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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

ピクシス「二つの塔」 ② 進撃×ロード・オブ・ザ・リング

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  1. 1 : : 2015/05/24(日) 12:38:27
    進撃×ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 第2話です。


    http://www.ssnote.net/series/2278



    よろしくお願いします<m(__)m>
  2. 2 : : 2015/05/24(日) 16:05:13










    ――――気が付くと、俺には周りの風景が動いているように思われた。


    今置かれているこの状況を、整理するのにとにかく時間がかかった。








    俺は今、手を縛られて、負ぶわれている―――――そうか、俺はマルコと一緒にウルク=ハイたちに連れ去られたんだ。











    ジャンの脳裏には、ついさっきの光景・・・・・・ベルトルトがジャンとマルコを守ろうとして、左胸に矢を受けてもなお戦う姿が思い出された。


    恐らく、ベルトルトはもう、生きてはいない。





  3. 3 : : 2015/05/24(日) 16:05:59







    ふと横を見ると、マルコも同じように手を縛られ、ウルク=ハイに負ぶわれているのが見えた。


    頭を怪我して出血し、マルコはぐったりしていた。






    ジャン「おい、マルコ、しっかりしろ!」



    マルコ「」




    ―――――ぐったりしていて反応がない。

    くそ、どうすりゃいいってんだよ。






    ふと、ジャンの頭に考えが浮かんだ。




    ジャン「おい、そこの化け物。」

    ジャンがウルク=ハイの一人に話しかける。




    ジャン「俺の連れが怪我してんだ。ちょっと休ませてやってくれよ。」



    ジャンには目算があった―――――マルコのためでもあるが、少しでもウルク=ハイたちの進軍を遅らせようとしたのだ。





  4. 4 : : 2015/05/24(日) 16:06:32





    だが・・・・・・



    ウグルク「おい、薬を飲ませてやれッ!!!」





    副司令官の命令を受けたウルク=ハイがマルコの口に酷い味のするオークの薬を飲ませた。



    マルコ「ゲホッ! ゲホッ! おぇ・・・・・・。」



    ジャン「マルコッ!」






    ウグルク「なんだ? 飲めねぇのか? ガッハッハッハッハッ!!!」



    ―――――全員で大笑いするウルク=ハイたち。







    すると、進軍するウルク=ハイの一段の前に、オークたちが何匹か現れた―――――グリシュナッハ率いる、モルドールのオークたちである。



    グリシュナッハ「おい、ご苦労だったな。そのチビ二人は俺たちがモルドールへ連れていく。」



  5. 5 : : 2015/05/24(日) 16:07:05





    ところが、ウルク=ハイたちはオークたちをあざ笑って言った。



    ウグルク「獲物は俺たちウルク=ハイがサルマン様に献上する。オークなんぞにわたしゃしねぇ。」







    ―――――一瞬即発の状態。いつ殺し合いが起こってもおかしくなかった。










    ウグルク「ん? この匂いは・・・・・・人間か?」



    副司令官は遠くからに追って来る人間、ドワーフ、そしてエルフの匂いを捕えた。







    ―――――間違いねぇ、リヴァイたちだ。


    ジャンは確信していた―――――どうにかして、俺たちの痕跡を残さなければ。








    グリシュナッハ「つけられてやがったのか!?」



    ウグルク「やむおえねぇなぁ、全速力で走るぞ!」







    共通の敵が現れたことで、仕方なくウルク=ハイとオークはアイゼンガルドを目指して走り出した。










    ジャンは何とか口でマントを止めているエルフのブローチを外し、地面へと落っことした。


    ―――――頼む、気付いてくれ、リヴァイ―――――・・・・・・









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  6. 6 : : 2015/05/24(日) 16:13:31











    (ドシン・・・・・・ドシン・・・・・・)




    リヴァイ「ちっ・・・・・・あいつら・・・・・・歩調を早めやがった。」


    地面に耳を当てて音を聞いていたリヴァイは、ウルク=ハイたちが走り出したのに気が付いた。







    アニ「匂いで気付かれたんだろうね。仕方ない、走って追いかけよう。」



    リヴァイ「覚悟するんだな、全速力で行くぞ。」



    アニ「ライナー! とっとと来な! 置いてくよ!」



    疲れも見せず、走り出す二人。








    ライナーは息も絶え絶えになって、必死について来ていた。



    ライナー「はぁはぁ、く、三日間ウルク=ハイどもを追って走りっぱなし・・・・・・ドワーフは、短距離型だ、長距離走は、苦手なんだッ!」




    毒づきながらも、全力疾走。


    男気ならば、誰にも負けねえ―――――プライドだけで、二人に食らいついた。




  7. 7 : : 2015/05/24(日) 16:39:56






    リヴァイ、アニ、そしてライナーは走り続けた。






    残された足跡を頼りに、疲れ果てても追い続ける。


    ベルトルトがその命を棄てても守ろうとしたもの―――――その遺志を守ろうとする気持ちが、彼らを突き動かした。









    走っていく途中、リヴァイは思わず足を止めた。



    リヴァイ「これは・・・・・・エルフのブローチ。」








    ジャンが落としたエルフのブローチに、リヴァイが気が付いたのだ。


    このブローチは持ち主の意に反して落ちることは決してない。


    つまり――・・・・・・





    アニ「急ごう、リヴァイ。あいつらはまだ生きている。」



    リヴァイ「そうだな、もう少しだ、急ぐぞ!」









    ライナー「おわッ!!!」



    下り坂を転げ落ちるライナー。



    ライナー「くっそぉおおぉぉぉッ! エルフなんかに負けやしねぇぞ!!!」






  8. 8 : : 2015/05/24(日) 16:40:35






    やがて、走っていくリヴァイたちの目の前に、広大な草原が広がった。




    リヴァイ「馬の国、ローハンだ。」








    ローハン―――――馬と生を共にする誇り高い騎士たち(ロヒアリム)の国。








    第2話


    二つの塔 ~馬の国、ローハン~









    リヴァイたちは足を止め、草原を見渡した。



    リヴァイ「アニ、お前の千里眼では何が見える?」





    鷹のような鋭い眼を、アニは凝らした。



    アニ「見えたよ・・・・・・あいつら、全速力で走ってる。しかも、アイゼンガルドのほうにね。」







    リヴァイ「・・・・・・ちっ、サルマンか。」



    思わず舌打ちするリヴァイ。









    アニ「まるであいつら、鞭打たれたように走ってる―――――アイゼンガルドから放たれる悪意が、ウルク=ハイたちを走らせて、私たちに敵意を向けさせてる。」







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  9. 9 : : 2015/05/24(日) 20:15:47







    ローハンの国境の西境、西の谷―――――そこにサルマンの居城、アイゼンガルドのオルサンクの塔は聳え立っている。








    天に向かって鋭く突き刺さるような黒曜石の尖塔の中で、サルマンはパランティアの石を覗いていた。


    その石の向こうに見えるのは、かの瞼のない、炎に縁取られた目―――――サウロン。








    ――――――――我が主、サウロン様。世界は変わろうとしています。







    今やだれが立ち向かうことが出来ましょう?



    アイゼンガルドとモルドール――――――この二つの塔の勢力に?







    古い世界は製錬所の炎で焼き尽くされ、その鉄の刃で天をも突く。



    新しい秩序が生まれつつあります。










    手始めはまず―――――――ローハン。



    我が主よ、ローハンは落ちかけております。







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  10. 10 : : 2015/05/24(日) 20:36:27







    雨降りしきるアイゼン川―――――アイゼンガルドからそう遠くないその川の浅瀬に、夥しい数のウルク=ハイと人間の死体が散乱している。










    ローハンの第三騎馬軍団長、イアンは愛馬であるファイアフットに乗り、騎馬軍を率いてここに来た。



    イアン「ミタビ・・・・・・王子を探し出せッ!!!」








    ローハンの第二騎馬軍団長にして、ピクシス王の後継者であるミタビ―――――彼の率いていた軍団が、アイゼン川の浅瀬で、無残にも死体の山に変えられていた。



    「くそ、この恨み、モルドールにきっちりと償わせてやるッ!」



    イアンの部下の一人が叫んだ。






    イアンは馬を下り、死んでいるウルク=ハイの装備を確認した。



    イアン「いや、こいつらはモルドールのものではない。」



    黒の鎧に、白い手の印――――――サルマンの軍団を示すものであった。






  11. 11 : : 2015/05/24(日) 20:37:27







    「王子がッ! 王子がッ!!!」






    部下の一人が浅瀬で倒れているミタビを発見、慌ててイアンはミタビに駆け寄った。



    イアン「・・・・・・まだ息がある。急いで王宮に引き返すぞッ!!!」







    イアンは13歳年下の親友、ミタビを前に抱きかかえるように馬に乗り、ローハンの都、エドラスへ向けて出発した。









    ――――――頼む、ミタビ。間に合ってくれッ!!!







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  12. 12 : : 2015/05/24(日) 22:48:14
    面白すぎて待てない!!



    ってかこれ映画出してもいいジャン!
  13. 13 : : 2015/05/25(月) 16:43:27
    ありがとうございます。


    実はこの物語は、元々映画なんですよね汗


    わたくしMGSお得意の映画パロです。
  14. 14 : : 2015/05/25(月) 16:44:10








    広い草原の真ん中にある小高い丘。その上に築かれたローハンの王都、エドラス。

    木で出来た高い城壁と、堀に囲まれた騎馬民族の都。






    その丘の中心に位置する王宮、黄金館――――――メドゥセルド。

    屋根が黄金で葺いてあり、その柱も底光りする黄金色・・・・・・力強い王の館。












    その王宮の一室で、イアンは連れ帰ったミタビの看病をしていた。







    リコ「ミタビッ!」


    ――――――ピクシス王の姪にして、イアンの妹であるリコが、帰ってきたミタビに寄り添った。


    ミタビは高熱を発し、苦痛にうなされていた。







    リコ「!!!」


    ミタビの腹部を見て、リコは思わず言葉を失った。











    ――――――大きな裂傷は、もはや手の施しようがなかった。





  15. 15 : : 2015/05/25(月) 21:08:48
    ついにローハンまで来たか…!期待!
  16. 16 : : 2015/05/26(火) 01:48:25
    いつも期待ありがとうございます。


    いよいよ来ました、ローハンです。


    ローハンでは駐屯兵団のキャラが中心になっております。ちなみにゴンドールは調査兵団が中心になる予定です。
  17. 17 : : 2015/05/26(火) 01:48:42






    イアンとリコの兄妹は、王であり、伯父のピクシスに、ミタビの傷の状態を報告しに行くことにした。







    王宮の中は薄暗く、広間の中央にある暖炉には火がともっていなかった。


    同様に部屋の篝火も燈されていない。







    広間の奥にある玉座に座っているピクシスは、一見するとドワーフかと思われるほど背中がくの字に曲がり、肌は青白くなり、焦点の定まらない様子であった。







    リコ「ピクシス王・・・・・・ミタビが・・・・・・。」


    ――――言葉が続かない。そんな気持ちを汲み取ってか、イアンが言葉を続けた。






    イアン「ミタビがウルク=ハイどもに襲われ、重傷を負われました。恐らく、今夜が山かと・・・・・・。」


    努めて声が震え無いよう気丈に振る舞うイアン。






    ピクシスは・・・・・・息子の危急に反応を示さなかった――――ここ最近、ピクシスはずっと耄碌していた。





  18. 18 : : 2015/05/26(火) 02:04:46






    イアンは意を決し、報告を続けた。



    イアン「ミタビは、サルマンの軍勢に襲撃され―――・・・・・・「嘘にございます。」






    イアンの言葉は、横から口を挟んだ陰険な男に遮られた。


    その男、グリマ―――――ピクシス王の相談役であり、蛇の舌という二つ名を持つ狡猾な男だった。そして・・・・・・





    グリマ「サルマンは古からの、我らローハンの同盟者でございます。」


    今やサルマンにそそのかされ、その間者と成り果てていた。






    イアンは憤ったが、ここは何とか抑えた。覆せない証拠を既に持っていたからだ。



    イアン「そのウルク=ハイどもは白の手の印をつけてローハン中を徘徊しております。」







    ミタビはテーブルの上に、白い手の印のついた兜を置いた――――間違いなくサルマンの手のものであることを示す証拠。




  19. 19 : : 2015/05/26(火) 02:22:41









    一瞬眉間にしわを寄せたグリマは、しかし、次のように言葉を続けた。


    グリマ「なぜお前は心痛甚だしい王の前にそのようなものを持ち出すのだ? 分からないのか? 王はお前の戦争好きにうんざりされておる。」






    この一言に、イアンの中の何かが音を立てて切れた。


    イアンは右手で素早くグリマの頬を掴んだ。




    イアン「ローハンの騎士としての誇りを棄てたか、グリマッ! ローハンの男が死に絶えたら、その分け前でも貰う約束でもしたのかッ!?」





    その時、グリマは部屋を出ていくリコを見やった。


    その様子を見て、イアンは右手にますます力を込めた。






    イアン「貴様は長年私の妹に付きまとってきたッ!」




  20. 20 : : 2015/05/26(火) 02:25:46

    イアンからしてみれば、妹に付きまとうグリマは軽蔑の対象だった。


    勿論、渡す気など毛頭ない。


    リコへの執着のため、ローハンを売ったグリマに、イアンは言いたいことが沢山あった。だが・・・・・・








    ガシッ! イアン「!!!」



    言い終わらないうちにイアンは後ろから二人の男に肩を掴まれた。

    無理やり右手をグリマから引き剥がされる。





    グリマ「お前は見過ぎた、イアン。」



    ドカッ! イアン「うぐッ!」



    腹部を殴られ、無理やり引きずられていくイアン。





    グリマ「軍団を無断出動させ、エドラスの防衛をおろそかにした罪でお前は追放だ。戻れば・・・・・・死罪だ。」



    イアン「く、貴様にそんなこと、決める権限はないッ!」






    すると、グリマはにやけて書類を取り出した。



    グリマ「私が決めたのではない・・・・・・王がお取り決めになったのだ。今朝この書類に署名された。」






    ――――――その書類は紛れもなく、イアンを追放の刑に処すことに同意した文章だった。

    震える筆致で、ピクシスの署名と捺印が施されている。言うまでもなく耄碌したピクシスに無理やりさせたものだった。







    イアン「ぐぅうぅうぅ、うおおぉぉぉおおぉぉぉッ!!!」









    ローハン第三騎馬軍団長、イアンはその忠義のために、エドラスを追放された。







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





  21. 21 : : 2015/05/26(火) 10:26:30








    ゼェゼェ・・・・・・ハァハァ・・・・・・







    ウルク=ハイ「ダメだ・・・・・・もう走れねぇ・・・・・・。」


    ウルク=ハイたちは三日三晩にわたる過酷な行軍に疲れ切っていた。気が付くと、あたりはすっかり暗くなっていた。







    ウグルク「よし、テメエら、ここでいったん休憩だッ!」


    ここに来て、彼らは漸く休息をとった。







    ずっと負ぶわれてきたジャンとマルコも、いったん地面に降ろされた。





    ジャン「おい、無事か? マルコ?」



    マルコ「何とかね・・・・・・全く、オーク流の治療は酷いものだよ。」






    ―――――オーク流の治療は酷いものではあったものの、マルコは元気を取り戻していた。


    ウグルクには計算があった。気性の荒いウルク=ハイやオークをまとめあげるのは並大抵でない。


    サルマンからの命令は捕虜を無傷で献上すること。ただし、追手に追われてゆっくりしている暇はない。


    そのためウグルクは、豪快を装いながら、その実冷静にマルコやジャンの体調管理に気を配っていた。



  22. 22 : : 2015/05/26(火) 10:27:20






    ウルク=ハイとオークは薪を取るために、近くにあった森の木を切り倒し始めた。







    (ギギギギギ・・・・・・)


    (ゴゴゴゴゴ・・・・・・)







    森の奥から、何か唸り声のようなものが聞こえてくる。ウルク=ハイとオークは気が付かなかったが、ジャンとマルコにはしっかりとその声が聞こえていた。






    マルコ「・・・・・・木々が、会話してる?」



    ジャン「はぁ?」






    思わず首をかしげるジャンに構わず、マルコは話を続ける。



    マルコ「昔、古森の話を聞いたことがあって、水の中に含まれる特殊な何かが、木々に生命を与えるんだ。」



    ジャン「木々に、生命を? はは、笑えねえ冗談だぜ?」



    マルコ「何となくだけど、怒ってるような気がするんだ。」



    ジャン「おいおい、ホントに笑えねえ。」







    暗闇でよく見えなかったが、曲がりくねった木の密集する森に、ジャンとマルコは思わず寒気を覚えた。




  23. 23 : : 2015/05/26(火) 10:29:04







    ウルク=ハイ「三日間、飲まず食わず・・・・・・食べるものといったらカビの生えたパンだけ・・・・・・くそ、肉が食いてぇなあ・・・・・・。」



    オーク「あぁ、そうだなぁ・・・・・・。」








    すると、そのオークはジャンとマルコを見た。


    オーク「なぁ、あいつらはどうだ? 新鮮だぜ?」







    その言葉を耳にしたウグルクがオークを突き飛ばした―――――またしてもウルク=ハイとオークがにらみ合う。


    ウグルク「そいつらは肉じゃねえ。サルマン様に無傷で献上するものだ。」






    別のオークが首をかしげる。


    オーク「こいつらをか? なんでだよ?」



    ウグルク「戦況を変えるエルフの武器を持っているそうだ。」







    それでもオークはしつこく食い下がった。


    グリシュナッハ「でも足はいいだろ? いらねえんだから?」




  24. 24 : : 2015/05/26(火) 10:29:44





    ウルク=ハイとオークが言い争っている最中、マルコはこっそりジャンに呟いた。



    マルコ「エルフの武器って・・・・・・もしかすると指輪かい?」



    ジャン「黙ってろ、俺たちが持ってねぇってばれたら殺される。」







    オーク「せめて一口、わき腹だけでもッ!」



    ジャンマル「「!!!」」


    背後から剣を抜いたオークが二人に襲い掛かろうとした丁度その時。






    ウグルク「ふんッ!!!」 スパッ!


    オーク「?」


    ―――――そのオークの首が地面に転がった。







    ウグルク「テメエら、メニューに肉が戻ったぞッ!!!」






    グオオォォオオォォオオォォッ!!!



    ウルク=ハイたちが一斉に歓声を上げ、首の飛んだオークの肉体を貪り始めた。






  25. 25 : : 2015/05/26(火) 15:52:58







    ジャン「おい、今のうちに逃げるぞ。」


    ウルク=ハイたちが肉に目線を奪われているのを見て、ジャンはマルコに耳打ちした。






    見つからないようにそっと、地面を這って進む二人。









    「おいッ!」


    マルコが背中を踏みつけられる―――――ジャンが振り向くと、そこにはグリシュナッハが剣を抜いて立っていた。






    グリシュナッハ「助けを呼んでみろよ? だぁれも来ねえと思うがな。」


    マルコめがけて剣を振り上げるグリシュナッハ。





    ジャン「おいッ! 止めろぉッ!」










  26. 26 : : 2015/05/26(火) 15:53:29










    ドスッ! グリシュナッハ「ギャアウッ!!!」


    その瞬間、彼の背中に突き刺さったのは、ローハンの槍。






    通りかかったローハンの騎馬軍団が、ウルク=ハイの軍団に襲い掛かった。








    勇猛果敢な騎馬軍の突撃に、ウルク=ハイの軍団はなすすべもなく討たれていく。







    ウグルク「隊列を組んで突撃。包囲網を突破するぞ。」


    唯一ウグルクの指揮した一団が包囲網を突破。近くの森へと逃げ込もうとする。









    ローハンの騎馬軍団が彼らを追跡。



    ―――――副司令官ウグルクは、丁度エドラスを追放されたローハン第三騎馬軍団長イアンとの一騎打ちに敗れ、討死した。







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  27. 27 : : 2015/05/26(火) 16:07:07







    アニ「・・・・・・赤い日が昇る。昨日、血が、流されたんだね。」








    夜通し走り続け、ジャンとマルコの後を追っていたアニは呟いた。


    ―――――三人とも、さすがに疲労の色は隠せなかった。夜明けの光が、疲れた顔を照らしだす。







    ライナー「ぜぇぜぇ、くそ・・・・・・いつに、なったら、追いつくんだ。」



    リヴァイ「急に速度を上げやがったからな・・・・・・あのクソ野郎ども。」









    疲れからか、苛立ちからか、リヴァイとライナーが愚痴を言い合っていると、アニがその視界に何かを捉えた。



    アニ「!!! 隠れな、騎馬隊がこっちに来るよ!」






  28. 28 : : 2015/05/26(火) 16:39:12






    リヴァイたちが隠れた岩陰の横を、通過していく騎馬隊の一団。


    ―――――先日追放されたイアン率いるローハン第三騎馬軍。





    リヴァイ「ローハンの騎士たちだ。」



    アニ「何でこんなところに?」



    ライナー「聞いてみるか?」



    リヴァイ「あぁ、あのクソ野郎どもの行方も知っているかもしれねえしな。」







    三人の意見が一致し、リヴァイが声をかけた。



    リヴァイ「おい、ローハンの騎士どもッ! どうしてこんなところにいるッ!」





  29. 29 : : 2015/05/26(火) 16:40:09





    すると、通り過ぎていった騎馬軍がこちらに向かって引き返してきた。



    ―――――幾重にもリヴァイたちを包囲するように取り囲むと、一斉に槍を向けた。






    リヴァイ「やめろ、ライナー。その斧を降ろせ。」



    リヴァイはライナーをたしなめると、両手を上げて敵意のないことを示した。






    軍団長のイアンが馬から降り、兜を取って三人を見下ろした。



    イアン「人間に、エルフに、ドワーフか・・・・・・ちびっこトリオがここに何の用だ?」



    ―――――この三人の中で最も背が高いのはリヴァイ(160cm)である時点でお察しください。






    ライナー(130cm)「ちっ、背が高いからって調子にのんじゃねえぞ。」




    イアン「ふん、お前の首がもっと高い位置にあれば、私が切り落としてやるのだがな。」








    ――――その瞬間、アニが弓を構えた。



    アニ(153cm)「その前にあんたの首が飛ぶけどねッ!」



    リヴァイ「止めろ、アニ。俺たちはここでやりあうつもりはねぇ。」




  30. 30 : : 2015/05/26(火) 21:17:42
    一緒に旅するならリヴァイとアニがいいwwあとガンダルフ!
  31. 31 : : 2015/05/27(水) 00:18:04
    ルカさん、いつもありがとうございます<m(__)m>


    年上達が揃いましたねw


    この三人が揃いましたら、素で巨人達を駆逐してくれそうな感じがします。
  32. 32 : : 2015/05/27(水) 01:11:09





    ライナーやアニをたしなめながら、リヴァイは尋ねた。



    リヴァイ「俺たちはウルク=ハイの一団を追ってきた。見かけなかったか?」



    イアン「そいつらなら昨日の夜、私たちが全員斬った。」







    イアンのその言葉に、ライナーが顔色を変えた。



    ライナー「おい、その中にホビットがいただろッ!?」



    イアン「ホビット?」



    アニ「見た目は子供くらいしかないけど、私たちの大切な仲間だ。言え、ホビットたちがいたはずだッ!?」







    殺気を漲らせるライナーとアニを押さえつつ、自らの激情も抑えてリヴァイは尋ねる。



    リヴァイ「テメエらは・・・・・・見ていないのか?」




  33. 33 : : 2015/05/27(水) 01:11:52







    イアンは、リヴァイたちに対し、哀悼と敬意、悔恨の混じった表情を浮かべ、答えた。



    イアン「見ていない・・・・・・殺したウルク=ハイどもは積んで燃やした。」



    慎重に言葉を選ぶイアン。






    イアン「ハスフェルッ! アロドッ!」



    イアンが口笛で合図をすると、二頭の馬が出てきた。

    ―――――償いにもならないことは分かっている。だが、戦士としての礼儀は尽くす。



    イアン「昨日の夜討死したこの馬の主人たちよりよき運命を・・・・・・。」










    リヴァイたちも、イアンなりの心遣いを感じ取り、やり場のない怒りを押しのけて馬を受け取った。












    馬に再びまたがったイアンは、最後にこう言い残して、北へと去っていった。



    イアン「我々は、ピクシス王に忠を尽くしたが故に追放された。王はもう正気を失われている。望みは持たないほうがいい。ここはローハン―――――望みに、見捨てられた土地だ。」






    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




  34. 34 : : 2015/05/27(水) 18:14:36






    アニ「向こうの方角に煙が上がってる・・・・・・急ぐよ!」






    リヴァイは一人で、アニとライナーが同じ馬に二人でまたがり、ウルク=ハイの死体が積まれて燃やされている場所へと急いだ。


    ―――――酷い死臭の漂うその死体の山の横には、ウグルクの首が槍で突きさされたまま、地面に立てられている。






    鼻がもげそうになるのを堪え、三人は灰となった死体の山を懸命にかき分けた。




    ライナー「!!! おい・・・・・・これは・・・・・・。」













    ライナーが取り出したもの―――・・・・・・




    それは、ジャンかマルコのどちらかが身に着けていたノルドールの短剣――――その鞘だった。






  35. 35 : : 2015/05/27(水) 18:15:10







    黒焦げになった鞘を見て、ライナーは呆然として呟いた。



    ライナー「ベルトルト・・・・・・俺たちは・・・・・・・・・・・・助けられなかった・・・・・・。」






    アニが目を瞑り、エルフ語で追悼の言葉を紡いでいく。






    リヴァイは落ちていたウルク=ハイの兜を蹴り飛ばし、声を上げた。



    リヴァイ「ぐおぉおぉああぁぁあぁぁぁッ!!!」











    ―――――後に残ったのは寂寥感と、己の無力感。



    ガンダルフ、ベルトルトに引き続き、ジャンとマルコまで死なせてしまった。








    自責の念に苛まれ、リヴァイはゆっくりと、膝をついた。














  36. 36 : : 2015/05/27(水) 18:16:05






















    リヴァイ「・・・・・・地面に這った後・・・・・・小柄の人間が・・・・・・二人。」



    視線を下に落としたリヴァイが、二人の痕跡を発見。






    リヴァイ「這ったまま進み・・・・・・縄を切った。」



    近くに刃物と縄―――――落ちていた剣を使い、二人は手を縛っていた縄を切った。






    リヴァイ「後ろにもう一人の足跡・・・・・・オークに追われたのか。」



    そのまま三つの足跡は続いていき、その足跡は―――――・・・・・・













    リヴァイ「・・・・・・そのままあいつらは、ファンゴルンの森の中に入ったのか。」



    ライナー「あいつら・・・・・・正気でこの森の中に?」








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





  37. 37 : : 2015/05/27(水) 18:17:21






    ファンゴルンの森―――――上古の記憶を宿した世界最古の森。


    かつてはホビット庄を含むエリアドールや、第一紀の末に海中に没したべレリアンドにまで拡がっていた大森林。


    僅かに残ったこの森林は、霧降山脈の南の端に広がり、アイゼンガルドのすぐ北に隣接していた。







    ジャン「はぁ、はぁ・・・・・・。」


    マルコ「く、これで・・・・・・逃げ切れたかな?」






    太古の森の濃い空気の中で、ジャンとマルコはオークから必死に逃げてきた。








    グリシュナッハ「待ちやがれ、このクソガキどもッ!!!」


    ―――――背中に突き刺さった槍の傷は浅く、グリシュナッハはイライラしながら二人を追いかける。






    ジャン「ちっ、まだ追っかけてきやがんのかッ!?」


    マルコ「あの木に登るんだ!」





  38. 38 : : 2015/05/27(水) 18:17:56





    慌てたジャンとマルコは近くの木によじ登り始めた―――――ジャンが木の上の方まで登り、マルコが中腹まで登った。





    マルコ「あれ、オークは・・・・・・どこに!?」


    オークを見失い、周りを見渡すマルコ。





    ガシッ! マルコ「うわぁッ!」


    ジャン「!!! マルコッ!」







    オークに足を掴まれ、マルコは木から引きずりおろされた。







    マルコ「わあぁあぁぁッ!」



    ドカッ! グリシュナッハ「ぐはッ! ・・・・・・テメエ。」



    抵抗され、顔面を蹴り飛ばされたことで、グリシュナッハは逆上した。




  39. 39 : : 2015/05/27(水) 18:18:46








    「うおわぁあぁッ!!!」




    突如、後ろから悲鳴が聞こえた。


    ―――――気が付くとジャンが木に体を掴まれている。







    ズシンッ! ズジンッ!



    グリシュナッハ「あっ?」



    グチャッ!






    突然歩き出した木にグリシュナッハは踏みつぶされ、マルコはその木の左手に捕まった。





  40. 40 : : 2015/05/27(水) 18:19:44






    「ふむ、チビのオークが二匹か・・・・・・。」


    その木は低いうなり声のような声を上げた。黄色い瞳と、枝をまるで髭のように蓄えた口。まるで―――――木で出来た巨人のような風貌であった。





    ジャン「木が・・・・・・しゃべった?」



    マルコ「し、信じられないよ。」





    すると、その木の巨人は怒ったように唸り声を上げた。



    「木じゃとッ!? わしは木ではないッ! わしは・・・・・・エントじゃ。」






    古に生まれし森の番人―――――エント。


    太古の時代は大勢おり、大森林の中を歩き回っていたのであるが、数の少なくなった今では、このファンゴルンの森の中を時々歩き回るのを、まれに見かける程度であった。




  41. 41 : : 2015/05/27(水) 18:20:16






    ジャン「え・・・・・・エント? 何だよそりゃ?」



    マルコ「アルミンが居たら・・・・・・知ってたかも。」






    目の前で起こっている出来事に頭が付いていけず、握られたまま呆然としているのをよそに、その巨人は話を続けた。



    「わしを木の髭と呼ぶ者もおる・・・・・・お前たちには関係のないことじゃがな、小さきオークたちよ。」





    ジャン「はぁ? 俺たちはオークじゃねえよ。ホビットだ。」


    ―――――さっきからオークと呼ばれ続けているのに少し腹が立ってか、ジャンの口調はとげとげしい。






    木の髭「ふむ、聞いたことがないぞ。お前たちは、松明で木を燃やし、斧を持ち込んでは木を切り倒すオークではないのかッ!?」


    思わず両手に力が籠り、二人が苦しみだした。





  42. 42 : : 2015/05/27(水) 18:20:48






    マルコ「待ってよ・・・・・・俺たちは・・・・・・ホビットですッ!」


    必死に訴えるマルコ。






    木の髭「そうかもしれん。じゃがそうではないかもしれん・・・・・・白の魔法使いなら分かるじゃろう。」












    ―――――二人は顔を見合わせた。



    ジャンマル「「サルマンか。」」






    急に手を離した木の髭。


    ドカッ! ジャン「痛ってッ!」

    ドカッ! マルコ「痛いッ!」






    彼らの目の前に――――・・・・・・


















    ――――――――白の魔法使いは、その姿を現した。






  43. 43 : : 2015/05/27(水) 18:25:31
    以上で第2話は終了になります。



    次回は恐らく2話分乗せる予定です。



    よろしくお願いします<m(__)m>
  44. 44 : : 2015/05/27(水) 21:43:49
    サルマンは最悪だからなぁ
  45. 45 : : 2015/05/27(水) 22:49:08
    高貴なものだったのに、自ら堕落した残念な魔法使いですからね。

    ホビットでは聖者のムードでしたが、最終的には小悪党にまで成り下がりますから…
  46. 46 : : 2015/05/28(木) 16:39:55
    期待
  47. 47 : : 2015/05/28(木) 20:49:26
    期待ありがとうございます。

    次回は再びエレンとアルミンの話になります。
  48. 48 : : 2015/05/31(日) 07:31:22
    ジャンとマルコ危なかったね!続きに期待
  49. 49 : : 2015/05/31(日) 08:02:21
    期待ありがとうございます!


    ジャンとマルコ、二つの塔から王の帰還にかけて見せ場はありますので、お楽しみに。

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hymki8il

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進撃×ロード・オブ・ザ・リング ~二つの塔~ シリーズ

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