このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
ハンジ「私の餌にならないかい?」エルヴィン「いいだろう、ただし…」※吸血鬼パロ×学パロ【gjさんとの合作】
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- 1 : 2014/05/26(月) 21:31:22 :
- 誠に勝手ながら、gjさんと会議を行い、リヴァペトss(学パロ)を削除して、
エルハン吸血鬼ネタとを混ぜて一つのssにいたします!
ので、このssは吸血鬼パロ×学パロです(屮°□°)屮
メインカプは安定のエルハン&リヴァペトです!応援よろしくお願いします!
毎週火曜日に更新いたします。
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- 15 : 2014/06/02(月) 23:11:04 :
【序章】
?「ねえ…」
それは暗闇の中で妖艶に笑う人間(ヒト)でないモノ。
触れれば壊れてしまいそうな細い身体は、異常なまでに白く、詩人が見たならば、まるで雪のようだと瞳を輝かせるだろう。
しかし、ソレの前で佇む青年の眼にその色は無く、ただただ異質なモノを無表情で見つめている。
その異質なモノは、ぱさりと羽織っていた黒い布を投げ捨てて、青年の首元にうっとりと頬を赤くした。
?「貴方…美味しそうな匂いがするね」
ソレは青年に腕を伸ばし、その大きな身体に抱き付いては…ゆっくりと…ゆっくりと彼の耳に
?「私の、餌にならないかい?」
そう、囁いたのだった。
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- 20 : 2014/06/03(火) 21:15:18 :
3月の始め、まだ春休みの半ばである進撃高校2年のエルヴィン・スミスは、休みにも関わらず6時のアラームで眼を醒ました。
エルヴィン「…」
エルヴィン・スミス
スミス財閥の跡取り息子。
進撃高校では生徒会長を勤め、成績優秀、他の生徒と教師らの人望も厚い。
金も、地位も、名声も、全てが揃っているにも関わらず、決して驕らない彼を誰かは【完璧】と評した。
そして、驚くべき所は、エルヴィン・スミスがそれを当然のよう
に受け入れたことである。
その堂々とした、上に立つものの器を兼ね備えた彼に人は惹かれ、魅いられるのだ。
それは人間だけでなく、
エルヴィン「…はあ、ハンジ…、おい、ハンジ…」
溜め息混じりに呼ばれた名前はエルヴィンの横で眠る、一切何も纏っていない裸の少女へと向けられたものだった。
ハンジ「ぅん…」
もぞもぞとベッドの上で身動ぎすると、ハンジは夢うつつ分からぬまま眼を少しだけ開けた。
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- 21 : 2014/06/03(火) 21:18:06 :
エルヴィン「ハンジ…起きろ、」
ぺしぺしとエルヴィンがハンジの頬を叩けば、彼女はゆらりと起き上がると、
エルヴィンの首元に付けられた咬み痕をニヤリと見つめた。
エルヴィン「起きたかい?」
ハンジ「うん…ねえ…エルヴィン…早速で悪いけど、朝御飯ちょーだい♪」
エルヴィン「駄目だ。俺が食事をした後にしてくれ」
ハンジ「やだよ、待てない」
ふるふると首を振る彼女に、エルヴィンは半ば呆れたものの、仕方ないと自分の首を彼女に差し出した。
ハンジは咬み痕から漂う甘い血の誘惑に興奮しながら、カプリとソコに噛みつく。
彼女の名前は、ハンジ・ゾエ。
人間ではない異質な存在、
古来より日本では、彼女の種族を〝吸血鬼〟と呼んでいる。
ハンジ「っん…ふぅっ、…はっ…」
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- 22 : 2014/06/03(火) 21:22:50 :
喉に伝わるドロリとした赤い液体は、ハンジの身体へと侵入し、彼女に快感を運んだ。
ふるりと震える身体をエルヴィンは優しく抱き締める。
彼と彼女が出逢ったのは、一年前の嵐の夜であった。
雨に濡れて妖しい色を発する彼女をエルヴィンは今でも鮮明に覚えている。
エルヴィン「ハンジ…、もうそれくらいにしろ。頭がくらくらしてきた」
ハンジ「う…んんっ…」
血を吸うことに夢中になっている彼女は、エルヴィンの声などに耳を貸さずに、血を一滴も溢れ落とすものかと首に吸い付く。
エルヴィンは自分の身体の限界を感じて、ハンジの頭を勢いよく掴んで押し倒した。
両腕をベッドにねじ込ませて、正気ではない、血に狂った彼女の唇に自分のモノを重ねる。
自分の口内にぬるりと入り込むエルヴィンの舌に、ハンジは驚いたように眼を見開くとエルヴィンの胸を叩いて離れた。
ハンジ「っは、…は、」
エルヴィン「落ち着いたか?」
ハンジ「う…ぅん、窒息死するかと思ったよ!」
エルヴィン「そうか、それはそれは…もう少しだったかな?」
ハンジ「おいおい!」
おぞましい呟きを聞いた瞬間に、ハンジは青ざめて必死にエルヴィンの背中を揺すった。
その姿が可愛らしく見えたのか、エルヴィンはクスリと笑う。
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- 23 : 2014/06/03(火) 21:27:08 :
エルヴィン「そういえばハンジ、」
ハンジ「ん?」
エルヴィン「俺としては嬉しいんだが、そろそろ服を着てくれるか?」
ハンジ「ああ、そうだった。人間は裸で出歩くと怒るんだっけ?」
エルヴィン「ああ、そうだ。だから服を着ろ」
ハンジ「分かったよ」
ハンジは何故かエルヴィンのYシャツに腕を通して、ふふんと無い胸を張ってエルヴィンを見た。
視線を向けられた彼は半眼でソレを眺める。
エルヴィン「…返せ」
ハンジ「萌えた?」
エルヴィン「少しね」
ハンジ「うそおっ!?」
エルヴィン「嘘だ。早く返せ、お前の服はどこだ?昨日の夜に着ていたのは?」
ハンジ「どっかいっちゃった!」
エルヴィン「そうか。探せ、そして返せ!」
ハンジ「やああだああ!」
やんややんやとYシャツを取り合いしていると、コンコンッとノックがした後に部屋の扉が開いた。
メイド「失礼します。ぼっちゃま、朝食の御用意が…きゃああああああああぁ!!!?」
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- 24 : 2014/06/03(火) 21:30:29 :
叫び声をあげて、泣きそうな表情のメイドが見た先には、ベッドの上で抱き合っている(ように見える)男女の姿。
これはもう驚く他はないだろうね!
メイド「めっ、メイド長!!!!メイド長おおお!ぼっちゃまが大人の階段を上っておいでですうぅうう!」
エルヴィン「おい!誤解だ!」
取り乱したメイドが助けを呼ぶ声は、エルヴィンの悲鳴のような主張の声を軽くかき消したのだった。
「なるほど、アホ吸血鬼に服を着せようとしたものの、このアホ吸血鬼がぼっちゃまの服をわざと着て、ぼっちゃまを困らせて、
むきになったぼっちゃまとアホがシャツの取り合いを始めたときに都合悪くメイドが来てしまったと、そういうわけでございますね」
エルヴィン「まあ、大体はそんな感じかな」
正座するエルヴィンとハンジをメイド長、リコ・プレツェンスカは腰に両手を当てながら見下ろした。
リコはこの家で唯一エルヴィン以外で、ハンジの正体を知っている人間である。
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- 25 : 2014/06/03(火) 21:39:16 :
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ここで説明を付け加えようと思う。
一年前にエルヴィンと出会ったハンジは、その夜に彼と契約を交わしエルヴィンを餌と定め、スミス家に住み始めた。
スミス家当主のエルヴィンの父、ピクシスは現在外国で仕事をしているために、
ハンジの居候を許可すると言ったエルヴィンの決定に意見する人間はいなかったのである。
そして、エルヴィンの周りでもっとも活動しているのがメイド長であるリコだった。
彼女はたまたまハンジの吸血行為を見てしまい、ハンジの正体を彼女に説明する他、エルヴィンにはなかったのである。
ハンジ「酷いよリコお…私の名前はハンジだってずっと言ってんじゃん」
リコ「…、ぼっちゃまに迷惑をかけなければ私は厳しくしませんよ。だいたい、何故裸だったのですか?」
ハンジ「うん、なんかノリで」
リコ「どんなノリですか!!?」
エルヴィンは昨夜のことを思い出してみるが、最終的には頭をふるふると横に振って作り笑顔を浮かべた。
まったく、何をしていたのやら。
エルヴィン「それでリコ…さっきのメイドは何故俺の部屋に来たのかな?」
リコ「え、ああ、はい。ぼっちゃまの朝食の用意が出来ましたので、食堂か御部屋のどちらで済ませるかを聞いてくるように私が頼んだのですが…この惨事に」
エルヴィン「ああ…部屋で食べるよ」
リコ「では、直ぐに用意を…」
リコが礼儀正しく頭を下げてその場を去ると、思い出したようにエルヴィンの腹は、ぐうう、と音(ね)をあげたのだった。
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- 28 : 2014/06/03(火) 22:05:00 :
エルヴィンは血の不足に気だるさを感じながらも食事を始める、ハンジはベッドの上でソレを眺めた。
ハンジ「毎度聞いてしまうけれど、そんな肉の塊が美味しいのかい?」
エルヴィン「君に奪われた血を取り戻すには最適だろう」
ハンジ「ふうん、そうなんだ。まあ私としても、エルヴィンが食い物を食べて元気になるならどんなもんでも良いさ」
エルヴィン「そうか」
ハンジ「うん♪」
【エルヴィンとハンジの間には、リコにさえ教えていない二人だけの秘密という名の契約が交わされている】
パリンッ!!
エルヴィンが綺麗に焼かれたパンをかじるのと同じ瞬間に、外部から部屋の窓が弾丸により撃ち抜かれた。
それに対して驚かず、エルヴィンは食事を続ける。そう、彼には分かっているのだ。
先程までベッドの上にいた少女が、二階であるこの部屋の、割れた窓から飛び降りたことを。
【エルヴィンとハンジの契約内容は3つ】
ハンジはエルヴィンの部屋に向かって発射された銃弾の出所にいる複数の人間を見つけてペロリと舌を出した。
ハンジ「今日は一段と多いねえ♪私の餌に手を出そうなんて、大した肝の据わりようだ」
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- 29 : 2014/06/03(火) 22:09:30 :
【1つ目、ハンジはエルヴィンの血を吸う代わりにエルヴィンの命を全力で護ること】
スミス財閥は王族にも顔が利く大富豪であり、エルヴィンの父であるピクシスが一言王位について口を出せば、大きく国が揺れ動く。
その権利を剥奪するために息子であるエルヴィンはつねに狙われている。
【2つ目、24時間に最低でも一回はハンジに血を与えること。
護らなければハンジはエルヴィンと、エルヴィンの周りの人間を殺す】
吸血鬼は、餌を定めると餌が死ぬまで餌以外の血を飲むことは許されない。
つまり、エルヴィン以外の血をハンジは飲むことができないのだ。
そして24時間血を飲まずにいると、吸血鬼は自我を失う。
【3つ目、決して互いに互いを裏切らないこと】
ハンジはまたもやエルヴィンの部屋に向けて銃を向ける獲物に向かって走り出す。
ハンジ「さあ、お掃除の時間だ♪」
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- 30 : 2014/06/03(火) 22:23:25 :
部屋に残されたエルヴィンは食事を終えてから、大急ぎでくる使用人に笑顔を向けた。
メイド「ぼっちゃま!お怪我は!!?」
執事「いったい何処の奴が!!?」
エルヴィン「心配ない。それに、もう片付いた頃だろうからね。
…朝にたんまりと血をやったんだ、調子は良いだろうしな…」
後半の呟きはあまりにも小さく、使用人の耳には入らなかった。
数十分して、エルヴィンを狙った人間を片付けてきたハンジはニコニコと戻ってきた。
それをエルヴィンは両手を広げて微笑む。
ハンジ「たっだいまあ♪」
エルヴィン「ああ、おかえり。それで、銃弾のプレゼントをくれた奴等の身元は?」
ハンジ「ああ、はいはい。ちゃんと聞き出したよ。マフィアのシガンシナファミリー」
エルヴィン「そうか…」
ハンジ「ねえ、エルヴィン」
ハンジは身を乗り出して、エルヴィンの肩に自分の頭をのせた。
そして、
ハンジ「ご褒美は?」
と首をかしげたのだった。
これは、人間エルヴィン・スミスと吸血鬼ハンジの、短い思い出話。
【序章】終了
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- 31 : 2014/06/03(火) 22:29:38 :
- 今週はここまで!ここまで読んで下さった方、ありがとうございました!!スライディング土下座!!
来週の火曜日にまたお会いしましょう♪ではでは
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- 44 : 2014/06/10(火) 22:01:41 :
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【第一話】
春休みが終わりに近づいた頃、エルヴィンに朝から難問が飛び込んできた。
エルヴィンがアラームが鳴る前に目を醒ましたのは、廊下の方から悲鳴が聞こえたからである。
その悲鳴は間違いなくメイド長、リコのもので、エルヴィンはハンジを起こすことを忘れて部屋の扉を開けた。
目の前に広がる光景はエルヴィンが想像していたものほど深刻なものではなく、
カサカサと動くソレに怯える可愛らしいメイドの姿だった。
エルヴィン「リコ…」
リコ「はっ、ぼぼぼ…ぼっちゃま。いえこれは決して怖いとかそういうモノでなく…」
エルヴィンの存在に気づいたリコは、頬を真っ赤に染めては取り繕うように姿勢を正した。
しかしカサカサと動くソレは再び姿を現して、リコは恐怖から涙目でエルヴィンに抱きついた!
リコ「ひあああ!」
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- 45 : 2014/06/10(火) 22:02:21 :
- >>43
数珠繋ぎさん!
いつもありがとうございます!
明日、頑張ります(泣
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- 46 : 2014/06/10(火) 22:05:23 :
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エルヴィン「なっ」
リコの行動に驚いたエルヴィンはリコの体重を支えきれずに背中から床に倒れた。
背中に自分とリコの体重の分の衝撃が返ってくるのに、エルヴィンは表情を固くする。
リコ「あっ!申し訳ありません!ぼっちゃま!」
乱れたスカートを気にしながらリコは頭を下げる。
それにエルヴィンは優しく微笑んだ。
エルヴィン「いや、大丈夫…」
ハンジ「何やってんの?」
ごしごしと眼を擦る寝起きのハンジは、またもやエルヴィンのシャツを羽織り、二人を見下ろしていた。
ハンジ「…、…エルヴィン…まさかの浮気…?」
エルヴィン「ハンジ…寝言は寝て言え。いつ俺とお前がそんな関係になった、ついでにリコは結婚している」
ハンジ「じゃあ不倫だ」
エルヴィン「おい…怒らないからその言葉を何処で覚えてきたか言え。明日にでも其処と其処の奴を潰してやる」
頭を押さえながらエルヴィンはそう言うと、リコが自分の上から退いていくのを見送る。
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- 47 : 2014/06/10(火) 22:06:49 :
そう、リコは同じくスミス家で働いている運転手のイアンという少し頼りなさ気な男と結婚している。
秘話として付け足すならば、リコは小さい頃からエルヴィンが恋惹かれていた初恋の相手なのだが、リコは知らない。
エルヴィンもまた、リコへの気持ちは親愛に変化し現在は家族のように思っている。
エルヴィン「まったく…」
ハンジ「イアンに言いつけてやる」
エルヴィン「ちょっと待ちなさい…、…血を普段の1.5倍あげるから今日の事は忘れなさい。いいね、ハンジ」
ハンジ「うん!分かったあ♪」
エルヴィン「今のことは忘れたかい?」
ハンジ「うん!」
エルヴィン「綺麗さっぱり?」
ハンジ「うん!」
エルヴィン「良い子だね」
満面の笑顔で頷くハンジの頭を、エルヴィンは優しく撫でたのだった。
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- 48 : 2014/06/10(火) 22:09:33 :
そこで、カサカサの黒い物体がいなくなっていることに気づいたリコは、周りを見渡してある一点で視線を止めた。
視線の先にはポツンとエルヴィンの部屋の窓付近で座っている三毛猫だった。
リコ「ぼっちゃま…三毛猫なんて飼っておいででしたか?」
エルヴィン「いや?」
リコの視線を追ってエルヴィンもまた三毛猫を驚いたように眺める。
三毛猫の深い青の瞳がエルヴィンを射抜くと背中に悪寒が走る。
ハンジ「あ!ミケだ!」
エルヴィン「…、ミケ?」
警戒心から三毛猫に近寄るハンジの腕を咄嗟に掴むが、ハンジはどうやら三毛猫を知っているらしかった。
それからのエルヴィンの行動は早い。
エルヴィン「リコ、どうやらハンジの猫のようだ。朝食は食堂で食べるからもう下がって良いぞ」
リコ「…、……わかりました」
出ていけというエルヴィンの意思に従って、リコは深く追求せずに部屋を出ていった。
二人と一匹となった空間は奇妙な感覚に飲まれた。
エルヴィン「ハンジの知り合いということは普通の猫ではないのだろうな」
ハンジ「普通だよ。彼は吸血鬼の猫さ」
ハンジの腕の中へと飛び込む少し大きめな猫は、小馬鹿にするように眉を下げて喋った。
ミケ「相変わらず、胸が小さいな。ハンジ」
ハンジ「貴方も相変わらずだね、このエロ猫」
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- 49 : 2014/06/10(火) 22:39:21 :
- 今日はここまでです!
少なくてすいません!テスト終わればもっと更新量が増えるかと思われます!
ここまで読んで下さってありがとうございました!
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- 50 : 2014/06/10(火) 22:52:25 :
- おもしろいです!
ミケwしゃべったww
あとハンジは、不倫なんて言葉どこで覚えたんでしょう(*_*)
次回の更新も楽しみにしてます。
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- 51 : 2014/06/10(火) 22:54:44 :
- >>50
コメントありがとうございます♪
本当にw何処で覚えたんでしょうねw
エルヴィンも驚きですよww来週もよろしくです!
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- 52 : 2014/06/12(木) 17:15:41 :
- 最高!(^_^)/
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- 53 : 2014/06/13(金) 00:02:56 :
- >>52
ありがとうござます!!
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- 54 : 2014/06/17(火) 23:02:48 :
とりあえずと、エルヴィンにハンジとミケの三人は、広すぎる部屋の真ん中にポツンとあるテーブルを囲んで座った。
もっとも、ミケは身体が小さい…というか猫であるので、ハンジの膝に座っているのだが。
エルヴィン「では自己紹介をしようか、俺はエルヴィン・スミスだ」
ミケ「ミケ・ザカリアス。お前の事は一応耳にしている。
なんせハンジが餌に指名した人間だからな、吸血鬼達の間じゃ有名だぜ」
エルヴィン「?…何故ハンジが指名したら有名なんだ?」
エルヴィンは目の前でミケの耳を折ったり立たせたりと遊んでいる自分の相棒に目をやった。
一年という長い時間を共にしてはいるが、彼等は互いに何も聞かない干渉しないと、独自のルールを無意識に持っている。
だからエルヴィンは知らないのだ、ハンジが吸血鬼の間でどのような存在なのか。
彼女の餌は自分で何番目なのかを…
ミケはエルヴィンの問いに、面白そうに目を見開いた後に、首を横に振った。
「後で本人にでも聞いてみな」
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- 55 : 2014/06/17(火) 23:08:29 :
エルヴィン「まあ、今は必要の無い問いだったな。…それで?何故ミケは、ハンジを尋ねたのか聞いてもいいかな?」
ミケ「誰がハンジを尋ねたと言ったんだ?俺は俺の相棒を探しているんだ。
それで、その相棒が一番来そうな場所が此処だったってことさ」
エルヴィン「相棒?」
そこまで話したところで、やっとハンジが会話に参加してくる。
もともとハンジの友人が来たはずなのに、何故ここまで本人が無関心なのかは置いておくとしよう。
ハンジ「ミケの相棒と言ったら、もしかしてナナバが来ているのかい?」
ミケ「ああ、お前がいつまで経っても"城"に帰ってこないから、怒って出ていってしまってな。
俺はそれを追ってきた」
ハンジ「ふうん?まあでも私は帰る気ないよ?もうエルヴィンの血無しでは生きていけないからね」
ミケ「ならば、この餌を殺そうとするかもな」
ハンジ「ナナバはそんなことはしないよ」
ミケ「ナナバは…な」
含みのある言い方に、ハンジは目を細めた。
ハンジ「何が言いたいのさ?」
少しだけ彼女の取り巻く空気が鋭くなったのを、目の前のエルヴィンも感じた。
それに怯えることなく、ミケの瞳はあくまで静かに、ハンジを見つめている。
そして、ある名を口にした。
ミケ「‘リヴァイ’が来ている」
リヴァイの、その単語にハンジは大げさに反応を示す、ミケの耳で遊んでいた手は微かに震えだし、汗をどっと出した。
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- 56 : 2014/06/17(火) 23:19:54 :
彼女の反応はあまりに分かりやすく、流石に無関心を装うのは無理な話というものだ。
エルヴィンは震える彼女の手を握って、
「大丈夫か?」と声をかけると、ハンジはぎこちなく首を縦に振った。
ハンジ「大丈夫…、ごめん…」
エルヴィン「リヴァイ…というのは、ハンジと同じ吸血鬼なのか?」
ミケ「吸血鬼の中の吸血鬼とも言えるな。まあとにかく、お前は気をつけたほうが良い。なんせアイツは大の人間嫌いだ。
一度会えば、殺されちまうかもな?」
エルヴィンからすれば洒落になっていない台詞を、ミケはニヤリと笑って言い放つ。
ハンジの様子から見て、自分はこれ以上聞いてはならないと自己完結したエルヴィンは、不満を漏らさずに口を閉ざした。
しかしミケの語りは続く。
ミケ「アイツは闇の中でしか活動しない夜行性だから、会う方が難しいだろうが、残念なことにハンジの餌となりゃあ話は別だ。
アイツは必ずお前を殺しにくるだろう」
エルヴィン「…」
ミケ「なんせ…、」
ハンジ「ミケ、少し黙ってくれないか。余計なことは喋らなくていい」
低めの声に、ミケは肩をすくめると、両手を挙げた。
「悪かったよ」と付け足すと、彼はハンジの膝から飛び降りる。
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- 57 : 2014/06/17(火) 23:28:35 :
ミケ「ナナバはまだ来ていないようだし、俺は一度帰るとしよう、ハンジ、一応知らせておいたからな。
…奴は直ぐ其処まで来ているぞ?」
そういい残して、ミケは窓から外へと飛び降りていった。
エルヴィンとハンジの間には、おかしな沈黙が流れる。
ハンジ「ごめん…何も話さなくて…」
エルヴィン「気にするな。お前のことだ、俺には関係ない。
…ただ、そのリヴァイが俺を殺しに来るなら、お前には動いてもらうぞ」
ハンジ「うん、契約は護るさ、こっちだって貴方の血が欲しいからね」
二人はそう、話題に終止符を打つと、エルヴィンは食堂へ、ハンジはベッドへと身体を動かした。
シーツに身体を埋めるハンジの姿を、自分の部屋の扉を閉める隙間から覗いたエルヴィンは、隠れて小さな溜め息をついたのだった。
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- 58 : 2014/06/17(火) 23:30:14 :
- 今回はシリアスのフラグパートでした♪
次回は少しはっちゃけるので、よろしくです♪
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- 59 : 2014/06/18(水) 08:50:19 :
- 新たな展開を迎えましたね!!!
リヴァイは確かに強いでしょうね(^_^;)
それにしても、ハンジの膝に乗っかるなんてミケさん羨ましいっ(>_<)
来週も楽しみにしてます。
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- 60 : 2014/06/24(火) 21:24:18 :
- >>59
確かに(≧∀≦)私もハンジさんの膝に乗りたい!
いや、乗せたい!
今後の展開もglさんとともに頑張ります!
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- 61 : 2014/06/24(火) 21:27:22 :
食堂でエルヴィンを待ちかまえるのは、豪華な食事などではなく、大慌ての使用人達の姿だった。
コックのゲルガーが、エルヴィンの姿を認めると、片手をあげた。
ゲルガー「よお!エルヴィン」
このゲルガーという男、エルヴィンが幼少期の頃に、15歳という若さでスミス家に雇われた天才料理人である。
エルヴィンのことは弟の様に接してきたため、身分の差など関係なく常時タメ語である。
それをリコや 副メイド長のリーネに注意されるのが日課である。
エルヴィン「これは何の騒ぎだ?」
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- 62 : 2014/06/24(火) 21:30:42 :
ゲルガー「別に、旦那様が急に帰国するってんで怠け者共が慌ててんのさ」
エルヴィン「俺はおまけ以上に怠けた奴を知らないけどね…しかし、そうか…それは困ったな」
ゲルガー「ああ、ハンジのことか?お前さんが拾ってきた?」
エルヴィン「ああ、アイツは身元不明だからな」
ゲルガー「なんであんな訳の分かんねえのを此処に置いたんだ?まさか…惚れたか」
真顔で言ってくるゲルガーに、エルヴィンは呆れから盛大な溜め息をついた。
まあ、正確には、エルヴィンがハンジを拾ったのではなく、ハンジが乗り込んできたというのが、正しいのだが、
エルヴィンは兄弟のように育ったゲルガーにさえ、彼女との秘密は教えていない。
エルヴィン「そんなわけないだろう?」
エルヴィン「ただたんに、善意からだよ」
エルヴィンは端から見れば、悪人のような黒笑を浮かべた。
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- 63 : 2014/06/24(火) 21:33:35 :
それにゲルガーは生唾を飲むと、嘘付けと嘆息した。
ゲルガー「しっかし、どうするんだ?ハンジのこと話したら、最悪追い出されるぞ?」
エルヴィン「そうだなあ…」
実際に、父親であるピクシスは物わかりがよく、基本的に対応力のある男であるので、さほど厄介ではない。
しかし、ピクシスの秘書を勤めるナイル・ドークがエルヴィンにしては厄介なのだ。
ゲルガー「お前、ナイルさんに嫌われてっからなあ…」
ナイルとエルヴィンの関係はまさに犬猿の仲だった。
計算し尽くされているエルヴィンの性格と、頭が良いが情が先に来るナイルとは根本的に相性が悪かったのだ。
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- 64 : 2014/06/24(火) 21:40:45 :
エルヴィン「勘違いするな。俺が嫌いなんだ」
ゲルガー「へいへい。でもあの堅物のことだ。お前が拾ってきた身元不明の女、そんな短文だけで追い出し決定だろうぜ?」
エルヴィン「確かにそうだな…、さて、どうするか」
顎に指を当てたあたりで、エルヴィンの腹の虫はタイミング良く音を上げた。
それにゲルガーはニヤニヤと口角を曲げると、両手を広げた。
ゲルガー「はいはい、ご飯でございますか。坊ちゃま、暫しお待ちを~」
エルヴィン「やめてくれ」
ふざけた口調のゲルガーに、エルヴィンは照れくさげに頭を掻く。
ゲルガー「まあまあ、旦那様が帰るのは昼過ぎ、飯でもって食って、ゆっくり考えようぜ」
エルヴィン「そうだな…、」
ふと、エルヴィンはベッドに埋もれたハンジのことを思い出した。
エルヴィン「そういえば、今日は朝食を与えなかったな…」
そのとき、
ハンジ「はあ……、ぅあ…ぁぁあ…」
ベッドの上で、ハンジは底から湧いてくる‘欲’に喘ぎ声をあげたのだった。
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- 65 : 2014/06/24(火) 22:05:20 :
- うっわぁ…
これ、朝食あげてなくてハンジ暴走目前!?早く血をあげてエルヴィン!!
あとナイルとエルヴィンの絡みが楽しみです。
今週はここまで…ですかね?来週も楽しみに待ってます♪
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- 66 : 2014/06/24(火) 22:48:17 :
- >>65
さあ、どうなるのでしょう(*´∀`*)ノ
ナイルとエルヴィンは私的にも興奮材料なので頑張ります!楽しみにしていてください!
来週もお楽しみに(≧∀≦)
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- 67 : 2014/07/07(月) 22:54:19 :
- リコさんの『アレ』嫌いにちょっと吹いちゃったw
ミケの「なんせ…、」
の続きが気になりつつ…期待っ!!
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- 68 : 2014/07/09(水) 07:18:32 :
- すいません、昨日寝てしまったので、今日の夜に、更新します。゜(゜´Д`゜)゜。
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- 69 : 2014/07/09(水) 10:11:22 :
- 今夜ですね!!!
楽しみにしてたんです(^^)わくわく。
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- 70 : 2014/07/09(水) 17:59:38 :
- >>数珠繋ぎさん!
いつも、ありがとうございます♪
今日は頑張ります(≧∇≦)b
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- 71 : 2014/07/09(水) 18:02:28 :
リコ「…ハンジを学校に通わせてはどうでしょう」
エルヴィンがパクリとサラダを口に運んだのと同時に、飲み物を運んできたリコはそう言った。
ゲルガー「…なんでだよ?」
エルヴィンの目の前で自分の作った料理の素晴らしさに感激していたゲルガーは、彼女の言葉に首を傾げた。
エルヴィンという主の前で、堂々と椅子に座る型破りな彼に、リコは目を細めたが、続ける。
リコ「ナイル様は立場のないモノや、得体のしれないものを極端に嫌います。ならばハンジに正当な立場を与えればよろしいのです」
ゲルガー「それは良い案だけどよ…なんで学校?てかアイツ何歳なんだよ?」
ゲルガーの問いに、エルヴィンは思案した。
ハンジは顔や身体を見れば、自分と同じか下か、しかし彼女は人でないものだ。
実際の年齢など、聞いてしまえば言葉を失うだろう。
エルヴィン「まぁ、あの容姿だ。俺と同じくらいだろう。それに、俺と同じの学校にすれば、それだけごまかしが、しやすいしな、良い手じゃないか」
ナイルの一件以外にも、エルヴィンはハンジを学校に通わせることで生まれるメリットがもう一つあった。
エルヴィンはこの間に襲ってきた【シガンシナ】ファミリー、つまりマフィアに命を狙われている。
もしハンジと離れていたときに自分が狙われたら、彼女が動くまでに時間がかかる。
しかし、同じ場所にいるならば、その心配も解決する。
エルヴィン「リコ、直ぐに手配をしてくれ。もうすぐ春休みも終わるし、時期的にも丁度良いだろう」
ハンジの意見は完璧無視な決定に、リコはコクリと頷いたのだった。
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- 72 : 2014/07/09(水) 18:12:35 :
ここで、視点を変えよう。
ナイル・ドークは、自分の主人である男を前にしてため息をついた。
それは、彼がたくさんの愛人に囲まれてニヤニヤと酒を飲んでいるからである。
とてもじゃないが、この男が政治界で名の通った、現在事実上の最高権力者、策略家ピクシスだと、誰が納得しようものか。
ナイル「ピクシス様…そろそろ屋敷に戻りませんと、エルヴィンも使用人も、首を長くして待っていることでしょうし?」
ピクシス「そんなことはないじゃろう?いきなりの知らせで皆は今頃大急ぎで屋敷の仕事をしているじゃろうよ。埃はないか?食材は最高級品を!鬼のナイルが来るぞ!」
とな?と、ピクシスが言葉を区切れば、ナイルは苦虫を噛んだように表情を歪めた。
ナイル「俺は別に、使用人にキツくしている訳じゃないんですよ?ただ、スミス家に相応しい環境をと、思って…」
ピクシス「わかっておる、わかっておる、お前が儂と、エルヴィンのために日々動いているのは分かっているつもりじゃ」
ナイル「誰がエルヴィンのためですか、外して下さい」
ナイルは小生意気な美しい金糸の髪を持つ子供を思い出す。
ピクシスと同じで、瞳の奥に救う野心を持った瞳は確かに魅せられる。
しかし、子供にしては回りすぎる頭に、強靭な精神に、恐れるものがあったのだ。
そうナイルが眉間に皺を寄せたのと同じに、
一人の(ピクシスの)愛人が、ナイルに向かって一枚の封筒を渡した。
ナイル「これは?」
ピクシス「中を見てみぃ…」
彼のおちゃらけた態度が変化していることにナイルは気づき、封筒の中身を緊張を胸に、開けた。
入っていたのは一枚の便箋。
カサリと中身を見ると、
《ピクシス様へ
今度はいつ遊びに来てくれるのかしら?
私、もう待つの飽きちゃった、今夜お待ちしてるわアイーナより》
ナイルは思わずその封筒を投げ捨てた。
ナイル「なんすかこれ!!!?」
ピクシス「おうおう、予想通りの反応じゃ。面白い面白い」
はっはっはっ、と笑うピクシスに、ナイルは拳を固めた。
ピクシス「まぁ、そういうことじゃ、儂は明日に帰るから、お前は先に屋敷に戻ってエルヴィンの様子でも報告してくれ」
ナイル「あんたって人は!!」
ピクシス「あぁ、あと、そうじゃ、」
また新しい封筒を渡されたので、投げ捨てようとしたが、一応…、と中を見る。
ナイル「これは!?」
中の内容に驚いたナイルは、ピクシスを思わず見やった。
ナイル「ピクシス様、これは本当ですか?」
ピクシス「確かな情報じゃ、エルヴィンに伝これてくれんかの?」
ナイルは何も言わずに、こくりと頷いたのだった。
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- 73 : 2014/07/09(水) 18:34:42 :
- 続きは夜で♪
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- 74 : 2014/07/10(木) 00:45:11 :
ナイルは、ピクシスと別れると、渡された封筒の中身をもう一度見た。
《シガンシナファミリー、若い集団で結成された集団だが、中には‘人でないもの’が紛れ込んでいるらしい。そして、何故かスミス家の跡取りであるエルヴィンを狙っている》
ナイルは文章中にある、‘人でないもの’というのに内心首を傾げた。
そう、彼は今までの人生で、‘人でないもの’と戦ったことがないのだ。
スミス家と敵対するマフィア、家、組織、企業、たくさんのものと戦ってきた彼ですら、この‘人でないもの’と戦ったことがない。
ナイルは胸騒ぎのようなものを感じた。
ナイル「ちっ、だからスミス家は飽きねえぜ」
目の前まで見えてきた屋敷を見て、ナイルはそう毒づいた。
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- 75 : 2014/07/10(木) 06:33:02 :
- 期待!!\(^o^)/
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- 76 : 2014/07/10(木) 16:24:32 :
- 期待っ!!
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- 77 : 2014/07/10(木) 19:37:59 :
- たくさんのものと戦ってきたって…ナイルはなにげに強いんですかね。
シガンシナファミリーには…まさかあの人が!?
続きも楽しみにしてます。
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- 78 : 2014/07/16(水) 07:26:12 :
- 大変申し訳ありません!
昨日は忙しくて…、今日の夜に進めます!
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- 79 : 2014/07/16(水) 23:18:23 :
ナイルを迎えたのは、彼にとってエルヴィンの次に苦手であるメイドのリコだった。
リコはぺこりと頭を下げると、ナイルの荷物を受け取った。
リコ「おひさしぶりでごさいます。ナイル様」
ナイル「あぁ、大事ないか?」
リコ「はい。変わらず」
そう、この淡白な返し。愛想のない表情。
エルヴィンもだが、まったく底が読めない人間と、ナイル自身相性が悪いのだろう。
ナイル「そうか、エルヴィンはどうしている?直ぐに会いたいんだが…」
リコ「個人の執務室に、おいでです」
リコの後に続いて歩き出そうとしたナイルは、ふと、エルヴィンの部屋の窓から覗く、赤い瞳の女を見た。
ような、気がしたのだ。
その姿は瞬きした途端に消えてしまったことから、気のせいだと判断する。
ナイル「気のせいか…」
リコ「どうしました?」
ナイル「いや、何でもねえ…」
ナイルは鼻で笑うと、そうリコに返して、歩を進めた。
本当にソレが存在していたのに、気づかずに…
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- 80 : 2014/07/29(火) 16:08:44 :
- バーナー祭りが終わるまで、停止させて頂きます
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- 81 : 2014/08/25(月) 17:32:13 :
- 待ってます。
期待です!
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- 82 : 2014/09/13(土) 23:49:38 :
- あなたが神ですか!?神ィィィィィィィィィィィィ!!!
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- 83 : 2014/09/16(火) 21:03:38 :
- 大変遅れました!
来週から進めていきたいと思います(*´∀`*)ノ
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- 84 : 2014/09/16(火) 21:14:53 :
- やった~!
よし。1週間真面目に生きてみるかぁ(´▽`*)
楽しみにしてます!
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- 85 : 2014/09/17(水) 20:15:33 :
- 期待です!
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- 86 : 2014/09/23(火) 20:20:00 :
- では!進めさせて頂きます!亀ですが(*≧Δ≦)
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- 87 : 2014/09/23(火) 20:35:00 :
ナイルはリコに誘われるがままに、エルヴィンの執務室の扉を開いた。彼としては正直会いたくない子供なのだろう。
不機嫌な顔を更に不機嫌にして、目の前の男を見る。
エルヴィン「やあ、良くきたね。ナイル」
まずエルヴィンはナイルが一番嫌いな嘘の笑顔を浮かべた。
ナイル「ああ、」
エルヴィン「父上殿はどうした?」
ナイル「…」
愛人と会っているなんて口が裂けても言えない。ナイルはむむむと唸る。
きっとエルヴィンは分かっていてナイルに聞いたのだろう。本当に、性格の悪い狸である。
ナイル「はっ、お前こそ、使用人に聞いたが、女を連れ込んだらしいじゃねえか。しかも、もう一年になるとか。何故報告しなかった?」
エルヴィン「必要ないと思ったからさ」
ナイル「…」
エルヴィン「それに、どうせ父上殿が帰ってきてら報告するはずだったしな」
エルヴィンはリコに視線を向ける。
ハンジを連れてこいという事なのだろう。
リコはこくりと頷いて部屋を出ていった。
それを認めるとナイルは静かにソファーに腰掛ける。エルヴィンも便乗して彼の目の前のソファーに座った。
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- 88 : 2014/09/23(火) 20:57:50 :
ナイル「女の身元は?」
エルヴィン「聞く理由は?」
ナイル「ピクシス様に報告する」
エルヴィンは目を細める。
ナイルは何も反応を示さないエルヴィンに対して自分の気掛かりな点を口に出した。
それはそれは苛立たしげに。
ナイル「今俺達にもお前がシガンシナファミリーに狙われている情報は耳に入ってる。」
エルヴィン「ああ。…」
ナイル「そして、シガンシナファミリーについても少しは調べた。」
エルヴィン「聞かせて貰おう」
ナイル「本当にえらっそうだなオイ。…シガンシナファミリーは現在二代目ボスのエレン・イェーガーの手で構成された新メンバーだ。まだ若い奴等が背伸びして作ったんだろうな」
エルヴィン「…それで?父上殿と関係は?」
ナイル「今のところはない。まあ、いつも通りの権力争いに火を放った馬鹿やろうが雇ったんだろうが…少し…気に掛かることがあってな」
エルヴィン「…どうした?」
ナイル「情報の一つに‘人でないもの’が紛れ込んでいる。ってのがあってな」
ナイルの言葉にエルヴィンはピクリと反応した。何故なら彼は知っているからだ。‘人でないもの’を。
彼の脳内にはハンジの姿が浮かんでいた。
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- 89 : 2014/09/23(火) 21:13:51 :
ナイル「お前が連れ込んだ女がスパイでない保証もないからな。悪いがその女については身元確認と…おい。エルヴィン?どうした」
エルヴィン「…いや。」
エルヴィンは口元を手で押さえて、考えるような素振りを見せた。
エルヴィン「ナイル、少し待っていてくれ」
ナイル「…ああ、そういえばリコが遅いな」
エルヴィンが立ち上がった理由とナイルが放った理由は異なっていたが、関連する点がハンジであったので、彼は急いで部屋を出た。
少し時は遡る。
襲い来る快楽と戦っていたハンジは、エルヴィンが部屋に帰ってくるのを待とうと自分の身体を必死に押さえていた。
しかし、彼女の心は一つ。
エルヴィンの血への欲求。
ハンジ「える…びん…っ、はっ…える…び…」
身体が震え、シーツは乱れた。
彼女の瞳には涙が浮かぶ。
ハンジ「ぅあ…ああああ!!」
「情けねえな…ハンジ」
ついには嗚咽を漏らしたハンジに、上空から降りかかるのは低く優しい男の声だった。台詞とは反して愛のこもった声にハンジはビクビクと反応する。
声の主は漆黒の布を頭から被り、口元だけを晒している。
しかし、声だけの情報でも、ハンジにはソレが誰なのか分かっていた。
「餌なんか定めやがって。下等な人間に制御されるのがどれほど惨めなことか、忘れたのか?」
ハンジ「ぅぐぐぐ…」
唸るハンジに、男は近づき、彼女の顎を掴み自分の方に上げさせた。
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- 90 : 2014/09/23(火) 21:38:40 :
ハンジ「はぅ、…うう…ぅう」
「ハンジ、俺の血を飲め。苦しいんだろ?安心しろ、お前を縛る血を持つ人間は俺が殺してやる」
ハンジ「!-ふぁ!」
ハンジは強い力に引っ張られて、男の首へと誘われる。男は漆黒の布をはだけさせ、ハンジと同じく美しい白の肌を晒した。
目の前にあるドクドクとした血流の感覚を嫌でも感じて、ハンジはゴクリと喉を鳴らした。
「我慢するな。お前と俺は同じ血が流れてる。飲みたいだろ?飲め。」
ハンジ「…っ、うっ…ぅ…」
ハンジは思わず彼の肌に歯を立てる。
だが、男の待ち望むプツリと肉を裂く感覚がやってこない。
男はハンジを一度離して、彼女の表情を見た。
彼女はふーふーと息を必死に吐いて、自分の欲とまた、戦い始めた。
「そんなに、今の血の男は美味いのか?」
ハンジ「うぇ…ぁ…ぐ、離れろ!」
「そうはいくか。帰るぞ、ハンジ」
男がハンジの体を抱えた瞬間に扉は開け放たれた。
リコ「動くな!!!!」
「!」
リコは銃を取り出して男へと銃口を向けている。彼女の頬には冷や汗が流れていた。
「…おいおい。人間が俺に喧嘩売るたぁ笑えるじゃねえか」
ハンジ「…やめ、ろ!!リコ!!」
ハンジは男の腕を掴んで、ぐっとしがみついた。
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- 91 : 2014/09/23(火) 21:54:25 :
ハンジの慌てた姿を視界に入れながら、男は拳に力を入れる。溢れんばかりの殺気にリコは圧倒され、目を見開いた。
男のゆっくりとした台詞に身体が凍りつく。
「殺してやるよ」
ハンジ「やめろ!!
リヴァイ!」
そして、震える身体に鞭打ち、男のことを窓へと自分ごと突き落とす。リコはハンジを助けようと彼女等に向かって走り出すが届かず。
急いで窓の外を見渡したが、何も居なかった。
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- 97 : 2014/09/30(火) 21:34:18 :
エルヴィンは部屋から出てくるリコを見つけると、彼女が切羽詰まっているようで急いで駆け寄る。
エルヴィン「リコ!」
リコ「坊ちゃま!大変でございます!」
エルヴィン「!」
リコ「ハンジが!見知らぬ男に連れ去られてしまいました!早く捜索を!」
エルヴィン「…」
エルヴィンはたらりと冷や汗を流す。
エルヴィン「その時のハンジの様子は?」
リコ「え?」
エルヴィン「血に飢えていなかったか!?」
彼は彼らしくもなく乱暴にリコの肩を掴む。
リコ「いえ、状況が状況だったので…、分かりません」
肩を落とすリコと、背中に向けられた声にエルヴィンは我を取り戻すこととなる。
ナイル「おい、どういうこった、エルヴィン」
エルヴィン「!」
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