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エレン「エピソードI」 アルミン「ファントム・メナス」 ⑤ 進撃×スター・ウォーズ

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  1. 1 : : 2015/09/15(火) 22:42:14
    進撃×スター・ウォーズ、エピソードI、ファントム・メナスの第5話です。


    よろしくお願いします。
  2. 2 : : 2015/09/15(火) 22:45:45








    ナブー。
    夜のシード宮殿。







    移動式のメクノ=チェアに座り、ガンレイ総督はキッツ・ヴェールマン首相と話をしていた。








    「女王は姿を消し、国民は飢えている。だから首相であるお前が先に、国民の前で死ぬのだ。」


    女王と国民を引き合いに出しガンレイ総督は首相を脅していた。









    ヴェールマンは、しかし、臆病者ではあったが、卑怯者ではなかった。


    「わ、私は民主主義国家の首相だ。そんなこと、首相になって時点で、と、とっくに覚悟はできている!」










    すると、臆病者で卑怯者、かつ傲慢なガンレイは手を振った。


    「牢に連れていけ。」









    そのまま首相はバトル・ドロイドに連行され、地下牢へと投獄された。










    「ソウトク、ヌマノナカニアルトイウ、デンセツノマチヲチョウサスルジュンビガデキマシタ。」

    「うむ、ご苦労。一人残らず捕えるのだ。」











    ナブーの首都シードを押さえた通商連合は、いよいよその攻撃の矛先を、グンガン人に向けようとしていた。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  3. 3 : : 2015/09/15(火) 22:47:14









    タトゥイーンから飛びたったヌビアンは、ハイパースペースに入り、コルサントへと向かっていた。











    『犠牲者の数は絶望的で、もはや我々は通商連合の要求を呑むしかありません。至急連絡を!』









    ジャー・ジャーが椅子に座り、足をテーブルの上にのせ、うるさい鼾をかいて眠っている。
    クリスタは一人、ヴェールマン首相のホログラム記録を再生していた。











    「なぁ、心配なのか? クリスタ?」








    ふと声が聞こえて、部屋の片隅を見ると、毛布にくるまって縮こまっているエレンがそこにいた。









    「寒いの? エレン?」

    「・・・・・・宇宙って、こんなに寒かったんだな。」

    「ええ、私も寒いわ。」






  4. 4 : : 2015/09/15(火) 22:48:16







    すると、エレンが立ち上がってクリスタの手を引っ張った。
    うながされるままに部屋の片隅に座ると、エレンはそっと隣に座り、一緒に毛布にくるまった。






    「ほら、こうしたら暖かいだろ?」












    _________そういうことじゃないんだけどな。


    ふとそう思ったものの、エレンなりの暖かな気遣いに、心が温まるような気がした。




    「・・・・・・暖かい。」












    「なぁ、クリスタ。これ、やるよ。」


    ふとエレンが思い出したかのように、ポケットから木の切れ端みたいなものを取り出した。











    「これ、タトゥイーンのお守りなんだ。ジャポーの木を削って作ったんだぜ?」

    「エレンが作ったの?」

    「あぁ。母さんから作り方を教わった、大切なものなんだ。だから、やるよ。」







  5. 5 : : 2015/09/15(火) 22:49:01











    ____________私は思い違いをしていた。




    母親と別れて、エレンも心が寒かったのだ。
    それなのに、私の心配をしてくれた。









    「優しい子なのね、エレンって。」

    「や、やめろって!」









    少し照れくさそうにするエレンを、クリスタは微笑みながら抱き寄せた。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  6. 6 : : 2015/09/15(火) 22:52:33












    ドゴオォオンッ!!









    ハイパースペースを抜け、ヌビアンは遂に銀河共和国の首都へと到着した。








    第5話


    銀河共和国首都惑星コルサント









    「コルサントだ。惑星全体が一つの都市になってる。」

    「す、すっげぇッ!!」





    食い入るように、エレンはパイロットの説明に耳を傾けた。



    窓の外に見える超高層ビルの街並み。
    規格外の規模を誇るメガロポリスに、エレンは大興奮の様子であった。



    ※コルサントの街並み
    http://www.starwars.jp/wiki/images/0/09/Galactic_City.jpg











    スピーダーが飛び交うビルの間に、浮遊するナブー代表団用のプラットフォームが見えてきた。










    「ヴァローラム元老院最高議長のシャトルだ。おっと、パルパティーン議員もお出迎えのようだ。」


    プラットフォームの上にはナブー代表の元老院議員、シーヴ・パルパティーンと、元老最高議長のフィニーズ・ヴァローラムが、青いマントを羽織った護衛に伴われてシャトルから姿を現した。




    ※フィニーズ・ヴァローラム最高議長
    http://www.starwars.jp/wiki/images/5/50/Finis_Valorum.jpg







  7. 7 : : 2015/09/15(火) 22:55:29







    滑らかな銀色の機体をしたヌビアンがゆっくりとプラットフォームに着陸し、タラップがゆっくりと降りる。
    船の奥からヒストリア女王、側近のユミル、クリスタをはじめとする侍女たち、そしてジェダイ二人とエレンが降りてきた。







    「ご無事で何よりです、陛下。」


    ほっとした様子のパルパティーンがヒストリアに近づいて挨拶を交わした。








    「こちらはヴァローラム最高議長です。」

    「ようこそ、ヒストリア女王陛下。」








    白髪で痩せており、すっと背の高いヴァローラムは、威厳の籠った声で挨拶をした。







    「既に特別議会の招集は済んでいます。女王の苦しい胸の内を訴えていただきたいのです。」

    「ご配慮に感謝いたします、最高議長殿。」





  8. 8 : : 2015/09/15(火) 22:56:05







    ヒストリア女王は側近や侍女たちを引き連れて専用のタクシーへと歩き始めた。








    すると今度は、エルヴィンが最高議長に近づいた。


    「ジェダイ評議会の招集もお願いしたい。事態は予想以上に深刻化しています。」









    「ん? エルヴィンさんは行かないの?」

    「用事がある。エレン、お前はクリスタのそばにいるんだ。」

    「こっちよ、エレン。」










    クリスタに手を引かれ、エレンは女王の後をついて行き、タクシーへと乗り込んだ。









    「あの女王様、ナイスね、カッコイイ。」


    軽口を叩くジャー・ジャーの話を聞き流しつつ、エレンは周りを流れていくスピーダーや摩天楼を隅々まで眺めていた。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  9. 9 : : 2015/09/15(火) 22:59:07








    コルサントの中でもひときわ高いビルである500リパプリカ。
    その建物の一室に、パルパティーン議員は自らの部屋を借りていた。







    パルパティーンは訪問してきたヒストリア女王を前に、沈痛な面持ちで話をしていた。


    「共和国にはかつての礼節は無く、元老院議員は私欲丸出し。誇り高い共和国はもうどこにもありません。率直に言って、陛下・・・・・・今の元老院がこの状況を打開できる可能性は無いでしょう。」







    元老院の中でも、数少ない良心派の議員のとして知られるシーヴ・パルパティーンは、元老院の堕落を嘆いていた。








    「ヴァローラム最高議長はまだ希望はあると?」

    「こう申し上げるのもなんなのですが、彼に実権は有りません。いわれのない汚職疑惑によって彼の権威は失墜し、官僚の思うが儘になっているのです。」

    「では、どうすれば・・・・・・。」





  10. 10 : : 2015/09/15(火) 23:00:08







    厳しい表情で問い詰めるヒストリアに、パルパティーンは伏し目がちにこう告げた。








    「・・・・・・最善の選択は、より強い力をもつ最高議長を選挙で選ぶことでしょう。」

    「それでは時間がかかります。」

    「後は、法廷に訴えるのみです。」

    「もっと時間がかかります。民が死んでいるのですよ!?」








    パルパティーンの声は、ますます弱弱しくなった。


    「現実的に言って、彼らの支配を一時受け入れざるを得ないのではないでしょうか?」











    ____________命がけでナブーを脱出し、元老院に訴えようとしているのに、共和国はここまで腐っていたなんて・・・・・・。



    ヒストリアしばし言葉を失い、ややあってこう答えた。







    「・・・・・・そんなことは出来ません。」










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  11. 11 : : 2015/09/15(火) 23:23:11








    コルサントには銀河中のジェダイのホームとなる場所、ジェダイ聖堂が存在する。
    まるで巨大なピラミッドに、五つの尖塔を備えたジェダイ聖堂は、三千五百年もの間、この地に立っている、由緒ある建築物であった。



    ※ジェダイ聖堂
    http://www.starwars.jp/wiki/images/5/5d/Jedi_Temple.jpg







    その尖塔の内の一つに、ジェダイの最高意思決定機関であるジェダイ評議会は置かれていた。
    十二の椅子が、円卓を囲むように配置され、そこに座るジェダイは最高の栄誉をもって遇されていた。












    「ジェダイ武芸の達人じゃねぇのか?」

    「いえ、シスの暗黒卿としか考えられません。」








    マスター・エルヴィンは今、弟子のアルミンを伴い、ジェダイ評議会の長老であるマスター・リヴァイに向かって、謎の襲撃者の報告をしていた。






  12. 12 : : 2015/09/15(火) 23:26:02








    「千年前に滅び去ったシスの暗黒卿が復活したというのか? エルヴィン?」




    重ねて問いかけたのはミケ・ザカリアス。
    評議会唯一のジェダイ・ナイトである。








    「ふむ、ダークサイドは見えにくいものじゃからのう。」


    周りを諭すように発言したのはグランド・マスターであるヨーダ―――――――――――800年にわたってジェダイを指導してきた最年長のジェダイである。



    ※ヨーダ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/a/a8/Yoda_ep1.jpg









    評議員の一人であるマスター・エルドも憂慮を示した。






    「もし、気付かぬうちにシスが復活を遂げたとあらば・・・・・・我々は断固戦わなくてはならないでしょう。」

    「そうだな、マスター・エルド。その点は俺も同感だ・・・・・・気に入らねぇがな。マスター・エルヴィン、俺たちも全力でこの謎の解明に当たる。フォースと共にあらんことを。」







  13. 13 : : 2015/09/17(木) 04:47:23








    ____________本当にシスの暗黒卿は復活してしまったのだろうか?







    アルミンは深々と頭を下げ、師匠と共に退出しようと、出口に向かって歩き出した。









    「マスター・エルヴィン! まだあるのか?」


    ヨーダの声に驚いて振り返ると、マスターはまだ腕を組んだまま、部屋の中央に立っていた。









    「お聞きください・・・・・・強いフォースに出会いました。」

    「強いフォースじゃと? それは、一体どのような子なのじゃ?」

    「一人の、奴隷だった少年です。」







    評議員たちが困惑する中、エルヴィンは確信をもって言った。







    「その少年は細胞中に驚くべきミディ=クロリアンを持っていました。ミディ=クロリアンによって創造されたのです。」

    「おい、エルヴィン・・・・・・お前、そいつがフォースにバランスをもたらすと予言された奴だと言いたいのか?」






  14. 14 : : 2015/09/17(木) 04:48:11










    ____________フォースにバランスをもたらすもの。



    ジェダイの中に伝わる古い予言。





    フォースにはライトサイドとダークサイドがある。
    それにバランスをもたらす・・・・・・という意味だろうか?





    それにしても、マスターはどうしてあの子にそこまで肩入れをするのだろう?









    「それで、マスター・エルヴィンは何を望んでおるのじゃ?」

    「その子をテストしてほしいのです。」









    エルヴィンのはっきりとした言葉に、半信半疑のアルミンは困惑した。
    そして、またいつもの調子だということに気が付いて内心ため息をついた。



    正しいと思ったことは、たとえ評議会が反対しても突き通そうとする、頑固なマスター・エルヴィンのことだ。










    「ほう、その子をジェダイにしたいと・・・・・・そういうことじゃな?」

    「ええ、その少年・・・・・・エレン・イェーガーとの出会いは、フォースの導きであることは論を待ちません。」










    その目に鋭い信念を宿し、エルヴィンは力強く言い切った。
    評議員たちは互いに顔を見合わせ、まずはエルド、次にミケ、最後にヨーダが長老であるリヴァイを見てその判断を仰いだ。










    「・・・・・・いいだろう、ここにそいつを連れて来い。」








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  15. 15 : : 2015/09/17(木) 20:37:56








    パルパティーンのマンションの前。
    ナブー代表団のための部屋の前に、一人の小さな少年が、クリスタの元を訪ねていた。







    入り口の護衛が部屋の中と通信を取る。







    「エレン・イェーガーがクリスタに一目お会いしたいそうです。」

    『分かりました。通してください。』








    扉が開き、中へ進むと、部屋の奥から豪華で伝統的な、ナブーの衣装を身に纏ったヒストリア女王が現れた。








    「クリスタは使いに出して、今はここにはおりません。」

    「そうですか・・・・・・。」








    肩を落とすエレンに、女王は優しく声をかけた。








    「言伝なら承りましょう。」

    「あの・・・・・・これから俺は、ジェダイの修行が始まります。だから・・・・・・さよならを言いに来たんです。」









    エレンは堅く決意しているようであった。
    その様子を感じ取ったヒストリアは静かに言った。


    「分かりました。きっとお伝えしましょう。」












    エレンは深々と頭を下げ、くるりと背を向けて部屋を後にした。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  16. 16 : : 2015/09/18(金) 17:02:19








    銀河共和国の中枢、元老院。
    大きなドーム型をしたこの元老院ロタンダは、これまで賢明に人々をまとめ上げてきた民主主義の象徴でもあった。



    ※元老院ロタンダ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/c/c6/Senate_Buildings.jpg







    ヴァローラム最高議長は、ナブーが侵略されているという非常事態に際し、緊急議会を開催。
    大会議場において、何千という銀河を代表する元老院議員の議席に取り囲まれ、最高議長は中央の演壇から発言した。



    ※元老院大会議場
    http://www.starwars.jp/wiki/images/7/73/Galactic_Senate.jpg







    「それでは、ナブー代表団の発言を許します。」








    パルパティーン議員が立ち上がり、議席となっている円形のリパルサー・ポッドのスイッチを押す。
    議席が切り離されて浮き上がり、大会議場の中央を浮遊し始めた。



    ※リパルサー・ポッド
    http://www.starwars.jp/wiki/images/9/9e/Jarjarsenate.jpg





  17. 17 : : 2015/09/18(金) 17:03:00







    パルパティーンは努めて冷静に、周りの議員たちに訴えた。






    「元老院議員の皆さま、悲劇の時です。私の故郷であるナブーは、強欲な通商連合によって支配され――――――――「とんでもない言いがかりだ!!」







    通商連合のポッドが浮き上がり、代表のロット・ドッドがヤジを飛ばした。
    通商連合はただの企業でありながら、私設の軍隊を持ち、こうして元老院にも議席を持っていた。



    ※ロット・ドッド
    http://www.starwars.jp/wiki/images/3/39/Lott_Dod2.jpg








    「通商連合は発言を控えなさい。」


    最高議長に指摘され、ポッドを元の位置に戻すロット。










    「この悲劇について、民主的な選挙で選ばれたヒストリア女王にご発言していただきたいと思います。」


    パルパティーンは自らの故郷の女王に訴えるよう促した。









    ヒストリアはゆっくりと立ちあがり、前に進み出た。











    「元老院議員の皆様、私はナブーの女王、ヒストリアです。私の故郷は通商連合の無慈悲な侵略により――――――「異議あり! その証拠は!?」











    またしてもロットが割って入り、ヒストリアの発言を妨げに入った。


    「言いがかりだ! あなたの発言が正しいかどうか、まずは調査団をナブーへ派遣することを提案する!」







  18. 18 : : 2015/09/18(金) 17:03:37









    ____________言っていることが無茶苦茶だ。




    自分で侵略しておきながら、
    調査団を派遣しろとはいったいどういう了見だ?





    一体どうやったらここまで自分の利益しか考えない下種になれるのだろうか?









    怒りではらわたが煮えくり返る思いをしていると、他のポッドも近づいてきた。


    「マラステアも通商連合の動議に賛成だ。ナブーの女王が言っていることが正しいかどうか、調査すべきだ。」








    通商連合に同調したのはマラステア代表のアスク・モウ議員だ。


    こいつも私腹を肥やし、豪華な生活を送って恥じない人物として知られている。










    ____________もはや元老院は、私欲にまみれて何一つ正しい行動を起こせないのか?







  19. 19 : : 2015/09/18(金) 17:04:30









    「今は女王の発言中だ。」


    何とか場を取り繕うとヴァローラム最高議長は必死になった。










    すると、隣に控えていた副議長のマス・アメダが最高議長に耳打ちをした。



    ※マス・アメダ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/4/40/Mas_Amedda.jpg









    「共和国の影の支配者、官僚たちの登場です。」


    パルパティーンはそっと、ヒストリア女王に耳打ちをした。








    「共和国の真の支配者です。いわれのない汚職疑惑で弱体化したヴァローラム最高議長にはそれをはねつける力もありません。しかも副議長は通商連合の犬です。」











    パルパティーンの言うとおり、最高議長は彼らの言葉に、簡単に屈した。


    「異議を認めます。まずヒストリア女王の発言の真偽を確かめるため、調査団を派遣します。」










    _________正規の手続きに縛られ、共和国には最早、不正を正す力も、自浄作用もない。




    「それでは遅いのです! 我々の民は飢え、死んでいます! 共和国の最高議長たるあなたが確固たる行動をとれないというのなら、新しいリーダーシップを取れるものに変わるべきです!」











    ヒストリアは厳しい口調で静かに、しかしはっきりと言った。


    「最高議長に対し、不信任動議を提出します。」







  20. 20 : : 2015/09/18(金) 17:05:32








    選挙だッ! 選挙だッ!!



    女王の発言に対し、不満を持っていた議員たちの声が爆発した。








    「静粛に! 静粛に!!」


    副議長の制止も効果がなかった。




    あっという間に不信任の声は議場を覆い尽くし、ヴァローラムは力なく自分の席に座り込んだ。











    「これで、新しい最高議長が選ばれるでしょう。この悲劇に終止符を打てる、力ある議長が選ばれることを望みます。」


    パルパティーンの言葉を聞きながら、ヒストリアは考え込むように議席に座った。









    ____________確かに、新しい最高議長がこれで選ばれる。


    けれど、選ばれる頃には、民の犠牲はどれ程になってしまうのだろう。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  21. 21 : : 2015/09/18(金) 17:06:51








    コルサントの二つある太陽が傾きはじめ、摩天楼は柔らかい夕日に包まれ始めた。







    ____________今頃は、ジェダイ評議会でエレンのテストが始まる頃だろうか。



    ジェダイ聖堂のバルコニーから夕日を眺めるエルヴィンが、エレンのことを気にかけていると、アルミンが不意にエルヴィンへ話しかけた。







    「マスター・・・・・・エレンのことですが・・・・・・。」

    「心配には及ばない。彼は必ずジェダイになる。」

    「あの子は年を取りすぎています! ジェダイの修行は遅くとも6歳からです。もうこれ以上規則に逆らわないでください!」








    アルミンはエルヴィンを尊敬しつつも、規則を無視する点に関しては不満を持ち続けていた。
    内側へとため込んだ不満が、エレンのことを機に爆発した。



    だが、エルヴィンはいつものように飄々と答えた。







    「私はすべきことをするだけだ。」

    「規則に従っていれば、評議員にだってなれたんですよ・・・・・・。」





  22. 22 : : 2015/09/18(金) 17:07:45








    まだ何か言いたげだったが、アルミンは口を噤んだ。





    ____________評議員のことを持ち出しても、マスターには意味がない。


    折角マスター・リヴァイが誘っても、自ら席を蹴ったのがマスター・エルヴィンだ。









    弟子が沈黙したのを見て、エルヴィンはふと微笑んだ。


    「お前にも、きっと分かる時が来る。」








    ポンと、エルヴィンはアルミンの肩に手を置いた。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  23. 23 : : 2015/09/18(金) 20:25:14








    「船か・・・・・・カップだ・・・・・・船・・・・・・スピーダーだ。」






    エレンは、リヴァイをはじめとしたジェダイ評議会の席の真ん中で、ジェダイの適性を見極めるテストを受けていた。
    リヴァイが自分にしか見えない小型のスクリーンを持ち、エレンにそれを当てさせるというものだ。



    エレンは映し出すもの映し出すものすべてをぴたりと当てていた。









    だが、評議員のジェダイたちが見ているのはそこではなかった。







    「ふむ、気分はどうかね?」

    「・・・・・・寒いです。」

    「怖いかね?」

    「いいえ。」






    ヨーダの質問に、答えるエレンの一足一挙動を、評議員たちは注視していた。




  24. 24 : : 2015/09/18(金) 20:26:47






    「おいガキ、俺たちに隠し事をしても無駄なことだ。」

    「お前は、母親と今だに会いたいと思っているな?」







    リヴァイが喝破し、ミケがエレンの心の内を暴き出す。






    「母親を失うのが恐いのか?」

    「・・・・・・。」






    エルドの質問に答えられないエレン。







    「そうじゃ、お主は恐れておる。」


    ヨーダが感じ取っていた通り、ここにいる12人の評議員全員が、エレンの強い恐れを感じ取っていた。







    「それと何の関係があるんですか?」

    「大ありじゃよ。恐れはダークサイドへとつながる。恐れは怒りに、怒りは憎しみに、そして憎しみは・・・・・・苦痛へと通ずるのじゃ。」








    「ちっ、面倒なことになったな。」


    リヴァイが思わず毒づく。







    エレンのテストはこうして終わり、今晩にはエルヴィンやアルミンの前で結果が告げられることとなった。






    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  25. 25 : : 2015/09/18(金) 21:08:17









    巨大なメガロポリスに夜の帳が降りはじめ、摩天楼は輝かしい光に包まれていく。


    ヒストリアは500リパプリカの一室、パルパティーン議員のアパートの窓から、聳え立つ光の摩天楼を眺めていた。






    「ナブーの人たち、みんな死んじゃうの?」

    「・・・・・・分かりません。」

    「グンガンの皆も?」

    「そうでなければよいのですが・・・・・・。」






    俯きがちに話すジャー・ジャーに、ヒストリアは何か考え事をしているかのように答えた。





    すると、ジャー・ジャーはヒストリアに、自分たちグンガンのことを話し始めた。


    「ミーたちには偉大な軍隊がある。だからナブーの人たちに嫌われているけど。」






  26. 26 : : 2015/09/18(金) 21:08:50







    「おい! 朗報だぞ! ヒストリア!」


    突如、アパートの扉が開いたと思うと、ユミルとパルパティーンが部屋に入ってきた。








    「パルパティーン議員が最高議長に推薦されたぞ!」



    ユミルは意気揚々としていた。
    パルパティーンもまんざらではなさそうな表情だ。






    「驚きましたが、望むところです。」

    「対立候補はマラステアのエインリー・ティムとオルデランのベイル・アンティリーズだ。まぁ正直言って小物ばかりだ。」






  27. 27 : : 2015/09/18(金) 21:09:22






    嬉々として話す二人とは対照的に、ヒストリアの表情は冴えなかった。







    「・・・・・・どうしたんだよ? ヒストリア?」


    漸くヒストリアの異変に気が付き、ユミルは神妙な面持ちになって尋ねた。








    「・・・・・・パルパティーン議員。あなたの戦場が元老院なら、私の戦場はナブーです。」

    「お、おい、まさか・・・・・・ナブーに戻るってのか!? ヒストリア!?」







    思わず声を上げたユミル。
    慌てたのはパルパティーンも同じで、彼はヒストリアを説得し始めた。






    「今戻りましたら、通商連合に占領を了承する協定にサインを強いられますぞ!?」

    「私は絶対にサインなどしません! ユミル、出発の準備を!」

    「どうかここにおとどまりください、陛下。戻るのは危険です!」







    なおも説得を試みるパルパティーンに、ユミルは手を肩に置いた。


    「諦めるんだな、パルパティーン議員。ああなったヒストリアは梃子でも動かねえぜ。」








    「行くわよ、ユミル。」

    「へいへい、全くうちの女神さまは強引なこった。」







    軽口をたたくユミルを引き連れ、ヒストリアはパルパティーンのアパートを出ていった。









    ____________これ以上、私たちの故郷を通商連合の好きにはさせない。


    共和国が動かないのなら、私の手で故郷を取り戻してみせる。









    ヒストリアの決意は固かった。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  28. 28 : : 2015/09/18(金) 23:27:29







    女王の決断から少しばかり後。


    ジェダイ聖堂の四つの支棟のうちの一つにおいて、ジェダイ評議会はエレンについての結論を下そうとしていた。








    エルヴィン、アルミン、エレンを前に、ヨーダはエレンについての見解を述べた。






    「この子のフォースは確かに強いのう。」

    「では、エレン・イェーガーをジェダイに?」







    「・・・・・・いや、エレン・イェーガーはジェダイにはさせない。」

    「なぜだ!?」






    リヴァイの言葉に、エルヴィンは反発した。
    予想した通りの反応に、リヴァイは少しため息をついた。








    「その子の未来が・・・・・・よく見えんのじゃ。」


    常に未来を見通すヨーダは、エレンの未来が曇っていることを感じ取っていた。






  29. 29 : : 2015/09/18(金) 23:28:35






    ____________この子は失うことを恐れている。



    それはつまり、執着するということでもある。
    この執着が、この子の未来を曇らせているのだとヨーダは確信していた。



    ともかくも、この子の修行には大きな危険を伴う。
    ゆえに、ヨーダの判断によって、ジェダイ評議会はエレンの修行を禁止することを決定したのであった。









    「・・・・・・私がエレンを鍛え上げます。」


    エルヴィンは後ろからエレンの両肩を持った。








    「お前には既に弟子がおるじゃろう? 一度に二人の弟子は持てぬぞ?」

    「アルミンは既に試練を受ける準備が出来ています。」

    「私はいつでも試練を受けられます!」







    エルヴィンの意図を分かってはいたものの、アルミンは思わず名乗り出た。







    _________結局のところ、僕はマスターを敬愛している。


    内心苛立ちはあったものの、アルミンはそれを認めざるを得なかった。





  30. 30 : : 2015/09/18(金) 23:31:39







    「それは俺たち、ジェダイ評議会が決めることだ、エルヴィン。」

    「マスター・ミケの言う通りだな、エルヴィン。お前が勝手に決めていいことじゃねえ。」

    「アルミンは立派な弟子です。頑固なところはありますが、窮地に追い込まれた時ほどその真価を発揮できる弟子です。」








    あくまでエルヴィンは、ミケやエルドに対して反論する姿勢を崩さなかった。









    「ふむ、エレンの修行の件は後回しにしよう。それより今は重大なことが起こったのじゃ。」


    仕方なしにヨーダは結論を後回しにし、それよりも重要な案件を切り出した。







    リヴァイがヨーダの話を受け、詳細を語り始める。







    「元老院は最高議長の選挙、そしてヒストリア女王はナブーへと戻るつもりらしい。クソみてぇに話が出来過ぎている。」

    「それは私も同感です、マスター・リヴァイ。そして恐らく、この背後には例の襲撃者も絡んでいるでしょう。」




  31. 31 : : 2015/09/18(金) 23:32:30






    ____________この時僕は、次のことを理解した。





    マスター・エルヴィンは釣りをしようとしている。
    女王を餌に、シスの暗黒卿と思しき襲撃者を誘き出そうとしているのだ。







    「敵に目的を悟られぬよう、私とアルミンで女王を警護します。」

    「うむ、それが良いじゃろう。」

    「せいぜい気を付けるんだな、マスター・エルヴィン。フォースとともにあらんことを。」









    まだ姿を見せない脅威に対して、評議会は警戒の色を強めていた。
    エルヴィンはヒストリアを、そして自分自身をも囮にして、暗黒卿の正体に迫ろうとしたのである。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  32. 32 : : 2015/09/19(土) 15:44:48








    数時間後。



    アルミンとエルヴィンは浮遊式プラットフォームの上で、ヒストリア女王の到着を待っていた。







    「マスター・・・・・・僕の言った通りでしたよね?」

    「ん?」

    「とぼけないでください! あの少年は危険です! 評議員の皆もそう感じ取っています!」









    アルミンは苛立ちを隠さなかった。
    マスターを敬愛する故に、周りから疎んじられるようなことはして欲しくなかったのだ。


    だが、というか、やはり、というか、エルヴィンは飄々と受け流すのみであった。








    「エレン・イェーガーの未来は不確かだ・・・・・・だがそれは危険だという意味ではない。」

    「マスター!」

    「あの子の未来は、評議員の決定にかかっている。そしてそれはお前にも良い結果をもたらすだろうよ。さて、ヒストリア女王のシャトルが見えたぞ。」









    エルヴィンはそういうなり、シャトルから降りてくるヒストリアの元へと向かった。
    しぶしぶマスターの後をついて行くアルミン。


    すると、侍女のクリスタの後にくっついて、俯いているエレンを見つけた。






  33. 33 : : 2015/09/19(土) 15:45:40








    エレンはエルヴィンとアルミンに気が付くと、そっと近づいてきた。


    「ごめんなさい、エルヴィンさん・・・・・・俺のせいで・・・・・・。」









    エルヴィンはしゃがみこみ、エレンの目を見据えて言った。








    「気にすることはない。お前を訓練することは出来ないが、俺をよく見て、そこから学ぶんだ。お前の意志が、お前の真実を決める。俺の側から離れるなよ?」

    「なぁ、エルヴィンさん、ミディ=クロリアンって一体何なんですか?」








    ____________評議員たちが話した言葉の中に聞こえてきた単語。







    「生物の細胞の中に存在する微小な生命体だ。」

    「俺の中にもあるの?」

    「勿論だ。俺たちはミディ=クロリアンと共生し、彼らがフォースの意志を語り掛けてくれる。」

    「・・・・・・俺にはよく分からないよ。」







    エルヴィンは微笑み、エレンの頭に手を置いた。


    「今にわかるようになる。」







  34. 34 : : 2015/09/19(土) 15:46:20








    それから、すっとエルヴィンは立ち上がり、ヒストリア女王に頭を下げた。







    「陛下、引き続きお仕えし、お守りできるとは光栄です。」

    「御助力を感謝いたします。パルパティーン議員は私が殺されるのではないかと大層心配しておられました。」

    「そうはさせません。お約束します。」








    ____________ヒストリア女王がナブーに戻ることで、シスの暗黒卿も姿を現すだろう。


    敵の正体を掴む、これは・・・・・・・・・・・・危険な賭けだ。







    心の奥底でエルヴィンは気を引き締め、銀色のヌビアンへと乗っていく女王の後へと加わった。








    「やった~~~!! ミーおうち帰れるよ~~~!!」

    「よし、来いよ! R2!!」



    ジャー・ジャーは大はしゃぎ、エレンはまた新しい惑星に行くことにワクワクしながら船に乗り込んだ。












    夜の光り聳える摩天楼が徐々に下のほうへと移動しはじめ、ヌビアンは宇宙へと飛び出した。












    「よし、ハイパードライブ起動だ。」


    パイロットがスイッチを押し、ヌビアンが光速まで加速。
    周りの星が線を描いて伸びていく。








    ドゴオォオンッ!!


    ナブー近くまで一気にひとっ飛び。
    ヌビアンはハイパースペースへと突入した。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  35. 35 : : 2015/09/19(土) 16:07:40








    『惑星は制圧できたのか?』

    「ええ、閣下。水中にあった都市まで、この惑星はくまなく我々の管理下にあります。」









    シード宮殿の女王の間で、ガンレイ総督はシディアス卿に報告していた。


    『よくやった。そちらに私の弟子のダース・モールを送る。彼と合流するのだ。』

    「はい、閣下。」









    暗黒卿のホログラムが消えると、副官のハーコがすがるようにガンレイ総督を見た。


    「シス卿がここへ!?」











    ____________エルヴィンや評議員たちの読み通り、見えざる脅威(ファントム・メナス)は確実に、襲撃の時を待っていた。




    全面対決の時は、迫っていた。






  36. 36 : : 2015/09/19(土) 16:08:53
    以上で第5話は終了になります。



    次回はいよいよナブーにおける戦闘になります。
    よろしくお願いします。

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hymki8il

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進撃×スター・ウォーズ ~ファントム・メナス~ シリーズ

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