一緒にいれたらいいんだけどよ。」
そう言うエレンの目は、私を捉えて離さない。
話題を逸らすように、私はふと思ったことを口にした。
「愛することは許されているの? ジェダイは愛してはいけないんじゃなかったかしら?」
エレンは目線を落とし、それから柔らかく微笑んで答えた。
「そうだな、執着は禁じられてる。所有もダメだ。けど、同情や無償の愛は許されてる。そう言う点じゃむしろ、愛は奨励されてんだよ。」
「あなたは随分変わったわね、エレン。」
____________他人に対する、深い共感や思いやり。
エレン・イェーガーという人間の根幹をなす、心根の優しさをヒストリアは感じ取っていた。
「そう言うお前はあんまり変わってねぇな。」
「何それ、私をからかっているの?」
「お前がそう思うんならそうなんじゃねえか?」
「もう、エレンッたら。」
少しむくれるヒストリアに俺は心を奪われていた。
いや、とっくに奪われていたのだ。少なくとも・・・・・・十年前から・・・・・・。
____________そう、ヒストリアは十年前と変わっていない。
俺が夢見てた、あの時のままだ・・・・・・。
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- 18 : 2015/10/03(土) 19:03:02 :
謎の惑星、カミーノを求めて。
困り果てた僕は、とある場所を訪問することにした。
ジェダイは誰かの弟子―――――――パダワンになる前は、ベア・クランと呼ばれるグループに入る。
4歳から8歳までの子供たちは、みんなベア・クランとして一緒に修業をするのだ。
____________やってる、やってる。
10人前後の子供たちが、目隠しのヘルメットを被り、浮遊するシーカー・ドロイドのレーザーをライトセイバーで防ぐ練習をしていた。
※シーカー・ドロイド
http://www.starwars.jp/wiki/images/e/eb/Training-remote.jpg
僕がベア・クランで修業を始めたのは6歳の頃だったから、もう29年も前の話になる。
あの時は自分にまるで自信がなく、レーザーに撃たれては泣きべそをかいていたのが懐かしい。
僕が初めてフォースを身近に感じた場所。
そして、その手ほどきをしているマスターも変わらない。
「周囲のフォースを感じるのじゃ。」
ヨーダは優しい声で29年前と同じように、ジェダイの卵たちを訓練していた。
「「フォースを信じるのじゃ。」」
アルミンはヨーダの口調をまねて、グランド・マスターと声をそろえた。
ヨーダは顔を上げると、少し微笑んで子供たちに呼びかけた。
「子供たちよ、お客さんじゃ。」
子供たちはいっせいにライトセイバーをしまい、ヘルメットを上げると、声をそろえて挨拶をした。
「「「こんにちは、マスター・アルミン。」」」
「やぁ、こんにちは。」
アルミンも子供たちに微笑むと、真面目な顔になってヨーダに話しかけた。
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- 19 : 2015/10/03(土) 19:04:01 :
「申し訳ありません、マスター・ヨーダ。」
「このわしに何か用かのう? マスター・アルミン? ん?」
「実は、友人から聞いたとある惑星を探しているのですが、星図に載っていないのです。」
「ほう? マスター・アルミンが迷子になったとな? それは困ったのう。実に困ったことじゃ。」
おどけて言うヨーダに、子供たちの何人かがくすくすと笑っているのが聞こえた。
重責から離れると、ヨーダは何とも愛嬌のあるマスターだった。
「リーアム、部屋の照明を落とすのじゃ。皆で迷子のマスター・アルミンを助けてあげようぞ。心を研ぎ澄ますのじゃぞ?」
部屋が暗くなり、アルミンは床から出てきた中央のポールの上に、球体のホログラム装置を置いた。
たちまち部屋中に星が広がり、幻想的な銀河系の星図のホログラムが広がった。
「このあたりに、その惑星はあるはずなんです。」
「ふむ、重力井戸の痕跡はあるが、星も惑星も消えておる。誰か・・・・・・この謎が分かるものは?」
すると、一人の子供が話し始めた。
「マスター・・・・・・誰かが、アーカイブのデータを消したんだ。」
ヨーダはすっかり感心して微笑んだ。
「子供は本当に素晴らしいのう・・・・・・実に素直で柔軟じゃ。この子の言う通りじゃ、誰かがデータを消したに違いない。マスター・アルミン、その惑星があるというところに向かうといいじゃろう、きっとその惑星は見つかるはずじゃ。」
____________その可能性を考えていないわけではなかった。
けれど・・・・・・
「恐れながら、マスター・ヨーダ。アーカイブのデータを消すことが出来るのはジェダイだけなのでは?」
それは、ジェダイの中に裏切り者がいるということに他ならなかった。
ヨーダの顔も、急に険しくなった。
「危険な謎解きじゃ、マスター・アルミン。一体誰が、何のために? わしも注意深く瞑想して、この問題を考えることにしようぞ。」
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- 20 : 2015/10/03(土) 22:54:54 :
エレンとヒストリアを乗せた貨物船はやがて、ナブーの貨物ターミナルへと到着した。
「ここもあんまり変わってねぇなぁ。」
石で造られた、伝統のある街並み。
ナブーの首都シードは、俺の記憶にある十年前そのままの姿であった。
「エレン、ちょっとついて来てほしいところがあるの。」
「ん?」
ヒストリアに連れられて、俺とR2は裏路地へと入っていった。
案内されたのは、こじんまりとした一軒家だった。
「ヒストリア、ここは?」
「ここは私の実家なの、エレン。」
____________ヒストリアの実家は、俺の予想とは違っていた。
いくら民衆から選挙で選ばれたとはいえ、元女王の実家はもっと大きいものだと思っていた。
「意外とこじんまりしてるんだな。」
「ふふ、そうでしょ?」
すると、家の中から子供たちが勢いよく飛び出してきた。
「あ! お帰り! ヒス姉!」
「姉ちゃんだ! ヒス姉が帰ってきた!」
子供たちはヒストリアを見つけると、大喜びで駆け寄ってきた。
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- 21 : 2015/10/03(土) 22:56:12 :
「ただいま! ウルクリン! フロリアン! 元気にしてた?」
「「うん!!」」
弟のウルクリンと妹のフロリアンは声をそろえて元気よく返事をした。
元気いっぱいなヒストリアの弟と妹は、R2を追いかけまわし始めた。
「ただいま! お父さん、お母さん、お姉さん。」
ヒストリアが玄関のドアを開けると、そこには父親と母親、そして姉がそこにいた。
「ヒストリア! 心配したわ・・・・・・危険な目に遭ったって聞いて・・・・・・。」
「この通りよ、お母さん。」
口元を押さえて涙を流す母親の肩に、ヒストリアはそっと手を乗せた。
「無事でよかったわ、ヒストリア。」
「よし、今日はご馳走にしようじゃないか。僕が腕を振るうとしよう。」
姉と父親も、妹の元気そうな姿を見てほっとした様子だった。
けれど、次の瞬間に姉は、にやけた表情に変わった。
「ところで、後ろにいるそのハンサムな男の子は誰かしら?」
「えっ!?」
思わずヒストリアは声を上げてしまった。
「えっと・・・・・・エレン・イェーガーっていうの。私の家族を紹介するわね、エレン。」
少し上ずった声のまま、ヒストリアは俺に家族を紹介してくれた。
父親のロッドに母親のアルマ、そして、姉であるフリーダ。
皆優しそうで、正直羨ましいと思った。
・・・・・・・・・・・・母さんは今、何をしているんだろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 22 : 2015/10/03(土) 23:13:34 :
「それでね、ヒストリアったら恥ずかしがっちゃってね。」
「もう! 止めてよ姉さん!」
俺は結局、ロッドさんの手料理をご馳走になることになった。
賑やかな食卓を囲み、フリーダさんはヒストリアの昔話を沢山披露してくれた。
そのほとんどが幼いころの恋愛にまつわる話であり、ヒストリアはしきりに赤面してはもう止めてと悲鳴を上げていた。
そんな妹を面白がって、フリーダさんは容赦なく話を続けては、両親を爆笑させていた。
「姉さんのイジワル!」
「ふふ、ごめんね~。ヒストリアったら、ボーイフレンドを家に連れてきたのは初めてじゃない?」
「えっ!?」
今度は俺が思わず声を上げてしまった。
意地になったヒストリアが抗議した。
「エレンはボーイフレンドじゃないわ! 彼は私のボディーガードなの!」
すると、今まで賑やかだった食卓が、水を打ったように静かになった。
やがて、ロッドが心配そうに口を開いた。
「ヒストリア・・・・・・お前はそこまで危険な状態なのか?」
「そ、それは・・・・・・。」
軽率にもエレンが護衛であることを口にしてしまった。
ヒストリアは後悔したが、時すでに遅し。
「大丈夫よ、私のことは心配しないで。」
「実際はどうなんです? エレンさん?」
「彼女は危険だと思います。」
「エレンッ!!」
エレンはことさら誤魔化す気はなかった。
自分は嘘が下手だと知っている。それに、俺はヒストリアを守る任務を仰せつかっている。
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- 23 : 2015/10/03(土) 23:24:59 :
食事が終わった後、エレンはロッドに連れられ、庭を散策し始めた。
その様子をヒストリアは自室の窓から、フリーダと共に眺めていた。
「そう・・・・・・大変だったのね。」
私は友人の一人だったコーデを殺されてから、ここに来るまでのことを姉さんに話した。
「でも・・・・・・今のあなた、何だかとても生き生きとしているわ。」
「えっ!?」
「きっとエレンくんのおかげね。」
「彼はただの護衛よ!?」
「でも、あなたを見るエレンくんの目は違ったわ。」
____________言い返せなかった。
「ヒストリア。あなたは今まで公職に身を捧げてきた。自分を犠牲にしてね。でも、もうそろそろ自分の幸せを考えてもいいはずよ?」
「私の・・・・・・幸せ?」
正直、今まで考えたこともなかった。
すると、今まで気が付かなかった自分の気持ちの変化に気が付いた。
____________もっと、エレンの側にいたい。
その気持ちに気が付いて、私は愕然とした。
「焦る必要はないわ、ヒストリア。でも、考えておいて。」
そう言って姉さんは部屋を出ていった。
____________私は一体、何がしたいのだろう・・・・・・。
答えの出ない問いに、私は少しずつ悩み始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 24 : 2015/10/04(日) 17:14:01 :
翌日になって、私はナブー、シード宮殿へと足を運んだ。
既に女王を退位したものの、今だに私は王室の一員とみなされており、そのまま私は女王の間へと案内された。
女王の間には、ヒストリアの後継者であるミーナ女王。
元首相であるキッツ・ヴェールマン。
その他女王の侍女や側近たちが座っていた。
「もし元老院が軍隊法を可決すれば、戦争になることは避けられません。」
「恐ろしいことだ。共和国は建国以来、一度も全面戦争を経験していないというのに。」
ヒストリアは自分の懸念を女王たちに伝え、キッツ元首相も彼女に同意した。
故郷を守るために武器を取って戦ったことのあるヒストリアにとって、戦いとは悲劇そのものだった。
武器を用いず、何とか話し合いで解決しなければならない。
流血の惨事を、招いてはいけない。
それが彼女の信念だったのである。
だが・・・・・・
「話し合いによって、分離主義者たちに共和国に戻るよう説得できないのでしょうか?」
「彼らが話し合いに応じようとしない限り、難しいでしょう。通商連合やコマース・ギルドといった企業に助けを求めると思われます。」
ミーナ女王の質問に、ヒストリアは俯きがちに答えた。
政治家として、恐らくこれからも話し合いが上手くいかないことを感じ取っていた。
「ふん、四度も最高裁を切り抜け、あのガンレイがまだ総督に地位にあるとはな・・・・・・。」
キッツ元首相が鼻を鳴らした。
十年前にナブーを侵略した通商連合は、今だにガンレイを総督に据えていた。
つまり、十年前から何も変わっていなかったのである。
それに、何のためにナブーを侵略したのか、その動機さえ今だによく分かっていなかった。
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- 25 : 2015/10/04(日) 17:14:54 :
「・・・・・・共和国を信じましょう。民主主義が機能しなくなれば、その時こそ我々はおしまいです。」
ミーナ女王はそう言うと、すっと席を立った。
彼女に合わせて、周りの人間も一斉に席を立つ。
「それまでは、あなたの身が心配です、議員。」
「何かお考えはありますかな? ジェダイ殿?」
ミーナ女王が議員を心配し、キッツ首相が後ろに立って控えていたエレンに話しかけた。
すると、ヒストリアが彼が話す前に答えた。
「エレンはまだジェダイじゃないわ。彼はまだパダワンよ。」
「おいヒストリア! お前の警備責任者は俺だぞ!?」
「ちょっと失礼して? ここは私の故郷なの。あなたよりここには詳しいわ。私に従う方が賢明だと思うけど?」
「・・・・・・失礼しました。」
ぴしゃりといってエレンを黙らせると、ヒストリアは話を続けた。
「レイク・カントリーに身を隠します。あそこなら人目を避けられます。」
「完璧ね、ヒストリア。」
女王は頷くと、ヒストリアと共に女王の間を後にした。
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- 26 : 2015/10/04(日) 17:20:14 :
- 以上で第2話は終了になります。
第3話においても、エレンとアルミンの、それぞれの任務のお話になります。
よろしくお願いします。
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