ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

この作品は執筆を終了しています。

比企谷八幡のIS学園生活3

    • Good
    • 3

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/04/13(日) 15:45:28
    比企谷八幡のIS学園生活シリーズ3作目です







    チュンチュン……


    八幡「ん…………」


    窓の外から目覚めを促すようにスズメが鳴いている


    八幡(もう少し……あと5ふn……いや、あと5時間……)


    このまどろみ延長は至福の時だ

    うん、間違いない



    ふに

    八幡(……?)


    ふにふに


    八幡(ん、この感触はなんだ?
    こんなすべすべで柔らかい物体、布団の中にあったっけ……?)


    いや、考える事を放棄しよう

    今は未知への探求よりもこのまどろみタイムを存分に楽しまなければならない


    八幡(あー、幸せだ……)


    ふにふにゅっ


    「ん…………」


    ……待て。今、確かに俺のものじゃない声が聞こえたぞ


    がばっ!と布団をめくる。と、そこには……


    八幡「ら、ら、ラウラ!?」


    ラウラがいた

    しかも、さらに問題なのは身につけているのが左目の眼帯と待機形態のISのみ、つまりは全裸だということだ


    ラウラ「ん……。なんだ……?
    朝か……?」

    八幡「ば、バカ!
    隠せ!」

    ラウラ「おかしなことを言う。夫婦とは包み隠さぬものだと聞いたぞ」

    八幡「それはそうかもしれんが……って違うわ!
    服着ろ、服!」


    ラウラ「日本ではこういう起こし方が一般的と聞いたぞ。将来結ばれる者同士の定番だと」

    八幡「……お前に間違えた知識を吹き込んでいるやつは誰なんだ?」

    ラウラ「しかし、効果は絶大のようだな」

    八幡「は?」

    ラウラ「目は覚めただろう」

    八幡「当たり前だろ……」


    これで起きないヤツはきっと男じゃない


    八幡「…………」


    それにしても、こいつやっぱ容姿は良いよなぁ


    ラウラ「どうした?
    ……あ、あまりそう見つめるな。私とて恥じらいはある」


    こいつ今、平然と嘘ついたぞ……



    ラウラ「か、隠せと言った割にはご執心なようだが?」

    八幡「なっ……!?
    ち、ちげぇよ!」

    ラウラ「で、では、見たいというのか?
    朝から大胆なやつだな、お前は……」


    八幡「なんでだよ!?
    思考回路腐ってんのかっ!」








    コンコンッ


    シャル「八幡、いる?」


    箒「まだ寝ているのか?」

    セシリア「よければ朝食を一緒にと思うのですが」


    鈴「……返事ないわね」


    箒「入るぞ、八幡。早く起きて支度を……」



    八幡「げっ」

    ラウラ「む?」


    四人「え?」


    びしり

    四人の表情が、動きが、全身が固まる


    ドアを開けて入った室内では、全裸のラウラが今まさしく八幡の唇を奪おうと覆い被さっていた


    セシリア「は、八幡さん!」

    鈴「何してるのよ!?」

    箒「この軟弱者っ!」


    八幡「な!?
    待て!これは違うぞ!!」

    箒「何が違うというのだ、何が!
    ええい、おとなしく斬られろ!」

    八幡「だああっ!
    やめろ、やめろってバカ!」

    箒「バカとはなんだ!」

    八幡「た、助けてくれシャルロット!」

    シャル「あはは、八幡ってば本当に冗談が好きなんだね」


    八幡「しゃ、シャルロットさん?」


    シャル「にこっ」

    八幡「に、にこっ」


    あ、既視感



    こうして早朝のドタバタ騒ぎは寮長補佐の山田先生が大慌てで飛んでくるまで続いた
  2. 2 : : 2014/04/13(日) 16:13:09
    シャルロットさんの威圧感がww
    六さん頑張ってくださいね!
  3. 3 : : 2014/04/13(日) 18:34:57
    ついに3部ですね!頑張ってください
  4. 4 : : 2014/04/13(日) 19:01:18
    >>2>>3頑張ります(*^^*)
  5. 5 : : 2014/04/13(日) 19:01:24





    八幡「…………」


    時間は過ぎ、場所は変わって一年寮食堂

    あの地獄のから解放された俺は、少し遅めの朝食を取っているところだ

    ちなみに隣にはラウラ。正面には箒達が座っている


    メニューは俺が納豆と焼き魚定食

    ラウラはパンとコーンスープ、それにチキンサラダ

    うん、すげぇうまそうだな



    ラウラ「ん、欲しいのか?」

    俺の視線に気づいたラウラが「わけてやろう」といって自分の口にパンを持って行く

    うん?
    なんで自分の口にパンを持って……って、おおぅ!?


    ラウラ「ん……。どうした、かじっていいぞ?」

    八幡「ば、ばか!
    そんな食べ方できるか!
    それじゃまるっきりキス……」


    バンッ

    箒「食事の時くらい落ち着いたらどうだ……?」

    ラウラ「ふむ。……嫉妬か?」

    箒「なっ!?」


    ラウラ「自分ができないものだから、羨ましいと」

    箒「だ、だ、誰ができないものか!
    は、八幡っ!」

    ずずずっと味噌汁を口に含んだ箒が身を乗り出してくる

    これはもしかすると……『口移しで飲ませてやる』状態か?


    箒「……!…………!!」

    はやくしろ、との催促


    八幡「いや、絶対しねぇぞ」

    俺は引き続き魚を食べる


    箒がごくんと味噌汁を飲み込み

    箒「なぜだ!?」

    と問い詰めてくる


    なぜかって?

    お前、セシリア達の顔見てみろよ
    この世の物とは思えないくらい恐ろしい顔してんだぞ?

    そんな中で口移しなんてイベント起こしてみろ
    死人が出るわ


    キーンコーンカーンコーン


    八幡「げっ、今の予鈴じゃねぇか、急げ!」

    って、あれ?!

    慌てて立ち上がったテーブルには俺一人

    箒もラウラも、皆すでに食堂を出て猛ダッシュしていた


    八幡「お、置いていくな!」

    今日は織斑先生のSHR
    つまり遅刻は死を意味する

    箒「私はまだ死にたくない」

    セシリア「右に同じくですわ」

    ラウラ「すまんな、八幡」


    なんてやつらだ
    どうせ死ぬなら一緒に死のうぜ!?
  6. 6 : : 2014/04/13(日) 19:09:32


    シャル「ほら、八幡っ」

    食堂を出ると手を握られる

    誰かと思ったらシャルロットだった。どうやら待っていてくれたらしい

    なんていいやつなんだ。一緒に死んでくれるのか



    シャル「八幡、飛ぶよ」

    八幡「……は?」


    シャルロットがISを部分展開。脚のスラスターと背部推進ウイングだけを実体化させた状態だ


    八幡「おわっ!?」

    ぎゅん、と体が引っ張られる

    そしてあっという間に三階に到着する



    シャル「はい、到着!」


    千冬「……ふむ、ご苦労なことだな」


    シャル・八幡「「えっ?」」



    ……あれ?
    まだ本鈴が鳴ってないのに鬼が教室にいた


    すぱぁんっ!


    千冬「敷地内で許可されていないIS展開は禁止されている。意味は分かるな?」


    シャル「は、はい……。すみません……」


    千冬「デュノアと比企谷は放課後教室を掃除しておけ。二回目は反省文提出と特別教育室での生活をさせるのでそのつもりでな」


    八幡・シャル「「はい……」」


    キーンコーンカーンコーン


    そこでチャイムが鳴りSHRが始まる




    千冬「来週から始まる校外特別実習期間だが、全員忘れ物などするなよ。三日間だが学園を離れることになる。自由時間では羽目を外し過ぎないように」


    そう、七月頭の校外実習……すなわち、臨海学校だ

    俺はちなみに水着を買うのが面倒くさい

    しかしそれを素直に口にしたらセシリアと鈴から猛注意を受けたので、買わないわけにもいかなくなった

    うーん、今週末に見に行くしかねぇか


    千冬「ではSHRを終わる。各人、今日もしっかりと勉学に励めよ」


    一同「はーい!!」

    八幡「(はぁ……)」

    この通りクラスの連中は先週からずっとテンション上がりっぱなしだ

    なにがそんなに楽しみなのやら……

  7. 7 : : 2014/04/13(日) 19:44:23
    ついに臨海学校!福音?だっけ?あれ??なんだっけ???
  8. 8 : : 2014/04/13(日) 20:17:51
    >>7
    福音であってますよ^ ^
  9. 9 : : 2014/04/13(日) 20:18:32




    放課後、俺とシャルロットは二人で教室の掃除をさせられていた


    シャル「ん、んん〜!」

    八幡「おい、無理すんなよ。机運びは俺がやる」


    シャル「へ、平気だよ。一応これでも専用機持ちなんだし、体力は人並みに……」


    と、言葉を続けたシャルロットが重量に負けて足を滑らせる


    八幡「あぶねぇ!
    ……ったく、だから言っただろうが。ほら、代われ」

    なんとか間一髪シャルロットの体を後ろから支える

    シャル「う、うん……。あ、ありがとう……」////


    背中から体を支えたので、ちょうど抱きしめるような格好になってしまっていた

    さすがに男に……てか俺に体を包まれているのが落ち着かないのか、シャルロットは妙に視線をさまよわせる


    八幡「っと、悪りぃ。離れる」


    シャル「あっ…………。
    ……別に、良かったのに……」


    八幡「ん?」


    シャル「な、なんでもないっ!」

    八幡「?
    そうか、なら掃除再開しようぜ」





    シャル「(わ、わ、心臓すっごいバクバクいってる……。顔大丈夫かな?
    変な顔になってないよね?)」


    シャル「(ど、どうしよ……。何か喋らないと……あ、そうだ。
    2人きりだし、良い機会だから聞いてみようかな……)」


    シャル「ね、ねぇ八幡」

    八幡「どした?」

    シャル「八幡ってさ、僕の事……どう思ってる?」


    八幡「ん、どうって?」


    シャル「そ、その……僕の事、女の子として見てくれてるのかなって……」

    シャル「(うう、ストレート過ぎたかも……)」


    八幡「ん、勿論だろ。ちゃんとシャルロットの事は女って見てるぞ」


    シャル「えっ?
    そ、それって……」


    八幡「だって、どう見ても男じゃないしな」


    シャル「…………バカ」

    八幡「え?」


    シャル「もういいよ……」


    八幡「ど、どうしたんだよ?
    俺、何か悪いことしたか?」


    シャル「別に……」

    八幡「でもシャルロット、怒ってる……よな?」


    シャル「怒ってない」

    八幡「絶対怒ってるだろ」


    シャル「……じゃあ、僕のお願い一つ聞いてくれたら許してあげる」

    八幡「お願い?」

    シャル「僕の事、その……皆とは違う呼び方で呼んで欲しいな、なんて……」

    八幡「違う呼び方?」


    シャル「なんていうか、えっと……」

    八幡「あー、アダ名みたいな?」

    シャル「あ、うん!
    そんな感じの!」


    八幡「なるほど……んじゃ、そうだなぁ。
    シャルなんてどうだ?
    呼びやすいし、親しみやすいし」

    シャル「シャル。……うん!いいよ!すごくいいよ!」


    八幡「そ、そうか。そんなに思いっきり反応するなんて、えらく気に入ったんだな」

    シャル「ま、まぁ、ね。シャル……シャル、かぁ。うふふっ」

    シャル「(アダ名って、なにか皆とは違ってて特別みたいで嬉しいなぁ)」


    八幡「あ、それでな、シャル。俺からも頼みがあるんだ」

    シャル「うん?
    なにかな?」


    八幡「付き合ってくれ」


    シャル「……え?」
  10. 10 : : 2014/04/13(日) 21:20:14
             ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
             (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
              |i i|    }! }} //|
             |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは八幡の野郎が普通の頼み事をするんだと
            i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        思ってたら唐突に告白をしてきやがった』
            |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
           /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
         /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
        ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
         |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
        // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
       /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    催眠術だとか超スピードだとか
       / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
      ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
    _/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
  11. 11 : : 2014/04/13(日) 21:36:05
    ようやく福音事件か…と言う事は、アニメでは丸々カットになった例のパイロットも登場すると良いな。
  12. 12 : : 2014/04/13(日) 21:44:42
    3部始まってたか!

    六さんがんばって!期待してますw
  13. 13 : : 2014/04/13(日) 21:48:51





    週末の日曜

    来週から始まる臨海学校の準備もあって、俺はとある女子とふたりで街に繰り出していた

    うん、本当にIS学園に入学して俺成長したよな

    んで、その女子というのが……


    シャル「…………」

    なぜだか仏頂面のシャルロット……もとい、シャルである

    シャル「僕は夢が砕け散る音を聞いたよ……」

    と、何故か今朝からずっとこんな調子だ

    ずーんというか、どよーんというか、とにかくそんな感じ


    八幡「どうした、シャル?
    今日はやっぱり調子が悪かったのか?」

    シャル「………………」

    八幡「シャル、あの……」


    シャル「八幡」

    八幡「お、おう」


    シャル「乙女の純情をもてあそぶ男は馬に蹴られて死ぬといいよ」

    おお、いきなり過激な発言が飛び出したな
    しかしまぁ、それについては俺も同意だ

    乙女じゃなくても人の心をもてあそぶ奴は許せねぇ
    人道に反するし、男の風上にもおけない

    俺も昔、純情をもてあそばれトラウマを負った身だからな
    よく分かるぜその気持ち

    八幡「そうだな、そんな奴は死ぬべきだ」

    シャル「鏡を見なよ」


    ん、寝癖でもついてたか?

    ちなみにこのアホ毛は寝癖じゃなく俺のチャームポイントな


    シャル「はぁ……。どうせ、どうせね……買い物に付き合ってくれ、だと思ったよ。ああうん、分かってたよ、八幡……。はぁぁ〜……」

    うお、いきなりすごく深いため息をつかれた

    そんなに無理して買い物に付き合ってくれくれてるのか?


    八幡「いや、その……悪い。でもあれだぞ、そんなに無理してくれなくていいぞ?
    なんだったら帰って休んでてもいいから、体のことを第一に考えてくれ」

    シャル「…………」


    気を遣ったはずなのにジーッと無言の圧力に襲われる

    なんだこの首を絞められるような心持ちは……すごく苦しい


    八幡「え、えーと……お礼に駅前の専門店でパフェをおごるわ」

    シャル「パフェだけ?」

    くぅっ

    八幡「け、ケーキもつけよう」

    シャル「……」

    八幡「ドリンクもつける」

    これ以上は俺のライフ……いや、財布ポイントが……

    シャル「ん。あと、はい」


    と、いきなり手を差し出された

    うん?
    握手……ではないな

    まさか現金をよこせと!?


    シャル「手、繋いでくれたらいいよ」

    八幡「ああ、そっちか」


    そういえばまだよく知らない街だし、はぐれたりしたら大変だ

    今日は日曜日で混んでるだろうしな

    その予防策として手を繋ぐというのは、さすがシャル、頭の回転が速い

    とはいえ女の子と手を繋ぐというのはなかなかハードルが高いが……はぐれないためにも仕方ない、我慢しよう


    シャル「…………」

    って、あれ?
    なんでまたシャルは黙りこくってんだ?
    顔色もさっきと違って妙に赤いし……まさか風邪か?


    八幡「大丈夫かよ?」

    シャル「ひゃあっ!?
    な、な、なにがっ!?」

    八幡「いや、お前が。やっぱり帰って休むか?」

    シャル「う、ううんっ!
    いいっ、平気っ、大丈夫っ!
    い、行こっ!」

    急に歩き出すシャルにつられて俺も駅前へ進む

    それにしても、今し方握ったシャルの手が思っていたよりずっと華奢で、変にドキドキしてしまった

    やっぱ女の子と手繋ぐのは難易度たけぇわ
  14. 14 : : 2014/04/13(日) 22:22:18
    期待です!
  15. 15 : : 2014/04/13(日) 22:27:23
    八幡頑張って!小町とたくさん繋いでるでしょ?
  16. 16 : : 2014/04/13(日) 23:16:55
    >>14>>15
    ありがとうございます(^ ^)
  17. 17 : : 2014/04/13(日) 23:18:37





    セシリア「………………」

    鈴「………………」

    駅前へと向かって歩き出す八幡とシャルロット

    その姿を物陰から見つめるふたつの影があった


    鈴「……あのさあ」

    セシリア「……なんですの?」

    鈴「……あれ、手ぇ握ってない?」

    セシリア「……握ってますわね」


    鈴「そっか、やっぱりそっか。あたしの見間違いでもなく、やっぱりそっか。
    ……よし、殺そう」


    握りしめた鈴の拳は、すでにISアーマーが部分展開しており、戦闘準備に入っていた


    ラウラ「ほう、楽しそうだな。では私も交ぜるがいい」


    セシリア・鈴「「!?」」


    鈴「なっ!?
    あ、あんたいつの間に!」

    セシリア「どうしてここに?」


    ラウラ「そう警戒するな。恐らく目的はお前達と同じだ」

    鈴「ってことは……」

    ラウラ「うむ、八幡の尾行及び監視だな」

    セシリア「なるほど……」


    ラウラ「と言ってもやはり見てるだけというのはつまらんな。私もあの中に交ざるか」


    セシリア「ま、待ちなさい。待ちなさいよ。未知数の敵と戦うにはまずは情報収集が先決。そうでしょう?」

    ラウラ「ふむ、一理あるな。ではどうする?」

    セシリア「ここは追跡ののち、ふたりの関係がどのような状態にあるのかを見極めるべきですわね」

    ラウラ「うむ、ではそうしよう」






    八幡「水着売り場はここか。
    ところでシャルも水着買うのか?」


    シャル「そ、そうだね……あの、八幡はさ、その……僕の水着姿、見たい?」


    うん?
    変わった事を聞くんだな

    普通は俺が見たいかどうかじゃなくて、泳ぎたいかどうかを聞くんじゃないのか?

    あー、あれか、臨海学校でテンション上がってるのを悟られないように回りくどい質問にした結果、ちょっと不思議な質問になっちまったワケか

    そんな気にしなくていいのに


    八幡「そうだな、まぁ……せっかくだし泳ごうぜ。何気に結構楽しみにしてるぞ(海で泳ぐのが)」

    シャル「そ、そうなんだ。じゃ、じゃあ、せっかくだし新しいの買おうかなっ」

    シャル「(八幡が、た、楽しみって……僕の水着姿が、楽しみって……っ)」


    八幡「じゃあ、男女で売り場違うし、一旦ここで別れるか」

    シャル「あっ……」


    手を離すと、なぜだかシャルは名残惜しそうな声を漏らした

    その後も、じーっと俺の方を悲しそうに見つめてくる

    八幡「えーと、どうかしたか?」


    シャル「あっ、ううん。なんでもないよ」

    八幡「そうか。じゃあ、とりあえず三十分後にまたここでな」

    シャル「うん、わかったよ」


    そう言ってシャルは女の水着売り場に向かう

  18. 18 : : 2014/04/13(日) 23:20:21



    八幡「んじゃ、俺も自分の水着を選ぶか」

    それにしても、水着を選ぶこと自体久しぶりだな……てか、色も柄も多過ぎだろ

    つってもまぁ……シンプルにネイビー色の水着でいいか

    俺はさっさと買う水着を決めた



    八幡「(さてと、約束の時間までまだまだ時間はあるが……先に行って待っとくか)」


    そう思ってシャルとの待ち合わせ場所に向かう

    すると、意外なことにそこにはすでにシャルが立っていた


    八幡「あれ?
    早いな、もう買い物終わったのか?」

    シャル「あ、いや……ちょっとね、八幡に選んでほしいなぁって……」


    八幡「そうなのか。じゃあ見に行くか」


    そして女の水着コーナーへ入る




    シャル「じゃ、じゃあ、えっと、水着を見てくれるかな?」

    八幡「おう」

    と返事をした俺をシャルが引っ張る

    え?と思っていると、俺はそのままシャルと一緒に試着室に入ることになった

    ……って、ん?
    シャルさん?


    シャル「ほ、ほら、水着って実際に着てみないと分かんないし、ね?」

    いや……ね?って言われても困るんだが……


    シャル「す、すぐ着替えるから待ってて」

    八幡「えっと、それなら俺は外に……」

    シャル「だ、ダメ!」

    いやいや、ダメって言われてもな……

    シャル「だ、大丈夫。時間はかからないから」

    パサッ

    言うなり、いきなり上着を脱ぎ出すシャル

    八幡「!?」

    俺は慌ててシャルに背を向ける


    八幡「しゃ……シャル?」

    シャル「な、なに?」

    八幡「えーと……」


    どうしてこんな事になっているのか聞きたかったんだが、直接言うのも躊躇われて、俺は言葉に詰まる

    シャル「ん……」


    ぱさり、と衣服の上に何か軽いものが置かれたような音が聞こえる

    もしかして……いや、もしかしなくても今のって下着を脱いだ音じゃねぇのか!?

    一体シャルは何がしてぇんだ!?
  19. 19 : : 2014/04/13(日) 23:20:38
    がんばです!
  20. 20 : : 2014/04/13(日) 23:35:43
    六さん

    頑張ってください!!
  21. 21 : : 2014/04/13(日) 23:55:08
    にょわわわわわわわ///
    シャル~は素晴らしい!ハナジタラー

    期待です!最高です!頑張ってです!
  22. 22 : : 2014/04/14(月) 00:49:15
    一ヵ所、鈴っぽいセリフが(口調的に)
  23. 23 : : 2014/04/14(月) 01:03:18
    デート中に平塚先生が来たらファーストブリット喰らいそうだな
  24. 24 : : 2014/04/14(月) 01:44:32
    そう言えば俺ガイル勢との絡みはないの?
  25. 25 : : 2014/04/14(月) 01:49:37
    絡もうにもIS学園で過ごして暫く経つ上にボッチ何だし忘れられて誰も気づかないでしょう?
  26. 26 : : 2014/04/14(月) 11:40:11
    ガイル勢との鉢合わせには期待してる。
    一応クロス作品なんだろうから
  27. 27 : : 2014/04/14(月) 12:08:02
    キャラ崩壊つーか完全に別キャラになってるんですよね、
  28. 28 : : 2014/04/14(月) 12:55:30
    この投稿は削除されました。
  29. 29 : : 2014/04/14(月) 13:25:00
    雪ノ下「比企谷くん……帰ってきて……」
  30. 30 : : 2014/04/14(月) 15:43:59




    山田先生「はあ、水着を買いにですか。でも試着室に2人で入るのは感心しませんよ。教育的にもダメです」

    シャル「す、すみません……」


    なんか、最近怒られてばっかだな

    しかも多分、俺のせいで。うーん、すまん


    八幡「ところで先生達はどうしてここに?」

    山田先生「私たちも水着を買いに来たんですよ」


    八幡「そうだったんですか」


    千冬「……ところで、そろそろ出て来た方がいいんじゃないか?」


    ん?


    鈴「そ、そろそろ出てこようかと思ってたところなんです」

    セシリア「え、ええ。その通り。タイミングを計っていたのですわ」

    そう言って柱の陰から鈴とセシリアが登場

    うお、こいつらも来てたのか
    すげー奇遇だな


    八幡「にしても、お前らなんでそんな所でこそこそしてたんだ?
    話しかけてくりゃ良かったじゃねぇか」

    鈴「女子には男子に知られたくない買い物があんの!」

    セシリア「そ、そうですわ!
    まったく、八幡さんのデリカシーのなさにはいつもながら呆れてしまいますわね」


    おー、何故か分からんが凄く罵倒された
    聞かなきゃ良かったな




    山田先生「それでは皆で買い物を続けましょうか」


    千冬「それなんだが山田先生。私は少し飲み物を買ってくるから先に買い物を始めておいてほしい」


    山田先生「あ、分かりました。
    では先に見に行きますね」


    八幡「織斑先生。俺も喉渇いてるんで、飲み物買いに行くの付き合います」

    千冬「む、そうか。
    では山田先生、また後で合流しましょう」


    山田先生「はい」


    こうして俺と織斑先生は飲み物を買いに、山田先生とシャル達は先に買い物を始めた

  31. 31 : : 2014/04/14(月) 15:46:57







    八幡「…………」

    千冬「…………」


    ……そういや織斑先生と2人きりになるのって初めてだな


    八幡「(ちょっと緊張するな……)」


    そんな事をMAXコーヒーを飲みながら考えていると織斑先生から声をかけられる



    千冬「ああ、そういえばお前に聞きたい事があったんだ」

    八幡「なんですか?」


    千冬「お前は彼女を作らないのか?」


    八幡「……はい?」

    千冬「幸い学園内には腐るほど女がいるし、よりどりみどりだろう?」

    何を言ってるんだろうこの人は

    そんな簡単に彼女ができたら苦労しねぇよ


    千冬「そうだな……。ラウラなんかはどうだ?
    色々と問題はあるだろうが、あれで一途なやつだぞ。容姿だって悪くはあるまい」


    八幡「いや、それは……」

    千冬「それに、キスした仲だろう?」

    ぐぬぅ、それを言うかこの鬼畜教師


    千冬「まんざらでもないか?」


    八幡「いや、まだそういうのよく分かんねぇっすよ。俺今まで彼女とかいたことないですから」


    千冬「ふむ、そうか。では容姿は好きな方か?嫌いな方か?」

    八幡「それも……うーん。まぁ、その……可愛くはあると思いますけど……」


    千冬「ほう」


    八幡「……ラウラは可愛いですよ……って、何を言わせるんですか」

    千冬「勝手に言ったのはお前はだろう」


    うぐ、それもそうか

    誘導尋問まで使うとかこの人やっぱ苦手だ


    千冬「では山田先生たちの所へ向かうぞ」

    八幡「……うぃ」

  32. 32 : : 2014/04/14(月) 15:49:16





    時間は十分ほど前に遡る


    鈴・セシリア・ラウラの三人で始まった追跡トリオだったが
    どうにもシャルロットの反応に比べて八幡が普段通り過ぎるため、全員がうすうす気づき始めていた

    『……ああ、いつものアレだ。いつもの比企谷八幡だ』

    となると、ラウラとしては今にもバレそうな尾行を続ける必要はない

    そう考え2人から離れて、色とりどりの水着が並ぶ売り場へと移動した


    ラウラ「(ふむ、そういえば私も水着を持っていなかったな……)」

    しかしまぁ、学園指定の物があるから別にいいかと考えるラウラ

    ちなみに学園指定水着は紺色のスクール水着、そして名札つき


    ラウラ「(まあ、泳げればなんでもいいだろう。あの水着は機能的に優れているし、代わりの水着は必要ないな)」


    そう思い、冷めた瞳で水着を眺めるラウラだったが、次の瞬間その白い肌がボッと赤く染まった


    「ラウラは可愛いですよ」

    いきなり、八幡の声が……その言葉が聞こえたのであった


    ラウラ「…………」/////


    『褒めるがいい』と何度も言っていたラウラだったが、実際に褒めてもらったのはIS戦争の時だけであり、もちろん『可愛い』などと言われたこともない

    そこへきて、突然のこの言葉なのだから、ラウラが取り乱すのは仕方のないことだった


    ラウラ「(か、か、可愛い……?
    私が、可愛い……可愛い……)」


    コールする番号を何度も間違えながらラウラはISのプライベート・チャネルを開いた





    同時刻、ドイツ国内軍施設

    そこでは現在、IS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』が訓練を行っていた


    クラリッサ「何をしている!
    現時点で三七秒の遅れだ!急げ!」

    そう怒号を飛ばしているのは副隊長であるクラリッサ・ハルフォーフであった

    その専用機『シュヴァルツェア・ツヴァイク』に緊急暗号通信と同義のプライベート・チャネルが届いた


    クラリッサ「受諾。クラリッサ・ハルフォーフ大尉です」

    ラウラ『わ、私だ……』


    クラリッサ「ラウラ・ボーデヴィッヒ隊長、なにか問題が起きたのですか?」

    ラウラ『あ、ああ……。とても、重大な問題が発生している……』


    その様子からただごとではないと思ったクラリッサは、訓練中の隊員へとハンドサインで『訓練中止・緊急招集』を伝える

    クラリッサ「……部隊を向かわせますか?」

    ラウラ『い、いや、部隊は必要ない。軍事問題ではなくてだな……』

    クラリッサ「では?」

    ラウラ『クラリッサ。その、だな。わ、わ、私は、可愛い……らしい、ぞ』


    ………………

    クラリッサ「はい?」


    ラウラ『は、は、八幡が、そう、言っていて、だな……』


    クラリッサ「!」

    クラリッサ「ああ、ISを使える唯一の男性で、隊長が好意を寄せているという彼ですか」

    ラウラ『う、うむ……。どうしたらいい、クラリッサ?
    こういう場合は、どうすべきなのだ?』


    クラリッサ「直接言われたのですか?」

    ラウラ『い、いや、向こうはここに私がいる事は気づいていないだろう』

    クラリッサ「……最高ですね」

    ラウラ『そ、そうなのか?』

    クラリッサ「はい。本人のいない場所でされる褒め言葉にウソはありません」

    ラウラ『そ、そうか……っ!
    それで、だな、今、その……水着売り場なのだが……』

    クラリッサ「ほう、水着!
    そういえば来週は臨海学校でしたね。隊長はどのような水着を?」

    ラウラ『う、うん?
    学園指定の水着だが……』

    クラリッサ「何を馬鹿なことを!!」

    ラウラ『!?』

    クラリッサ「たしかIS学園は旧型スクール水着でしたね。それも悪くはないでしょう。だがしかし、それでは……」

    ラウラ『そ、それでは……?』

    クラリッサ「色物の域を出ない!」

    ラウラ『なっ!?』

    クラリッサ「隊長は確かに豊満なボディで男を籠絡というタイプではありません。が、そこで逃げるようでは進展もないのです!」


    ラウラ『な、ならば……どうすれば……?』

    クラリッサ「ふっ、私に秘策があります」


    クラリッサの目がキュピーンと光った、気がした

  33. 33 : : 2014/04/14(月) 18:21:31
    期待です!
  34. 34 : : 2014/04/14(月) 18:30:06
    ラウラ「私だ…」
    クラリッサ「お前だったのか…」
    ラウラ「神々の…」ラ&ク「遊び」
  35. 35 : : 2014/04/14(月) 19:25:58
    http://www.ssnote.net/groups/341

    雑談用のグループ作りましたので
    これからコメントはこちらにお願いします(*^^*)
  36. 36 : : 2014/04/14(月) 20:08:21
    読むのに雑談コメントが邪魔なら表示を切り替えれば良いだけの事だと思う。
  37. 37 : : 2014/04/14(月) 23:01:48
    この投稿は削除されました。
  38. 38 : : 2014/04/15(火) 00:11:00
    ↑此処にコメントしてる私が言うべき事ではありませんが、無駄に反応して刺激するのは良くないかと。流す方向で。
  39. 39 : : 2014/04/15(火) 21:29:42
    材木座「八幡が、ハーレムラノベの主人公のごとくなっているだと……?我は、我は悲しいぞ八幡!!」
  40. 40 : : 2014/04/15(火) 21:50:13
    >>39
    雑談コメントはグループの方でお願いします
  41. 41 : : 2014/04/15(火) 23:10:00



    臨海学校初日




    相川「海っ!見えたぁっ!」


    トンネルを抜けたところで女子が声をあげる


    八幡「ん、やっぱ海を見ると少しテンション上がるな」

    シャル「う、うん?
    そうだねっ」


    バスで隣になったのはシャルだった

    だが、どうも出発してからずっとこんな感じで、いまいち話を聞いていない。今も返事だけしてすぐまた手元に視線をやっている


    八幡「それ、そんなに気に入ったのか?」

    シャル「えっ、あ、うん。まあ、ね。えへへ」

    左手首にシャルがしているブレスレットは、昨日買い物に付き合ってもらった礼として俺がプレゼントしたものだった

    シャルはそれをにこにこと眺めては、時々思い出し笑いでもするかのように笑みを漏らす

    シャル「うふふっ♪」

    うーん、ものすごいご機嫌だ

    安物なのが少し申し訳なく思えてくるな



    ラウラ「………………」

    それにしても、さらに不思議なのはずーっと黙って大人しくしているラウラだ

    調子でも悪いのか、ときどき挙動不審になって周囲をキョロキョロ見ている

    八幡「おい、大丈夫か?
    どうした?」

    ラウラ「………………」

    八幡「おい、ラウラ。おーい」


    ラウラ「っ!?
    なっ、なんっ……なんだ!?
    ち、近い!馬鹿者!」

    八幡「ぶべっ」

    鼻を思い切り殴られ、変な声が出てしまう


    どうも熱っぽいのか、ラウラの顔はわずかに赤みがかっていた

    本当に大丈夫かよ


    千冬「そろそろ目的地に着く。全員ちゃんと席に座れ」


    織斑先生の一言で全員がサッとそれに従う。指導能力抜群だな

    言葉通りほどなくして目的地の旅館前に到着。バスからIS学園一年生が出てきて整列した


  42. 42 : : 2014/04/15(火) 23:12:25



    千冬「それでは、ここが今日から三日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」


    一同「「「よろしくお願いしまーす!」」」

    女将「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね。
    あら、こちらが噂の……?」


    俺と女将さんの目が合う

    千冬「ええ、まあ。
    今年は1人男子がいるせいで浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」

    女将「いえいえ、そんな。それに、いい男の子じゃありませんか。
    しっかりしてそうな感じを受けますよ」

    千冬「感じがするだけですよ。
    ほら、挨拶をしろ馬鹿者」


    ぐいっと頭を押さえられる
    いや、今まさにしようとしてたんだって。本当だぜ?


    八幡「ひ、ひきぎゃ……比企谷八幡です。よろしくお願いします」

    やっべ、噛んだ
    すげぇ恥ずかしい

    女将「うふふ、ご丁寧にどうも。清洲景子です」

    そう言って女将さんはまた丁寧なお辞儀をする
    うん、スルーしてくれたらしい
    良い人だな

    千冬「貴様は自分の名前すらまともに言えんのか」


    くそ、何事も無く終われそうだったのに蒸し返すとは……

    八幡「……ったく、そんなんだから未だに独s……」ボソッ


    ヒュンッ


    その場の全員……女将さんは当然のこと

    ラウラやシャルの目を以てさえ、残像を捉えるのが限界だった

    一瞬と呼ぶことすら生ぬるい、恐るべき速さの手刀

    その一撃はいとも簡単に俺の全身から力を奪った


    千冬「おっと、どうした比企谷。体調でも悪いのか?」


    八幡「……だっ…………大丈……夫……で、す……っ」ガクガクッ

    俺の足が生まれたの子鹿のように震える
    こ、これが恐怖か……っ!


    女将「えっと……」

    千冬「本人が大丈夫と言ってます。気にせず案内をお願いします」

    女将「あ、はい。
    えと、それじゃあ皆さん、お部屋の方へどうぞ」

    女子一同は、はーいと返事をするとすぐさま旅館の中へと向かう

    とりあえずは荷物を置いて、そこからなんだろう


    千冬「お前も早く行け」

    八幡「うっす」


    ちなみに、当然だが俺は個室だ



    それから少し歩き自分の部屋に着く


    八幡「さてと、荷物も置いたし俺も海行くか」

    俺は海へと向かった

  43. 43 : : 2014/04/16(水) 00:20:17
    やっと、追いついてホッとした(笑)
    千冬は、平塚をも超える存在だぞ!肝に銘じておけ?(笑)
    まあ、頑張ってください
  44. 44 : : 2014/04/16(水) 06:26:13
    たしかに千冬先生は平塚先生超えてるよなwwwwwwww
  45. 45 : : 2014/04/17(木) 01:24:29



    千冬「それでは、ここが今日から三日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」


    一同「「「よろしくお願いしまーす!」」」

    女将「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね。
    あら、こちらが噂の……?」


    俺と女将さんの目が合う

    千冬「ええ、まあ。
    今年は1人男子がいるせいで浴場分けが難しくなってしまって申し訳ありません」

    女将「いえいえ、そんな。それに、いい男の子じゃありませんか。
    しっかりしてそうな感じを受けますよ」

    千冬「感じがするだけですよ。
    ほら、挨拶をしろ馬鹿者」


    ぐいっと頭を押さえられる
    いや、今まさにしようとしてたんだって。本当だぜ?


    八幡「ひ、ひきぎゃ……比企谷八幡です。よろしくお願いします」

    やっべ、噛んだ
    すげぇ恥ずかしい

    女将「うふふ、ご丁寧にどうも。清洲景子です」

    そう言って女将さんはまた丁寧なお辞儀をする
    うん、スルーしてくれたらしい
    良い人だな

    千冬「貴様は自分の名前すらまともに言えんのか」


    くそ、何事も無く終われそうだったのに蒸し返すとは……

    八幡「……ったく、そんなんだから未だに独s……」ボソッ


    ヒュンッ


    その場の全員……女将さんは当然のこと

    ラウラやシャルの目を以てさえ、残像を捉えるのが限界だった

    一瞬と呼ぶことすら生ぬるい、恐るべき速さの手刀

    その一撃はいとも簡単に俺の全身から力を奪った


    千冬「おっと、どうした比企谷。体調でも悪いのか?」


    八幡「……だっ…………大丈……夫……で、す……っ」ガクガクッ

    俺の足が生まれたの子鹿のように震える
    こ、これが恐怖か……っ!


    女将「えっと……」

    千冬「本人が大丈夫と言ってます。気にせず案内をお願いします」

    女将「あ、はい。
    えと、それじゃあ皆さん、お部屋の方へどうぞ」

    女子一同は、はーいと返事をするとすぐさま旅館の中へと向かう

    とりあえずは荷物を置いて、そこからなんだろう


    千冬「お前も早く行け」

    八幡「うっす」


    ちなみに、当然だが俺は個室だ



    それから少し歩き自分の部屋に着く


    八幡「さてと、荷物も置いたし俺も海行くか」

    俺は海へと向かった

  46. 46 : : 2014/04/17(木) 01:24:51
    間違えました^_^;
  47. 47 : : 2014/04/17(木) 01:25:25




    相川「あ、比企谷くんだ!」

    鏡「う、うそっ!
    私の水着変じゃないよね!?
    大丈夫だよね?!」

    天霧「へぇ、ちゃんと体鍛えてるわね」

    染川「比企谷くーん、あとでビーチバレーしようよ〜」


    八幡「え、ああ。時間があればな」

    更衣室から浜辺に出てすぐ、女子数人と出会う

    各人、なかなかの露出でやや照れてしまったが、なんとか平静を保つ



    八幡「あちちちっ」


    踏み出した足が砂浜に焼かれる

    でもこんな感覚も懐かしい気がする

    八幡「本当に海とか久しぶりだな……」

    シャル「あ、八幡。ここにいたんだ」


    ふと、後ろから声をかけられ振り向くと、こそにはシャルと……


    八幡「ん?
    なんだそのバスタオルおばけは?」

    なんだか奇天烈な存在がいた

    バスタオル数枚で全身を頭の上から膝下まで覆い隠している

    八幡「(な、なんだこいつは……?)」

    シャル「ほら、出てきなってば。
    大丈夫だから」

    ?「だ、だ、大丈夫かどうかは私が決める……」


    んん?
    今の声は……まさかラウラか?

    しかし、いつもと違い随分と弱々しい声に聞こえた

    シャルはシャルで何やら説得を試みている。どういう状況なのかさっぱりだ

    シャル「ほーら、せっかく水着に着替えたんだから、八幡に見てもらわないと」

    ラウラ「ま、待て。私にも心の準備というものがあってだな……」


    シャル「もー。そんなこと言ってさっきから全然出てこないじゃない。一応僕も手伝ったんだし、見る権利はあると思うけどなぁ」
  48. 48 : : 2014/04/17(木) 01:29:45


    そういえばラウラとシャルは同室らしい

    こいつら何気に仲良くなってるよな

    シャル「うーん、ラウラが出てこないんなら僕、八幡と2人きりで遊びに行っちゃうよ?」

    ラウラ「な、なに?」


    シャル「うん、そうしよ。
    八幡、一緒に遊ぼっ」ニコッ

    言うなり、シャルは俺の手を取る

    不覚にも一瞬ドキッとした


    ラウラ「ま、待てっ!
    わ、私も行こう!」

    シャル「その格好のまんまで?」


    ラウラ「うっ……ええい、脱げばいいのだろう、脱げば!」

    バスタオルを脱ぎ捨て、水着姿のラウラが陽光の下に現れる

    しかもその水着というのが……

    ラウラ「わ、笑いたければ笑うがいい……!」

    黒の水着、しかもレースをふんだんにあしらった物で、一見するとそれはセクシー・ランジェリーにも見える

    さらに髪型もいつもと違い左右で一対のアップテールになっている

    正直……可愛い。もじもじと落ち着かなさそうにしている様子が、より強くそう思わせていた

    シャル「おかしなところなんてないよね、八幡?」

    八幡「え、あ……おう。少し意外だったが似合ってると思うぞ」

    ラウラ「なっ……!」////

    俺の言葉が予想外だったのか、ラウラは驚きに一瞬たじろいだあとそのままカーッと赤面した

    ラウラ「しゃ、社交辞令ならいらん……」

    八幡「なんで俺がお前に世辞なんざ言わなきゃならんのだ。世辞じゃねぇよ、なぁ、シャル?」

    シャル「うん。僕も可愛いって褒めてるのに全然信じてくれないんだよ」

    八幡「そう言うシャルだってその水着姿、似合ってると思うぞ」

    シャル「えっ……う、うん。ありがと……」////

    照れくさそうに髪をいじるシャル。その手首には、昨日渡したブレスレットが光っていた

    八幡「それ、錆びたりしねぇかな?」

    シャル「大丈夫だよ。ちゃんと保護コートしてあるし、あとで塩水は洗い流すから。
    その、せっかく八幡がくれたものだしね」

    えへへ、と笑顔で言うシャル。本当に気に入ってくれてるんだな


    ラウラ「八幡」

    八幡「ん?」

    さっきまでの声と違う、いつもの落ち着きを取り戻したラウラの声が俺を呼ぶ

    ラウラ「ずるいぞ、それは。私にも何かプレゼントを……その、して欲しいのだが……」

    プレゼントっつっても、シャルのは買い物に付き合ってもらった礼だしなぁ……

    八幡「まあ、何かの記念とかならいいぞ。誕生日とか」

    ラウラ「む、そうか。では、機会があればお願いしよう。絶対だぞ」

    八幡「ああ。でもあんまり高いのは無理だからな」

    ラウラ「うむ。しかし、いずれは給料三ヶ月分というものを頼むぞ。
    部隊の仲間に聞いたが、日本では大事なプレゼントにはそれだけのお金をつぎ込むのだろう?」

    うーん、どうもこの間違った日本のイメージはラウラの仲間が言っているのか。間違ってはいないんだが、なんかズレてる

    八幡「ちなみに欲しい物とかってあんのか?
    ラウラって見た感じアクセサリーとかつけてないよな」

    ラウラ「そうだな。私はそういうものに、正直疎い。
    ……し、しかし、だな。お前が選んでくれるものなら、なんであろうと嬉しいぞ」

    八幡「そうか。うーん、何がいいだろうな」

    正直俺もそういうの疎い方だしな……

    八幡「チョーカーとか……今の髪型ならイヤリングとかも似合いそうだな。
    つけてみれば可愛いと思うぞ」

    ラウラ「かっ、かわいっ……!?」

    いつもと違う髪型なのがやっぱ落ち着かないのか

    ラウラは俺の言葉に狼狽したような反応をして、両手の指をもてあそぶ


    シャル「にしてもセシリア達遅いね」

    八幡「だな。まだ来なさそうだし、俺ちょっとトイレ行ってくるわ」

    シャル「あ、うん」


  49. 49 : : 2014/04/17(木) 01:35:56
    六さんの言葉に甘えて(*^^*)
    感想を...てか、そろそろ海で鈴がとセシリアが...ですね!
  50. 50 : : 2014/04/17(木) 20:53:47
    >>49いえ、ちょっと変えてます!
  51. 51 : : 2014/04/17(木) 20:53:54

    八幡「ふぅ、スッキリしたな」



    そろそろあいつらも用意が終わってる頃だろう

    そう思ってシャル達の待っている場所へ向かおうとしたその時


    「ヒッキー?」


    突然、後ろから声をかけられた

    それはとても聞き覚えのある声で……


    八幡「ゆ……由比ヶ浜……。それに、雪ノ下まで……」


    由比ヶ浜「わぁ、やっぱりヒッキーだった!」

    雪ノ下「本当に久しぶりね。まさかこんなところで会えるなんて思ってもみなかったわ」


    八幡「お前等、なんでこんなところに?」

    由比ヶ浜「えっと……受験勉強の息抜きというか、その……思い出作りというか……」

    雪ノ下「そう言うあなたこそどうしてここに?」


    八幡「IS学園の校外学習、まぁ臨海学校だよ」

    雪ノ下「そうだったの」


    由比ヶ浜「それよりヒッキー、そっちの学校で友達とかできた?」

    雪ノ下「由比ヶ浜さん、それを聞くのは酷というものよ。
    総武高校ですら友達ができなかった彼に、女子生徒しかいない学校で友達ができるワケがないでしょう?」

    由比ヶ浜「あっ……」


    おい、その『まずい事聞いちゃった』みたいな顔やめろ
    傷つくから


    八幡「ば、バカいうな。友達っつーか、普通に話せる奴くらいなら何人かできたぞ」


    雪ノ下・由比ヶ浜「「えっ?」」


    由比ヶ浜「う、嘘でしょ……?」


    八幡「嘘じゃねぇよ」


    雪ノ下「でも実際今1人じゃない」

    八幡「それはトイレに行ってたからだ」


    雪ノ下「強がる必要なんてないのよ?」

    由比ヶ浜「ヒッキー、ゴメンね……変な事聞いちゃって……」


    こいつ等、どうあっても信じないつもりだな
  52. 52 : : 2014/04/17(木) 20:56:32


    八幡「あのなぁ、俺は男なんだぞ?」

    雪ノ下「……意味がわからないのだけれど」


    八幡「IS学園において男子は俺1人。つまり総武高校と違ってあり得ないほど目立つんだよ今の俺は。理解できたか?」


    雪ノ下・由比ヶ浜「「あっ」」


    IS学園に男子は俺だけ、故に注目の的になる

    そう、これが俺がIS学園でぼっちを回避できた大きな理由だ

    言い換えればIS学園が共学だったら間違いなく俺はぼっちだったワケだが


    由比ヶ浜「な、なるほど……。ヒッキーが話しかけなくても、周りがヒッキーに話しかけてくれるんだ」

    雪ノ下「そう言う事なら納得できるわね。まぁ確かにそんな理由でもなければあなたがぼっちを回避できるワケがないものね」ニコッ

    笑顔で言うことじゃないと思うぞそれ


    雪ノ下「あなたが女子校に転校すると聞いた時は、間違いなくもう生きてはいけないだろうと予想してたのだけれど……その様子ならなんとか大丈夫そうね」


    なんつー不吉な予想してくれてんだ


    八幡「初対面で喧嘩売ってくる奴とかいたけど、まぁ今は何気に楽しく過ごせてるよ」


    由比ヶ浜「そ、それでさ……彼女とかは……できた?」


    八幡「は、何言ってんの?
    バカなのお前」

    由比ヶ浜「ば、バカじゃないし!」

    八幡「話せる奴ができたってだけで俺からしたら大きな進歩なんだよ。彼女なんかそう簡単にできるか」


    由比ヶ浜「で、でも周りは女の子ばっかりなんでしょ?」


    八幡「あのな、周りが全員女子ってお前が思ってるよりパラダイスじゃねぇからな?」

    由比ヶ浜「え、そうなの?」


    八幡「今でこそ少し落ち着いたが、最初なんてまるで珍獣を見るような目で見られるんだぞ。
    あれは総武高校の環境よりツラかったかもしれん」

    由比ヶ浜「そ、そうなんだ……」

    八幡「それに女の子に囲まれてるからってモテてるってワケじゃないしな。
    皆ただ俺が珍しいってだけだろうし」


    雪ノ下「そうね、よく考えればそうだったわ。注目の的だからといって珍獣谷くんがモテているという事には繋がらないわよね」

    八幡「なあ珍獣谷って誰だ?」


    雪ノ下「あら、自覚がないのかしら?」


    八幡「おい、あっさりと俺を珍獣に肯定するんじゃね……」


    シャルラウラ鈴セシリア箒「「「八幡(さん)!!」」」


    うお、すげぇ殺気だ。何事だ?
  53. 53 : : 2014/04/17(木) 20:59:24


    八幡「ん、お前等どうしたんだ?」


    シャル「どうしたじゃないよ!
    八幡の戻りが遅いから探しに来たんだよ!」

    ラウラ「だというのに貴様は他の女をナンパをしているとはな……っ」

    セシリア「見損ないましたわ!」

    箒「貴様のような不埒者はここで成敗してくれる!」

    鈴「とりあえず海に沈めるわ!」


    八幡「ちょっ、待てお前ら。落ち着け。んで、とりあえず鈴はISをしまえ」



    セシリア「ちゃんと説明してくださいますわよね?」



    八幡「えっと……こいつ等は前の学校で俺が入部してた奉仕部っていう部活の部長と部員だ。
    いわゆる部活仲間ってやつだよ」


    鈴「……それ、本当なんでしょうね?」

    八幡「おう」

    シャル「それ、本当なんですか?」


    由比ヶ浜「え、うん。本当だよ」

    えー、俺どんだけ信用ねぇの?

    雪ノ下「そういうあなた達こそ比企谷くんとはどういう関係なのかしら?」


    セシリア「わたくし達は八幡さんのクラスメイt……」

    ラウラ「八幡は私の嫁だ!」


    八幡「ラウラ、お前ちょっと黙ってろ」

    ラウラ「なぜだ!?」

    由比ヶ浜「は、八幡……?」

    雪ノ下「嫁……?」


    由比ヶ浜「それどういう事なのヒッキー!?」

    ほら、面倒な事になった


    八幡「こいつ等はただのクラスメイトだ。成り行きで名前で呼び合ってるけど、それだけだ」

    雪ノ下「嫁、というのは?」

    八幡「それはこいつの勘違い。気にしなくていい」

    ラウラ「わ、私のファーストキスを奪っておいてそれを勘違いだと言うのかっ!」

    八幡「ああもう本当に静かにしててくれませんかね!?
    てか奪われたのはこっちだ!」

    由比ヶ浜「……ヒッキー?
    どういう事……?」

    八幡「落ち着け由比ヶ浜。俺は悪くない。俺は一方的に無理矢理キスされたんだ」
  54. 54 : : 2014/04/17(木) 21:01:05



    雪ノ下「……キス、したのね?」

    八幡「ゆ、雪ノ下さん?
    したのではなくて、されたワケで……」

    雪ノ下「キス、したのね?」

    八幡「…………」


    雪ノ下「(女子校に行っても女子に好かれる事は無いと踏んでいたのに……まさかこんな事になってるなんて……)」


    セシリア「八幡さん、この人達とは本当にただの部活仲間で何もなかったんですわよね?」

    八幡「ん、ああ」

    由比ヶ浜「ねぇヒッキー、本当に彼女いないんだよね?
    この子達とも何もないんだよね?」

    八幡「ああ」

    全員「…………」


    全員「「「(様子を見る限り全く信じられないんだけど!!)」」」


    布仏「ね、ね、ねー、ひっき〜」


    うぐ、この異様に遅い喋り方は……えと、のほ……のほ……ええい、のほほん(仮)さんでいいか

    八幡「ん、のほほんさん?
    どした?」


    布仏「約束のビーチバレーしよ〜」

    八幡「あー、そういやそんな約束してたな」

    相川「比企谷くん早く早くーっ!」


    八幡「悪りぃな。そーゆーワケだから俺は行くわ」


    由比ヶ浜「あ……えと、ヒッキーまたこっちに帰ってくる?」

    八幡「んー、多分夏休みには一回戻るな。小町にも会いたいし」


    由比ヶ浜「そ、そっか!」

    雪ノ下「なら……その、帰ってきたらまた連絡を頂戴。由比ヶ浜さんに」


    八幡「ん、了解」


    由比ヶ浜「じゃあまたねヒッキー!」

    雪ノ下「また夏休みに会いましょう」

    八幡「おう、またな」


    そう言って俺はのほほんさん達の待っている場所へ足を踏み出した


    八幡「(凄い偶然だったけど、久しぶりに話せて良かったな……)」

    とても懐かしい感じがして、なかなか楽しかった


    八幡「(あんまり変わって無かったな、あいつらも)」

    少しそれが嬉しかった気がした


    それからセシリア達も加わり昼飯までずっとビーチバレーを満喫した


  55. 55 : : 2014/04/17(木) 22:08:24
    八幡キツいのはこれからだよ?
    臨時にてか、サブでやはりメンバーのsideとか、ビーチのラウラとか、モジモジしてるラウラとか見たいなぁ(¬_¬)
    ご検討下さいm(*_ _)m
  56. 56 : : 2014/04/17(木) 22:16:28
    >>55
    それするとかなり長くなっちゃうんですよね^_^;
    でも一応考えときます
  57. 57 : : 2014/04/17(木) 22:51:43
    話が進まなくなるから長々と描写する必要ないと思う

    後、奉仕部の二人に怒る権利はないね
  58. 58 : : 2014/04/17(木) 22:53:42
    ガイルの二人もIS勢も性格に難あるからなぁ


    あ…八幡も大概か
  59. 59 : : 2014/04/17(木) 22:55:39
    なるほど。奉仕部の二人は元ネタの五反田兄妹扱いになるのか?
  60. 60 : : 2014/04/18(金) 03:23:00
    六さん!
    はるのんの出番はありますかね!!!???
  61. 61 : : 2014/04/18(金) 09:50:17
    この投稿は削除されました。
  62. 62 : : 2014/04/18(金) 19:45:27
    >>61
    そういうのは辞めてほしいんだけど...
    もしやるなら、他かグループあるんでやりましょや(^ω^#)
  63. 63 : : 2014/04/18(金) 20:58:39
    そしてやはり戸塚登場
  64. 64 : : 2014/04/18(金) 23:01:29
    期待です!
  65. 65 : : 2014/04/19(土) 07:23:15
    さーせん…
    六さんにもご迷惑かけました|ョ・ω・`)
  66. 66 : : 2014/04/19(土) 14:49:47
    ゆきのんも結衣もIS学園に編入してほしい。
  67. 67 : : 2014/04/19(土) 21:57:42
    そしたらカオスになりすぎて逆につまんなくなりそうじゃね?
  68. 68 : : 2014/04/19(土) 22:34:34
    この投稿は削除されました。
  69. 69 : : 2014/04/19(土) 23:13:02
    >>68
    私の代わりにありがとうございます>_<
    忙しくて更新全然できてなくてすみません
    明日には投下できるよう頑張ります!
  70. 70 : : 2014/04/19(土) 23:52:47
    >>69
    (*`・ω・´*)ゝカシコマリ☆
    (*бoб)ノ~''待ってまーす♪
  71. 71 : : 2014/04/20(日) 08:18:04
    六さんの自由に
    書いてもらうのが一番ですね!!
    リアルが優先されるのは当然です☆
    無理しないでくださいm(__)m
  72. 72 : : 2014/04/20(日) 21:27:28
    >>71ありがとうございます!
    今から投下しますね(^^)
  73. 73 : : 2014/04/20(日) 21:27:39







    時間はあっという間に過ぎ、現在七時半

    大広間三つを繋げた大宴会場で、俺たちは夕食を取っていた



    八幡「普通に美味い。てか、昼も夜も刺身とか豪勢だな」

    シャル「ほんとIS学園って羽振りがいいよね」

    ラウラ「うむ」


    そう言って頷いたのは俺の右隣に座っているシャルと、その隣に座っているラウラだ


    八幡「お、しかもこのわさび、本わさかよ。高校生のメシじゃねぇぞコレ」

    シャル「本わさ?」

    八幡「ああ、シャルは知らないのか。本物のわさびをおろしたヤツを本わさって言うんだ」

    ラウラ「む?
    では学園の刺身定食でついているのは?」

    八幡「ありゃ練りわさ。原料はワサビダイコンとかだったかな。着色したり合成したりして、見た目と色を似せてんだ」

    シャル「へぇ、じゃあこれが本当のわさびなんだ?」

    八幡「ああ。つっても練りわさでも最近は美味しいのが多いらしいけどな」

    シャル「そうなんだ。はむ」


    ん?
    シャル、今わさびの山を食べなかったか……?


    シャル「っ〜〜〜〜〜〜!!」

    案の定、鼻を押さえて涙目になるシャル

    何やってんだよ……

    八幡「おい、大丈夫か?」

    シャル「ら、らいひょうぶ……。
    ふ、風味があって、いいね……。お、おいしい……よ?」


    どこまで優等生なのだろうか、こいつは


    セシリア「っ……ぅ……」


    ちなみに俺の左隣ではセシリアがさっきからずっとこんな感じでうめいている

    どうも正座が苦手らしい。一向に食事が進んでいない
  74. 74 : : 2014/04/20(日) 21:30:15

    八幡「大丈夫かセシリア?
    顔色良くねぇぞ」

    セシリア「だ……ぃ……ょう、ぶ……ですわ……」


    おお、すげぇ大丈夫じゃないっぽい。というか、そんなに苦手なのか、正座


    セシリア「い、ぃただき……ます……」

    ず、ず……と、味噌汁を飲むのにも難儀している

    セシリア「お、おいしぃ……ですわ、ね……」


    うーん、かなり無理してんだろ

    八幡「セシリア、正座が無理ならテーブル席に移動したらどうだ?」


    セシリア「へ、平気ですわ……。この席を獲得するのにかかった労力に比べれば、このくらい……」


    八幡「うん?
    夕飯の席って入ってきた順に座っただけじゃ……?」

    シャル「八幡、女の子には色々あるんだよ」

    八幡「そうなのか?」

    シャル「そうなの」

    そうらしい


    セシリア「う、ぐ……、くぅ……」


    そしてセシリア、やっぱり正座無理くね?
    さっきから二回も刺身を取り損ねてるぞ

    八幡「セシリア」

    セシリア「移動は、しませんわ」

    しないらしい


    ……でもこれじゃ見ててかわいそうだな

    八幡「はぁ……でも食事進まねぇだろ。
    ……食べさせてやろうか?」


    あっ、つい言ってしまった

    そんな高度なイベント俺には無理だろうが、判断を誤ったか八幡
  75. 75 : : 2014/04/20(日) 21:34:08


    シャル・ラウラ「っ!」ガタタッ

    なんか後ろからの音が聞こえたが気づかなかった事にしよう
    見たら後悔する


    セシリア「は、八幡さん!」ズイッ

    八幡「はいぃっ?」


    セシリア「今のは本当ですの!?
    そ、その!食事を、食べさせてくれるというのは……っ!」


    八幡「あ、えーと…………」

    覚悟決めるか
    男に二言は無いとか言うしな

    八幡「べ、別に……いいぞ」


    セシリア「で、では。お願いしますわ」

    八幡「セシリア、わさびは平気か?」

    セシリア「わ、わさびは、少量で……」

    苦手のようだ


    八幡「んじゃ」

    セシリア「は、はい。あーん」

    ぱくっ


    八幡「どうだ?」

    セシリア「お、美味しいですわ」////


    しかし、ここで問題が起きた


    相川「あああーっ!
    セシリアずるいっ、何してるのよ!」

    城本「比企谷くんに食べさせてもらってる!
    卑怯者!」

    野田「ずるい!インチキ!イカサマ!」


    く、他の女子に見つかった。……って、当たり前か。ずらーっと並んで座ってるだし、普通気づくか

    セシリア「ず、ずるくありませんわ。席が隣の特権です」

    相川「それがずるいって言ってんの!」

    天霧「比企谷くん!
    私もお願いしてよろしいかしらっ?」


    これ幸いとばかりに自分も食べさせて欲しいと女子が押し寄せる

    セシリア1人でもお腹いっぱいだっつのに、なんて拷問だよ

    シャル「八幡!
    僕も八幡の隣に座ってるよ!?」

    ラウラ「よ、嫁よ!
    私もその、あーんして欲しいぞ!」

    八幡「あ、あのなぁ……」


    千冬「お前たちは静かに食事することができんのか」


    その声に場の全員が凍りつく

    シャル「織斑先生……」

    千冬「どうにも体力があり余っているようだな。よかろう。それでは今から砂浜をランニングしてこい。
    距離は……そうだな、50キロもあれば十分だろう」


    城本「いえいえいえ!
    とんでもないです!」

    野田「おとなしく食事をします!」

    そう言って各自、自分の席に戻って行く

    千冬「比企谷、あまり騒動を起こすな。鎮めるのが面倒だ」

    八幡「え、俺の……」

    千冬「……」ギロッ


    八幡「せいですよね。はい、すみません。分かりました」

    自分の非はしっかり認めないとな、うん


    八幡「つーわけで悪いなセシリア。あとは自分で頼む」

    セシリア「い、いえ!」

    セシリア「(一度でも食べさせてもらえたのですから、それだけで満足ですわ!)」


    シャル・ラウラ「む〜」

    八幡「ん?」


    なぜかこっちの2人は膨れっ面をしていた


    八幡「お前らも早く食わねぇと勿体無いぞ」

    シャル「う、うん」

    ラウラ「うむ……」


    その後も食事を続け、気がつけば満腹になるまで食べてしまっていた
  76. 76 : : 2014/04/20(日) 22:16:33





    八幡「ふー、さっぱりした」


    食後に温泉、なんていう贅沢だろうか

    海を一望できる露天風呂を1人で使った俺は、かなり上機嫌で部屋へと戻ってきた


    八幡「さてと、気分も良いしこのまま寝r……」


    「ひーくーーーーん!!!」ガバッ

    八幡「っ!?」


    布団をめくると中から人影が飛び出してきた

    その人影の正体は……


    束「えへへー、ビックリした!?」

    そう、束さんだった


    八幡「……どうして束さんがここに?」

    束「えっとね、箒ちゃんに用事があって来たんだよ」

    八幡「箒に?」


    束「うん。それで本当ならここに到着するのは明日の予定だったんだけど、少し早く着き過ぎちゃったんだよねー」

    八幡「だからって俺のとこ来ないで下さいよ……」

    束「えー、ひーくんひど〜い!」


    八幡「それで、箒に用って?」


    束「……専用機だよ」

    束さんが少しだけ顔を曇らせて答える

    八幡「え?」

    束「箒ちゃんに専用機を届けに来たの」


    八幡「箒に、専用機ですか?」

    束「うん」

    八幡「そうだったんですか……」


    束「あの、それでさ……ひーくんに聞きたい事があるんだけど……」

    八幡「なんですか?」


    束「今の話を聞いて箒ちゃんに対して不公平だとか、不平等だとか、そんな風に感じた?」


    八幡「いえ、まったく」

    束「本当?」


    八幡「ええ。てかそもそも有史以来、世界が平等であったことなんて一度もないですよ。
    そんな不平等だとか今更気にする事でも無いでしょう」

    束「……」


    俺の答えが意外だったのか、束さんが少しポカンとした様子で俺を見ている

    そして

    束「あははっ、やっぱりひーくんは面白いなぁ」

    そう言って笑い出した


    八幡「なんで笑うんですか」

    束「(だって、私と思考回路がまったく同じだったんだもん。ますます気に入っちゃった。
    はぁ、それにしても余計な心配だったな〜)」


    束「も〜、ひーくんのせいで拍子抜けしちゃったー」ゴロン

    八幡「俺なにもしてないっすよ」

    束「ひーくんお詫びにマッサージして〜」


    八幡「なんのお詫びですか……」

    束「束さんはここ最近疲れが溜まってるのです。だからお願い♪」


    八幡「はぁ……ちょっとだけですからね」
  77. 77 : : 2014/04/21(月) 00:43:36
    待ってました!マッサージ私も得意ですよ!
    八幡、マッサージ得意そう(小町とか小町とかにしてそry)
  78. 78 : : 2014/04/21(月) 23:18:40
    面白いww
    ブクマに登録させてもらいました

  79. 79 : : 2014/04/22(火) 00:35:57
    >>77小町しか相手がいない。わら
    >>78ありがとうございます!
    続きも頑張ります
  80. 80 : : 2014/04/22(火) 00:43:56





    ラウラ「ではシャルロット、行くとしよう」

    シャル「うん!」

    その頃、ラウラとシャルは八幡の部屋に向かって廊下を歩いていた


    しかし


    セシリア「あら?」

    シャル「え?」

    曲がり角で偶然にも2人はセシリアと鉢合わせした


    セシリア「こ、こんな時間にお二人でどちらまで行かれるおつもりですか?」

    ラウラ「そういうお前こそどこに行くつもりだったんだ?」


    セシリア「それは……ジュースを買いにですわ」

    シャル「自販機は向こうだよ?」

    セシリア「うっ」


    ラウラ「……まさか嫁の部屋か?」

    セシリア「……」

    ラウラ「図星のようだな」

    セシリア「では、あなた方も?」

    ラウラ「うむ」

    シャル「あはは、やっぱり皆考える事は同じみたいだね」


    ラウラ「どうせ知られてしまったのだ、三人で行くとしよう」


    セシリア「そうですわね」


    そうしてシャルとラウラ、セシリアは三人で改めて八幡の部屋へ向かう


    ところが


    鈴「………………」

    箒「………………」


    八幡の部屋の前、その入口のドアに張り付いている女子が二名


    セシリア「鈴さん?
    それに箒さんまで。一体そこで何を……」


    鈴「シッ!!」

    鈴がそう言うなりセシリアの口を塞ぐ

    状況が掴めず三人がキョトンとしていると、ふとドアの向こうから声が聞こえた



    束『ひーくん……意外と大きんだね……』


    八幡『そうですか?』

    束『うん。予想以上にたくましいというか……』


    八幡『自分では普通だと思ってたんですけどね。
    それじゃ、いきますよっ』


    束『はううっ、いきなりそんな強くしちゃ……だめっ!
    す、少し加減して……』


    八幡『いや、まだ全然ですよ。
    てか束さん、その痛がりよう……まさか初めてですか?』


    束『……うん、今までこういう事してもらう機会無かったから……。
    こんなの初めてで……』


    八幡『なるほど、身体が慣れてないワケですか。
    にしても随分と溜まってたみたいですね』

    束『ああっ!
    ひーくん、だめ!
    もっと優しくしてぇっ』


    …………。


    シャル「こ、こ、これは、一体、何がどうなって……?」

    ひくひくと口元を震わせ、引きつった笑みを浮かべながらそう尋ねるシャル

    鈴「………………」

    箒「………………」

    しかし、返ってきたのはただただ沈黙だけだった

    鈴も箒も沈んだ表情をしており、その様子はまるでお通夜さながらだった

    ラウラ「……聞こえてきた名前に『束』とあったが、箒の姉の名ではなかったか?」


    箒「……多分、いや間違いなく……姉さんだろう……」

    箒の表情は暗い

    セシリア「どうして箒さんのお姉さんが八幡さんの部屋に……?」


    箒「私だって分からぬ。
    まさか八幡と姉さんがこんな関係になっていたなんて……予想すらしていなかった」

    鈴「でも八幡と束さんって、言うほど接点なくない?」

    ラウラ「しかし現実には……」


    束『ひゃうぅっ!
    あっ、ああっ!』

    八幡『ちょ、暴れたら危ないですって』

    束『うう……』

    八幡『さて、もうあと一ヶ所で終わりですよ』

    束『ちょ、まだ心の準備が……』

    八幡『大丈夫ですから安心してください』


    束『……ひーくんがそう言うなら……』

    八幡『じゃあ、いきます』

    束『……きて、ひーくん……』


    バンッ!!!


    五人「「「ちょっと何してんのよあんた等ぁぁぁぁ!!?
    流石にもう我慢の限界よ!!」」」



    八幡「……ん?」

    束「……ふぇ?」

    五人「「「……は?」」」


  81. 81 : : 2014/04/22(火) 00:46:14
    束「……え?
    何って、マッサージだよ……?」

    八幡「つーかお前ら、ノックもせずに入って来やがって。
    どういうつもりだ?」


    シャル「ご、ごめんね八幡……」

    セシリア「そ、その……」

    鈴「色々勘違いしちゃって……つい咄嗟に……」

    ラウラ「た、ただ遊びに来たつもりだったのだ……」

    箒「す、すまん……」


    八幡「ったくお前らは……」


    束「あ、それより箒ちゃんこんばんはー」

    箒「こ、こんばんは姉さん」


    束「あっ、頼まれてたの、ちゃんと用意してあるからね」ニコッ

    箒「あ、ありがとう……ございます」


    鈴「頼まれてたもの?」

    箒「あぁ……えっと……」


    八幡「箒の専用機だってよ」

    四人「「「え!?」」」

    箒「ばっ、八幡!」

    八幡「いいじゃねぇか。
    隠す事でも無いだろうし、それにすぐ分かる事だろ」

    箒「そ、そうだが……」


    八幡「たかが専用機の有無くらいで俺たちはお前への態度を変えたりなんかしねぇっつーの。
    そうだろお前ら?」

    セシリア「少し驚きはしましたが八幡さんの言う通りですわ」

    鈴「箒がISの練習を人一倍頑張ってきたのは私たちも知ってるしさ」

    シャル「専用機持ちの仲間が増えるってなんだか嬉しいね!」

    ラウラ「うむ、おめでとう箒。
    良かったな」

    箒「お、お前たち……」


    八幡「ほらな、無用な心配だったろ?」

    箒「……そう、だな」


    セシリア「それでは皆さん丁度集まってますし、これから箒さんの専用機獲得を祝ってちょっとしたパーティーでもしませんか?」

    ラウラ「おお、ナイスアイデアだな」

    シャル「僕も良いと思うよ!」

    鈴「賛成!」


    束「えっと、それじゃ私はこれで……」

    八幡「何言ってるんですか?
    束さんも一緒にお祝いしましょうよ」

    束「い、いいの……?」

    八幡「勿論じゃないですか。
    なぁ、箒?」


    箒「そ、その……姉さんも是非……参加して下さい」

    束「箒ちゃん……っ」


    八幡「んじゃ、パーティー始めようぜ」

    六人「「「おー!」」」


    束「(箒ちゃん、いい友達が出来たみたいで安心だなぁ。なによりひーくんのおかげかな。
    ありがとう、ひーくん)」



    俺たちはそれから七人でパーティーを存分に楽しんだ


    が、騒ぎ過ぎて織斑先生に見つかって説教を食らう羽目になったのは言うまでもない
  82. 82 : : 2014/04/22(火) 04:07:23
    小町「んっ!///あっ!///んあっ!///フウフウ///」
    八幡「どうした小町?そんなに気持ちいいか?」
    小町「そ、そん...な、こと...ない..よ?.」ハアハア
  83. 83 : : 2014/04/22(火) 04:08:04
    ↑失礼しました
    (小町はマッサージを受けてます)
  84. 84 : : 2014/04/22(火) 04:58:27
    ここの束さんは素直で良いね
  85. 85 : : 2014/04/22(火) 06:26:13
    とうとう、箒にも専用機ということは!...|・ω・`)フムフム
    ここからの流れ期待してます!(*^^*)
  86. 86 : : 2014/04/22(火) 14:01:48
    できれば福音のパイロットも出して欲しいな…中々の名シーンだったし。
  87. 87 : : 2014/04/22(火) 18:08:19
    ↑あ~アニメで居ない事になったキャラか…
    原作好きには涙ものだっただろうねwww
  88. 88 : : 2014/04/22(火) 21:20:11
    http://www.ssnote.net/link?q=http://www.ssnote.net/groups/341

    雑談ようですよ(^-^)
  89. 89 : : 2014/04/22(火) 22:36:15
    ((o(^∇^)o))ワクワク
  90. 90 : : 2014/04/23(水) 09:50:52
    期待です!
  91. 91 : : 2014/04/23(水) 13:17:01
    確か福音の暴走って束さんが絡んでたんだよな?
    此処のキャラじゃ無理な様な
  92. 92 : : 2014/04/23(水) 23:54:49
    この投稿は削除されました。
  93. 93 : : 2014/04/24(木) 00:24:35




    翌日


    千冬「今日は午前中から夜まで丸一日ISの各種装備試験運用とデータ取りを行う」


    昨日が丸一日自由時間だった分、今日は丸一日ISの訓練というワケだ


    千冬「さて、それでは各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行うように。全員、迅速に行え」


    はーい、と一同が返事をする


    千冬「ああ、篠ノ之。お前はちょっとこっちに来い」

    箒「はい」


    打鉄用の装備を運んでいた箒が、織斑先生に呼ばれてそちらへと向かう

    多分、専用機の事についてだろう



    それから数十分に渡り作業は続けられた

    時折向こうから爆音が微かに聞こえてきたが、おそらく箒の専用機による試運転だろうと予想する


    それからさらにしばらく作業を続けていると


    束「ひーくんひーくん!」

    八幡「あ、束さん。どうしたんですか?」

    後ろから束さんに声をかけられた


    束「零式見せてー。束さんは興味津々なのだよ」

    八幡「え、ああ、はい」

    やっぱり束さんといえど、男が使用しているISには興味があるようだ

    俺は右手に意識を集中させて零式を呼び出す


    束「データ見せてね〜。うりゃ」

    言うなり零式の装甲にぶすりとコードを刺す束さん

    束「ん〜……不思議なフラグメントマップを構築してるね。なんだろ?
    見たことないパターン。ひーくんが男の子だからかな?」

    ちなみにフラグメントマップというのは、各ISがパーソナライズによって独自に発展していくその道筋のことらしい。
    人間で言う遺伝子だそうだ

    八幡「束さん、そのことなんですけど、どうして男の俺がISを使えるんですか?」

    束「ん?
    ん〜……どうしてだろうね。私にもさっぱりぱりだよ」

    うん、何の解決にもならなかった

    束「それにしてももうワンオフ・アビリティー発現させたんだね。流石ひーくん!」

    八幡「いや、あれはただのまぐれですよ」

    束「こんなに早く発現するとは思ってなかったな〜。それよりさ、ひーくん、零式改造してあげようか?」

    八幡「改造?」

    束「執事の格好になるとかどうかな。ひーくんって燕尾服とか似合うと思うんだよね。
    あるいはメイド服」

    よし、あるいはの部分は聞かなかったごとにしよう

    八幡「いいです」

    束「いいです!
    おお、許可が下りたよ!
    じゃあ早速……」


    八幡「だああっ、わざと意味を間違えないで下さい!
    ノーです、ノー!」

    束「ひーくんいけずー」

    八幡「頭が痛くなってきた……」


    俺が頭を抱えていると


    山田先生「たっ、た、大変です!
    お、おお、織斑先生っ!」


    いきなり山田先生が大慌てで織斑先生の元へ駆け寄って行った

    いつも慌てている山田先生だが、それにしても今回はその様子が尋常じゃない
  94. 94 : : 2014/04/24(木) 00:39:49


    千冬「どうした?」

    山田先生「こ、こっ、これをっ!」


    渡された小型端末の画面を見て織斑先生の表情が曇る


    千冬「特命任務レベルA……だと……」


    相川「な、なによあれっ!?」


    そこで相川の悲鳴に似た叫び声が聞こえた


    八幡「っ!?」


    俺を含む生徒全員が空を見上げると、そこには銀色のISがこちらを見下ろすように佇んでいた


    千冬「くそ、早すぎるっ!」


    セシリア「織斑先生!
    一体何が起きてるんですの!?」

    俺も山田先生の元に駆け寄り、小型端末に書かれている内容を確認する

    八幡「なっ……」


    【二時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が制御下を離れて暴走。監視空域より離脱。
    現在、行方を捜査中。通過予想空域に日本も含まれているため、万一に備え現時刻より対策をはじめられたし】


    八幡「つまりあれが暴走したISってコトかっ」

    シャル「で、でも、どうしてこんなに近くに来るまで連絡が来なかったんですか?」

    束「多分、ステルスモードで追跡を回避していたんだと思う。だからこっちに連絡が伝わるのも遅れたんだよ」

    ラウラ「なるほど……それでか」



    ガシャンッ



    千冬「っ!?
    全員、伏せろっ!!」


    八幡「(嘘だろ……っ!?)」


    福音はこちらにレーザー砲を向けると、なんの躊躇いもなく射出した


    八幡「くそ、暗翼ノ型っ!!」



    俺は零式籠手を発現させ、レーザーに向けて右手を突き出す


    キュィィィィンッ


    なんとか間一髪でレーザーを打ち消す事に成功する


    千冬「全員今すぐ旅館まで避難しろ!
    専用機持ちは全員が避難するための時間稼ぎだっ!」


    織斑先生の号令で生徒達は旅館へ向かって走り出す


    そしてラウラ達が援護のためにISを展開しようとするが、どこか様子がおかしい


    ラウラ「なっ……」

    シャル「え?」

    セシリア「うそ……」


    千冬「おい何をしている!?」


    シャル「織斑先生!
    ISが展開できません!」

    千冬「なにっ?」


    ISが展開できない?
    大問題じゃねぇか

    鈴「な、なんで?」

    束「多分、あのISの能力かも」

    八幡「え?」

    束「予想だけど、あの左手からISの展開を妨害する電波を出してるんだと思う」


    箒「ということは、戦えるのはISを初めから展開していた私と八幡だけということになるのか」

    八幡「そうみたいだな」


    千冬「2人でいけるか?」

    八幡「やれるだけやってみます」

    千冬「任せたぞ」


    八幡「うす」


    千冬「では私達も避難に移るぞ!
    お前達2人も危なくなったらすぐに戦線から離脱しろ!
    すでに政府の方に協力要請はしてあるから無理はするな」


    箒・八幡「はい!」


    そう言って織斑先生達も旅館へ向かって避難を始める


    八幡「その専用機使い始めてまだ全然経ってねぇけど大丈夫か?」

    箒「うむ、心配ない。これならやれる」

    八幡「……そうか。
    ならいくぞ箒」

    箒「ああ」


    俺たちは急上昇を開始し、福音と対峙する

    いっちょ時間稼ぎ頑張りますか
  95. 95 : : 2014/04/24(木) 00:42:42
    期待!
  96. 96 : : 2014/04/24(木) 16:31:23
    とうとう、箒の専用機か~(*´∀`*)
    あれ?双剣の名前何だっけ?(´・ω・`)?
  97. 97 : : 2014/04/25(金) 02:06:04
    このシリーズめっちゃ好きです!
    頑張って下さい

    あと、このシリーズにさらに他の作品のキャラとか出してもらえるとありがたいです
    ブラック・ブレットとかノーゲーム・ノーライフとかm(__)m
  98. 98 : : 2014/04/25(金) 02:10:36
    >>96
    雨月(あまづき)・空裂(からわれ)ですよ(^^)
    >>97
    両方知ってるので考えてみますね(*^_^*)
  99. 99 : : 2014/04/25(金) 05:33:27
    この投稿は削除されました。
  100. 100 : : 2014/04/25(金) 10:09:37
    >>99
    そういうの要らないから
    面白いと思ってんの?
  101. 101 : : 2014/04/25(金) 21:51:41





    八幡「来い、零式刀」

    手元がぱぁっと光に包まれ、刀を形成していく

    八幡「(暴走ISってことは人は乗ってねぇんだよな)」

    つまりどれだけダメージを与えても人命に影響はないワケだ


    八幡「なら全力でいかせてもらうぜっ」

    瞬時加速を使用、一気に間合いを詰める

    八幡「(いける!)」


    振り下ろされた黒い刃が銀の福音にふれる、その瞬間


    福音『敵機確認。迎撃モードへ移行。≪銀の鐘≫稼働開始』

    八幡「っ!?」


    ぐりん、と

    いきなり福音が体を一回転させ、零式刀の刃をわずか数ミリの精度で避ける

    八幡「くっそ、あの翼が急加速してやがんのかっ!」

    高出力の多方向推進装置(マルチスラスター)というのは他にも多く存在するが、ここまで精密な急加速を見るのは初めてだ


    八幡「箒!
    援護を頼む!」

    箒「任せろ!」


    俺は箒に背中を預けて再度福音へと斬りかかる


    八幡「くっ……この……っ」

    しかし、またひらりひらりと紙一重で回避される


    ちらりと下の方に目を向ける


    生徒達の避難状況は悪くない
    あと10分もすれば無事全員旅館へと辿り着くだろう

    八幡「(まぁ、いい感じだな)」


    つい気が緩んでしまう

    そして、この隙を見逃す福音ではなかった

    八幡「!!」


    銀色の翼。スラスターでもあるそれの装甲の一部がまるで翼を広げるかのように開く

    八幡「(しまった!
    こいつは……)」

    砲口だ


    一斉に開いた砲口を俺に向かわせるため、翼を前へとせり出す福音

    次の瞬間、幾重もの光の弾丸が撃ち出された
  102. 102 : : 2014/04/25(金) 21:57:19

    八幡「が、ああっ!」


    弾丸は高密度に圧縮されたエネルギーで、羽のような形をしている

    それがISアーマーに突き刺さったかと思うと、次の瞬間に一斉に爆ぜた

    爆発するエネルギー弾丸。これが福音の主装備らしい


    そして1番の問題は

    八幡「(なんつー連射速度だよ……)」

    その数と速度、すなわち連射がめちゃくちゃ速い

    エネルギー弾である以上、零式籠手で打ち消す事は可能だが、数が多すぎるのに加えて速すぎるとなれば簡単には成功しないだろう

    八幡「箒、左右から同時に攻めるぞ。左は頼んだ」

    箒「了解した!」


    俺と箒は福音の放つエネルギー弾丸を回避しながら、二面攻撃を仕掛ける

    けれど、俺と箒の攻撃はかすりもしない


    八幡「(厄介だな)」

    福音はとにかく回避に特化した動きで、その上同時に反撃までしてくる

    八幡「(このままじゃ、押し負けるっ……)」


    箒「八幡!
    私が動きを止める!!」

    八幡「了解」

    言うなり、箒は二刀流で突撃と斬撃を交互に繰り出す

    しかも、腕部展開装甲がスライドし、そこから発生したエネルギー刃が攻撃に合わせて自動で射出、福音を襲う


    八幡「(こっちもこっちで化け物みてぇなスペックだな……)」


    この猛攻には、さすがの福音も防御を使い始めた


    八幡「今だっ」

    俺は刀を握りしめ、福音の背後から斬りかかる

    振り下ろした一閃が福音の背中を切り裂く


    福音『ギッ……』


    ようやく初めて攻撃が命中する



    千冬『比企谷、篠ノ之!
    全員の避難が完了した!
    お前たちも早く離脱しろ!』

    そこで織斑先生から連絡が入った


    八幡「よし。
    箒、戻るぞ!」

    箒「いや、ここで仕留める!」


    そう言って箒が福音に向かって突っ込む


    八幡「おいっ、何してんだ!
    俺等の目的は時間稼ぎだろうが!
    深追いすんなっ!!」


    そして俺の嫌な予感は的中する


    福音「La……♪」

    甲高いマシンボイス。その刹那、ウイングスラスターはその砲門全てを開いた

    その数、36
    しかも全方位に向けての一斉射撃


    箒「っ!」

    箒の目が驚愕に見開かれる


    八幡「箒!!」

    俺は瞬時加速を使って一直線に箒へと向かう

    八幡「(間に、合えぇぇぇ!)」


    スローモーションの世界で俺は光弾が放たれるのを視界で捉え、そして次の瞬間に福音と箒の間に割って入った


    八幡「ぐああぁああっ!!」


    箒をかばうように抱きしめた瞬間、福音のエネルギー弾丸が俺の背中に一斉に降り注ぐ

    エネルギーシールドで相殺し切れないほどの衝撃が何十発と続き、みしみしと骨が軋む音が聞こえる


    八幡「う、おおおおっ!」


    肉が引き裂かれそうなほどの激痛が身体中を這いずる中、俺は零式刀の力を解放し、福音めがけて降り投げた


    ザシュッ


    福音『ギ、ギッ……』


    黒い翼を撒き散らしながら投げられた零式刀は、エネルギー弾を切り裂き、確かに福音の左腕を貫いた


    八幡「ぅ……ぁ……」

    ぐらりと世界が傾く


    箒「八幡っ、八幡っ、八幡っ!!」


    海へと真っ逆さまに落下。大きな水音をたてながら俺の身体は海に沈んでいく

    海面越しにこちらに飛んで来る箒を見つめながら、俺は気を失った

  103. 103 : : 2014/04/25(金) 22:01:36











    箒「…………」

    旅館の一室。ベッドで横たわる八幡は、もう三時間以上も目覚めないままだった


    箒 (私のせいだ……)


    ISの防御機能を貫通して人体に与えたダメージは甚大なもののようで、八幡の体の至る所に包帯が巻かれている

    医者が言うには、全身に及ぶ打撲が酷いため、しばらくは絶対安静ということだった

    箒 (私が、あの時勝手なことをしたから、八幡がこんな目に……!!)



    千冬『銀の福音が再び動き出した。状況に変化があればまた招集する。それまで各自現状待機しろ』

    どうにか旅館に戻った箒を待っていたのはその言葉だった

    千冬は八幡の手当を指示して、すぐにまた作戦室へと歩き出した



    箒 (私は……どうして、いつも……)


    箒が自分の愚かさに項垂れ、涙を流そうとしたその時、突然ドアが乱暴に開く


    バンッ!

    という音に続いて1人の女子が部屋に入ってくる

    鈴「あー、あー、分かりやすいわねぇ」

    遠慮なく入ってきた女子、それは鈴だった

    鈴「あのさぁ、八幡がこうなったのって、アンタのせいなんでしょ?」

    箒「…………」

    鈴「で、落ち込んでますってポーズ?
    ……っざけんじゃないわよ!」

    突然烈火の如く怒りをあらわした鈴は、箒の胸ぐらを掴んで無理矢理に立たせる


    鈴「やるべきことがあるでしょうが!
    今戦わなくて、どうすんのよ!」


    箒「わ、私……は、もうISは……使わない……」


    鈴「ッ!!」


    鈴が手を振り上げると同時に入口の方から声が聞こえる


    ラウラ「とんだ腑抜けがいたものだな」


    鈴が手を止め、声の方に目を向けると、ドアにもたれかかるラウラがいた
  104. 104 : : 2014/04/25(金) 22:15:13


    箒「ラウラ……」

    ラウラ「貴様、一体そこで何をしているんだ?」


    箒「…………」

    ラウラ「一度失敗だけで戦うことを諦め、あげくISからも逃げるつもりか?」


    箒「…………」


    ラウラ「貴様のような女を助けるために、あいつは体を張ったのか?」

    その言葉に、箒の目が大きく見開かれる


    ラウラ「仲間を目の前で痛めつけられて、ボロボロになった命の恩人を前にして……まだ動こうともしない。
    本当に、そんなくだらない女のためにあいつは命を投げ出したというのか。
    だとしたら……」





    ラウラ「そいつはとんだ犬死だな」


    箒「……っ!」


    その一言は箒の胸をえぐるには十分だった


    ラウラ「クラス間IS戦争で八幡の言っていた言葉をもう忘れたか?」


    箒「……あっ……」


    『失敗して、そこで諦めるか立ち上がるかはそいつ次第だ』


    ラウラ「八幡がなぜ最後にやつの左腕を狙ったか、分かるか?」


    箒「左腕……まさか……っ」


    ラウラ「そうだ。IS展開を妨げる電波を出す左腕の機能を停止させることで、後続に……私達に戦いを託す為だ。
    それなのにお前は八幡が繋いでくれたそのバトンを踏みにじるつもりか?」


    箒「しかし、どうしろと言うんだ!
    もう敵の居所も分からない!
    戦えるなら、私だって戦いたい!
    戦いたいに決まっているだろう!」


    自分の意思で立ち上がった箒を見て、鈴がふうっとため息をついた

    鈴「やっとやる気になったわね。ほんっとにめんどくさかったー」

    箒「な、なに?」

    鈴「場所なら分かるわ。今シャルロットとセシリアが……」

    言葉の途中でちょうどドアが開く


    シャル「出た!
    ここから30キロ離れた沖合上空に目標を確認したよ」

    セシリア「ステルスモードに入っていたようですけど、どうも光学迷彩は持っていないようですわね。
    衛星による目視で発見しましたわ」


    鈴「流石ね」


    ラウラ「よし、では全員準備はできているか?」

    鈴「当然」

    セシリア「たった今完了しましたわ」

    シャル「準備オッケーだよ。いつでもいける」

    鈴「で、あんたはどうするの?」


    箒「私……私は……」

    ぎゅうっと拳を握りしめる箒

    それはさっきまでの後悔とは違う、決意の表れだった

    箒「戦う……戦って、勝つ!
    今度こそ、負けはしない!」


    ラウラ「決まりだな」

    ふふんと腕を組み、鈴が不適に笑う

    鈴「じゃあ、作戦会議よ。今度こそ確実に墜とすわ」
  105. 105 : : 2014/04/26(土) 03:57:10
    とうとう、福音を倒すのかな(´・ω・`)?
    それなら、最後の手で倒すところ?一撃って変えますか?
    例えるなら、ゴッドフィンガーかな?
    とにかく、期待してます(*^^*)
    長文失礼しましたm(*_ _)m
  106. 106 : : 2014/04/26(土) 05:23:24
    アメリカのテストパイロットが出るかどうか楽しみだぜ
  107. 107 : : 2014/04/26(土) 05:28:11
    ん?咄嗟に箒を庇ったから無理だったのか知れんが…福音の攻撃ドレインすれば良かったんじゃない?
  108. 108 : : 2014/04/26(土) 07:47:40
    雑談邪魔
  109. 109 : : 2014/04/26(土) 18:43:03
    >>108
    どうしてもグループでは、雑談しないようですね
    諦めるか、グループのやつを貼ればいいんじゃない?
  110. 110 : : 2014/04/26(土) 19:21:18
    >>105
    最後は楽しみにしててください(^^)
    >>106ナターシャさん人気ですね。わら

    いまから投下します
  111. 111 : : 2014/04/26(土) 19:27:46





    福音『………………』



    海上200メートル。そこで静止していた『銀の福音』は、まるで胎児のような格好でうずくまっている

    膝を抱くように丸めた体を、そっと守るように頭部から伸びた翼が包み込む


    ……?


    不意に、福音が顔を上げる


    ドコォォンッ!


    次の瞬間、超音速で飛来した砲弾が頭部に炸裂、大爆発を起こした



    ラウラ「初弾命中。続けて砲撃を行う!」

    五キロ離れた位置に浮かんでいるIS『シュヴァルツェア・レーゲン』とラウラは、福音が反撃に移るよりも早く次弾を発射した


    その姿は通常装備とは大きく異なり、八○口径レールカノン≪ブリッツ≫を二門左右それぞれの肩に装備し、さらに四枚の物理シールドが左右と正面を守っていた

    これが、砲戦パッケージ『パンツァー・カノニーア』を装備したシュヴァルツェア・レーゲンであった


    ラウラ「(敵機接近まで……4000……3000。
    くっ、予想よりも速い!)」


    あっという間に距離が1000メートルを切り、福音がラウラへと迫る


    その間もずっと砲撃を行っているものの、福音はエネルギー弾によって半数以上を打ち落としながらラウラへ接近していた


    ラウラ「ちぃっ!」

    砲戦仕様はその性質上、機動との両立が難しい

    対して、機動力に特化した福音は300メートル地点からさらに急加速を行い、ラウラへと右手を伸ばす

    まず避けられない

    しかし、ラウラはにやりと口元を歪めた


    ラウラ「セシリア!!」


    ギィンッ


    伸ばした腕が突然上空から垂直に降りてきた機体によって弾かれる

    青一色の機体、『ブルー・ティアーズ』によるステルスモードからの強襲だった
  112. 112 : : 2014/04/26(土) 19:30:26


    セシリアは最高速からいきなり反転し、福音を捉えて≪スターダスト・シューター≫を放つ


    福音『敵機Bを認識。排除行動へと移る』

    シャル「遅いよ」

    セシリアの射撃を避ける福音を、真後ろから別の機体が襲う


    それは先刻の突撃時にセシリアの背中に乗っていた、ステルスモードのシャルロットだった

    ショットガン2丁による至近距離からの凶弾を背中に浴び、福音は姿勢を崩す

    けれどそれも一瞬のことで、すぐさま三機目の敵機に対して反撃を開始した


    シャル「悪いけど、この『ガーデン・カーテン』は、そのくらいじゃ落ちないよ」

    リヴァイヴ専用防御パッケージは、実体シールドとエネルギーシールドの両方によって福音の弾雨を防ぐ

    二枚の実体シールドと、同じく二枚のエネルギーシールドがカーテンのように前面を遮っていた


    防御の間もシャルロットはタイミングを計って反撃を開始する

    加えて、セシリアとラウラも砲撃を再開

    三方向からの射撃に、福音はじわじわと消耗を始める


    福音『……優先順位を変更。現空域からの離脱を最優先に……』


    箒「させるかぁっ!!」


    海面が轟音と共に割れる

    飛び出してきたのは真紅の機体『紅椿』と、その背中に乗った『甲龍』だった

    箒「離脱する前に叩き落す!」


    福音へと突撃する紅椿。その背中から飛び降りた鈴は、機能増幅パッケージ『崩山』を戦闘モードへ移行させる


    甲龍の両肩の衝撃砲が開くのに合わせて、増設された二つの砲口がその姿を現す

    計四門の衝撃砲が一斉に火を噴いた

    福音『!!』

    肉薄していた箒が瞬時に離脱し、その後ろから衝撃砲による弾丸の嵐が福音めがけて降り注ぐ



    セシリア「やりましたの!?」


    鈴「まだよ!」


    甲龍の衝撃砲の直撃を受けてなお、福音はその機能を停止させてはいなかった
  113. 113 : : 2014/04/26(土) 19:36:03

    福音『≪銀の鐘≫最大稼働……開始』


    両腕と翼を左右に広げる

    刹那、眩いほどの光が爆ぜ、エネルギー弾の一斉射撃が始まった


    箒「くっ!!」

    シャル「箒!
    僕の後ろに!」


    弾丸の雨をシャルロットのシールドが遮る

    シャル「それにしても……これはちょっと、きついね」

    防御専用のパッケージを以てしても、福音の異常な連射を立て続けに受けることはやはり危険だった


    バキィッ

    シャル「くっ」


    そうこうしている間に物理シールドが一枚、完全に破壊される


    シャル「ラウラ!セシリア!
    お願い!」

    ラウラ「言われずとも!」

    セシリア「お任せになって!」


    後退するシャルロットと入れ替わるようにラウラとセシリアが左右から射撃を開始する


    鈴「足が止まればこっちのもんよ!」

    そして直下からの鈴の突撃


    鈴「もらったぁぁぁっ!!」


    エネルギー弾を全身に浴びながら、しかし鈴の斬撃は止まらない

    同じく衝撃砲で対抗し、互いに深いダメージを受けながら、ついに双天牙月の刃が福音の方翼を奪う


    鈴「はぁ、はぁっ……!
    どうよ……ぐっ!?」

    片側だけの翼になりながら、それでも福音はすぐさま体勢を立て直し、鈴の左腕へと回し蹴りを打ち込む

    脚部スラスターで爆発的に加速されたそれは、一撃で鈴の腕部アーマーを破壊し、海へと墜とす


    箒「鈴!
    おのれっ……!!」

    箒は両の手に刀を構え、福音へと斬りかかる

    その急加速に反応できなかった福音の右肩に刀が突き刺さる

    箒「(獲った!)」


    そう思った刹那、福音は信じられない事に左右両方の刃を手のひらで握りしめる


    箒「なに!?」


    福音は自分へのダメージを無視し、両腕を最大にまで広げる

    刀に引っ張られ、箒が両手を広げた無防備な状態を晒す

    そしてそこに、残ったもう一つの翼が砲口を開放して待っていた


    ラウラ「箒!
    武器を捨てて緊急回避しろ!」

    しかし箒は武器を手放さない


    箒「(……ここで引いては、何のための……)」


    福音のエネルギー弾がチャージされ、一斉に放たれる

    箒「(何のための力かっ!!)」


    エネルギー弾が直撃する寸前に、ぐるんと紅椿は一回転した

    その瞬間、爪先の展開装甲が箒の意思に応えるように開き、エネルギーの刃を発生させる


    箒「はあぁぁぁっ!!」


    かかと落としに似た格好でエネルギー刃が振り下ろされ、斬撃が決まる

    ついに両方の翼を失った福音は、崩れるように海面へと墜ちていった


    箒「はぁっ、はぁっ……!」

    ラウラ「無事か!?」


    箒「私は……大丈夫だ。それより福音は……?」


    カッッ!!


    『私達の勝ちだ』と誰かが言おうとしたその瞬間、海面が凄まじい光の珠により吹き飛んだ


    箒「!?」

    球状に蒸発した海は、まるでそこだけ時間が止まっているかのように陥没したままだった

    そしてその中心、青い雷光を纏った『銀の福音』が自らを抱くかのようにうずくまっている


    箒「これは……!?
    一体、何が起きてるんだ……?」



  114. 114 : : 2014/04/26(土) 21:28:06






    数十分前




    比企谷八幡のまぶたが動いた

    ゆっくりと、ゆっくりと、まぶたが細く開く


    しかし目を開いても数秒はまだ視界がぼやける

    ようやく天井らしきものを脳が認識する


    八幡「(……俺、は……)」


    ここがどこなのか、八幡には分からなかった

    八幡「……っ」


    周りを見渡そうにも全身に激しい痛みが走り、首を動かす事すらままならない

    もはや目を動かすだけでも苦痛に思える


    八幡「(……どう、なった……んだ……?)」

    胸や腹に、何かが貼られている感触があった

    おそらくデータを採るために電極でも付けられてるのだろう


    身体中に包帯巻かれていることも、うっすらと分かる


    部屋の照明は落とされ、部屋に他の人の気配はない


    八幡「……」


    だらんと垂れた手に、わずかに力が戻る

    意識が鮮明になるにつれて、頭の中に血液が巡るのが分かった


    銀の福音



    他の専用機持ち


    八幡は箒をかばい、全身にエネルギー弾の雨を受けて意識を失った

    だが、彼女たちの戦いは続いているはずだ

    いや、そうであってほしい


    もちろん『銀の福音に勝って戦いが終わった』結末もあるかも知れない

    しかし、彼女たちには悪いが、八幡は頭の奥底……自分でも説明ができない直感でそのビジョンが否定される

    銀の福音にはまだ何かある

    それを八幡は本能的に感じ取っていた


    満身創痍の自分が役に立つとは思えないが、それでも戦力は少しでも多い方が良いに決まってる


    八幡「うぐっ……」


    身体を起こそうとすると全身が悲鳴をあげる

    それだけで意識が薄れるが、八幡は自分を奮い立たせ起き上がる


    八幡「(いかないと……)」


    銀の福音の隠された力、当然それも気がかりだったが、八幡はそれ以上に気になる事があった

    気を失う直前、頭に直接に流し込まれた映像……それは幻覚だったのかも知れない

    それでも八幡はそれを幻覚だと切り捨てる事ができなかった

    頭に浮かんだ映像



    それは、銀の福音は…………


    八幡「(……勝手に抜け出したりなんかしたら、織斑先生の大目玉でもくらいそうだな……。多分、箒達にも無茶苦茶怒られるよな……)」

    だけど、


    八幡「(戦いが終わったら死ぬほど謝ろう……。
    だから、今は……今だけはわがままを許してくれ)」

  115. 115 : : 2014/04/27(日) 01:48:45
    ナターシャが人気と言うか…
    アニメ?では存在を無視されたけど原作では中々の爆弾を投下してくれたから興味が湧くってだけなんだと
  116. 116 : : 2014/04/27(日) 02:17:57
    この投稿は削除されました。
  117. 117 : : 2014/04/27(日) 02:20:25
    八幡も第2フェイズに移行するのかな?
    まあ、私の楽しみはこれを見ることと、まどかかな?
    頑張ってね!(*´∀`*)
  118. 118 : : 2014/04/27(日) 19:08:55
    八幡をこんなワンサマーみたいな性格にするなら最初から主人公ワンサマーでやればよかったのに
  119. 119 : : 2014/04/27(日) 20:50:32
    面白いからいいじゃん
  120. 120 : : 2014/04/27(日) 21:46:22





    バォォォッ!!という爆発音が福音を中心に炸裂し、大気を震わせる


    セシリア「これは……っ?」


    ラウラ「!?」

    そこで、ハッとラウラがその正体に気づき声を荒げる


    ラウラ「まずい!
    これは……『第二形態移行(セカンド・シフト)』だ!!」


    ラウラが叫んだ瞬間、まるでその声に反応したかのように福音が顔を向ける

    そこには確かな敵意があらわになっており、各ISは操縦者へと警鐘を鳴らす


    しかし、遅かった


    福音『キアアアアァァァッ……!!』

    まるで獣の咆哮のような声を発しながら、福音がラウラへと迫る


    ラウラ「なにっ!?」

    あまりに速いその動きに反応できず、ラウラは簡単に足を掴まれる


    そして、切断された頭部から、まるで蝶がサナギから孵るかのようにエネルギーの翼が生えた


    ラウラが本能的に危険を感じ取る


    シャル「ラウラを離せぇっ!」


    シャルロットが得意の『高速切替(ラビッド・スイッチ)』を駆使して武装を瞬時に切り替え、近接ブレードによる突撃を行う

    けれど、その刃は空いた片方の手で容易く受け止められてしまった

    ラウラ「よせ!逃げろ!
    こいつは……っ」


    その言葉は最後まで続かず、ラウラはその眩いほどの輝きを放つエネルギーの翼に抱かれる


    刹那、あのエネルギー弾雨を零距離で被弾し、全身をズタズタにされてラウラは重力に従って海へと墜ちた


    シャル「ラウラ!
    よくもっ……!!」

    シャルロットはショットガンを呼び出し、福音の顔面へと銃口を当て、引き金を引いた


    ドンッ!!

    という音が響く


    しかし、その爆音はショットガンのものではなかった

    胸部から、腹部から、背部から、装甲がひび割れ、小型のエネルギー翼が形成される

    それによるエネルギー弾の迎撃がショットガンを吹き飛ばし、シャルロットの体をも吹き飛ばした


    セシリア「な、何ですの!?
    この性能……軍用とはいえ、あまりに異常な……っ」


    驚愕をあらわにしているセシリアの、その眼前に福音が迫る


    『瞬時加速』……それも、両手両足の計四ヵ所同時着火による加速だった


    セシリア「くっ!?」

    長大な銃は接近されると弱い

    セシリアは距離を置いて銃口を上げようとするが、その砲身を真横に蹴られてしまう


    そして次の瞬間には両翼からの一斉射撃

    反撃らしい反撃もできず、セシリアは蒼海へと沈められた



    箒「貴様、私の仲間を……っ!」


    急加速によって接近した箒は、続けざまに斬撃を放ち続ける


    箒「うおおおおっ!!」


    互いに回避と攻撃を繰り返しながらの格闘戦。徐々に出力を上げていく紅椿に、わずかに福音が押されはじめる


    箒「(いける!
    これならっ……)」

    必殺の確信を持って、雨月の打突を放つ

    しかし


    箒「なっ!
    またエネルギー切れだと!?」


    その隙を見逃さず、福音がエネルギー弾を発射する


    箒「うああああっ!」


    零距離からのエネルギー弾をくらい、箒も海へ向かって落下した


    箒「(すまない、八幡……!)」

  121. 121 : : 2014/04/27(日) 23:04:02
    ここで、登場主人公?
    はぁ~期待!!続きはまだかな~(*´∀`*)
  122. 122 : : 2014/04/27(日) 23:20:53
    >>121
    ありがとうございます^ ^
    今から投下します
  123. 123 : : 2014/04/27(日) 23:22:57





    少し時間は遡り、場所は作戦室


    そこでは千冬と山田先生、束の三人が画面を見ながら、今回の事件について話をしていた



    山田先生「一体何が原因であのISは暴走しているんでしょうか……?」

    山田先生が顎に指を当てて、首を傾ける



    千冬「束、お前でも分からないのか?」


    束「まぁ、考えられるものとしては、やっぱりハッキングによる意図的な暴走……かな」


    束が考えられる1番可能性の高い推測を述べる


    山田先生「意図的な暴走ですか……。
    しかし目的は何でしょう?」


    束「そりゃあ簡単だよ。
    暴走事件が起きて誰かが死んだりなんてしたらそのISは即解体。そのISにかけたお金も時間もすべて水の泡になる。かなりの損失になるだろうね」


    当然だがISが暴走なんてすれば、欠陥機と認知され間違いなく処分される

    束はさらりと答えた


    千冬「つまり、アメリカ・イスラエルと敵対してる組織が、経済的ダメージを与えるために意図的に起こしたもの……ということか?」


    束「んー、そだね。だけどハッキリ言ってISを開発してる組織なんて、他の組織は皆が皆敵のようなものだからね〜。
    特定は難しいよ?」




    束の言うとおり、ISを開発している組織は、どこも一番性能の高い、どこにも負けないISを作る事を目的にしている

    つまり周りはすべてがライバルという事になり、妨害の動機としては十分すぎるのだ

    そしてその容疑の対象には他のすべての組織が当てはまるというワケだ

    その数は余りに多過ぎて普通なら特定はまず不可能だろう



    千冬「だが、お前ならどうだ?」

    束「どうって、私ならその犯人を特定できるかってこと?」


    千冬「それしかないだろう」


    束「ふふん、それはちーちゃんがこの束さんを頼ってくれているということかなー?」

    束がニヤニヤと笑いながら千冬の顔を見る

    千冬「ちっ、嫌なら頼まん」


    千冬が面倒そうに切り捨てようとする

    束「わー待って待って、別に嫌とかじゃないよっ。
    むしろ頼ってもらえて束さんは嬉しいくらいだよ!」


    千冬「……なら、銀の福音をハッキングし暴走させた組織の特定を頼めるか?」


    束「余裕、でぇすっ!!」

    ピースを作り、ニッコリと束は微笑む


    千冬「そうか、では任せたぞ」


    束「おっけー。私も影でコソコソと動く事しか出来ない奴らとか大嫌いだし、絶対見つけてみせるよ。
    それじゃ早速作業に取り掛かるね」

    千冬「ああ」



    束は必要な機材を取りに行くため作戦室から出て、廊下を進む


    と、その時だった

    不意に、前方から何者かの人影がふらっと出てきた
  124. 124 : : 2014/04/27(日) 23:29:45

    その顔を見たとき、彼女の顔が一気に驚きに染まった

    比企谷八幡だ


    束「ちょ、ひーくん何してるの!?」


    慌てて束が駆け寄る

    八幡「束……さん?」


    壁に体を預けるようにして、なんとか体勢を保ちながら八幡は尋ねた

    息遣いは荒く、とても体を動かして良い状態ではないように思える


    八幡「……、」

    八幡が何かを話したが、あまりに小さ過ぎて束の耳には聞き取れなかった

    ただ彼は壁から手を放すと、再び足を引きずって歩き出す

    そのまま束の横を通り過ぎようとして、そこで膝から力が抜けた


    ガクンッ、と廊下に崩れ落ちそうになる八幡を、束は慌てて支える


    束「ダメだよひーくん!
    自分がどんな状態なのかちゃんと分かってるの!?」

    八幡「行か、ねぇと……」

    束「え?」


    八幡「あいつら、まだ多分……今も戦ってる。だから、俺も行かねぇと……」

    そのセリフを聞いて、束は自分の全身が震えるのが分かった

    つまり彼は、これだけの傷を負いながら、それでも戦う事を放棄せず戦場へ向かおうと言うのだ

    止めないと、と束は思う

    今にも死にそうな体をひきずって、危険に飛び込もうとする八幡を


    束「ひーくんの気持ちは分かるけど、なにもその全部をひーくんが背負うことなんて無いんだよ?」


    束「ひーくんが行かなくても箒ちゃん達が戦ってくれてるし、それに私も今から福音を暴走させた組織を特定するために動く。
    犯人さえ特定できれば福音も止められる。ひーくんが危険を犯す必要なんてどこにもないんだよ」


    その通りだ

    束が組織を特定し、政府に掛け合いさえすれば、その組織は暴走させた福音を止めざるを得なくなる

    そして他国のISを暴走させた組織がその後どうなるのかは想像に難くない


    束「私だって皆の、ひーくんの力になれる」

    さらに束は畳み掛ける


    束「だから、安静にしてて?
    福音は私が止める。私がひーくんを安心させてみせるから……」


    八幡「たば、ね……さん……」
  125. 125 : : 2014/04/27(日) 23:38:46


    束「とにかく、部屋に戻ろう。
    ひーくんは絶対安静にしとかなくちゃダメだよ」

    束が八幡の腕を引く


    八幡「……ん、です……」

    今にも倒れそうでありながら、八幡の体に妙な力が籠る

    1番危険な状態だと束は判断した

    だからこそ彼女は彼の腕から手を離さない


    八幡「でも、違うんです……」

    何かを言おうとした束を封じるように、八幡な言葉を続ける


    八幡「誰かに任せれば良いってもんじゃないんです。別に俺がやらなきゃいけないとか、そんな強制力がある訳でもないです。ただ、それでも俺は行きます」

    束「どうして……っ!?」


    八幡「声を、聞いたんですよ」

    束「声……?」


    八幡「あいつの、苦しむ声を……助けを求める声を……そして、あいつの願いを……」


    八幡はそっと束の手を振り払う


    八幡「あいつは俺に助けを求めてた。俺はその声を聞いたんです。
    なら、もう俺のするべきことは分かります。
    それは、もう変わらない」


    八幡が歩を進める


    八幡「福音は、俺が止めます。束さんは……俺には出来ないことを、して下さい」


    束「ひーくんに出来ないこと……?」

    八幡「俺は福音を暴走という呪縛から救うことは出来ても、その後……本当の意味で福音を救うことは多分出来ません……だから……」


    束「……分かった」

    束は八幡の言いたい事を理解したようで、そっと頷く

    束「ひーくんの願いは、確かに聞き入れたよ」


    八幡「ありがとう、ございます」


    束「その代わり、ひーくんも生きて帰ってくるって約束して」


    八幡「……ええ、分かってます。それじゃ、俺は行きます」

    束「……うん」


    そして2人は自分の成すべき事を成す為に、動き出す
  126. 126 : : 2014/04/27(日) 23:46:51
    期待してます!!

    頑張ってください!!
  127. 127 : : 2014/04/28(月) 00:23:46
    >>126
    頑張ります(*^_^*)
  128. 128 : : 2014/04/28(月) 00:23:53





    箒「ぐ……うぅ……」


    ぎりぎりと締め上げられ、圧迫された喉から苦しげな声が漏れる


    箒は墜落する中、最後の力を振り絞り福音に一矢報いろうと斬りかかったが、案の定容易く受け止められ捕まってしまったのだ


    ィィィィィンッ!!


    福音『!?』

    しかし突然、福音は箒を掴んでいた手を離す

    いきなりの出来事に混乱している箒だったが、下を見て何が起きたのかを理解する


    そう、海に墜落したラウラ、セシリア、鈴、シャルロットの四人が全身に多大なダメージを受けながらも、下から福音を狙撃したのだ


    しかし、それが福音を刺激した


    箒「ぐあっ」



    福音は箒に回し蹴りを食らわせ、四人のいる場所へ叩き落とす


    福音『キイイイイイイッ』

    甲高い悲鳴と共に、福音が一気に上昇を始める


    福音『敵機ISの完全な殲滅を実行する』


    そして次の瞬間、エネルギー翼が強烈な光が放ちながら福音を包み、爆風が吹き荒れる

    それはまるで巨大な月のようにさえ見えた



    ラウラ「なんだあれは……っ!?」

    鈴「う、嘘でしょ……」


    セシリア「あ、あんなもの食らったら、ひとたまりもありませんわよ……っ!?」

    シャル「多分、僕たちを完全に殲滅するつもりかも……っ」


    見ただけで分かるほどの絶対的な破壊力に五人が驚愕する


    直撃すれば五人はタダでは済まない

    下手をすれば、最悪の結末すら迎える事も予想される

    福音が繰り出そうとしている攻撃は、それほどの威力をもっていた


    福音自体がエネルギー弾丸のように、莫大な速度で五人のもとへ青白い尾を引いて一直線に突撃する



    破壊の塊が全力をもって海面へ落ちる

    光が、風が、水が吹き荒れた


    箒達の全ての感覚が消滅して、消え去った
  129. 129 : : 2014/04/28(月) 01:16:15







    五感が死んでいる


    目の前に広がるのは、ひたすら白い世界

    痛みも、音も、風も、匂いも、感触も、何も感じられない


    完全な、消滅




    箒「(……、っ)」



    真っ白に塗り潰された五感が戻ってくるのに、しばらく時間が必要だった


    しかし、箒は違和感を感じる


    消滅したならば、五感が戻ってくるなどあり得ないからだ



    箒「(な、にが……?)」


    福音が放った一撃は、まさに絶対の破壊力を秘めていたはずだ

    ここにいる五人の命などいとも簡単に刈り取るほどの、圧倒的な威力を


    それが、まるで何もなかったかのように、箒は無傷

    横にいるラウラ達も何が起きたのか分からないといった顔をしている


    箒「!」

    そして、一つの可能性が頭をよぎる

    ハッと箒は顔を上げた


    それに続いて他の四人も顔を上げる


    箒「ま、さか……」


    それをきっかけに全ての感覚が完全に蘇る

    悪夢のような福音の一撃があったにも拘らず、正真正銘『何も起きていない』という違和感


    そして、その違和感の中心に位置するは……


    比企谷八幡

    福音の攻撃を正面から受け止め、握り潰すような勢いで頭を掴む少年がいた



    福音がただの瞬時加速による突進をしていれば、満身創痍の八幡など一瞬で薙ぎ払われいただろう

    しかし、今回福音が行ったのは全身をエネルギーで纏い、自身をエネルギーの塊にして突進するあくまでもエネルギー攻撃だ


    そして、八幡の右手

    その零式籠手はエネルギーであればどんなものであっても飲み込む性能を秘めている

    福音の攻撃が、『エネルギー』攻撃であればこそ

    少年の右手は容赦なくその一撃を食い尽くす!


    福音『ッ!?』


    さすがの福音も驚愕を隠せない



    ラウラ「!!」

    それを見たラウラは即座に動き出した


    ラウラ「今だ!
    福音に一斉攻撃を……っ!!」


    ラウラの号令で全員が福音に銃を向ける


    だが


    八幡「待て!!」


    八幡はそれを制止する


    ラウラ「え……?」


    八幡「こいつは、俺が止める」


    そう、ここで一斉攻撃を仕掛けて福音を沈黙させることは簡単だ

    しかしそれでは福音を救ったことにはならない


    あくまで福音は『自分の意志』で暴走に打ち勝たなければならないのだ
  130. 130 : : 2014/04/28(月) 03:20:45
    これって、オリ...だよね?(´・ω・`)?
    もう一度、小説見てみるかな?
    六さん頑張ってね!hd(@^∇゚)/ファイトッ♪
  131. 131 : : 2014/04/28(月) 04:27:03
    うーーん

    誰かが先に言ってたけど、箒庇う時に籠手使えば良かったね

    まぁ、そう言う演出なんだろうけど
  132. 132 : : 2014/04/28(月) 06:36:01
    >>131
    いや、数が多すぎて籠手で打ち消すのは難しいって書いてただろ
    ちゃんと読んでから言えよ
  133. 133 : : 2014/04/28(月) 15:07:27
    >>130
    結末は変えてます(^^)
  134. 134 : : 2014/04/28(月) 15:10:44


    八幡「お前が今してる事は、お前が本当にしたいことなのかよ?」


    福音『……』

    福音は応えない


    八幡「なら、質問を変えるぞ。
    お前の今してることは、お前の操縦者が本当に望んでいることか?」


    福音『ッ……』

    福音が初めて八幡の言葉に反応を示す


    八幡「お前が今、その操縦者のために望まない戦いに身を投じてるってのは分かる。
    けどよ、お前が戦わなきゃならない相手は俺たちなんかじゃないだろ。そんで、それはお前だって本当は分かってんだろ」

    そう、福音が真に戦うべきは……


    八幡「お前が戦わなきゃならねぇ相手は、お前自身だろうがっ。
    ハッキングなんかに負けんなよ、さっさと目ぇ覚ませよ!」



    福音『ギッ……』


    福音が頭をおさえる

    本来なら届くはずのない八幡の声が、福音に届く


    八幡「お前も、操縦者も、何よりも空を飛ぶのが好きだったんだろ!
    このままじゃもう二度と飛べなくなっちまうんだぞ!
    それでもいいのかよ!?」


    福音『ギギッ』


    八幡「まだ間に合うんだ!
    ここで暴走に打ち勝てれば、まだ可能性は残ってんだよ!
    誰かの助けなんか待ってんじゃねぇ!
    自分で守ってみせろよ!
    それともお前は自分の守るべき物を他人に任せて、それで満足なのかよ!?」


    そして、八幡が最後に叫ぶ


    八幡「やられっぱなしで黙ってんじゃねぇ!
    自分の世界を、そんな簡単に捨ててんじゃねぇぞ!」


    その言葉が、福音の心を確かに揺らした


    福音『ッ、キアッッ!!』

    福音の全身から光が溢れる


    そして

    福音『……ギ……ァ』


    福音のアーマーが光の粒子となって、空気に溶けるように消える


    アーマーを失い、スーツだけの状態になった操縦者が海へと墜ちていく


    八幡「しまっ……!?」

    操縦者に手を伸ばそうとする八幡だが、全身に痛みが走り動きが止まる


    鈴「ったく、ツメが甘いのよ。ツメが」


    ようやくダメージから回復したらしい鈴が、海面接触ギリギリで操縦者をキャッチした


    八幡がホッと息を吐く


    八幡「終わった、な……」


    すでに日は傾き、空は茜色に染まっていた


    ここに福音の暴走事件は終結した







  135. 135 : : 2014/04/28(月) 15:18:36








    八幡は自室のベッドの上で、深夜頃に目を覚ました


    外はもうすっかり暗いが、窓から月明かりが差し込んでおり
    まったく何も見えないという程でもない

    とても静かで、八幡はなんとなく心地が良かった


    八幡「(仮眠のつもりが爆睡しちまったみたいだな……)」


    束「ひーくん、目が覚めたみたいだね」

    ふと隣から声をかけられ、体がビクッとしたが
    その人物の顔を見て落ち着きを取り戻す


    八幡「束さん……」


    束「あ、ダメだよっ。
    無理しないでいいから」


    束がベッドから体を起こそうとする八幡を、両手で肩を掴んで押し留める

    八幡はそこでハッと何かを思い出したように口を開く


    八幡「あ、あの、ところで……福音はどうなりましたか……?」


    八幡が不安気に問う

    彼は今、何よりもそれが気掛かりだった

    しかし


    束「大丈夫だよ。私がちゃんと手を回しておいたからね」

    束は笑顔でそう答える


    束は八幡たちが戦っている間も、八幡が寝ている間もずっと組織の特定に専念していた


    そして束は八幡との約束通り組織を特定し、政府に暴走事件の真相を告発したのだ


    八幡「それじゃあ……」


    束「うん。本来なら凍結処理されるはずだったんだけど、暴走がISの欠陥で無い事と、自力で暴走を乗り越えた事が考慮されてね、凍結処理は見直される事になったよ。
    だから、時間はかかると思うけど福音はまた空を飛べるよ」


    それを聞いて八幡が安堵する


    八幡「そう、ですか……。
    束さん、本当にありがとうございます」


    束「いいよいいよっ。ひーくんの力になれたのなら束さんも嬉しいのです!
    ぶいぶいっ」



    しかし

    こんなに軽く振舞っている束だが、実は一つだけ嘘をついていた


    理由がどうあれ暴走したという事実は変わらず、その罰は重く福音は予定通り凍結処理が決定されるはずだったのだ


    だからこそ彼女は福音の凍結が不可避だと悟った瞬間、政府に脅しをかけた

    『もし銀の福音を凍結処理するような事があれば、今開発中の全てのISをハッキングし暴走させてやる』と

    本来なら不可能だと笑い飛ばされるようなハッタリだろうが、それが正真正銘の天才の一言となれば話は別だ


    政府は悩んだ末、束を敵に回すくらいならば
    情状酌量の余地があるIS一機を見逃そうという判決を下したのだ


    恐らく彼女は千冬の頼みだけであれば、犯人を特定してそこで終わりにしていただろう

    その後福音がどうなろうと束には関係の無い事だからだ


    しかし束は今回、自分でも理解出来ないほどに福音を何としてでも助けたいと思っていた


    その気持ちは、福音をかわいそうに思っての事だったのか、それとも、八幡の頼みだったからなのか、束自身にも分からなかった


    束「それじゃ、伝えたいことは伝えたし私は部屋に戻るね」

    八幡「あ、はい。わざわざありがとうございました」


    束「うん。おやすみ。また明日ね」


    八幡「おやすみなさい」


    そして再び八幡は眠りについた
  136. 136 : : 2014/04/28(月) 16:08:20
    アニメと違うのに、ちゃんと筋も通ってるしストーリーも面白い!
    最高です、頑張って下さい\(^o^)/
  137. 137 : : 2014/04/28(月) 18:27:51
    八幡が幻想殺しに見えて来たな
    一々説教臭い所が特に
  138. 138 : : 2014/04/28(月) 18:38:06
    確かに。福音を説得?説教してる件なんかは
    「その幻想をぶち壊す」
    って聞こえてきそうだったから

    て言うか、無人機じゃなかったんだな?
  139. 139 : : 2014/04/28(月) 18:55:57
    >>137
    少しだけ上条さんを意識してる部分もありますので^ ^
    >>138
    原作では無人機ではないですよ(^_^)
  140. 140 : : 2014/04/28(月) 19:10:30
    そうそう、原作は無人機じゃないからね
    アニメでは無人機扱いになってるけど

    八幡と上条さんは自虐性があるからなぁ
    方向性が反対だけど、起こる結果が同じと言う
    続き期待してます!
  141. 141 : : 2014/04/28(月) 20:07:24
    原作とオリを組み合わせは、やはりいいですね!(*^^*)
    六さんのクロスとか、SSは面白いよ♪(*´∀`*)
  142. 142 : : 2014/04/28(月) 23:15:35
    >>140>>141
    ありがとうございます!
    続きも頑張ります(^^)
  143. 143 : : 2014/04/28(月) 23:16:00






    翌朝。朝食を終えて、すぐにIS及び専用装備の撤収作業に当たる


    そうこうして十時を過ぎたところで作業は終了し、全員がクラス別のバスに乗り込む


    昼食は、帰り道のサービスエリアで取るらしい


    八幡「あ〜……」


    バスの座席にかけた俺の状況は、一言で言うと瀕死だ



    朝は痛みによって強制的に意識を覚醒させられ、最悪の目覚めだった

    それに加えて何故か布団の中に束さんが忍び込んでおり、俺を呼びに来た箒たちに変な誤解をされ罵られた


    そして、当然ながら一日で怪我が完治するはずもなく、少し動くだけでもかなりの痛みに襲われる

    そんな中で、あの重労働なのだ

    もう限界、死にそうだ



    八幡「すまん……誰か、飲み物持ってねぇか……?」


    あまりにしんどいので、そう声をかけてみたのだが、


    「……ツバでも飲んでいろ」とラウラ

    「知りませんわ」とセシリア

    「あるけどあげない」とシャル

    鈴は二組なのでいない


    最後の望みを託して箒へと視線を向ける

    箒「なっ、何を見ているか不埒者!」


    赤くなったかと思ったら、いきなりチョップをされた

    ぐあぁ、身体に響くからやめて欲しい。マジで


    箒「ふ、ふんっ……!」


    どうやら、誰も飲み物はくれないらしい

    多分、束さんの件で皆怒ってるんだろうな……

    俺何も悪くないのに


    当の束さんは『んー、よく寝たー!それじゃ私はそろそろ帰るね!じゃあまたね、ひーくん!』と言って、一人で颯爽と帰って行った。本当に自由な人だな


    うー……まじでしんどい……
  144. 144 : : 2014/04/28(月) 23:19:11




    シャル「(うーん、ちょっと可哀想だったかな……?)」

    さっきは冷たく返したものの、八幡の様子を見てシャルは良心の呵責を感じていた


    シャル「(まぁ、昨夜は結局篠ノ之博士と何も無かったみたいだし、そろそろ許してあげようかなぁ)」

    荷物からお茶のペットボトルを取り出す

    シャル「(皆は動かないみたいだし……よしっ!)」





    セシリア「(さすがに冷たかったかしら……?)」


    せっかく優しくするチャンスだったのに、つい今朝のことを思い出してあんな態度を取ってしまったのだ

    よくよく考えれば、他の女子が非好意的なのだから、これ以上にないチャンスである

    鞄の中で横になっているペットボトルへと手を伸ばす


    セシリア「(そうと決まれば、善は急げですわね)」





    ラウラ「(さっきは、何か別の言い方があったのではないか……?)」


    今朝の事が引っかかって真っ先に冷たい反応をしてしまった自分が恨めしい。あそこで、笑顔を見せてこそいい女というものではないだろうか


    ラウラ「(そう……だな。どうも喉が乾いているようだし、朝方に買ったお茶が使えるか)」

    せっかく他の女子が引っ込んでいる今こそ、絶好のチャンスだと見据えながらペットボトルを取り出す

    ラウラ「(うむ。さりげなく隣に座って渡すか。
    そ、そうすれば帰りはずっと隣にいられるな)」





    箒「(あああ、やってしまった……)」


    束と八幡が一緒に寝ていた光景が頭に浮かんで、ついついあんなことをしてしまった

    相手は怪我人だというのに

    箒「(い、いかんな。私はすぐに手を出すクセがついているのではないか……?)」


    ハッキリいって、それはマズイ

    今は同じクラスにシャルがいる。あの強敵を前に暴力一辺倒では、おそらく後手に回ってしまう

    箒「(よ、よし!
    今こそ優しさをもって接するべきか!)」

    ペットボトルのお茶を握りしめて、箒は立ち上がった
  145. 145 : : 2014/04/29(火) 00:18:29
    何かもうコイツ等ダメだろ?
    恋愛に打算は必要だろうけど…キツイなぁ色々
  146. 146 : : 2014/04/29(火) 00:20:04
    >>145
    ここのシーンは原作のままですよ( ̄▽ ̄)
  147. 147 : : 2014/04/29(火) 00:25:46
    だね。
    でもさ六さん、ナターシャの件は必要だったんじゃない?
    それとも束が乱入しているのがそのシーンの代わり?
  148. 148 : : 2014/04/29(火) 00:27:20
    続きが気になって、気になって仕方が無い(o^^o)
  149. 149 : : 2014/04/29(火) 00:37:53
    >>147
    ナターシャはこの後出ますよ(^^)
    >>148
    明日には3が終わる予定です(*^^*)
  150. 150 : : 2014/04/29(火) 00:47:55
    >>149
    (>Д<)ゝ”了解!
    続きを気長に待ってます(*^^*)煎餅とお茶準備して(笑)
  151. 151 : : 2014/04/29(火) 01:02:50
    >>150
    お待たせしました!
    今から投下します。わら
  152. 152 : : 2014/04/29(火) 01:04:52




    八幡「(うー……しんど……)」


    四人「「「「八幡っ」」」」


    八幡「んぁ?」

    四人の声が同時に聞こえて、八幡が振り向く

    それと同じタイミングで、車内に見知らぬ女性が入ってきた


    「ねえ、比企谷八幡くんっているかしら?」

    八幡「え、ああ。俺ですけど」


    幸い八幡は一番前の席に座っており、呼ばれたまま素直に返事をする

    その女性は、おそらく二十歳くらい

    少なくとも八幡たちよりは確実に年上で、鮮やかな金髪が夏の日差しを浴びて綺麗に輝いている


    服装はオシャレ全開のカジュアルスーツで、開いた胸元からは大人の女性特有の整った膨らみがわずかに覗いている

    その胸の谷間に持っていたサングラスを預けると、腰を折って八幡の顔をジッと見つめた


    「君がそうなんだ。へぇ」

    女性はそう言うと、八幡を興味深そうに眺める

    品定めをしているワケではなく、どうも純粋な好奇心で観察しているようだ


    わずかに香る柑橘系のコロンが、ひどく女を意識させて八幡は少し落ち着かない様子だった


    八幡「あ、あの、あなたは……?」

    ナターシャ「私はナターシャ・ファイルス。『銀の福音』の操縦者よ」

    八幡「は……?」


    予想外の言葉に八幡が困惑していると、頬にいきなりナターシャの唇が触れた


    ナターシャ「これはお礼。ありがとう、黒いナイトさん。
    君のおかげで私とあの子は救われたわ」

    八幡「え、あ、え……?」


    ナターシャ「君がいなければ私たちは二度と空を飛ぶ事が出来なかった。
    だから、本当にありがとう」


    彼女は笑顔でお礼を言った


    ナターシャ「じゃあ、またね。
    また会える事を願っているわ」

    八幡「は、はぁ……」


    ひらひらと手を振ってバスから降りるナターシャを、八幡はぼーっとしたまま見送る


    八幡「(……。えーと)」


    「………………」


    なんとなーく、イヤな予感がして、八幡が振り向いた


    ラウラ「浮気者め」

    シャル「八幡ってモテるねぇ」

    セシリア「本当、行く先々で幸せいっぱいのようですわね」

    箒「貴様という奴は……」


    すたすたと八幡に近づいていく四人

    四人「「「「はい、どうぞ!」」」」


    投げつけられるペットボトル×四本

    ワケも分からないまま理不尽な暴力に襲われ、八幡は悲鳴をあげた

  153. 153 : : 2014/04/29(火) 01:18:40
    うん、原作通りで思わずふいたわ
  154. 154 : : 2014/04/29(火) 01:20:43
    アニメではこの辺丸々カットだったもんね
    これが…4巻ぐらいだっけ?
  155. 155 : : 2014/04/29(火) 01:26:48






    バスから降りて来たナターシャに、千冬が声をかける


    千冬「おいおい、余計な火種は残してくれるなよ。
    ガキの相手は大変なんだ」

    ナターシャはその言葉に少しだけはにかんで見せる


    ナターシャ「思っていたよりもずっと素敵な男性だったから、つい」

    千冬「やれやれ……。それより、昨日の今日でもう動いて平気なのか?」

    ナターシャ「ええ、それは問題なく。
    私はあの子に守られていましたから」

    ここでいう『あの子』とは、銀の福音の事を指している


    千冬「にしても、良かったな。
    福音の凍結処理が破談する事になって」

    ナターシャ「ええ。本当に彼にはいくら感謝してもしきれないわね」


    ナターシャは福音を救ったのは八幡だけの成果だと思い込んでいるようだった

    千冬はそれに気づき、それを否定する



    千冬「……いや、福音が凍結処理を逃れたのは比企谷だけの力ではないぞ」

    ナターシャ「え?」


    千冬「もちろん比企谷の説得も一役かっているが、それだけでは本来凍結処理が破談するなんてあり得ない。もう一人いるんだ、福音を救うために動いていた人物が」


    ナターシャ「それは……誰ですか?」


    千冬「束……篠ノ之束だ」

    ナターシャ「えっ?」


    その名を聞いてナターシャが驚きの声をあげる


    千冬「比企谷の説得が実を結んだのは、束の政府への掛け合いがあってこそだ。
    比企谷も福音を止めただけでは、福音を本当に救う事が出来ないのを承知してたのだろう。だから束と裏で何かやり取りをしていたようだ」

    ナターシャ「篠ノ之博士が……」


    福音の暴走を止めたのは八幡だ

    しかし犯人を特定し、その組織を解体させ、その上で政府に掛け合ったのは束なのだ

    今回の件、福音を救ったのは2人の成果が合わさってこその結果だった


    千冬「私も驚いている。あいつが他の何かのためにあそこまで真剣になっている姿は初めて見た。
    いつもの束なら、きっと組織の特定だけで終わっていたはずだ。それが今回に限っては政府に圧力をかけてまで福音を助けようとしたんだ」

    ナターシャ「そう、だったんですか」

    千冬「何があいつをそこまでさせたのかハッキリは分からないが、それでも福音が助かったのは束の活躍が大きい。だからあいつにもちゃんと感謝をしておけよ」


    ナターシャ「……はい。そうします」

    千冬「では、私はそろそろ行く」


    ナターシャ「そうですか、分かりました。では、またいずれ」


    そうして2人は背を向け合う




    バスへ向かいながら、千冬は少し考え事をしていた


    千冬「(……あり得んとは思うが、まさかあいつまで比企谷のことを……?)」

    今回の束の異常な執着を思い返し、もしかしたら……と考えてしまう

    しかし

    千冬「(いや、あいつに限ってはそれはないだろう。
    きっと、ただの気まぐれに違いない)」


    千冬はそう自分に言い聞かせた


    だが、千冬も本当は気づいていた

    束が八幡に、何か特別な感情を抱いているであろうことを

  156. 156 : : 2014/04/29(火) 01:31:55
    学園生活3はこれで終わりです!
    次は要望にあったブラック・ブレットのキャラを登場させてみます
  157. 157 : : 2014/04/29(火) 01:33:05
    >>154
    これがアニメで描かれなかった3巻の最後です
  158. 158 : : 2014/04/29(火) 01:40:06
    学園生活3書き上げ乙です。

    他作品を加えるのも良いけど、個人的には楯無さんと八幡の遣り取りを早く見たいかな。

    八幡「ぐっ……(この人陽乃さんと良い勝負だ)」

    みたいな。
  159. 159 : : 2014/04/29(火) 05:47:07
    六さん第3部お疲れ様ですヽ(*´∀`)ノ
    引き続き、続きの話待ってますからね♪
  160. 160 : : 2014/04/29(火) 12:40:17
    このスレの信者はようわからんな
    ここで雑談するなと言ったりその割りには自分はここで雑談したり
  161. 161 : : 2014/04/29(火) 13:23:02
    今回の作品も良作だった
    次も期待してます
  162. 162 : : 2014/04/29(火) 13:24:04
    お礼をしようにも束って神出鬼没だからな
    主に姿を現すのは千冬と箒と…ここでは八幡の前くらいか
  163. 163 : : 2014/04/29(火) 13:30:00
    束さんは家族(箒)とそれに準ずる関係と自分が興味を持った物(人)にしか自分から関わろうとしないからね

    だから、それ以外の存在は烏合の衆にすら感じていないし眼中にもない…よって八幡は千冬の次くらいに興味の対象となった訳だ
  164. 164 : : 2014/05/01(木) 02:40:13
    相変わらず信者が気持ち悪いね
  165. 165 : : 2015/06/25(木) 16:28:31
    これ何?
    原作ほぼパクってんじゃん
    ラウラエンドはおもろかった

    八幡とワンサマは同じ道を歩くわけがないんだから
    オリジナルストーリーを書いてほしい

    こんなん、八幡じゃない(´;ω;`)
  166. 167 : : 2016/12/09(金) 19:17:11
    蔵秘雄精:zzleshirts.com/p690.html
    夜狼神:http://zzleshirts.com/p689.html
    ペニス増大活力素カプセル:http://zzleshirts.com/p687.html
    バイアグラUSA純正品(VIAGRA):http://zzleshirts.com/p657.html
    King Wolf狼王戦宝(新二代)販売:http://zzleshirts.com/p655.html
    超級猛男健力カプセル販売:http://zzleshirts.com/p654.html
    中華牛鞭:http://zzleshirts.com/p60.html
    リドスプレー:http://zzleshirts.com/p212.html
    蟻力神:http://zzleshirts.com/p128.html
    五夜神生精片:http://zzleshirts.com/p741.html
    德國魔棒:http://zzleshirts.com/p737.html
    シアリス:http://zzleshirts.com/p727.html
    中華牛宝:http://zzleshirts.com/p710.html
    トラ王 滋養強壮:http://zzleshirts.com/p711.html
    超強 黒倍王:http://zzleshirts.com/p401.html
    興奮剤:http://zzleshirts.com/p684.html
    蒼蝿水:http://zzleshirts.com/p677.html
    SPANISCHE FLIEGE D5:http://zzleshirts.com/p168.html
    花痴:http://zzleshirts.com/p28.html
    同仁堂牛黄清心丸:http://zzleshirts.com/p256.html
    999皮炎平:http://zzleshirts.com/p70.html
    徳国公牛:http://zzleshirts.com/p777.html
    男露888:http://zzleshirts.com/p349.html
    五便宝:http://zzleshirts.com/p238.html
    同仁烏鶏白鳳丸:http://zzleshirts.com/p255.html

▲一番上へ

名前
#

名前は最大20文字までで、記号は([]_+-)が使えます。また、トリップを使用することができます。詳しくはガイドをご確認ください。
トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。
執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。

本文

2000文字以内で投稿できます。

0

投稿時に確認ウィンドウを表示する

著者情報
mui

@mui

この作品はシリーズ作品です

比企谷八幡のIS学園生活 シリーズ

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」カテゴリの最新記事
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」SSの交流広場
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 交流広場