このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
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進撃の調査劇団~おおきなかぶ~
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- 1 : 2014/09/17(水) 12:46:51 :
- こんにちは。久しぶりの調査劇団、ど~しても書きたくて、立ちあげてしまいました。よろしくお願いします。
* 第13代、調査兵団団長、エルヴィン・スミスの威厳だとかキャラだとかは、だいたい駆逐されましたw
* ペトラ父、再び参戦!娘のためたらば、神をも恐れぬ彼は、数珠繋ぎの作品の中で、“最強の民間人”と設定されています…しました。
* 今回は、ハンジさん、そしてモブリット以外のハンジ班のメンバーはお休みです。
* エルヴィン以外のキャラは極力保ってゆくつもりですが、保証はできません(^_^;)
…以上の条件でも良い、という、お時間のある方は、ぜひ劇場へどうぞ(今回は屋外ですが…)
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- 2 : 2014/09/17(水) 12:54:22 :
- ※…と、その前に…
<公演数日前の深夜…>
ーシャベルを持った2人の怪しい男…ー
ザッザッザ…
? 「…よし…この辺で良いだろう…」
? 「本当に…こんなことをしても、いいのでしょうか…」
? 「いいんだ。久しぶりの公演だ。さらに、最近マンネリ化して、このままでは、劇団の存続自体が危うい…」
? 「…はあ…」
? 「さあ、2人がかりでも、一晩で終わらんだろうが、公演までには終わらせるぞ!」
? 「…あとからどうなっても、知りませんからね…」
ザックザックザク…
ー暗闇に、土を耕す音が響く…ー
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- 3 : 2014/09/17(水) 13:01:32 :
- <そして公演当日…>
エルヴィン 「今日も、いい天気だな…」ウム。
エルド 「団長…久しぶりの公演ですが、今回は屋外なんですね…」
エルヴィン 「ああ。この前会場に行ったら、別の団体に借りられていてな…」
グンタ 「それで、やむなく屋外に…?」
エルヴィン 「そういうことだ…それに、今回の公演は、屋外の方が向いていると思うしな…」
オルオ 「今回の公演は、何なんですか?」
エルヴィン 「おおきなかぶ、だ。」
一同 「」
エレン 「…なんか、早めに終わっちゃいそうですね…」
エルド 「俺も子供のころ絵本で読んだが…ただ、みんなでかぶを引っこ抜くだけの話だろ?」
グンタ 「…まあ、これは調査劇団だからな…」チラ。
エルヴィン ニコニコ。
エルド 「…そうだな…」ハァ。
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- 4 : 2014/09/17(水) 13:10:56 :
- ーそこへ、ペトラ&ペトラ父が、あわただしく走ってくる。ー
ペトラ父 「…や、どうも遅くなりまして…」ハァハァ。
ペトラ 「すみません…もう、お父さんのせいよ!」
ペトラ父 「何言ってる。人様の前に出るんだ。きちんとするのが常識だろ。」
ペトラ 「あのね、今から衣装に着替えるんだから、わざわざ背広を新調しても、意味無いんだからね!」
ペトラ父 「俺はな、まず形から入るんだよ。」
ペトラ 「もう…本当にすみません、皆さん。今日は父共々、よろしくお願いします…」ペコ。
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- 5 : 2014/09/17(水) 15:39:16 :
- エルヴィン 「…まあ、ペトラもそう気にするな。配役はもう決めてあるし、そう慌てることもないさ。」
ペトラ父 「そういやあんた、この前いつの間にかいなくなってたな…」←※前作~水戸黄門後日談~をご参考ください。
エルヴィン 「あのあと、アレを探していたんですよ…」
ペトラ父 「アレ?」
ーエルヴィンの指示す先には…ー
ペトラ父 「おおっ!」
ペトラ 「すっごーい!」
エルド 「でかい!」
グンタ 「こりゃ…」
オルオ 「…みごとな…」
エレン 「大きなかぶ…と兵長!?」
ーそこには、地に埋まった大きなかぶと、その隣でイスに座っているリヴァイが…ー
リヴァイ 「お前ら…集まったみてぇだな…」
エルド 「なぜ、兵長がそこに?」
リヴァイ 「今回俺は、このかぶの近くに居ればいいらしい。」
エルヴィン 「リヴァイも疲れが溜まっている様子だったからな。まぁ今まで、お母さんヤギやら、王子様やら、ファントムやら、重要な役ばかりだったから、無理もないがな。今回はなるべく、負担の無い役にした。」
グンタ 「兵長は、何の役を?」
エルヴィン 「それは、劇の進行に合わせて説明する。あまり言うなと本人に言われているからな。」
エレン (あまりいい役ではないのか…)
オルオ (兵長が今被ってらっしゃる、緑色の帽子のようなものと、何か関係があるのか…?)
エルヴィン 「では、配役を発表しよう。」
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- 8 : 2014/09/17(水) 21:25:16 :
- エルヴィン 「まず、おじいさん役は…お父さん、お願いします。」
ペトラ父 「あんたにお父さんと呼ばれる筋合いは一切無いが、了解した。」
エルヴィン 「次に、おばあさん役は、ペトラ、頼む。」
ペトラ 「了解です、団長。」
エルヴィン 「あと、孫役は、オルオだ。」
オルオ 「フッ…くしくも、この俺が、ペトラの親族になるとはな…悪くはないが…」
ペトラ 「ちょっと、兵長のモノマネはやめてって何百回言えば分かるのよ!あと、あんたと親戚なんて、考えただけでも寒気がするわ!」ゾワワワ。
オルオ 「フッ…ペトラ…照れなくてもいい…」
ペトラ 「照れてなんかないわ!」
ペトラ父 「…おいペトラ、お前、このオルオとかいう奴とは、どういう関係なんだ?」
ペトラ 「別に…ただの同期で、今は同じ特別作戦班の仲間よ…」
ペトラ父 「…ほ~ぉ、同期で仲間、ね…」ジト。
オルオ 「オルオ・ボザドです。よろしく…」ハハ。
エルヴィン 「続いて、犬役はエルド、ネコはグンタ、ネズミはエレンだ。」
エルド 「俺たちは、動物の役か…」
グンタ 「エレンはネズミか…いつもは巨人化して大きくなるのに、ネズミとは新鮮だな。」
エレン 「…は、はぁ…」(…兵長の名前、出てこなかったな…)
エルヴィン 「では各自、衣装に着替えて、公演を始めよう。」
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- 20 : 2014/09/20(土) 21:21:29 :
- <開演の前に…>(←ちょっとした閑話です。スルーしてOKです。)
エルヴィン 「観客の皆様、こんばんは。今回は、屋外ならびに、夜間での公演となっております。」
モブリット 「今夜のトロスト区の天気は、どんより曇り空。気温も、真夏と比べると、ずいぶん低くなっています。」
エルヴィン 「もし、身も心も“寒い…”と思ったら、遠慮なく申し出てくれ。数量限定ではあるが、この第13代団長、エルヴィン・スミスが、惜しみない愛と毛布を、君に届けよう。」
モブリット 「団長!そんなこと言ったら、誰も申し出せずに、寒くても我慢してしまうじゃないですか!」
エルヴィン 「…?」
モブリット 「心っ底“なぜ?”って顔されてますね…」ハァ。
※朝夕と、ずいぶん冷える日が続きますね。
数珠繋ぎはもう手遅れですが、皆さんは風邪など召されぬよう、お気をつけくださいm(__)m
では、開演です( ´∀` )/
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- 23 : 2014/09/20(土) 21:36:09 :
- 【開演】
エルヴィン 「おじいさんが かぶをうえました。」
ペトラ父 「あまい あまいかぶになれ。おおきな おおきなかぶになれ。」
エルヴィン 「あまい げんきのよい とてつもなく おおきいかぶができました。おじいさんは かぶをぬこうとしました。」
エルヴィン 「うんとこしょ、どっこいしょ♪」
ペトラ父 「うぅぅぅりゃゃゃゃあぁぁぁっ…くっ…!」
リヴァイ 「…ずいぶん気合いが入ってるな…」
エルヴィン 「…お父さん、本当に1人で抜こうとしなくても大丈夫ですよ。この話には、まだ続きがあるので…」
ペトラ父 「あんたにお父さんと呼ばれる筋合いは一切無いが、ここで俺がかっこ良くかぶを引き抜いた方が、ペトラも俺を見直すだろ。最近、なぜか怒られてばかりだからな。」
ペトラ 「お父さんっ!」
ペトラ父 「ペトラ!?勝手に出てきちゃダメじゃないか。」
ペトラ 「出て来ずにはいられなかったのよ!お父さん、調子に乗って、持病の腰痛を悪化させたらどうするの!?いいから、一緒に抜くわよ!」
リヴァイ 「…気温が下がると、腰を痛めやすいからな…」ウンウン。
エルヴィン 「おじいさんは、おばあさんをよんできました。
おばあさんが おじいさんをひっぱって
おじいさんが かぶをひっぱって…」
ペトラ父 「ペトラ、いくぞ!」
ペトラ 「ええ。せ~のっ…!」
ペトラ親子 「そ~れっ、そ~れっ…!」
リヴァイ 「…見事な親子プレーだが、かぶはびくともしねぇな…」
エルヴィン 「それでもかぶは ぬけません。」
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- 27 : 2014/09/20(土) 22:01:50 :
- ※公演を再開いたします。
エルヴィン 「おばあさんは、まごをよんできました。」
ペトラ 「オルオ、さっさと来なさい!」
オルオ 「フン…俺の出番か…」
エルヴィン 「まごが おばあさんをひっぱって おばあさんが おじいさんをひっぱって おじいさんが かぶをひっぱって…」
ペトラ 「…きゃっ、ちょっとオルオ!?」
オルオ 「…な、なんだよ!?」
ペトラ 「ヘンなとこ、触らないでよね!」
オルオ 「ヘ、ヘンなとこなんて、触ってねぇよ!」
ペトラ 「どうかしら。目が泳いでるわよ!」
ペトラ父 「おい、お前どういうつもりだ!うちの娘に…」
オルオ 「誤解っスよ、俺は別になにも…この機会を利用しようなんてこれっぽっちも思ってなかったかと言うとそうでも無いんスけどぉ…」
ペトラ親子 「思ってたのね(かよ)!?」
エルヴィン 「…とにかく、かぶは抜けないので、まごは 犬をよんできました。」
オルオ 「おい、エルド!早く来てくれ!」
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- 33 : 2014/09/24(水) 14:20:36 :
- エルド 「オルオ…お前、触ったのか?」
オルオ 「な、なにをだよ?」
エルド 「なにって…ペトラのアレやソレだ。」
オルオ 「触って…ねぇっつーか、ある程度腰に手を回さねぇと、力が入んねぇだろ!?」
エルド 「…まあ、それもそうか…」
ペトラ 「でも、絵本だとみんな、服をひっぱってるのよ!そんなイヤらしく、腰に手なんか回してないわよ!」
オルオ 「服ひっぱってて、かぶが抜けるかよ!絵本のやつらは、本気で抜こうとしていなかっただけだ!」
エルド 「…それもそうだな。ペトラ、許してやれよ。」
ペトラ 「…もう、しょうがないわね…」
エルヴィン 「犬がまごをひっぱって まごがおばあさんをひっぱって おばあさんがおじいさんをひっぱって おじいさんがかぶをひっぱって…」
ペトラ父 「よし、引くぞ!…せーのっ…!」
全員 「そぉーれ、そぉーれ、!」
エルヴィン 「それでもかぶは…ぬけません。」
エルヴィン 「犬は、ネコを呼んできました。」
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- 36 : 2014/09/24(水) 14:49:08 :
- エルド 「グンタ、来てくれ。」
グンタ 「…ああ。しかし、相当でかいな、このかぶは。」
リヴァイ 「…途中で抜けたら、元も子もねぇだろうが…」
ペトラ 「」
オルオ 「」…エト、ソノ…。
エルド 「」ナントイエバ…。
グンタ 「」…シカシキニナル…。
リヴァイ 「…なんだ?」
エルド 「…あの、さっきから気にはなってたんですが、兵長は、何の役を演じてらっしゃるのか、と…」
ペトラ 「この劇が始まってから、ずっと、かぶの隣に座って、色々とヤジ…いや、進言なさってますが…」
リヴァイ 「ああ、そうか…エルヴィン、説明してくれ。」
エルヴィン 「分かった。…みんな、考えてもみてくれ。この【おおきなかぶ】にでてくる、おじいさんは、おそらく農業で生計を立てていると思う。故に、かぶを植えたのだろう。」
グンタ 「…あくまで、団長の推測ですよね…」
オルオ 「家庭菜園が趣味のじいさんかもしれねぇじゃねぇか…」
エルヴィン 「とにもかくにも、彼の庭に、かぶだけが植えられているのは、不自然だと俺は考えた。」
エルド 「…まぁ、ほかに何か育てていても、不思議ではないですよね…」
エルヴィン 「そう!!だからリヴァイには!!!」
エルヴィン 「“かぶの隣で収穫の時を今か今かと待つ、ニンジンさん”の役をやってもらうことにした!」
リヴァイ 「…チッ、くだらん。」
エルヴィン 「気に入らないのなら、ニンジンにこだわらず、キャベツでも白菜でもネギでもゴボウでもバナナでも、好きなのを選んで良かったんだが…」
グンタ 「団長、そういう問題では…」
リヴァイ 「…とにかく、俺はいわゆる“植えられた”状態なんでな。自分じゃ動けない。せいぜいお前らだけでかぶを引っこ抜け。」
ペトラ 「兵長、私があとで抜いてさしあげますから、待っててくださいね。」
リヴァイ 「…お、おう…」
オルオ 「…ぬ、抜くってペトラ…そんなアダルトな発言を…」
エルド 「ペトラも時々大胆だよな…」
グンタ 「舞台袖でエレンが聞いてなきゃいいが…」
ペトラ 「…えっ…はっ?なに???」
エルヴィン 「ネコが犬をひっぱって 犬がまごをひっぱって まごがおばあさんをひっぱって おばあさんがおじいさんをひっぱって おじいさんがかぶをひっぱって…」
ペトラ父 「いくぞ!」
全員 「そぉーれ、そぉーれ!!!」
エルヴィン 「それでもかぶは…ぬけません。」
エルヴィン 「ネコは、ネズミを呼んできました。」
グンタ 「エレン、来てくれ。」
エレン 「やっと、自分の出番ですね!」
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- 45 : 2014/09/25(木) 14:07:12 :
- エレン 「このかぶめっ…このオレが…駆逐してやるっ…!」
ペトラ 「ダメよ、エレン。このかぶは、あとでみんなで食べるんだから…」
エレン 「冗談ですよ。」ハハハ。
グンタ 「お前が言うと、本気にしか聞こえん。」
オルオ 「おい、ガキんちょ、これはお遊びじゃねぇ。綱引きかなにかと、間違えんじゃねぇぞ。」
エレン 「そんなこと、分かってますって!」ムウ。
エルヴィン 「ネズミがネコをひっぱって ネコが犬をひっぱって 犬がまごをひっぱって まごがおばあさんをひっぱって おばあさんがおじいさんをひっぱって おじいさんがかぶをひっぱって…」
ペトラ父 「いくぞ!」
全員(エレン以外) 「そぉーれ、そぉーれ…!」
エレン 「オーエス、オーエス…!」
エルド 「ちょっと待て!」
オルオ 「おい、新兵!ふざけてんのかてめぇは!?」
エレン 「すみません。つい、勢いというか、ノリというか…」シュン。
グンタ 「うん、多分エレンは、ふざけたのではなく、天然で出てしまったのだろう。ここは、許してやろう。」
エレン 「すみません…本当に…」シュン。
ペトラ父 「よし、気をとりなおして、もう1度だ!」
全員 「そぉーれ、そぉーれ…!」
エルヴィン 「それでもかぶは…ぬけません。」
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- 46 : 2014/09/25(木) 14:15:10 :
- オルオ 「くそっ…この調査兵団の精鋭中の精鋭、リヴァイ班の力をもってしても、抜けないとはっ…」
ペトラ父 「…そうか、リヴァイ班の力が出揃っても…って、ペトラ!」
ペトラ 「な、なによ、いきなり!」
ペトラ父 「ペトラお前、この前手紙で、リヴァイ兵長の班になったって書いたよな!?」
ペトラ 「ええ。書いたわよ。」
ペトラ父 「…で、さらに、旧本部で、共に生活してます的なことを…書いてた…よな?」
ペトラ 「そうよ。」
ペトラ父 「で、で、で!?その班員ってのが、この冴えないむさ苦しい男共だと!?」
エルド 「…むさ苦しいって…」
グンタ 「きっぱり否定できない自分が哀しい…」
ペトラ父 「しかも、このチカン野郎とも、一緒なのか!?」
オルオ 「それは誤解っスよ、お父さん!」
ペトラ父 「お父さん言うなぁっ!!!」
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- 47 : 2014/09/25(木) 14:19:25 :
- ペトラ父 「ペトラっ!」ガシッ。
ペトラ 「な、なに!?」
ペトラ父 「ペトラ、お前の部屋のセキュリティは、バッチリだろうな。何かあれば、SE●OMやらア●ソック的なのがすぐ飛んでくるんだろうな!?」
ペトラ 「た、ただ、カギがついてるだけよ!」
ペトラ父 「ぬぅわぁんだとぉっ!?」
エルヴィン 「おじいさんは、ニンジンさんに、つかみかかりました。」
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- 48 : 2014/09/25(木) 14:34:20 :
- ペトラ父 「おい、あんたの班だろ!?娘はな、まだ嫁入り前なんだぞっ!娘になにか…もしもの事があったら、どう責任をとるつもりなんだ!?」
リヴァイ 「」
ペトラ父 「…っ…」
リヴァイ 「」
ペトラ父 「…何か、言ったらどうなんだ!?」
ペトラ 「やめてよお父さん、兵長に何て事するのよ!?」
リヴァイ 「…いや。構わん。」
ペトラ父 「…?」
リヴァイ 「あんたの娘を俺の班に入れたのは、女だからというわけではなく、これまでの巨人討伐や討伐補佐の数や、その他兵士としての実力を鑑みた結果だ。他の奴らもそうだ。男とか女とかは関係無く、兵士としての実力のみで選んだ。その結果、たまたまペトラが女1人になっちまった。その事に対して、親として心配するのは当然だろう。」
リヴァイ 「…本当に…すまない…」
ペトラ父 「…え…いや…」
エルド 「…兵長が…」
グンタ 「謝っ…てる…」
オルオ 「…すげぇ…」
リヴァイ 「バカ言え。俺だって悪いと思えば詫びる。…今みたいにな。」
リヴァイ 「…ペトラを女だからと、贔屓するつもりは毛頭無いが、もし、こいつに理不尽な危険がふりかかりそうな時は、俺が必ず阻止する。他の奴らも同じだ。俺の部下として、俺についてきてくれた以上、俺は全力で部下を守る。あんたが俺の事をどう思おうが勝手だが、それだけは伝えておく。」
ペトラ 「…兵長…」
エルヴィン 「ニンジンさんは、長々とカッコイイセリフを言いました。」
エルド 「…団長、少し黙っててもらえますか…」イマ、イイトコナンデ…。
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- 51 : 2014/09/25(木) 21:29:16 :
- グンタ 「しかし、抜けませんね、かぶ。」
ペトラ 「絵本の中なら、もうとっくに抜けてるはずよ。」
エレン 「すみません、先輩方。オレの力が及ばないばかりに…」
エルド 「気にするな、エレン。本当にこのかぶは大物なんだ。並大抵の力では抜けん。」
オルオ 「はぁ…こりゃ、諦めるしかねぇのか…」
ペトラ父 「その方が助かる。俺ももう、かぶの葉を持つ手が限界でな…」ヒリヒリ。
ペトラ 「大丈夫なの、お父さん?」
ペトラ父 「ああ。平気さ。ペトラは優しいな、ほんとに…」
エルヴィン 「本当に、それで良いのか?」
一同 「…えっ?」
エルヴィン 「本当に、かぶを抜くのを、ここで諦めても良いのか?」
リヴァイ 「…ずいぶんと歯切れが悪いな…何が言いたい。」
エルヴィン 「…いや?ただ、物語の結末を、故意にねじ曲げても良いのかと、ナレーターとして、気になってな。」フフン。
エレン 「…この劇団、物語の筋書き通りに終わったこと、ありましたっけ?」
エルド 「…いや…」
グンタ 「…無いな…」
ペトラ 「まぁ、私たちリヴァイ班が出演していない回のことは、よく知らないけど…」
オルオ 「俺実はその回をこっそり観に行ったんだが、やはり筋書きとは違った終わり方をしていたぞ。」
エレン 「オルオさん…観に来てくださってたんですね…」キラキラ。
オルオ 「ばっ…勘違いするな!看板役者のこの俺がいなくて、劇が成り立つのか、気になっただけだ!///」
エルヴィン 「…そういえば君たち、もうすぐ給料日だったな…」
一同 「…?」
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- 52 : 2014/09/26(金) 21:48:41 :
- エルヴィン 「うちの兵団は、いつも給料はニコニコ現金払いだったな…」
ペトラ父 (…そうなのか。初めて知ったな…)
エルド 「」
ペトラ 「」
グンタ 「」
オルオ 「」
エレン 「…?」エッ…エッ???
エルド バッ「おい、まさか!?」
ペトラ 「あのかぶの下に!?」
グンタ 「俺たちの給料が!?」
オルオ 「くそぉっ!ふざけやがって!」
エレン 「オレ…今回いただくのが、初任給なんですよ!?」
リヴァイ 「チッ…くだらん。」
エルヴィン 「もちろんリヴァイ、お前の給料も、埋まってるからな。俺のは埋まってないけど。」
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- 53 : 2014/09/26(金) 21:58:00 :
- リヴァイ 「よし。とにかく、かぶを抜くぞ…」スッ。
エルヴィン 「ニンジンは自分じゃ動けないぞ。」
リヴァイ 「…チッ…」ストン。
ペトラ 「兵長。私が抜いてさしあげます。」ニコ。
リヴァイ 「……あ、…ああ…おう…」タノム。
オルオ (兵長が…まんざらでもないご様子だ…)オオ。
ペトラ 「さ、兵長。手を…」
両手を繋ぐ、リヴァイとペトラ。
ペトラ 「せ~の、よいしょっと…」
立ち上がるリヴァイ。
ペトラ 「さ、抜けました♡」ニコ。
グンタ (…くっ…可愛いすぎる…)プルプル。
エルド (…いかん。俺には愛するフィアンセが…)プルプル。
オルオ (フン…俺の嫁として合格点をあげてもい…)
オルオ 「いてっ!…おい、何でいきなり殴るんだよ!?」
ペトラ 「何か、くっだらない事考えてる顔してたからよっ!」
リヴァイ 「何をごちゃごちゃ言ってる。早くかぶを抜くぞ。」
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- 56 : 2014/09/27(土) 21:38:23 :
- リヴァイ 「とは言っても、闇雲に抜いてもらちが開かねぇ。グンタ、エルド。」
グンタ・エルド 「はっ。」
リヴァイ 「お前らは至急、シャベルとツルハシを準備しろ。」
グンタ・エルド 「了解です。」
リヴァイ 「オルオ、エレン。」
オルオ・エレン 「はっ。」
リヴァイ 「お前らは旧本部に戻って、立体機動装置を装備して来い。」
オルオ・エレン 「了解です。」
ペトラ 「…兵長、私は?」
リヴァイ 「お前は、父親のケガを看てやれ…みたところ、けっこうひどいみたいだからな。」
ペトラ 「本当なの、お父さん!」
ペトラ父 「…大丈夫だペトラ…この位、なんてこと…っ…いてっ…」
ペトラ 「ちょっと見せて…ちょっと、すごい血が出てるじゃない!早く手当てしないと…」
リヴァイ 「…こいつらの給料は、俺が責任をもって取り戻す…」
ペトラ父 「リヴァイ…兵士長…殿…」
リヴァイ 「あとは…俺たちに任せてくれ…」
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- 57 : 2014/09/27(土) 22:00:30 :
- グンタ・エルド 「兵長、シャベルとツルハシを準備しました!」
オルオ・エレン 「兵長、立体機動装置を装備してきました!」
リヴァイ 「よし。まずオルオとエレン。お前たちは、かぶの実を調べ、なるべく強度のあるところにアンカーを刺せ。」
オルオ・エレン 「はっ。」
リヴァイ 「そしてワイヤーを使い、かぶを引き上げる。エルドとグンタは、少しずつかぶの周りの土を削れ。」
グンタ・エルド 「はっ。」
エレン 「兵長、お言葉ですが…」
リヴァイ 「なんだ。」
エレン 「自分が巨人化すれば、簡単なのでは?トロスト区の扉をふさいだ大岩と比べたら、こんなかぶ…」
リヴァイ 「よせ。お前が巨人化すれば、ここにいる観客が危険にさらされることになる。だいいち、巨人化したあとも、自我を保っていられる保証は無いだろ。」
エレン 「…はぁ…すみません…」
オルオ 「おい、新兵!ここにアンカーを刺せ!俺は、ここに刺す!」
エレン 「…あ、オルオさん…了解です!」
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- 58 : 2014/09/28(日) 21:36:33 :
- リヴァイ 「…よし…引けっ!」
オルオ 「うりゃあっ!」
エレン 「それぇっ!」
リヴァイ 「…エルド、グンタ、周りを掘れ!」
エルド・グンタ 「了解!」ザッシュザッシュ!
リヴァイ 「よし…もう1度引くぞ!」
オルオ・エレン 「はいっ!」
ペトラ 「こうしちゃいられないわ。私も行かなくちゃ!」
ペトラ父 「…よ、よし。俺も…」
ペトラ 「お父さんは、ここで休んでて。」
ペトラ父 「ペトラ…大丈夫なのか?」
ペトラ 「大丈夫。私たちは調査兵団の精鋭…特別作戦班、“リヴァイ班”だもの!」
ガシッ。
ペトラ 「兵長。ペトラ、来ました!」
リヴァイ 「よし。お前もオルオたちと、ワイヤーを引け。」
ペトラ 「了解です!」
リヴァイ 「…引け!」
ペトラ 「…それっ…!」
グググ…。
エルド 「…兵長!かぶが傾きはじめました!」
リヴァイ 「よし。エルドとグンタも、掘るのをやめ、一緒にワイヤーを引け。いいか。ここからは、エルドが合図を送れ。一気に引くぞ。」
リヴァイ班 「了解!」
エルド 「いくぞ…せーのっ…!」
リヴァイ班 「そぉーれ、そぉーれ…!」
グググ…!
グンタ 「みんな…頑張れ!もう少しだ!」
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- 59 : 2014/09/28(日) 21:42:36 :
- グググ…ズズッ…!
エレン 「よしっ…いけるぞっ…!」
ズズズッ…
ズボッ!!!
リヴァイ班 「わあっ!!!」
かぶが抜け、勢いで尻餅をつくリヴァイ班。
エルヴィン 「やっと、かぶはぬけました。」シレッ。
リヴァイ 「…ったく、しれっと解説続けてんじゃねぇクソが…」
エルド 「それよりも早く、給料を!」
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- 60 : 2014/09/28(日) 21:59:05 :
- グンタ 「よかった…給料も、無事のようですね…」
リヴァイ 「…よし。俺が渡そう。エルヴィンには任せておけねぇからな。」
リヴァイ班 「異議無し。」
リヴァイ 「まずは…エルド。今月もよくやってくれた。またこの次も頼りにしている。」
エルド 「兵長…ありがとうございますっ!」
リヴァイ 「次。ペトラ。お前は毎回、給料に見合う以上の働きをしているな。無理をする必要は無い。お前は充分にやっていると俺は思う。」
ペトラ 「兵長…私…嬉しいですっ!」
リヴァイ 「次はグンタ…お前は常日頃から、任務の事ばかり考えているな…その働きが俺たちを支えているんだろうが、たまには息抜きも必要だ…女の1人でも、作ったらどうだ?」
グンタ 「へ…兵長…自分は、そんな…恋人なんて…///」
エルド 「…と言いつつ、まんざらでもないな、グンタ?」
グンタ 「…おい!俺は別に…///」
リヴァイ班 ハハハ…。
リヴァイ 「次にオルオ…お前もよく鍛練していると思う。そこは認めよう。しかしな、手柄をあげようとか、そういう事に目がいきすぎて、たまに周りが見えなくなっているように思うぞ。いつか命取りになる…充分気をつけろ。お前にも、期待しているからこその忠告だ。」
オルオ 「へ…兵長ぉぉぉっ…期待してるだなんて…感激っス…!」
ペトラ 「オルオったら、調子に乗らないの!あと、涙拭きなさい、きったないわね!」
リヴァイ 「最後に…エレン…」
エレン 「はいっ!」
リヴァイ 「この日にいきつくまで、色々な事があったと思う。しかし、お前も察している通り、まだ序の口だ。改めて言う必要も無いが、気を引き締めろ。残念だが、お前が平穏に暮らせる日は、まだまだ先だ。」
エレン 「はいっ!兵長!!!」
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- 62 : 2014/09/30(火) 21:36:04 :
- リヴァイ 「…やれやれ。これで全部…でもねぇな。誰の給料だ、これは…」
モブリット 「…あ…それは…」
リヴァイ 「モブリット。お前のか。」
モブリット 「………すっ…すみませんでした!みなさん!」
土下座するモブリット。
リヴァイ 「どういうことだ。説明しろ。」
モブリット 「はい…実は、自分も団長と一緒に、かぶの下にみなさんの給料を…自分の分も、団長と一緒によけておくことも考えたのですが…そんな卑怯な事できなくて…悪い事だと思っていたのですが…団長の命令には逆らえなくて…」
リヴァイ 「もういい。もう、終わった事だ。さっさと受け取れ。」スッ。
モブリット 「すみません…リヴァイ兵士長…いただきます…」
エルヴィン 「なんにせよ、めでたしめでたし、だな。」ハッハッハ。
リヴァイ 「黙れこの諸悪の根源が。」
エルド 「まぁ兵長、いいじゃないですか。俺も、今回兵長から直接お給料を受けとれて、とても嬉しかったですし…」
グンタ 「なかなか出来ない経験を、させていただきました。」
ペトラ 「私も!なんだかんだ言っても、楽しかったし!」
オルオ 「フッ…ペトラ、俺とこの大舞台に立てた事がそんな嬉しいか。しかしまだ必要な手順を…」
エレン 「オレも!初任給を兵長からいただけて、光栄でしたっ!」
エルヴィン 「リヴァイ、大人気だな♪」
リヴァイ 「頼む。お前黙ってろ。」
-
- 63 : 2014/09/30(火) 21:49:40 :
- ペトラ父 「…リヴァイ…兵士長殿…」
リヴァイ 「…なんだ。」
ペトラ父 「ペトラの事なんだが…」
ペトラ 「お父さん!いい加減にしてよ!私はもう、このリヴァイ班の一員なんだからね!」
ペトラ父 「…ああ。そうだな…本当に、そうだ…」
リヴァイ 「…?」
ペトラ父 「リヴァイ兵士長殿…ペトラを…その…よろしく頼みます…」
深々と頭を下げるペトラ父。
ペトラ 「お父…さん?」
ペトラ父 「ペトラは…娘は…幸福者です。こんなに誇れる仲間というか…ただの民間人の自分には、なかなか表現できる言葉が見つかりませんが…素晴らしい仲間に囲まれて仕事ができて…ウォール・マリア崩壊以降、皆、食う事だけで精一杯だというのに…娘は…こんなにも輝ける居場所を見つけた…」
リヴァイ 「…感じ方は、人それぞれだが…」
ペトラ父 「…いや、分かりまさぁ。なんたって俺は、ペトラの父親ですから…」
ペトラ 「…お父さん…」
ペトラ父 「…ペトラ…今、目の前にいる仲間を…大切にな。」
エルヴィン 「…いやぁ、感動ですなぁ…」ハァ…。
ペトラ 「団長、黙っててもらえますか…」
-
- 64 : 2014/09/30(火) 22:04:02 :
- ペトラ 「…さ、みんなで抜いたかぶ、さっそくスープにしていただきましょ!」
エレン 「いいですね!楽しみです!」
エルド 「しかし、これだけの大きさだと、旧本部まで運ぶのは、一苦労だな…」
グンタ 「大丈夫だろ。」
オルオ 「フッ…皆、俺の実力をあてにしているようだが、俺にも都合というものが…」
グンタ 「俺たち…リヴァイ班だから…な?」
エルド 「だよな!」
ペトラ 「そうよね!」
エレン 「はいっ!」
オルオ 「俺も、それを言おうとして…」
ペトラ 「はいはいオルオ、台車持ってきて!」
オルオ 「…って、俺かよ!?」
エルド 「…俺たちも、オルオ様の実力とやらが、見たくなってな…」
グンタ 「そういうことだ。」
オルオ 「くそっ…見てろ…しっかり見とけよ、お前ら!」
リヴァイ 「…おい、その前に、この舞台を締めなきゃならんだろ。」
エルド 「…あ、そうでしたね…」
グンタ 「そうだったな…」
ペトラ 「それもそうよね…」
オルオ 「締めは大切だからな…」
エレン 「…ですよねっ!」
エルヴィン 「…」
シーン。
エルヴィン 「」
リヴァイ 「…おい…」
エルヴィン 「」
リヴァイ 「…おい、エルヴィン!」
エルヴィン 「…どうした?」
リヴァイ 「どうしたじゃねぇだろ。ナレーターが締めなきゃ終わらねぇだろ。なぜ黙ってた!?」
エルヴィン 「…いや…だって…みんなが黙ってろ、黙ってろって言うから…」
一同 「「ここは喋れ!!!」」
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- 65 : 2014/09/30(火) 22:06:01 :
- ※…以上で、終了とさせていただきます。
ご来場いただいた皆さま、S席をご購入いただいた皆さま、コメントをくださった皆さま、ありがとうございました。
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- 70 : 2014/11/16(日) 23:46:04 :
- リヴァイ班とペトラ父が可愛かったです!
給料手渡し、なかなか機会ないですよね…。一言ずつ添えながら渡してくれる兵長の部下への愛情、じーんとしました。
執筆お疲れさまでした!
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- 71 : 2014/11/17(月) 21:11:00 :
- >>70 なすたまさん
ご来場いただき、ありがとうございました。
給料の手渡しは、数珠繋ぎも経験したことないですねぇ。
ちなみに、紙幣だと地面に埋めた時、ぐちゃぐちゃになるので
すべて貨幣だった、という裏設定もあります(^_^;)
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