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ピクシス「二つの塔」 ④ 進撃×ロード・オブ・ザ・リング
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- 1 : 2015/05/31(日) 07:16:59 :
- 進撃×ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 第5話、第6話です。
http://www.ssnote.net/series/2278
よろしくお願いします<m(__)m>
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- 2 : 2015/05/31(日) 07:20:23 :
さて、いよいよ着いたよ・・・・・・。
ここが、モルドールの・・・・・・。
黒門よ。
第5話
黒門不通
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- 3 : 2015/05/31(日) 07:20:56 :
ゴラム「う・・・・・・ううううう・・・・・・。」
ただ見ただけで、ゴラムは頭を抱えてうずくまった。
見ることだに恐ろしい。
両脇にはナルホストとカルホストと呼ばれる二つの尖塔を備え、地上から突き出た歯のように鋭い。
門の上には無数のオーク。侵入者がいないかを常時監視している。
黒塗りの鋭い鉄の歯で覆われた門。これぞまさに、モルドールの黒門である。
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- 4 : 2015/05/31(日) 07:21:55 :
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いうなればここは、モルドールへの入り口に過ぎない。
ただの入り口・・・・・・それだけなのに。
少し離れた崖の上から覗いているエレンとアルミンは、そのあまりの禍々しさに、完全に気圧されていた。
アルミン「信じられないよ・・・・・・こんなに禍々しい場所、他にある?」
はっきりと恐怖の色を浮かべ、エレンを見つめるアルミン。
エレン「思い浮かばねぇな・・・・・・こんなに恐ろしい場所なんてよぉ。」
エレンもまた、その瞳に恐怖を宿していた。
それほどまでに、この黒門から放たれる邪気は、尋常ならざるものがあった。
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- 5 : 2015/05/31(日) 15:09:25 :
- 期待です!
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- 6 : 2015/05/31(日) 20:15:35 :
- ご期待ありがとうございます!
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- 7 : 2015/05/31(日) 20:22:21 :
しばらく二人で黒門を、そこから動けなくなったかのように眺めていると、遠くのほうから角笛の音が聞こえてきた。
聞こえてきた方を見下ろすと、黒門へ向かう一団がエレンとアルミンの目に入った。
エレン「人間の軍団?」
アルミン「サウロンに従う人間もいるってことかな。」
サウロンの元に下った人間の種族の一つ――――――東夷。
古の時代から大魔王モルゴス、時代が変わると冥王サウロンに従ってきたこの人間たちは、今度の戦いでもサウロンの召し出しに応じた。
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- 8 : 2015/05/31(日) 20:23:17 :
赤い衣と鈍く光る金色の鎧を着こんだ重装歩兵の集団が門に近づくと、黒門が唸るような音を立て始め、左扉だけがわずかに開き始める。
アルミン「!!! 見てッ! 左扉がッ!」
もっと様子を窺おうとして、アルミンは前に出過ぎてしまった。
バキバキバキッ!
アルミン「!!! うわあぁああぁぁぁッ!!!」
乗っていた足場が崩れ、アルミンは崖の下へと落ちていってしまったのだ。
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- 9 : 2015/05/31(日) 20:24:30 :
エレン「アルミンッ!!!」
ゴラム「!!! 旦那、危険だよぉッ!」
エレンも急いで崖を下っていく。
アルミンは崖の下で、体の半分が砂利の中に埋まってしまっていた。
アルミン「くっ、僕としたことが・・・・・・。」
エレン「待ってろ、今助けてやるからな。」
パラパラパラ・・・・・・
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- 10 : 2015/05/31(日) 20:25:12 :
エレン「!!! ヤバイ・・・・・・人間がこっちの物音に気が付きやがった。」
アルミン「!!! ホントに!?」
エレン「・・・・・・こっちに来る。」
アルミン「マントで身を隠すんだ!」
エレン「お、おうッ!」
言われたとおりにエレンはアルミンの近くにより、包み込むようにマントのなかに身を隠した。
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- 11 : 2015/05/31(日) 20:25:40 :
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東夷1「さて、ここらだったんだが・・・・・・。」
東夷2「何もいないな?」
東夷1「動物か?」
東夷2「いや、ここは不毛の地・・・・・・動物なんていやしないだろ?」
東夷1「なら、目の前の岩が落ちた音か。」
東夷2「どうやらそうらしいな、戻るとしよう。」
バサァッ!
エレン「つらぬき丸といい、ロープといい、このマントもそうだけどよ、エルフのもんはホントにすげぇな。」
アルミン「どうやら、エレンのマントがまるで岩のように見えていたみたいだからね。」
――――――ガラドリエルの贈り物であるマントのおかげで、エレンたちは何とか東夷の目を誤魔化せた。
近づいてきた東夷たちが隊列に加わったのを見届けると、エレンは素早くアルミンを掘り出した。
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- 12 : 2015/05/31(日) 20:53:29 :
アルミン「ごめん、エレン・・・・・・助かったよ。」
エレン「気にすんなよ、お前に俺も助けられたし、これでおあいこだ。」
アルミン「えっ?」
エレン「さっきナズグルが来たとき、俺は・・・・・・指輪の誘惑に負けそうだった。でも、お前が俺を支えてくれただろ?」
――――――そうだった。僕は、エレンと一緒に行く。
アルミン「・・・・・・うん。」
エレン「頼りにしてるんだぜ、アルミン。」
――――――そして、エレンを守る。守るんだ。
アルミン「任せてよ、エレン。」
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- 13 : 2015/05/31(日) 21:03:23 :
東夷たちが黒門の中へ入っていくと、左扉が音を立てて閉まり始めた。
エレン「覚悟はいいか?」
アルミン「無かったらここまで来てないよ。」
エレン「黒門まで走るぞ、いいな?」
アルミン「うん。」
エレン「今だッ!!!」
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- 14 : 2015/05/31(日) 21:23:55 :
- 今更ですけどミカサ出てこないのってめずらしいですね!女性キャラはもう少しですかね?期待です!
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- 15 : 2015/05/31(日) 21:38:57 :
- ロード・オブ・ザ・リングって基本女性キャラ少ないですからね汗
ミカサの名前はアルミンの語る伝承の中に申し訳程度で出ています。
番外編として、その伝承のお話も後で書きたいと思っています。
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- 16 : 2015/05/31(日) 21:39:36 :
ガシッ! ゴラム「ダメよッ! 見つかっちゃうよッ!!!」
岩陰から飛び出そうとした二人を、ゴラムが後ろから押しとどめた。
エレン「放せよッ! 門が閉じちまうだろうがッ!」
アルミン「この機会を逃したら、僕らはモルドールへ入れなくなるんだッ!」
ゴラム「ダメよ、見つかったら元も子もないよッ! あの目は愛しいしと探してるッ! 見つかったらお終いよッ!」
エレン「それでも行くんだよッ!!!」
ゴラム「秘密の抜け道あるよッ! そこからモルドール入れるよッ!」
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- 17 : 2015/05/31(日) 21:42:10 :
エレアル「「・・・・・・えっ!?」」
ゴラム「モルグル谷からキリス・ウンゴルを抜けてモルドールへ通じる道あるよ。」
アルミンは深い疑いの目でゴラムを見た。
アルミン「なぜ、今まで黙ってたの?」
ゴラム「旦那と約束したよッ!?わしら、モルドールまでの道のり案内したよッ!?」
――――――こいつ、やっぱり信用ならない。
アルミン「エレン、ここでゴラムを斬ろう。危険すぎる。」
アルミンは基本的にゴラムを信用していない。ずっと疑いの目で見てきたが、この時点で疑念は確信へと変わったのだった。
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- 18 : 2015/05/31(日) 21:43:12 :
だが、エレンの考えは、アルミンのそれとは異なっていた。
エレン「ダメだ。俺たちには案内人が必要だ。それに、モルドールまでこいつは案内してくれただろ?」
――――――君は本当に正気なのかい、エレン?
さっき僕を頼りにしてるって言ってくれた君は、もうどこかに行ってしまったの?
アルミン「情けをかけるのも大概にするんだ。世界は、残酷なんだ。」
エレン「俺たちまで残酷になる必要はねぇだろうがッ!」
アルミン「エレンッ!!!」
再び言い争う幼馴染み。
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- 19 : 2015/05/31(日) 21:43:42 :
僕の言葉を遮るように、エレンは後ろを向いた。
・・・・・・しばらくして、エレンはゴラムに話しかけた。
エレン「俺たちを、その秘密の抜け道に案内しろ、ゴラム。」
ゴラム「スメアゴル約束守るよ。秘密の抜け道、案内するよ。」
ようやく僕は気が付いた。
エレンはだんだん・・・・・・おかしくなってきている。
――――――――――――モルドールの黒門は、閉じられた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 20 : 2015/06/01(月) 17:07:47 :
- goodです!進撃のMGSさん!
私はロード・オブ・ザ・リングが分からない素人ですがいい作品です!
私のssにもまたコメントしてくれれば嬉しいです!
(現在話が投稿出来ない為お休み中ですが・・・)
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- 21 : 2015/06/01(月) 21:24:48 :
- >>20さん ss見たいので題名教えて下さい!コメントしに行きます!
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- 23 : 2015/06/01(月) 22:27:40 :
マルコ「・・・・・・う~ん、よく寝た。」
朝の木洩れ日が当たって、マルコは目を覚まし、大きく背伸びをした。
ジャン「おう、起きたか、マルコ。」
後ろから声がしたので振り返ると、ジャンが森の木の突き出た根っこに座っていた―――――ジャンのすぐ近くには水の湧き出ている場所があり、小さな泉を作っている。
ジャンはその泉の水を掬い、喉の渇きを潤していた。
マルコ「あれ!? ジャン!?」
ジャン「ん? 何だよマルコ?」
まるで何か信じられないものを発見したかのように、マルコは素っ頓狂な声をあげた。
マルコ「君・・・・・・背が・・・・・・伸びてる!?」
ジャン「はぁッ!?」
・・・・・・言われてみれば目線が少し高くなった気がする。
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- 24 : 2015/06/01(月) 22:28:51 :
咄嗟にマルコは思い当たった。
マルコ「その水だ! その水が木々に命を与えて、ジャンの身長を伸ばしたんだ!」
ジャン「!!! マジかよ・・・・・・なぁマルコ・・・・・・分かってるよな?」
ちょっと悪い顔をするジャン
マルコ「勿論だよ、ジャン。」
同じくちょっと悪い顔のマルコ。
ジャンマル「「これで俺たち、高身長ゲットだぜッ!!!」」
ジャン「これでエレンやアルミンをぎゃふんと言わせてやろうぜ。」
マルコ「うん、アルミンは特に悔しがるだろうなぁ・・・・・・。ふふふ。」
――――――――既にエレンやアルミンより上背の二人は、さらにもう一回り大きくなって彼らをからかってやろうという魂胆なのである。
木の髭が戻って来るまで、お調子者の二人はこの不思議な水―――――エント水を、飲みまくったのだそうな・・・・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 25 : 2015/06/01(月) 22:29:42 :
ローハンの王宮、メドゥセルドの暗い広間では、沈痛な悲しみに包まれていた。
王の姪であるリコが、焦点の定まらない様子のピクシス王に寄り添い、左手を取って声をかけた。
リコ「ピクシス王・・・・・・伯父上・・・・・・ミタビが・・・・・・息を、引き取りました。」
息子の死の報告に接しても、ピクシスは何の反応も示さない。
まるで、何も感じていないかのように、
まるで、心がここにないかのように、
ただただ前を、見つめるだけ。
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- 26 : 2015/06/01(月) 22:30:41 :
リコ「・・・・・・別れの言葉さえ、かけてやらないのですか・・・・・・。」
かつては勇壮だった伯父上。
それが今や、抜け殻のようになってしまった―――――・・・・・・
そっと伯父の手を置いて、リコは王の御前から退出する。
兄貴分だったミタビが討死し、兄貴のイアンは策略にはまって追放され、伯父のピクシスは最早まともに口を利くことすらできない。
重なった不幸によって、悲しみによって、リコの精神は、閉ざされた。
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- 27 : 2015/06/02(火) 01:12:50 :
リコ「ミタビ・・・・・・兄さん・・・・・・私は・・・・・・どうしたらいい?」
本当の兄のように慕っていたミタビの亡骸を前に、リコの涙は尽きなかった。
「昨日の夜に、亡くなられたみたいだ。」
部屋に入ってきたのは、王の相談役・・・・・・蛇の舌、グリマ―――――いかにも悲しんでいるという様子で、その陰湿な男はミタビの遺体が安置された部屋に入ってきた。
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- 28 : 2015/06/02(火) 01:13:50 :
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グリマ「王にとっては悲劇だ。たった一人の跡取りを亡くされたのだから・・・・・・。」
リコ「出ていけッ! この陰湿な男めッ!」
涙で涸れた声を振り絞るリコに対し、グリマは優しく、リコに言い寄った。
グリマ「暗闇に向かって何をお話になられているのです?」
リコ「ッ!!!」
グリマ「あなたは悲しみに囚われている・・・・・・丁度、檻の中に魂を閉じ込められたかのように。」
リコ「」
グリマ「あなたは美しい・・・・・・だが冷たい。まるで朝がその寒さにしがみついているかのようだ。」
そっと、涙が流れる頬に触れるグリマ。
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- 29 : 2015/06/02(火) 01:14:44 :
リコ「・・・・・・お前の言葉は毒だ。二度と近寄るなッ!」
リコは、しかし、グリマの言葉を退けてこう言うと、苛立ちと悲しみの混じった顔で部屋を後にした。
――――――ふざけるなッ!
あんな男に、私の悲しみが理解されてたまるものかッ!!!
王宮を飛び出し、モスグリーンのドレスを風にはためかせるリコ。
遥か先に広がる平原を見やり、リコは涙を流し続けた。
リコ「!!!」
ふと、強い風が吹き、王宮の入り口の前に掲げられていた王旗が飛んでいった。
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- 30 : 2015/06/02(火) 01:18:58 :
――――――――緑の下地に金糸で刺繍された馬の御旗は、エドラスの都の上を飛んでいき、都の外へと運ばれていった。
リヴァイ「」
――――――これは、嫌な予感がするな。
丁度、エドラスに到着したリヴァイたちは、飛んできた王旗に、何か不吉な胸騒ぎを掻き立てられた。
ライナー「墓場のほうが、まだ活気があるぜ。」
アニ「こっちの気分まで滅入りそうになるよ、全く。」
藁葺き屋根の家立ち並ぶエドラスの都は質実剛健。しかし、そこに活気をもたらすはずの男手が、この都には存在しなかった。
年寄りと、子供ばかり・・・・・・兵士の姿がどこにもなかった。
そして、王までもが寄る歳のために耄碌し、ろくに政務も取れないでいる。
それらの事情が重なって、都全体が、鬱屈とした気分に包まれていたのである。
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- 31 : 2015/06/02(火) 01:19:40 :
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リヴァイたちが王宮の入り口に到着すると、中から王の護衛と思しき人物が出てきた。
キッツ「ピクシス王の近衛隊長、キッツだ。」
ガンダルフ「久しぶりじゃのう、キッツ。ピクシス王にお目通り願いたい。」
ガンダルフが丁寧にお願いをすると、キッツは次の言葉を伝えた。
キッツ「武器は全てここで預かる・・・・・・蛇の舌の命令だ。」
伝えるキッツの口角が、僅かに上がった。
仕方なくリヴァイとガンダルフは剣を、ライナーは斧を、アニは弓をそれぞれローハンの騎士たちに渡した。
キッツ「その杖もだ、ガンダルフ。」
すると、杖に縋ってガンダルフは弱弱しい声をあげた。
ガンダルフ「老人から杖まで奪うのかね。」
迷った挙句、キッツは唸るように答えた。
キッツ「ええい、仕方ない。ここを通られよ。」
ガンダルフはこっそりリヴァイにウィンクし、リヴァイはにやけて歩き始めた。
――――――相変わらず愉快なくそじじいめ。
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- 32 : 2015/06/02(火) 07:45:52 :
リヴァイたちが王宮の中に入ると、そのすぐ後ろで閂の閉まる音がした。
左右を見ると、王の衛兵たちが整列している。
だが、その後ろではいかにもたちの悪そうなゴロツキが遠巻きに睨んできている・・・・・・まったく、久しぶりにやってきたと思えば、このクソ野郎どもは、俺たちをとことんもてなしてくれるつもりらしい。
奥の玉座にはピクシスが座り、その隣の椅子には、相談役グリマが耳打ちをしていた。
グリマ「殿、ガンダルフが参られました。歓迎してはなりませぬぞ。」
ガンダルフ「ピクシス王、そなたの宮殿の礼儀は薄らぎましたな。」
耄碌したピクシスは、最早分別を失った様子でガンダルフに語り掛けた。
ピクシス「・・・・・・なぜ・・・・・・お前を・・・・・・歓迎せねば・・・・・・ならんのじゃ?」
グリマ「正しい問いかけです、殿。」
すかさず相打ちをうつグリマ。
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- 33 : 2015/06/02(火) 07:46:29 :
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グリマ「あんたはいつも遅すぎるんだ。」
椅子から立ち上がり、グリマはガンダルフに詰め寄った。
グリマ「いつもいつも凶報をもたらす凶報者 、そして凶報は悪い客だ。」
詰め寄るグリマの目の前に、ガンダルフは杖を突きつけた。
ガンダルフ「蛇はその舌を奥にひっこめろッ! わしが炎と死を潜り抜けたのは、貴様如き虫けらと話すためではないわッ!」
グリマ「!!! 杖ッ!?」
驚いて後ずさるグリマ。その様子を見ていたゴロツキども一斉に剣を抜いてリヴァイたちに襲い掛かる。
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- 34 : 2015/06/02(火) 07:46:59 :
アニ「ふんッ!」
ライナー「おらぁッ!」
ゴロツキ1「ぐあッ!」
ゴロツキ2「へぶッ!」
すかさずアニがキックでゴロツキの頭を蹴り飛ばし、ライナーがタックルで吹き飛ばす。
リヴァイ「はぁッ!」
ゴロツキたち「「「ぐあぁあぁぁッ!!!」」」
リヴァイの目にもとまらぬ鉄拳がゴロツキたちを駆逐。
ライナー「おらぁッ!」
グリマ「はぎゃッ!」
タックルで倒されたグリマの衣服をひっつかみ、ライナーはグリマに言った。
ライナー「さあて、動くんじゃねえぞ、動いたらアニのキックを喰らってもらうからな。」
アニがいつでも蹴っ飛ばせるよう構えるのを見て、グリマはすっかり怖気づいた。
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- 35 : 2015/06/02(火) 21:02:43 :
- 愉快なくそじじいwww
映画の方でも個人的にここの場面好きw期待です!ロードオブザリングと進撃ファンがもっと増えたらいいなー!
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- 36 : 2015/06/02(火) 22:33:47 :
- おもしろ〜い^o^
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- 38 : 2015/06/02(火) 23:50:16 :
キッツ「貴様らァッ! 王の御前で何を――――「まぁ落ち着けって。」
抜きかけたキッツの剣を押しとどめたのは、同じく近衛隊長。
キッツ「ハンネス!?」
ハンネス「あいつらは王に悪いことはしねぇよ。」
ガンダルフがゆっくりとピクシスに近づく――――――ガンダルフには分かっていた。ピクシスが耄碌している訳ではないということに。
ガンダルフ「ピクシス王・・・・・・そなたの呪縛を、今解こう。」
ガンダルフが、ピクシスの額の前に手をかざした。
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- 39 : 2015/06/02(火) 23:51:04 :
ピクシス「・・・・・・はっはっはっはっはっ!!! あっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」
リヴァイ「何だ?」
アニ「笑い始めた?」
ライナー「何が起こってる!?」ピクシス 「貴様はなんの力も持たぬ。この呪縛を解くことは出来んぞ、灰色のガンダルフ。あっはっはっはっはっ!!!」
ピクシスの体を借りて高笑いをするサルマン。
すると、ガンダルフが灰色のエルフのマントを脱ぎ、その白い衣を顕わにした。ピクシス 「ぐおぉッ!!!」
ガンダルフ「蛇の毒を抜き去るように、お前を追い出してやろう、サルマン。」
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- 40 : 2015/06/02(火) 23:52:06 :
杖を突きつけると、まるで見えない力に取り押さえられたかのように、ピクシスは玉座に打ち付けられた。ピクシス 「く、わしが離れれば、ピクシスも、死ぬぞッ!?」
ドッ!ピクシス 「ぐおぉおぉぉッ!」
ガンダルフ「立ち去るがいいッ! サルマンッ!!!」
リコ「!!! 伯父上ッ!!!」
丁度玉座の間に入ってきたリコを、リヴァイが押しとどめた。
リヴァイ「黙ってみてろッ!」
リコ「何だと!?」
リヴァイ「ピクシスは死なねぇ。」
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- 41 : 2015/06/02(火) 23:53:16 :
ピクシス 「ぐ、うぐ・・・・・・ああぁああぁあぁッ!」
飛び掛かるピクシスに、ガンダルフは杖を突き立てた。
ゴッ! サルマン「ぐああぁあぁあぁぁぁッ!!!」
遠くオルサンクの塔からピクシスを操っていたサルマンは、突き立てられた杖に吹き飛ばされた。
ピクシス「あ・・・・・・あぁ・・・・・・。」
座ったまま前のめりになったピクシスをリコが支える――――――青白かった顔に、みるみる生気が戻っていく。
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- 42 : 2015/06/02(火) 23:53:56 :
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ピクシス「・・・・・・お前が・・・・・・分かるぞ・・・・・・リコ・・・・・・。」
リコ「伯父上・・・・・・。」
ピクシス「長い悪夢を、見ているようじゃった。」
呆然とするピクシスに、ガンダルフは微笑んで話かけた。
ガンダルフ「自由な空気を吸われよ、友よ。」
ピクシス「・・・・・・ガンダルフ?」
友の言葉に促され、ピクシスはゆっくり立ち上がる――――――曲がっていた腰が伸び、王としての威厳を取り戻していく。
ガンダルフ「指の力は、剣を握れば、思い出しましょう。」
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- 43 : 2015/06/02(火) 23:56:56 :
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ハンネス「さぁ、お取りください。ピクシス王。」
近衛隊長のハンネスが、名剣ヘルグリムを差し出した。
ピクシス「おぉ・・・・・・。」
ピクシスは確かめるように柄を触ると、一気に掴んでヘルグリムを引き抜いた。
リコ「伯父上ッ!」
両手で口を押さえ、リコが膝をついた。
ピクシスは剣を見つめ、力強く頷く。
更生せるピクシス――――――サルマンの呪縛から解き放たれ、ピクシスは力を取り戻した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 44 : 2015/06/03(水) 00:27:45 :
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ゲシッ! グリマ「うわあぁああぁぁぁッ!!!」
アニに蹴飛ばされ、グリマは王宮の外に投げ出され、階段を転げ落ちた。
怒りに満ちたピクシスがゆっくりと階段を降りていく。
グリマは後ずさりながら、赦しを請い始めた。
グリマ「私は・・・・・・ピクシス王に・・・・・・長年、仕えてまいりました。」
ピクシス「わしを呪術で獣のように這わせるためかッ!?」
ピクシスが剣を振り上げる。
グリマ「ひぃッ!!!」
振り下ろそうとしたピクシスの腕を、リヴァイが受け止めた。
リヴァイ「よせ、ピクシス。」
ピクシス「なぜ止める!? リヴァイ!!!」
リヴァイ「もう血は充分に流された・・・・・・これ以上は必要ねぇ。」
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- 45 : 2015/06/03(水) 00:28:28 :
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そう言ってリヴァイはグリマに左手を差し伸べた――――――その手に唾を吐きかけて、グリマは逃亡。
馬の一頭を盗み出し、悪事のばれた盗人のように、みじめに駆け出した。
ピクシス王、万歳ッ!!!
―――――再び立ち上がったピクシス王を見て、都の住民たちは膝を折って頭を垂れた。
アニ「・・・・・・わざと行かせたね? リヴァイ?」
リヴァイ「あぁ・・・・・・ピクシスの名誉のためにもな。」
―――――民衆の前で王が剣を振るって臣下を殺害しては王の沽券に係わる。
リヴァイなりの気遣いであった。
民衆が頭を下げるのを見たピクシスは少し冷静になり、リヴァイの心遣いを感じ取った。
そして、次のことに気が付いた。
ピクシス「・・・・・・ミタビはどこじゃ?」
ピクシス「わしの息子は、どこにおる?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 46 : 2015/06/03(水) 00:29:09 :
喪服に身を包んだ葬列は、哀しみの黒。
青白くなったミタビを柩に乗せ、六人の男が担ぎ上げていく―――――エドラスの柵の外にある塚。歴代王家の墓に。
リコの歌声が響く。
風の中に、儚げに、葬送の古詩を歌い上げるリコの頬を、涙が伝う。
真ん中の道を挟んで左側の塚―――――ローハン第二王家の塚へと、ピクシスが先導していく。
顔色を変えず、息子の死に顔を見つめ、白い花咲く塚の中に入っていくミタビの体を、見送って―――――・・・・・・
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- 47 : 2015/06/03(水) 00:30:08 :
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石で塚は、閉ざされた。
いつまでもピクシスは、墓の前で佇み、摘んだ一輪の花を見つめていた。
ピクシス「忘れじ草 ・・・・・・わが王家の墓に咲き続ける白い花。」
ゆっくりと、ピクシスは花を手放した。花はふわふわと、地面に落下していく。
ガンダルフ「御子息のミタビは勇敢な若者じゃった。必ずや先祖の元へ向かわれるじゃろう。」
王を気遣い、ガンダルフが再び塚に降りてきた。
ピクシス「我が治世に・・・・・・苦難の時代が、訪れるとは・・・・・・。ガンダルフ、わしは、わが王家が滅亡する瞬間を、この目で見ねばならぬ。」
葬送の間、ずっと顔色を変えなかったピクシスが、初めて悲しみをにじませた目でガンダルフを見た。
ガンダルフから目線をそらすと、息子の墓に再び目をやって、呟いた。
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- 48 : 2015/06/03(水) 00:30:40 :
ピクシス「子が親に先立つとは・・・・・・。
こんなこと、あってはならぬ・・・・・・うぐッ・・・・・・くうぅうぅぅッ・・・・・・。」
目頭を押さえ、押し殺すように嗚咽を漏らす。
――――――武勇の誉れ高きピクシス王が、人知れず、涙を流した。
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- 49 : 2015/06/03(水) 11:44:55 :
ガンダルフ「!!!」
ふと、ガンダルフが草原のほうに目をやると、向こうから、馬に乗ってやってきた二人の子供が目に入った。
必死に馬を駆って逃げてきたのであろうその兄妹は酷く衰弱し、兄が馬から落馬した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 50 : 2015/06/03(水) 11:45:40 :
お腹を空かしていたマーティンとサニーは、リコの用意した食事をまるで噛みつくように食べた。
サニー「マーにい、あんちゃんは?」
マーティン「サニー・・・・・・。」
兄妹が寂しがる様子を見て、アニが優しく声をかけた。
アニ「大丈夫、また会えるさ。」
サニマティン「「うんッ!!!」」
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- 51 : 2015/06/03(水) 11:46:17 :
相談役の椅子に座って、ガンダルフは王に語り掛ける。
ガンダルフ「サルマンは西の谷を襲撃したようじゃ。」
肘掛けに右ひじをつき、頭を押さえてピクシスは答えた。
ピクシス「どうにか、全面戦争は避けたいものじゃがのう。」
リヴァイ「ふん、戦争は向こうからやってくる。テメェの意思とは関係なくな。」
王は立ち上がり、リヴァイに向かって答えた。
ピクシス「リヴァイ、ローハンの王はお前ではなく、このピクシスじゃ。」
ガンダルフ「では、王のご決断は?」
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- 52 : 2015/06/03(水) 11:47:06 :
第6話
王の決断
キッツ「ヘルム峡谷に避難するッ!!! 必要のないものは打ち棄てよッ!!!」
ピクシス王の決断―――――ヘルム峡谷にある角笛城に立てこもり、徹底抗戦をするということであった。
エドラスの都は平原の中央にある小高い丘であり、防衛には向かない。そのため、リスクを冒してまで住民を連れてヘルム峡谷まで避難することが決まったのである。
王宮の隣には、馬の厩舎が隣接している―――――ローハンの騎士たちは馬と苦楽を共にし、馬を大切な友として扱う。その為、王宮のすぐ近くに厩舎があった。
ガンダルフ「あそこには逃げ道がない。自ら足を踏み入れる棺桶じゃ。」
ガンダルフは毒づいた――――選択肢はないとはいえ、民衆を危険にさらすことに変わりはなく、そのやるせなさを隠しきれなかったのだ。
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- 53 : 2015/06/03(水) 11:48:21 :
リヴァイ「追放されたローハンの騎士たちは北へ向かっていった。間に合うとは思えねえ。」
ガンダルフ「うむ・・・・・・何とか耐えるのじゃ、リヴァイ。ピクシスは意志強固じゃが、必ずお前を必要とするはずじゃ。」
ガンダルフは飛蔭にまたがると、リヴァイにこう言い残した。
ガンダルフ「わしは人間の三十世代も中つ国を放浪してきた。北ではガンダルフと呼ばれ、南ではミスランディア、西ではサルクーンじゃった。じゃがわしの時間は尽きかけておる。捜索が成功すれば、五日後の朝に、わしは戻る。日の昇る、西の方から。」
風のような軽やかさで、飛蔭はエドラスを飛び出していった。
ピクシス「・・・・・・出発じゃな。」
―――――ローハンの民は、強固な砦の築かれたヘルム峡谷へ向け、危険な行軍を開始した。
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- 54 : 2015/06/03(水) 11:54:06 :
- 以上で第5話と第6話が終了になります。
ようやく本当の意味でピクシス登場と相成りました。
次回はやはり、エレンとアルミン視点から始めます。
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- 55 : 2015/06/03(水) 21:24:19 :
- 次回も頑張ってください!期待して待ってます!
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- 56 : 2015/06/04(木) 08:49:22 :
- ルカさん、いつも応援ありがとうございます<m(__)m>
現在は少し寄り道して、二つの番外編を書いています。
そちらのほうも、よろしくお願いします!
http://www.ssnote.net/series/2303
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