このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
ミカサ「私のいるべき場所」
-
- 1 : 2014/10/04(土) 20:51:18 :
- 幼少期時代のお話
-
- 2 : 2014/10/04(土) 20:58:35 :
『ほら……帰ろうぜ……俺達の家に……』
『……!うん……帰る……!」
忘れられない。あの日。
お父さんとお母さんの命が奪われたあの日。
初めて、男の人の恐怖を知ったあの日。
そして、
初めてエレンと、出会った日。
「う……」
また、見てしまった。
あの日の、夢を。
隣を見てみると、エレンはいない。
どこに行ったの?
「おばさん……」
「あら、ミカサ。お熱は下がった?」
「ううん。ちょっと高い」
「そう。お父さんに見てもらおうね」
「はい」
「おばさん、エレンは……?」
「エレンなら、アルミンの家に行っちゃった。」
「……」
少し、悲しかった。アルミンにエレンを取られた気がして。
わかってる。
アルミンはそんなことはしない。
でも……
-
- 3 : 2014/10/04(土) 21:04:39 :
- 「アルミンのとこ、行く……」
「あ!ダメよ。お熱下がってから」
「お外に行きたい……」
「お熱が下がったら、たくさん行こうね」
「……」
今日も、エレンはいない。
私は、ただ騒がしい外を見つめていた……
我が儘は言わない。
困らせるようなことをしてはいけない。
私が勝手に、いるだけなんだから……
「お腹空いた?お粥作らなきゃ。忙しい……」
「……忙しくして…ごめんなさい…」
「なぁに?」
「何でもない…」
おばさんを忙しくしているのは私だ。
ごめんなさい。
-
- 4 : 2014/10/04(土) 21:12:55 :
夕方になった。
エレンが帰ってきた。
泥だらけ、どこで遊んだのだろう。
「エレ……っ!あんた早くお風呂!入りなさい!」
「は~い」
素直に従う。
エレンはお風呂に行った。
「私も、入りたい……」
「入ったらお熱上がっちゃうよ」
「うう……」
「まずはお熱、下げよう。それから、外で遊んでいいし、お風呂に入ってもいいよ」
「……わかった…」
そして、夜遅く。おじさんは帰ってきた。
帰ったばかりなのに、私の診察をしてくれた。
「うん。明日の朝には下がるよ。今日はしっかり寝ているんだよ」
「はい……」
「いい子だね」
帰って疲れているのに。
私の為にさらに疲れさせている。
ごめんなさい。
-
- 5 : 2014/10/04(土) 21:17:34 :
翌日。よく眠ると、本当に熱は下がった。
お風呂に入ってから、遊ぼう。
「お熱下がったね。よかったね」
「うん」
「母さん、俺アルミンん家行ってくる。」
「ミカサと一緒に行きなさいよ」
「え~~……男と女が一緒にいたら絶対ハンネスさん辺りに冷やかされるよ」
「じゃあね」
そういい、出ていった。
私がいたら、エレンがバカにされるの?
ごめんなさい……
-
- 6 : 2014/10/04(土) 21:22:17 :
- でも、私も遊びたい。
お友だちは二人しかいないのだから。
「おばさん、行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい。気を付けてね」
「はい」
アルミンの家に行っても、二人共いなかった。
正直、シガンシナの町は、道を覚えていない。
どうしようか。
とにかく、歩き回ろうか。
迷ってさまよい続けること2時間。
スタート地点のアルミンの家に戻ると、二人はいた。
「げっ!ミカサきたのかよ!」
「いいじゃないか。こんにちは。ミカサ。」
「こんにちは。アルミン。」
-
- 7 : 2014/10/04(土) 21:31:11 :
- 「ったく!アルミンはミカサに甘いんだよ!」
「私は帰った方がいい?」
「ダメダメ!エレンの言うことは気にしないで、一緒に遊ぼう」
「でも……」
「……エレン。」
「っだあー!!わかったよ!いいよ!遊ぶぞ」
「ありがとう」
「当然じゃないか。」
楽しく遊んでいたと言うのに。
あいつらがやって来た。
「おらおら!うわっ!またお前ら、女と遊んでんのか?」
図体ばかりでかい、近所の男の子。
アルミンとエレンを、いつも貶してくる。
「女の子と遊んじゃダメなのかい」
「はぁ?女と遊んでたら、気持ち悪いじゃんかよ!」
「だから、なんで女の子と遊んじゃダメなの?気持ち悪い?僕はそうは思わない」
「……っ」
「うるせぇ異端者!!」
アルミンを殴った。
エレンが怒った。
「てめぇ……っ!!」
私のせいで乱闘が起きてしまった。
とりあえず、逃げさせて、アルミンに手をさしのべた。
アルミンは、少し不満気な表情で、断った。
-
- 8 : 2014/10/04(土) 21:34:47 :
- 「自分で立てるよ……」
私がいなかったら、こんなことにはならなかった。
もうこれからは、一緒に遊ばない方がいいかもしれない。
ごめんなさい。エレン。アルミン。
真夜中。0時30分
私は眠れなかった。
最近、私のせいで、皆に迷惑をかけている。
私は、ここにいていいのだろうか……
考えた。そして、決心した。
一人で、生きていこう。
-
- 9 : 2014/10/04(土) 21:39:32 :
- 外に出た。今は夜中。人は誰もいない。
そして、私は歩きだした。
私が住んでいた、あの家へ………
到着したのが、2時間後だった。
久しぶりの家のドアに、手をかけ、開いた。
そこには。
お父さんとお母さんが殺された時の、あの、真っ赤な血が、広がっていた。
鉄の匂いがする。
あの日と変わらない、この家。
育てていた、作物はまだあった。
しばらく食には困らない。
お父さん。お母さん。私はもう一度、この家で過ごします。
-
- 10 : 2014/10/04(土) 21:46:28 :
- 突然眠気が襲ってきて、前使っていた私のベッドで寝た。
翌朝。懐かしい天井の風景が目に入ってきた。
そうか。私は昨夜、ここに来たんだ。
今頃、皆はどうしているだろう。
私がいないので、
楽しくやっているかなぁ………
外に出て、日の光を浴びた。
気持ちいい。
畑に向かう。
「久しぶりだね」
私は野菜に声をかけていた。
トマトはきれいな赤色で、胡瓜はトゲが鋭かった。
茄子も、ツヤツヤしてて、美味しそう。
大きくなってくれて、ありがとう。
やることがない。
家の掃除をしようかな。
あの日から、一ヶ月。
誰も手入れする人はいない。
きっとすごく汚れている。
-
- 11 : 2014/10/04(土) 21:55:50 :
人の気配がした。
私は屋根裏部屋に隠れた。
さっき見つけたものである。
誰だろう。天井の隙間から見ると、
小柄で、目付きの悪い男の人と、
分厚いメガネをかけた女の人と、
金髪で、大柄な男の人がやって来た。
「本当にここか?リヴァイ」
「ああ。アッカーマンと言う家らしい。」
「なんか、すごく綺麗だね。」
「埃1つない。おかしい」
「最近まで、誰かここにいたのかな」
心臓がバクバクした。いつばれる。
私の存在も……
「ん……?」
「どうした?」
「土だ。それもかなり新しい。ついさっきつけたような」
そう言えば、泥を落とすのを忘れてた。
「足跡的に………小さい…ガキ……?」
「まさか!!」
「どこか隠れてるかもしれないな。憲兵には、ここにくる許可は取った。探そう」
ばれる。ばれちゃう。
せっかく来たのに。
戻される。
また、皆に迷惑をかける。
私のいるべき場所はここだ。
誰にも迷惑をかけない、ここだ。
-
- 12 : 2014/10/04(土) 21:59:23 :
- やめて。
私の存在を探さないで。
と、思っていたら、
「……」
見つかった。目付きの悪い、男の人に。
「おい、ガキ……」
「……」
「ここで何をしている……」
「……」
涙が出る。男の人は怖い。
また打たれるかも。
また、この家を血で、染められそう…
「泣くな。答えろ」
「……っ!」
私は逃げた。
でも、すぐ捕まった。
怖い。
助けて……っ!!
-
- 13 : 2014/10/04(土) 22:04:47 :
- 私は下に下ろされた。
「この子は……っ!!」
「知ってるのか?エルヴィン」
「ここの……家の子だ……」
「は?」
「お前、名前は」
「……み、ミカサ・アッカーマン……」
「……!アッカーマン……」
「しかしなぜここに?シガンシナの家に、引き取られたと聞いたが……」
「シガンシナ区に行ってみようよ。ほら、おいで」
女の人が両手を広げる。
私はすぐに男の人から離れたかったので、飛び付いてしまった。
「よしよ~し。あのおっさん達が怖かったねぇ……」
「おい。」
「行こうか。シガンシナ区。」
「い……かない……」
「へ?」
「行かない……!!」
「なんで……」
-
- 14 : 2014/10/04(土) 22:07:03 :
- 「め、迷惑かけちゃう……」
「……大丈夫。迷惑なんて誰でもかけるものだよ」
「でも……!」
「大丈夫。私を信じな」
「…うん……」
-
- 15 : 2014/10/04(土) 22:16:53 :
- 戻って来た。この町。
「あ……!」
「あ……」
「知り合い?君」
「は、はい……友達です…」
「この子のお家、分かるかな?」
「うん……」
「案内してくれる?」
「こっちです。」
アルミン。また迷惑かけちゃったね。
「ミカサ……!」
帰ると、おばさんが、泣いて抱き締めてくれた。
「心配したんだよ……?」
「おばさん、ごめんなさい…」
「良かったわ。無事で……」
「良かったね。ミカサ。」
「お姉さんも……ありがとう……」
「いいの!いいの!ちょっと、お母さん。お話があるんですけど、いいですか?」
「……?はい……」
「お帰り。ミカサ。」
「エレン……!」
抱きついてしまった。
思わず。
「うわっ!?びっくりするだろ?……この人たちは?」
「分かんない……」
「私は、調査兵団、ハンジだよ。」
「調査兵団……!?」
「アルミン!調査兵団だぜ!英雄だよ!」
「うん!すごいね!エレン!」
「そこまで言われると照れるよ……」
おばさんと、ハンジさん達が話し合って、調査兵団の三人は、帰っていった。
そして、寝る前、おじさんとおばさんと話をした。
-
- 16 : 2014/10/04(土) 22:23:27 :
- 「自分のこと、迷惑だって思ったの……?」
「……うん」
「私がいなければ、おばさんは忙しくならないし、おじさんも、疲れない。エレンとアルミンだって、私が原因で、いじめられたりしない……」
「そんなの、誰も迷惑なんて思っていないよ……」
「……!」
「逆にね。ミカサがいないと心配なんだよ?エレンなんてすぐ危ないことするし……ミカサは色々とお手伝いしてくれるし……私はとってもミカサいて、良かったよ」
「おばさん……」
「そうさ。今やミカサがいないと家は成り立たないよ」
「そうね……!」
二人共、笑っている。
私は、ここにいていい。
私のいるべき場所は、ここなんだ……
____________________________________
10年後……
-
- 17 : 2014/10/04(土) 22:30:49 :
私は、あの日の家にいる。
「お父さん……お母さん……」
「私はとても元気……」
「巨人も絶滅させて、エレンと結婚したよ……」
「私のお腹、赤ちゃんがいるんだ……」
「もう、お父さんとお母さんはおじいちゃんとおばあちゃんだね……」
「私は、いるべき場所をちゃんと見つけられたよ」
「この家も、明日で壊されちゃうんだ。」
「だから、お別れをいいにきたの……」
「でも、10年前、私にいるべき場所を教えてくれた、この家。」
「絶対に忘れはしない。」
「壊されても、また、来るから。」
「今度は、エレンと子供も連れてね」
「じゃあ、バイバイ。」
『幸せになるんだよ……!』
「……!」
「今……」
「うん!じゃあね!!」
END
-
- 18 : 2014/10/04(土) 23:05:57 :
- とてもよかったです
お疲れ様です^_^
-
- 19 : 2014/10/05(日) 08:58:21 :
- 少し、感動しました!
お疲れ様です!!!
-
- 20 : 2014/10/05(日) 10:32:14 :
- ぬわぁぁ!?
悲しすぎるぅ…
-
- 21 : 2014/10/09(木) 23:58:14 :
- いい話。・゜・(。´ノω・`)。ウウゥゥ
-
- 22 : 2014/10/11(土) 21:09:51 :
- 泣いちゃったよ….どうしてくれるんだっ……( ; ; )
-
- 23 : 2015/06/19(金) 17:31:51 :
- 素敵でした
-
- 24 : 2016/08/09(火) 12:54:10 :
- あぁぁ、またもやiPadの画面がビチョビチョにぃぃ
-
- 25 : 2016/08/19(金) 07:51:39 :
- 良い話見つけた(*^^*)
友達に教えますね‼︎
「神作見つけた‼︎良い話過ぎるから見て‼︎絶対」って教えますね〜‼︎
久しぶりに泣いた…
-
- 26 : 2017/06/24(土) 10:59:07 :
- (`・ω・ ;) 良 作 過 ぎ か よ
- このスレッドは書き込みが制限されています。
- スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
-
思い付き短編集 シリーズ
- 「進撃の巨人」カテゴリの人気記事
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場