この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
この作品は執筆を終了しています。
黒狗も歩けばーunglückliche Liebeー
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- 1 : 2015/05/06(水) 13:14:11 :
- こんにちは、もしくは初めまして。
紅蓮です( ´ ▽ ` )ノ今回は入見カヤさんの過去編を書きたいなぁと思ったので投稿しました。
コメントは見やすさ優先で非表示にさせてもらいますが大歓迎です!
それでは。
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- 8 : 2015/05/06(水) 15:15:15 :
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こういう生き物がいる。
生物的には一応ピラミッドにおいて頂点に君臨するが、生身においては最弱と言っていいほど弱く、成長せず、逸脱せず、変わることもない不変な存在。
仮に成長して、逸脱してみてもそれはただ人生における一万分の一にも満たないほど僅かな時間だけで、すぐ元に戻ってしまう。
反省も後悔も懺悔もあったものではなく、そんなものは所詮その場しのぎ。そして同じ過ちを繰り返しては謝罪し、自己保身にひたすら走る。
そうかと思えば壇上に立って正論ぶった前口上を述べて、いかにも正義の味方だという風に自らを偽り、何かしらの不具合で立場、体裁、その他金銭面で危うくなれば蛇のようにスルリと抜け出しその姿を綺麗さっぱりなかったことにする。
何も考えていないように見えて、実は裏で姑息なことをあれこれ思案している。あるいはその逆も然り。欲深く利己的で、極めて我利我利で感情的かつ神経質。
狡猾なだけに結果だけは出すが、それに相応しい何よりの努力さえ惜しむ。騙し騙され、逃げては追って、嘘をついてはつき返される。
そんな愚かで醜い生き物を、
ヒトは"一般人"と呼ぶ。
その"一般人"がこの世のヒトの大多数を占めるだろう。僕もそのうちの一人だ。
そんな愛すべき群体で溢れかえった世界に紛れながら、ヒトの肉を喰らう生き物もいる。
ヒトの形をしながら、ヒトとは異なる存在。
ヒトは彼らを、
________________喰種 と呼ぶ。
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- 9 : 2015/05/06(水) 15:32:18 :
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彼らはヒトしか食べられないが故に、ヒトにとっては危険な天敵。その喰種を狩るために、喰種対策局であるCCGが置かれているほどだ。つまりどちらがどちらを見つけても、必ずと言って良いほど血が流れることとなる。
でもねそんな彼らも実は、ヒトとそんなに変わらないんじゃないかなって。人肉食であることを除いては。だって同じだろ?
母がいて。父がいて。妹だって、弟だっていて。つまるところ家族がいて。それぞれに愛すべき大切な人がいて。痛みも感性も感情もある。
だから喰種捜査官がある喰種を殺せば、殺された喰種と血縁関係のある喰種は大切な人を奪われることになる。同様に、人間も然りだ。
それ故の悲惨。殺しては殺され、喰われては喰い殺すことを繰り返す悲しみの連鎖。この鎖が断ち切られることはない。
この世界は歪んでいる。
歪めているのは____________________
これは僕と彼女の、決して叶うことはない悲恋の物語。始まるということなく始まって、終わるということもなく終わっていったのさ。
黒狗も歩けばーunglückliche Liebeー
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- 12 : 2015/05/06(水) 19:08:39 :
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◆
「今日は暑いなぁ………」
____________5月初頭。
ゴールデンウィークも終わって大学の講義が再開された初日だ。僕は講義終了後、いつものように部活へと足を運んだ。
上井大学弓道部。
大して強くもないのに後輩がやる気満々なおかげで、練習量だけは立派だった。それこそ額縁に入れて飾ってもいいくらいにご立派。
それなのに今日は_________
「なんだよ、開いてないじゃん」
弓道場の鍵は閉まっていた。
この時間帯なら誰かが先に開けて着替えていてもおかしくないはずなのに。言い知れぬ悪い予感がしてスマホをチェック。
「マジか、嘘だろ…………」
失策 った。
今日は部活は休みでした。
スケジュール表にはハッキリと休みのマークが表示されていた。朝ちゃんと確認しとけば良かった。
独りで頭を抱えて道場の壁にもたれる。もたれてからヤバい、と気づいて背中を触る。真っ白。どこからどう見ても混じり気のない見事な白だった。
「いいことないなぁ…………」
背中に付着した白い粉を払いながらキャンパスを出る。一緒に講義を受けていた友達も部活があるか、あるいは先に帰ってしまっただろう。
暇だ。
どうせ今から家に帰ってもやることはない。その辺でもブラブラしよう。と、
「天吹君!」
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- 13 : 2015/05/06(水) 21:18:16 :
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名前を呼ばれて振り返る。
そこには、見慣れない女性がいた。
「えっと、ごめん誰だっけ?」
失礼だ。とんでもなく失礼だ。
言ってから心底後悔。けれども彼女はそんなこと御構い無し、とばかりに明るく自己紹介をしてくれた。
「あ、自己紹介がまだだったね。私は波翅奈美 。さっきの講義で天吹君の斜め後ろに座ってたの」
斜め後ろ。すごく微妙な位置だ。というか死角だから顔覚えてなくて当然か。そう独りごちて、僕も波翅さんに続き適当に自己紹介をする。
「えっと、僕は天吹相楽 。あ、そういえば何で僕の名前を知って…………」
「そうそう、筆箱が講義室の机の上に置きっぱなしだったよ。名前が書いてあったから」
あぁなるほど、そういうことね。
柔らかな手つきで筆箱を渡してくる。僕がありがとうを言う前に、彼女はまん丸な目を一層まん丸にして言った。
「いけない、彼が待ってる。じゃあねまた明日!」
「うん、ありがとね。バイバイ」
軽快な足取りで波翅さんは元来た道を走っていった。そっか、彼氏がいるんだな。
恋愛、か……………
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- 14 : 2015/05/06(水) 22:32:43 :
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僕だって一応、大学二年生だ。
人間として19年ちょっと生きている。
でも僕は未だかつて、恋愛というものとは全くと言っていいほど(というか全然)無関係な場所にいた。
いや、中二の時に告白されたことはされたんだけど。けどその時は恋なんて毛頭興味がなかったから、なんということもなくフってしまった。
今思えば、少しもったいない。
「あ_______________」
やめやめ。
こんなこと考えても彼女ができるわけでもないし、別にそれほど付き合いたいとも思わないし。
予定通り、ブラブラしよう。
通りを曲がる。特別、行く当てがあるわけでもないので、気になった所へと足を赴くままに運ぶ。街に変わった様子はない。そのまんまの街。 歩いていても何の面白みもなかった。
昔から、そうだ。
平凡なままの毎日にありったけの尊敬となけなしの軽蔑を込めて、つまらないと思っていた。
何か起こらないかなぁって。
この日常が覆されるような何かがないかなぁって。暇さえあればあれこれ考える。
いや、絵空事だけど。どれだけ願っても叶いっこない絵に描いたような空想だけど。
かぐわしい珈琲 の匂いがした所で、その馬鹿げた思考は停止した。
気がつくと、いつの間にやら見たこともない路地に来てしまっていた。嗅覚を頼りに辺りを見回すと、なるほどそれらしい看板がある。
「……あんていく?」
あんていく。あんてぃく______あ、antiqueか。
確か、骨董品だっけな。
珈琲は中学まで飲めなかった。何で大人はこんな苦いものを好んで飲んでいるんだろう、と疑問を感じざるを得なかったあの日の自分とは一変して、高校に入ってから急に美味しく感じるようになった。
ドアノブに手をかける。軽やかな鈴の音がシックな店内に響いた。続いて顔を上げた僕の目に飛び込んできたのは____________
「るっせぇっつってんだよ、芳村のジジィ!」
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- 19 : 2015/05/07(木) 23:21:17 :
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え_________________
「こらこらカヤちゃん、言葉遣いが汚いよ」
夜の深い闇を思わせる漆黒の瞳。細っそりとしたスタイル抜群の体躯。サラサラで微かに光沢を放つ長い髪。
そんなモデル並みの容貌を持ち合わせた女性は細い眉毛を吊り上げて、店長らしき男性を罵倒していた。
何だこれ。マジかよ。一応僕はお客なのに、完全に無視 されてんじゃん。
「すみません、一人入れますか?」
もとより店内はガラ空きだったから、そんなこと聞く必要など微塵もないのだけれど。今初めて僕が店に入って来たかのように、店長は言った。
「いらっしゃいませ。どうぞ、好みの席に」
にこやかな笑顔だった。
疑いようのない、どこまでも透き通ったような笑顔。きっとこの人は良い人なんだろうなぁ。
軽く会釈をして奥のテーブル席に足を運ぶ。すれ違いざまに先程の女性の舌打ちが聞こえたが、聞かなかったことにしておいた。
椅子を引く。静かに座る。大きくため息をついてショルダーバックを降ろす。目を閉じる。
落ち着く。
ご丁寧に店長が伝票を手に、注文を受けに来た。
「ご注文は…………」
「あ、えっとブラックコーヒーを一つお願いします。ミルク、砂糖はなしで」
「かしこまりました」
しばらく目を閉じてボーッとした後、好きな小説でも読もうかと本を手に取ったその時。
「お待たせしました」
「あ、ありがとうございます」
早い。いや、全然待ってないけど。接客業の形式としてはこう言うのが正解なのかな。
小洒落たカップを手に取りひとしきり匂いを楽しんだ後、口に一口珈琲を運ぶ。
「美味しい………美味しいです!」
「ありがとうございます」
素直な感想だった。決して社交辞令やお世辞などではなく。店長はお礼だけ言うと、カウンターへと戻っていった。
小説を開く。ズラリと並べられた活字に目を通す。またもや言い合いを開始した二人の会話が、ひときわはっきりと聞こえてきた。
「それは付き合ってみても良かったんじゃないかな。向こうからの話だったのかい?」
「はぁ?私が人間と?あり得ないわ」
待て。待て待て待て待て待て待て待て待て。ちょっと待て。まるで自分が人間ではない、みたく聞こえたぞ。
「あんなむさくて面倒臭い男。しかもCCGだとか言うから、口を食い破られて当然よ」
_________________は?
おっと。危なかった。手にしていた小説を取り落とす所だった。ていうか今なんて?
僕の聞き間違いじゃないよね。
僕の聞き間違いじゃございませんよね。
どうか、聞き間違いでありますように。
すがるように、祈るように恐る恐るカウンターの向こう側に視線を移す。
「カヤちゃん気を付けて。声が大きいよ」
幸か不幸か、僕は耳が良い方なのだ。残念ながら目はあまり良くなくて眼鏡だけど。
聞き間違いじゃ、なかったのか……………
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- 20 : 2015/05/09(土) 16:14:19 :
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結局その後、僕は飲みかけの珈琲だけ飲み干してさっさと退散した。完全に毒気に当てられた。
気分が悪い。とてつもなく気分が悪い。
「うぇ……………」
家への帰路に着いてからも、あの一言が絶え間なく僕の耳の中をこだましていた。
たまたま部活が休みで。暇を理由に入ったcaféで『口を食い破られて』なんて会話を聞いて。
こんなことってある?
激しい吐き気を催しながら、アパートのドアに鍵をさす。鈍い金属音がする。ドアノブを回しドアを開ける。
くそ。食欲がない。どうせ自由な一人暮らしだ。一食くらい抜いても問題はないはず。
そして、風呂で熱い湯に打たれた後
つけたテレビのニュースで僕は、
喰種対策局であるCCGの上等捜査官:鉢川忠 が、SS級 喰種:黒狗 に口を食い破られたことを知る。
五月七日木曜日のことである。
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- 23 : 2015/05/09(土) 19:43:15 :
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◆
僕は喰種のことには疎い。
当然だ。世に言う"一般人"にとって喰種は架空の動物、言うなればユニコーンに等しい。捕食されることを除いて。
でも一応、僕は暗くなってから人気のない所には行かないし、怪しげな人には近づかない。
そう、そこそこ気を付けている方なのだ。
にも関わらず_____________
「いらっしゃいませ。あ、あなたは」
「どうも。昨日来た者です」
翌日も僕は"あんていく"に足を運んだ。
その翌日も、そのまた翌日も。部活終わりに大学からせっせと足を運んだ。
理由は単純で、ただ興味があったから。
怖いもの見たさと言ったところか。幼い頃、親が観ていたホラー映画を怖いけれども一緒に観てしまい、夜一人でトイレに行けなくなったことが多々あった。それと同じで。
けれども、何度訪れても彼女はあの日以来姿を見せず、店長の芳村さんだけが静かに微笑みながら佇んでいた。
そんなある日、
「この前いらっしゃった女性はどうしたんですか?」
フレッシュハムサンドを頼んで、店長が持ってきてくれた時に聞いてみた。
「あぁ、カヤちゃんだね…………あの時は失礼しました。彼女は私の知り合いでね、男性と少しトラブルがあったんですよ」
「まぁ人間関係は難しいですからね」
「えぇ、全くです。人は誰でも自己の利益を優先させてしまいますからね。それが人間という生物の本能でしょう」
素っ気ない会話が続く中、人間、という一語に何処か引っかかる感覚を覚えて、じっと彼の濁り無き澄んだ瞳を見つめる。
僕の視線に気付いていないのか、はたまた気付かぬフリをしているのか定かではないが、彼はそのまま続けた。
「でもね、私はこう思うんですよ。どんな生物であろうと、本能に従って生きている。本能というものは生まれつき備わっているじゃないですか」
あ、これは長くなるかもな。そう思って半分聞き流しながら適当に相槌を打つ。
「ですから、その生物の本能を否定することは、その生物の生存そのものを否定するものじゃないかって。例え他の生物に害を及ぼしても、ね」
「なるほど……大層な考えをお持ちですね」
「いえいえ、所詮は老人の戯言ですよ」
戯言 、か。
あるいは戯言 かもしれない。
うーん、これは結構難しい。
そしてこの日の夜、僕は彼の戯言の意味を理解することとなる。否、理解せざるを得なくなった。
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- 24 : 2015/05/10(日) 13:57:32 :
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"あんていく"を出た時、時計は既に八時を回っていた。今日は喋りすぎたかなぁ。やや遅めの帰宅になっちゃったよ。
よし。
この時間帯だと少し危険かもしれないけど裏路地を通ろう。急ぎ足で通り過ぎれば多分大丈夫。
「うーわ、怖っ」
だと思っていたけどやっぱりやめよう。
ただでさえ暗い路地の裏は、文字通り一寸先は闇だった。いや、一応ライト持ってるけどね。
クルリと踵を返して足早に立ち去ろうとした時、僕はピタリと立ち止まった。
…………血の匂い。
鼻孔の奥をつきさす嗅ぎなれたこの匂い。これでも医学生だ。肢体解剖だってするし、そういう類のモノには慣れている。
興味本位でおっかなびっくり、僕は元の裏路地へと歩を進めた。
これがいけなかった。
匂いのする方へ吸い寄せられるように僕はずんずん向かっていく。ゴミが溜まった汚い路地の角を曲がる。そこで僕の呼吸は停止した。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
人の死体だ。いや、もはやそれは人と判別できないほどに細かく解 されていた。僕がそれを人と判別できたのは、辛うじて原形をとどめていた二心房二心室の心臓だった。
握りこぶしくらいの大きさの。
いくら肢体解剖経験済みでもこれは常人にとって耐え得るショックではない。吐き気がする。
気持ち悪い。
気持ち悪い。
気持ち悪い。
奇喪血悪い。
キモチワルイ。
そしてその"ヒトだったモノ"の肉片を咥えてこちらを振り向いたのは_____________
「お前は…………」
何日かぶりに見る、彼女の真の姿だった。
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- 25 : 2015/05/11(月) 21:41:13 :
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「カヤさん…………?」
やらかした。
やってしまった。
さっきの自分を全力で殴りたい。あぁぁぁ好奇心でこんなとこ来るんじゃなかった。
「気安く呼ぶな、殺すぞ」
口から滴る鮮血に負けず劣らず、彼女の瞳は燃え盛る業火のごとく赤々と染まっていた。
____________そう、喰種だから。
「どっちにしてもお前は殺す」
最悪だ。ありったけの好意となけなしの悪意を込めて最悪だ。よりにもよって、食事現場に出くわすなんて。
ホント、こんなことってある?
「そうだ、喰種はヒトを食べるために殺すんですよね?」
苦し紛れに話す。とにかく喋って気を逸らすんだ。別に僕は生きる理由があるわけじゃないけど、死ぬ理由だってない。こんな死に方は納得できないな。
「それがどうしたの?」
「ぃ今食事をしてましたよね………だからあなたは満腹のはずだ。要するに僕を喰い殺す必要はない」
ヤバい。どうしようもなくヤバい。
頬をじっとりとした生温い汗が伝う。説得力なんか知らねぇ。根拠もない。けどとにかく、今は数分でも命の炎を絶やさぬように、必死に口を動かすしかないじゃないかっ。
「見られたから殺すのよ。お前は人間。もし私がここでお前を逃せば、私が白鳩 に殺される危険が高まる」
「それは…………あなた達喰種がヒトを食べるから。ヒトの天敵たり得る存在だからです」
ギリッ、という不快な歯ぎしりの音が耳に入った。しまった、余計なこと言った。
喉の奥から絞り出すような、憎しみと嗚咽交じりの声で彼女は甲高く叫んだ。
「ヒトしか喰えないから…………そうするしかねぇだろ‼︎」
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- 26 : 2015/05/12(火) 23:32:40 :
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ヒトしか、喰えない。そうなのか。ヒトを食べることは知っていたけど、ヒトしか喰えないなんて初耳だ。
「訳もなく命を狙われる気持ち……お前に分かる?」
「ぇ___________」
「私の大切な仲間達が、次々と奪われていく気持ち。お前に分かるって?」
大切な___________仲間達。
「私達だって、生き物なんだよ。ただヒトしか喰えないだけの、哀れな生き物なんだよ!」
「それでも必死に生きようって、生きようと思って何が悪い⁈」
____________悪くない。何も悪くない。
生きようとする、だから生物なのだ。
「お前ら人間だって………生きるために豚や鳥や牛や魚の命を奪ってる。それと同じじゃないの⁈いや、寧ろ私達はヒトしか殺さない」
「私達だって……お前らみたいに生きたいよ」
そんな_______そんなつもりじゃ。なかったのに。
もう僕は、僕ごときには何も言えなくなっていた。呼吸をすることさえ忘れ、ただずっと彼女の言葉に胸を貫かれるだけだった。
「こんな体でどうやってヒトと同じように普通に生きろってんだよ⁈」
「………………」
いつしかカヤさんの声には悲痛な泣き声が混じっていた。やはり僕は何も言い返せず、俯くばかり。
間違ってるよ。こんなの。
「殺さなきゃ殺される。だから、お前に恨みはないけれど、私は殺す」
そっか。僕、死ぬのか。
「死にな!」
彼女の俊足が風を切る。
風圧で髪がなびき、僕の顔を撫でる。何かを考える間も、何かを言う間も無く瞬く間に時は過ぎた。
「…………痛っ」
彼女の鋭い歯は、僕の右肩に深々と食い込んでいた。赤い血潮が飛び散り、僕の視界の一端を紅く濡らす。
あ、食いちぎられるな、これ。目を閉じる。もう終わりだ。納得した。考えるのやめて楽になろう。
父さん母さん、僕の友達。
今まで本当にありがとうございました。
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- 27 : 2015/05/15(金) 08:22:09 :
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………訪れたのは静寂。
それは一糸乱れぬ、宇宙空間のような完璧な静寂だった。僕の右肩に噛み付いた彼女の口から滴る僕の血が、アスファルトの地面を朱く染める音を除いて。
「……………………」
何も起こらない。
僕は未だどっからどう見ても僕のままで、僕の右肩の肉もまた離れずにくっ付いていた。皮膚一枚で。
体の震えは止まり、それでも何を言い出すでもなく口を閉ざしていると、彼女は僕の肩から意味ありげに口を離した。
「な、んで………お前は抵抗しないんだ」
涙まじりの震え声が、僕の鼓膜を振動させる。
なんでって。喰種相手にどれだけ抵抗したって無駄な徒労でしょう。
「抵抗して欲しいんですか?」
僕の声もまた、弾かれたヴァイオリンの琴線のように震えていてかつ、情けないほど小さかった。
「テメェ………殺すぞ」
「お好きなように」
やれやれ。殺るなら早く殺ってくれ。
もちろん、殺されたいわけでもないけど。
それでも彼女は動かなかった。代わりにすべすべの頬から流れていた血は止まり、一筋の輝く涙が伝う。
「私だって……私だって…………ヒトなんか食べたくないっ」
「…………………」
どう返したらいいのかな。これは。
とりあえず数分間寿命は伸びたようだ。辛うじて。
「僕は………今まで喰種とは無縁のところで生活していました」
「ニュースとかでも、結構喰種の話は取り上げられてて。でもそれはあまり気に留めてこなかったんです」
「…………で?」
うん、イケそうだ。
素直に自分の心の内を晒す。真っさらな自分を。
「でも………こんなの間違ってると思います、僕は。ヒトに害を及ぼす危険性があるからって理由で否応無しにあなた達を駆除するのは」
「同じ生物なのに……自然保護と聞いて呆れますね。自分達の不都合で生き物を殺すなんて」
「これじゃあ、野生のライオンがヒトを食べるから彼等を駆逐して絶滅に追い込んでいるのと同じじゃないか。そんなの、僕はイヤだ」
我ながらこんな大学の卒論みたいな説得力のある(僕が勝手にそう思っているだけかも)考えを言い並べられたことに驚く。
でも、間違っちゃいないはずだ。
「地球上で広い大地を共にする仲間を自然の流れに逆らって見境なく虐殺するのは間違ってるよ。少なくとも僕はそう、信じてる」
そう、信じてます。
心からの言葉だった。正真正銘、疑いなき本音。
「そう納得しました。だから僕は、もう抵抗しない」
「……………嫌いだ」
「え?」
これ以上ないほど彼女の顔は歪んでいる。
苦痛と憎悪と軽蔑と、そして微かな嫉妬がこもった声で言った。
「命を大切にしない奴なんか嫌いよ」
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- 28 : 2015/05/15(金) 21:47:29 :
「命を大切にしないヤツなんて………大っ嫌いよ!」
二回目の「嫌い」は、先ほどよりももっと力無き「嫌い」だった。彼女は今や、僕のおおよそたくましいとは言えない胸に身を任せてくる。
「すみません……」
って返しでいいのかな、コレ。安っぽいドラマのワンシーンみたいだ。
「だから人間は嫌いよ……………」
その言葉を最後に、カヤさんはひたすら泣いた。シャツがびしょ濡れになるまで。僕は胸の中で涙雨を降らす彼女の頭を軽く撫でながら、無表情に光り輝く月を眺めていた。
明日も晴れそうだ。
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- 33 : 2015/05/16(土) 22:55:23 :
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それから。
翌日から毎日、カヤさんは"あんていく"に来るようになった。あの日この場所で悪態をついていた彼女の面影は、もうどこかにいってしまっていて。
ずっと心に絡んで解けなかった何かが、身体に溶けて気持ちいいくらいに浸透していく気がした。
華輦に輝く僕の太陽__________入見カヤ。
たとえ彼女がヒトとは異なる存在であろうと、そんなことは関係ない。僕は彼女を愛していた。
何かを愛するのに、理由なんか要らない。
それは彼女も同じことだったらしい。
けれども、運命の歯車というものは全くもって気遣いというものがないんだ。そんな平和な日常が続くわけがない、と言わんばかりに
運命は、
残酷な結末へと
ある日突然、その歯車の向きを変えた。
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- 34 : 2015/05/16(土) 23:24:54 :
◆
その日。
陽が傾きかけた夕暮れ、風が出てきて雲足早い空には奇妙な色のすじ雲が散りばめられていた。電柱に止まっている鴉がせわしく騒ぎ立てる中、僕達は帰路についていた。
「そろそろ秋かしら……」
「見て、夕焼けが綺麗だよ」
「本当ね」
店長の具合が悪くて、今日は"あんていく"はお休み。それで僕達は少し遠くまで息抜きに足を伸ばした。
淡白な交際。これといって特別イチャコラしているわけでもなく、だからといって遠距離恋愛というわけでもない。お互いがお互いを大切にしている、仲睦まじい関係だった。
遠すぎず、近すぎず。
「芳村さんは大丈夫なのかな」
「明日には復帰できるって言ってたわ」
「そっか。大したことなくて良かったね」
他愛ないほのぼのとした会話が続く。
でもこの会話が、カヤさんと交わした最後の雑談だったなんて僕は夢にも思わなかったし、思いたくもなかった。
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- 35 : 2015/05/17(日) 12:23:31 :
「もうこのまま帰る?」
「いや、僕は芳村さんのお見舞いでも行こうかな」
「なら私も行くわ」
"あんていく"の二階が芳村さんの家だ。彼は体調を崩してベッドで寝込んでいるらしい。僕らはいそいそとあのcaféへ向かう。
ゴミが点在する近道を通る。あの日彼女と鉢合わせした場所だ。懐かしい。今思えば、あの出会いも無くてはならないものだった。
出会った瞬間こそ最悪だったけれど。
「ここで出会ったのね…………」
何かもう遠い昔のようにも感じるし、つい昨日のことだったようにも感じる。閑散とした路地に乾いた風が吹く。
「運命、だったのかなぁ」
「あはは、ヤダもう…………」
そしてこの日も、鉢合わせが起きることとなる。望まない人たちとの最悪な出会い。当たり前だった日常が崩れ去る日。
それは彼女にとって
再訪であり、再逢であり、塞翁が馬だった。
僕らの出会った場所を後にして、閑静な住宅街へと抜け出したところで、カヤさんは不意に立ち止まった。そして僕も、その意味をすぐに理解した。
「よ〜ぅ、黒狗」
生白い光沢を放つアタッシュケースを携えた白鳩が三人、決然とした様子で立っていた。
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- 36 : 2015/05/19(火) 01:46:16 :
振り返った時にはすでに、カヤさんはマスクを被っていた。漆黒の仮面 を。自身を偽るためだけの狗面を。
「久しぶりだなぁ、黒狗よ。俺はこの瞬間をどれほど待ちわびたことか………」
「こっちはアンタの面なんて見たくもなかったわ」
そうだ。僕はこの人を知っている。
この眼鏡をかけた捜査官は鉢川忠。そして村人その二みたいな顔をした捜査官が一人、緊張している糸目の捜査官が一人だ。
「丈さん、彼は人間ですかね?」
「………………」
鉢川忠のまん丸い眼鏡の向こう側には、ギラギラと鋭く光るものがあった。さながら、自分の欲しいものを我慢できない幼児のような。
しかしそれも一時のことであり、その光は間も無く彼の濁った瞳孔の奥へと引っ込んだ。
「おぃガキ!テメェも喰種か?」
___________え。
違う。違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違うチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウ。
そんなはずはない、けど………
ここで僕がNOと言えば、恐らく僕は引き剥がされてカヤさんはカヤさんがカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんがカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんがカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんはカヤさんがカヤさんはカヤさんはカヤさんが
どうしようどうしようどうしたらいい?どうすべきか何をしたらいいんだ、僕はどうしたらどうしたらどうしたらどうしたら______________
「天吹君」
ショート寸前のパソコンの回路のように入り乱れていた思考は、所詮ただの思考だった。僕は彼女の真摯な言葉で現実へと引き戻される。とびきり最悪で最凶な現実へと。
我に返るも、生まれたての子羊のように全身の動きがおぼつかない。
「カ、や…………さ…ん」
やっと出たかすれ声は、今にもプッツリと切れてしまいそうなほど脆弱な糸を彷彿とさせる。そんな情けない僕を励ましてくれるかのように、彼女は小声で囁いた。
「大丈夫、信じて…………」
ありがとう。僕は貴女を信じています。これまでも、そしてこれからもずっと。
「信じてもらえないかもしれないけど……僕は人間なんです」
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- 39 : 2015/05/20(水) 22:13:10 :
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何も聞こえない。
何故だろう、僕の耳がおかしいのか。指をパチンと鳴らしてみる。乾いた風に絡まれ、虹色に淀んだシャボン玉が割れるような音は確かに僕の耳に届いた。大丈夫。ちゃんと鼓膜は機能している。
公害で汚染された川さながらに滔々と時は流れる。風が小さく雄叫びをあげながら、僕達と彼等の前を通り過ぎてはやって来る。
不意に鉢川捜査官の上着の襟がめくれて、垣間見えた。彼のむき出しの歯茎が。
「戯れるな、喰種が!」
彼は青筋を立てながら大きく吼えた。憎しみの炎にその身を焼きながら。目をギラつかせてアタッシュケースを開放する。クインケ、だ。
「鉢川さん、彼は人間です」
「あぁ?なんでそんなことが分かる」
そうだ。僕は人間だよ。
心の中であの地味顏の捜査官に感謝。ただ顔の筋肉は死後硬直しちゃってるんじゃないかってくらいに無表情だったけど。そのお面を貼り付けたような顔の裏側に隠された"何か"は、カヤさんにも、もちろん僕にも見えるはずがなかった。
もっと自己主張しなくちゃ。
「人間です!」
「ふざけるも大概にしろ。ヒトを喰い殺す化け物と一緒に仲良く歩いてる人がどこにいる?」
「鉢川さん、落ち着いてください。彼には赫眼の発現が見られません」
ナイスフォロー。
マジでありがとうございます。
「チッ…………おぃガキ、怪我したくなきゃすっこんでろ。でなきゃ犬っころごと逝け!」
「え______________」
嘘だろ。嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだイヤだいやだイヤだイヤだ嫌だ。素直に嫌だ。いやだといったら嫌だ。本当に嫌だ。嫌すぎる。嫌でしかない。
そんなこと………できるわけないだろ。
「…………ゃだ」
「あぁん?」
「嫌だ!」
負け犬のような顔をして口を噤んでいると、彼は非情にもクインケの先端をこちらへ寸分違わずピタリと向けた。そんな_______そんな、僕には。僕には選べない。
この人本当に人間か?
「死にたいようだな」
その言葉を引き金に動いたのはカヤさんだった。肩あたりから美しい黒紫色が映える羽を広げる。これが"赫子"、か。
______________綺麗だ。
「その犬っころに殺されるのよ。この………人っころが!」
-
- 40 : 2015/05/21(木) 00:48:53 :
-
どんなに面倒な試験でも始まってしまえば耐えられるし、四の五を言っても終わってしまえば愚痴の一つや二つこぼすだけで我慢できる。
ただ自分が大きく関与しているのにも関わらず、自らが全く入り込む余地のない闘争が始まってしまうと、これはもう中途半端な中庸と言わざるを得ないのさ。
僕だって力になりたい。けどできない。ただの人間には。凡人の僕には。この、歯がゆさ。
「待って………待ってくれ」
カヤさんは追い込まれている。
そんなことくらい、見ればわかった。凡人の僕にでも、たぶんこの中でも最弱な僕にでも、そのことは親切なほど分かりやすかった。
「倉本。左は任せる」
「あいよっ」
「諦めてさっさと逝け!」
三対一だ。勝敗は火を見るよりも明らか。しかし彼女もSS級。捜査官三人を相手にしぶとく戦っていた。防戦一方だけれど。
僕に何かできることはないのかな。
彼等の血潮舞い散る姿を見て、今何を思う。何のことはない。僕はただ、田んぼに突っ立っているカカシのように夜の闇で踊る四人を呆然と見つめることしかできなかった。
ん?何か黄色い破片が飛んできた。もちろんそれは破片ではあったけれど、ただの破片でこそなくて。最悪な意思の介入ありきの破片だった。
「危ない!」
彼女の悲痛な声が響く頃にはもう遅かった。
鉢川とかいうクソ野郎が。
「あー…………嘘だろ。あの人」
あり得ない。クインケで僕を狙いやがった。どうやら彼のクインケは羽のような散弾を連射することができる模様で、それは僕めがけて一直線に空気を縫う。降り注ぐ驟雨のように。
ヒトがヒトを狙ったよ。こんなことってある?
目を細める。僅かだが軌道は読める。体重移動。重心を移して左に避ける。ダメだ。数が多すぎる。避けきれない。避け切れるはずがない。
死 か。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
手を縮こませた身体の前で交差。ダメージを最小限に。僕の目には、僕が全身を散弾に貫かれて大量出血している未来しか見えないや。瞼を閉じる。
そして、目の前は真っ暗になった。
-
- 41 : 2015/05/21(木) 00:49:48 :
- 入見さんカッコいい!!
期待!
-
- 42 : 2015/05/21(木) 00:53:01 :
- え…!?
どうなったの!?
-
- 44 : 2015/05/21(木) 21:28:53 :
-
びっくりした。死んだかと思った。いやマジで。
しかしどれだけ待っても放たれた散弾が僕の身体を貫くことはなかったし、どんな痛みも感じなかった。気持ち悪いくらいに。
代わりに、生々しい体温を放つヌルヌルの液体が身体に付着した。
瞼を震わせながら目を開ける。やはり目の前は真っ暗だった。月光を遮る彼女の背中で。遮られたのはもちろん、月光だけではない。
「カ…………ヤ…さん?」
こちらを振り向いた彼女の口から吹き出た血飛沫は、ヒトの血ではなく彼女自身のものだった。
「天………ぶ、ゲホッ」
吐血。さらに喀血。
僕の腕に弱々しく倒れこんだカヤさんは、ペッと血反吐を吐いて毒づいた。独り言のように。
「ぬるくなったな………私も」
「カヤさん⁈」
「大丈夫。治る」
そんな_________僕のせいで。
カヤさんは僕を庇って自身の赫子で散弾を弾き飛ばそうとしたのだ。しかし一歩遅れて彼女は被弾してしまった。患部を抑えて回復に専念する様子は、いつかの僕達の邂逅をまざまざと彷彿とさせた。
「鉢川さん!彼は人間です」
「だからなんだ?警告したのに立ち去らねぇあの青二才が悪いんじゃねぇか」
「そこのおにーさん早く逃げて!」
間違ってるよ。こんなの。どう考えても。
あの鉢川だ。あのクソ野郎が。
ありったけの憎悪と憤怒を込め、僕は彼を睨み付けて言った。自分でも驚くほどの凛とした声で。
「何も知らないくせに………」
「あぁ?」
「この世界は間違っている。歪めているのは_____歪めているのはあなた達ですっ」
彼の口は襟に隠れて見えないけれど、その唇はめくれ上がっているのが分かる。やがて鼻で笑い、吐き捨てるようにこう言った。
「そんなに喰種が好きならな…………………」
「仲良くあの世に送ってやるよ‼︎」
言うなり鉢川は勝ち誇ったような笑みを浮かべて、最後のとどめだと言わんばかりにまたもやクインケで散弾をぶっ放した。
嘘だろ。嘘だと言ってくれ。
僕の腕にはカヤさんの体躯。そのカヤさんは俯いて回復中。そして未だ地獄への誘いに気づいていない。
_______________ヤバい。
-
- 45 : 2015/05/21(木) 22:04:05 :
-
死ぬ。このままじゃ二人とも。避けられない。
今から彼女を抱きかかえて走ったのでは到底間に合わない。その前に僕達の体は文字通り蜂の巣だ。
僕の足は。足は動く。
僕の手は。カヤさんを抱きとめた僕の腕は。動く。完璧な自由が許されていた。
よし。僕は僕にできることを。今の僕にできることは________身を呈してカヤさんを守ること!
足を上げる。靴底がアスファルトの地面から離れる。踵を上げる。彼女の腹に、その脚を力一杯打ち込んだ。
間に合え_______________
「っぁあ⁈」
ごめんね、カヤさん。これしかないんだ。貴方を蹴っ飛ばすしか道はないんだ。大丈夫、ほんの一瞬痛いだけだから。死ぬよりはマシだと思うよ。
遠ざかり闇へと溶ける彼女の姿。その顔からはどんな感情も読み取れなかった。驚愕という二文字を除いて。一切何も。
「天ぶ______________」
放送中に電波の途切れた壊れかけのラジオのように、彼女の声はそこでプッツリと途切れた。弾丸が僕の 身体を貫く轟音に遮られて。
その一言は果てることなく延々と僕の頭にこだます。
ただそれだけのことだった。
-
- 46 : 2015/05/22(金) 02:15:03 :
-
「がっ…………は」
痛い。痛い痛い。
頭に肩に。背中に腹に両腕に。
鉢川の放った弾丸は僕の身体にクリティカルヒットしていた。一つの不具合もないほどまで綺麗に。そして焼けるような痛みは絶え間なく僕を襲った。
「ぐっ…………ゲホッ」
口の中は吐き気を催す鉄の味。
止めどなく溢れ出す鮮血は、僕の素直な想いを連れて足元に小さな池を作った。文字通りの血の池を。
「そんな___________天吹くん⁈」
あーあ、終わりだ。僕は人間。どっからどう見てもただの人間。それ以上でも、それ以下でもないどこにでもいる普通の大学生。言わずもがな、喰種のように回復はできない。
まだ完全に回復しきっていないにも関わらず、カヤさんは悲痛な声をあげて駆け寄ってきた。
「なんで_______」
「どうして、私を捨てて逃げてくれなかったの⁈」
「………そんなこと、できるわけないだろ」
やっと出たかすれ声。意識は既に朦朧とし始めて、身体は急速にその体温を失っていく。
「貴方は私を見つけてくれた。誰も見てくれなかった、本当の私を見ていてくれた」
「なのに、なんで………」
「そんなカヤさんだからこそ、僕は貴方が傷つくのを見たくなかった。耐えられなかったんだ」
その一言は彼女にとってどんな意味をなすのか、雷に打たれたようなその小顔を見ればハッキリ分かった。
「それは私にとっても同じはずよ⁈貴方もそれは分かっていたはず。なのに貴方は_________」
「早い者勝ち。僕の方が早かった」
顔を伝う冷たい涙は僕のだけじゃなくて。彼女の綺麗な瞳から溢れる大粒の涙は、ひたすら僕の頬を打つ。
言葉に詰まったのか、何も言えなくなった彼女は悲壮に喘いでしゃくり上げた。
「悲しまないで」
「………………っ」
「貴女が悲しんでいるとなんでかな、僕もすごく悲しいんだ」
口を歪めて目をゴシゴシとこする。
もう涙は流れていなかった。
「そう。だから泣かないで」
-
- 47 : 2015/05/22(金) 20:17:08 :
- 天吹くんかっこいいです!
いつも更新楽しみにしています!
これからも頑張って下さい!!
-
- 48 : 2015/05/22(金) 20:21:56 :
- >>47かっこいいですよねーw
僕も彼のようになりたいです(キリッ
コメントありがとうございます!
-
- 49 : 2015/05/23(土) 06:29:09 :
「チッ…………ガキが邪魔しやがって」
僕達の会話に水を差すかのように言った鉢川を、敢然と睨みつけ拳を強く握りしめるカヤさん。その手の中にあるのは決意。
やめて。やめてくれ。
「………やめて」
「え?」
わけがわからない、という顔でしばらく沈黙が続いた後に彼女は歯ぎしりしながら言った。
「やめてって………貴方悔しくないの⁈あんなゲス野郎に殺されて憎くないの?」
「憎いさ」
さらにわけがわからない、という風に大きく目を見開く。その瞳に僕は、どこまでも情けなく映っていたのだろう。女性に抱きかかえられてる男性って。
笑える。けど状況が状況だけに、笑えない。
「なら、どうして__________」
「僕のために戦って貴方が傷付くのは、僕は耐えられない。そんなことは僕が許さない」
彼女の顔が曇る。眉間にしわが寄る。次には苦痛に満ちた表情を浮かべ、そして沈黙が続く。
「納得、できないわ。そんなの」
「気持ちは分かるよ………けど、これだけは分かってほしい。僕が誰がためにこの命を散らしたのかを」
この言葉が一番痛烈だったようで、胸を押さえた彼女の頬には再び一筋の煌めく涙。
「少なくとも、貴方に復讐してもらいたくて貴方を助けたんじゃないつもりだ」
「じゃあ、なんで…………?」
限界だ。
幸い喉は殺られていなかったからまだ声は出すことができる。しかし僕の身体は自分でも分かるほど冷たくなっていた。微かに心臓の鼓動が聞こえる。次第に弱まっていく赤く熱い鼓動が。寒い。
けど、これだけは伝えたい。
ありったけの力を振り絞って、最後の言葉をカヤさんに伝えた。まるで壊れやすいガラス製品を扱うようにゆっくりと、慎重に。
「貴方に………生きて欲しかったから」
小さく身震いをした彼女は、既に感覚と意識を失った僕を抱いてひたすら泣いた。涙が枯れるまで。
遠くで低いうなり声が聞こえる。たぶん鉢川の声だろう。続いてまたしても彼は散弾を放った。
カヤさんは僕の耳元で、聞き取れるか聞き取れないかそれは本当に微小な差だけれどもギリギリ聞き取れた小さな声で
「さよなら。そしてありがとう……」
と囁いて、後は分からずじまいだった。でもその後に男性の悪態を吐くのが聞こえたので、恐らく逃げられたのだろう。
「鉢川上等」
「あぁ?」
「先程の行動には甚だしい遺憾を覚えます。これは正直、裁判モノです」
相変わらず表情こそ変わらなかったが、平子丈一等捜査官の声だけは真剣さと力強さをはっきりと鼓舞していた。
「このガキだ。このガキのせいで黒狗を取り逃がした。こんなガキの命よりも黒狗を殺す方がよっぽど価値がある」
二人の口論を心配そうに見守るだけだった糸目の伊東倉本捜査官もやがて恐る恐る口を開く。
「鉢川さん……黒狗って喰種と何かあったんスか?」
顔のしわというしわが一挙に波打つ。地団駄を踏みつつ、彼は言った。
「クソが………俺の上司も同僚もたくさん殺された。そしてこの前だ」
「喰種だとつゆ知らずに近づいた俺の口を食い破ったんだ」
言いながら襟をめくって平子を蛇のような目つきでギロリと睨む。
「これ以上何か?平子一・等・捜・査・官」
「ヒッッ」
悲鳴をあげたのは倉本。
平子は最後まで表情を変えないまま、「いえ」とだけ言ってその場を去った。
こんな会話がなされていたのを、僕は知る由もない。
だって、僕は、もう…………………
さよなら、入見カヤ。
僕は死ぬ。
貴方は僕を殺して生きろ。
-
- 50 : 2015/05/24(日) 00:32:04 :
あんていく。
深まっていく夜に煌々と明かりの灯るcaféで、美しい黒髪を振り乱し、一人の女性は泣いていた。
「私のせいだ。私のせいで天吹くんは……」
その横には、くぐもった顔を傾け女性の肩を叩く店長らしき人物の姿。何を言うでもなく、何を告げるでもなく、何を語るわけでもなくて、ただ静かに女性を見つめるだけだった。
そんな彼も、やがて遠慮がちに口を開く。
「悲しんではいけない。彼は君のため、カヤちゃんのために死んだんだ」
「君の笑顔を守るために。彼は君に悲しんで欲しいのではなく、笑っていて欲しかったのだと思うよ」
「私は…………」
しばらく間を置いた後、彼女はテーブルに手をつき喉の奥から絞り出すように言った。
「もう、ヒトを食べたくなんかない。殺したくなんかないっ」
「けど、ヒトの世界にも入れない。私は喰種であることに変わりないわ」
「……………………」
涙は彼女の想いを連れて溢れ出すばかり。それを見て店長は柔らかな手つきでハンカチを差し出す。
「天吹くんがいなくなった今、私は、一人だ………」
渡されたハンカチも既にぐしょ濡れだった。しばし腕組みをしていた店長は、その言葉を聞いて決然とした様子で言った。
「それは違う。天吹くんは喰種と人との断ち切れない因縁と利害のズレに気づいていた」
「言うなれば彼は、人の世界と喰種の世界の両方に居場所を持てる者になる可能性を秘めていたんだ」
それが何よ、と天井の照明を仰ぎながらぼやく女性。店長は続けた。
「私はそんな人が増えて欲しいと、心から願っている。いつの日か、人と喰種とが手を取り合える日を夢見て………」
「そのためにあんていくを経営している」
揺るぎない志を持って、彼は唇を噛み締め一層力強く結論付けた。
「あんていくに来なさい。君の生きるべき道を探す助けにもきっと、なるだろう」
かくして、入見カヤはあんていくで
働くこととなった。
-
- 51 : 2015/05/24(日) 00:32:51 :
あれ。
僕は死んだのかな。
「………の臓…を……………彼に」
遠くで。手の届かないほどずっと遠くから声が聞こえてくる。地獄の閻魔様の裁きだったりして。
「……………れは……の」
え?なんだって?今なんて言ったんだよ。
教えて。教えて。
「………くん」
「………ぶきくん」
その声は少しずつ、けれど確実に近づいてくる。
次第に体温が戻ってきた。
暖かい。これは?
「天吹くん!」
「……………は⁈」
目を覚ますとそこは、鼻腔をくすぐる薬品の匂いが漂う病室のベットの上だった。
ぼやけた視界の隅に、優しそうな医師らしき男性がおもむろに佇んでいた。
「おはよう、天吹くん。調子はどうかな」
「ぼ、僕は一体…………」
頭が割れるように痛い。
トンカチで殴られたみたいにガンガンする。ろれつが回らない舌ゆえのおぼつかない口調で尋ねた。
「危ないところだったね。CCGの平子一等捜査官が運んできてくれんだ。あと一歩遅かったら手遅れだったよ」
_______あの人か。
叶わないだろうけど、もし会えたなら一言お礼が言いたい。もちろん、言葉だけでその恩が返せるわけではないけど。今の僕には、何もない。
「そうなんですか…………ありがとうございます。えっと」
「嘉納だ」
「ありがとうございました、嘉納先生」
まんざらでもないというように嘉納先生はほくそ笑んで、静かに病室から出て行った。
起こした上体を再びベットに投げ出す。若干シミが目立つ白い天井を見上げながら、僕は記憶を整理していた。そして最後に、嘉納先生のあの微笑を思い出して、言い知れぬ寒気を感じた。
翌日口にした朝食のサケはゴムの味。まるで塩酸にしばらく浸かったゴーグルのシリコンバンドのような。
その日僕は、ヒトを捨てた。
-
- 52 : 2015/05/24(日) 06:02:14 :
- 天吹君…
-
- 53 : 2015/05/24(日) 12:25:44 :
-
◆
雪が降っていた。
雲に覆われてどこまでも真っ暗な空から、チラチラと舞い降りる粉雪。優しく、冷たく、ふわふわな雪。
人にはそれぞれ個性がある。喰種にもそれぞれ個性がある。そして、雪の結晶にもそれぞれの形があった。一つとして同じ形の結晶は存在しない。
人も喰種も、然り。
そんな空の下、冷たくなったアスファルトに横たわる女性は既に虫の息。その女性はやはり黒髪だった。そして彼女を取り囲む人影が四人。
その手の中にあるのはクインケ。梟討伐作戦が決行されたその夜、SS級 喰種:黒狗 は最期を迎えようとしていた。
「鉢川準特等。人民の命は最優先されるべきとされています。先程の行動には疑問を覚えます」
「ったく頭の固ェ野郎だな。それならこうもあるぜ」
数年前と同じくいかなる感情も読み取れないほど無表情な平子上等捜査官は、鉢川準特等捜査官に冷静な指摘をする。前者とは打って変わって、露骨に苛立ちを見せる鉢川は言った。
「喰種捜査官は状況に応じて臨機応変に対応すべしとな」
「これ以上何か?平子上・等・捜・査・官?」
襟元をめくってむき出しの歯茎を見せる彼に、平子上等は無表情のまま視線を逸らした。
それ以上、何も言わなかった。
「あばよ、ワン公」
「地獄で待つわ…………」
クインケが向けられる。
あぁ、死ぬのね。
今まで。今まで正しい選択などしてきただろうかなんて、そんなことは知らないわ。正しいかどうかなんて考えてる暇はなかった。もとより、そんなことはどうでもいい。
でも、
自分が今まで選んできたこと。
自分の罪に出逢えたこと。
あんていくに入ったこと。
そして天吹くんに出会えて___________
今日誰かの為に死ねることは「良かった」と思うわ。
「喰種にあの世はねぇ」
その一言が、私が聞いた鉢川の最後の言葉だった。それだけ言った彼は、轟音とともに私の目の前から忽然と消えて、どこかの鶏をシめたような悲鳴が響く。
次の瞬間には、赤く紅く煌めく鱗を思わせる赫子。黒装束に身を包み、奇抜なマスクと眼帯を付けた少年が存在していた。
降りしきる雪に負けず劣らずの混じり気のない真っ白な白髪をなびかせ、指を折って乾いた音を出す。
「ヒトには…………ありますか?」
____________金木研、が立っていた。
天吹くん。
貴方が灯した希望の炎は星火燎原。私たち喰種と人との架け橋となる光。その光は、まだしっかりと点いていたよ。
-
- 54 : 2015/05/24(日) 16:08:47 :
-
数時間後。
東京のとある街道を独り歩く男がいた。焼け野原となった街を白い雪が埋め尽くす。死体も血も悲しみも、憎しみさえも雪は覆い隠す。
男性の、後ろでくくってある長い髪が揺れる。
そして彼が立ち止まった地面にもまた、一人の女性の死体が転がっていた。女性が付けていたのであろう漆黒の狗面は、その持ち主を失って地面に落ちて虚しく朽ちていた。
(カヤさん………………)
こんな姿に。
変わり果てたこんな姿に。どうして。
男性は物を言わない。不気味なマスクの向こう側で苦痛に満ち満ちた表情を浮かべるだけだ。
それからどのくらい時が過ぎたのだろうか。
やがて男性の背後には、白髪と紅いマスクが特徴的な別の男性が立っていた。
「行くぞ…………ノロ」
ノロ、と呼ばれた彼は頑として沈黙を守っている。未だ冷たくなって横たわる女性から目を離さない。呆れたようにやって来た男は言った。
「これほどの時が経ってもか?」
「なぁ…………天吹」
その言葉にようやくノロは背後を振り向く。何を思ったのか定かではないが、歪んだ唇が描かれたそのマスクをゆっくりと外して、こう、誰にともなく呟いた。
「永遠 に………………」
紅く染まった左目から一筋の涙を流す。対して、彼の右目は染まっていなかった。どこからどう見ても普通の黒目。そう、隻眼だった。
天吹相楽。それはとうに捨てた名だ。
「行くぞ……………」
踵を返して元来た道をたどる男性に続き、ノロは歩き出した。心の中で彼女に小さくさよならを言って。
この世界は間違っている。
僕は思う。
歪めているのは、この世界に存在する全てだと。
《Unglückliche Liebe》is over.
And___the episode of Black dobel is also end.
-
- 55 : 2015/05/24(日) 16:17:48 :
________あとがき。
えっとまず初めに読んで下さった皆さん並びにコメントを下さった皆さん、ありがとうございました!
いつも皆さんのコメントに励まされております。皆さんのおかげで今回も無事に作品を書き終えることができました!
本当に感謝感謝です。
入見カヤさんの過去を描くということで書き始めた今作品でしたが、実は語り部:天吹くんの物語でもあったんですね。その正体は謎の喰種、ノロでした。いやぁ、天吹くんを最後どうしようかすごく迷ったんですよねーw
意見・感想、アドバイスなどございましたらコメントして下さると嬉しいです。それではまた会いましょう♪( ´▽`)
もう一度、本当にありがとうございました。
-
- 56 : 2015/05/24(日) 16:24:48 :
- お疲れ様でした!
まさか最後にそう来るとは思いませんでした(笑)
紅蓮さんの作品はいつも驚かされます。
これからも頑張ってください!
最後にもう一度お疲れ様でした!
-
- 57 : 2015/05/24(日) 16:31:38 :
- ノロ!?
-
- 59 : 2015/05/24(日) 16:48:51 :
- この作品で星1はおかしい
もっと、それ以上のものですよ!
-
- 60 : 2015/05/24(日) 17:01:35 :
- >>59その辺については、まぁ読者様の判断で。
僕はよく分からないのでw
-
- 61 : 2015/05/24(日) 20:44:15 :
- まさか天吹君がノロだとは・・・
今回も楽しませていただきました。とても良かったです。
-
- 62 : 2015/05/24(日) 20:50:53 :
- >>61ありがとうございます!
楽しんでいただけてとても光栄です♪
頑張ってみた甲斐がありました。
-
- 63 : 2015/06/07(日) 11:16:17 :
- やっとコメントできます^^;
率直な感想は、なかなか面白かったw
後半、どんどん緊迫した状況になってきて、どんな展開になるのか先を読むのが楽しみでした。
最後については、そうきたか!!と思わされました。
こまか~い部分で、ん??となったところについてはまた直接・・・w
-
- 64 : 2015/06/07(日) 11:22:04 :
- >>63どうも、いつもお世話になっております。
お忙しい中、
読んでいただいてありがとうございます!いやぁ、実は僕も途中で何書いてるのか訳わかんなくなっちゃった所とかあったんですよねw
個人的には結構頑張ってみた作品だったので、そう言ってもらえて嬉しいです。
定期考査頑張ります(笑)
-
- 65 : 2016/10/14(金) 17:02:06 :
- 感動しましたよ!
めっちゃいい作品です!
-
- 66 : 2018/06/24(日) 02:04:31 :
- >>65めっちゃ前の作品で文章も構成もかなり雑ですが、ありがとうございます。
- このスレッドは書き込みが制限されています。
- スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。
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