このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
『さざ波に寄せて』 ② ※エレミカです 『時を超えて』番外編
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- 1 : 2015/03/01(日) 04:57:23 :
- 『さざ波に寄せて』 ※エレミカです 『時を超えて』番外編の続きです。
http://www.ssnote.net/archives/32024
この物語では、登場人物全員が、現代でしか出てこないアニを除いて、何らかの形で破滅していく、救いのない話になります。
それと、特に第二部になるこの話では、エロ注意でお願いします。
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- 2 : 2015/03/01(日) 05:01:48 :
- 第7話
日の当たる場所
2860年
シガンシナ区、イェーガー総合病院
「へ~クシュン!!!」
先日行ったシュトルムブルクで、どうやら僕は季節外れのインフルエンザをもらってしまったらしい。どこぞのドリフターズばりのくしゃみが止まらない! 久しぶりに僕はイェーガー総合病院にかかることにした。
「いらっしゃい、アルミン君。今日はどうしたのかな?」
院長のグリシャさんが応対してくれた。相変わらず元気そうだ。
このイェーガー病院はとても清潔な場所で、大きな窓からは春の陽気な日差しが降り注いでいる。
床もきれいに磨き上げられ、チリ一つ落ちていないところが本当にすごい。
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- 3 : 2015/03/01(日) 05:03:27 :
- 「体の節々が痛むんです。多分インフルエンザだと思うんですけど。」
「どれどれ、じゃあ綿棒を鼻の中に入れさせてもらうよ。アニ、綿棒を。」
「はい、お父さん。」
奥のほうから、看護婦姿のアニが出てきた。
「アニ!?」
初めて見るアニの看護婦姿に、僕はびっくりしてしまった。
純白の白衣に身を包んだアニか・・・・・・なるほどね、エレンが惚れるわけだよ。
「あんまりジロジロ見ないでくれる?」
「え、ああ、ごめん、アニ。君の看護婦姿を初めて見たからさ。」
「ふうん、アルミン、後で蹴ってあげようか?」
「いやぁ、遠慮しとくよ。」
愛想笑いでごまかして、何とかアニの蹴りは免れた。毎回素直に食らっているエレンの気がしれないな。
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- 4 : 2015/03/01(日) 05:04:42 :
- 「悪いけど、エレンは今研修医としてウォールシーナ医科大学院にいるから。ここにはいないんだ。っていうまでもなかったね。」
「アニは、ここに勤めることになったんだね。」
そうか、エレンをここで待っているんだね。まったく、幸せものだよ、エレンは。
アルミンはエレンに対して、末永く爆ぜてしまえという思いで、再びいっぱいになった。
僕も、クリスタに対して、もっと積極的にならなくちゃな。
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- 5 : 2015/03/01(日) 05:06:37 :
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「はい、これで診察はおしまいだよ。君の見立て通り、インフルエンザだったね。処方箋を書いておくよ。」
やっぱり鼻の中に綿棒を入れられるのは慣れないなあ。
「ありがとうございました、グリシャさん。エレンに会いましたら、よろしく言ってくださいね。」
「ああ、エレンもアルミン君に会いたがっていたからね。いつでもうちに遊びにおいで。ちょくちょく帰って来ているから、会うチャンスはあるだろう。」
エレンに会えるように、グリシャさんは気遣ってくれている。素直にお言葉に甘えることにした。
「インフルエンザを直したら、お邪魔します。」
「それと、パイプの吸い過ぎは体に毒だからね?」
痛いところを突かれて、とりあえず愛想笑いをすることにした。
「それにしても、アルミン。あんたは本当にエレンと仲がいいね。喧嘩したりはしないのかい?」
「そうだね・・・・・・滅多にしないかな。」
「そう、お大事にね、アルミン。」
「うん、ありがとうございました。」
グリシャさんとアニに一礼すると、僕は病室を後にした。
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- 6 : 2015/03/01(日) 05:07:36 :
病院の外にある憩いのベンチで、僕は休息をとることにした。体がダルくて、歩き続けるのも辛かったからだ。
注意されたばっかりのパイプに火をつけて、悠々と一服し始めた。
顔に優しく吹きつける、春のそよ風が心地よい。
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- 7 : 2015/03/01(日) 05:08:55 :
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僕はアニに嘘を付いてしまった。
喧嘩どころか、一度目の転生で僕はエレンを激しく憎み、復讐をしたことすらあったのだから。
でも、この復讐は、僕が思っていた以上の悲劇を巻き起こした。
咄嗟に僕が使った愛の秘薬は、エレンやミカサばかりか、ジャンやエルヴィン団長をも巻き込み、挙句の果てには僕自身をも、破滅の道へと追いやった。
更には、1989年に起きた先の大戦の遠因にさえなってしまった。
つまり僕は、間接的にではあるけれど、親友であるエレンを、二度も殺している・・・・・・。
それでもまだ、僕を親友だとエレンは呼んでくれている。
気が付くと、僕は涙を流していた。
どうしてエレンは、こんなにも罪深い僕を、今だに親友扱いしてくれるのだろう?
たまに僕は本気で分からなくなる。
このまま僕は、これからも、エレンの親友であり続けられるのだろうか?
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- 8 : 2015/03/01(日) 10:20:16 :
- めちゃくちゃ期待‼支援‼
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- 9 : 2015/03/01(日) 10:50:35 :
- 凄い!!良い繋がりです!!!
めちゃくちゃありがたいです!!
マジで期待します!!!
こういうのも合作って言えるんじゃないすかね?
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- 10 : 2015/03/01(日) 17:37:39 :
- 期待支援ありがとうございます!!!
>>9
確かに合作と呼べるかもしれませんね。お互い頑張りましょう!!!
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- 11 : 2015/03/01(日) 17:38:18 :
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第8話
破滅への前奏曲
1350年
壁外の国の王宮・アルレルト宰相の執務室
ミカサがエルヴィン王に嫁いでから、ミカサの妊娠が発覚するまで、そう時間はかからなかった。
王室からもたらされた福音に、壁内の国の国民たちは喜びに満たされた。
その知らせは、すぐに、壁外の国の王宮にまで伝わってきた。
「アルレルト宰相殿、此度のミカサ様の御懐妊、誠におめでとうございます。」
僕の執務室にも、次から次へと祝いの客が訪れてくる。でも、心から祝福してくれる人は少ない。大体は上辺だけの、僕の権力のお零れにあずかろうとするおべっか使いばかりだ。
一通りの挨拶を済ませると、僕はパイプを咥えて一服した。
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- 12 : 2015/03/01(日) 17:47:00 :
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王宮の中から外を覗くと、壁外の国の国民たちも祝福ムード一色だ。
色とりどり花が王宮前の広場に溢れ、露店を開く人々の活気がこちらまで伝わってくる。
素朴で純粋な祝福のほうが、僕には数段好ましく思えて、しばらく窓から街の様子を覗いていた。
僕も前世ではあっちのほうにいたのに、今では貴族の側だなんて、今だに信じられないし、とても息苦しい感じがする。
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- 13 : 2015/03/01(日) 17:47:35 :
- 宰相の執務室は、アルミンの権力の巨大さに比例するように、豪華で華麗な内装が施されていた。
贅を尽くした調度品の一つひとつが、権力の証。
しかし、アルミンの目から見ると、それらがことごとく、血塗られて汚れていた。
宰相になるために払ってきた犠牲の数々に、どうして愛着なんか持てるんだろう。
毎日運ばれてくる豪華な食事よりも、訓練兵団時代の味気ない食事のほうが、仲間がいる分、まだ楽しかった。
権力の頂点にあって、僕は、言いようのない虚しさを味わっていた。
それに、懸念はもう一つあった・・・・・・
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- 14 : 2015/03/01(日) 17:49:24 :
- エルヴィン王とミカサの間に子供ができたという話だったが、果たしてそれは本当に、エルヴィン王の子供なのだろうか?
僕の過失から、エレンとミカサはお互い激しく愛し合ってしまった。
あまり言いたくはないのだが、エレンとの許されない不倫関係の末に、子供を作ってしまったのではないかという疑惑がぬぐえなかったのだ。
宰相としての政務があるため、僕は直接二人に手を出すことが出来ない。そのため、二人の関係を実際に隠しているのはジャンだった。
・・・・・・ジャンは筋の通った男だ。いや、正しすぎる。そして、正しすぎることは時に間違えていることと同じだ。
時に死の秘薬で恫喝し、時に複雑な計画を駆使して政敵を失脚させるなど、政治の地獄をつぶさに経験してきたアルミンには、ジャンの正義感が、危なっかしく思えて仕方がなかったのだ。
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- 15 : 2015/03/01(日) 17:50:27 :
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「・・・・・・ふぅ。」
パイプの中で燃え尽きた草を灰皿に捨てると、おもむろに薬箱から、秘薬をいくつか取り出した。
12歳の時に、僕は父さんから秘薬の作り方を教わり始めた。これらはその頃に作った薬だ。
かつて人類を恐怖に陥れた・・・・・・巨人化の薬。
この薬の作り方を覚えたのは、まだ転生前の記憶が戻る前のことだった。
そして、記憶が戻った時、僕は粛然として恐れた。この薬を作り出してしまった、自分自身の宿命を。
それ以来、僕はこの巨人化の薬を調合していない。
あれからもう27年の月日が流れた。
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- 16 : 2015/03/01(日) 17:51:10 :
- 僕が調合した巨人化の薬は、全部で5つあった。
これもまた、前世からの因縁を感じるには十分すぎるものだった。
超大型、鎧、女型、ユミルと同じ型、そして・・・・・・エレンと同じ型の薬。
皮肉にもこれが、エレンに殺された両親の、形見の一つとなってしまった。
アルミンは寂しくなるとこうやって薬を並べては、両親のことや友人たちのことを思い出していたのである。
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- 17 : 2015/03/01(日) 17:52:18 :
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「バカみたいだよね。本当に。」
感傷に浸っていた自分を戒めると、僕は薬を片付けようと手を伸ばした。
ガシャアン!!!
「あっ!!!」
巨人化の薬の一つを、落として割ってしまった。
割れた瓶の中に入っていた液体が、もうもうと煙を上げて蒸発していく・・・・・・。
「これは・・・・・・エレンの薬!?」
迷信をあまり信用しないアルミンであったが、この時ばかりは違っていた。
これから何か、恐ろしいことが起こる・・・・・・漠然とした予感に、アルミンは身震いした。
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- 18 : 2015/03/03(火) 10:01:28 :
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第9話
夜の流刑地
1350年
シガンシナ区、旧イェーガー家跡地
廃墟となったかつての俺の家の地下で、俺はずっっと待っていた。
ミカサが妊娠してからというもの、俺は中々ミカサに会う機会がなかった。
無事に出産を終えて、女の子が生まれたと聞いた時、俺は喜びのあまり飛び上ってしまった。
王妃としてのミカサに謁見して、その王女の顔を覗き込んだとき、俺は確信した。
黄色く輝く、大きな瞳・・・・・・間違いなく俺の子だ。
ミカサは・・・・・・俺の子を授かった。
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- 19 : 2015/03/03(火) 10:02:38 :
- 夜の地下室はひんやりとしているが、決して暗くはなかった。
赤く染まった月の光が差し込んで、地下室の片隅を照らしている。
久しぶりにミカサがここに来る。
ジャンからそう聞いた時、俺は自分の気持ちを抑えきれなかった。
興奮した俺は、堪らず自分を慰めた。
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- 20 : 2015/03/03(火) 10:03:30 :
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「ジャン、お前は外で見張っててくれよ。」
ジャンは口すら利かず、黙って外へと出ていった。
その能面のような無表情さからは、感情の一切を読み取ることが出来ない。
でも、そんなことはどうでもいい!
思うようにいかないミカサとの接触。
表に出すことのできないミカサへの気持ち。
ずっと一緒に過ごすことのできないもどかしさ。
これらは徐々に、エレンの心を歪めていった。
そして、ミカサが妊娠し、王がミカサに付きっきりになったことで、歪んだ心は嫉妬の嵐へとすり替わった。
ジャンのエレンに対するそれとは比較にならないほど、心の嵐は大きくなってしまった。
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- 21 : 2015/03/03(火) 10:06:29 :
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ああ、そうだ・・・・・・もうすぐミカサがやってくる。
俺のミカサが・・・・・・俺だけのミカサが。
会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい・・・・・・
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- 22 : 2015/03/03(火) 10:07:21 :
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「エレン。」
奥のほうから、声が聞こえてくる。
足音が聞こえる。俺の心臓の音も大きくなっていく。
「ミカサ!!!」
「エレン!!!」
やっとこうしてまた会えた・・・・・・狂おしいくらいに激しくミカサに口づけをする。
「ずっっと会いたかったんだ、ミカサ!!!」
「会いたかった、エレン!!!」
お互いの舌が深く絡み合う。呼吸が激しく乱れ、もうどちらの唾液なのかがよく分からない。
舌をミカサの首に這わせていくと、喘ぎ声がミカサの口から漏れ始めた。
いや、喘いでいたのは俺か?
極度の混乱の中で、俺は最高に興奮していた。
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- 23 : 2015/03/03(火) 10:08:38 :
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俺の指先が、ミカサの衣服をずらし始める。
「お前、まだそのマフラーを持ってたんだな。」
「手放すわけがない。」
ゆっくりとマフラーをほどいていく。
昔俺が寒くないように、ミカサに渡したものだ。
「あんときよりも、もっとお前を温めてやるからなッ!」
赤く光る月が高く昇るにつれて、部屋に差し込む月の光が、地下を明るく照らしていく。
月明かりに照らされたミカサの下着姿に、俺はゾクゾクした。
「ああ・・・・・・やっぱりきれいだよ、お前。」
うつぶせにミカサを寝かせ、背中に舌を滑らせながら、ゆっくりと下着をずり降ろす。
既に濡れている下着が、ゆっくりと糸を引きながら降ろされていく。
ますます欲情した俺は自分の纏っている衣服を脱ぎ捨て、ミカサをあおむけにした。
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- 24 : 2015/03/03(火) 10:09:59 :
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ああ・・・・・・エレンが私に欲情している。
もっと私に触れてほしい。 もっと私を壊してほしい。
ミカサの心の中の嵐も、エレンに劣らずに吹き荒れていた。
エレンがそばにいない夜を、幾日も過ごす間中、心も体も、エレンを欲してやまなかった・・・・・・
エレンのそばに居たい。そばで愛を囁きたい。もっと私を見て欲しいし、もっと私に触れて欲しい。壊れるくらいに抱きしめて欲しいし、めちゃくちゃにして欲しい。何より私はあなたが欲しい。ずっとずっと私のものであって欲しい。私だけのものであって欲しい。ああ、会えないのがもどかしい。
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- 25 : 2015/03/03(火) 10:10:28 :
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エルヴィン王の目を盗み、ジャンを頼ってエレンと何度も密会した。
会うたびに、私たちは何度もセックスをした。
そして私は身籠った。
女の子を出産し、わが子を抱きしめたとき、その瞳を見て確信した。
この子は間違いなく、エレンの子。
愛しい人の娘を授かった。
この上ない、至福の瞬間。
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- 26 : 2015/03/03(火) 10:11:18 :
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「はぁ・・・・・・ああ・・・・・・あう・・・・・・。」
嫌らしい水音が部屋の中に響く。
エレンは私の秘部に指を入れながら、乱暴に私の乳首に噛みついた。
「痛っ!」
今度は優しく舐めまわされる・・・・・・痛みがキモチイに変えられていく。
するとエレンは再び口に舌を入れてきた。それも、さっきよりも激しく。
かちりと歯が当たる。お互いの口の中を、存分に蹂躙し合う。
「ふぁあ!!! いいん!!! ああん!!!」
エレンはいきなり秘部に入れた指を乱暴に動かした。
不意を突かれた私はイってしまった・・・・・・。
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- 27 : 2015/03/03(火) 10:12:24 :
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潮を吹きながらイったミカサを見て、ますます心の嵐は強くなった。
もう誰にも邪魔させない。触れさせない。欲情すらさせない。
夜の世界は、俺たちを二人だけにしてくれる。
日の当たる場所が疎ましかった。
日の光は残酷にも俺たちを照らして、俺たちをそこに縛り付ける。
そこには他人の目線があった。俺たちの関係を許さない世界があった。
不愉快
鬱陶しい
邪魔すぎる
気が狂いそうになるほどの嫉妬の中で、俺は一途にミカサを想った。
この時の俺は、前世で愛したアニのことを、とうに忘れ去っていた。
赤い月が照らし出す、狂気の世界に、沈んでいく・・・・・・
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- 28 : 2015/03/05(木) 00:17:50 :
- 第10話
狂気と静寂
「ミカサ・・・・・・そろそろ・・・・・・いいか?」
ミカサの秘部にソレを押し付ける。
たがのはずれた俺の心は、荒れ狂うままにミカサの中に突っ込んだ。
ミカサの激しい喘ぎ声が聞こえる。
ミカサだけが、ここに俺を居させてくれる。
ミカサの奥は温かくって・・・・・・安心する。
ミカサに必死にしがみつく。
快楽に溺れ、視界もぼやけていく。
チカチカチカチカ・・・・・・
蕩けてしまいそうだ。
ああ・・・・・・このまま蕩けて、一つになれればいいのに。
そうすれば、ミカサから俺は、離れ離れにならなくても済むのに。
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- 29 : 2015/03/05(木) 00:18:18 :
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「ミカサ・・・・・・俺・・・・・・もう!!!」
「来て・・・・・・ああ・・・・・・エレ・・・・・・ああああああ!!!!」
灼熱した海原が放出される。
ミカサの中に、奔流のように流れ込んでいく
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荒波が徐々に穏やかになっていく。
静かな水面の上で、二人は腰を落ち着けた。
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- 30 : 2015/03/05(木) 00:19:01 :
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赤みの退いた月明かりの下で、裸のまま体を寄せ合う。
一巻きのマフラーをお互いの肩に巻いて、愛を囁きあう。
何時尽きるとも思われないようなゆっくりとした時間が流れていく。
「なあ、ミカサ。」
「エレン?」
「覚えてるか? 俺たちが初めて出会った時を?」
「忘れるわけがない。エレンは私に、このマフラーをくれた。」
「ああ、俺にとってもあの時間は宝物なんだよ、ミカサ。」
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考えてみれば、俺たちの出会いは、最初から血塗られていた。
人攫い達に攫われたミカサを助けるため、9歳の俺は、最初の殺人を犯した。
「三人いたはず。」
不意を突かれた俺は人攫いの一人に首を絞められた。
「戦わなきゃ・・・・勝てない・・・・。」
エレンを助けるため、ミカサも殺人を犯した。
身寄りのなくなったミカサを俺は受け入れ、俺たちは家族になった
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- 31 : 2015/03/05(木) 00:20:10 :
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いつの間にか月の光が弱くなり、空が白み始める。
「夜が・・・・・・明ける。」
「ああ・・・・・・前世では家族として・・・・・・ずっと一緒にいたのにな。」
「・・・・・・また、エレンと別れなくちゃいけないの?」
現世では一緒に居れる時間が限られている。
心の中に・・・・・・再び強い風が吹き始めた。
ああ・・・・・・朝なんて来なきゃいいのに。
俺はまた、嫉妬の嵐の虜になっていく。
服を着て、地下室から地上に出る。
日の登る前の朝の風が、廃墟の隙間から俺たち顔に吹き寄せる。
その風すら、俺には不快に感じられた。
離れ離れになる俺たちを、あざ笑っているかのようだ・・・・・・
イライラする
もやもやする
何で離れ離れになる?
離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない離れたくない・・・・・・
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- 32 : 2015/03/05(木) 00:20:55 :
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上で待っていたジャンに声をかける。
「ミカサを・・・・・・頼むぞ、ジャン。」
何も言わず、立ち上がるジャン。
「ジャン?」
ミカサがジャンを見つめる。ジャンのただならぬ様子に緊張感が走る。
「わりいな、茶番は終わりだッ!!!」
ジャンがいきなり剣を抜いた。
「動くな! エレン!!!」
「ジャン!? これは・・・・・・どういうことなんだよ!!!」
しばらく俺は状況を飲み込めなかった。
廃墟の外を見て、ようやく俺は状況を理解した。
エルヴィン王の軍勢が待ち構えていた。
俺たちは、完全に包囲された。
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- 33 : 2015/03/05(木) 06:50:10 :
- 第11話
正しいが故に
「ジャン、この俺を裏切ったのか!!!」
「テメエのその腐った根性を叩き直してやるんだよ!!!」
ジャンは、エレンとミカサが道を踏み外していくことに我慢ならなかった。
二人の関係は、終わらせなければならない。
そうすることがどんなに残酷でも、筋は通させなくてはならない。
ジャンにとっても、エレンやミカサは大切だった。ゆえに、間違いは償って欲しかったのだ。
「わりいがお前をここで逮捕する! 王妃との姦淫は重罪だ! 分かってんだろ!?」
「くっ、この裏切りもんがあああああああ!!!」
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- 34 : 2015/03/05(木) 06:50:52 :
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エレンは激昂した。
「俺からミカサを奪う気か!? ふざけんじゃねえよ・・・・・・ミカサは俺の、俺だけのものだ! 誰にも触れさせない!! 近寄らせない!! テメエらには絶対に渡さねえ!!!」
猛り狂ってエレンは叫んだ。
「おい、何言ってんだよ、エレン。」
ジャンは信じられない思いでエレンの言葉を聞いていた。
歪んだエレンの心が、ジャンの正義を受け入れることはなかった。
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- 35 : 2015/03/05(木) 06:52:57 :
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「そうか、残念なことだな、エレン。」
外にいた軍勢のうちの一人が、この廃墟の中に入ってくる。
金髪を丁寧に七三で分けた男。前世では調査兵団の団長だった。
壁内の国王、エルヴィン・レイスが姿を現すと、王は腰にぶら下げていた剣を抜いた。
「済まないが、エレン。私は君を拘束しなければならない。」
厳かな王の威厳を纏うようになったエルヴィンが、エレンに詰め寄る。
「団長・・・・・・いや、今は国王でしたね?」
エレンは冷ややかな表情で答えた。
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- 36 : 2015/03/05(木) 06:54:02 :
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俺のミカサを誑かす男、鬱陶しい奴、目障りな奴、くそ、いまいましい。
「私を斬ろうとするなら止めておけ。この廃墟の外には、私の軍勢がいる。出来れば手荒な真似はしたくない。」
エレンの心を見透かした王は、あらかじめ警告を発した。
「関係ねえよ、たとえ相手が馬面だろうが団長だろうが、邪魔する奴は駆逐してやる!!!」
剣を抜くエレンに、ジャンが叫んだ。
「ふざっけんなよ、死に急ぎ野郎!!! 自分の立場をわきまえていってんのか!? ミカサ!!! テメエもだ!!!」
成り行きを見守るだけのミカサにも、ジャンは噛みついた。
この時代のミカサは、貴族の娘として育っているため、前世の格闘センスはあるにしても、平素から鍛えているエレンやジャンに力では敵わない。
「私は、エレンが望むのなら、構わない。エレンの望みは、私の望み。」
自分の武器を持たないミカサはそう答えると、エレンのそばに駆け寄った。
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- 37 : 2015/03/05(木) 06:55:02 :
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ジャンにとって、ミカサを詰るほど心を抉ることはなかった。
最愛の女性が、親友とさえ思っていた男と共に道を踏み外していく。しかも、自ら望んで。
出来ないんだよッ!!! 僕の秘薬は、エレンとミカサを結び付けてしまった!!! もう誰も、二人の想いを止められないんだよ!!!
あの時のアルミンの叫びが、頭の中にこだました。
何でだ・・・・・・お前らは間違ってる。それを受け入れるだけなのに。
アルミンの危惧は当たっていた・・・・・・二人を説得するには、ジャンはあまりにも正しすぎた。
正しかったことで、却って破滅への道のりを短くしてしまったのだ。
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- 38 : 2015/03/05(木) 06:56:40 :
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「ミカサ・・・・・・お前・・・・・・。」
「構わない・・・・・・エレンと一緒なら、私はどこまででも行こう。」
「ああ・・・・・・行こうぜ、二人だけの世界にな!」
「エレン!」
エレンとミカサは、お互いのことしか見えていなかった。
次の瞬間、剣を持ったエレンがジャンに襲い掛かった。
稲妻のような殺意が迸り、剣が火花を散らす。
「何しやがんだ!!! この死に急ぎ野郎が!!!」
「駆逐・・・・・・してやる! いや・・・・・・殺す!!!」
エレン とジャン が、遂に激突した。
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- 39 : 2015/03/05(木) 22:14:58 :
- 第12話
愛の惨禍
激しい鍔迫り合いに、殺気が滲む。
雷のようなエレンの一撃一撃に、追い詰められる。
「はあっ!」
「ぐっ!」
蹴りを入れられ、エレンが後退、その隙に部屋の片隅から逃れる。
「逃がさねえよ!!!」
「ちっ!」
「どうした? 防戦一方じゃねえか?」
「うるせえっ!!!」
大きく振った剣を止められる。
「!!!」
胸倉を掴まれ、ジャンは部屋の片隅に投げ飛ばされた。
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- 40 : 2015/03/05(木) 22:15:32 :
「全軍! ジャンを援護しろ!」
エルヴィンは決断した。
外で待機していた軍勢が、廃墟の中に殺到する。
「上等だぁ!!!」
素早い動きで兵士達を圧倒するエレン。
一人、また一人と打ち倒していく・・・・・・
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- 41 : 2015/03/05(木) 22:16:04 :
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どうしてこんなことになっている?
どうして俺の手は血でまみれてる?
どうして俺は・・・・・・仲間と剣を交えている?
「はは・・・・・・ははははは・・・・・・。」
俺はもう血まみれだ。
ただミカサを愛したいだけなのに?
ただただ一緒にいたいだけなのに?
それさえも、許されないのかよ?
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- 42 : 2015/03/05(木) 22:16:49 :
エレンの異変に、ミカサは気が付いた。
少しずつ、斬撃が弱まっている。
よく見ると、涙を流している。
止めて・・・・・・もう止めて・・・・・・エレン・・・・・・
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- 43 : 2015/03/05(木) 22:17:15 :
絶望していた・・・・・・この世の、すべてに。
だから決めた・・・・・・二人だけの世界へ行くと。
エレンの表情が、穏やかになる。
「かかって来いよ、ジャン!!!」
再びジャンを挑発するエレン。
ジャンも、覚悟を決めた。
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- 44 : 2015/03/05(木) 22:17:58 :
互角の斬り合いに、他の兵士は見ているしかなかった。
「やるじゃねえか、馬面のくせによぉ!」
「もう止めろ、エレン!!! これ以上お前の罪を増やすんじゃねえ!!!」
「そうだな・・・・・・そろそろ決着をつけてやる!!!」
再びエレンが突進してくる。
身を守るため、ジャンは刃を突き立てた。
ドスッ!
ジャンの剣が、エレンの腹部を、斬り裂いた。
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- 45 : 2015/03/05(木) 22:19:15 :
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「がはっ!」
吐血。
少しずつ血が滲みだし、エレンはがっくり膝をついた。
「エレエエエェェエェエエン!!!!」
ミカサの悲鳴が、部屋の中にこだました。
エレンはジャンの顔見つめると、微笑んだ。
「へへ、悪いな・・・・・・ジャン・・・・・・。」
自らの血でできた、海の中に沈んでいく・・・・・・。
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- 46 : 2015/03/05(木) 22:21:13 :
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剣を取り落とし、ジャンはエレンを抱きかかえた。
「おい、しっかりしろ、エレン!!!」
斬られる刹那、エレンは動かなかった。
こいつ、自ら身を投げ出して、俺にわざと斬らせやがった。
最初から、死ぬつもりで。
本当に死に急ぎやがって!
「うおおあぁあぁぁああぁぁああああぁぁあああ!!!」
哀しみの滲む、怒号を上げた。
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- 47 : 2015/03/05(木) 22:22:13 :
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怒鳴るんじゃねえよ、馬面。
腹の傷に、響くんだよ。
俺はもう血だらけだ・・・・・・
何もかも真っ赤に見える・・・・・・
血の底に、沈んでいく・・・・・・
薄れていく意識の中で、ミカサを垣間見る。
そんな悲しい顔をしないでくれよ、ミカサ。
今、お前の元に行くからさ。
視界が赤くなり、エレンの意識は沈んでいった・・・・・・。
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- 48 : 2015/03/05(木) 22:39:16 :
- 以上で、第二部が終了になります。
次がいよいよ最終回です。
お気に入り登録してくださった方に感謝しながら、全力で書いていきますので、よろしくお願いします。
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- 49 : 2015/03/05(木) 23:02:00 :
- http://www.ssnote.net/archives/32334
こちらが続きになります。
よろしくお願いします!
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