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エレン「エピソードI」 アルミン「ファントム・メナス」 ② 進撃×スター・ウォーズ
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- 1 : 2015/08/22(土) 17:56:57 :
- 進撃×スター・ウォーズ、エピソードI、ファントム・メナスの第2話です。よろしくお願いします。
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- 2 : 2015/08/22(土) 17:58:35 :
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第2話
侵略
通商連合の巨大な上陸艇が、バトルシップを発し、ナブーの大気圏へと進撃していく。
※上陸艇
http://www.starwars.jp/wiki/images/0/05/C-9979_on_Naboo.jpg
ナブーの首都、シード郊外の森の中に降下した上陸艇からは、大量のバトル・ドロイドを積んだMTTや戦車、スピーダーが展開し、ナブー侵略へ動き始めた。
※MTT
http://www.starwars.jp/wiki/images/b/b1/MTT.jpg
※走行型強襲用戦車
http://www.starwars.jp/wiki/images/9/9d/ArmoredAssaultTank.jpg
戦車の上で、指揮官役のバトル・ドロイドはガンレイ総督とハーコからのホログラム通信を受け取っていた。
「ソウトク、ナブーヘジョウリクシマシタ。」
『気を付けろ、ジェダイが戦艦から姿を消した。潜伏している可能性がある。見つけ次第殺害せよ。』
「リョウカイシマシタ。」
総督の幻影は、ジェダイの脅威を警告すると、その姿を消した。
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- 3 : 2015/08/22(土) 18:01:17 :
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通商連合の兵器が森林を蹂躙し、木という木をなぎ倒して進撃していく。
森にすむ動物たちは、突然天から降りてきた軍隊から逃げ惑っていた。
その中に、こっそりと上陸艇へ潜入していたエルヴィンも、動物たちに紛れて逃走中であった。
すると、エルヴィンの目の前にどう見ても挙動不審なエイリアンが現れた。
「うわ!? わああぁあ!?」
「どけ! どけ!!」
まるで行く手を遮るように現れたそいつと、エルヴィンはめでたく衝突し、二人して地面に転んでしまった。
ただ、ホバーで移動するMTTを何とかやり過ごすことが出来たのは、不幸中の幸いであった。
「ッ・・・・・・。気を付けるんだ、全く。」
マスター・エルヴィンはゆっくりと立ちあがり、少し毒づいてから歩き出した。
すると、そのエイリアンは鬱陶しく付きまとってきた。
少しばかりイライラしながら、エルヴィンは歩く速度を早めた。
「なぜあそこで棒立ちだったんだ? 能なしか!?」
「ミーしゃべれるね!」
「しゃべれるから利口とは限らん。」
「ムーイムーイユーが好きね!」
「ついてくるな。」
「嫌よ、ユー命の恩人ね! ミーはジャー・ジャー・ビンクス! あなたの付き人ね!」
「いらん。」
※ジャー・ジャー・ビンクス
http://www.starwars.jp/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:JarJarBinks.jpg
どうあってもこのエイリアンはついてくるつもりらしい。
やれやれと思っていると、フォースが警告を発した。
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- 4 : 2015/08/22(土) 18:02:21 :
ドゴォオオォォン!
「!! オーノー!!」
遠くから爆発音が聞こえ、ジャー・ジャーは再びパニックになった。
よく見るとアルミンがプラットフォームに乗ったバトル・ドロイド二機に追撃を受けていた。
※単座式兵員空中プラットフォーム
http://www.starwars.jp/wiki/images/3/36/Single_Trooper_Aerial_Platform.jpg
「下がれ!」
エルヴィンはそう言うなり、緑の光刃を抜いた。
バチィッ!
流れるような動作でエルヴィンはレーザーを跳ね返し、プラットフォームに命中、二機のバトル・ドロイドはスクラップになった。
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- 5 : 2015/08/22(土) 18:03:57 :
「ごめんなさい、マスター。助かりました。」
「アルミン、ライトセイバーはどうした?」
「それが・・・・・・。」
命を救われたアルミンは、なんとも申し訳なさそうな様子で、自分のライトセイバーを取り出した。
「水たまりに落としてしまって、ショートしてしまったんです・・・・・・。」
「ふむ・・・・・・防水が完璧ではなかったと・・・・・・そう言うことだね?」
「・・・・・・はい。」
ライトセイバー一つを取ってみても、アルミンはまだ未熟な弟子であった。
そんな様子の弟子を、マスターは諭すように叱責した。
「アルミン、ジェダイにとってライトセイバーとは何だと思う?」
「・・・・・・命です。」
「そうだ。だから我々は落としたり、ましてや壊したりしてはいけないのだ。」
「・・・・・・すみません、マスター。」
アルミンはシュンとして俯いた。
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- 6 : 2015/08/23(日) 18:45:50 :
エルヴィンは落ち込んだアルミンの頭にポンと手を当てると、振り返って呼びかけた。
「おい、もうそろそろ出てきてもいいぞ。」
「ユー二度も恩人ね。」
エルヴィンが呼びかけると、木陰に隠れていたジャー・ジャーがひょこっと姿を現した。
アルミンは如何にも胡散臭い、といった目でジャー・ジャーを見た。
「マスター、こいつは一体!?」
「地元の星人らしい。逃げるぞ。」
「逃げるって!? まだあいつらいるの!?」
二人のジェダイはやはりジャー・ジャーのことは無視して走り出した。
「ちょっと失礼! ここより安全な街あるよ!」
が、ジャー・ジャーのこの発言に、二人はぴたりと足を止めた。
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- 7 : 2015/08/23(日) 18:46:37 :
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「街だと?」
「案内してくれるかい?」
______集落でならシード宮殿への足が拾える。
そう思ったエルヴィンとアルミンが交互に尋ねると、今度はジャー・ジャーが渋い顔をした。
「もち・・・・・・いや、ミー案内できない。追放されたの・・・・・・忘れてた。」
すると、エルヴィンが顔を斜め上にあげてジャー・ジャーに尋ねた。
「聞こえるか?」
ジャー・ジャーが耳をすますと、通商連合の兵器の移動する音がまた遠くから聞こえてきた。
「さっきの奴らが何百何千とやってきているんだ。」
真顔でジャー・ジャーに詰め寄るエルヴィン。
「僕らをバラバラにして、ぷ~って吹き飛ばすつもりなんだよ? 君は街に行くのとバラバラにされるのと、どっちがいい?」
少しにやけた顔で畳みかけるアルミン。
「ん~~~、ユーたちの言うこと分かった。こっちよ! ついて来て!」
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- 8 : 2015/08/24(月) 01:18:58 :
ジャー・ジャーの案内でしばらく森の中を進んでいくと、集落―――――――ではなく、靄のかかった池に辿り着いた。
「マスター・・・・・・こんなところに本当に集落が?」
アルミンが少しづつ心配し始めたところで、ジャー・ジャーが振り返って言った。
「ユーたち、水の中に潜るのよ! 大丈夫!?」
「水の中に都市があるということか。」
「そういうこと! アタタタタ~~~~! ホウホウホウホウ!!」
ジャー・ジャーはそう叫ぶなり、湖の中に飛び込んだ。
__________ジャー・ジャー・ビンクスはグンガン族と呼ばれるエイリアンであり、水陸両生の種族であった。
エルヴィンとアルミンは口に小型の酸素ボンベを挟むと、ゆっくりと池の中にその身を沈め始めた。
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- 9 : 2015/08/24(月) 01:20:22 :
先に泳いでいくジャー・ジャーの後を、二人はゆっくりと泳いで着いていく。
池は思ったよりもはるかに深く、地面の下まで続いていた。
すると、ずっと先のほうに、グンガン族の集落が見え始めた。
__________なんて美しい集落なんだ。
ナブーの地表の下に、こんな場所があったなんて・・・・・・。
まるで、水の中に、沢山のランプを浮かべたように見える球体の集落は、それ自体が一つの芸術といってもよく、特にアルミンの注意を引いた。
グンガン族の水中都市――――――――オート・グンガの球体の一つに、三人は泳いで到達した。
※オート・グンガ
http://www.starwars.jp/wiki/images/9/91/Otoh_Gunga.jpg
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- 10 : 2015/08/25(火) 00:29:53 :
僕らが球体に触れると、まるでそこに水面があるかのように、そこをすり抜けることが出来た。
球体の中は快適で、丁度いい温度と湿度に保たれている。
ジャー・ジャーが懐かしがってやっぱ我が家はいいといっているが、我が家でなくても過ごしやすい場所であった。
さて、ジャー・ジャーは気が付いているだろうか?
__________周りのグンガン人の目線が、本当に痛々しいくらい軽蔑しきったものだということに・・・・・・。
(まぁ、気付いていたらこんなのびのびなんてしてらんないよね・・・・・・。)
そんな目線などお構いなしに背伸びをするジャー・ジャー。
ふと横を見ると、マスター・エルヴィンもやはり、あきれ顔をしていた。
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- 11 : 2015/08/25(火) 00:31:36 :
「止まれ!」
すると、奇妙な動物に乗った灰色のグンガン人が、槍をもって近づいてきた。
「やぁターパルス! ミー戻ってきたよ!」
絶望的に空気の読めないジャー・ジャーは陽気に挨拶を交わし、オート・グンガ警備隊の隊長であるターパルスはがっくりと肩を落としていった。
「またか、ジャー・ジャー・・・・・・ボスのところへ行け! 今度という今度はただでは済まないぞ!」
※ルース・ターパルス
http://www.starwars.jp/wiki/images/7/79/Roos_Tarpals.jpg
いつの間にかジャー・ジャーはカドゥに乗ったグンガンたちに囲まれ、槍を向けられていた。
※カドゥ
http://www.starwars.jp/wiki/images/5/5c/Kaadu.jpg
「シどいわ・・・・・・。」
彼は全くこんな状況なんか想定していなかったのだろう、凄く落ち込んだ様子だ。
__________まったく、少しは自分の置かれている状況を理解してほしいよ・・・・・・。
実害はないにしても、まだ若いジェダイの弟子は、そう思わずにはいられなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 12 : 2015/08/25(火) 02:16:47 :
エルヴィンとアルミンは予想通りというか、グンガン族からまったく歓迎されなかった。
__________まぁ歓迎されないのは予想通りであったものの、今日は特に踏んだり蹴ったりだ。
さて、僕らはグンガンの指導者たちの前に引き出された。
一応客人ということで手錠こそされなかったものの、その扱いはまぁ酷いといえばいいだろうか。
・・・・・・僕らの後ろで罪人として手を縛られているジャー・ジャーに比べれば幾分かマシではあったが。
目の前に座っている五人のグンガン人―――――――彼らがその指導者というわけであるが、その中央に座っている、一際大きな体格をしたグンガン人こそ、グンガン族の指導者、ボス・ナスであった。
※ボス・ナス
http://www.starwars.jp/wiki/images/f/f9/BossNass.jpg
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- 13 : 2015/08/25(火) 02:18:14 :
「チッチッチッチッ、ミーはユーたちを歓迎しない。」
ボス・ナスは如何にも不機嫌そうに舌打ちをしながらしゃべってきた。
エルヴィンはボス・ナスがどう出るか、慎重に言葉を選びながら話し始めた。
「地上では通商連合がドロイド軍を率いてナブーに攻撃を仕掛けようとしています。」
「ナブーの人間がどうなろうと、ミーたちには関係ない。奴らは自分たちがインテリだとのぼせあがってる。」
__________どうやら、人間とグンガン人には確執があるらしいことは見て取れた。
それも、相当根の深いものらしく、少なくとも目の前の大柄なグンガン人が偏見を持っているのは明らかであった。
「お言葉ですが―――――――・・・・・・
アルミンが口を挟む。
「ナブーとあなたたちは運命共同体。ナブーが落とされれば、次はあなたたちの番ですよ?」
「ミーはそうは思わない。奴らはミーたちの存在を知らん。」
__________おまけに相当な頑固者ときた。
これでは、万に一つも説得成功の材料を見込めない。
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- 14 : 2015/08/25(火) 02:19:04 :
マスター・エルヴィンも早々に見切りをつけたらしく、早々にここを立ち去りたいと申し出た。
ボス・ナスのほうもとっとと出て行ってくれとの仰せ。
・・・・・・まったくもって素晴らしい歓待ぶりだったと思う。
「乗り物を使わせていただきたいのですが。」
「ボンゴをくれてやろう。そうだな・・・・・・ナブーへ行く一番の近道は・・・・・・この星のコアを通るルートだ。」
ボス・ナスはにやけながらそう言い、後ろにいたジャー・ジャーは震え上がっていた。
「御助力を感謝します。」
エルヴィンはそう言うと、弟子と共に踵を返した。
「マスター、ボンゴってなんです?」
「・・・・・・多分乗り物だ。」
__________またこれである。
僕のマスターの悪い癖として、出たとこ勝負に出る傾向がある。
勿論マスターなりに勝算があってのことなのだろうが、たまにはそばにいる僕の身にもなって欲しい。
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- 15 : 2015/08/25(火) 02:20:16 :
そんなこんなで、僕たちがここを出ていこうとすると、ジャー・ジャーが突然、こんなことを言いだした。
「ユーたち、騙されてるよ。惑星のコアを通る? 酷い目に合うよ? ・・・・・・案内人がいれば別だろうけど。」
さて、口は禍の元という言葉がある。
「マスター、時間がありませんよ?」
「・・・・・・道案内は必要だろう。」
エルヴィンは再びボス・ナスのほうを振り返り、彼に一言、提案した。
「ジャー・ジャー・ビンクスは私に命の借りがある。ならば彼の命、私たちに託すべきではないだろうか?」
この一言に、ボス・ナスは顔色を変えてジャー・ジャーに問いただした。
「ビンクス! ユーはこの男に命の借りが!?」
「あ、はん!?」
曖昧な返事をして首を縦に振るビンクスに、ボス・ナスはその口をブルブルブルッと震わせてから、吐き捨てるように言った。
「連れていけ!」
__________幸か不幸か、ジャー・ジャーは釈放されたものの、僕らと一緒に危険な惑星ナブーのコアへの旅にご同行願うことになった。
手錠を外されたジャー・ジャーは、しかしというか、案の定というか、こんな文句を口にした。
「冗談じゃないよ、ここで死んだ方がましだった・・・・・・。神様、ミーが一体何をしたっていうの!?」
__________うん、この口の軽さのせいだと僕は思うよ。
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- 16 : 2015/08/25(火) 20:11:34 :
- SW随一の嫌われキャラ、二次創作でも救えないのか…
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- 17 : 2015/08/26(水) 08:39:02 :
- 余りにもドジすぎて報われないジャー・ジャー・・・・・・
でもそこが彼の個性でもありますw
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- 18 : 2015/08/26(水) 09:54:26 :
惑星ナブーは特殊な惑星であった。
太古の歴史を持つこの惑星は、あまりにも古い時間が積み重なり、星の内部は冷え切って水に満たされていた。
ボシュウッ!
オート・グンガの球体の中から、二人のジェダイと一人のグンガン人を乗せたボンゴが飛び出し、水に満たされた惑星の最深部へと飛び出した。
※ボンゴ
http://www.starwars.jp/wiki/images/d/d9/Tribubble_Bongo.jpg
「それにしてもこの惑星は面白いところですね。」
少しづつ目を輝かせているのは、ボンゴの操縦桿を握るアルミンであった。
アルミンも昔は宇宙中を大冒険することに憧れた少年であったし、今でも未知の領域に対する興味は尽きない。
一匹狼のジェダイ・マスター、エルヴィンの影に隠れ、また本人もあまり自覚はしていないが、アルミンもまた一風変わったジェダイであった。
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- 19 : 2015/08/26(水) 09:55:22 :
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(・・・・・・さっきまで心配そうな顔をしていたんだがな。)
マスターであるエルヴィンもアルミンの強い好奇心は抑え込めそうになく、目をキラキラと輝かせるアルミンを持て余し気味だった。
要は、お互い様であったのだ。
実力は申し分なく、最強のジェダイであるリヴァイと引き分けるほどライトセイバーに巧みなエルヴィンではあるが、同時に彼らは他のジェダイから見れば自由奔放で、頭痛の種でもあった。
「・・・・・・それで、どうしてジャー・ジャーは追放されたの?」
「う~~ん、話せば長くなるよ。」
「話してよ、ジャー・ジャー。」
そのせいもあってか、最初こそ無視しがちだったジャー・ジャーと、アルミンは次第に打ち解けていった。
多分お互いはぐれ者同士だからであろう。
__________深くて暗い水中を突き進んでいくボンゴ。
この深い水中世界はまた、厳しい弱肉強食の世界でもあった。
・・・・・・・・・・・・彼らの背後に、巨大な魚の影が近づいていた。
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- 20 : 2015/08/27(木) 00:42:28 :
「―――――・・・・・・それでガス爆発を起こしてしまって、ボスのスーパー・ボンゴおシャカにしてしまったのよ。」
「ドジで故郷を追放? 君、相当だね?」
「そういう事・・・・・・。」
ドゴオォオンッ!
「ワァオッ!?」
ジャー・ジャーが目を飛び出さんばかりに驚くと、三人の乗ったボンゴは、まるで巨大なアンコウのようなオピー・シー・キラーに捕まってしまった。
※オピー・シー・キラー
http://www.starwars.jp/wiki/images/2/22/OpeeSeaKiller.jpg
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- 21 : 2015/08/27(木) 00:43:09 :
「やだああぁああぁ! まだ死にたくない!!」
「マスター! さすがにヤバイですよ!」
ジャー・ジャーが泣き喚き、アルミンが冷や汗をかく中で、マスターは冷静であった。
すると、さらに大きなサンド・アクア・モンスターがオピーを捕食しにかかった。
※サンド・アクア・モンスター
http://www.starwars.jp/wiki/images/1/10/Sand_eats_Opee.jpg
ガブッ!
グアアァァアァァァッ!!
噛みつかれたオピーは悲鳴を上げて口からボンゴを離した。
哀れなオピーはそのまま首をもぎ取られ、その胴体を丸呑みにされてしまった。
「上には上がいる。」
「流石に冷や冷やしましたよ、マスター。」
壮絶な弱肉強食の様子を、エルヴィンは冷静に解説した。
____________なんだかんだで、いざというときには本当に心強い。
それが、僕のマスター・・・・・・・・・・・・エルヴィン・スミスだ。
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- 22 : 2015/08/27(木) 00:52:06 :
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ナブーの大気圏上空に浮かぶバトルシップの中において、総督は侵略の進捗を暗黒卿に報告していた。
「侵略は順調です、閣下。」
『元老院は手続きの中で身動きが取れないようにした。お前たちの支配を受け入れざるを得ないだろう。』
「怖れながら、元老院は女王の味方をすると思いますが・・・・・・。」
すると、暗黒卿はその大きなフードの中に笑みを浮かべた。
『ヒストリア女王はまだ子供だ。彼女を操るなど、造作もない。』
「はい、閣下。」
それきりシディアス卿のホログラム映像は途絶えた。
ややあって、副官のハーコが総督に口を開いた。
「ジェダイが消えたこと、報告していませんよ!?」
「何も報告することなどなかろう。」
――――――――何かにつけ詰めの甘い男、それがヌート・ガンレイである。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 23 : 2015/08/27(木) 02:00:01 :
深海を突き進んでいくボンゴの中で、僕らはなおもジャー・ジャーと話をしていた。
「それで、次はどこいくの?」
「大丈夫だ。フォースが俺たちを導いてくれるからな。」
「へぇ~、あの有名なフォースねぇ・・・・・・・・・・・・ちょっと胡散臭いけど。」
ブウゥウゥゥゥン・・・・・・。
そんなことを言ったバチが当たったのか、ボンゴが急にパワーダウンしてしまった。
「あ・・・・・・止まっちゃいましたね、マスター。」
ケロッというアルミンに対して、ジャー・ジャーはまたしてもパニックに陥った。
アルミンはそんな彼などどこ吹く風で、操縦席のカバーを外してボンゴを修理し始めた。
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- 24 : 2015/08/27(木) 02:00:51 :
「あ~も~ミーしにたくないよぉおぉッ!」
「落ち着け、ジャー・ジャー。大丈夫だ。」
「どうやったら落ち着けるの!? 外にはモンスター! 船はパワーが落ちて! どこが大丈夫なのよ!!」
バチィッ!
ジャー・ジャーがマスターと言い争っている間に、アルミンの修理は完了した。
「よし、パワーが戻ったよ!」
再起動し、ライトが目の前を照らすと、そこに丁度、ワニのような口を持ったコロ・クロー・フィッシュがお目見えした。
※コロ・クロー・フィッシュ
http://www.starwars.jp/wiki/images/6/69/ColoClawFish.jpg
「うわあぁあぁぁぁっ! モンスターも戻ったぁッ!!」
「落ち着け!」
エルヴィンはジャー・ジャーの体に触れ、フォースを流し込んで黙らせた。
「やりすぎですよ! マスター!」
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- 25 : 2015/08/27(木) 02:01:44 :
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アルミンの操縦するボンゴは、そのまま洞窟の中へと飛び込んでいく。
洞窟の中を必死に逃げるボンゴ。
そして、その出口の向こうに、再びサンド・アクア・モンスターが口を開けて姿を現した。
「うわぁッ!!」
間一髪、アルミンが操縦桿を引き下げ、ボンゴは急上昇――――――――サンド・アクア・モンスターを躱した。
そのままサンド・アクア・モンスターは、追ってきたコロ・クロー・フィッシュに齧り付いた。
ギィヤアァアァアァァァッ!!
そのままコロ・クロー・フィッシュも、サンド・アクア・モンスターの餌食となってしまった。
「あ、危なかった・・・・・・。」
「あそこの洞窟の中を進むんだ、アルミン。」
流石にあせってしまったアルミンに対し、正確に指示を出すエルヴィン。
「もう・・・・・・いや・・・・・・。」
一番ビビっていたジャー・ジャーは、半泣き状態でぼそりと呟いた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 26 : 2015/08/27(木) 12:56:45 :
ナブーの大草原の上を、通商連合の軍団が真っ直ぐに横切っていく。
首都シードに入り、ドロイドたちによって次々に捕えていく民衆の姿を、ヒストリアは一人、巨大な窓から心細く見守っていた。
____________力による侵略に、私たちは・・・・・・無力だ。
ドロイド軍がシードに入ってから間もなく、一隻のシャトルが王宮前の広場に降下してきた。
そのシャトルの中から降りてきたのは、ガンレイ総督と副官のハーコであった。
総督を出迎えたドロイドが、開口一番に報告した。
「ソウトク、ジョウオウヲトラエマシタ。」
「うむ、我々の勝利だ。」
それは、無事ヒストリア女王を捕えたという報告であった。
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- 27 : 2015/08/27(木) 12:57:17 :
同時刻。
シード郊外に流れる川の水面に泡がたったかと思うと、バシャアッとボンゴが水中から飛び出した。
「やれやれ、やっと着いたね。」
「この街綺麗ね。ミー気に入ったよ。」
ボンゴのハッチを開け、深呼吸するアルミンとジャー・ジャー。
「さて、これからは隠密行動だな。」
エルヴィンが呼吸を整え、三人はこっそりと、シードの街中へ上陸した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 28 : 2015/08/27(木) 12:57:54 :
「それで、私にどうしろというの?」
ドロイド軍に囲まれ、宮殿から連行されていくヒストリア女王とその側近たち、そして首相であるキッツ・ヴェールマン。
ヒストリアは総督に話しかけられ、素っ気ない態度で応じた。
「この占領が正当なものであるということに同意する協定書にサインしてもらいます。」
「私は決して同意しません。」
「民衆が苦しむ姿を見れば、陛下もお気持ちを変えられるはず。おい!」
「ハイソウトク!」
総督はドロイドを呼び止めると、キャンプ4へとヒストリアを連行するように命じた。
そのままヒストリアたちはナブーの街中を連行されていく。
周りを見ると、民衆も同じように、ドロイドに囲まれ、それぞれの収容所に連行されていた。
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- 29 : 2015/08/27(木) 12:58:30 :
「・・・・・・いましたよ、マスター。」
アルミンが声を殺してエルヴィンに報告する。
三人はこっそりと先回りをして階段を昇り、渡り廊下へと身を潜めた。
エルヴィンとアルミンは顔を見合わせライトセイバーを取り出した。
ヒストリアの一行が渡り廊下の下を通りかかろうとした丁度その時、二人のジェダイが渡り廊下から飛び降りた。
やや遅れて、ジャー・ジャーが何とか飛び降りる。
ビュウウンッ!
二人は光刃を起動し、ドロイドたちに襲い掛かった。
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- 30 : 2015/08/27(木) 12:59:01 :
「やっ!」
アルミンが飛び上がって二体のドロイドの顔面を蹴り飛ばす。
一方のマスター・エルヴィンは冷静に一体ずつドロイドを切り裂き、冷静に納刀。
それから右手を二体のドロイドに対して差し出した。
ゴオオオオ・・・・・・
「グオッ!?」
見えない力に吹き飛ばされ、壁に激突、ドロイドは動かなくなった。
ザシュッ!
ザシュッ!
体をめいいっぱい使って動き回り、敵を斬り裂くアルミン。
「はあっ!」
ドロイド最後の一体の首は、アルミンによってはねられた。
「ワオ・・・・・・ユーたち強いのね。」
戦いの様子を見ていたジャー・ジャーはすっかり感心していた。
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- 31 : 2015/08/28(金) 17:56:23 :
「さて、建物の影へとのがれましょう。」
極めて冷静に、ヒストリア女王を安全な場所へと誘導するマスター・エルヴィン。
建物の陰に隠れたヒストリア女王の一行の内、ヴェールマン首相は突如やってきたジェダイ・マスターに尋ねた。
「あなた方は共和国の特使では!? 交渉はどうなったんです!?」
「交渉はありませんでした。問答無用で私たちを殺そうとしました。」
この言葉に何人かの側近が驚いたようであった。
「ちっ、あの気持ちわりい総督め!」
側近のユミルが思わず毒づいた。
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- 32 : 2015/08/28(金) 17:56:44 :
「とにかく、このことを共和国に伝えなければならないんです。」
「わりいけど、通信不能になっちまったんだ。」
アルミンの進言に、ユミルは皮肉な口調で答えた。
____________どこまでもまずい事態になっている。
マスター・エルヴィンも真剣な顔で女王に進言した。
「それでは陛下、我々はこれからコルサント(共和国首都惑星)に向かいます。そこで元老院に通商連合の非道を訴えるのです!」
「ありがとう・・・・・・でも、私はこの国の民と共に残ります。」
ヒストリアはあくまでも国民と運命を共にする覚悟であった。
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- 33 : 2015/08/28(金) 17:57:32 :
だが、エルヴィンは引き下がらなかった。
「この侵略には何か裏があります。それも、とても巨大な何かが・・・・・・・・・・・・彼らはためらわずあなたの命を奪うでしょう。」
「進むのも、戻るのもその道は困難ということですね・・・・・・クリスタ?」
女王が侍女の一人に声をかけると、その侍女ははっきりと、覚悟しています、と答えた。
「パルパティーン議員にあって、彼の協力を得るのです!」
ヴェールマン首相も進言した。
何人もの助言を得て、女王は、ナブー脱出を決断した。
「脱出なさるなら急がねば・・・・・・船はどこに?」
「ハンガーベイにあります・・・・・・こちらです!」
エルヴィンと女王が言葉を交わすと、脱出のため、ハンガーベイへと向かい始めた。
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- 34 : 2015/08/28(金) 18:22:02 :
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「・・・・・・・・・・・・ちっ、パイロットがたくさんの敵に囲まれてやがる。」
僅かに開いたハンガーベイのドアを覗き込み、舌打ちをしているのは、やはりユミルである。
シード宮殿に隣接すハンガーベイには銀色の流線型をした宇宙船、ヌビアンが停泊しており、そのハッチの下にナブーのパイロットたちは座らされ、周りを大勢のドロイドに囲まれていた。
※ヌビアン
http://www.starwars.jp/wiki/images/4/41/Royal_Starship.jpg
すると、エルヴィンはなんでもないような口調で答えた。
「問題はありません。後は、女王の意志次第です。」
「・・・・・・分かりました。ヴェールマン首相、どうかご無事で。」
「陛下こそ、ご無事を祈っております。」
こうして、エルヴィンとアルミンが先頭に立って、女王の一行は船に向かってゆっくりと歩き始めた。
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- 35 : 2015/08/28(金) 18:22:55 :
ユミルが銃を構えようとすると、アルミンがそれを押しとどめて呟いた。
「僕らに任せてくれ。」
「トマレ!」
数体のバトル・ドロイドが、マスター・エルヴィンの前に立ちはだかった。
「我々は共和国の特使だ。これからコルサントへと行く。」
「ドコニイクダト!?」
「コルサントだ。」
受け答えをしていたドロイドは、自分が持っているデータとエルヴィンの言葉を照合した。
「ダメダ・・・・・・データニナイ。オマエタチヲ、タイホスル!!」
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- 36 : 2015/08/28(金) 18:23:18 :
バチィッ!
突然、エルヴィンが緑の光刃を抜いてドロイドを真っ二つにした。
合わせてアルミンも青の光刃を起動すると、飛び上って両足でドロイドを蹴り倒す。
そのまま着地したアルミンはレーザーを跳ね返してドロイドを破壊していく。
「行くんだッ!!」
アルミンが叫んだのを聞いて、囚われていたパイロットたちが一斉に立ち上がった。
船に乗り込んでいく女王やパイロットたちを護衛するように、二人のジェダイは光刃を振るった。
「はあっ!」
アルミンは軽快に。
「ふんっ!!」
エルヴィンは冷静で力強く。
やがてすべてのドロイドを駆逐し終えると、二人も船に乗り込んだ。
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- 37 : 2015/08/29(土) 03:41:55 :
ドゴオォオォォンッ!
ハンガーベイから飛び出していく、流線型の美しい宇宙船。
やがて宇宙空間まで高度が上昇すると、彼らの行く手に、通商連合のバトルシップが見えた。
「封鎖線だ・・・・・・。」
アルミンがぼそりと呟く。
ドゴォンッ!
ドゴォンッ!
バトルシップから激しいターボレーザーの嵐が降り注ぐ。
激しい火花が、シールドに衝突して花が咲くように飛び散っていく。
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- 38 : 2015/08/29(土) 03:42:29 :
バチィッ!
「!! 被弾しました! シールド発生装置損傷!」
船内に警報が鳴り響く。
ターボレーザーの一撃がシールドを突破し、機体の一部に穴を空けたのだ。
シールド発生装置が壊され、ターボレーザーから船体を守るシールドの出力が低下していく。
別室では、船内の警報を合図に、8体のアストロメク・ドロイドたちが宇宙空間へと飛び出し、被弾した部分の修復にあたりはじめた。
※アストロメク・ドロイド
http://www.starwars.jp/wiki/images/1/1d/Threeartoos.jpg
だが・・・・・・
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- 39 : 2015/08/29(土) 03:42:56 :
「くそ、ドロイドたちが撃たれてやがる。」
モニターを通してユミルの目に飛び込んできたのは、ターボレーザーに撃たれて宇宙の塵と化していくアストロメク・ドロイドたちであった。
そしてついに、8体あったアストロメク・ドロイドは、最後の一体になってしまった。
「シールド消失・・・・・・撃たれたらもう、おしまいです・・・・・・。」
操縦するパイロットが肩を落としていった。
「さすがにこの状況は好ましくないな。」
エルヴィンも思わずつぶやく。
___________この時、誰もが死を覚悟した。
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- 40 : 2015/08/29(土) 03:43:38 :
その時だった。
「!! シールドが直った!?」
目の前で起こった小さな奇跡に、誰もが驚いた。
「あの小さな青いチビドロイドがシールドを直しやがった!!」
そのままヌビアンはエネルギーを前方のシールドに集中させた。
「封鎖線、突破します!」
ターボレーザーの嵐を何とかしのぎ、ヌビアンはナブー脱出を果たしたのである。
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- 41 : 2015/08/29(土) 03:44:18 :
-
ただし、次のトラブルはすぐにやってきた。
「・・・・・・ハイパードライブ損傷、船が持ちません。」
ワープ航法を可能とするハイパードライブが損傷し、コルサントへひとっ飛びすることは出来なくなってしまっていた。
「どこかほかの惑星によって修理する必要があるな。」
エルヴィンが思案顔で呟いた。一刻も早くコルサントへと向かいたいところであるが、こればかりは仕方がなかった。
「マスター、タトゥイーンはどうでしょうか? 通商連合もここまでは入って来れないはずです。」
「おいおい、ジェダイ様よ? そんな根拠がどこにあるんだ?」
訝しげな表情で訊くユミルに、エルヴィンは冷静に答えた。
「ハット族の支配する惑星だからな。」
「おい! あのギャングのハット族か!? 通商連合よりたちわりいじゃねぇかよ!?」
エルヴィンはなおも涼しい顔を崩さなかった。
「確かにその通りだが、ハットは別に女王の命を狙っているわけではない。その点だけを取れば通商連合よりは安全だろう。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 42 : 2015/08/29(土) 04:18:54 :
「それで、女王は占領の協定書にサインをしたのか?」
ヌビアンがナブーを脱出してしばらくたった後、通商連合のバトルシップ内において、ガンレイとハーコが会議室の椅子に座り、同じく椅子に座るシディアス卿のホログラムと会議をしていた。
「それが・・・・・・女王は行方をくらましました。今しがた、ナブーの船が一艘、封鎖線を突破しました。」
ガンレイは恐る恐るシス卿に申し上げた。
シス卿は口元を僅かに歪め、怒りの滲んだ口調で話し出した。
「何としても女王にサインさせるのだ。」
「閣下、船を見つけ出すのは不可能です。走査範囲外へといってしまいました。」
すると、シディアス卿はこれまでにないほど恐ろしく、静かな口調で答えた。
「シスに不可能はない。」
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- 43 : 2015/08/29(土) 04:23:11 :
シディアス卿がそう答えた直後、彼の背後にもう一人の人影が映り込んだ。
シディアス卿と同じく黒いローブを身に纏い、顔中に入れ墨を入れた不気味な男であった。
「彼は私の弟子、ダース・モールだ。」
瞬きを一切しないその不気味な男は、シディアス卿の忠実な弟子―――――――ダース・モール。
※ダース・モール
http://image.space.rakuten.co.jp/lg01/92/0000411792/48/img71037916x3tj17.jpeg
「この男が逃げた女王の行方を探し出す。」
シディアス卿とモール卿のホログラムが消えると、総督と副官は互いに顔を見合わせた。
「何ということだ・・・・・・シスが二人も出てきた!」
「話に乗ったからです。」
____________ヒストリア女王への追手が今、密かに放たれようとしていた。
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- 44 : 2015/08/29(土) 04:25:20 :
- 以上で第2話は終了になります。
上二つが名無しさんになってしまったのはミスですw
次回は惑星タトゥイーン編です。主人公のエレンがやっと登場します。
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- 45 : 2015/08/29(土) 10:03:55 :
- 確かにエレンw
期待です!
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- 46 : 2015/08/29(土) 10:24:24 :
- ルカさん、いつもご期待ありがとうございます!
今作では、エレンはまだ9歳の少年として出す予定ですw
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