このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
リヴァイ「王の帰還」 ④ 進撃×ロード・オブ・ザ・リング
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- 1 : 2015/06/27(土) 22:08:06 :
- 進撃×ロード・オブ・ザ・リング、王の帰還、第7話です。
よろしくお願いします<m(__)m>
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- 2 : 2015/06/27(土) 22:09:31 :
言葉は、そのまま鵜呑みにしてはいけない。
往々にして、言葉は人を、殺しうる。
悪意のある言葉は、まるで毒のように音もなく染み込んで、
やがては人を蝕んでいく。
素直でない言葉は、茨で編んだ桂冠のように人を傷つけ、
音もなく心を壊していく。
僕らは実体のない心で出来ている。
だからこそ、迷いもすれば、過ちも犯すのだ。
第7話
決別
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- 3 : 2015/06/27(土) 22:14:18 :
- わぁ、期待☆
この間は支援、ありがとうございました。
今作も楽しみにしてます
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- 4 : 2015/06/27(土) 22:44:00 :
- コメントありがとうございます!
ビリジアンさんのssも読まさしていただいていますので、よろしくお願いします<m(__)m>
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- 5 : 2015/06/27(土) 22:44:33 :
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果てしなく続いているキリス・ウンゴルの階段。
上を見ればうねうねと続くこの階段の急なことったらなく、下を見れば恐ろしいミナス・モルグルと、しんどいことこの上ない、苦行のような場所だった。
スメアゴルが一番先に階段を昇り、次にエレン、最後に僕の順番で階段を登っている。
エレン「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
アルミン「頑張るんだ・・・・・・はぁ・・・・・・エレン・・・・・・。」
僕は、エレンが心配でならなかった。
指輪の魔力に冒されて、エレンの心は確実に壊れてきている。
それに、相変わらず僕は警戒していた。
スメアゴルの言動に。
心底信用できないと思っていた。
その目線の先に、エレンの首にかかっている指輪があるのではないか?
いつかスメアゴルは駆逐しなければならない。
そのチャンスを僕はこっそりと窺っていた。
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- 6 : 2015/06/28(日) 11:57:38 :
スメアゴル「さぁ、旦那、頑張るのよ!」
先に登ったスメアゴルが振り返ってエレンを励ます。
チャリッ!
スメアゴル「!!!」
ふとスメアゴルの視界に、鎖で首にかけた指輪が飛び込んできた。
スメアゴル「そうよ、そのまま・・・・・・。」
ゆっくりと手を伸ばすスメアゴル。
アルミン「!!! エレンに近づくなッ!!!」
気が付いたアルミンが剣を抜いて威嚇する。
スメアゴルの手は、しかし、そのままエレンの右腕をつかみ、エレンを引っ張り上げて登るのを助けた。
スメアゴル「わしら旦那を助けたいだけよ! チビのホビットしどいよ!」
アルミン「・・・・・・。」
まだだ・・・・・・裏切りの決定的な証拠がいる。
まだ、待つんだ。
心の中でそう言い聞かせ、剣を納めるアルミン。
すると、スメアゴルはアルミンに聞こえないよう、こっそりエレンにこう吹き込んだ。
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- 7 : 2015/06/28(日) 11:58:15 :
あのチビのホビット、指輪を欲してるよ?
今に自分が指輪を預かるって言い出すよ?
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- 8 : 2015/06/28(日) 11:59:05 :
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エレン「・・・・・・。」
以前のエレンなら、ここで激怒したことだろう。
彼の大切な親友であるアルミンを陥れようとしていることにも気づけたかもしれない。
だが、今のエレンは違った。
エレンは密かに指輪に執着している。いや、指輪に執着させられている。
そしてそのことが、エレンの正常な判断力を狂わせていた。
――――――――毒は、静かにまわり始める。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 9 : 2015/06/28(日) 19:18:04 :
ロッド「それで、お前は死刑になると分かっていて、二人のホビットをモルドールへ行かせたのか?」
エルド「はい。」
ミナス・ティリスの王宮の中で、冷たい言葉が響く。
親子の会話とはおおよそかけ離れたその冷たさに、部屋の奥で侍しているナイルは、いたたまれない思いを抱いていた。
ロッドは俄かに顔をしかめた。
ロッド「この役立たずめが・・・・・・・・・・・・指輪は厳重に保管すべきだった。
人知れず地下に掘った保管庫にな。
いよいよ追い詰められたときに、それを使うべきだったのだ。」
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- 10 : 2015/06/28(日) 19:19:22 :
エルド「指輪は危険なシロモノです。私は、あれをもう見たいとも思いません。」
毅然として反論するエルドに、ロッドは冷笑して答えた。
ロッド「お前の望みは古の王のように慈悲深い人物であることだろう?」
この言葉に、エルドは反論することが出来なかった。
ロッド「兄のベルトルトなら・・・・・・私のことを思って指輪をもたらしてくれただろう。」
エルド「いえ、それは違います。」
ロッド「・・・・・・なんだと?」
エルド「兄は指輪の誘惑に屈して―――――「もう一度言ってみろッ!!!」
エルド「指輪の誘惑に屈し――――――「ベルトルトは私に忠実だったッ!!! 貴様と違ってなッ!!!」
激怒して立ち上がるロッド。
勢い余ったロッドは足が縺れ、執政の椅子に倒れ込んで頭を打った。
ロッド「がッ!」
エルド「!!! 父さんッ!!!」
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- 11 : 2015/06/28(日) 19:20:24 :
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すると、ロッドはゆっくりと立ちあがり、瞳を潤ませて呟いた。
ロッド「我が、息子よ・・・・・・。」
ベルトルトが笑顔でこちらに歩いてくる。
執政は思わず両手をひろげて抱きしめようとした。
ロッド「・・・・・・。」
近づいてくる幻影は消え去り、後にはエルドが残された。
執政の喜びの表情に悲しみが滲んでいき、
やがて絶望と怒りの表情とにすり替わって、彼は唸るように呟いた。
ロッド「下がるがいいッ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 12 : 2015/06/28(日) 21:52:31 :
マルコ「エルドさん・・・・・・。」
執政が私室に立ち去った後、王宮の広間の片隅に俯いて座るエルドに、マルコが声をかけた。
エルド「マルコ・・・・・・だったかな? 良く似合っているじゃないか?」
ゴンドールの衛兵の服を着たマルコは、少し照れくさそうに答えた。
マルコ「これは、ただの、飾りですよ。」
エルド「なら、この服が似合う男にならなきゃな。」
マルコ「えっ!?」
エルド「その服を着ていた男は、とても勇敢な男だったからな。」
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- 13 : 2015/06/28(日) 21:53:14 :
すると、今度はマルコが少し俯いた。
マルコ「俺、怖いんです。これから起こる戦いで、俺の親友が・・・・・・死んでしまいそうで。」
エルドはマルコの前にしゃがみ込んだ。
エルド「誰でもそう思うだろう。愛しい人間が危険に晒されて、不安に思わない人間などいない。
マルコ、そんな時は、自分の心に問いかけてみるといい。」
マルコ「俺の・・・・・・心?」
エルド「君は・・・・・・友人に力になりたいんじゃないのかい?」
マルコ「俺は・・・・・・ジャンを、俺の唯一無二の親友を助けてあげたいです!!!」
エルド「その意気だ。そのジャン君とやらは幸せものだな。君のような友人を持てて。」
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- 14 : 2015/06/28(日) 21:53:58 :
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意気揚々とその場を立ち去っていくマルコに、エルドはかつての自分を重ねていた。
あの服は、父さんが俺のために作ってくれた服だった。
父さんが、かつては確かに俺を愛してくれた唯一の証。
おそろいの服を着た兄貴と、よく競い合っては笑っていた時がひどく懐かしく感じられる。
あの時は父さんも、一見よそよそしい中にそこはかとなく愛情をにじませていた。
どうして父さんは、ここまで心を閉ざしてしまったのだろう?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 15 : 2015/06/28(日) 22:56:40 :
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それからしばらくして、ロッドの御前にマルコが謁見した。
マルコはロッドの前に跪く。
マルコ「ここに我はゴンドールへの忠誠を誓います。死が我を、襲うまで・・・・・・主君の我を、解き放ち給うまで・・・・・・。」
古来より行われてきた忠誠の儀式。
そのけなげな姿に胸をうたれたロッドは、立ち上がって言った。
ロッド「その言葉を私は忘れんぞ。」
ロッド候は右手をマルコの目の前に差し出す。
忠誠の証として、マルコはロッドの差し出した指輪に口づけをした。
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- 16 : 2015/06/28(日) 22:58:07 :
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再び椅子に座り、言葉を続けるロッド。
ロッド「忠誠には愛を、武勇には名誉を、そして、不忠には・・・・・・・・・・・・復讐をもって応じよう。」
睨みつけたその先には、部屋の隅で侍していたエルドがいた。
冷たく射抜くような視線を向けるロッド。
ロッド「ここには私の意を叶える勇猛な武将はおらんのか?
お前の兄が死守したオスギリアスを軽々しく放棄しおって。」
エルド「私にどうしろと?」
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- 17 : 2015/06/28(日) 23:00:19 :
暫く沈黙した後、ロッドは答えた。
ロッド「オスギリアスを奪回するのだ。何の抵抗もなくペレンノール野を敵に蹂躙されることを恥に思うのならな。」
エルド「あそこにはオークの大軍がおります。」
ロッド「いくさに困難はつきものだ。」
酷く冷徹に息子を突き放すロッド。
そんな様子の父に、息子は、今まで心の内に留めていたことを尋ねた。
エルド「父さんは・・・・・・兄と私の立場が逆であったらと思っているのですか?」
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- 18 : 2015/06/28(日) 23:00:55 :
ロッド「そうだ・・・・・・・・・・・・そう思っている。」
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- 19 : 2015/06/28(日) 23:01:30 :
核心的な一言を、俺は聞いた。
俺の中の何かが、この時・・・・・・・・・・・・死んだ。
エルド「亡き兄、ベルトルトに替わり、この私・・・・・・エルドが・・・・・・オスギリアスを・・・・・・奪還・・・・・・致します。
もし私が・・・・・・ここに・・・・・・戻って来られたなら・・・・・・お褒めの言葉を・・・・・・。」
ロッド「それは戻り方による。」
最後までロッドは、冷然と息子を突き放した。
一礼をして、エルドが王宮から退出していく。
マルコは、この親子の様子を、ただただ黙って見ることしか、出来なかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 20 : 2015/06/29(月) 14:44:32 :
キリス・ウンゴルの階段の途中で、僕らは仮眠を取っていた。
といっても、眠っているのはエレンとスメアゴルだけで、僕は横になりながらも起きていた。
何故なら僕は、スメアゴルを――――――――・・・・・・・・・・・・
アルミン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・すぅ・・・・・・」
疲れに負け、アルミンが眠った瞬間に、スメアゴルは目を開けた。
最初からスメアゴルは眠ってなどいなかった。
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- 21 : 2015/06/29(月) 14:45:00 :
二人が目を覚まさないようゆっくりと移するスメアゴル。
こっそりと彼は、アルミンのバックを開けた。
スメアゴル「うえぇえぇぇッ!」
アルミンのバックの中の食料に思わず吐き気を催すスメアゴル。
―――――指輪の魔力で極限にまで捻じ曲げられた彼は、普通の食べ物を受け付けなくなっていた。
その食べ物の中から、携帯用のエルフの焼き菓子、レンバスを取り出すと、細かく砕いてアルミンの胸元にこっそりと振りかける。
そして、アルミンの残りの食料を全て谷の底へと投げ捨てた。
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- 22 : 2015/06/29(月) 14:45:32 :
アルミン「・・・・・・・・・・・・ふあぁあぁ・・・・・・ん? スメアゴル? 何コソコソしているのかな?」
目を覚ましたアルミンが、嫌悪の表情を隠しもせず、スメアゴルに問いかける。
スメアゴル「コソコソ!? コソコソ・・・・・・・・・・・・心優しいホビットだ、その優しさに涙が出るね!」
悪態をついて返すスメアゴルにアルミンはあきれて、僕が悪かったと心のこもらない返事をした。
アルミン「それで、何をしていたのさ?」
スメアゴル「・・・・・・・・・・・・コソコソよ。」
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- 23 : 2015/06/29(月) 14:46:13 :
アルミン「・・・・・・・・・・・・エレン、起きて、食事を取ろう。」
スメアゴルの言葉を無視してエレンを起こすアルミン。
食料を取り出すために、バックを開けた。
アルミン「あれ? 僕の食料がないッ!?」
計算してとっておいたはずの食料が丸ごとなくなっている!?
エレン「はぁ!? どういうことなんだよ!?」
エレンも驚いた様子だ。この旅において、食料がなくなるということは死活問題だからだ。
アルミンにはこの事件の犯人が手に取るように分かった。
そいつを見ると、白々しく頭を掻いている。
アルミン「さて、どういうことか説明してもらおうかな? スメアゴル?」
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- 24 : 2015/06/29(月) 14:46:47 :
これに対し、スメアゴルはさらりと答えた。
スメアゴル「わしら? わしらホビットの食料食べられないよ。」
―――――決まりだね。
スメアゴルは簡単な心理誘導に引っかかった。
何故なら僕は、君が食べたのかとは聞いていないのだから。
勿論、僕はスメアゴルが普通の食べ物を食べられないことを知っていたし、
それを食べていないと誤魔化すのなら、何か隠していることは明白だった。
エレン「おかしいだろ、アルミン? スメアゴルは普通の食いもんを食えねぇんだぞ?」
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- 25 : 2015/06/29(月) 14:47:41 :
―――――えっ!?
どうして気が付かないの?
どう考えてもおかしいのはスメアゴルでしょ!?
幼馴染みの意外な反応に、少しの間僕は動けなかった。
スメアゴル「ちょっと待って・・・・・・。」
スメアゴルの手が、僕の首元に伸びてくる。
そして、知らぬ間についていたパンくずを払った。
パラパラパラ・・・・・・
―――――これは・・・・・・一体!?
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- 26 : 2015/06/29(月) 14:48:14 :
スメアゴル「こいつ、自分で食べたのにわしら責めてるのよ!!!」
アルミン「なっ!?」
スメアゴル「スメアゴルいつも見ていたよ! 旦那の見ていないところで口をもぐもぐ―――――「ふざけるなぁッ!!!」
バキッ! スメアゴル「ぐあぁッ!!!」
瞬間的に血が沸騰し、気が付けば僕はスメアゴルを思いっきり殴っていた。
エレン「止めろッ! アルミン!!!」
アルミンを後ろから羽交い締めにして止めるエレン。
アルミン「どうして止めるんだッ!!! この薄汚いけだものは、僕らを殺そうとしているんだよ!!??」
スメアゴル「嘘よ! スメアゴルは虫も殺せないよ!」
アルミン「ぐッ! この――――「落ち着け、アルミン!!!」
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- 27 : 2015/06/29(月) 14:49:12 :
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エレンに説得され、僕はようやく落ち着きを取り戻した。
アルミン「フー・・・・・・フー・・・・・・ゴメン・・・・・・あんまり腹が・・・・・・立ったものだから・・・・・・。」
エレン「・・・・・・・・・・・・すまねぇ、アルミン。スメアゴルは道案内として必要なんだ。」
アルミン「分かってる・・・・・・でも、無茶はしないでね、エレン。」
エレン「・・・・・・・・・・・・無茶なんか、してねぇよ。」
アルミン「もし、指輪が耐えられないほど重くなったら僕に教えて・・・・・・・・・・・・少しの間だけでも、僕が替ってあげるから。」
―――――あのチビのホビット、指輪を欲してるよ?
―――――今に自分が指輪を預かるって言い出すよ?
―――――少しの間だけでも、僕が替ってあげるから。
―――――僕が替ってあげるから。
―――――替ってあげるから。
エレン「俺に近づくなッ!!!」
ドンッ! アルミン「うわッ!!!」
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- 28 : 2015/06/29(月) 14:51:36 :
いきなり突き飛ばされて、僕は仰向けに転倒した。
驚いてエレンを見ると、不信感と敵意とがないまぜになって、僕を見下ろしていた。
すると、スメアゴルはエレンに擦り寄り、呟いた。
スメアゴル「ね? 言った通りでしょ?」
この時僕は、スメアゴルに陥れられたことに気が付いた。
でも、気が付いた時にはもう遅かった。
ゴスッ! アルミン「がはぁッ!!!」
みぞおちをエレンに思いきり殴られ、意識が遠のいていく。
薄れていく意識の中で、エレンが呟くのを、僕は聞いた。
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- 29 : 2015/06/29(月) 14:52:10 :
ここでお別れだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんな、アルミン。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 30 : 2015/06/30(火) 02:11:34 :
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静かにミナス・ティリスの街を下っていくのは、鎧を着こみ、馬に跨った勇敢なる戦士たち。
誰の顔にも笑顔はなく、
誰の顔にも希望はなく、
その目は悲壮感を湛えている。
道の両脇には、兵士たちや住民たちが集まっている。
彼らの行く末に何が待っているのか、ここに集まった全員が理解していた。
そっと住人たちは花を道へと手向け、
またある住人は戦士たちに直接花を手渡している。
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- 31 : 2015/06/30(火) 02:13:29 :
サシャ「エルドッ!!! グンタッ!!!」
精一杯声を上げて、先頭を行く戦士たちに声をかけるサシャ。
エルド「サシャか・・・・・・・・・・・・。」
躊躇いがちに声をかけるエルド。
今日まで一緒に戦ってきた同期の一人。
かける言葉が、見つからない。
だからエルドは、サシャに一瞥することもなく、真っ直ぐ馬を進めた。
サシャ「命を無駄にしないでくださいッ!!! 行っちゃ・・・・・・行っちゃダメですッ!!!」
グンタ「」
エルド「門を・・・・・・・・・・・・開けてくれ。」
サシャ「嫌ですッ!!!」
ミナス・ティリスの城門の前で、城門を任された指揮官は開門を拒否した。
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- 32 : 2015/06/30(火) 02:14:13 :
ガンダルフ「エルドッ!!!」
急いだ様子でガンダルフもエルドを追ってきた。
ガンダルフ「サシャの言うとうりじゃ。ロッド候は正気を失われている。」
エルドは、しかし、二人を見ることなく、城門の衛兵に命じた。
エルド「大将としての命令だ! 開門しろッ!!!」
ギギギギギギ・・・・・・
ゆっくりと城門が開き始めた。
エルドは、日ごろ可愛がっていた戦士たち、およそ百騎余りを引き連れ、城門から外へと歩みを進める。
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- 33 : 2015/06/30(火) 02:14:47 :
どうあってもエルドの意志を変えられない。
そう悟ったガンダルフは、エルドに向かって、叫んだ。
ガンダルフ「ロッド候はそなたを愛しておられるッ!!! 最後には気が付かれるはずじゃッ!!!」
ギイイイイ・・・・・・バタン
サシャ「いやああぁああぁぁッ!」
扉が閉まる音と、サシャの悲鳴。
終わらない悪夢の、これはまだ始まり。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 34 : 2015/06/30(火) 02:15:44 :
ロッド「お前は・・・・・・・・・・・・歌が歌えるのか?」
広い宮廷の中でロッドは、そばに侍しているマルコに尋ねた。
目の前の冷たい親子のやり取りに打ちのめされているうちに、気が付けば宮廷の中にはロッドとマルコしかいなかった。
マルコ「私の歌は・・・・・・・・・・・・酒宴の席にこそふさわしい、下賤な歌。とてもこの宮廷で歌うには畏れ多いです。」
ロッド「私の宮廷にはふさわしいはずだ・・・・・・・・・・・・歌え。」
息を吸い込み、呼吸を整える。
暫く時間を置いたのち、マルコは歌い始めた。
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- 35 : 2015/06/30(火) 02:16:32 :
故郷ははるか遠く、広い世界が目の前に
そしてたどるべき 多くの道がある。
影をくぐり抜けて 夜の淵まで行こう。
輝く星が空を覆い尽くすまで。
濃い霧とゆれる影、流れる雲と深い闇
すべてのものはうつろう。
すべてのものは、やがて・・・・・・・・・・・・うつろう。
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- 36 : 2015/06/30(火) 02:18:01 :
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それは、旅立つエルドへの、手向けの歌であった。
歌っているマルコの頬に、一滴の涙が、静かに流れていった。
サシャが号泣し、
ハンジが部屋の窓から外を眺め、
ナイルは部屋に佇んだままグラスを傾け、
そして、ガンダルフはひとり、外のベンチに無言で鎮座する。
――――――――――鐘の音が、ミナス・ティリスの街に、小さく鳴り響いた。
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- 37 : 2015/06/30(火) 02:52:02 :
- 以上で第7話が終了になります。
次はリヴァイ・アニ・ライナー・ジャンの視点から始めます。
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- 38 : 2015/07/01(水) 21:00:06 :
- 追い付きました~ゼェゼエ
期待です!
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- 39 : 2015/07/02(木) 19:53:00 :
- コメントありがとうございます。
頑張りますので次回もよろしくお願いします<m(__)m>
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- 40 : 2015/07/02(木) 21:30:09 :
- はい!頑張ってください!!
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- 41 : 2015/07/02(木) 21:30:34 :
- というか画像のガンダルフが変わってるww
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