このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
リヴァイ「王の帰還」 ⑤ 進撃×ロード・オブ・ザ・リング
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- 1 : 2015/07/05(日) 00:26:17 :
- 進撃×ロード・オブ・ザ・リング、王の帰還、第8話です。
よろしくお願いします<m(__)m>
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- 2 : 2015/07/05(日) 00:35:02 :
- おう!!頑張ってください( ´∀`)bグッ!応援してますよぉ!!
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- 3 : 2015/07/05(日) 00:43:00 :
- ありがとうございます!
ゆっくりではありますが、頑張りますので、よろしくお願いします<m(__)m>
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- 4 : 2015/07/05(日) 00:54:05 :
馬鍬砦へと集結しつつあるのは、屈強な男たち、精強な騎馬軍。
ローハン全土から、忠義を誓った騎士たちが馳せ参じつつあった。
丘の上から集結しつつある軍勢を見下ろし、ピクシス王は、呟いた。
ピクシス「騎馬兵の数は6千・・・・・・期待した半数じゃな。」
―――――――絶望的な数字だった。
これだけでは到底モルドール軍を駆逐しえない。
そのことを最もよく理解しているのはピクシス自身であった。
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- 5 : 2015/07/05(日) 00:54:49 :
イアン「このままでは我らの敗北は必死。」
そばに居るイアンも呟く。
すると、ピクシスはイアンのほうをむき、微笑んだ。
ピクシス「それでも、やるのじゃよ。元より勝つ望みなくとも、戦わなければ、勝てぬのじゃ。明日の夜明けまで待って、それから出発じゃ。」
このいくさに掛けるピクシスの思いは並々ならぬものがある。
その柔らかい物腰の中に、老将は静かな闘志を燻ぶらせていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 6 : 2015/07/05(日) 00:57:55 :
リヴァイ「ちっ、馬が落ち着かねぇな。」
嘶く馬たちを何とか抑えているローハンの兵たちを見て、リヴァイは呟いた。
まるで、何かを恐れているかのような、目の前にその恐怖があるかのような、そんな馬たちの様子であった。
ライナー「おい、どうしてこんなに落ち着かないんだ?」
アニ「この怯えかた・・・・・・尋常じゃない。」
リヴァイとライナーの問いに、ハンネスが答えた。
ハンネス「あの道のせいさ。」
ハンネスが指さしたほうを見ると、背後に崖を切り通した道があった。
何か禍々しい妖気がそこから放たれており、馬たちを震え上がらせていたのである。
ハンネス「あれは、死者の道ってんだ。あっちに行ったが最後、もうこの世に戻れなくなっちまうのさ。」
第8話
死者の道
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- 7 : 2015/07/05(日) 01:00:40 :
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アニ「死者の・・・・・・道。」
ライナー「何だ、有名な心霊スポットなのか? ふん、ばかばかしい。」
アニ「やれやれ・・・・・・あんたのお気楽思考には恐れ入るね。」
ライナー「何だとッ!?」
ハンネス「おいおい、痴話げんかはよそでやってくれよ。」
ライアニ「「はぁッ!?」」
アニとライナーが喧嘩しているのをよそに、リヴァイは死者の道を見つめていた。
―――――――――その切り通しの道の奥。俺は・・・・・・確かに見た。
緑色にぼんやりと、おぼろげな・・・・・・・・・・・・人の姿を。
ライナー「おい?」
リヴァイ「!!!」
ライナー「なにぼーっとしてんだ?」
リヴァイ「いや・・・・・・・・・・・・何でもない。」
いや、俺は知っている。
この道の奥にある山。そこに巣食う・・・・・・者どもの正体を。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 9 : 2015/07/05(日) 02:15:19 :
リコ「よし、これでいいだろう。」
伯父であるピクシスや、兄イアンを見送りに来ていたリコが、ジャンの鎧を見繕っていた。
鎧を身に纏ったジャンは、ずっと以前から王に仕えてきた騎士であるような気がしてきた。
ジャン「その・・・・・・わりぃな・・・・・・リコ。」
リコ「お前がやるべきは私への感謝ではなく、マルコへの謝罪だろう?」
ジャン「あぁ・・・・・・その通りだ。ここに刀鍛冶はいるんだろ?」
リコ「そうだな、あのテントの中にいるぞ。」
ジャン「この刃を鍛え直してきてもらうとするか・・・・・・めんどくせぇけど、戦いに備えてな。」
そう呟くとジャンは剣を抜き、瞬く星の彼方を見つめた。
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- 10 : 2015/07/05(日) 06:27:19 :
- 死者の道の場面はゾクゾクしますね。リヴァイゴルン頑張れ。途中の投稿失礼しました。
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- 11 : 2015/07/05(日) 09:28:56 :
- いえいえ、コメントありがとうございます。
心温まるコメントは励みになります。
今後ともよろしくお願いいたします<m(__)m>
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- 12 : 2015/07/05(日) 09:29:30 :
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ジャンがリコの元を立ち去っていくと、それを見届けるかのようにイアンが呟いた。
イアン「皮肉なものだな・・・・・・我々ローハンの騎士の中で最も勇敢なものが、斯様に小さな体の持ち主とは。」
焚火の周りに座っているイアンとハンネスは、皮肉な笑いを浮かべた。
一方のリコは、兄とその友人に立ちして不服そうに答えた。
リコ「あいつにはあいつなりの戦う理由がある・・・・・・その体躯のせいで戦えないなんて、戦士としては恥だろう!」
イアン「その体躯が問題なんだ・・・・・・あいつは、この行軍にはきっと耐えられない。」
現実はどこまでも残酷だ。
純粋なジャンの願いを、みじめに踏みにじるのが現実であった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 13 : 2015/07/05(日) 09:31:38 :
――――――リヴァイ・・・・・・。
俺の目の前には今、ペトラが横たわっている。
顔は青白くなり、生気がまるで感じられない。
――――――死ぬ前に・・・・・・・・・・・・あなたに、もう一度・・・・・・。
待て、ペトラ。
俺はここにいるッ! 返事をしろッ!!
――――――会いたかった・・・・・・。
その時、リヴァイの手から、ペトラのネックレスが落ち、
床に当たって、粉々に・・・・・・・・・・・・砕けた。
リヴァイ「はッ!!!」
ローハン兵「リヴァイ殿?」
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- 14 : 2015/07/05(日) 09:32:33 :
飛び起きたリヴァイを心配そうに見つめるローハンの兵士に対し、何でもないと答えて額の汗をぬぐうリヴァイ。
リヴァイ「で、テントの中で寝ていた俺を起こす理由は何だ?」
ローハン兵「客人がおいでです。ピクシス王のテントまでいらしてください。」
こんな真夜中にかと思いつつ、テントの外に出る。
吹いてくる風のとても冷たく、見上げれば星のひどく美しい。
やがて、ピクシスのテントに入ると、王のほかに、黒いフードつきローブを纏った男が椅子に座っているのが見えた。
ピクシス「ふむ、わしは席を、外そうかの。」
ピクシスがテントの外に出ると、その男は立ち上がってフードを取った。
きっちり分けられた金髪に、精悍な顔つき。
リヴァイ「・・・・・・・・・エルヴィン卿か。」
エルヴィン「随分と、久しぶりじゃないか。リヴァイ。」
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- 15 : 2015/07/05(日) 09:33:43 :
会釈をして敬意を示すリヴァイ。
リヴァイが顔を上げると、エルヴィンが静かに話を続けた。
エルヴィン「夕星 の光が弱まっている。」
リヴァイ「!!!」
エルヴィン「サウロンの放つ悪の力に耐えられず、衰弱している。その運命は最早、指輪にかかっているといってもいい。」
リヴァイ「・・・・・・・・・・・・そうか。」
あの夢は・・・・・・・・・・・・お告げというわけか。
エルヴィン「それとリヴァイ。敵に不穏な動きがある。」
リヴァイ「不穏?」
エルヴィン「サウロンは切り札を用意している。大河アンドゥインを遡ってくるウンバールの海賊どもだ。モルドールの軍だけで手一杯なゴンドールに、止めを刺しに来る。」
リヴァイ「ほぅ・・・・・・・・・・・・それで、俺にこいつらを始末しろと?」
エルヴィン「察しが良くて助かる。」
リヴァイ「不可能だ。ローハンの兵は船いくさに長じちゃいねぇ。近道は死者の道だが、そこは誰も通れねぇ場所だ。」
エルヴィン「お前だけでそこを通れ。」
リヴァイ「何!?」
エルヴィン「死者の道の奥、精霊山にいる山の民の亡霊どもを味方につけてみせろ。」
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- 16 : 2015/07/05(日) 09:37:14 :
ゴオオオオオオオ・・・・・・・・・・・・
冷たい夜風がテントの中を吹き抜ける。
エルヴィンの言葉に、怪訝な表情を浮かべるリヴァイ。
リヴァイ「人殺しに・・・・・・裏切り者・・・・・・あのクソ野郎どもを味方にしろと?」
エルヴィン「人殺しでも裏切り者でも、地上最強の軍には違いないだろう。」
リヴァイ「ちっ。」
エルヴィン「それに、ゴンドールの王の呼びかけになら応じるはずだ!」
そう言うと、エルヴィンはマントの中から一振りの剣を取り出した。
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- 17 : 2015/07/05(日) 09:38:02 :
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リヴァイ「!!! その剣は!?」
エルヴィン「アンドゥリル――――――西方の焔。ナルシルの剣を鍛え直したのだ。」
リヴァイ「・・・・・・かつてサウロンの指を切り取りし剣が、今、新たな焔を纏って蘇るということか。」
リヴァイはゆっくりとその煌々と輝く柄を見つめた。
そして、そっと先祖の剣を受け取り、柄を握っては一気に剣を引き抜いた。
その鋭い刀身、まさに焔を宿したるが如くに煌めき、
アンドゥリルの剣は再び赤々と燃え上がった。
エルヴィン「さぁ、ゴンドールの王だけが、彼らを招集できる。さすらい人としての身分は忘れ、生まれついての者となれ、リヴァイ。」
リヴァイに詰め寄るエルヴィン。
最後に一言、彼はエルフ語で呟いた。
エルヴィン<私は、私の希望を、お前に託したのだ。>
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 18 : 2015/07/05(日) 21:47:25 :
- このssは本当に面白いし、見ている人のマナーもいいので最高です!
以前他のssでトリップをつけていなくて荒し扱いされたので…
期待です!
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- 19 : 2015/07/06(月) 00:43:56 :
- いつもコメント&ご期待ありがとうございます。
ルカさんのコメントが、いつも書き続けるモチベーションになっています。
今後も頑張りますのでよろしくお願いします<m(__)m>
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- 20 : 2015/07/06(月) 00:44:49 :
ガシッ!
馬に荷物を括りつけ、出立の準備をするリヴァイ。
リコ「こんな時間に何やってるんだ!?」
出発の準備に驚いたリコが、リヴァイを問いただす。
リコ「みんなお前に頼っているんだぞッ!? そんなお前がこの期に及んで・・・・・・夜逃げ? ふざけるなッ!!!」
リヴァイ「わりいが・・・・・・俺には行かなければならないところがある。」
静かな口調であったが、その中に有無を言わせぬところがあった。
リコはリヴァイの中に、西方の古王国、その偉大な王たちの威厳を垣間見た。
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- 21 : 2015/07/06(月) 00:47:00 :
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リコ「みんなは・・・・・・私は・・・・・・お前を頼っているんだ。」
何とかリヴァイを引き留めたい。
―――――――ヘルム峡谷、そして、その戦いの追悼の宴では打ち明けられなかった想い。
リヴァイ「・・・・・・お前の想いには、応えられない。」
リヴァイは、しかし、少し頭を下げると、リコに背を向け、馬の手綱を引いて歩き始めた。
――――――――私には、リヴァイを、引き留められない。
彼のそばには、私は、いない・・・・・・。
リコ「袖に・・・・・・されることが・・・・・・こんなに・・・・・・きついなんてな。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 22 : 2015/07/06(月) 16:28:40 :
ライナー「おい。一人でどこに行くつもりだ?」
そのままリヴァイが進んでいくと、今度はライナーに呼び止められた。
まるで、お前の考えなんかお見通しなんだよといわんばかりに。
リヴァイ「わりいが、今度ばかりは一緒には行けねぇ。」
ライナー「言いたいことはそれだけか?」
リヴァイ「あっ?」
すると、アニも馬の手綱を引いて出てきた。
アニ「まったく・・・・・・ここまで一緒に旅していて気が付かないとはね。」
リヴァイ「ちっ、気付いてはいる・・・・・・お前らが説得なんか聞きやしねぇ、頑固者だってことくらいはな。」
アニ「心外だね。頑固なのはドワーフのライナーさ。」
ライナー「エルフのお前には言われたくねぇよ。」
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- 23 : 2015/07/06(月) 16:33:07 :
ライナーとアニがフンと鼻を鳴らすと、リヴァイは呆れ気味に言葉を漏らした。
リヴァイ「仕方ねぇ・・・・・・死んでも後悔するなよ。」
すると、二人は笑みを浮かべた。
アニ「愚問だね。後悔なんてあるわけがない。」
ライナー「お前を一人で行かせちまうことのほうが、余程後悔するに決まってるだろ? リヴァイ?」
さも当然のように答える二人。
――――――――まったく俺は、つくづくいい仲間を持ったな。
アニが馬に跨り、ライナーもアニの後ろに跨る。
そして、リヴァイがひとり別の馬に跨って、死者の道へと先導していった。
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- 24 : 2015/07/06(月) 16:35:10 :
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ハンネス「おい、あいつら・・・・・・どこに行くつもりだ?」
切り通しの中へと吸い込まれていく三人を見て、ハンネスが呟いた。
決戦の前夜、リヴァイたちが抜け出したことに、少なからぬ動揺がローハンの兵士の間に広がっていた。
そんな空気を察してか、ピクシス王は穏やかに兵士たちを諭した。
ピクシス「彼らは、重大な選択をしたのじゃよ。丁度わしらが、明日ゴンドールへ向けて進撃を開始するように、のう。」
イアン「信じよう・・・・・・彼らの・・・・・・選択を。」
コニー「何だかよく分かんねぇけど、取り敢えず必要なことなんだよな。」
ハンネス「くく、そうだな・・・・・・よし、お前ら! 明日の出発に向けて今夜はよ~く眠っとけよ!」
ハンネスの一言にローハンの兵士たちは各々テントへと戻り始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 25 : 2015/07/07(火) 15:15:33 :
- これからも頑張って下さい!
期待です!
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- 26 : 2015/07/07(火) 16:08:12 :
- 期待ありがとうございます!
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- 27 : 2015/07/07(火) 16:12:22 :
暗さが和らぎ始め、空が茜色に染まり始める。
出発の日の朝、それを見送るリコは、丘の上から一人、暁を眺めていた。
ピクシス「もう、起きていたのじゃな、リコ。」
後ろから声をかけるピクシス。
ピクシス「思えばお前には沢山の苦労をかけてきたのう。」
リコ「柄にもないことを言われるのですね、伯父上。」
少し微笑んで答えるリコ。
リコは振り返ってピクシスを見た。
その表情はどこか悲しげで、しかし、決意を秘めた表情であった。
ピクシス「ふふふ・・・・・・死にゆくものに情けは不要。わしの後は、イアンが継ぐ。」
両手でリコの頬を包み、ピクシスは自らの額をリコの額を当てた。
ピクシス「お前は兄であるイアンを助け、これから生まれてくる命を育むのじゃ。」
姪への遺言を穏やかに語るピクシス。
それから、王の表情はいくさへと向かう男のそれになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 28 : 2015/07/07(火) 16:14:01 :
やがて日が昇り、ローハンの騎馬軍が動き始めた。
ミナス・ティリス進撃のため、戦士たちがあわただしく動き回っている。
鎧を着こんだピクシスがテントから現れ、愛馬である雪の鬣に跨った。
ピクシス「む、ジャン・・・・・・何をしておる?」
ジャンは彼の背丈に合わせた子馬に跨っていた。
ジャン「戦いの準備に決まってんだろッ!? 俺の親友を見捨てろってのかッ!?」
ピクシスは、しかし、感情を押し殺し、冷然と言い放った。
ピクシス「その馬ではこれからの行軍は無理難題。夜通しかけての大移動にはついてこれんじゃろう。」
ジャン「マルコは・・・・・・戦ってんだぞ・・・・・・。」
ピクシス「・・・・・・二度は言わぬ。」
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- 29 : 2015/07/07(火) 16:15:33 :
そのまま走り去るピクシスを、ただただ見つめるジャン。
ガシッ! ジャン「うおッ!?」
すると、後ろからいきなり体を掴まれ、馬に乗った戦士の前に座らされた。
その素顔は兜のせいで見えないが、ジャンは咄嗟に思い当たった。
ジャン「お、お前は!?」
「黙れ、今の私はデルンヘルムだ・・・・・・お前を戦いへと連れて行ってやる。」
ジャン「・・・・・・恩にきる。」
――――――――マルコのためにも、俺は戦う。
ピクシス「いよいよ時は来たれり! ローハンのつわものたちよ!! ミナス・ティリスへ前進せよッ!!!」
ピクシスの号令一下、イアン、ハンネス、コニー以下6千の騎兵が一斉に、ゴンドールの王都目指して進撃を開始した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 30 : 2015/07/07(火) 21:26:56 :
- 私、ここの場面大好きなんですよ~!
期待!
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- 31 : 2015/07/08(水) 23:00:20 :
- いつもありがとうございます!
ローハンの勇ましくも潔い戦いぶりは、私も大好きです。
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- 32 : 2015/07/08(水) 23:00:31 :
山々に囲まれた道を、二匹の馬が通っていく。
上に乗るは一人の人間。もう一匹にはエルフとドワーフ。
日は既に高く昇り、荒れた道を三人はゆっくりと進んでいた。
アニ「ここら辺にはかつて山の民がいてね。屈強で鳴らした一族だった。
三千年前、彼らはゴンドールの王イシルドゥアに忠誠を誓った。
だが、いざ戦いが起こると、彼らは山へと引きこもった。
イシルドゥアは大いに怒り、彼らに呪いをかけたんだ。」
リヴァイ「それ以来、彼らの魂はこの世に縛り続けられ、今日に至るってわけだ。」
ライナー「ふん、自業自得じゃねえのか?」
アニ「誰もが勇猛果敢に戦えるわけじゃないよ、ライナー。」
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- 33 : 2015/07/08(水) 23:01:30 :
やがて彼らは枯れ林のなかに入っていく。
そして、遂に精霊山の麓――――――――死者の道へと続く洞窟の入り口に辿り着いた。
ライナー「ったく、悪趣味にもほどがあるだろ?」
三人は馬から降りて、入り口の前に立った。
そこには頭蓋骨がいくつか埋め込まれ、まるで入るものを拒むかのごとくにリヴァイたちを見下ろしていた。
ゴオオオオオオオ・・・・・・
ヒヒィィィンッ!!!
リヴァライアニ「「「!!!」」」
洞窟の中から突然に吹き起こる冷たい風。
妖気を孕んだ風に当てられ、馬が恐怖に駆られて逃げ出してしまった。
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- 34 : 2015/07/08(水) 23:02:17 :
リヴァイ「ちっ、進む他に選択肢は・・・・・・ないか。」
そのまま洞窟の中へと進んでいくリヴァイ。
元々幽霊を恐れないエルフのアニも洞窟の中へと入った。
ライナー「聞いたことがあるか・・・・・・エルフが恐れず進んでいくのに、ドワーフが怖気づく? くそ・・・・・・後ろ指を指されるのはごめんだ!」
おっかなびっくり入っていくライナー。
今の今まで幽霊を信じていなかったので、幽霊に対する免疫もないという次第。
洞窟の中は妙にヒンヤリとしていた。
足元には冷気が立ち込め、よく見えない。
それに、歩くたびに何か、ゴリッ! ゴリッ!っと音が鳴った。
アニ「下は見ないほうがいい。」
ライナー「・・・・・・。」
アニ「恐ろしい思いをしたくなければね。」
そんなこと言われれば、気になって仕方がない。
そ~っと下を見て、やはり見なければよかったとすぐに後悔するライナー。
ゴリッ! ゴリッ!
ゴリゴリゴリゴリッ!!!
少し涙目になるライナー。
頭蓋骨を踏む音に恐怖しながら、ライナーはダッシュして洞窟の中を駆け抜けた。
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- 35 : 2015/07/08(水) 23:03:17 :
狭い通路を抜けると、広大な空間に出た。
手前には何か神殿のような建物が鎮座し、部屋の奥は崖となって巨大な穴が開いていた。
『ここに許可もなく立ち入るは誰ぞ・・・・・・。』
谺するのは、煙のようにか細いが、不気味で恐ろしげな声。
次の瞬間、神殿らしい建物の前に、緑色の鈍い光に包まれた人影が現れた。
山の民の王『ここは死者が作りし場所。生者の入るはこれを許さぬ。もう一度問う、お前は誰ぞ?』
リヴァイ「お前が忠節を誓うべきものだ。」
山の民の王『ふはははははははは!』
山の民の王は声をあげて笑った。
その不気味な声に呼応するかのように、洞窟の壁にぼんやりと、鈍く光る緑色の都市が出現。
都市の中からは、大勢の死者の軍勢が現れ、リヴァイたちを取り囲んだ。
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- 36 : 2015/07/08(水) 23:04:40 :
アニ「くッ!」
アニが弓を構え、矢を射るも、その矢は当然ながら、霊の頭をすり抜けただけだった。
山の民の王『わしは誰の命令も聞かん・・・・・・わしらに命令できるのは、イシルドゥアの世継ぎだけだッ!』
そう言うなり山の民の王は剣を振り上げた。
バキィン!
山の民の王『!!! その剣は!?』
亡霊は驚愕した。
本来受け止められるはずのない幽霊の一撃を、リヴァイの剣が止めたのである。
山の民の王『その剣は折れたはずッ!? ぐおおぉおぉおッ!!!』
リヴァイは一気に、その燃えるような剣を亡霊の喉元に突き付けた。
リヴァイ「よく覚えていたじゃねえか、ブタ野郎。」
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- 37 : 2015/07/08(水) 23:05:36 :
そのままリヴァイは霊を突き飛ばし、切先を向けた。
リヴァイ「そうとも、俺は・・・・・・イシルドゥアの末裔だ。これは命令だ。俺と共に戦え。そうすれば、イシルドゥアの誓いは果たされたと見なす。」
ライナー「無駄だろうよ、こいつらには・・・・・・名誉心の持ち合わせなんて、まるでないだろうからな。」
一人つぶやくライナー。
リヴァイは、周りの亡霊たちを見つめ、最後に一言、問うた。
リヴァイ「・・・・・・お前らの選択は、何だ?」
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- 38 : 2015/07/08(水) 23:06:38 :
- 以上で第8話は終了になります。
次回はいよいよミナス・ティリスでの合戦になります。
よろしくお願いします<m(__)m>
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- 39 : 2015/07/10(金) 13:24:18 :
- リヴァイの死者の道もかっこいいですね。アラゴルンにも負けません。引き続きひっそり追いかけさせていただきます。
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- 40 : 2015/07/10(金) 19:13:57 :
- コメントありがとうございます。
ここからクライマックスに向けて、ゆっくりではありますが、物語を書いていきますので、よろしくお願いします<m(__)m>
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