このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
エレン「新撰組?」3
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- 1 : 2015/03/02(月) 09:44:01 :
- 前回の続きです。
http://www.ssnote.net/archives/28292
〜サイドストーリーシリーズ〜
孤高の天才剣士 episode of ミカサ
http://www.ssnote.net/archives/30775
魁先生の自分探し episode of ユミル
http://www.ssnote.net/archives/31388
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- 2 : 2015/03/02(月) 16:53:24 :
- 期待してます!
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- 3 : 2015/03/04(水) 06:30:02 :
- 名無しさん
ありがとうございます!!
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- 4 : 2015/03/04(水) 06:49:23 :
- 浅葱色の集団が、京の街を練り歩く。
それを脇目に見る町人は口を揃えて言う。
「壬生狼」と。
武田「間違いありません。ここです。」
バンッ!
アルミン「主人はいるか!御用改めである!!」
「ヒ、ヒィ!皆様、新撰組が…」
すぐさま二つの影が走り抜けた。
ドガッ!
息を合わせたように襖が蹴り破られる。
「チィ、嗅ぎつけられたか!」
「たったの2人だ、やっちまえ!!」
沖田「…」
ヒュン
向かってきた浪士をいとも簡単に斬り刻む。
相手は何が起きたのかもわからないまま絶命した。
「何だこいつ、女だぞ。武士の真似事なんて…」
ミカサ「…不毛。」
ザンッ!
息もつかせぬ斬撃。
”死番”の二人はその場を凍りつかせた。
「に、にげろ!一番隊の沖田総司と黒豹だ、敵うわけがねぇ!」
劣勢と見るや、一部が逃げ出そうと階段に向かう。
エレン「逃すかぁ!!」
ギン!
近藤「あまり前には出すぎるなよ。」
エレン「承知!」
一階ではあちらこちらで剣戟が繰り広げられていた。
藤堂「らあぁぁぁ!!」
ユミル「へっ、てめぇ女だと思ってなめてかかったろ?」
八番隊が奮闘する手前では、大木のような男たちが。
「う、うわぁぁぁ!」
永倉「せいっ!捕縛が目的でもある、可能な限り取り押さえろ!」
ライナー「わかった、…うおっ!」
柔術を使い、組み伏せようとしたが、相手は刀を抜きライナーに斬りかかった。
ギャン!
ライナー「くそ…!向かって来なきゃいいのによ…!」
「よし、今の内だ。藩邸まで退くぞ。」
脱出に成功した数名が一目散に駆ける。
斎藤「…」
「何だお前は!構わねぇ、やっちまえ!」
斎藤「…」ニヤッ
己の枷を解放するように、刀を振るう。
「がっ…?!」
「ぐあっ!」
後方からも「影」が襲いかかった。
ベルトルト「…」
心臓を一突きにすると、顔に飛んだ返り血を拭った。
斎藤「卑怯だと思うか?」
ベルトルト「いえ。必要な戦法だと理解しています。」
斎藤「誰かが汚れ役をやらねばならない。…お前ならわかるな?」
ベルトルト「…はい。」
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- 5 : 2015/03/04(水) 07:18:11 :
- ジャン「あー捕縛8、討ち取り6と。くそっ、手が足りねぇ。源さん、こっちを手伝ってもらえますか?」
104期は新撰組の一員となっていた。
正式に辞令が降りたのはここ数日のことだった。
ミカサ→一番隊
ライナー→二番隊
ベルトルト→三番隊
アルミン→五番隊
クリスタ→六番隊
ユミル→八番隊
サシャ、コニー→十番隊
エレン→局長付き
ジャン→副長付きの小姓
以上の配属となった。
クリスタ「…」
刀というものは、思ったよりも出血を促すものだ。
討ち入りの舞台となった料亭は、所々に血飛沫が飛び、階段は更に真っ赤に染まっていた。
山南「無理にここにいる必要はないよ。そもそも六番隊は今日は非番だ。」
クリスタ「…いいえ。私も隊の一員ですから。」
トロスト区防衛戦でも、初めての壁外遠征でも多くの死者が出た。
中には親身にしていた者もいた。
巨人だって何体も討伐した。
華奢な彼女でさえ、これまで10体以上の巨人討伐に関わっている。
しかし目の前の惨状は異質だ。
これで4度目の討ち入りだが、慣れそうにない。しかし、それはクリスタだけでなく
ミカサ・エレンを除く「経験」のない104期も同じことだった。
アルミン「うぅ…」
エレン「全部出しちまえ。楽になるから。」
道脇で嘔吐を繰り返すアルミンの背中をさする。
ベルトルト「…」
ユミル「…さん、ベルトルさん!」
ベルトルと「あ、あぁ。」
ユミル「血、まだ付いてんぞ。しっかり拭っとけ。」
自分の手拭いを差し出す。
ベルトルト「僕は大丈夫だよ。君こそ参ってるんじゃないか?」
ユミル「…正直言うとな。感覚っていうのか?それが何か異質すぎるんだよ。斬った感触が、未だ治らねぇ。」
ユミル(こういうのは慣れっこなはずなのによ。情けねぇ。)
右手はまだ震えていた。
ライナー「副長。」
土方「どうしたブラウン。」
ライナー「一つ、いいですか?今までに斬ったやつの顔って覚えてます?」
土方「覚えてる訳ねぇだろ。お前は去年の今頃食った、たくあんの数を覚えてるのか?」
当たり前、と言わんばかりの回答だった。
ライナー「いや、人を殺める覚悟はとうにできています。…でもね、捕縛しようとした浪士が、向かってきたんですよ。そういう時はいつも思います。」
そういう彼はどこか心ここにあらずだった。
ライナー「大人しくしていれば命までは取らなかったのにって。斬り倒した後に気付いたんですが、そいつまだ顔つきが若かったんです、多分俺と変わらない。」
土方「だがそうしなきゃ、やられていたのはお前だ。」
ライナー「…はい。」
土方「いいか、自覚があるのは正常な証だ。楽をしてそいつを捨てていったやつから、人斬りに堕ちていく。情と引け目を一緒にするなよ。」
土方なりの励ましなのだろう。
だが精神の参っている彼にはそれが辛かった。
ライナー(慣れるわけがない。何度場数を踏んでも同じ事だ。何かが、何かがおかしい。この国は…)
ーーーーーーーーーーーーー
コニー「御用改めでっ、あーーる!!」
シーン…
原田「あれ、間違えたか?」
サシャ「もう終わっちゃったんじゃないですか?」
谷「あ、あの。山崎さんが本命は東でした。帰還して下さい、と。」
門前警護の谷周平がオドオド入ってきた。
コニー「…かぁー!またはずれかよ!!いつになったら戦えるんだよ、チクショー!」
サシャ「恩賞は?!今回もお預けですか!!」
原田(良かった。…俺はこいつらを狼にしたくねぇ。例えその時が来るって解ってても、嫌なもんは嫌なんだ。)
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- 6 : 2015/03/10(火) 02:33:41 :
- へい、お二人様ですか!注文は?
ジャン「天婦羅二つと、酒を。」
もはや慣れた足取りで座敷に腰掛ける。
ジャン「慣れっていうのは恐いもんだな。人殺しの後に、こうやって酒を飲むのが日常になってやがる。」
ジャン「不逞浪士を一人斬って、はい討伐数1、とはいかねぇだろう。」
へい、お待ち!
ジャン「…てゆーかよ、お前から誘ったんだろうが。何か喋れよ。」
ミカサ「強いて言うならば、私は卵とじが良かった。」
ジャン「いや、ここのオススメは天婦羅だ。副長のイチオシだぞ、断じて譲れん。」
ミカサ「ならば従おう。…本題だけど、私達はいつになったら帰れるのだろうか?」
そばをすすりながら雑談を始める。
ジャン「そればっかりはわかんねぇよ。ひょっとしたら、戦が終わっても帰れないかもな。」
ミカサ「黒豹。」
ジャン「あ?」
ミカサ「ジャンは聞いたことがある?浪士どもが良く私をその名で呼ぶ。」
ジャン「ああ、早々に目ェつけられたもんだな。」
ミカサ「私はまだいい。しかしこれが続くと皆が標的になりかねない。」
お互いのちょこを満たし、一気にあおる。
ジャン「馬鹿言え、そんなん皆覚悟してるさ。…なあ、最近俺は思うんだ、やるべき事をやらないと、元の世界には帰れないんじゃないのか?」
ミカサ「しかしそれは憶測に過ぎない。」
ジャン「俺はこの世界に飛ばされたことには、何か意味があるんじゃないかと思うんだ。」
ミカサ「意味?」
空になったミカサのちょこを満たし、答えた。
ジャン「ああ。限定された空間で、飛ばされたのは104期の限られたメンバーのみ。都合が良すぎるとは思わないか?そもそも異世界の局長達と言語が通じる訳がない。」
ミカサ「確かに。そうすると、私たちの”やるべき事”とは何?」
ジャン「そいつはわからん。今は俺たちがやっていることが正しいという確証もない。」
ミカサ「…それは考えたくない。願わくば、このままで。」
ジャン「…そうだな。」
お互いのちょこを軽く合わせると、残りの酒を一気に飲み干した。
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- 7 : 2015/03/13(金) 14:58:57 :
〜幹部会〜
土方「流石に揺らいでるな。」
山崎「しかし彼等の戦力はやはり強大でした。個人でいうとアッカーマン、フーバーの功績は特に大きいです。」
山南「みなさん、これをご覧ください。私と土方君からの立案です。」
一枚の紙を出す。それを見て沖田がニヤッと笑った。
沖田「…へぇ、えげつないことをしますねぇ。鬼と仏、共同の策ということですか。」
武田「しかし、この三人ならば頷ける。指揮能力に関しては抜き出ている。」
永倉「…」
土方「これに対しては反対意見も認める。俺自身、無理やり通す気もねぇ。」
土方「いいのか永倉。珍しい、アンタが何も言わねぇなんて。」
永倉「1人の人間としては失格かもしれん。だが、彼らと共に戦う内にに底を見てみたくなった。」
ぽん、と手を叩き土方が立ち上がった。
土方「決まりだな。局長に確認次第、決行する。」
井上「…」
山南「浮かない顔ですね。」
井上「情のかけすぎもいかんのかもしれません。でも、今の彼らを更に追い詰めるのでは。」
山南「しかし我々は」
井上「…はい。来るところまで来てしまったという訳ですね。」
ーーーーーーーーーーー
〜トロスト区・調査兵団本部〜
ナイル「おい、どういう事だ!これ以上庇いきれんぞ!!」
団長室で身を乗り上げ、怒鳴りつけるのは憲兵団師団長。
エルヴィン「私は事実を述べたまでだ。…ヒッチ・ドリス二等兵、アニ・レオンハート二等兵、及びマルロ・ハイデンベルク一等兵、マルコ・ボット一等兵は消息を絶った。」
ナイル「ふざけるな!二度までもそんなことが…」
ハンジ「有り得るんだよナイル。今回はナナバの目の前で起きたんだ。」
ナイル「な…!」
ナナバ「ああ。強い光に包まれたと思ったら…姿が消えていた。」
団長室に集められたのは、今回の事情を知るもののみ。
二度に渡る”神隠し”は、両兵団にとって深刻な問題となった。
エルヴィン「ナイル、すまない。今回はこちらに責任がある。」
ナイル「…ッ!謝罪などいい、私が言いたいのはこれからの話だ、下の者に隠そうにも限界がある!!」
リヴァイ「下手をすれば、トップの首がすげ変わるか。中央のヤツらからしたら、これほど愉快なニュースはねぇ。」
ミケ「心中、お察しする…」
ナイル「他人事のように言うな!」
ハンジ「まあまあ落ち着いて。もしかすると、消えた104期達を追えるかもしれない。」
ドサッ
モブリット「分隊長!丁寧に扱ってください!」
机の上に置かれたのは、立体起動装置のシャフト部分だった。
ナイル「これは…ハンジ、またおまえ違法を…」
ハンジ「これを使えば、通常の1.5倍〜1.8倍のスピードが出る。もちろん耐Gを考えれば、使える人間は限られてくる訳だけど。」
リヴァイ「手短に言え、クソ眼鏡。」
なにやら黒板に数式を書き出した。
ハンジ「これは内密にしてもらいたいんだけど、どうも現場が気になってモブリットともう一回調査に行ったんだ。そこである事に気付いてね。」
ハンジ「あの森の、104期らが消えたところだけ磁場が狂っている。厳密に言えば、気温・湿度・風向き…いわゆる事象が全て微妙にズレている。」
ハンジ「これが何を示すか。仮定の話だけど、”時空の割れ目”が発生しているんじゃないか?」
エルヴィン「ほう、これまた大きく出たな。」
更に数式を追加する。
ハンジ「ここからが問題だ。この時空の割れ目に、立体機動の超スピードが加わったら?その時に起こり得るのは…」
数式を書き終え、チョークをタンッと打つ。
ハンジ「タイムスリップだ。」
-
- 8 : 2015/04/09(木) 20:14:44 :
- ーーーーーーーーーーーーー
〜二日前〜
坂本「用意…撃て!」
ダン!ダダン!!
坂本「ひょー、すごいもんじゃ。おんしら、知識があるがか。」
海援隊に無理矢理入隊させられた四人は、日本ではまだ珍しいライフルの扱いを難なくこなした。
彼らにとっては当たり前の動作だったが、これは坂本を大いに驚かせた。
ヒッチ「こんな旧式の銃でよく戦争ができるわね。」
マルコ「標準がすぐブレる。乱戦や天候次第で使い物にならなくなるよ。」
マルロ「坂本さんは、できる限り戦を避けようとしているらしい。海援隊もそのための組織だって。」
アニ「…」
ーーーーーーーーーーーーー
あーあ。
少女はぼやいた。
ヒッチ「気がついたら知らない世界で。はぁー…なんでアンタなんかと。」
ヒッチ「さてはマルコ、私と二人きりになりたいんでしょ?」
マルコ「何だここは…あんな建物見たことがない。それに、何か臭わないか?」
ヒッチ「ちょっと無視?マルロなんかよりは、少しだけいいと思ったのに!」
マルコ「!!…ヒッチ、立体機動に移れ!』
ダンッ!
ヒッチ「な、何よ。銃撃?!」
「奇怪な術を使いおって…貴様ら異人だな?!」
ヒッチ「怪しいのはそっちだっての!変な格好して、時代遅れの銃使って!」
マルコ「待て。…失礼いたしました。こちらは憲兵団ストヘス区所属、マルコ・ボット一等兵です。」
すると名乗ったにも関わらず、警戒は薄れることがなかった。
「憲兵団?訳の分からぬことを言いおって!!」
マルコ「な?!違う、僕たちは…」
ヒッチ「こいつらに何言っても無駄よ。さっさと逃げましょ!」
とまどうマルコを諭し、集団を振り切ろうと再び立体機動に移る。
「おのれ、空を飛んでいるとでもいうのか?!追え、逃がすな!」
ヒュン
「おっと、かーちぇいすはここまでぜよ。お嬢ちゃん。」
進路上に黒服の男が現れた。
ヒッチ「?!どきなさいよ、怪我しても知らないから!」
「いーや、そういう訳にはいかんき。」
ドガッ!
ヒッチ「…え?」
「よっこらせ!」
男はヒッチを受け止めると、そのまま背負い投げで倒した。
マルコ「ッ!この…」
「おっと。じ・えんどじゃき。」
男はマルコに拳銃を向けた。
マルコ「うっ…」
マルコ(できるか?引き鉄を引かれる前に、背後に回り込む。片方のアンカーをうまく使えば、不意をつけるかもしれない。)
「やめとき、こっちのが早いぜよ。」
男は手練れであった。飄々としているが、自らの領域に踏み込めば容赦はしない。
そんな雰囲気を伺わせた。
「坂本さん!」
後続が追いついてきた。
ヒッチ「マルコ…あんただけでも逃げて。」
マルコ「何言ってるんだ、そんな事できる訳が!」
「そうぜ、そうぜ。一旦冷静にならんかい。わしはおまんらに危害を加える気はないき。」
「坂本さん?!こいつらは異人ですよ、もしかすると新撰組に現れた奴らと関係が…」
「かー、何度も言うとるじゃやろ陸奥。世界は広いんじゃ、己のものさしで物事を図るなと。」
そう言うと、ヒッチの上から身を引いた。
ヒッチ「え?」
「おまんらちぃと訳ありじゃな?ひとまずわしの所に来い、今の日の本は物騒じゃ。」
マルコ「・・・失礼ですが、あなたは?」
「おぉ、忘れとった!わしは坂本龍馬、ぴーすめーかーになる男じゃ!」
-
- 9 : 2015/04/12(日) 19:25:57 :
- ーーーーーーーーー
アニ「なんだか拍子抜けする男だね。」
マルロ「しかしこの見ず知らずの世界では、俺たちだけでは生きていけないのも確かだ。」
ヒッチ「バッカみたい。そもそも地形調査に来てたのに、なんでこんな目に会わなきゃいけない訳ー?」
マルコ「…」
黙って何かを考えるマルコに、マルロが詰め寄る。
マルロ「お前、何か隠していないか?今思えば、まだまだ新兵の俺たちに師団長直々の任務なんて異例だ。
たかが地形調査のために、立体機動装置まで持ち出すなんておかしい。」
マルコ「…考えすぎだよ、マルロ。とにかく今は龍馬さんに従おう。」
-
- 10 : 2015/04/12(日) 20:09:12 :
〜屯所内 講義場〜
アルミン「…であるからして、この隊列は銃撃に極端に弱いと言えます。」
島田「ただ突っ込んで、斬り合うなんて時代は終わったのかもしれないな。」
武田「いや、一概にそうとは言えん。西洋式の軍隊に対しては、四方からの抜刀が有効だ。問題はどう近づくかだ…」
隊内では軍学の整備が始まっていた。
来る戦に備え、内側からの改革が必要だと唱える武田に呼応し、「刀」という時代遅れの戦法を敢えて主軸にするというアルミンのこの案は、時代に取り残されつつある隊士らに希望を持たせた。
近藤「使用許可?」
エレン「はい、立体機動による撹乱はかなり有効かと…」
土方は筆を止め、ため息をついた。
土方「そりゃ無理だな。」
エレン「何故ですか?元来我々はその戦いを主流としています。用途も万能で…」
土方「あのびっくり箱で戦場を飛び回ってみろ。お前ら、真っ先に標的になるぞ。」
ドサッ
エレン「これは…」
土方「監察方からの報告書だ。お前やアッカーマンを含む数人が、確実に薩長の間で警戒されている。」
エレン「え…」
土方「お前らはまだ一方的な討ち入りしか経験していない。野外の集団戦はそうはいかねぇ、囲まれたらまず無事では済まんぞ。」
冷や汗握る手をギュッと押さえつける。
近藤「逸る気持ちも分かる、慣れない環境を何とかしようと思うのだろう。しかし、ここの所薩長に妙な動きもある。」
エレン「…」
ミカサの懸念は、危険な形で広がっていた。
ベルトルト「うおお!」
ギン!
斎藤「芯がブレている。言ったはずだ、恐怖心に任せて刀を振るなと。」
斎藤「怯えるな、前を見ろ。」
ベルトルト「…ッ!」
ベルトルト(やめろ…僕をそんな目で見るな、やめてくれ!」
ベルトルト「うわぁぁぁ!」
ジリッ…
永倉「どうした、かかってこい。」
ライナー「くっ…」
永倉「克服せねば、いずれは死ぬぞ・」
ライナー(ああ、うおおおおお!!)
ズンッ!
(がっ…は、母上…)
ズリュ…
ライナー(あ…)
ガン!
ライナー「ぬおおおおお!!」
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- 11 : 2015/04/24(金) 21:25:45 :
- 続きに期待☆
-
- 12 : 2015/04/26(日) 00:25:50 :
- 那雄斗さん
ありがとうございます。中々進められず申し訳ありません。
書きだめはあるので、近々更新します。
-
- 13 : 2015/04/27(月) 22:56:06 :
-
ーーーーーーーーーーーーーー
山崎「局長、よろしいでしょうか?今朝屯所にこんな物が…」
一通の書を差し出す。
近藤「これは…すぐに隊長を広間に。幹部会を行う。」
山崎「かしこまりました。」
近藤「それと、彼らも呼んでくれ。」
30分後、広間に一堂が会した。
何故自分達が呼ばれたのかわからない104期は、少し困惑気味であった。
土方「これは明らかに薩長の挑発だ。奴ら、こんなモンよこしやがって。」
文をパンパンと叩きつける。
永倉「で、内容は?」
山南「明日の夜更けに、祇園の町に火をつけると。池田屋のやり方を踏襲している所を見る限り、我々をおびき寄せたいのでしょう。」
沖田「もちろん行くんですよね?」
近藤「普段ならお上の指示を仰ぐところだが、今はそれどころじゃないだろう。我らだけで行こう。」
原田はヨッシャア!と歓声を上げ、他の隊長達も深く頷いた。
土方「敵の数がわからない以上、全隊出撃する。が、逆に屯所を襲われる可能性もあるからな、伍長以下は残れ。」
エレン「あ、あの…」
土方「なんだ、イェーガー。」
エレン「我々を呼んだ理由はなんでしょうか?」
土方は一旦溜息をつくと、切り出した。
土方「空席の四番隊だが…新たに隊長を任命することにした。」
土方「ブラウン、お前がやれ。」
ライナー「…え、えぇ?!」
104期の間にどよめきが起こる。
それに反して隊長達は動じなかった。
ライナー「ちょっと待ってください、自分は剣の腕も未熟で…」
山南「隊長に求められる能力は、それのみではありません。君はその基準を充分に満たしている。」
当の本人はブンブンと首を振った。
ライナー「そんな、いきなり…」
土方「安心しろ、ユミルとキルシュタインを補佐につけてやる。」
ジャン「いやー、びっくりしたぜ。」
ユミル「なら一安心だな、ライナーさんよ。」
「…」
ジャン・ユミル「えぇぇーーーー?!!」
ーーーーーーーーーーーーーー
ライナー「くそ、納得がいかん。なんで俺なんだ…」
隊務の引き継ぎを任された彼は、ぼやきながら庭の小石を蹴っ飛ばした。
ジャンとユミルは、隊士の顔合わせに行っている。
永倉「不満か?」
ライナー「新八さん…俺はあんな事があったばかりで、邪念すら取り払えていないのに。いきなり隊長だなんて。」
永倉「お前ならやれる、俺も推薦した1人だ。」
ライナー「なっ…」
ガッ!
冊子が落ちるのも構わず、永倉の胸を掴みあげた。
ライナー「何でだ…アンタが一番俺の現状をわかってんだろ?!」
ライナー「そりゃ感謝してるよ、だが剣でも心でも所詮俺はアンタに届かない…」
ライナー「そんな半端もんの俺が!」
永倉「ふんっ!」
ドガッ!
ライナー「ぐあっ!」
2m近い巨体が宙を舞った。
永倉「俺を超えてみせるとの言は偽りか?」
ライナー(…!)
永倉「現状を打ち破れ、壁を突き抜けろ。強さとは単一ではなく、己自身が唯一だ。」
ライナー「…わからねぇよ。」
永倉「それはお前次第だ。…足掻いてみせろ。」
ライナー「…」
己への不甲斐なさか、苛立ちか。
握り締めた拳を、地面に振り落とした。
-
- 14 : 2015/04/27(月) 23:37:23 :
- 期待してます
-
- 15 : 2015/05/05(火) 20:37:47 :
- 期待です‼︎頑張ってくださいね‼︎
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- 16 : 2015/05/07(木) 22:13:46 :
- 名無しさん
ありがとうございます、
-
- 17 : 2015/05/07(木) 22:14:14 :
- 那雄斗さん
ありがとうございます、頑張ります!
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- 18 : 2015/05/12(火) 11:50:47 :
山南「それでは隊の編成を発表します。」
大広間に集められた隊士らが息を飲む。
彼らが待っているのは、真っ先に敵陣に斬り込む”死番”の発表だ。
山南「前衛一番隊、三番隊…後衛八番隊、十番隊…」
山南「死番…三番隊フーバー、及びイェーガー。」
元気よく返事をしたエレンに対し、ベルトルトの顔は真っ青であった。
アルミン(あの二人を前に出すということは…確実に薩長を引きつけるためでしょうか?)
武田(それもある。体良く言えば囮だな、二人は薩長側の要注意人物だ。)
武田(それに、なんとか恐怖心を克服させたいという、斎藤君の試みでもあるのだろう。)
当の斎藤は相変わらず、表情からは何も読み取れない。
ライナー「あの、四番隊は…」
土方「安心しろ、お前らは橋の警護だ。まず浪士共が現れる心配はないが、念のためにだ。」
ジャン(念のため、か。何だか無性に嫌な予感がするぜ。)
死番を免れた隊士達が胸を撫で下ろし大広間を後にする中、ベルトルトは立ち上がれずにいた。
ベルトルト「…」
本来彼の技量を持ってすれば、そこまで怯えるものでもない。
だが彼の精神状態に追い討ちをかけていたのは、”負のイメージ”であった。
死番で無惨に全身を斬り刻まれた隊士が、戸板で運ばれていく姿。
「…おい、ベルトルト!」
ベルトルト「…!」
気づくとエレンが肩を揺すっていた。
エレン「大丈夫かお前。この間の討入りからどうもおかしいぞ。」
ベルトルト「はは…我ながら情けないな、刀を振るう度に手が震えるんだ。どんなに気を保っても、自分が死ぬイメージが払拭できない。」
エレン「死番、ミカサに代わってもらうか?そんな状態じゃ…」
ベルトルトは首を横に振った。
ベルトルト「いや、どちらにしろ乗り越えなければいけない壁なんだ。」
そう言うとフラフラと自室の方に歩き出していった。
「やはりダメだったか。」
暗がりから姿を現したのは斎藤。
エレン「ああ見えて、結構頑固な奴なんです。」
斎藤「お前の言った通りになった。」
エレン「でも何故このような事を?」
斎藤「フーバーは元々才のある男だ、それだけに人斬りにもなり得る。そこに俺の意思は関係ない、奴次第だ。」
エレン「私の世界では調査兵団は完全に色物扱いでした、”死にたがりの集団”、と。新撰組と同じ様なものです。」
二つの集団は根本的に似ている。エレンはそう実感していた。
斎藤「要は誇りとするものがあるかどうか。」
誇り。
エレンは久しく着ていない隊服のエンブレムを思い出した。
自由の翼。
少なくとも、それを背負ってからの自分は変われただろうか?
既に8歳の時に人殺しの経験のある自分には、ベルトルトの苦悩はわからないだろう。
そう、あの時は成り行きとはいえ…死んで当たり前の連中とおもったのだ。
エレン(この世界では、純粋な思想の違いが争いを生んでいる。そこに建前や理屈はない、そこが俺にはわからない。)
エレン(ただ、自分たちの世界よりはまだ救いようのある気がする。)
斎藤「…フーバーを頼むぞ。」
未だに慣れない感覚。
斎藤の問いには答えずに、そんな事を考えていた。
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エレン「新撰組?」 シリーズ
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