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エレン「エピソードI」 アルミン「ファントム・メナス」 ④ 進撃×スター・ウォーズ
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- 1 : 2015/09/05(土) 19:28:06 :
- 進撃×スター・ウォーズ、エピソードI、ファントム・メナスの第4話です。
ポッドレース、開幕です。
よろしくお願いします。
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- 2 : 2015/09/05(土) 19:30:04 :
翌日の朝を迎え、エルヴィンは先にジャー・ジャーやワトーと共にモス・エスパ大競技場の、選手控えのスペースへと入った。
既にワトーはご機嫌な様子で、エルヴィンに語り掛けた。
「このレースが終わったら、お前の船を見せてもらうからな?」
「そう焦らないでくれ、青き友よ。このレースが終われば、君は大金を手に入れ、私はこの星を去っているのだからな。」
あくまでエルヴィンは冷静な態度を崩さなかった。
ますます面白がったワトーは、さらにエルヴィンをおちょくろうとした。
「ふん、確かにあのガキはすごい。だが・・・・・・優勝はあのセブルバだ!」
ワトーが指さしたほうを見ると、美しい二人のトワイレック人の女性にマッサージを受けているセブルバがいた。
ジャー・ジャーが喧嘩を売り(本人にはそんな自覚は全くないのだが・・・)、危うく殺されそうになった、あのセブルバ。
「あ、あいつだ!」
因縁の相手を見つけて、ジャー・ジャーが目を丸くして驚き、少し体を震わせた。
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- 3 : 2015/09/05(土) 19:30:38 :
エルヴィンもセブルバを見て、それからワトーにゆっくりと尋ねた。
「なぜそうわかる?」
「いつも勝ってるからさ。今回も奴に大枚をかけた!」
_________このトイダリアンはよほど賭け事が好きなようだ。
エルヴィンは不意にワトーのほうを向くと、出し抜けにある提案をした。
「賭けをしないか? ワトー?」
「あんだって?」
突然の提案に顔をしかめるワトー。
「私はポッドをかける。君には、奴隷二人を賭けてもらいたい。」
「なに!?」
こんな賭けは認められん!
そう思ったワトーはすぐに反論した。
「ポッドと奴隷二人では割に合わん!」
「では、少年だけでも。」
その時、ふとワトーの心の中に、この男へのあてつけをしようという悪意が萌した。
「なら、運命に決めてもらおう。」
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- 4 : 2015/09/05(土) 19:31:13 :
ワトーは腰につけたサイコロを取り出した。
「青が出れば、ガキを賭けてやる。赤が出れば・・・・・・母親だ。」
____________このサイコロ、赤の目が出やすいように調整してあるいかさまダイスであった。
露骨ないかさまダイスを振るワトー。
その時、エルヴィンは下げていた左手をわずかに動かした。
フォースに導かれたサイコロは、青い目を出した。
サイコロの目を見たワトーは、それはもう青い顔を真っ赤にしそうな勢いで、エルヴィンを睨みつけた。
「ふん! ここで勝ってもレースじゃ勝てねぇ! 後で吠え面書くんじゃねえぞ!!」
捨て台詞を吐いて、ワトーは去っていった。
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- 5 : 2015/09/05(土) 19:32:09 :
丁度その時、エレンと母親のカルラ。そしてクリスタがイオピーに乗って控室に到着した。
※イオピー
http://www.starwars.jp/wiki/images/f/f7/Eopie.jpg
イオピーから降りるエレンに向かって、ワトーは笑いながら近づいて言った。
<あの男、いつか自分自身を賭けに出すぜ?>
そのまま飛び去っていくワトーを、むっとした表情で送り出すエレン。
それからすぐに、エルヴィンがエレンの元へと歩み寄ってきた。
「なぁ、エルヴィンさん。ワトーに何を話したの?」
「後で話そう。」
エルヴィンはエレンにそう告げると、カルラがイオピーから降りるのをエスコートするために右手を差し出した。
すると、地元にいるエレンの友人たちが集まってきた。
「すげぇ、今度こそイケるぜ! エレン!」
「当然だろ! 今度こそ完走してやるよ!」
自分の手で組み上げたマシンを前に、少し誇らしい様子のエレン。
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- 6 : 2015/09/05(土) 19:32:34 :
「ちょっと待ってね? エレン、このレース、完走したことないの?」
驚いたクリスタが思わずエレンにそう聞いてしまった。
「うん、でも、今回は大丈夫だ、クリスタ。」
____________どこが大丈夫なものか!?
そう思っていると、エレンの後ろからエルヴィンが声をかけた。
「勿論だとも、エレン。」
____________重ね重ね思うが、いったいこの男の自信はどこから来るのだろう?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 7 : 2015/09/05(土) 19:33:20 :
第4話
ブーンタ・イブ・クラシック
100万人を収容できるモス・エスパ競技場は、まさにさまざまなエイリアンたちによって埋め尽くされて、客席は目も綾な絨毯のようであった。
※モス・エスパ大競技場
http://www.starwars.jp/wiki/images/7/78/MosEspaGrandArena.jpg
単にスリルを求めるもの。
ギャンブルによって一攫千金を求めるもの。
様々な理由で集まった者たちの、100万人の熱気と歓声に会場が包まれていた。
このレースを中心に、大金が動き、街が回る――――――――――アングラ的で危険、かつ違法なレースの、ここは聖地であった。
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- 8 : 2015/09/05(土) 19:33:52 :
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<さぁ! 本日は晴れて絶好のポッドレース日和となりました! ここアウター・リムで最も危険に満ちた、ブーンタ・イブ・クラシックの開幕です!>
「いやぁ~、観客席は満員御礼! いつにない熱気と歓声に包まれております!」
解説者のエイリアンであるフォーデシンビード・アノーデューが、その二つの頭で司会と解説を一人でこなしていた。
※フォーデシンビード・アノーデュー
http://www.starwars.jp/wiki/images/2/2e/Fodesinbeed_Annodue.jpg
トラックの上には既にポッドが並べられ、選手たちがマシンの最終調整に入っていた。
※ブーンタ・イブ・クラシックに臨むポッド
http://www.starwars.jp/wiki/images/b/bc/Podracer_Pilot.jpg
緑色の頭のフォーデがベーシック語をしゃべり、赤色の頭のビードはハット語をしゃべって、それぞれの選手紹介に入った。
様々なエイリアンたちが紹介されていく中で、一際大きな歓声を受けたのが彼であった。
<お次は今大会の大本命! セブルバ選手!>
セブルバは自慢のオレンジ色のポッドの上に乗り、両手を上げて観客の大歓声にこたえた。
「さて! 地元モス・エスパ出身! 今大会最年少! おなじみのエレン・イェーガー選手!」
<今度こそは幸運を!>
最年少ということもあり、そこそこ人気があるのか、エレンには温かい拍手が向けられた。
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- 9 : 2015/09/05(土) 19:34:33 :
「トラック上をフラッグが横断します!」
それぞれの選手のフラッグが大競技場のトラックの上を横切っていく。
これが過ぎ去れば、いよいよレース開始であり、観客席の興奮はいやがおうにも高まっていった。
C-3POがエレンのフラッグを掲げてトラックを渡っていく。
その最中に、こっそりエレンのポッドに近づく一人の影。
「あ、おう。」
セブルバはこっそりエレンの右ポッドの小さな部品を外し、ケーブルでぶら下がった状態にすると、整備中のエレンに近づいて話しかけた。
<これでお前も終わりだ、奴隷のガキ。>
<お前こそ気を付けるんだな。>
<バンサのエサにしてやる。>
少しの言葉の応酬を終えると、セブルバは自分のポッドへと戻っていった。
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- 10 : 2015/09/05(土) 19:35:01 :
「準備はいいか、エレン?」
「ああ! ばっちりだぜ、エルヴィンさん!」
レース直前、エレンを励ましにエルヴィンとクリスタ、ジャー・ジャーにカルラがエレンの元へと歩み寄った。
「気を付けるのよ、エレン・・・・・・。」
「分かってるって、母さん。」
カルラはレースに臨む息子の背中を、そっと押した。
「よし!」
「うおわっ!」
エルヴィンがエレンの小さな体を持ち上げ、ポッドに乗せる。
去り際に、エルヴィンはエレンに小さな声で、囁いた。
「いいか、今この瞬間に集中しろ。考えるな、感じろ。自分の直感を信じるんだ。」
「分かった。」
「フォースと共にあらんことを。」
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- 11 : 2015/09/06(日) 02:33:35 :
- ユミルはタイフォなの?パナカなの?
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- 12 : 2015/09/06(日) 04:17:56 :
- 1ではパナカ、2以降はタイフォといった感じです。
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- 13 : 2015/09/06(日) 13:54:20 :
- 期待です!(この頃あまり来れなくてスミマセン!)
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- 14 : 2015/09/06(日) 19:54:37 :
- いえいえ、いつも見ていただいたありがとうございます!
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- 15 : 2015/09/07(月) 20:34:34 :
バシュウ!
ブースターエンジンがいよいよ点火し、二機のブースターの間に紫色の電撃が接続される。
「さて、それでは我々の偉大なる指導者、ジャバ・ザ・ハット様にご挨拶いただきましょう!」
フォーデが高らかに宣言すると、専用の貴賓席にジャバ・ザ・ハット。執事ビフ・フォーチュナ。ガーデュラ・ザ・ハットが姿を現した。
※ジャバ・ザ・ハット
http://www.starwars.jp/wiki/images/a/aa/Jabba_Desilijic_Tiure.jpg
※ビフ・フォーチュナ
http://www.starwars.jp/wiki/images/b/b8/Bib_Fortuna_Ep_I.jpg
※ガーデュラ・ザ・ハット
http://www.starwars.jp/wiki/images/4/42/Gardulla_the_Elder.jpg
<この競技場に集まったすべての皆様を歓迎する!>
この惑星の支配者、凶悪な犯罪帝国の首領、ジャバ・ザ・ハットは高らかに、ブーンタ・イブ・クラシックの開催を宣言した。
<よし! レースを始めろ!>
各選手のブースターエンジンのファンが回転しはじめ、けたたましい振動が地面を揺さぶっていく。
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- 16 : 2015/09/07(月) 20:35:32 :
「エレンは大丈夫かしら・・・・・・。」
関係者用の観客席に向かいながら、カルラはエルヴィンに対して不安を漏らした。
「あの子なら大丈夫だ。」
カルラに言い聞かせるようにいうエルヴィンに対し、クリスタは皮肉を言わずにはいられなかった。
「ジェダイは無謀にも程があるわ・・・・・・もし女王がこのことを知ったら――――――――「女王は私を信用してくださるだろう。君もそうすべきだ。」
「・・・・・・大した自信ね。」
そのままエルヴィン、クリスタ、ジャー・ジャー、カルラの四人は、専用の観客ポッドの上に乗った。
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- 17 : 2015/09/07(月) 20:36:25 :
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ピッピッピッピッピッ・・・・・・
スタートまでのカウントダウンが始まる。
ジャバは手に持っていた小さなヌーナの頭を齧り取り、ブッとはいて銅鑼に打ち付けた。
その瞬間、信号が青になり、多くのポッドがスタート――――――――一週目が始まった。
ボシュウッ!
「え!?」
エレンもスタートしようとしたが、エレンのポッドは煙を出してエンストしてしまった。
「おやおや、エレン坊やはエンストです!」
フォーデの容赦のない実況に、会場中が笑いに包まれた。
特に専用のボックス席から、ワトーは容赦のない笑い声を浴びせた。
_________くそ、どうなってんだよ!
コクピットの中のスイッチをいじって、何とか再点火を試みるエレン。
「おっと!? クワディナロスもトラブルのようです!」
エレンのほかにも、四つのブースターエンジンを搭載したクワディナロスもまた、エンジントラブルで発進できないでいた。
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- 18 : 2015/09/07(月) 21:23:24 :
先にスタートしたほかの選手たちは既にデットヒートを繰り広げていた。
先頭を行くのはやはり、セブルバであった。彼のトレードマークであるオレンジ色に塗られた巨大なポッドが砂漠の平野を爆走していく。
すると、セブルバを抜こうとマーホニックがセブルバの左に並んだ。
バキッ!
容赦なく体当たりをするセブルバ。
マーホニックは何事か叫んだが、そうしている間にさらに体当たりされ、エンジンが左側の壁に衝突。爆発、炎上し、早くもリアイアと相成った。
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- 19 : 2015/09/07(月) 21:24:32 :
「この! 点火しろ!」
カチッ! カチッ!
ボウッ!!
____________よし!
何とかエンジンが点火し、エレンは思いっきり操作レバーを前に倒した。
「エレンが今スタートしました!」
<先頭集団に追いつくのは大変です!>
エレンがスタートしてしばらく後、セブルバを含む先頭集団は広い平原を抜け、曲がりくねった渓谷へと入っていった。
その後、先頭集団は鍾乳石のある洞窟へと入っていく。
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- 20 : 2015/09/07(月) 21:24:59 :
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「!! うわあぁあぁぁッ!!」
参加者の一人、ラッツ・ティレルが悲鳴を上げた。
次の瞬間にはポッドが鍾乳石に激突、洞窟の中が炎で照らされた。
ラッツはそのまま帰らぬ人となり、今大会唯一の犠牲者となった。
追いかけていくエレンが何とかマシーンの残骸を躱し、洞窟を抜けて緩いカーブへと差し掛かった。
バァン!
チュイン!
「うわっ!」
緩いカーブの端、崖の上から突然、赤いレーザーが飛んできた。
レーザーは危うくエレンの頭を掠め、機体の端へと当たった。
ハンディサイズのモニターでレースを観戦していたカルラは思わず目を逸らした。
「どうやら砂漠の強盗、タスケン・レイダーが狙撃をしているようです!」
フォーデの解説によると崖の上にはタスケン・レイダーが何人もたむろし、盗んだスナイパーライフルで、疾走する選手たちを狙撃しているようであった。
※タスケン・レイダー
http://www.starwars.jp/wiki/images/9/9a/Tusken_Raider.jpg
____________やっぱりエレンを出すんじゃなかった。
不安に押しつぶされそうになりながら、カルラはレースを見守った。
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- 21 : 2015/09/07(月) 21:26:32 :
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そのまま先頭集団はベガーズ渓谷を通過、最後の大砂丘海を突っ走った。
さて、先ほど出発できなかったクワディナロスはというと・・・・・・。
バシュウッ!
出発したかと思いきや、四つのエンジンはさながらミサイルのようにバラバラに飛び出して壁に激突、木っ端みじんになってしまった。
「おおっと! クワディナロスのエンジンが吹き飛んだ!」
会場が大爆笑に包まれ、クワディナロスは恥ずかしさのあまり、コクピットの中で小さくなった。
そんなクワディナロスの頭上を先頭集団が過ぎ去っていき、レースは第二ラップへと差し掛かった。
「レースは二週目に突入しました! 先頭はセブルバです!」
“セブルバ!!”とひときわ大きな歓声が上がり、セブルバも手を上げてそれに応えた。
「ねぇ! エレンはどこにいるの!?」
不安そうにつぶやくジャー・ジャー。
「見て!」
クリスタが水平線を見て叫んだ。
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- 22 : 2015/09/07(月) 21:27:16 :
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水平線―――――――砂漠の向こうからエレンのポッドが先頭集団を追い上げるように走ってきた。
「エレンが驚異的な追い上げを見せています!」
――――――――先頭集団ではガスガノ、マース・グオ、そしてセブルバがトップ争いを演じ、エレンがそれを追いかけるという展開で、レースは二週目に突入した。
「あと二週も!? まぁそれは大変。」
R2の解説に、C-3POは思わずつぶやいた。
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- 23 : 2015/09/08(火) 00:12:34 :
<さて、オディ・マンドレスがピットに入りました。>
早口でまくし立てるようにクルーのドロイドたちに指示を出すマンドレス。
一体のドロイドがエンジン整備のために近づいていく。
「ウワァオッ!」
が、エンジンのファンに吸い込まれ、エンジンがボンッ!と弾け飛んでしまった。
「オゥ・・・・・・ノゥ・・・・・・。」
頭を抱えるマンドレス。
整備中にマシンを壊してしまうという前代未聞の理由で、彼はそのままリタイアした。
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- 24 : 2015/09/08(火) 00:13:18 :
エレンはそのまま先頭集団を猛追していた。
平地を抜けて曲がりくねった渓谷に入り、先を行くパガリスのポッドを抜こうと左側に出た。
バキッ!
「ぐあっ!」
横から弾き飛ばそうとするパガリスの体当たりを受けるエレン。
「ちっ、やってくれるじゃねぇか!」
それは、しかし、エレンの闘争心に火を点けた。
パガリスが再び体当たりをしようと左へ詰め寄ったその時―――――――エレンは機体を横へ回転。宙返りを決めて躱すと、そのまま前へ出た。
「凄い! エレンが見事な宙返り! パガリスの攻撃を躱しました!」
「頑張って・・・・・・エレン!」
クリスタも気が気でない様子でエレンを応援する中、エルヴィンは静かに見守っていた。
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- 25 : 2015/09/08(火) 00:14:06 :
洞窟を抜けて狙撃のポイントに入るエレンとパガリス。
バァン!
チュイン!
「ぐっ!」
エレンの期待の右端に当たるレーザー。
エレンはそのまま通過できたのであるが、後ろのパガリスはそうはいかなかった。
バァン!
ドゴオォオンッ!!
「ぐああぁあぁッ!!」
タスケンの狙撃が不幸にもエンジンを直撃。
パガリスのポッドは地面に墜落、激しく回転して横転した。
「どこの星から来たか知らないけど、あれは痛い!」
今日もフォーデの解説はさえわたっていた。
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- 26 : 2015/09/08(火) 12:55:48 :
ベガーズ渓谷へと入っていったエレンは、遂に先頭集団を捉えた。
――――――――――先頭を行くセブルバ、マース、ガスガノの機体をその目に捉えるエレン。
「・・・・・・。」
三番手のガスガノもまた、背後にエレンがいることに気が付いたようであった。
抜かそうとするエレンに、積極的に妨害をかけるガスガノ。
ベガーズ渓谷を抜け、急勾配の下り坂に差し掛かった時、エレンは仕掛けた。
「今だ!」
アクセルを踏んでエレンの機体はガスガノの上を通過、エレンは三番手に躍り出た。
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- 27 : 2015/09/08(火) 12:57:02 :
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さて、同じころ、先頭を行くセブルバも仕掛けた。
「はっ!」
狡猾で卑劣なセブルバは、操縦席から自分のレンチを取り出すと、後ろを走るマース・グオのエンジン・ファンに向かってそれを投げつけた。
ボシュウッ!
「ガアウゥウゥゥッ!!」
マースが気が付いて唸ったころには、既に左のエンジンが大破。
そのまま右エンジン、ポッドも墜落し、優勝候補、マース・グオは脱落した。
「さて! トップを行くのはセブルバ! 後ろから追いかけるエレン! ファイナル・ラップです!」
<セブルバを抜けるか!?>
運命の第三週目――――――――トップ争いはエレンとセブルバに絞られた。
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- 28 : 2015/09/08(火) 14:46:30 :
____________よし、いよいよ最後の一週だ!
エレンの手に、自然と力が入る。
行くべき道が、エレンには分かっていた。
見えない何かが、いつも俺に行く先を教えてくれる。
その何かが警告を発し、並走していたセブルバから距離を取る。
ボウッ!!
案の定セブルバの機体から火炎放射器が火を噴いた。
____________くそ、いっつもきたねぇ真似しやがって!
今度こそ俺がお前を打ち破ってやる!
いつにも増して闘争心を滾らせたエレンが、セブルバに勝負をしかけていく。
あの可愛らしい少年が、セブルバに勝負を挑んでいる。
――――――――――――何時しか観客は、モニターが伝えてくる稀代の名勝負を、固唾をのんで見守っていた。
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- 29 : 2015/09/08(火) 14:47:15 :
狭い鍾乳洞を抜け、タスケンの狙撃が降り注ぐ緩いカーブを抜けて、いよいよベガーズ渓谷へと差し掛かるエレンとセブルバ。
「おっと! エレンがセブルバに並んだ!!」
追い抜かそうとエレンはセブルバの右に並んだ。
バキッ!
体当たりされ、コースからはじき出されそうになるエレン。
____________!! ヤバイ! 目の前には坂道が!!
バキッ!
再び体当たりされ、エレンはコースアウト。
坂道を駆け上がり、上空高く舞い上がってしまった。
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- 30 : 2015/09/08(火) 14:48:11 :
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過剰な重力がエレンの小さな体にかかり、エレンは歯を食いしばった。
そのまま弧を描いて地面へと落下していくエレンのポッド。
セブルバはエレンの墜落する様をゆっくりと眺めていた。
炎にくるまれて、あの憎たらしい奴隷の死ぬ姿を想像していた。
「――――――――おっ!?」
セブルバは目を見張った。
墜落する直前。
エンジンが噴射し、機体が傾き・・・・・・
ボウッ!
エレンのポッドはセブルバの前に、見事に着地した。
「エレン・イェーガーです!!」
興奮したフォーデが思わず叫んだ。
「信じられません! 見事なテクニックでコースに復帰! セブルバからリードを奪いました!!」
会場から割れんばかりの歓声がとどろいた。
____________よし!
エレンも心の中で快哉を叫んだ。
後はこのまま、リードを保ってゴールすれば――――――――優勝だ!
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- 31 : 2015/09/08(火) 15:07:15 :
・・・・・・・・・・・・ベガーズ渓谷を抜け、最後の難所である奇岩群に差し掛かった時だった。
セブルバによって外され、コードで吊り下がった状態になっていた部品。
コードに徐々にダメージが蓄積されていき、火花が散りはじめ・・・・・・
ピピピピピピピピピピピッ!!
操縦席内に響く警告音。
左エンジンの回路の異常を示すモニター。
バチッ!
遂にコードが切れ、部品が弾け飛んだ。
ボゥッ!
左エンジンが火を噴き、黒煙を吐き始めた。
____________何なんだよ!
ここまで来て!
ここまで来て!!
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- 32 : 2015/09/08(火) 15:08:25 :
「エレン・イェーガーのエンジンにトラブルが発生です! セブルバが再びリードを奪いました!」
フォーデの実況にも緊張感が走る。
____________左エンジンの回路から火が噴いてんのか!?
・・・・・・・・・・・・ならッ!!
エレンは咄嗟に左エンジンの回路を落とし、左エンジンからの炎は消えた。
そのままエレンは右エンジンの回路をバイパス。
再点火のために必要なエネルギーを左エンジンに流し込む。
____________頼む!
点け!
点いてくれ!!
ボッ・・・・・・ボッ、ボォッ・・・・・・ボォオォォウッ!!
「っし!!」
右エンジンのエネルギーのみで左エンジンは再点火。
エレンは再びアクセルを踏んでセブルバに急接近した。
「再びセブルバを抜けるか!?」
実況者のフォーデシンビードでさえモニターにくぎ付けになってレースを見守っていた。
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- 33 : 2015/09/09(水) 03:50:58 :
最後の大砂丘海において、エレンとセブルバが再び並走した。
バキッ!
再び体当たりを仕掛けるセブルバ。
もう一度体当たりを仕掛けた、その時。
ガキィッ!
ポッド同士が引っ掛かり、二人は身動きが取れなくなってしまった。
「なんてクレイジーな人間だ! あの子はいったい何者なんだ!?」
フォーデが叫び、会場の興奮は最高潮に達した。
バチバチ!
接触した部分から火花が散る。
____________この火花はセブルバの機体からか!?
なら・・・・・・・・・・・・今だ!!
ボシュウッ!!
エレンは思いっきりアクセルを踏んだ。
「うっ!! わああぁああぁぁぁッ!!」
次の瞬間、セブルバの連結装置が壊れ、二機のブースターエンジンがそれぞれ吹っ飛んだかと思うと、墜落して爆発、炎にくるまれた。
セブルバのポッドはそのまま地面を滑り、岩にぶつかって跳ね上がってから停止した。
「・・・・・・クソッ!!」
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- 34 : 2015/09/09(水) 03:51:38 :
会場から今日一番。
地面を揺るがすばかりの拍手が巻き起こった。
手に持っているあらゆるものを空に投げ、スタンディング・オベーションがいつまでも鳴り響いた。
エレンは手を上げて競技場に飛び込み、そのまま一着でフィニッシュした。
「やったぁッ!! エレン様が勝った!!」
C-3POがご主人様の勝利を喜び、R2も嬉しそうに電子音を発する。
「信じられません!! エレン・イェーガーが一着でゴールです!!」
フォーデとビートがハミングしてエレンの勝利を祝福し、エレンのポッドの周りには黒山の人だかりとなった。
「やった! やったぞ!!」
駆け寄ったエルヴィンがエレンを肩に乗せ、エレンは両腕を上げて喜びを爆発させた。
____________この歴史的まれに見る過酷なレースで、9歳の男の子は伝説となった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 35 : 2015/09/09(水) 03:52:42 :
「おめでとう! エレン!」
「全部あなたのおかげよ、エレン!」
レースの興奮冷めやらぬ控室で、ジャー・ジャーとクリスタは俺の勝利を祝ってくれた。
すると母さんが、かがんで俺の頬にキスをしてきた。
「なっ、やめろよ! いい歳になってさ!」
「ふふ、私はあなたが誇らしいわ、エレン。あなたは全ての奴隷に希望を与えたのよ?」
____________俺もだよ、母さん。
すっかり照れてしまって言葉にこそできなかったが、今この瞬間が、俺にとって本当に誇らしい瞬間だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 36 : 2015/09/09(水) 04:00:30 :
一転してワトーは、人生のどん底に陥っていた。
セブルバに大枚をつぎ込んだ彼は、そのすべてを失ってしまったのだ。
「おいテメエ・・・・・・最初からこうなることが分かっていたな? おかげでこっちは破産してパァだ!」
後ろからやってきたエルヴィンに怒りを顕わにするワトー。
だが、エルヴィンは例の如く涼しい顔で答えた。
「それがギャンブルだ、ワトー。約束通りパーツはメイン・ハンガーへと運んでおいてくれ。それからあの子を貰いに行く。」
「ガキはやらん! あれは・・・・・・フェアな賭けじゃなかった!」
「ならハットに調停をしてもらおうか? 彼らならフェア に解決してくれるだろう。」
遂にワトーは観念して、呟くように言った。
「・・・・・・・・・・・・ガキはやる。」
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- 37 : 2015/09/09(水) 04:12:21 :
パーツを手に入れたエルヴィンとクリスタ、そしてジャー・ジャーの三人は、イオピーに乗せた機材をヌビアンに運び込んでいた。
「よし、これで必要なパーツはそろったな。」
「全く、一時はどうなるかと思って冷や冷やしましたよ、マスター。」
エルヴィンのギャンブルが大当たりして、ほっと胸ををなでおろすアルミン。
「さて、私はもう一度街に戻る。」
「また何か哀れな生き物が増えるんですか? マスター?」
アルミンが少し皮肉っぽく言うと、エルヴィンは少し笑って答えた。
「なに、我々を救ってくれた少年だ。戻るまでにハイパードライブを直しておけ。」
「すぐに終わります、マスター。」
エルヴィンはイオピーに乗って、再び街へと戻っていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 38 : 2015/09/09(水) 05:07:05 :
「よし、エレン。これは君のものだ。」
「えっ!? あのポッド、そんなに高く売れたのか!?」
街へと戻り、エレンを引き取ったエルヴィンは、エレンにポッドを売ったお金を手渡した。
「ただいま! 母さん!」
「あら、お帰り、エレン。どうしたの、この大金?」
「ポッドが高く売れたんだよ! 母さん!」
そう言ってエレンはお金を母に手渡した。
親孝行ができてどこか嬉しそうなエレン。
だが、本当の喜びはここから先に待っていた。
「エレン、君はもう自由だ。」
「えッ!?」
エルヴィンの言葉に目を白黒させるエレン。
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- 39 : 2015/09/09(水) 05:07:48 :
「俺が・・・・・・自由!?」
「ああ、君はもう奴隷じゃない。」
目の前で何かが爆発したかのように、エレンは喜んだ。
「聞いたか!? 俺、自由になれたんだ!!」
「エレン、夢をかなえられるわね。」
対してカルラは、少し寂しそうに答えた。
「エルヴィンさん・・・・・・この子をジェダイに?」
「全ては運命だったのです。偶然では有り得ません。」
「あの宇宙船で俺を連れてってくれるのか!?」
エルヴィンはエレンの前にしゃがみ込み、諭すように話し始めた。
「エレン、ジェダイの訓練は長く厳しい。たとえ上手くいっても、辛い人生が待っている。」
「それでも、俺はずっと夢見てたんだ!」
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- 40 : 2015/09/09(水) 05:08:32 :
すると、母親がエレンに尋ねた。
「エレン・・・・・・どうしてあなたは、ジェダイになりたいと思ったの?」
_________どうして?
それは・・・・・・
それは・・・・・・・・・・・・
「俺がこの世に生まれたからだ!」
エレンは決意をもって真っ直ぐカルラの目を見据えた。
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- 41 : 2015/09/09(水) 05:09:00 :
「よし、時間がない。急いで支度をするんだ。」
エルヴィンにせかされ、自分の部屋へと駆けだそうとするエレン・・・・・・だが、キッチンを出ようとしたところで、エレンはふと振り返った。
「・・・・・・・・・・・・母さんは? 母さんはどうなるんだよ?」
彼はまだ9歳の少年であった。
それ故に、母親との別れがやってくることなど、全く理解していなかった。
いや、意識すらしていなかった。
別れの時はいつか来るが、それが今だとは、全然、考えてもみなかったのだ。
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- 42 : 2015/09/09(水) 05:09:37 :
エルヴィンは冷静に、しかし、幾分か悲しみを滲ませた顔で答えた。
「ワトーが手放さなかった。」
「そんな、母さん・・・・・・。」
今度はカルラがエレンを諭す番であった。
エレンの両肩を掴むと、カルラはしっかりと翡翠色の目を見据えた。
「エレン、私の居場所はここなの。ここにもうあなたの居場所は無いわ。」
「でも・・・・・・。」
「運命は変えられないの。夕日を止められないように。さあ支度しなさい。」
エレンが自分の部屋へと支度しに行くと、カルラはエルヴィンに話しかけた。
「・・・・・・ありがとう、エルヴィンさん。あの子を、自由にしてくれて。」
「息子さんの面倒は私が見ます。約束です。」
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- 43 : 2015/09/09(水) 05:10:17 :
エレンは自分の部屋に入ると、C-3POの電源を入れた。
「おや、どうも、エレン様。」
「聞いてくれよ、3PO。俺、自由になって宇宙に行くことになったんだぜ。」
____________ずっと夢見てたはずなのに、心が弾まない。
何でだよ・・・・・・。
何で・・・・・・。
「それは素晴らしいことです、エレン様! 出来れば私を完成させてくれるとうれしいのですが・・・・・・。」
「・・・・・・お前を完成させられなかったのは心残りだ、3PO。母さんに売らないように言っておくよ。」
「え!? 私を・・・・・・売る!?」
「じゃあな・・・・・・。」
支度を終えたエレンは、3POを誤解させたまま部屋を出ていった。
「そ、そんな・・・・・・。」
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- 44 : 2015/09/09(水) 05:10:47 :
エレンにとって、この日は運命の日であった。
レースに勝利した日。
自由を手に入れた日。
そして・・・・・・母との、別れの日。
エルヴィンに連れられ、カバンを背負ってエレンは家を出た。
息子の小さな背中を、母親は後ろから見つめていた。
ふと、息子が振り返って母親を見る。
エルヴィンは立ち止まり、待っていてくれた。
-
- 45 : 2015/09/09(水) 05:11:26 :
____________母さん!!
息子は駆け寄って、母親に抱き付いた。
母親も息子を思い切り抱きしめた。
「置いていけないよ・・・・・・母さん。」
「エレン・・・・・・。」
また、会えるよな?
あなたの心の声は、何て言っているの?
・・・・・・・・・・・・会いたい・・・・・・会える。
きっと、会えるわ。さあ、勇気をもって。もう振り返っては駄目。
息子はもう振り返らずに、母親のもとを去っていった。
エレンにとって、運命の日。
それは・・・・・・・・・・・・旅立ちの日であった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 46 : 2015/09/09(水) 05:12:17 :
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- 47 : 2015/09/09(水) 05:12:31 :
本日未明に放たれた、三機のプローブドロイド。
そのうちの一機が暗黒卿の元へと戻ってきた。
プローブドロイドの報告を聞くと、モール卿はスピーダー・バイクに跨った。
ブウゥウゥゥゥン・・・・・・
スピーダーが発進し、崖の上を滑り降り、大砂丘海を横切っていく。
_________フォースの乱れを感じる。
異変を感じ取ったエルヴィンは、エレンと共に船を目指して走っていた。
「待ってくれよ! エルヴィンさん! 疲れたよ!」
エレンが息を切らして走る。
その背後に、スピーダーに乗った暗黒卿が近づいていた。
「エレン! 伏せろ!!」
言われるがままに伏せるエレン。
その頭上をスピーダーが通過し、エルヴィンに接近。
ビュウウンッ!
飛び掛かって暗黒卿は赤いライトセイバーを起動。
咄嗟にエルヴィンも緑の光刃を起動して応戦。
「行け! エレン!! 船を出せと伝えろ!!」
ジェダイとシス。
――――――――両者は実に千年ぶりに激突したのである。
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- 48 : 2015/09/09(水) 05:13:08 :
-
バチッ!
謎の襲撃者はエルヴィンに猛攻を仕掛けた。
_________くるくると回り、鋭い攻撃を繰り返す。
このフォームは、フォーム7。
ライトセイバーの中でも最も難しいとされる形。
・・・・・・間違いない。
この襲撃者は、ジェダイの武芸に通じている!
「エルヴィンが襲われています!」
ヌビアンのパイロットが、コクピットに入ってきたアルミンとエレンに向かって叫んだ。
アルミンは、しかし、落ち着いて対処することを心得ていた。
「離陸してくれ。タラップを出したまま、低空飛行をするんだ。」
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- 49 : 2015/09/09(水) 05:14:04 :
ゆっくりと離陸するヌビアン。
アルミンの指示した通り、タラップを出した状態で低空飛行し、エルヴィンに接近。
容赦のない攻撃で、エルヴィンを攻め立てるモール卿。
「ふっ!」
機を見てエルヴィンは飛び上り、頭上を飛んでいたヌビアンのタラップに飛び乗った。
そのまま急上昇していくヌビアン。
モール卿はそれを見送りながら、赤い光刃をしまった。
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- 50 : 2015/09/09(水) 05:15:32 :
「ふうっ!」
尻餅をついて、エルヴィンは緑色の刃をしまった。
アルミンとエレンがすぐにマスターの元に駆け寄り、心配そうに声をかけた。
「大丈夫か!? エルヴィンさん!?」
「何とか・・・・・・。」
「あいつは一体・・・・・・何者なんですか!?」
「分からんが、ジェダイの武芸に、通じていた。」
エルヴィンの息は荒く、どうやら相当体力を消耗したようだった。
――――――――既に60歳を迎え、エルヴィンはもう若くないことを自覚していた。
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- 51 : 2015/09/09(水) 05:16:10 :
「じゃあ、俺たちはどうすりゃいいんだよ!?」
「ふぅ・・・・・・今は辛抱するんだ、エレン・イェーガー。こちらは弟子のアルミン・アルレルトだ。」
エルヴィンに紹介されて、二人は握手を交わした。
「あなたもジェダイなんだね!? よろしく! アルミン!」
アルミンとエルヴィンは顔を見合わせると、フッと笑った。
____________エレン・イェーガーとアルミン・アルレルト。
後に長い時を共に過ごすこととなる親友同士の、ありふれた出会い。
エレンにとって、運命の日。
それはもう一つ・・・・・・・・・・・・出会いの日でもあった。
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- 52 : 2015/09/09(水) 05:18:55 :
- 以上で第4話は終了になります。
次回は銀河共和国首都惑星、コルサント編です。
よろしくお願いします。
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