このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
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リヴァイ「王の帰還」 ⑥ 進撃×ロード・オブ・ザ・リング
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- 1 : 2015/07/09(木) 00:28:10 :
- 進撃×ロード・オブ・ザ・リング、王の帰還、第9話から第12話です。
よろしくお願いします<m(__)m>
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- 2 : 2015/07/09(木) 00:29:57 :
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大河アンドゥインを渡った大軍が、いよいよミナス・ティリスに迫る。
王都の前に広がるペレンノールの草原には、無数のオークが展開していた。
たくさんの投石機や、壁の上に乗り込むためのやぐらが、巨大なトロルによって押し運ばれ、
味方を鼓舞し、相手を威嚇するための太鼓が鳴り響く。
ゴンドール兵「!!! 門を・・・・・・門を開けてくれ!!!」
門番の兵士の一人が、馬に引きずられて戻ってくる兵士を見つけた。
矢を二本受けて、既に気を失っている。
サシャ「エルド!」
ハンジ「しっかりするんだ!」
慌てて駆け付けた二人が、エルドを急いで担架に乗せた。
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- 3 : 2015/07/09(木) 00:34:04 :
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重体となったエルドは、急ぎ第七環状区、王宮前の庭園まで運ばれた。
ロッド「エルドッ!!!」
凶報を聞いた執政が慌てて王宮から急ぎ足で息子の元へと走ってくる。
ロッド「このわたしの前で死んでくれるなッ!」
膝を折り、息子のそばに執政はしゃがみ、涙を流した。
執政はここに来てようやく本心に気が付いたが、時はすでに遅かった。
ナイル「申し上げます。ペレンノール野に送った味方は・・・・・・全滅致しました。皆・・・・・・討死です。」
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- 4 : 2015/07/09(木) 00:35:08 :
モルドールの軍はそのまま進撃し、遂に都を包囲した。
ゴスモグ「恐怖だ。街は恐怖に包まれている。」
アングマールの魔王の副官にして副総大将、ゴスモグはにやけながら言った。
ゴスモグ「痛みを軽くしてやろう・・・・・・捕虜を送り返せ!」
オーク「放てッ!!!」
投石機から、ミナス・ティリスへとあるものが大量に投げ入れられる。
投げ入れられたもの見た途端、兵や市民は悲鳴を上げ、街は阿鼻叫喚に包まれた。
投げ入れられたのは、オルオやグンタをはじめとする、
オスギリアス守備隊の・・・・・・・・・・・・生首およそ、百個余り。
大軍に囲まれ、生首を投げ入れられ、この世とも思えぬ絶叫が、都中に鳴り響いた。
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- 5 : 2015/07/09(木) 00:36:22 :
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ロッド「私の・・・・・・息子たちは・・・・・・死んだ・・・・・・。」
ふらふらと立ち上がる執政。
ロッド「レイス家の血は・・・・・・途絶えた・・・・・・。」
ロッドのそばに侍していたマルコがエルドに駆け寄る。
マルコ「まだ・・・・・・息がある・・・・・・。」
瀕死の重傷であるが、エルドはまだ息をしていた。
だが、正気を失ったロッドは気が付かなかった。
ロッド「執政の家ももうこれで終わり・・・・・・私の血筋は絶えたのだッ!!!」
そのままロッドは第七環状区の丘の上から、都の外を見渡した。
そこには――――――――都を包囲する、20万にも達するオークの大軍。
ロッド「・・・・・・・・・・・・ローハンは、我らを見捨てた。」
息子たちの相次ぐ死に打ちのめされたロッドは――――・・・・・・
ロッド「ピクシスは・・・・・・この私を裏切ったッ!」
・・・・・・―――――この大軍を見て、遂に発狂した。
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- 6 : 2015/07/09(木) 00:37:20 :
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ドゴオオォオォオオン!
投石機から巨大な岩が放たれ、ミナス・ティリスへの攻撃が開始された。
ゴンドール兵「うわああぁああぁぁぁッ!」
住民「いやあぁああぁぁあぁぁッ!」
降ってくる岩に潰され、鮮血が街に飛び散り、白き街は赤い恐怖に染まっていく。
ロッド「お前たちの任を解くッ!!!」
狂乱のさなかに、ロッドは叫んだ。
ロッド「逃げろッ!!! 逃げて逃げて逃げまくるがいいッ!!!」
発狂した執政が都の防衛を放棄し、ミナス・ティリスは大混乱に陥った。
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- 7 : 2015/07/09(木) 00:38:13 :
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バキッ! ロッド「がッ!」
振り返ったロッドの顔面を、杖で殴ったのはガンダルフ。
ドゴッ! ロッド「ぐふッ!」
ドゴッ! ロッド「がはッ!」
そのままガンダルフは腹を、そして背中を叩いて執政を気絶させた。
ハンジやナイル、サシャ以下ゴンドールの諸将は、唖然としてガンダルフを見つめた。
すると、ガンダルフが叫んだ。
ガンダルフ「何をしておる・・・・・・・・・・・・戦いに備えよッ!!!」
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- 8 : 2015/07/09(木) 00:38:51 :
そのままガンダルフは愛馬、飛蔭に跨り、都中を走り回って叫んだ。
ガンダルフ「戦いに備えよッ!!! 城壁を守れッ!!!」
ハンジ「・・・・・・全員、戦闘準備ッ!!!」
司令官の一人であるハンジも叫んだ。
サシャ「・・・・・・・・・・・・ベルトルトも、グンタも、オルオも、まだこの都に生きています!
ここで敵に敗れたら、私はベルトルトに顔向けできないです!」
ナイル「命を賭して、この都を死守せよッ!!!」
ガンダルフの檄に、ゴンドールの兵たちが息を吹き返した。
各々が戦う気力を取り戻し、
足並み乱れていた兵も整然と整列し直し、
七層ある城壁の上に、一万の兵が立ち並んだ。
ガンダルフが一番外側の城壁の上に立って叫んだ。
ガンダルフ「あの醜いけだものを地獄へと叩き落とせッ!!!」
第9話
ミナス・ティリス攻防戦
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- 9 : 2015/07/09(木) 01:20:32 :
ハンジ「放てッ!!!」
ハンジの合図で、各層の城壁の上に置かれている投石機から岩が放たれた。
ハンジ率いるモブリット、ニファ、ケイジ以下数千の投石部隊が次から次へと岩を放つ。
グシャッ!!!
放たれた岩はオークたちを勢いよく押しつぶし、大地を黒い血で染め上げた。
ゴスモグ「持ち場から動くな。こちらからも岩を投げ返せ。」
少なからず動揺したオークたちに言い聞かせるゴスモグ。
ゴンドール兵「危ないッ!」
ドゴオオォオォオオン!!!
ゴンドール兵「うわああぁああぁぁッ!!!」
オークの大軍も投石機から岩を投げ続け、しばらくは投石と投石で応戦。
数百の兵を押しつぶし、城壁の上に上るためのやぐらをいくつか破壊し、城壁の上の兵を押しつぶす。
最初のこの投石だけで、双方に夥しい数の死者が出た。
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- 10 : 2015/07/09(木) 01:24:42 :
すると、上空から冷気を伴うあの金切り声が谺した。
マルコ「ナズグルだッ!!!」
巨大な翼を持つおぞましい獣に乗ってナズグルたちが来襲。
ナイル「く・・・・・・九人全員で来たのか!?」
巨大な九つの影がミナス・ティリスを襲撃。
たちまちのうちに兵士たちの心を凍らせ、絶望を呼び込んでいく。
グオオォオォォッ!!!
おぞましい獣たちが声を上げてゴンドールの兵士たちを襲撃。
なすすべもなく駆逐されていく。
絶望的なナズグルの金切り声に恐怖を覚えぬものはなく、
その鋭い爪に引き裂かれたものもあれば、
捕まっては持ち上げられ、空高くから落とされて殺された者もいた。
ガンダルフ「怖れるなッ! 最後の一兵まで戦うのじゃッ!!!」
最前線にて兵士たちを必死に鼓舞するガンダルフ。
だが、彼がいくら声を枯らしても、かの恐怖は振り払い切れなかった。
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- 11 : 2015/07/09(木) 13:32:07 :
次にナズグルたちは、投石機を集中的に狙い始めた。
ハンジ「く、ナズグルたちを投石機に近づけるなッ! 撃てッ!!!」
弓による集中砲火も、ナズグルのまき散らす恐怖に妨げられ、中々上手く当たらない。
モブリット「矢が当たりません! 敵が・・・・・・敵が速過ぎます!」
ドゴオォオンッ!!!
ゴンドール兵「ぐああぁああぁぁッ!!!」
ニファ「次から次へ投石機が・・・・・・。」
ケイジ「くそ、どうにかできねえのかよ!」
ハンジの指揮する投石機はなすすべなくナズグルに破壊されていく。
ハンジ「・・・・・・投石機は、諦める。城壁の防衛に全力を注ごう。」
モブリット「部隊長!?」
ハンジ「ナズグルがいる限り、この都の制空権は奴らのもの・・・・・・もう投石は出来ない! サシャの部隊を掩護するッ!」
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- 12 : 2015/07/09(木) 13:33:24 :
王都の一番外側の城壁にて戦う兵士たちの奮闘は凄まじかった。
サシャ「撃てッ!!!」
第一環状区防衛の司令官たるサシャの獅子奮迅たる戦いに鼓舞され、城壁に近づくオークたちを弓矢で一掃、死体の山を築いていた。
ミーナ「部隊長!」
ナック「トロルが・・・・・・やぐらを押してきます!」
ガンダルフ「やぐらを近づけるなッ!!!」
サシャ「トロルを撃てッ! 殺すんやッ!! 一匹残らず射殺すんやッ!!!」
サシャの号令で大量の矢がトロルへと降り注いだ。
やぐらを押してきたトロルたちは次々と死んでいったものの、既にやぐらは城壁の前に到着してしまった。
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- 13 : 2015/07/09(木) 13:34:09 :
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バァンッ!!!
やぐらの上部につけられた跳ね橋が城壁に架けられ、中からオークの大軍が降りてくる。
城壁の上はたちまちのうちに大混戦となった。
サシャ「うおおぉおおぉぉぉッ!」
剣を抜き、次から次へとオークを斬り伏せるサシャ部隊長。
ミリウス「サシャ部隊長を死なせるなッ!!!」
トーマス「おおおぉおぉぉッ!!!」
サシャの部隊数千が、城壁の上にて、オークの大軍たちと激突。
すると、城門の前に動きがみられた。
破城槌を持ったオークたちが、ミナス・ティリスの堅い城門の前に接近。
ドゴォンッ!!!
破城槌を門に突き立て、これを打ち壊し始めた。
サシャ「城門付近の兵は集中砲火ッ!!! 敵に門を破らせるなッ!!!」
サシャの叫び声が響き、城門前にたちまち矢が雨のごとく降り注ぐ。
凄絶な戦いが城門の上と下で繰り広げられ、赤い血と黒い血が交互に飛び散った。
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- 14 : 2015/07/09(木) 14:24:27 :
ガンダルフ「!!! マルコ! ここで何をしておる!? 城壁の中へ戻れッ!!!」
第一環状区の防壁までやってきたマルコをガンダルフが呼び止めた。
マルコ「俺だって・・・・・・戦いに来たんですッ!!!」
バァンッ!!!
丁度その時、二人の前にやぐらの跳ね橋が降り、中のオークたちが殺到。
マルコ「う、うあぁ・・・・・・。」
恐怖にすくんで動けないマルコ。
そこに容赦なくオークたちが駆け寄った。
ガンダルフ「ぬああぁあぁッ!!!」
ガンダルフが飛び掛かり、杖で敵を殴打。
マルコをかばい、青く光るグラムドリングの剣を振るった。
ガンダルフ「ここはホビットの出る幕ではないッ!!!」
左手で杖を振り回し、右手で剣を振るうガンダルフ。
聖者のように白い彼の衣服が、次第にオークの返り血で黒く汚れていく。
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- 15 : 2015/07/09(木) 14:25:08 :
マルコ「!!! 危ないッ!!!」
一匹のオークがガンダルフの背後を突いた。
ドスッ! ガンダルフ「!!!」
驚いて振り返るガンダルフ。
剣を振り上げたオークは・・・・・・
咄嗟に動いたマルコに腹部を貫かれ、そのまま後ろに倒れた。
ガンダルフ「ふふ・・・・・・まことに城の衛兵よ、マルコ・ボット。さあ行け! 早く!!!」
ガンダルフの命を救ったマルコは、そのまま城壁の中へと戻り始めた。
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- 16 : 2015/07/09(木) 14:25:53 :
ドゴオォオン!!!
破城槌でもって門を打ち壊しにかかったオークたちは苦戦していた。
鋼と鉄で出来たこの門の堅牢なることは予想以上で、全く打ち破れる気配がなかったのである。
ゴスモグ「何をしているッ! この役立たずどもッ!!!」
オーク「城門が堅すぎる!」
すると、黒の総大将。アングマールの魔王が飛来。
おぞましい獣から降りると、命令を下した。
魔王「グロンドを使うのだ。」
魔王は初めから、都を攻略せしむるため、この城門を突破するための秘策を用意していた。
総大将の意をくんだゴスモグがその醜く崩れた顔に笑みを浮かべて命じる。
ゴスモグ「狼の頭を持って来い。」
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- 17 : 2015/07/09(木) 14:26:42 :
サシャ「なんや・・・・・・あれ・・・・・・。」
城門の上で指揮を執るサシャが呟くのも無理はなかった。
四角い骨組みだけのやぐらに吊るされているのは、まるで狼のような鉄の塊。
その口は炎を吹きだすがごとく燃え、目からも炎が噴き出している。
グロンドッ!!! グロンドッ!!!
周りのオークたちがしきりに声を上げる。
これぞ、魔王がこの城門を攻略せんがために用意した秘策。
超巨大破城槌”グロンド”は、ミナス・ティリスの城門に向かって進撃を開始した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 18 : 2015/07/09(木) 16:41:00 :
エレン「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
うねうねと続くキリス・ウンゴルの階段をようやく登り切ったエレンとスメアゴルは、その峠の頂上にある洞窟へとやってきた。
スメアゴル「この洞窟を通るのよ、旦那。」
エレン「う・・・・・・何だよ・・・・・・この洞窟・・・・・・。」
思わず鼻を覆うエレン。
これまでもそうであったが、この洞窟の中も、鼻が曲がりそうなほど酷い悪臭が漂っていた。
スメアゴル「でも、この洞窟を進むしか道ないよ。」
エレン「・・・・・・もう、後には引けねぇんだ。」
よろつく足に鞭打ち、進み始めるエレン。
ここを抜ければ漸くモルドール・・・・・・影の国へと辿り着く。
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- 19 : 2015/07/09(木) 16:41:41 :
洞窟の中は暗く、暗く・・・・・・まるで闇がそこで蠢いているかの如くであった。
エレン「おい、どこ行ったんだッ!? スメアゴルッ!!!」
エレン「スメアゴルッ!!!」
いつの間にか、スメアゴルの姿が見えなくなり、暗い洞窟の中には、エレン一人が残された。
エレン「う・・・・・・。」
これまでの疲れが出て、壁を触るエレン。
エレン「うわッ! 何だよこれッ!!!」
触った瞬間、白い糸のようなものが手に纏わりついた。
エレン「どういうことだよ・・・・・・スメアゴルッ!!!」
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- 20 : 2015/07/09(木) 16:42:28 :
あたりを見渡すと、鳥や獣、そして、オークが糸にからめとられ、逆さづりにされている。
この洞窟は、ただの洞窟じゃねぇ。
俺は・・・・・・嵌められたッ!!!
エレン「くそ、アルミンッ! 俺はどうすりゃ――――・・・・・・
何を言ってるんだ、俺は。
もうアルミンとは、袂を分かったっていうのに・・・・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 21 : 2015/07/09(木) 16:43:09 :
――――――――ゲホッ! ゲホッ!
アルミン「・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
漸く意識を取り戻したアルミン。
気絶させられた時のエレンの表情を、僕は見た。
エレンは・・・・・・・・・・・・泣いていた。
僕が指輪に誘惑されたと思って、もう僕と一緒にいられないと思いつめたんだ。
アルミン「・・・・・・・・・・・・どうして、どうして君は・・・・・・一人で何でも、背負うんだ!」
ゆっくりと立ちあがり、階段を見上げてアルミンは叫んだ。
アルミン「エレェェェンッ!!!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 22 : 2015/07/09(木) 16:43:50 :
とにかく洞窟を抜けなければ!
ヤバイ! ヤバイ!! ヤバイヤバイヤバイ!!!
焦りが加わり、出口へと走るエレン。
だが、立ち込める暗黒、極度の疲労がこれを許さず、エレンは倒れ込んだ。
すまない・・・・・・アルミン。
俺は・・・・・・俺は・・・・・・・・・・・・。
エレン「!!!」
倒れ込んだ拍子に、エレンはポケットの中にしまい込んだ贈り物を思い出した。
ロスロリアンの森にて、ガラドリエルから貰った、淡く光る玻璃瓶。
ガラドリエル『最後になりましたが、あなたを想う気持ちが最後であるということではありません。エレン・イェーガー。あなたにはこれを。』
ガラドリエル『あの水鏡を使い、航海者アルミンの星の光を集めました。私たちの大切な星の光です。』
ガラドリエル『たとえあなたの進む道が暗闇で閉ざされたとしても、この玻璃瓶の光があなたを照らし出してくれるでしょう。』
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- 23 : 2015/07/09(木) 16:44:25 :
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咄嗟に玻璃瓶を取り出すエレン。
すると、知りもしないエルフ語が、エレンの口から飛び出した。
エレン<航海者よ! わが道を照らし給え!!!>
次の瞬間、目も眩むほどの光が玻璃瓶から放たれた。
星になった航海者アルミンが身に帯し不滅のシルマリルの光が、洞窟内の暗闇を振り払う。
パキパキ・・・・・・
後ろから不気味な音が蠢いた。
エレンは起き上がり、左手に玻璃瓶をもってそれを照らし出した。
ギヤアァアァアアァァァァッ!!!
照らし出されし怪物。
糸と暗黒とを紡ぐ上古の怪物。
蜘蛛の裂け目 に巣食う超大型の蜘蛛、悪霊シェロブがエレンに襲い掛かった。
第10話
危急 ~シェロブの巣~
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- 24 : 2015/07/09(木) 21:43:42 :
- 効果音の\パァン!/の次にサシャが出てくるとあの場面を想像してしまうww
期待です!
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- 25 : 2015/07/10(金) 18:47:19 :
- 期待ありがとうございます!
サシャの名場面ですからねw
彼女には今後も奮闘してもらう予定です。
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- 26 : 2015/07/10(金) 19:15:32 :
エレン「ぐ、駆逐・・・・・・してやるッ!」
咄嗟に剣を抜き、エレンも応戦。
突き出してくる足を斬りつけ、シェロブは後退。
この隙にエレンは走った。
広い空間から狭い空間へ、シェロブの身動きを出来るだけ狭めるために。
逃げるエレン。
追うシェロブ。
エレンを追い詰めようとしたシェロブは、狭い通路であるにもかかわらずエレンを追撃した。
―――――今だッ!
近づくシェロブにエレンは、眩い光を放つ玻璃瓶をかざした。
ギイィイイィィィッ!!!
聖なる光を宿した玻璃瓶にシェロブは目をやられ、一瞬視界が閉ざされた。
エレン「おらぁッ!」
ザシュッ!
ギャアウゥウゥッ!!!
顔を傷つけられ、シェロブはいったん退いた。
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- 27 : 2015/07/10(金) 19:16:13 :
そのままエレンは逃走に転じ、暗く狭い洞窟からの脱出を試みる。
だが、エレンは追って来るシェロブを意識しすぎるあまり、前を見ていなかった。
エレン「うぁッ!!!」
洞窟に張り巡らされていた蜘蛛の糸に、エレンは絡めとられてしまった。
すると、洞窟の奥から小気味よさそうな歌声が聞こえてきた。
スメアゴル「ま~いごのま~いごのコバエさ~ん♪ どうしてそんなに泣いてるの~♪」
奥から姿を現したスメアゴルは、にやけながら小唄を口ずさみ続けた。
スメアゴル「く~ものいとに~絡まって~♪ 食われるからか。」
エレン「この、裏切りもんがあぁぁぁぁッ!!!」
力の限りエレンが叫ぶと、その後ろからゆっくりとシェロブが近づき始めた。
スメアゴル「!!! う、うわぁッ!!!」
シェロブの姿に恐怖したスメアゴルが逃げ出すと、後にはエレンだけが残された。
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- 28 : 2015/07/10(金) 19:20:45 :
エレン「くそッ! このッ!」
絡まる糸を何とか振りほどこうと必死になるエレン。
何とかつらぬき丸を振り回し、絡まる蜘蛛の糸を切断していく。
エレン「ぐぅ、うおおぉおおおぉッ!!!」
玻璃瓶と剣は残したまま、エレンは何とか糸を振り払い、洞窟の外へと抜け出した。
ガバッ! エレン「なッ!?」
スメアゴル「前は逃したが、今度ばかりは逃がさないよッ!!!」
洞窟から出てきたばかりのエレンを組み伏せるスメアゴル。
バキッ! エレン「がはッ!」
疲れ切っているエレンに容赦なく殴りかかった。
ドゴッ! スメアゴル「ゲホッ!」
エレンは反撃に転じ、スメアゴルの腹部を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされたスメアゴルは仰向けに転倒。
すかさずエレンはスメアゴルを組み伏せ、首を締め上げた。
スメアゴル「げぇ・・・・・・ゲホッ・・・・・・愛・・・しい・・・・・・しとが・・・・・・そうさせるのよ・・・・・・。」
ここに来て見苦しい言い訳を並べるスメアゴル。
エレンは、しかし、スメアゴルの首を絞める手を緩めた。
スメアゴル「ゲホッ! ゲホッ!」
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- 29 : 2015/07/10(金) 19:21:18 :
―――――――見苦しいけど、確かにそうだ。
指輪さえなければ、スメアゴルはこんなにも、歪まなかったんだろうな。
同じく指輪の魔力に苦しめられているだけに、エレンはなおスメアゴルに同情的だった。
エレンは立ち上がると、スメアゴルに言った。
エレン「指輪は・・・・・・葬らなきゃならねぇぞ。それがお前のためでもあるんだよ、スメアゴル。」
踵を返して歩き出すエレン。
ゆっくりと起き上がったスメアゴルは、エレンを睨みつけ、そして飛び掛かった。
ガシッ! エレン「おらあッ!!!」
しかし、今度ばかりはエレンを出し抜けず、そのままスメアゴルは腕を掴まれて投げ飛ばされ、
スメアゴル「うわああぁああぁぁ・・・・・・・・・・・・」
崖を滑り落ちていった。
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- 30 : 2015/07/10(金) 19:44:08 :
エレン「やっと・・・・・・モルドール・・・・・・だ・・・・・・。」
エレンは一人、ぼそりと呟いた。
そう、ひとりで・・・・・・。
とたんにエレンは、めまいに襲われた。
薄れていく意識の中で、エレンは一言、呟いた。
エレン「すまねぇ・・・・・・アルミン・・・・・・。」
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- 31 : 2015/07/10(金) 19:44:57 :
ふと目を覚ますと、そこは見覚えのある森だった。
銀の幹に金の葉・・・・・・マルローン樹の生えるロスロリアンの森。
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- 32 : 2015/07/10(金) 19:45:29 :
エレン「あれ? 俺は・・・・・・モルドールに・・・・・・。」
訝しみながら顔を上げると、目の前に夕刻を捉えたかのような金髪を持つエルフの女性が佇んでいる。
エレン「・・・・・・ガラドリエル?」
ガラドリエル「エレン・・・・・・この任務は、あなたにしか出来ないのです。」
ロスロリアンの奥方はしゃがみこむと、その白い手をエレンに差し出した。
ガラドリエル「さぁ、立ちあがって・・・・・・エレン。」
エレン「俺・・・・・・最後までやり抜くよ!」
差し出された手を掴むエレン。
ガラドリエルはゆっくりと微笑み、そして、
エレンの意識を引っ張り上げた。
エレン「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
再び立ち上がったエレンは、キリス・ウンゴルの切り通された道を、ゆっくりと進み始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 33 : 2015/07/10(金) 21:14:06 :
夕闇に包まれたミナス・ティリスの戦場は、炎と煙に包まれていた。
モルドール軍は火攻めに転じ、藁屑を巻き、火を点けた投石を第一環状区に投げ込んだ。
ガンダルフ「城門を守るのじゃ!」
城門は超巨大破城槌”グロンド”に何度も突き立てられ、そのたびに大地を揺るがすような音が響いた。
ハンジ、ナイル、サシャ以下ゴンドールの諸将も、それぞれ武器を取って門の前に集合する。
いく度も破城槌を突き立てられた城門は、間もなく破られてしまうだろう。
そのことを承知で、兵力を城門の前に集中させ始めたのである。
第11話
超巨大破城槌”グロンド”
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- 34 : 2015/07/10(金) 21:15:00 :
第七環状区の丘の上にて、マルコは戦況を眺めていた。
すると、王宮の扉が開いた。
中からは松明を持った執政が、数人の従者を引き連れて王宮の外へと出てきた。
従者は葬送用の担架を六人がかりで背負っていた。
その上に横たえられているのは・・・・・・
マルコ「まさか・・・・・・そんな・・・・・・。」
執政ロッド・レイスの息子、エルドであった。
自分の目を信じられないマルコは、執政に悟られないよう息を殺して、後をつけはじめた。
静かに従者を引き連れ、ロッドは独り言のようにしゃべり始めた。
ロッド「私は由緒あるレイス家の執政。私はかく生き、今やかく死ぬのだ。」
そのまま執政は王宮の裏へと歩き出し、ラス・ディネンへと降りていく。
ふと執政は足を止め、戦場を見渡した。
絶望と諦観に染まった表情で、ロッド候は呟いた。
ロッド「愚か者は皆逃げる。すみやかな死が望ましいのに・・・・・・。我々は皆死ぬのだ。」
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- 35 : 2015/07/10(金) 21:15:32 :
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沈黙の通り ―――――――王宮の後ろから降った、第六環状区にあるこの場所は、歴代の王が墓所。
香油によって保存された王侯貴族の眠る神聖な場所であった。
墓所の扉を開け中央にある台の上に向かうロッド。
ロッド「我ら親子に墓はいらぬ。香油を用いた永く緩やかな眠りも不要。我らは古代異教徒の王のように火葬でよい。」
ロッドは静かに、従者へ命じた。
ロッド「薪と油を持て。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 36 : 2015/07/10(金) 21:16:19 :
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ドゴォンッ!!!
サシャ「門が・・・・・・軋み始めました。」
ハンジ「もう持たないね。」
ナイル「武器を構えろッ!!!」
ドゴオォオンッ!!!
ひときわ大きな音が響いたかと思うと、門の上部が破られ、グロンドの大きな狼頭が姿を現した。
ミーナ「もう、破られるッ!」
ナック「くそ、いつでもかかって来いよ!」
ナナバ「いよいよだ、気を抜くなよ! 新兵ども!」
ゲルガー「生き残るぞ、お前ら!」
ガンダルフも馬上から檄を飛ばす。
ガンダルフ「お前たちはゴンドールの兵士じゃ! たとえ何が現れようとも、決して退かずに戦うのじゃ!」
狼頭が再度引っ込んだ。
そして、トロルたちに引っ張られた後、勢いよく壊れかけた門に突っ込んできた。
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- 37 : 2015/07/10(金) 21:16:59 :
バアァアァァンッ!!!
遂に城門が破られ、鎧を着こみ、棍棒で武装したトロルたちが殺到。
完全武装した巨人たちが、手当たり次第にゴンドール兵たちをぶっ飛ばし、踏みつぶし、血祭りにあげた。
サシャ「撃てッ!!!」
弓箭部隊を率いるサシャの叫びに呼応して、数百もの矢がトロルたちに降り注ぐ。
何体かの巨人を駆逐するも、後から後から巨人たちはやってきた。
ナイル「前衛部隊は槍を構えろッ!!!」
前衛へと出たナイルが命じ、槍を構えるゴンドールの兵士たち。
門の外で待機していたオークたちが中へと進撃し、城門前は血煙があがる戦場になった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 38 : 2015/07/10(金) 21:23:41 :
- この辺りから進撃のセリフがたくさん出てきてますね!期待です!
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- 39 : 2015/07/11(土) 01:11:54 :
- 期待ありがとうございます!
やっと進撃のセリフを使うことが出来、書いている方も楽しんでますw
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- 40 : 2015/07/11(土) 01:12:03 :
ふらつく足に鞭打ち、精一杯進むエレン。
切り通しの道の奥を見ると、キリス・ウンゴルの見張りの塔が見える。
元々この切り通しと奥にある見張りの塔は、ゴンドールが作ったものであったのだが、
ミナス・イシルを奪われてミナス・モルグルとなってから、この見張りの塔もモルドールのものとなってしまったのだ。
エレン「ちっ、何だよ・・・・・・しっかり見張りがいるじゃねえか。あの裏切り者め・・・・・・。」
毒づきながらも、スメアゴルを憎み切れない自分に腹の立つエレン。
パラパラ・・・・・・
エレン「!!!」
音のした方を見るエレン。
――――――何かいる。
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- 41 : 2015/07/11(土) 01:13:08 :
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エレン「くそ、どこにいやがる!?」
ポタポタ・・・・・・
ドスッ! エレン「うッ! ・・・・・・うぐッ・・・・・・・・・・・・ううぅ・・・・・・。」
エレンは気が付かなった。
洞窟から音もなく抜け出し、切り通しの上を這うように移動してきた巨大な影に。
蜘蛛の悪霊シェロブは、お尻から出る毒針をエレンの腹部に突き刺した。
そのままエレンはシェロブに捕まり、糸でぐるぐる巻きにされ始めた。
その時だった。
エレンの剣と玻璃瓶をもって、アルミンが姿を現した。
アルミン「僕が相手だッ! この化け物めッ!!!」
自分の何倍も大きな相手に勝負を挑むアルミン。
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- 42 : 2015/07/11(土) 01:14:16 :
アルミン「エレンを離せッ!!!」
アルミンが叫ぶと、シェロブは糸で包まれたエレンを地面へと落とし、一直線にアルミンへと襲い掛かった。
アルミン「はあッ!」
つらぬき丸を振り回してアルミンが応戦。
シェロブの繰り出す足を切りつけ、何とか近寄らせないよう必死に剣を振るう。
バキッ! アルミン「うわッ!」
シェロブの足に蹴飛ばされ、アルミンの左手から玻璃瓶が離れた。
すぐさまシェロブは玻璃瓶を蹴飛ばし、アルミンを捕食しにかかる。
何とかアルミンは牙を掴み、捕食を免れるも、そのまま持ち上げられて切り通しの壁に打ち付けられた。
アルミン「がはッ! くッ、このおッ!」
ザクッ! ギャアウゥウゥッ!!!
アルミンが刃を顔に突き立て、シェロブは後退。間合いを測る。
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- 43 : 2015/07/11(土) 01:14:56 :
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暫くの間隙の後、シェロブは再び突撃。
アルミン「うわぁッ!」
壁の上からシェロブの背中を転げ落ちるアルミン。
転げ落ちた後、アルミンはすぐさま体勢を立て直した。
壁の上を伝い、ゆっくりと近づいて間合いを詰めるシェロブ。
アルミン「はぁあッ!」
一歩踏み出し、斬りかかるアルミン。
バキィンッ! アルミン「がはぁッ!」
その一撃はしかし、足に弾かれて、アルミンは吹き飛ばされて倒れ、剣は右手から離れてしまった。
何とか手を伸ばして剣を取ろうとするアルミン。
その剣を、シェロブの足は押さえつけた。
―――――――しまったッ!
ポタタタ・・・・・・
アルミンが仰向けになると、シェロブがお尻から毒針を出した。
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- 44 : 2015/07/11(土) 01:18:03 :
ドスッ!
毒針の一撃を何とか転がって躱すアルミン。
何度も何度も地面に突き刺しては追撃するシェロブ。
―――――――今しかないッ!
思い切ってアルミンは今まで転がった方と反対側に転がる。
追撃の毒針を躱したアルミンは手を伸ばし、遂に剣の柄を取った。
そして・・・・・・・・・・・・
アルミン「うおおぉおおおぉッ!!!」
ドスッ!!!
ギャアアァァァアァァァアアァァァッ!!!
アルミンの突きだした剣が、シェロブの胴体を深々と貫いた。
シェロブは今まで負ったことの無い深手を負い、全身を痙攣させた。
剣を抜いたアルミンは玻璃瓶を拾い上げ、シェロブの目に突き付けた。
ギャアアァアァッ!!! ギャアウゥウゥッ!!!
眩い光に目を焼かれ、深手を負って悶絶したシェロブはそのまま洞窟の中へと駆逐され、二度と日の目を見なかった。
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- 45 : 2015/07/11(土) 11:50:23 :
アルミン「エレェンッ!!!」
シェロブが洞窟へ引っ込むと、アルミンはエレンに駆け寄った。
剣を脇に置き、両手で糸を引っ張り、顔を出させた。
アルミン「そ・・・・・・そんな・・・・・・エレン・・・・・・。」
――――――――死んでる。
今度こそ、間違いなく死んでる。
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- 46 : 2015/07/11(土) 11:51:46 :
アルミン「僕は・・・・・・遅かったんだ・・・・・・。
ねぇエレン・・・・・・目を・・・・・・開けてくれ・・・・・・。
僕を・・・・・・置いて・・・・・・逝かないで・・・・・・。」
顔をエレンの額に押し当て、涙を流すアルミン。
すると、横に置いたエレンの剣が青く光り始めた。
アルミン「!!! オークが・・・・・・近づいてる!」
――――――――もう一刻の猶予もない。
僕は、どうすればいい?
いや、最初から答えは分かっている。
何も捨てることのできないものに、何も変えることは出来ない。
第12話
アルレルトの決断
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- 47 : 2015/07/11(土) 16:03:16 :
ややあって、四人のオークがキリス・ウンゴルの切り通しにやってきた。
ゴルバク「んん~? 何だこりゃ?」
オーク「あ~あ、シェロブのおばばに殺されちまったみてぇだな。」
オーク「顔だけ出してあるみてぇだし、どうやら見捨てられちまったみてぇだな。」
ゴルバク「おだぶつになりゃ用済みってか・・・・・・はっ、どうせエルフの薄情もんの仕業だろうよ。」
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- 48 : 2015/07/11(土) 16:04:05 :
エレンの遺体を前にオークたちがしゃべっているのを、アルミンは岩の影から覗いていた。
―――――――ここは何とか、やり過ごさなければ。
すると、このオークたちのリーダーと思しきオークがしゃべり始めた。
シャグラト「いや、こいつは死んでねぇ。おばばの毒はしびれ毒よ。」
―――――――えっ!?
シャグラト「刺されたら骨を抜かれた魚みてぇにフニャフニャになっちまうのさ。後数時間もすりゃ目が覚める。そしておばばは生き血を啜るってわけさ。新鮮な血はうめぇからな。」
―――――――僕はなんて・・・・・・
シャグラト「こいつを見張りの塔へ連れて行けッ!!!」
―――――――役立たずなんだッ!
シャグラト「くくく、生まれてきたことを後悔させてやるぜ。」
シャグラトの顔に、サディスティックな笑みが浮かんだ。
エレンは糸に包まれたまま、キリス・ウンゴルの見張りの塔へと連行されていった。
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- 49 : 2015/07/11(土) 16:05:33 :
- 以上で第9話から第12話までが終了になります。
戦闘シーンって本当に書くのが難しいです。
次回もよろしくお願いします<m(__)m>
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- 50 : 2015/07/11(土) 21:23:05 :
- 次も頑張って下さい!
期待です!
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