この作品は執筆を終了しています。
ピクシス「二つの塔」 ③ 進撃×ロード・オブ・ザ・リング
-
- 1 : 2015/05/28(木) 22:46:38 :
- 進撃×ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 第3話、第4話です。
http://www.ssnote.net/series/2278
よろしくお願いします<m(__)m>
-
- 2 : 2015/05/28(木) 22:47:08 :
それじゃあエレン、今日はサウロンと最後の同盟のお話をするね。
第二紀の末、サウロンが一つの指輪の力を背景に世界を闇で覆わんしていた時に、人間とエルフは最後の同盟を結んだ。
このころの人間やエルフの力はまだまだ強くて、一つの指輪を持ったサウロンに抵抗するだけの力を持っていたんだ。
サウロンは攻勢に出たが、攻撃を急いでしまった。ダゴルラド で初戦をものにした人間とエルフの連合軍は、そのまま暗黒の塔、バラド=ドゥアを包囲攻撃したんだ。
-
- 3 : 2015/05/28(木) 22:48:38 :
-
長く苦しい戦いだった。
この戦いによって、ゴンドールの弟王アナリオンをはじめとして、多くの死傷者を出した。
包囲すること七年。遂に堪り兼ねたサウロンが、暗黒の塔から姿を現したんだ。
指輪の力でサウロンは人間とエルフを圧倒した。
エルフのノルドール族最後の上級王だったギル=ガラドや、北方のアルノール王国国王エレンディルをサウロンは殺害した。
でも、死んだ父王エレンディルの剣――――ナルシルの剣を取ったゴンドールの兄王イシルドゥアがサウロンの指を切り取り、サウロンは倒されたんだ。
アルミン「それで、この戦いで出た死者はこのダゴルラド に葬られた。」
ゴラム「そうよ、そしてここに沼地がひろがったのよ・・・・・・『死者の沼地』、そうよ、それが今の名前よ。」
第3話
死者の沼地
-
- 4 : 2015/05/28(木) 22:50:50 :
-
――――――僕たちはゴラムの案内でエミン・ムイルの岩山を抜け出した。
僕はゴラムを全く信用出来なかったけど、エレンと口論になった結果、結局ゴラムにモルドールへの道案内を頼むことになった。
ゴラム「わしらこの沼地の抜け道見つけたよ。オークたちこの道知らないよ。何マイルも何マイルも遠回りしている。」
エレン「へぇ、すっげぇなぁ。」
すっかり感心しているエレンに僕は不満だった――――――なぜエレンはこんな奴なんかを信用するのだろう?
エレンは明らかにゴラムへ肩入れしている。
ゴラムがいかに危険な存在か、今のところ僕はエレンを説得しようとして、ことごとく失敗していた。
-
- 5 : 2015/05/29(金) 00:54:11 :
-
この死者の沼地は、苔と足に覆われ、しかも鼻を突く死臭がどこからともなく漂って来る、ただただひたすらに気味の悪い場所だった。
バシャッ! アルミン「うわッ!」
ゴラム「気を付けるのよ! チビのホビットさん。死者の仲間入りしたくなければ、沼に足踏み入れちゃダメよ。」
アルミン「わ、分かってるよッ!」
さりげなくチビといわれたことも面白くなかった。
ゴラムが好きとか嫌いとか、そういう次元ではなく、要するに僕は、ゴラムを生理的に受け付けられなかったのだ。
-
- 6 : 2015/05/29(金) 01:14:20 :
しばらく僕らは鼻が曲がりそうになるほど酷い匂いの沼地を進み続けた。
エレン「それにしても、この沼地は一体どこまで続いてんだよ? 一向に近づいてる気がしねぇんだが。」
素朴な疑問を口にするエレンに対し、僕は振り返らずに答えた。
アルミン「さあね、ゴラムにでも聞いてみたら?」
エレン「」
進んでも進んでも、沼地はまだまだ続いている。
昼を過ぎて、僕らは昼食をとるためにいったん休憩を取ることにした。
-
- 7 : 2015/05/29(金) 01:15:12 :
-
ゴラム「わしらお腹空いたよ~~~ッ!」
空腹に耐えかね、騒ぎ出すゴラム――――――一瞬パッと動いたかと思うと、次の瞬間にゴラムは獲物を捕まえた。
ゴラム「何だ・・・・・・ミミズかよ。」
ゴラムはひょいとミミズを空中へ投げると、口でくわえてちゅるちゅると吸い込んだ。
アルミン「おえっ・・・・・・。」
ゴラムの行動の一足一挙動を見ていたアルミンは、ミミズを食べるゴラムを見て食欲が一気に失せた。
ふとエレンを見ると、彼もまた同様に嫌な顔を浮かべ、手に持ったレンバスを口へと運ぶ気力を失っていた。
―――――どうやら僕が思ったほど、エレンはゴラムに心を許していないらしい。
-
- 8 : 2015/05/29(金) 17:46:44 :
エレン「やるよ、ゴラム。」
食べる気をなくしたレンバスを地面に投げるエレン。
ゴラムはエレンのその行動を、好意的に受け取った。
ゴラム「なんだこれ? おいしいの?」
空腹に耐えかねた様子で、ゴラムはレンバスを口にした。
その瞬間、ゴラムはまるで泥でも食べたかのようにひどくむせた。
ゴラム「ヴェェッ!!! おえッ! な、何よこれッ!」
アルミン「エルフの食べ物だよ。」
ゴラム「エルフの食べ物なんかまずいよぉッ!」
―――――指輪の魔力によって捻じ曲げられたゴラムは、最早まともな食べ物を受け付けなくなっていた。
-
- 9 : 2015/05/29(金) 17:47:38 :
そんな様子を見たエレンは、しかし、ますます不機嫌になっていき、アルミンもまた同様だった。
ゴラム「うわぁあぁ、わしら飢えて死んじゃうよぉッ!」
アルミン「当然の報いさ。」
そのまま飢えて死ねとも取れる発言に、ゴラムは傷ついた様子であった。
ゴラム「チビのホビットしどいよ。でも・・・・・・指輪のご主人様は違うよ。旦那はわしらの面倒見てくれる。」
ゆっくりエレンに近づくゴラム。
エレン「俺に触んなッ!」
ゴラム「!!!」
突然エレンに冷たくされ、ゴラムはますます自分の心のよりどころを失ったように感じた。
ゆっくりと目線を落とすゴラム。
――――――明らかにエレンは苛立っている。やっとゴラムがまともじゃないことに気が付いたから・・・・・・かな?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 10 : 2015/05/29(金) 17:48:34 :
休憩を済ますと、僕らは再び沼地の中を歩き始めた。
ゴラムは落ち込んだまま、エレンは苛立ったままで、僕もまた不機嫌・・・・・・お互い口さえきかない険悪な旅になっていた。
すると、沼の上に灯が灯り始めた。
沼の中を見ると、人間やエルフ、オークの死体が大量に眠っている。それらはまるで、さっき死んだばかりのように、その青白い肉体を保っているように見えた。
ゴラム「池の中の死体を覗いちゃダメよ。引きずり込まれて死者の仲間入りをしたくなければね。死体の仲間入りすると、ちっちゃな灯火灯るよ。」
アルミン「ホントに気味が悪いよ・・・・・・早く抜け出したいね。」
-
- 11 : 2015/05/29(金) 17:50:18 :
エレン「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
――――――一番後ろにいたエレンは誘惑に駆られていた。もっとあの死体をよく見たい。水の中に沈んでいるエルフの死体を・・・・・・。
まるで自分以外の意思に引きずられるように、沼地へと近づいていくエレン。
すると・・・・・・・・・・・・その死体が白目を剥いた。
ドクンッ エレン「あっ・・・・・・。」
糸の切れた操り人形のように、エレンは沼へと倒れ込んだ。
バシャアッ!
アルミン「!!! エレンッ!!!」
-
- 12 : 2015/05/29(金) 17:51:15 :
沼の底から、腐乱した緑色の亡霊たちが姿を現した――――――エレンを引きずり込もうと、手を伸ばしてくる。
漸く正気を取り戻したところで、エレン自身はもうどうすることも出来なかった。
必死にもがくエレンの肩に手が伸びてきて―――――・・・・・・
バシャアッ!
間一髪、エレンは駆けつけたゴラムによって助けられた。
エレン「ゲホッ! ゲホッ!」
-
- 13 : 2015/05/29(金) 17:51:48 :
-
――――――エレンが沼に倒れ込んだとき、あまりに呆然とした僕は、動けなかった。
もし、ゴラムが居なかったら・・・・・・エレンは・・・・・・。
ゴラム「わしら言ったよ。灯りについていっちゃダメってッ!」
エレン「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・すまねぇ、ゴラム、アルミン・・・・・・。」
アルミン「エレン・・・・・・君は確実に弱ってる。今日はもうここで休息を取ろう。」
日も傾き出した死者の沼地、丁度近くに一本木の生えているところがあり、僕らはその木陰で休息をとることにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 14 : 2015/05/29(金) 21:34:44 :
-
夜明けになり、俺は眠っているアルミンに背を向けて横になっていた。
アルミンから、見えないように・・・・・・。
―――――密かに俺は、首に鎖でぶら下げてある指輪を左手のひらに乗せ、右手で愛でるように撫でることが日課となっていた。
エレンは知らず知らず、指輪の魔力に心身ともに侵されていた。
アルミンは気が付きつつあった・・・・・・慈悲深くなったかと思えば、とたんに冷酷になる。エレンの人格が、二つに分裂しつつあることに・・・・・・。
この指輪を持つものは、無理やり寿命を引き延ばされ、まるでもう一つの人格が生まれたかのように攻撃的な面が助長され、更には本来の自我がすりつぶされ、挙句に自分の名前さえ忘れ果ててしまうこととなる――――――丁度、ゴラムがそうであるように。
エレンは持っている方である。指輪の強力な誘惑に、強い精神力で耐えている方ではあるが・・・・・・それでも徐々に限界が見えてきた。
それは、エレンの心身に、もうすでに深刻な影響を与え始めていたのである。
-
- 15 : 2015/05/29(金) 22:24:57 :
ゴラム「キラキラ光るよ・・・・・・とっても綺麗だよう・・・・・・わしらの愛しいしと・・・・・・。」
ゴラムの言葉にハッとして、俺は指輪を服の中に入れた。
――――――俺と同じようなことを考えていたなんて、認めたくないと思ったからだ。
寝返りを打って見ると、俺たちに背を向けて座ったゴラムが、俺と同じように左手を広げ、右手で指輪を――――――まるで指輪がそこにあるかのように左手のひらに、右手を当てている。
-
- 16 : 2015/05/29(金) 22:25:43 :
エレン「おい、何独り言しゃべってんだよ?」
思わず俺が聞くと、ゴラムはそっけなく答えた。
ゴラム「旦那様休むよ、よく休まないと身体もたないよ・・・・・・。」
――――――ゴラム・・・・・・俺は、お前だ。
エレン「お前は昔、俺たちとそう変わらない種族だったらしいな?」
ゴラム「関係ないよ、聞かないよ。冷たいは心。手には骨、家を離れた旅人。悲惨な人生を送ってきたこともだ。月の無い夜、行く手は闇。何も見えない・・・・・・。」
エレン「よく聞けよ・・・・・・スメアゴル。」
ゴラム「!!! ・・・・・・今、何て言った?」
エレン「スメアゴル・・・・・・それが、お前のホントの名前なんだろ?」
――――――久しく忘れていた、わしらの名前。
ゴラム「スメアゴル・・・・・・スメアゴルッ!!!」
-
- 17 : 2015/05/29(金) 22:26:33 :
その時、遠くから何かが叫ぶ声が聞こえた。
絶望と冷気をもたらすあの金切り声。
眠っていたアルミンも飛び起きた。
アルミン「あの声は・・・・・・間違いない・・・・・・。」
アルミン「指輪の幽鬼 だッ!」
-
- 18 : 2015/05/29(金) 22:40:33 :
-
ゴラム「早く木陰に隠れるよ!!!」
ゴラムも気が動転している。
エレン「!!! がっ・・・・・・うあぁぁああぁぁッ!」
突如としてエレンが苦しみだした――――――ナズグルによって負わされた左肩の古傷が、まるで氷の焼きごてに当てられたかのように冷気を伴って痛み出したのだ。
苦しみの末、エレンは誘惑に駆られ、咄嗟に指輪を取り出した。
アルミン「!!! 止めるんだッ!」
アルミンは指輪を嵌めようとするエレンを何とか取り押さえ、木陰へと引きずり込んだ。
アルミン「頑張るんだ・・・・・・エレン・・・・・・。」
後ろからエレンをしっかりと抱きしめ、冷気に苦しむエレンを何とか落ち着かせるアルミン。
-
- 19 : 2015/05/29(金) 22:41:55 :
-
やってきたナズグルは一人だった。
巡回のため、乗り物に乗って死者の沼地にやってきたのである。
ただし、今回の乗り物は馬ではなかった。
――――――全長20mを超す怪鳥。大きな翼を持った恐るべき獣に乗って、ナズグルは飛来した。
おぞましい肉でもって育てられた、強烈な悪臭を放つおぞましい獣は、大きな鳴き声を上げながら、エレンたちの頭上を周回する。
ゴラム「翼に乗ったナズグルだよ。」
震える声で、ゴラムは説明した。
アルミン「あいつら・・・・・・ブルネインの浅瀬で全員洪水に流されたはずなのに。」
ゴラム「あいつら、そんなんじゃ死なないよ。」
――――――冥王サウロン最強にして最恐の召使いは、エレンたちに冷気にも似た、凍えるような恐怖を再び撒き散らした。
何周か周回した後、ナズグルは遠く、モルドールのほうへ飛び去って行った。
エレン「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
アルミン「大丈夫だよ、エレン。あいつはもう飛び去って行ったから。」
いつの間にか後ろから抱きかかえられる格好になっていたエレンは赤面した。
エレン「お、おい・・・・・・もう大丈夫だから、放せって。」
アルミン「あ、ああ、うん。ごめん・・・・・・。」
アルミンも急に恥ずかしくなってエレンを放す。
そんな二人の様子を見ていたゴラムは、少しためらいがちに話しかけた。
ゴラム「モルドールまでもう少しよ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 20 : 2015/05/30(土) 07:05:26 :
- スメアゴル可哀想…
期待です
-
- 21 : 2015/05/30(土) 11:55:22 :
- 指輪の一番の被害者は、他ならぬスメアゴルですからね。
期待ありがとうございます!
-
- 22 : 2015/05/30(土) 11:56:05 :
-
ライナー「ぺっ、オークの血か。」
ジャンとマルコを追って、ファンゴルンの森の中に入ったリヴァイたちは、先ほど踏みつぶされたオークの痕跡を発見していた。
リヴァイ「おかしな足跡だな。まるで巨人が歩いたあとだ。」
リヴァイは木の巨人の痕跡を発見。ジャンとマルコの痕跡はここで途絶えていた。
アニ「となると、二人はその巨人にさらわれたってことかい?」
リヴァイ「どうやらそうらしいな、気に入らねぇ。」
森をゆっくりと見渡すアニ・・・・・・曲がりくねった木がうっそうと茂るこの森は、地面に木漏れ日をほとんど落とさず、昼でも暗い森だった。
-
- 23 : 2015/05/30(土) 11:57:23 :
アニ「木々が・・・・・・しゃべってるね。」
ライナー「何!?」
ギギギギギ・・・・・・
ゴゴゴゴゴ・・・・・・
ライナー「今の唸るような音がか?」
アニ「ああ、私たちエルフが木々に命を与え、言葉を教えたんだ。それに、この森には何か怒りに満ちている。」
ライナー「俺には分からねぇな、アニ。」
リヴァイ「取りあえず、斧を持ってるお前は用心するんだな、ライナー。」
ライナー「お、俺に対して怒ってんのか!?」
ちょっとこの森が怖くなったライナーでした。
-
- 24 : 2015/05/30(土) 11:58:04 :
アニ<後ろから誰か来る。>
アニが突然エルフ語で呟いた。
リヴァイ「何もんだ?」
アニ「・・・・・・白の魔法使いだ。」
リヴァライ「「!!!」」
三人に緊張が走る・・・・・・まさか、こんなところで出会うとは。
リヴァイ「言葉に気を付けろ。しゃべらせれば魔法にかかる。その前に仕留めるぞ。」
リヴァイが剣の柄に手をかけ、アニが矢羽をさわり、ライナーがゆっくりと斧を構える。
-
- 25 : 2015/05/30(土) 11:58:56 :
後ろを振り向くと強烈な白い光。
射かけた矢は燃やされ、投げた斧は破壊され、リヴァイの剣が高熱を発した。
リヴァイ「ぐっ。」
あまりの熱に、リヴァイは剣を取り落した。
「二人のホビットはエントに連れていかれた。」
白の魔法使いがしゃべりだす。光に包まれてよく見えないその老人の、言葉の端々には力が籠っていた。
「エントが彼らを守ると約束した。安心したかの?」
リヴァイ「ちっ、姿を現せ、クソ野郎。」
-
- 26 : 2015/05/30(土) 11:59:55 :
すると、光を弱め、白の魔法使いはその姿を見せた――――――白く長い髪に豊かに蓄えられた白いひげ。衣服にマント、そして杖に至るまで白い魔法使い。
しかし同時に、リヴァイたちは彼の顔に見覚え があった。
リヴァイ「そんな・・・・・・バカな・・・・・・。」
アニ「あんた・・・・・・モリアで奈落に落ちたはずだ。」
ライナー「てっきりサルマンだと・・・・・・。」
「いかにも、わしはサルマンじゃ。彼はこうあるべきだった。」
リヴァイ「・・・・・・・・・・・・ガンダルフ。」
-
- 27 : 2015/05/30(土) 12:02:00 :
ガンダルフ「ガンダルフ? ・・・・・・そうじゃ、灰色のガンダルフ。わしの名前じゃった。」
大切なことを思いだしたように、その名を懐かしむ魔法使い。
ガンダルフ「じゃが今は・・・・・・白のガンダルフじゃ。」
――――――バルログと戦い、奈落に落ちていったはずのガンダルフ。
彼が今、白の魔法使いとなって、再びリヴァイたちの前に姿を現した。
第4話
白の乗り手
-
- 28 : 2015/05/30(土) 17:45:53 :
闇に落ちていった後のことを、ガンダルフは子細に語り始めた。
モリアの坑道の最下層には、名も持たぬ、それこそ太古の時代から生きる一族がいて、世界を侵食しておる。
カザド=ドゥムの橋から落ちたわしは、落下しながらもバルログと戦い、遥か遥か底の湖の中に着水した。
すると、奴は炎を消し、まるでスライムのように這いよってわしの体を締め上げた。
しばらくわしらは、暗い暗い洞窟の中でスライムのようになったバルログと戦い、やがてわしは無限階段へと辿り着いた。
わしはその階段を昇り、新たに炎を纏い始めたバルログを追いかけた。
長い長い階段を昇り続け、ようやく光が差し込んだと思うと、霧降山脈の最高峰、ケレブディルの山頂に辿り着いた。
-
- 29 : 2015/05/30(土) 17:47:15 :
抜けるような青空の元、わしらは最後の死闘を繰り広げた。
刃をやつの胸に突き刺し、山腹に投げ出してついに止めを刺した。
じゃが、わしもそこで力尽き、相打ちになってしまった。
闇がわしの体を覆い、わしの意識は世界の外へと出た。
過ぎ去る一日一日が、まるで人の一生のように感じられた。
じゃが、気が付くと、わしは再び生気を感じた。
―――――――――――わしは送り返されたのじゃ。
ガンダルフ「使命を果たすために。」
-
- 30 : 2015/05/30(土) 18:14:05 :
-
ガンダルフ「さて、ジャンとマルコは無事じゃ。エントに守られておる以上、わしらよりはるかに安全じゃろうて。」
リヴァイ「そうか・・・・・・。ガンダルフ、さっき俺たちはローハンの騎士どもに遭遇した。クソめでたい事態になっているらしい。」
ガンダルフ「ふむ、ローハンは落ちかかっておる。サルマンはローハンを襲うつもりじゃろう。ローハンの都、エドラスへ向かうとしよう。」
森から出ると、ガンダルフはエルフのマントを纏った。
復活したガンダルフは、エレンたちに遅れてロスロリアンの森へと入った。そして同じようにガラドリエルからマントを贈られていた。
ガンダルフ「さて・・・・・・。」
ガンダルフが口笛を吹いた――――――透き通るような音色が、遠くまですぅっと響き渡る。
-
- 31 : 2015/05/30(土) 18:15:10 :
-
平原の彼方から、馬の嘶きが聞こえてくる。
純白の体をした駿馬がその足も軽やかに、ガンダルフの呼びかけに答えて遠くから駆け参じた。
アニ「驚いたね・・・・・・メアラスの一頭だ。」
ライナー「メアラス?」
アニ「ヴァラールの神々の一人、偉大なる狩人オロメの乗馬、ナハールの血を引く馬の中の王。」
ガンダルフ「いかにもそうじゃ。昼は銀のように煌めき、夜は物の蔭とまがい、その走る姿は目にもとまらぬ。そしてその歩みの何と軽いこと。この馬の名は飛蔭。わしと苦難を共にした仲間じゃ。」
手綱もつけず、馬にまたがるガンダルフ。
リヴァイも馬にまたがり、アニはライナーを後ろに乗せた。
三匹の馬は、それぞれ飛び去る風のように、エドラスを目指して草原を走っていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 32 : 2015/05/30(土) 19:21:22 :
うっそうとしたファンゴルンの森の中を、ジャンとマルコを肩に乗せ、ゆっくりとのし歩く木の髭。
木の髭「さて、お前たちを守るとガンダルフの旦那に約束した。わしの住んでいる場所へとお前たちを匿ってやろう。」
意外とおしゃべりが好きな木の巨人は、森にまつわるさまざまな伝承をジャンとマルコに聞かせていた。
マルコ「それで、エント女ってどんな姿をしていたんですか?」
木の髭「それが・・・・・・忘れてしもうたのじゃ。エント女はよく耕された土地を愛しておった。エントはうっそうとした森の中を好んだ。お互いの性向の違いから、それぞれ別の場所に住むようになってしもうたのじゃ。」
ジャン「おい、忘れたって・・・・・・自分の女忘れることなんてあるのかよ?」
木の髭「なんせ六千年も前の話じゃ・・・・・・恐ろしいほど長い間、エントっ子は生まれておらん。感じておるか? この森の木々は怒りに震えておる。じゃが、彼らのなだめ役であるわしらエントの数は少なくなってしもうた。」
-
- 33 : 2015/05/30(土) 19:22:51 :
-
――――――――子供が生まれず、滅びゆく種族、エント。
マルコ「なんだか、悲しい運命だね。」
ジャン「俺たちには関係のねぇ話だろ?」
マルコ「そうかな? 何だか、無関係には思えないけれど。」
ジャン「そうか?」
マルコ「そうだよ。」
やがて、すっかり日が落ちて、夜になったファンゴルンの森の奥地――――――木の髭の住居に、ジャンとマルコは到着した。
途中木の髭が歌い始めた詩に耳を傾けるうちに、二人はぐっすりと眠ってしまっていた。
起こさないようにゆっくりと二人をおろし、そっと声をかけた。
木の髭「ゆっくりと、眠るが良い。鳴り響く、森の声を気にせずに・・・・・・。さて、わしは行かねばならぬ。」
森の中にぽっかりと空いた穴のような場所のなかに、草地の柔らかい。
深く寝静まった二人をそこに残し、木の髭は自らの住居を後にした。
ファンゴルンの森の夜は、更けていく。
-
- 34 : 2015/05/30(土) 19:40:08 :
- 以上で第3話と第4話が終了になります。
次回もエレン・アルミン編、ジャン・マルコ編、リヴァイ・ライナー・アニ・ガンダルフ編の三本同時進行になります。
ますます話が複雑になり、整理するだけで手一杯ですが、頑張って執筆していきますので、よろしくお願いします<m(__)m>
-
- 35 : 2015/05/30(土) 21:33:19 :
- このssは更新が早いので見やすいです!引き続き頑張って下さい!
-
- 36 : 2015/05/31(日) 08:05:23 :
- ルカさん、いつもありがとうございます。
頑張りますので応援よろしくお願いします<m(__)m>
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場