チルノ「あたいは馬鹿だから」
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- 1 : 2015/06/29(月) 19:14:29 :
- どうも。こんかいはチルノちゃんが主役のSSです。
原作の設定と違うところがあるかもしれませんが、温かく見守って下さると嬉しいです。
では!ゆっくりどうぞ!
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- 2 : 2015/06/29(月) 19:28:50 :
- ここはお花畑
赤、黄、緑、青、ピンク
綺麗なお花が色とりどりに風に揺さぶられている
今日もあたいはそのお花畑の真ん中に立つお墓の前にいた
左手に自分で調べて気に入った『ヘリクリサム』というお花を持って
「今日はね、ルーミアが人間を探すぞー!っていって幻想郷中を駆けずり回ったんだよね。結局見つからなくて咲夜にケーキをご馳走してもらったんだけどね」
あたいはお墓に話しかける
「そこにあんたがいたら一緒に探して…そっか、あなたがいたと『かてい』して話すのは禁止だったよね。そんなことより、あたい、かてい、とか駆けずり回った、とか難しい言葉使えるようになったでしょ?凄いよね」
話し掛け続ける
「…今日はあなたが死んで3年目の日だよ」
あたいはそう言って
少し過去のことを思い出しちゃって
泣いちゃって
お墓の前で泣き崩れた
霧雨魔理沙、と掘られたお墓の前で。
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- 3 : 2015/06/29(月) 19:47:09 :
- これからあたいがお話するのは20年くらい前のお話
魔理沙とか霊夢とか咲夜は結構年をとってた。40歳くらいかな、よく分からないけど
そんな時、事件は起こった
――――――――――――――
チルノ「魔理沙が倒れた?!」
大妖精「そうなの!だから早く!」
突然聞かされたある報せ。これには最強のあたいも驚いたよ
〜紅魔館・咲夜の部屋〜
チルノ「魔理沙が倒れたって本当?!」
あたいは勢い良く、バァン!とドアを開けた。いつもなら咲夜に怒られるけれどそれどころじゃない
霊夢「大妖精、伝えてくれたのね。お疲れ様…魔理沙が倒れたということだけど…
本当の話よ」
頭を殴られたような、グワングワンというような衝撃があたいを襲った
思わずその場にしゃがみこんでしまった
大妖精「チルノちゃん、大丈夫…?」
大ちゃんがあたいの顔を覗き込みながら心配そうに聞いてくる
チルノ「う、うん大丈夫…」ヨロヨロ
何とか立ち上がったところでまたドアが開く
そこにいたのは紫のうさぎさんと赤と青の服を着てみつあみをしている人達
永琳と優曇華だ
永琳「魔理沙が倒れたんですってね。いろいろ調べていたのだけれど…」
少し言いにくそうに視線をそらす永琳
優曇華「…お師匠様」
優曇華が永琳と視線を合わせてコクン、と頷く
言う覚悟を決めたように永琳は息を吸う
そして言葉を一つ一つ噛み締めるようにして吐き出してゆく
永琳「恐らく…いや、ほぼ確実に
魔理沙は死ぬわ」
?!
その場にいた全員が泣き崩れたり、唇を噛み締めたり、硬直したり…
魔理沙の死を悲しんでいた
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- 4 : 2015/06/29(月) 21:53:34 :
- アリス/咲夜「…何か、なにか方法は無いのですか」
今まで黙っていたふたりが言葉を絞り出す
永琳「…貴方たちが一番知っているはずよ。『幻想郷は全てを受け入れる』のよ」
永琳は悲しそうにうつむいてそう告げた
そう、さっき永琳が言ったように『幻想郷は全てを受け入れる』のである
死も生も出会いも別れも…全てを受け入れる
だから、妖怪や妖精よりはるかに寿命の短い「人間」を死ぬことも受け入れてしまう
優曇華「魔理沙は…魔理沙はいつも無茶して無邪気な子供みたいに振舞って…その分裏では抱え込んでて。それが寿命が普通の人間より短くなった原因かしら」
チルノ「でも、魔理沙はまほーつかいじゃないの?」
そうだよ、魔理沙は魔法使い。なのになんでパチュリーやアリスとかが残っているのに魔理沙が死ぬのだ、それが疑問だった
霊夢「あのね、魔理沙は魔法使いじゃなくて『魔法を使えるようになった人間』なのよ。わかりやすくいうとアリスやパチュリーは生まれた頃から魔法使いなの。でも魔理沙は違う。人間が魔法を覚え、魔法を使えるようになった、ということよ」
そこまで聞いて、あたいはわかってしまった
魔理沙が死ぬ事実は変えられないのだと
どれだけ足掻こうが泣き叫ぼうが運命は変わらない
例えレミリアの能力や早苗の能力を使っても、無理だ
もう嫌だ。何も出来ない自分が嫌だ
もう、頭がぐちゃぐちゃになって言葉も出なくなって…
チルノ「もう、もう分かんないよ…」
皆「「「…?」」」
あたいは自分の気持ちを全部吐き出す
チルノ「もう分かんないよ!何で?なんで死んじゃうの?!魔理沙は死ぬ、それが変えられないのは分かってるけど…けど!」
ボロボロと涙をこぼしながら
気持ちを吐き出してゆく
チルノ「もう嫌だよ!人間の死を見るだけなんて…
もうやだ!」
そう言ってあたいはおもむろに駆け出した
今思えば何であんなことしちゃったんだろうと不思議になる
でもあの時のあたいは同使用もない気持ちでいっぱいだったのであろう
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- 5 : 2015/06/30(火) 21:44:39 :
- チルノ「ヒクッ…ウェッグ…」
あたいは魔理沙の家で泣いていた
まだ魔理沙の匂いが残ってて
魔理沙の温かみが残ってて
…魔理沙が生きた痕跡が残った、この家
部屋のなかを見回すとみんなとの思い出が詰まっていた
霊夢と写った写真、アリスからもらったクッキー、咲夜と一緒に作ったマフラー。それと…あたいと一緒に捕まえたカエル
それらの物が全て机の上に置きっぱなしになっていた
チルノ「…なんで、こんなことしたの」
誰に問うこともなく、誰からの返事もない
チルノ「魔理沙の代わりにあたいが死ねばよかったのに」
声はただ虚空に消えてゆく
チルノ「なんで!なんでなんで!なんでなの!!?」
あたいは壁を殴った、壁はびくともせずずっと立ち尽くしている
チルノ「魔理沙は悪いこともいっぱいした!物を盗んだり!悪いことした!でも…でもでも!その分、いやそれ以上温かみをくれた!」
バタン!ガタン!
あたいが暴れて…魔理沙の家のものが沢山落ちる
チルノ「なんで!なんであたいは!魔理沙になんにも返してない…」
本棚の前に立ち止まる
本棚から落ちた本。パチュリーの図書館から盗んだ本だった
その本の上に雫が落ちる
ひとつ、ふたつ、みっつ
チルノ「…〜〜〜〜!!」
声にならないうめき声をあげて暴れ回る
そんな時、ドアが開いた
出てきたのは見覚えのある緑色の髪
大ちゃんだ
大妖精「チルノちゃん、もうやめなさい」
大ちゃんは冷静にさみしそうな目であたいを見た
けれど…あたいは暴れることをやめなかった
大ちゃんに疑問をぶつける、あたいはあの時必死だったんだ
チルノ「なんで!なんでなんでなんで?!魔理沙!なんで死んじゃうの?!なんでなの?!こんなことならあたいが!」
言葉を言い終わらない内に、
パチン!
と、音がした
気づいたら大ちゃんは手を出してて、あたいは殴られたんだとすぐにわかった
しばらく立ち尽くした
最初に言葉を出したのは大ちゃんだった
大妖精「なんでなんでって…それが、死、なんだよ、チルノちゃん。たとえチルノちゃんが暴れようが足掻こうが泣き叫ぼうが死にようが…その運命は
変えられないんだ」
そう言って、大ちゃんは笑っていた
あたいが見たことないくらい冷たく、冷たく笑っていた
チルノ「なんで…なんで大ちゃんは分かってくれないの?!魔理沙は死ぬんだよ?!なんで…そう、簡単にそんな事言うの?!大ちゃんなんて…
大ちゃんなんて嫌いだ!」
あたいはそう言い捨てて飛んだんだ
これが大ちゃんと初めての『喧嘩』だった
――――――――――
大妖精「…魔理沙さんのお部屋、片付けないと」
???「チルノに、チルノにあんな事言ってよかったのかよ」
大妖精「ち、ちょっと!来ちゃダメですよ!寝てないと!!」
???「質問に答えればすぐ帰るから、早く答えてくれ」
大妖精「…いいんです。チルノちゃんなら意味がわかりますよ。なんたってあの子はおバカさんなんですから」
???「おいおい、馬鹿なら尚更わからないんじゃないのかよ」ケラケラ
大妖精「おバカさん、おバカさんなんだけどあの子には何か、すごい才能が眠ってるんです。勇敢で明るくて人を元気にできるけど自分を大切にしない、そんな、あなたと似たおバカさんですよ」
???「はは、言われちゃったな…何も言えないぜ」
大妖精「とりあえず早く部屋に戻りましょ?チルノちゃんのことは大丈夫ですから。霊夢さんやアリスさんにキツいお叱りを受けますよ?」
???「そうだな、お叱りは勘弁だぜ…」
…チルノちゃん、ごめんね、あんな事言っちゃって
でもね、魔理沙さんは、きっと凄く幸せだと思うよ
私はそんなことを思いながら少し薄暗くなった空を見上げていた
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