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episode2「ヘルプ」
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- 1 : 2015/02/17(火) 16:54:32 :
- こんにちは。
『取り憑かれのエレン』の第二話をこれから投下していこうと思います。
第一話はこちらからどうぞ↓↓
http://www.ssnote.net/series/1966
さて、今回はバトルシーンがございます。
解りにくい表現等があるかもしれませんが、よろしくお願いします(´ー`)
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- 2 : 2015/02/17(火) 20:50:42 :
エレン「……ん、」パチッ
白い天井。
体育館のそれとは明らかに違う。
ここはどこだろう。
わかるのはベッドに仰向けで寝ているということ、白のカーテンで仕切られていて簡易的な俺だけの空間であるということ……。
どことなく、保健室のような気がしなくもない。
エレン「……」ゴソゴソ
ケータイがない。
右ポッケが定位置だってのに、どこに行ったんだか……。
エレン(……起きよ)
体育館の時のような体のだるさは感じられない。
難なくベッドから降りて、部屋には俺1人しかいないことを確認。
時間は……4時か。
っていうか、アレはホントなんだったんだ?
夢とは到底思えないような夢?
メンタルダメージ半端ないんですけど。
エレン「……あ」
ケータイ見っけ。
テーブルの上に置いてあった。
それを手にとって画面を開くと……着信一件、メール三件。
エレン「……ま、いっか」
後で見よう。
今はとりあえず他の人探そ。
ってことで、ガラガラ~っとドアを開けると……ガシッ!!
エレン「うぉ!?」
グンタ「君!!目が覚めたのかい!?」
どっかで聞いた声……あ、俺が体育館で倒れたときに聞いた男の声か。
……え、アレ夢じゃなかったのか?
エレン「あ、と……まぁ」コクリ
とりあえず頷く。
グンタ「よ、よかった!君は部屋に戻って少し待ってなさい!今先生を呼んでくるから、いいね!?」
エレン「はぁ……」
男……確かグンタ先生?は俺をまた部屋に戻してどこかへ走っていった。
部屋の扉の脇に椅子があったから、そこに座って俺が起きるのを待ってたのか。
エレン「って、夢じゃねえのかよ」
あんな非現実的なことあんのかよ。
つうかこの学校なんなの?
ガチで宗教的なアレなのか?
だったらなんでうちの親はそんなとこに俺を行かせたんだ?
まさか実は宗教団体に入ってましたとかそんな奴か?
エレン「あーくそ!わけわかんねえ!!」ガシガシ
プルルルルル‥
ケータイが鳴ってやがる。
エレン「誰だよこんな時に……ってやっべ!!」
着信画面、そこに映る『クリスタ』という名前。
即座に窓の外を見るとオレンジに染まる空。
エレン「迎えに行かねえと!!」
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- 3 : 2015/02/17(火) 20:52:19 :
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クリスタ「遅い!!」
エレン「ハァ、ハァ……わ、悪い」ゲホ、ゲホッ
本日二度目の全力疾走。
寝起きの体では辛いものがあります。
クリスタ「もぉ……次遅れたらホンットにダメだからね。はい、お茶」
エレン「おう、サンキュ」ゴクゴク
半分くらい残ってるペットボトルのお茶を飲み干して、気づいた。
コイツ、また俺を迎えに来させる気だな。
クリスタ「……」ジー
エレン「ん、なんだよ」
クリスタ「何とも思わないの?」
エレン「なにが」
クリスタ「……ふーん」プイッ、テクテク
エレン「ちょ、クリスタ待てって!」
なんか不機嫌モード?
たまになんの前触れもなくなるんだよな。
クリスタ「はぁ……最近の男子って、間接キスとか意識無いのかな」ボソボソ
エレン「なにまたぼそぼそ言ってんだよ」
クリスタ「お子様エレン君にはまだ早いことだから聞かなくて良し!」
エレン「俺がお子様ならクリスタは赤ん坊未満だろ」
クリスタ「うーるーさーいー!」プンプン
エレン「あーハイハイ、どうもすみませんでした」
クリスタ「ホントにそう思ってる?」
エレン「もちろんです」
クリスタ「今、嘘ついたでしょ」
エレン「否定はしない」
クリスタ「もお!!エレンのバカ!」
エレン「ほれ、帰るんだろ?置いてくぞ~」タッタッタッタッ
クリスタ「にーげーるーなー!!」タッタッタッタッ
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- 4 : 2015/02/17(火) 20:54:30 :
-
...テ
エレン「ん?」ピタッ
クリスタ「きゃっ!?」ドン!
..タス....テ
エレン(……なんだ?)
クリスタ「いきなり止まらないでよぉ」ジンジン
エレン「シッ」
....タスケテ
クリスタ「エレン?」
エレン「ちょっと、静かにしてくれ」
何か……聞こえる?
……タスケテ
いや、違う。
直接……頭ん中に!
《助けて!!!!》
エレン「(この声……)悪い、クリスタ!先帰っててくれ!」ダッ
クリスタ「ぇ、エレン!??」
声のする方向なんてわからない。
聞こえてきたわけじゃないしな。
だが、伝わってきたんだ。
助けを求めるメッセージと一緒に、ソイツがいる場所も……。
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- 5 : 2015/02/17(火) 22:53:02 :
エレン(頭に届いた声……アイツだった!)ダッダッダッダッ
朝、花をくれとせがんだ少女。
その子の声に違いない。
でも、頭に直接声がするって……どういうことだ?
今までそんなこと一度だって無かったってのに……。
《助けて!!!!》
エレン(!!……そんなこと考えてる場合じゃねぇな)ダッダッダッダッ
場所はわかってる。
アイツがいつもいる電柱のすぐ側、俺のうちとは真逆方向にあるちっさい公園……!
待ってろ、すぐ行ってやるから!
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- 6 : 2015/02/17(火) 22:55:21 :
エレン「ハァ!ハァ!、ゲホッ!……」
『お、お兄ちゃん!!』ポロポロ
そいつはいた。
公園のジャングルジムの奥、そこで隠れるように膝を抱えて泣いていた。
ガンガン!!ガンガンガンガン!!!!
鉄製のそれを引っ掻く、得体の知れない化け物に怯えて……!
『グギャアアアオガアオオア!!!』
エレン「ッハァ、ハァ……なんだよ、ソイツ」フラフラ
動物とは思えない鳴き声。
人のように二足で立ち、闇夜に朱く光る目の色。
鷲のような爪を四足に持ち、しかし朱に染まる切れ長の目以外を漆黒に染め上げている3メートルを越す体は、俺の記憶の中のどの分類にも含まれることはない。
ただ一つ、わかること。
それはそこで震える少女のように、俺には見えて一般人には見えない存在ということ。
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- 7 : 2015/02/17(火) 23:30:13 :
『お兄ちゃん!お兄ちゃ~ん!!』モゾモゾ
エレン「ば、バカ!!そっから動くんじゃねえ!!」
泣きながら、ジャングルジムの棒をくぐりながらゆっくりと俺の方へ這って来ようとしてる。
でもこのままじゃ、ジャングルジム出たとたんにあの得体の知れん奴につかまっちまうぞ……!
エレン「く、くそったれ!!」ガシ、ビュン!
ピシッ!
『イギャアォァァァ……』ギロ!!
近くに転がってた握り拳分の石を全力で投げたんだが、やっぱダメージゼロ?
だが、注意は引けたか……?
エレン「そうだ!!こっちにきやがれクソ野郎!!」ガシ、ビュン!
「イギガアアアアァァァ!!!」ダン!!
エレン「いっ!?うおあ!!??」バッ!
ズガアアアアン!!!
3メートルを越える巨体は、らしくもなく身軽に跳躍し、俺のいた空間をかなりの速度で通り越していった。
あの化け物、止まれねぇようなスピード出しやがって。
なに人んちの壁ぶっ壊してんだよ。
『‥‥イガガガアアアアァァァ』ガラガラ
エレン「……さて、どうすっかな」フラフラ
何とかラッキーで避けれたがいつまで持つか……。
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- 8 : 2015/02/18(水) 00:12:23 :
『うわああぁぁぁん!!!お兄ちゃあぁぁん!!』タッタッタッタッ
エレン「ばっ、来んじゃねえ!!!!」
『ガアオオアアア!!』ダン!ダン!ダン!
エレン「んな、てめえもそっちじゃねぇだろうが!!!」
俺に向かう少女。
それにターゲットを変更し、駆け出す化け物。
エレン「~~くそっ!!」ダッ!!
ここを切り抜けるには、これしかなかった。
『おにいちゃ』「黙ってろ!!!」ギュウゥ‥
『イガオアアア!!』ブオオン!!
鷲のような三本指は高速で俺の背に叩きつけられ、蹴飛ばされる空き缶のように、飛んだ。
ガアアァァァンンン!!!!
受け止めたのは、鉄で出来たジャングルジム。
少女をかばうため、何とかこれも背で受ける。
エレン「……ぅ、がふ!」ドサッ
やっべぇな。
何本折れてんだ?
『お、お兄ちゃん!!おにいちゃん!!!』ポロポロ
エレン「……ニ、にげ、ろ」
『ヤダ!!ヤダヤダヤダ!!!うわああぁぁぁん!!!』ポロポロ
『イギヤァァァアアア!!!』ダン、ダン、ダン
さっさと行けよ、このバカ。
助けにきた意味無くなっちまうだろうが……。
エレン「……ぅ、あ」
い、意識が……。
『うわああぁぁぁん!!!』ポロポロ
ちっくしょう。
どうすりゃ良いんだよ、クソ……。
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- 9 : 2015/02/18(水) 00:15:02 :
-
《おいおい……なにしてんだよ、餓鬼んちょ》
!……また頭ん中に、誰だ?
《つれねぇな~。忘れるこたぁねえだろ》
忘れる……?
《まぁ、そんなこたぁどうでもいい。どうすんだい、餓鬼んちょ》
どうするったって……そんなもんこっちが聞きてえよ。
《このまま死のうってのかい?》
んなわけ……ねえだろ。
《そこでギャーギャー泣いてる餓鬼と一緒に死ぬか?》
そんなこと、させねえ。
《随分と強気じゃねぇか》
当たり前……だ!
エレン「どんなに……」ググ、グググ
『お、お兄ちゃん!!!』
エレン「絶望的……だったと、ゲホッ!ゲホッ!」ガクッ
《だったとしても……なんだ?》
それが、諦める理由には……
『イギヤオオォアアア!!!』グワァ
エレン「……ならねえんだ!!!」ギロッ!!
《……好いぜ、その眼だ。ソイツに俺ぁ惚れたんだ!》
エレン「うっ!?ゲホッ!ゲホッ!」ビチャビチャビチャ!!!
『おにいちゃ、血が……』ポロポロ
エレン「ゼェ、ゼェ……だ、大丈夫だ」ギュウゥ
今の俺には、戦うことも逃げることも出来ねえ。
ただ、こうやって守るしか……無いんだ。
ブオオオオ‥!!
鉤爪のような手が振り下ろされてくる。
身を固め、耐えることの出来ない衝撃を待つ。
《餓鬼んちょ、体借りるぜ?》
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- 10 : 2015/02/18(水) 00:16:53 :
エレン「……」スッ
俺は、鉤爪の迫ってくる方へ手を伸ばした。
俺の意志とは、関係なく……!
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- 11 : 2015/02/18(水) 00:19:24 :
ドォォオン……
『ん……ぇ?』パチッ
「……ケッ、この程度か?」ニヤリ
な、なんだ……?
体が、勝手に!?
『イギャアアァ……』グググ
「そら……よっ!!」ブオン!!
『イガアオアア!』ズドオオン…
俺を潰そうともがくソイツを片手だけで押し返した……だと?
俺の体が???
エレン(い、一体どうなってんだ……??)
「なぁに、ちょっと替わってもらっただけよ」
エレン(替わるったって……)
「まぁいいじゃねえか。黙ってみてな、餓鬼んちょ」
『イギャアオォォァァアアアア!!!』
「こいつを片付けてやるからよ……!」サッ
漆黒の化け物に向けられた左手。
そこに白い光が収束していく。
『イガアァァァァア!!』グワァ!
「はっ、遅ぇよ!」バッ!
俺は化け物の攻撃を避けるため、飛んだ。
鉤爪を腕いっぱいに伸ばしても届かない高さ、およそ6メートルの上空へ。
『イギヤアァァォオア!!』ギロッ!!
「こいつで終いだ!!!!」グッ
光の集まった左手を握る。
……チリン。
その光が弾けて現れたのは、日本刀。
その柄の先にはたった一つの鈴が細い紐で結ばれていた。
俺は鞘に収まったそいつを抜き、上段に構える。
……斬!!!
落下するとともに振り下ろされた刀は、俺が殺されかけた化け物を意図もたやすく両断した。
『イ、ガアァ…ア』ポワァ‥
力尽きたそれは、空間に溶けていくように消えていく。
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- 12 : 2015/02/18(水) 00:20:21 :
-
「いっちょ上がり、と」ヘヘヘ
『お兄ちゃんスゴーイ!!』ムギュ
「当たり前だ。俺様を誰だと思ってんだ?」
『ねーねー、その剣どうやって出したのー?』
「あ、これか?どうやってっつってもな~」ポイッ
宙に刀を放ると、即座に原型を無くし光となって消えた。
「お前みたいな餓鬼が知ることじゃあねえわな」ガシガシ
『ぅ~』ブスー
「ハッハッハ!おい餓鬼んちょ、体返すぜ?」
エレン(あ、ちょ、待てって!)
俺に向けられたであろうその声を聞いてすぐ、俺の意識は体に帰ってきた。
エレン「ッ!!……ん?」サワサワ
き、傷が……無い?
あんなに酷くやられたってのに。
『あったりめぇだ。あんな骨バッキバキで動けるわけねぇだろ』
エレン「!!」ビクッ
またあの声。
だが今度は頭ではなく、俺の正面から聞こえた。
そいつを……見上げる。
『お、おっきい……』
俺を上から見下げるそいつは筋肉隆々としていて、派手な着物を着崩し、茶色の長髪をアップで結っている。
『ハッハッハ!よぉ、餓鬼んちょ。この姿では初めましてか?』
ニヤニヤとした顔で男は言った。
エレン「あ、あぁ」
『そう堅くなんじゃねえよ。これから長い付き合いになるんだぜ?』
な、長い付き合いだと?
『そういや、まだ俺様の名を言ってなかったな。なぁ、エレン・イェーガー』
わからねぇ……あの高校のことも、化け物のことも。
『俺様の名は……』
俺はこれから……どうなるんだ?
『……前田慶次ってんだ』
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- 13 : 2015/02/18(水) 00:23:11 :
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- 14 : 2015/02/18(水) 00:25:23 :
- はい、ここで第二話は終了です。
バトルシーンありましたけど、読み返したらあっとゆうまでしたね(・_・;)
ではでは、ここまで読んで下さりありがとうございました!
もし、興味があるなら第三話の方もお願いします!
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- 15 : 2015/02/19(木) 06:41:35 :
- 面白いです
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- 16 : 2015/02/19(木) 09:44:40 :
- 〉名無しさん
ありがとうございます!
そう言っていただけると物凄く励みになります(泣)
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- 17 : 2015/02/19(木) 09:45:14 :
- 上は自分です
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- 18 : 2015/02/19(木) 20:31:32 :
- 期待です!
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- 19 : 2015/02/19(木) 21:40:19 :
- 〉名無しさん
期待感謝です!
まだ投稿はしていませんが、第三話のスレも立ててあるので、
時間のあるときに読んで頂けると嬉しいです!
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
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取り憑かれのエレン シリーズ
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