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謎の記憶 ~自由の翼~

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  1. 1 : : 2015/03/07(土) 18:33:25
    http://www.ssnote.net/archives/32340#top

    http://www.ssnote.net/archives/32336

    の続きです

    書き溜めしてないのでかなり遅いです

  2. 2 : : 2015/03/07(土) 18:47:43
    期待!
  3. 3 : : 2015/03/08(日) 15:25:36
    ~1週間後・休み時間・廊下~


    ジャン「そうか、そんなことがあったのか。まあ、俺も外の世界、いってみたかったなあ」

    エレン「ああ。てか、お前覚えてんのか?」

    ジャン「ああ、なんか、昨日お前と喧嘩してるときに、な。」

    エレン「はぁ~、何でお前なんだよ……」

    ジャン「あ?悪かったな」

    ミカサ「マフラー…… よかった。」

    エレン「ああ、てか、あのいってらっしゃいってやつ、お前何か知ってんのか?」

    ミカサ「……よく、わからない。でも、あの時私はいなかったはずなのに、エレンとアルミンが壁外へ行く姿は記憶にある。」

    エレン「え……、そうか。なんだろうな?これ。」

    ジャン「やっぱアルミンに記憶を取り戻してもらわねえと、俺達じゃ何もわかんねえ。」

    エレン「まあ、そうだよな。俺はミカサの言葉がきっかけで、、」

    ジャン「俺はお前との喧嘩で」

    ミカサ「私はエレンにマフラーを巻いてもらったとき……」

    エレン「じゃあ、アルミンも何かあの世界での思い出深い何かを見たりやったりしたら思い出すって感じか?」

    ミカサ「恐らく、そうだろう。でも、アルミンに関しては……」

    ジャン「……どう、すればいいんだ?」

    エレン「ぃ、色々あるけど、実際にやってみたり、目で見たりっていうのはちょっとな……」

    ミカサ「ええ、とても体現しにくいものばかり。」

    ジャン「そうか。とりあえずなんかあの時の言葉とか使ってみるってのはどうだ?えーと、ミカサの『そんな子に育てた覚えはない』とかみたいに」

    エレン「ああ、なるほどな。」

    ミカサ「確かにいいかもしれない、というより、それしかできそうにない。」

    エレン「じゃあ決まりだな!よろしくな、二人とも」

    ジャン「ああ」

    ミカサ「ええ」
  4. 4 : : 2015/03/08(日) 21:42:07
    期待です!頑張ってください!
  5. 5 : : 2015/03/08(日) 21:43:27
    期待です!
  6. 6 : : 2015/03/08(日) 22:23:46
    ~4組・3時間目~


    ミカサ(とはいえ…………)

    デ,キョウカショノズノヨウニ,ブッタイノウシロニナミガマワリコム,コノゲンショウヲナミノカイセツトイウ
    ジャア,ホンブンノサンギョウメ,ジュウヨウダカラセンヒイトイテ

    ミカサ(普通の休み時間にアルミンとゆっくり話せるのは私だけ)

    ミカサ(それに、協力を仰ごうにもこの記憶があるのは私含め3人だけ……)

    ミカサ(この記憶は……なんだろうか?)

    ミカサ(3人で共通の世界での記憶……前世?)

    ミカサ(エルド先生に聞いてみよう。)

    ~休み時間・社会科準備室~


    コンコン

    ミカサ「失礼します。」ガチャッ

    オルオ「ん?どうした?」

    ミカサ「あの、エルド・ジン先生に聞きたいことがあって、、」

    オルオ「あー……次、4組で世界史の授業があるだろ?」

    ミカサ「ぇ、あっ!えっと……失礼しました///」ガチャッ
  7. 7 : : 2015/03/08(日) 22:31:58
    すごく面白いです!頑張ってください!
  8. 8 : : 2015/03/08(日) 23:31:34
    期待!
  9. 9 : : 2015/03/08(日) 23:50:13
    >>2>>4>>5>>7>>8
    ありがとうございます。

    今めっちゃ必死に書いてるんでしばらくお待ちください
  10. 10 : : 2015/03/09(月) 07:08:06
    期待しています(≧∇≦)
  11. 11 : : 2015/03/09(月) 16:20:15
    ~4組~


    ミカサ「ハァ、ハァ、、先生!」

    エルド「ん?どうした、アッカーマン?」

    ミカサ「えっと、聞きたいことがあります。できればここでじゃなく、」

    エルド「ああ、別にいいが、どうした?」

    ミカサ「とにかく来てください!」
  12. 12 : : 2015/03/09(月) 16:21:16
    ~廊下~


    ミカサ「わざわざすみません。」

    エルド「で、どうしたんだ?」

    ミカサ「えっと、……この世界に、巨人が存在したことはありますか?人を補食することしか知らないような。」

    エルド「……どういうことだ?」

    ミカサ「いえ、ですから巨人……あ、人間の天敵でもあります。」

    エルド「それは、聞いたことがないな。第一、人間の天敵の巨人がいたとして、現在人間が安全に暮らしているなら、その事実を授業で取り扱うだろう。」

    ミカサ「そう、ですよね。すみません、お騒がせして。」

    エルド「いやいや、別にいいんだ。ただ……」

    ミカサ「ただ?」

    エルド「いや、前に同じようなことをリヴァイさんにも聞かれたんだ。」

    ミカサ「チb…兵ch……ぇと、リヴァイ、先生が?」

    エルド「ああ。一体何なんだ?」

    ミカサ「私は、知りません。」

    エルド「そうか。じゃあ、そろそろ授業が始まるから、」

    ミカサ「あ、はい。ありがとうございました。」

    エルド「ああ。」
  13. 13 : : 2015/03/09(月) 16:55:28
    ~昼休み・屋上~


    エレン「(なあ、なんか分かったか?アルミンは?)」

    ミカサ「(アルミンはダメだった。それと、この記憶は前世のものではないらしい。)」

    エレン「(前世、か。違うのか。なんでだ?)」

    ミカサ「(この世界に巨人がいたという事実がないから。)」

    エレン「(なるほどな。)」

    ユミル「あー、お二人さん?ここでイチャイチャすんのは勘弁してくれねーか?w」

    クリスタ「ゆ、ユミル、そんな言い方は……/// 二人の仲がいいのは良いことでしょ?」

    ミカサ「別にイチャイチャしていたわけでは……///」

    エレン「なんで顔赤くなってんだ?ミカサ」

    ミカサ「ぇ、エレンはわからなくていい///」

    エレン「???そうか?」

    ユミル「フッ、フハッw どんだけwww」

    ジャン「まあ、相変わらず鈍感だな。くそっ、羨ましい……」

    アニ「チッ……」

    ミーナ「ま、まあまあ」

    エレン「え、え?皆どうしたんだよ?」

    ライナー「はぁ、お前、もうミカサと付き合っちまえよ……」

    エレン「は? どこに?」

    ミーナ「!?」

    ベルトルト「う、嘘だろ……」

    ミカサ「み、みんな、エレンに変なことを吹き込むのは良くない///」

    エレン「えっ、どういうことなんだよ?」

    サシャ「お二人が恋人同士になるってことですよ。」

    マルコ「直球だね、サシャ。」

    コニー「二人ともお似合いだぜ!」

    エレン「なっ/// いや、そんなんじゃねえし、俺とミカサは…えと、、まあ、兄弟みたいなもんだ///」

    ミカサ「そ、そう///,私達は、家族///」

    ミーナ「そうだよ!ライナーとベルトルトも家族、、いや!それ以上!!」ホモォ!

    ベルトルト「いや、だ、だから違うって……」

    ライナー「ああ、違うに決まってんだろ?
    俺にはクリスタがi ユミル「ああ?ホモは黙ってろ。」

    ライナー「」

    クリスタ「そんなこと言っちゃダメだよ!ユミル」

    ユミル「んー、やっぱり私の女神様は可愛いな~」ナデナデ ギュー

    クリスタ「もう~」プクー
  14. 14 : : 2015/03/09(月) 16:58:53
    エレン「そういや、アルミン、さっきからどうしたんだ?黙りこんで、」

    アルミン「……」

    ジャン「アルミン?」

    アルミン「……」

    ミカサ「あ、アルミン?」

    アルミン「……」

    エレン「アルミンっ!!」

    アルミン「フワァッ!どっ、どうしたの!?」

    エレン「いや、アルミンが反応しねーから。」

    アルミン「あ、ああ。ごめんね。朝図書室で読んだ本がとても興味深いものだったから、ちょっと考え込んでて……」

    エレン「そうか。やっぱりアルミンは本が大好きなんだな。」

    アルミン「やっぱりって?」

    エレン「え!?あ、ああ、気にしないでくれ」

    アルミン「?そう?」

    ミカサ「ちなみに、その本には何が書かれていたの?」

    アルミン「パラレルワールドについてだよ。まあ、今の科学でその存在を確認することはできないけど、とっても夢のある話だなぁって!」キラキラ

    ジャン「パラレルワールドってどんなやつなんだ?」

    アルミン「ある時点から分岐してそれと平行して存在するもうひとつの世界のことだよ。」

    ジャン「???え、えーと、もうちょっと分かりやすくたのむ。」

    アルミン「んーと、、例えば君は今弁当を食べている。でも次の瞬間君がその弁当を食べ続ける場合と、食べるのを止める場合とに別れる。すると、食べ続けるジャンと食べるのを止めるジャンに別れる。前者のジャンがいる世界に平行して後者のジャンがいる方の世界が、二つ目の世界としてできる。これがパラレルワールドだよ。」

    コニー「」チーン

    サシャ「」チーン

    エレン「」プスプス

    マルコ「それは、確かに面白そう!」

    ジャン「な、なるほどな、、難しいな……」

    ミカサ(私達の記憶は、そのパラレルワールドが関係しているのだろうか?)
  15. 15 : : 2015/03/10(火) 00:55:49
    ~放課後・帰り道・エレン、ミカサ~


    エレン「アルミンの言うことはやっぱり難しいな……」

    ミカサ「でも、それもアルミンらしい。」

    エレン「まあ、そうかもな。はぁー、結局ダメだったか。」

    ミカサ「もしかしたら、この記憶はパラレルワールドが関係しているのかもしれない」

    エレン「え!?そうなのか?」

    ミカサ「い、いや、まだわからないけど、」

    エレン「うっ、だとしたら理解できそうにねえな、、」

    ミカサ「それと、提案がある。」

    エレン「ん、なんだ?」

    ミカサ「アルミンを、海に誘うのはどうだろか。できれば3人で。」

    エレン「え?なんでだ?」

    ミカサ「あの世界のアルミンとエレンは、この季節の冬で眠りについた。体調までは無理だけど、それ以外であれば似たような場面ができる。それに、ここは内陸部だから、私達はもちろん、アルミンも、海を見たことがないかもしれない。」

    エレン「おお!確かに!さすがミカサだな!」ガシッ

    ミカサ「そ、そういってくれると、うれしい///」

    エレン「よしっ、早速明日誘おうぜ!」

    ミカサ「できるなら私達以外が聞いていないところで」

    エレン「ああ!」
  16. 16 : : 2015/03/10(火) 10:48:41
    ~夜・アルレルト家~



    炎の水、砂の雪原、氷の大地…………


    地下室にはたくさんの本が置いてある。
    おじいちゃんは昔、僕と同じように本が大好きだったらしい。

    物心ついた時から、頭から離れない言葉。


    炎の水、砂の雪原、氷の大地…………


    よくわからないが聞いたことのあるようなその3つの言葉を、今日も自分より背の高い本棚から探す。
    が、見つかるはずもない。


    ああ、すこしほっとした


    3つの言葉を発見したら、何故だか今の僕自身が崩壊してしまいそうな、しかし逆に、やっと僕自身が完成するような、そんな気がしている。
    だから、そう。
    今、3つの言葉を見つけられない僕は、ぽっかりと穴が開いたような状態というのが妥当だろう。

    ああ、こわい。とても、こわい。

    あの日のように、寄り添ってほしい。
    あの日のように、あったかくしてほしい。


    あの日…………?


    う……み……?
  17. 17 : : 2015/03/12(木) 01:00:46
    ~翌日・早朝・廊下~


    エレン「おっ、おい!アルミン!」タッタッタッ

    アルミン「ああ、エレン。おはよう!今日は早いんだね」

    エレン「ああ、ちょっとお前に話があってな。」

    ミーナ「お!愛の告白かな!」ヒョコッ ワクワク

    エレン「んなわけないだろ。」

    アルミン「あ、ミーナおはよう」

    エレン「すまんな、ミーナ。アルミンと二人きりで話したいからあっち行っててくれないか?」

    ミーナ「なにっ!怪しい……」ホモォ…

    アルミン「エ、エレン。本当に……///」

    エレン「なあ、頼むからよ、、」

    ミーナ「仕方ないな~。その代わり!相手の返事は聞かせてよ?」

    エレン「は?んまあ、いいけどよ」

    アルミン「ふぁっ!?///」

    ミーナ「じゃあね~」フリフリ

    エレン「おう」フリフリ

    アルミン「あ、あの…///エレンには悪いけど僕にそっちの趣味は……///」

    エレン「趣味? なんのことだ?」

    アルミン「え? あっ、///いや、えと、話ってなんだい?」

    エレン「おう。今週末さ、一緒に海に行かないか?」

    アルミン「海……?」

    エレン「ああ。」

    アルミン「どうして?」

    エレン「え?あ、あー、えーとな、な、なんとなくだ!あれだ、見たことないだろ?だからだ!」

    アルミン「見たことは、確かにないけど、…………ごめん、行けないや。」

    エレン「あ、まあ、今週末じゃなくても、来週とかでもいいが、、」

    アルミン「い、嫌だ……。こわい……」

    エレン「え、こわい……?」

    アルミン「あっ、いや、ごめん!とにかく無理だから!」タッタッタッ

    エレン「あ!あぁ、……」
  18. 18 : : 2015/03/12(木) 20:08:49
    ~休み時間・廊下~


    ミカサ「こわい、とは?」

    エレン「いや、俺もわかんねーけど、、アルミンのやつ、そういって走って逃げてった…」

    ジャン「海がこわいってことか?」

    エレン「なんでいるんだ?」

    ジャン「お前……俺の扱い酷くねえか?」

    ミカサ「悪いとは思うけど、ジャンはこの計画には必要ない。」

    ジャン「うっ……、あれ?ミカサ、髪切ったのか?」

    ミカサ「ええ、今朝おばさんに切ってもらった。」

    ジャン「そ、そうか、似合うぞ///」

    ミカサ「どうも。」

    エレン「ああ、やっぱりその方がしっくりくるな!」

    ミカサ「ど、どうも///」

    ジャン「」
  19. 19 : : 2015/03/12(木) 23:00:27
    ~休み時間・職員室~


    プルルルルルル プルルルルルル

    ガチャ

    エルヴィン「はい、シガンシナ高校です。」

    《あ、もしもし、国立病院ですが、アルミン・アルレルトさんのおじいさんが心臓発作で今、緊急搬送されました。》

    エルヴィン「は、はあ、容態は?」

    《今は落ち着いていますが、もう、先は……》

    エルヴィン「そう、ですか。今からアルミン君をそちらに向かわせてよろしいですか?」

    《本人が望むのなら、是非》

    エルヴィン「わざわざありがとうございます。では。」

    ガチャ
  20. 20 : : 2015/03/12(木) 23:01:08
    ~休み時間・4組~


    アルミン「はぁ~」

    ミカサ「アルミン、気にしない方がいい。エレンも気にしていないと言っていた。」

    アルミン「うん、ありがとう。昼休みに謝っておくよ。」

    ミカサ「それがいい。」

    コニー「お!ミカサ髪切ったんだな!」

    ミカサ「ええ、エレンも誉めてくれた///」

    アニ(……私も切ろうかな……)

    ガララッ

    グンタ「アルミン!アルミンはいるか!?」

    アルミン「は、はい!」ガタッ

    グンタ「ああ、アルミン。いま、君のおじいさんが病院に搬送された。」

    アルミン「ぇえ!?ど、どうして!?」

    グンタ「とりあえず俺の車で向かうぞ。説明は後だ。」

    アルミン「あ、お願いします。」

    ミカサ(まさか……、でも、あの世界とは少し違うこともある。もしかしたら……)
  21. 21 : : 2015/03/12(木) 23:01:52
    ~昼休み・屋上~


    エレン「あれ、アルミンは?」

    コニー「ああ、アルミンなら病院に行ったぞ。なんか、おじいさんが搬送されたとかで、、」

    エレン「え!(お、おいミカサ!まさか……)」

    ミカサ「(ええ、まだわからないけど、もしかしたら……)」

    エレン(アルミン……)

    ライナー「大変だな、アルミンも。」

    ベルトルト「大丈夫かな……」

    クリスタ「し、信じるしかないよ!皆で祈ろう……」

    ユミル「そうだな……」

    エレン「食おうぜ!アルミンもじいさんもきっと大丈夫だ!」

    ミカサ「そう。きっと大丈夫。」

    ジャン「そうだ!時間なくなるぞ!」

    マルコ「じゃあ、食べようか」

    サシャ「そうですね!」モグモグ

    ユミル「はっ、お前はいつも何か食ってんだろ?」

    サシャ「なっ!失礼ですね!今日の休み時間は何も食べてませんよ!」
  22. 22 : : 2015/03/12(木) 23:04:19
    ~夜中・国立病院~


    覚悟はしていた。
    しかしこうも簡単にだなんて。
    髪が長く丸縁の眼鏡をかけた男の医者は、もって今夜いっぱいだと言った。

    おじいちゃんの手を握る。


    あたたかい


    今生きているのは、延命器具をつけているお陰だ。
    これを外してしまえば、間もなく呼吸は止まる。


    ごめんね、苦しいだろうに


    でも、まだ ありがとうって言ってないから


    もう少し、もう少し……


    こんな時、意外にも落ち着いている。
    大丈夫、泣かない。

    僕はこれから、どうすればいいの?
    また、ひとりぼっち。

    問いかけるように、強く手を握った。

    すると、握り返してくれた。
    ああ、おじいちゃんは優しいね。
    でも、

    ピーーーーーーーー

    現実は無情だ。
    駆けつけた医師たちによって蘇生術が施されるが、荒い息で医者は言った。


    ご臨終です


    父さんと母さんが殺された時、ひとりぼっちの僕に言ってくれたよね。

    強かに生きるんだと。

    お前は喧嘩は弱いが頭が良い

    それは、

    守りたい者を守るときにきっと役に立つから、と。


    おじいちゃん、ありがとう。
    本当は休んでいいんだけど、僕は明日から学校へ行くよ。

    まだ枯れてもいないはずの涙は、いまだ流れ出る気配はない。
    そんな不思議な感覚を胸に、呟く。


    ありがとう、ありがとう……
  23. 23 : : 2015/03/12(木) 23:06:47
    ~翌日・昼休み~


    ジャン「おっ!今日は来てんだな!」

    アルミン「ああ、昨日ぶりだね」

    コニー「で、どうだったんだよ?」

    ミカサ(コニー!余計なことを……!)

    アルミン「あ、ああ、えっと、……昨晩、息を引き取ったよ……」

    コニー「あっ、いや、す、すまん。」

    アルミン「いや、いいんだよ。それより早く食べよう。4組の5時間目は体育だよ。」

    アニ「そうだね。」

    エレン「なあ……アルミン。」

    アルミン「どうしたの?」

    エレン「放課後、図書室来いよ。」

    アルミン「あ、ごめん、今日はちょっと、」

    エレン「来てくれ」

    アルミン「……まあ、ちょっとぐらいなら……」

    エレン「悪いな。」
  24. 24 : : 2015/03/13(金) 18:12:40
    ~放課後・図書室~


    エレン「よう、来たな。」

    アルミン「……どうしたの?」

    エレン「……」ガバッ

    アルミン「え、ちょっとエレン?」

    エレン「なあアルミン、誰も見てないからよ、泣けよ。我慢すんな。」ギュゥゥゥ

    アルミン「別に、……我慢なんか、、」

    エレン「……」ギュゥゥゥ

    アルミン「……」ウルウル

    エレン「……」ギュゥゥゥ

    アルミン「グスッ……ェ、エレン、、……ありがとう……」グスン

    エレン「辛かったな……」

    アルミン「ヒック、……グスン……ねぇ、エレン……」

    エレン「ん?」

    アルミン「あの、海……、一緒に行ってもいい?」

    エレン「! もちろんだ!」

    アルミン「ありがとう……グスッ……ありがとう!」ギュッ

    エレン「ああ」
  25. 25 : : 2015/03/13(金) 18:14:38
    ~1週間後・土曜日~


    電車で一時間、バスで二時間。
    朝9時頃出発して到着する頃には正午近く。
    僕の横には二人の友達が静かな寝息を立てて寝ている。


    ふふっ、和むなあ


    アルミン「エレン、ミカサ、着いたよ!起きて!」

    エレン「んぁ?ふわぁ~あ、着いたか……」

    ミカサ「ん、おはよう……」

    アルミン「ふふっ、行こう!」


    バス停の裏に林がある。
    林を抜けると海がある。


    海……


    内陸部に位置するシガンシナ区、およびトロスト区出身の僕らは生まれてから一度も、この目で海を見たことがない。

    もちろんどんなところなのかぐらいは知っている。
    写真や絵や映像で見たことがあるから、だいたいわかる。

    実を言うと、全く楽しみじゃない。
    僕の中にあるのは、乗り物に揺られて蓄積された空腹と、僕の中の『穴』が塞がれてしまうのではないかという恐怖。

    わざと明るく振る舞って、二人の前に立ち、軽く先導する。


    アルミン「ほらっ!あそこを抜ければ……海だよ!」

    エレン「ああ、行こうぜ!」

    ミカサ「楽しみ。」
  26. 26 : : 2015/03/14(土) 02:40:23
    めっちゃ期待!
  27. 27 : : 2015/03/14(土) 13:36:25
    ~林~


    ミカサ「あ、あの、アルミン」

    アルミン「ん?どうしたの?」

    ミカサ「あー、えと、あっちに、珍しい虫を見つけたので、見てきてもよいだろうか?」

    アルミン「え?い、いいけど、、どうしたの?急に」

    ミカサ「乙女とはそういうもの。覚えておくと良い。すぐ戻るので先に行ってていい。」

    アルミン「わかった。」

    エレン「早く来いよ?」

    ミカサ「ええ。」

    ザッザッザッザッ

    アルミン「あはは、乙女のことはよく分かんないや、」

    エレン「まあ、あれはミカサ特有だろ」

    アルミン「やっぱりそうかな?」

    エレン(もうちょっとマシな言い訳なかったのかよ……)

    ザッザッザッザッ

    エレン「悪い、アルミン。ちょっと小便いってくる。すぐ行くから先行っててくれ。」

    アルミン「ぇ、うん。わかった……」

  28. 28 : : 2015/03/14(土) 13:37:04
    独り……


    冷たい寂寥が僕を襲う。
    林を抜けた。

    これが、海。
    海岸には、さらさらの砂。
    吹き抜く風は、独特の匂いを含む。

    僕は砂浜に腰を下ろした。


    ミカサは…… エレンは…… まだかな



    ドクン



    アルミン「ぅぅ……、、グッ…… ぅぁあ!」ズキッ

    アルミン「はぁっ、はぁ、ウゥッ……!」ドサッ

    エレン「ぇ、あ、おい!アルミン!」タッタッタッ

    ミカサ「アルミン!?」タッタッタッ

    エレン「アルミン!……アルミン!?」ペチペチ

    アルミン「……」スー スー

    ミカサ「寝ている……だけみたい。」

    エレン「まさか、記憶が?」

    ミカサ「そう、かも。」
  29. 29 : : 2015/03/14(土) 13:39:29
    目の前に広がる海。
    隣には僕に寄り添ってエレンが寝ている。
    首にはマフラーが巻かれている。


    あれ、僕は死んだはずじゃ……


    しかし、何故か知っている。
    あの日、エレンが隣に座って、落ちているマフラーを手に取って巻いてくれたこと。


    あったかい


    空は薄暗くなり、冷たい風が頬を撫でる。
    この光景は、僕が見ることはないはずなのに、何故か覚えている。

    というか、僕は今日、エレンとミカサと3人で海に来たんじゃないか。
    だから、そう。
    エレンの隣にはミカサが寄り添って寝ている。

    この光景も、記憶にある。


    炎の水、砂の雪原、氷の大地…………


    なんとなく悟った。
    これは、二つの記憶が僕の中に存在している。
    1つはこの世界、もう1つは巨人がいた世界。

    もしかしたら僕は、完成したのかもしれない。
  30. 30 : : 2015/03/14(土) 13:40:44
    あんなに寝たのにエレンはまた寝てる。
    帰りの電車で、ミカサが聞いてきた。


    ミカサ「アルミン、記憶は、戻った?」

    アルミン「戻った、って言うのかな。そもそもこの記憶は僕らや僕らの先祖のものでは無いようだし。」

    ミカサ「それでは、これは何なのだろうか。」

    アルミン「海で独りにしたのは僕にこの記憶をもたらすため?」

    ミカサ「悪いことをしたとは思っている。けど、やはりアルミンでないとこの記憶の正体はわからないと思って……」

    アルミン「いくら考えても、答は出ないような気がする……」

    ミカサ「そう……。私は、アルミンの言っていたパラレルワールドが関係してるのではと思ったけど、、」

    アルミン「確かに、それで説明がつかない訳じゃないけど、そうだとしたら確認のしようがない。だから、いくら頑張っても、これは分かり得ないものだと思うよ。」

    ミカサ「それは、残念。」

    アルミン「すごく、昔のことのように感じるね。」

    ミカサ「ええ、なんだか、この記憶は懐かしい。」

    アルミン「なら、それで良いんじゃないかな?古き良き思い出で。」

    ミカサ「フフッ、やっぱりアルミンには正解を導く力がある。」

    アルミン「あはは、そんな大したことじゃないよ。それと話は変わるけどさ、」

    ミカサ「何?」

    アルミン「この世界とあの世界って、少し被ってるよね、特にミカサの、両親の事とか、、」

    ミカサ「ええ、それがなにか?」

    アルミン「えっと、エレンを起こしてくれるかい?」

    ミカサ「? わかった。エレン、起きて。」ユサユサ

    エレン「ん……、ぅ、ん?ぁ、アルミン!」

    アルミン「やあ、エレン、おはよう。」

    エレン「あ、アルミン、記憶は?」

    アルミン「ああ、あるよ。巨人のいた世界だろ?」

    エレン「あぁ、やった!アルミン!この記憶の正体はなんなんだ!?」ガバッ

    アルミン「ちょっと、静かにして。ここは電車の中だよ。」

    エレン「ぅ、悪い。で、記憶の正体はわかったか?」

    アルミン「ごめん。わからない。」

    エレン「そ、そうか。すまねえな。」

    アルミン「い、いいんだよ。」

    ミカサ「アルミン、そりより話があるんじゃ、」

    アルミン「うん。」

    エレン「なんだ?」

    アルミン「今、この国はシーナ連邦と領土問題で軋轢を生んでいる。知っているかい?」

    エレン「まあ、ニュースで毎日やってるから、詳しくは知らねえが……」

    アルミン「このままだと、戦争になる可能性が高い。」

    ミカサ「そ、そうなの?」

    アルミン「うん。割と、そこまで軽い問題じゃないんだ。その領土が有るか無いかでとれる水産資源に始まり、様々な経済要因に関わってくるからね。」

    エレン「お、おう。なんとなくわかるぜ。」

    アルミン「だから、その、、エレンもミカサも覚悟しといた方がいい。」

    エレン「は?何を?」

    ミカサ「えっと、まさか……」

    アルミン「隠蔽されたものを除けば、この102年間、戦争は起きていない。102年間、わかるだろ?」

    エレン「お、おい、、それって、ぅ、嘘だろ?なあ……」

    アルミン「この世界とあの世界の出来事は、被っているけど、ちょっとずつ違う点がある。いつ、起こってもおかしくない。」

    エレン「で、でもあれは巨人が、、」

    アルミン「この世界には巨人がいないから、その点も修正されるかも。」
  31. 31 : : 2015/03/14(土) 13:50:57
    ここで聞きたいのですが、
    この作品の終わりについて、
    ハッピーエンドだが謎のままか、ハッピーエンドではないが謎は解明されるか、
    どちらがいいかを聞きたいです。

    本日の23:59まで受け付けます。

    このssはまだ終了していないので、どちらがいいかを、このシリーズの『美しき残酷な世界』の方にコメントしてください。

    ちなみに、ハッピーエンドならばこのssでシリーズ自体が終了します。

    よろしくお願いします。
  32. 32 : : 2015/03/14(土) 13:52:14
    (この作品の評価がとんでもなく心配なのはここだけの話)
  33. 33 : : 2015/03/14(土) 13:53:03
    バットエンドがいいです期待してます
  34. 34 : : 2015/03/14(土) 13:55:58
    >>33
    コメントありがとうございます。

    その件については、このシリーズの『美しき残酷な世界』の方に書いてください。

    お願いします。
  35. 35 : : 2015/03/16(月) 00:50:51
    我ながら大雑把で稚拙な推察だと思った。
    しかし、あまりにもあからさまだ。

    きっと、起こってしまうんだろうなあ

    と、思ってしまった矢先だった。

    シガンシナ区全域に、およそ100年間の安寧を突き破って鳴り響いた、空襲警報。

    政府が2国間の話し合いを約束したと伝えられた翌日、いつものようにみんな学校に、みんな会社に行った日だった。

    とても不自然だ。

    そしてやはり、エレンは学校から自宅へ走り、その後ろをミカサが追いかける。

    今度は僕も追いかけた。

    途中でハンネスさんに出会った。
    彼はこの世界では警察らしい。
    事情を説明し、付いて来てもらった。

    案の定の光景。

    そして、あの日の反復。


    学校の生徒は全員無事だった。
    教師の先導により、安全なルートで避難できたからだ。

    僕ら3人もそれに追い付いた。
    事情を説明したが、先生は勝手な行動を怒らなかった。

    とても不自然だ。

    これは、やはり、平行世界の修正力なのだろうか。
  36. 36 : : 2015/03/16(月) 00:51:58
    すみません。言い忘れました。
    再開します。
  37. 37 : : 2015/03/16(月) 00:53:12
    戦争は二日ほどで幕を閉じた。
    ほんの一瞬の事のように感じられた。

    避難場所から出て目に入った光景は、僕らの見慣れたシガンシナ区ではなく、灰色の空虚な空間だった。

    戦争の件については、和解したそうだ。

    なんとも酷いことだ。

    和解で済むのなら最初から武力を行使すべきではない。
    そこは人間の愚かなところだ。
    無駄な犠牲は多い。
    カルラ・イェーガーもその一人。


    アルミン「エレン、おじさんは?」

    エレン「戦争の、前の日から往診に行ったまま、帰ってこない。」

    アルミン「そっか。まるで同じだね。」

    エレン「アルミン、ありがとな。俺、どっかで覚悟ができてた。」

    アルミン「うん。残酷、だね。」

    エレン「ああ。」

    アルミン「そういえばミカサは?」

    エレン「あいつ、あの日以来時々酷い頭痛がするとかで、」

    アルミン「へぇ……、そっか。大丈夫なのかい?」

    エレン「ああ。ストレスだろうって、医者が言ってた。」

    アルミン「ねえ、エレン?」

    エレン「なんだ?」

    アルミン「安寧が破られた今、戦争がまた、起こるかもしれない。ここでなくとも、世界各地で戦争は絶えない。」

    エレン「ああ。」

    アルミン「敵は、何だと思う?」

    エレン「……!? ……さあな。」

    アルミン「あの日のように、変えるの?」

    エレン「不本意な現状、を……!」

    ミカサ「エレン!」

    アルミン「あ、ミカサ。頭痛は大丈夫なの?」

    ミカサ「ええ、大丈夫。それよりエレン、どうするつもり?」

    エレン「……わかんねえ。」
  38. 38 : : 2015/03/16(月) 00:54:09
    4ヶ月ほど、学校は青空教室だった。
    校舎が使える状態になると、本格的に授業が再開された。

    なぜ、あんなことを言ってしまったのだろうか。

    わからない。
    けど、そうしてしまった。

    謎の記憶について、あれから考えてみたものの、やはりわからない。
    というより、わかるはずがないもののように感じた。
    もしもこれが平行世界のものであれば、その修正力で全ての説明がついてしまう。
  39. 39 : : 2015/03/16(月) 00:55:48
    ~1組~


    ハンジ「昼休み、個人面談を再開するよ。次はエレンからだね。」

    エレン「あ、はい。」

    ハンジ「じゃあ少人数教室で待ってるよ。」

    エレン「はい。」

    ハンジ「じゃあね~。」フリフリ


    ベルトルト「エレンは志望校どこにするの?」

    エレン「ああ、俺は、まだわからん。そもそも進学すのかどうかも……」

    ベルトルト「そっか。」

    ライナー「まあまだ時間はあるが、早い内に決めんとな。」

    エレン「そうだな。」

    ミーナ「ねえ、エレン。気を落とさないで。不謹慎かもしれないけど、あなたのお母さんだけじゃないんだよ?犠牲は。」

    エレン「ああ、わかってる。なあ、お前らさ、……


    《敵は、何だと思う?》


    エレン「ぁ、いや、何でもねえ。」

    ライナー「ははっ。どうしたんだ?」

    ベルトルト「まあ、元気出さないと。エレンらしくないよ。」

    エレン「そう、だよな。ありがとな、お前ら。」
  40. 40 : : 2015/03/16(月) 00:57:13
    ~4組~


    ミカサ「アルミン、エレンに何を言ったの?」

    アルミン「……、あの日のように、不本意な現状を変えるのか、って。」

    ミカサ「……そう、……。」

    アルミン「やっぱり、駄目なのかな。エレンは、あの世界と同じになったら、まずいのかな。」

    ミカサ「わからない。でも、私はエレンについていく。」

    アルミン「それは、僕もだよ。エレンは何をするかわかんないからね。」

    ミカサ「でも、きっと変えてくれる。だって……
  41. 41 : : 2015/03/16(月) 00:58:14
    ~昼休み・少人数教室~


    ハンジ「エレン、進路はどうするの?」

    エレン「まだ、わかりません。」

    ハンジ「そっか。何か、したいことはないの?」

    エレン「……戦争は、いや、敵は、何なんでしょうね。」

    ハンジ「……エレン。君は、あの世界の君とは違うんだよ。」

    エレン「え、ハンジさん?」

    ハンジ「この世界は窮屈だ。君はどっちを選ぶ?変革か、自由か。」

    エレン「……それは、そんなの!……



    変革か、自由か。
    迫られた末にエレンは選んだ。

    窮屈な世界でエレンは、世界初の国際平和機構という名目で、進むことを決意した。

    20年後、共に歩むことを決意したアルミン・アルレルト、ミカサ・アッカーマンを含むあの日の3人と、有志で集めた7人を合わせた10人で、決意を述べた。

    握りしめた決意を左胸に。

    切り裂くのは愚行の螺旋。

    そして、

    背中には、自由の翼を羽ばたかせ・・・
  42. 42 : : 2015/03/16(月) 00:59:44




































    そこが、永久に続く鳥籠の中だとも知らずに…………




























  43. 43 : : 2015/03/16(月) 01:08:39
    続きはこちらです

    http://www.ssnote.net/archives/32715


    よかったら見てみて下さい。

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