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エレン「新撰組?」 サイドストーリー: 魁先生の自分探し episode of ユミル
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- 1 : 2015/02/11(水) 05:36:56 :
- サイドストーリー第二弾です。
前作
http://www.ssnote.net/archives/30775
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- 2 : 2015/02/11(水) 05:43:25 :
- 私は自分のルーツを知らない。
生まれた場所、両親の顔さえも。
時々自分がわからなくなる。
私は、
誰なんだ?
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- 3 : 2015/02/11(水) 06:02:14 :
- 「おらぁ、立てこの野郎!まだまだ終わりじゃねぇぞ!」
新人隊士に檄を飛ばす青年は、おおよそいつもの穏やかな彼ではない。
「も、もうダメです。立てません…」
「腰抜けめ、そんなんで薩長に勝てるか!」
水がなみなみ入ったバケツを、隊士めがけて丸ごとぶん投げる。
「ヒ、ヒィ!せぃ、せぃっ!」
あまりの激情に慄いた隊士は立ち上がり、さっきまでの弱音はどこにいったのか、再び素振りを始めた。
.ユミル「おっ、やってるやってる。」
部屋から顔を出すと、軽い足取りで庭に向った。
ユミル「はいはい、一旦休憩な。皆へばってんぞ。」
飲み水を持って間に割って入る。
「あ、ユミルさん。」
ユミル「本当剣を持つと性格変わるよな、平助は。」
八番隊隊長 藤堂平助は木刀を下ろすと、ニコッと笑った。
ーーーーーーーーーー
ユミル「魁(さきがけ)先生?」
休憩中、ユミルは隊士らと雑談を交わしていた。
気さくで姉御肌のユミルは、たちまち隊に溶け込んでいった。
「はい。いざ戦になると、真っ先に敵陣に斬り込んでいかれるのでそう呼ばれています。」
ユミル「へぇ、あの優男がな。まぁ鍛錬見てりゃわかるが、また戦となると違うんだろうな。」
「ここだけの話、鍛錬の時は沖田さんよりも永倉さんよりも、藤堂隊長が一番おっかないんです…」
ユミルから見た普段の藤堂のイメージは、オドオドしていてどこか抜けている、といったものであった。
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- 4 : 2015/02/12(木) 06:02:44 :
- そしてユミルはこの藤堂に興味を抱いていた。
稽古の際の激情ぶりには正直驚いたが、それもまた興味を膨らませることとなった。
また藤堂も、年頃の少年だ。
物事をズバズバ言うユミルとは相性も良く、良い話相手になっていた。
藤堂「いつまで休んでやがる!さっさと配置に戻れ!」
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ユミル「毎回ご苦労さんだな。普通あそこまでやるかねぇ。」
藤堂「はは…ついつい熱が入ってしまって。」
稽古が終わると、縁側で休憩を取っていた。
ユミル「普段の鬱憤が出ちまってんだろ、大方。」
藤堂「い、いやそんな事は!」
ユミル「かっかっか。やっぱり平助はからかい甲斐があるぜ!」
してやったりのユミルを尻目に、藤堂は道場に目を向けた。
沖田「はっ!」
藤堂「…」
ユミル(ちっ、またかよ。)
少し前から、藤堂の沖田を見る目が気になっていた。
嫉妬、羨望ともとれるその眼差しは、ユミルをイラつかせた。
ユミル「沖田の若旦那がどうかしたのか?」
藤堂「ハッ、ハイ?!いえ、何でもないんです!」
視線をユミルに戻し、必死に取り繕う。
ユミル「…もしかしてお前、若旦那と自分を比べてんのか?」
藤堂「…」
ユミル「歳も近いし、意識するのもわかるけどよ。何かここんとこ変だぞお前。」
それ以上話は続かなかった。藤堂が妙に思い詰めた顔をしていたのだ。
クリスタ「ユミルー!洗濯手伝って!」
ユミル「おお、…じゃ、行くわ。」
藤堂「…」
愛刀の上総介兼重を、じっと見つめた。
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- 5 : 2015/02/14(土) 16:34:40 :
- 期待してます
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- 6 : 2015/02/14(土) 17:18:32 :
- ありがとうございます!
そう言ってもらえると意欲が増します!
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- 7 : 2015/02/19(木) 03:01:39 :
クリスタ「今日は良い天気だから、良く乾きそうね。」
ユミルは横目でクリスタを見た。
ユミル(昔はこいつも、自分の存在意義を見出せないいい子ちゃんだったな。)
ユミル(だがクリスタは「自分」を見つけた。クリスタ・レンズとしての生き方を。)
クリスタ「ユミルったら、最近藤堂隊長と仲良いじゃない。」
ユミル「ああ?からかい甲斐があんだよ、どっかのおチビさんみたいにな。」
もう!、と頬を膨らます天使の頭を撫でる。
ユミル「なぁクリスタ。今のお前は何だ?」
クリスタ「急に何?私は私だよ?」
ユミル「…あぁ、そうだったな。」
(私は〜の子じゃない!!)
(私は〜の、クリスタ・レンズだ!!わかったか?!)
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〜翌朝〜
藤堂「…」
沖田「…」
達人同士の立会いというものは、一瞬で勝負が決まるという。
もっとも、達人の域に達する二人でさえも、そこには明確な差がある。
藤堂「やぁっ!!」
藤堂が踏み出し、渾身の突きを放つ。
沖田「…甘い!」
しかしそれをいとも簡単に、ギリギリで躱し小手を決めた。
沖田「まだまだだね、平助は。」
藤堂「はは、沖田さんには敵いませんね。」
麒麟児は、天才には届かない。
ガッ!ガッ!
沖田が道場を後にすると、己の拳を何度も床に叩きつけた。
藤堂(まただ…私はどんなに精進しても、あの人には勝てない。)
藤堂(私の取り柄は剣だけだ、その剣ですら1番になれない。)
ユミル「おーい、何床にへばりついてんだ?」
最初から見られていたのだろうか?気配に気付かなかった。
藤堂「あ、あの…」
ユミル「お前今日は一日非番だったよな?ちょっと付き合えよ。」
藤堂「え?一体どこに?」
ユミル「決まってんだろ。魁先生の自分探しだよ。」
藤堂「お待たせしました。」
ユミル「…はぁ。もっとよ、洒落た帯とか袴持ってないのか?言ったよな、一番イカしてるもん着てこいって。」
門前に現れた藤堂は、ぱっとしない薄緑の着物を着てきた。
新撰組の隊長ともあろうものが、まるで寺小屋の少年のようななりだ。
藤堂「そうは言いましても…服装には関心がないもので…」
ユミル「色のチョイス、着こなしから全てがダセェ。存在感消えてるとこなんか、どっかのノッポと張るぞ。」
ユミル「まぁいいや、そういうもんも含めて見繕ってやる。行くぞ、平助。」
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- 8 : 2015/02/21(土) 06:10:56 :
- 京の街を若い男女が行く。
ユミルはこの世界の女性としては背が高く、藤堂と変わらなかった。
ユミル「最初は視線が気になったが、短期間でこうも変化するもんだな。誰も見向きもしねぇ。」
藤堂「町人の噂というのは広がりやすいんです。ユミルさん達が正式に隊の一員となったことも、どこからか伝わってるのではないでしょうか。」
ユミル「…それだよ、それ!」
ビシッと人差し指を向ける。
ユミル「最初に言ったろ、ユミルって呼べよ。私は17だぞ。お前よりも一回り下なんだぞ?」
藤堂「でも…」
ユミル「何だよ?」
藤堂「とても年下には見えませんよ。姉上って気がします。」
遠巻きから呼び込みの商人が、そこの姉ちゃんと弟君!と叫ぶ。
それを聞いた藤堂が、だらしのない笑顔で手を振り返した。
ユミル「はぁー。ダメだこりゃ…」
藤堂「ユ、ユミルさん。この色は派手すぎますよ。」
ユミル「いいんだよ、これくらいパンチある方が。これくれ。」
ヘイ、毎度!
藤堂「歩きにくい…これではいざという時に走れませんよ!」
ユミル「まずは見た目からだ。そのナヨナヨした外見を一新する必要がある!親父、これもらうわ。」
ヘイ、毎度!
ユミル「そういや刀だけは立派なもん差してるじゃねぇの。」
藤堂「えぇ、まぁ。上総介兼重という刀でして…」
ユミル「へぇ。」
ユミル「…」
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- 9 : 2015/02/21(土) 06:26:37 :
- 買い物の合間を縫って、甘味処に訪れた。
藤堂「待って下さい、何か見繕ってきます。」
ユミル「ほぉ、レディの扱いが解ってるじゃんか。お言葉に甘えて、くつろいでるからよ。」
藤堂の背中を見送ると、すかさず隣の店に入った。
「らっしゃい!」
ユミル「あのよ、ちょっと聞きたいんだが…」
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ユミル「ご馳走さん。意外と気が利くな、ブラス10点だ。」
藤堂「はは、付きあってもらったので。そういえばそれ、刀を新調したんですか?」
ユミル「あぁ、これはクリスタへの土産だ。あいつチビだからよ、中々合う刀がなくてな。」
藤堂「そうですか。二人は姉妹のようですね。」
そう言った彼は、また「例の顔」をした。
ユミル(やっぱりこいつは…)
ーーーーーーーー
藤堂(ふぅ、散々な休日…でもなかったな。)
一日ユミルに振り回されたが、藤堂は満足はしていた。彼女と一緒だと元気になれる。
何かわからないが、とても満ち溢れた時間だった。
藤堂「ん?」
今日買ったものを改めていると、一通の文が出てきた。
藤堂(何だろう…?)
ガサッ
『丑の刻に、屯所内道場で待つ。
なお、真剣での立会いを所望故、刀を持たれたし。
沖田総司』
藤堂「!!」
藤堂(これは…いや、間違いない。沖田さんの字だ。)
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- 10 : 2015/02/25(水) 12:58:04 :
- 暗がりの道場に佇む影。
沖田がなぜ自分などを呼び出したのかはわからない。
だが彼からの指名とあっては、負ける訳には行かなかった。
藤堂「沖田さん…?」
「…」
ガッ!
有無を言わさぬ切り払いを、鞘で上手く受け止めた。
藤堂「そんな…なぜあなたが…」
藤堂「ユミルさん!!」
ユミル「…」
月が出て、道場を青白く照らした。そこにいたのは異邦の待ち人であった。
ユミル「随分と余裕だな、平助さんよ!」
ヒュッ
藤堂「?!」
目の前を白刃が横切る。
そうだ、これは紛れも無い真剣での立会いなのだ。
ガッ!ギィン!!
釈明する暇もなく剣戟が続く。
藤堂(力任せではない…理に適った動きだ。くっ、太刀筋が型破りすぎる!)
ドゴッ!
目前の動きのみに集中していた藤堂の腹部に蹴りが飛ぶ。
藤堂「ぐぅ!」
藤堂(これが女性の筋力なのか?!こんなに華奢なのに…!)
ユミル「藤堂、藤堂平助。随分と珍しい苗字だそうだな。」
藤堂「!」
ユミル「発祥は戦国時代、それが藤堂家。」
藤堂「…何が言いたいんですか?」
ユミル「上総介兼重だっけか?そいつだって一介の浪人が持てる代物じゃない。」
ユミルの口の端が不気味に上がる。
ユミル「お前さ」
ユミル「妾の子だろ?」
藤堂「 …」
ユミル「大方捨て子ってやつか?どうだ、私の見立ては…」
ギシッ
藤堂「言うな。それ以上言うな!!」
ユミル「ほぉ、少しはマシな顔つきになってきたじゃねぇか。」
少しずつ剣筋があらくなっていった。ユミルはひたすら受けに回る。
ユミル「いいぜいいぜ。自分をさらけ出しちまえよ、魁先生。」
藤堂「うあぁぁぁぁぁ!!!」
ユミル「生まれた家が何か?そんなに建前が重要か?」
藤堂「うるさい!黙れ、黙れぇ!!」
ユミル「何度でも言ってやらぁ!」
藤堂「違う、違う違う違う!!私は…」
ユミル「妾の子だろ?」
ここぞとばかりに追い打ちをかけるユミル。その姿は悪魔に見えなくもない。
藤堂「やめろって、言ってるだろ!!!」
バキィ!
ユミル「ぐあっ!」
藤堂「え…?」
ユミルがあまりの衝撃に吹っ飛ぶ。
衝撃で折れた刀を見て、藤堂は目を疑った。
藤堂「そんな、真剣相手に竹光で?」
そう、ユミルが操っていたのは真剣ではない。刀身が木の竹光であった。
ユミル「痛てて…力任せにやりやがって。少しはスッキリしたかよ?」
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- 11 : 2015/02/28(土) 06:22:29 :
- ユミル「おーまだ痛むわ。」
屯所近くの土手に座り、濡れタオルで患部を拭う。
藤堂「どうして私の境遇がわかったんですか?」
ユミル「お前の旦那を見る目と、その刀だ。もっとも、刀の方は主人に聞いたんだがな。」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ユミル「上総介兼重ってどのくらい価値があるんだ?」
それを聞くと主人は大笑いした。
主人「それはお前、最上大業者30工の一振りだ。いくらって言われてもな。」
ユミル「じゃあ、そこら辺の浪人が差せるもんじゃないんだな?」
主人「それは間違いねぇな。是非ともこの目で拝みたい位だ。」
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ユミル「昔お前とそっくりの奴がいた。周りからは天使なんて呼ばれていたが、必死に自分を取り繕って、いい子ちゃんやってるチビがな。」
彼は愛刀を握りしめ、答えた。
藤堂「…私は、親の顔を知らないんです。唯一覚えているのは叔母の顔だけ。そしてこの刀は、その人が亡くなる時に頂きました。」
藤堂「その時、私は叔母の口から初めて自分の出生を知りました。知った所で、どうしようもなかったんですけど。」
ユミル「…」
藤堂「この刀のみが、私が私でいられる存在意義なんです。」
ユミル「…アホらし。」
ガッ
藤堂の胸倉を掴みあげる。
ユミル「逃げるのもいい加減にしろよ。いつまで悲劇ぶってるつもりだ?」
ユミル「私は17年間生きてきて、人生のどん底ってやつを何度も味わった。ユミルって名も親からもらったもんじゃない。そんなもん、私が生まれてすぐに目の前で殺されたからな。」
ユミル「生きる為ならどんな事もしたさ、人様に言えないこともな。大体想像つくだろ?」
104期ですら知らない事情、もちろんクリスタさえも。
ユミル「それでも私は、ユミルとして生きている事を恥じたことはない。唯の一度もだ。」
藤堂「違う!私は自分を恥じてなどいない!!」
ユミル「違わないさ。羨望、嫉妬。そういう目で他人と自分を比べるのはそういう事だ。」
そう言うとユミルは手を離し、屯所の方へ歩いて行った。
藤堂「待ってください!私は…」
ユミル「大事に生きろよ、魁先生。」
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- 12 : 2015/02/28(土) 06:33:58 :
- いくら考えても答えは出ない。
物心ついた時から抱えている問題だ、そう簡単にはいかないのだろう。
藤堂「…」
気付くと道場に来ていた。
沖田「せいっ!やあぁ!」
そこには憧れの姿があった。
この人を越えたい。しかしその思いはいつしか、歪んだものになっていたのだろうか?」
沖田「…そんなところで見ていないで、相手になってよ。」
まるで初めから藤堂がそこにいるかのような口ぶりだ。
沖田「準備はいいかい?」
藤堂がうなずくと、沖田は先手を取った。
ガン!
藤堂「くっ…」
防戦一方だ。とても手が出ない。
沖田「平助は私には一生勝てないよ。なぜかわかるかい?」
沖田「生まれついての差だ。もう産声を上げた瞬間から勝負は決まっている。」
ガッ!
藤堂「そんな事は…!」
沖田「そんな事あるさ。そういう元に生まれた自分を恥じるんだね。」
藤堂「!」
(私はユミルとして生きていることを恥じた事はない。)
藤堂(そうだ、何を恥じることがある。壁なんて壊せばいいじゃないか。運命なんて跳ね返せばいいじゃないか。)
藤堂(少なくとも、あの人はそうしてきたんだ!)
藤堂「うぉぉぉぉぉ!!」
鍔迫り合いの状態から当て身をし、間合いを詰める。
藤堂「おらぁ!まだまだこれからだ、かかってこいよ!」
魁先生は自分を見つけた。なんてことない、探し物はすぐ近くにあった。
ユミル「へっ。私もとんだお人好しだな。」
二人の立会いを見て、そう呟いた。
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- 13 : 2015/02/28(土) 06:58:13 :
- ユミル「で、結局また負けた訳か。」
藤堂「痛い痛い!もっと優しくして下さい!」
赤く腫れあがった額を手当てする。
ユミル「まぁ、最後ズッコケるまでは良かったんだがな。」
藤堂「え?まさか見て…」
ユミル「い、いや!旦那から聞いたんだよ、馬鹿言うな!」
咳払いであとは誤魔化した。
ユミル「ともかく私が言いたかったのは、境遇や環境を言い訳にすんなってことだ。それで何かが決まる訳でもない。」
藤堂「…はい。」
ユミル「お前は旦那を羨ましがっていたんじゃない。ありもしない、架空の自分を重ねてたんだろ?」
藤堂「そんなものは吹き飛ばしました。もう私は私です。」
額を抑えているユミルの手を取る。
藤堂「そしてそれを気付かせてくれたのは…ユミルさん、あなたです。ありがとう。」
ユミル「お、おう。」
ユミル(くそ、一丁前に男らしい事言いやがって。ちょっとドキドキしちまったじゃねぇか!)
ーーーーーーーーーー
原田「ふあーぁ。腹減ったぁ。」
原田「ん?出かけんのか、平…」
藤堂「はい、鍛錬までの時間、ユミルさんと街まで。」
いつもならここで、よ、色男!だの汚いヤジが飛んでくるところだ。
しかし原田はあんぐり口を開けている。
土方「どうした左之助。…あ?」
原田「あんだありゃ。悪いもんでも食ったのかねぇ。」
土方「…ここは任侠集団じゃねえぞ。」
ユミル「芝居打たせて悪かったな、挙句に手紙まで。」
沖田「構わないよ。私も平助には前々から思う所あったんだ。」
ユミル「まぁ負けは負けだが…これから奴は変わっていくだろう。」
沖田「いや、久々に焦ったよ。斬り込みの時以上だよ、あんなに激しい平助は。」
屯所の門前で、藤堂が来るまで話をした。
そう、最初からユミルが仕込んだことだったのだ。
沖田「そういえば一つ聞きたかったんだけど、なんで竹光?支給された刀があるのに。」
ユミル「私らの世界のブレードは軽いのが売りでな。とてもじゃないが、刀じゃ平助とは渡り合えねぇ。ブレードを持ち出した所で、すぐ折れるのが関の山だしよ。」
沖田「なるほどね。全くミカサといい、君達には驚かされるよ。」
藤堂「お待たせしました!」
藤堂の姿を見て、一瞬固まった沖田だったが、やがて大笑いしだした。
沖田「だっはっはっは!!その紫の着物はないだろ、その下駄もどこで買うの?!」
藤堂「失礼な。私は結構気に入ってるんですよ。」
藤堂の出で立ちはというと、テカテカした紫の着物に、厚底の下駄であった。
これでドスでも小脇に差していれば、立派な侠客だ。
ユミル「雑音は気にするない、藤堂隊長。おかしい事は何にもない、恥じることはないぞ…」
藤堂「そう言いながら笑うのやめてもらえます?全く酷いなぁ。」
藤堂(私は藤堂平助だ。それ以外の何者でもない。)
今日も屯所に、魁先生の雄叫びが響く。
心なしか、前より覇気が増した気がするのは気のせいではないだろう。
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- 14 : 2015/02/28(土) 07:06:30 :
- 終了です。
本当はあまりカップリング展開は好きじゃないんですが、若い男女が一つ屋根の下
こういう話があってもいいんじゃないかと。基本的に、新撰組幹部には1人ずつ104期をつけてますが、藤堂→ユミルというのは比較的早い段階で思いつきました。
ミカサ、ユミルときたんで次は男性キャラのエピソード書きたいと思います。
ともあれ、感想などよろしくお願いします。
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- 15 : 2015/03/06(金) 00:55:13 :
- 本編第3弾でございます。
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- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
-
エレン「新撰組?」 シリーズ
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