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進撃の巨人Another ――番外編―― 第11話 『各々が想う、護るべき玉』
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- 1 : 2013/11/19(火) 15:27:21 :
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進撃の巨人Another ――番外編―― 第11話
――Part 1――
――――前回までのあらすじ――――
季節は梅雨真っ只中!104期訓練兵・第5席に位置し、ストラテジーに定評のある
「ユーク・トラス」は、ミカサに教えられた将棋に即座に夢中となった!!
ミカサの気遣いが空回りし、更に2人の仲に嫉妬して兵法講義中に大暴露勃発!!
この事件は、ユークとアニが各々、自身が抱える互いへの想いを考え直すきっかけとなった
件《くだん》のミカサのお詫びの際、アニは揺れる想いをミカサに打ち明けるも――――
――――――――
――――
――
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- 2 : 2013/11/19(火) 15:27:41 :
――――夕食後 食堂――――
ミカサ「ユーク、また私と将棋をして遊ぼう!」トコトコ
ユーク「いいよ。そう言うと思って、最近は用意を済ませてるから」ジャーン
ミカサ「ありがとう。では早速、始めよう!」ウキウキ
ユーク「それじゃ、君の先攻でいいよ?」
ミカサ「ふふふ、むやみに先攻を与えると、後で痛い目を見る事になる」
ユーク「その言葉、一度でも俺に勝ってから、言ってごらん?」プークスクス
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- 3 : 2013/11/19(火) 15:28:14 :
ミカサ「むぅぅ!見ていなさい、ユーク!!」
ミカサ「必ず、貴方を狼狽《うろた》えさせてみせるからっ!!」ビシッ
ユーク「…ほら、始めるよ?」ジッ
ミカサ「…うん」パチッ
ユーク「……」パチッ
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- 4 : 2013/11/19(火) 15:28:40 :
ユーク「それにしても、俺もミカサもすっかり将棋にハマっちゃったな」
ミカサ「ええ、将棋は奥が深い。可能性も選択肢も無限に広がっている」キラキラ
ユーク「そう!将棋が将棋である所以がそこに帰結する!!」ドーン
ミカサ「ユークは将棋の魅力は、他に何があると思う?」
ユーク「そうだなぁ、ミカサ。」
ユーク「このゲームってさ、とても人間味があるとは思わないか?」
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- 5 : 2013/11/19(火) 15:28:56 :
ミカサ「どういう事?」
ユーク「取った駒は味方となり、取られた駒は相手に寝返る」
ユーク「ただ殺して終わりなんかよりも、騙す騙されるっていう所が人間臭くて」
ユーク「この世界を抽象化した縮図だとは、思わないか?」
ミカサ「そこまで考えた事は、今までなかった」
ミカサ「なるほど、そういう見方もあり得るのね」
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- 6 : 2013/11/19(火) 15:29:16 :
ユーク「そうか、少し俺がひねくれていたのかな?」
ミカサ「いいえ、決してそんな事はない」
ミカサ「貴方がそう感じたのは、貴方には物事の本質を見抜く力があるから」
ユーク「そうなのかな?」
ミカサ「それは、貴方が誇るとても強い武器となる」
ミカサ「ので、その才能は、これからも作戦立案などの機会で、十二分に活かすべき」
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- 7 : 2013/11/19(火) 15:29:50 :
ユーク「ありがとう。主席のミカサに言われると自信がつくよ!」イキイキ
ミカサ「ふふっ、折角なので他にも思う所があれば、聞かせてほしい」
ユーク「そうだなぁ、例えばさ――――」
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- 8 : 2013/11/19(火) 15:30:09 :
アルミン「ユークとミカサ、またやってるね」
マルコ「うん、僕達も上達してユークに勝てるよう頑張ろう!!」
アルミン「うん、じゃあ今日も特訓だ!」
マルコ「僕も負けないよ?」
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- 9 : 2013/11/19(火) 15:30:49 :
ミカサ「やばい、負けそう…」アセアセ
ユーク「いい加減、投了したら?」ニヤニヤ
ミカサ「いいえ、私は最後まで諦めない」
ミカサ「諦めたら、そこで試合は終了してしまうから」キリッ
ユーク「(どっかで聞いた事あるなぁ、それ)」ハハ
ミカサ「うーん、うーん…」ナヤミ
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- 10 : 2013/11/19(火) 15:43:50 :
ユーク「(悩んでるミカサって色っぽくて…なんかいいな)」
ユーク「(さぁ悩め、悩め!)」ニヤニヤ
ミカサ「(なんとか一矢報《いっしむく》いる事はできないだろうか…あっ!閃いたっ!!)」
ミカサ「(これならば、きっといけるはず!!)」ジーーッ
ユーク「…そういえばアニは、どこ行ったんだ?」キョロキョロ
ミカサ「(い、今だぁーー!!)」バサァーーッ!!
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- 11 : 2013/11/19(火) 15:44:05 :
ユーク「え!?ちょ、ミカサぁーーっ!!」ゴチャゴチャーーッ!!
ミカサ「ふっ、これで試合は引き分けとなった」
ミカサ「いやはや、危ないところだった」フーーッ ヤレヤレ
ユーク「いや、意味分かんねぇよ!!」
ユーク「なんで盤ごと全部ひっくり返したんだ!?」ズイッ!
ミカサ「……」プーイ
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- 12 : 2013/11/19(火) 15:44:39 :
ユーク「無視すんなよ!おいぃぃ!!」ユサユサ
ミカサ「ユーク、男のくせに、たかが一局流れたくらいでみっともない」ハァ ヤレヤレ
ミカサ「もっと器の大きくて、大らかな性格になるべき」グラグラ
ユーク「いやいやいや!!ここまで『詰んでた』のに、それはないだろう!?」
ミカサ「ごめんなさい。もうしない」シュン
ミカサ「ので、許してほしい」ウルウル
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- 13 : 2013/11/19(火) 15:44:52 :
ユーク「その嘘泣きに免じて、今回は許そう」ハァ
ミカサ「(すぐに見破られた…悲しい)」グスッ(ほんと泣き)
ユーク「全く、もう」プンプン
ミカサ「けれど宣言通り、貴方を『狼狽《うろた》えさせる』という目的は達した」ドヤァ
ユーク「あぁ、確かにさっきそう言ってたね」
ユーク「だが、それは威張る事じゃない」ジトーーッ
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- 14 : 2013/11/19(火) 15:45:27 :
ミカサ「うぅっ…ごめんなさい」シュン
ユーク「(しおらしいミカサは、魅力的で可愛いんだけどなぁ)」
ユーク「(おっといけない、いけない。エレンに申し訳ないよ)」ブンブン
ミカサ「?」キョトン
ユーク「…あっ!今ので、新しい遊び方を思いついたよ」ピコーン
ミカサ「それは一体?」
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- 15 : 2013/11/19(火) 15:45:57 :
ユーク「こうやって、適当に駒を『積んで』おいて」ガチャガチャ
ユーク「こうして、1つずつ交互に駒を抜いていって…」ガラガラ
ユーク「…こんな風に積み上がりが崩れたら負け」
ユーク「簡単でしょ?」
ミカサ「ええ、それなら将棋自体を知らなくても、手軽に遊べそう」
ユーク「他にもこんな風に縦に積んでいくのを競うってのも、今思いついたけど」ヒョイヒョイ
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- 16 : 2013/11/19(火) 15:47:12 :
ミカサ「…なんで、そんなに上手に重ねてゆけるの?」
ミカサ「…難しい」バラバラ
ユーク「え?出来ないの?」
ミカサ「普通の人は、そう易々とはできないと思う」グヌヌ
ユーク「なんだ、そうなのか」
ミカサ「でも、これはこれとして、私達は将棋の方を楽しみましょう!」
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- 17 : 2013/11/19(火) 15:48:28 :
ユーク「もう、ズルしちゃダメだからね?」メッ!
ミカサ「ええ、反省している」シュン
ユーク「それじゃあ、開始だ」パチッ
ミカサ「よろしくお願いします」パチッ
ユーク「……」パチッ
ミカサ「…うーん」パチッ
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- 18 : 2013/11/19(火) 15:48:51 :
ユーク「さっきより、強くなったな」ウーム
ミカサ「ええ、貴方の上達が早いお陰で、私もいい具合に追いかける立場となっている」
ミカサ「ので、私の上達の早さも、とりわけ貴方のお陰と言って過言ではない」パチッ
ユーク「それじゃあ、追いつかれないように、俺も頭使うかな」パチッ
ミカサ「ユーク、貴方の勝ち筋には共通点がある事が、最近分かった」
ユーク「それは?」
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- 19 : 2013/11/19(火) 15:49:31 :
ミカサ「貴方は、『桂馬』を止めに使いたがる」
ユーク「…気付かれてたか」
ミカサ「何か拘りがあるの?」
ユーク「この『桂馬』ってなんか、自分と似た匂いがしてね」ヒョイッ ジーーッ
ミカサ「匂い?」クンクン
ユーク「ははっ、言葉の意味そのままじゃないよ?」
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- 20 : 2013/11/19(火) 15:50:08 :
ミカサ「わかっている。少しふざけただけ」クスッ
ユーク「この『桂馬』だけ、2手先斜め前という奇抜な動きをするだろ?」
ミカサ「ええ、確かに独特な雰囲気を持っている」
ユーク「実践的な話をすると、この『桂馬』という駒はね」
ユーク「相手の『金』や『銀』の存在を逆手に取る事で、相手に王手を掛けやすいんだよ」
ミカサ「そうだったの。それは気付かなかった」
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- 21 : 2013/11/19(火) 15:53:12 :
ユーク「…ただし、現実では、『王』を獲る為には、この『桂馬』は死ななければいけない」
ミカサ「……」
ユーク「将棋の『詰み』とは、白旗を揚げる事に等しい」
ユーク「つまり『王』の命は、ギリギリのところで助かるんだ」
ユーク「だが現実では、そうはいかない。誰かが『王』を殺さなければならない」
ユーク「そして、その目的を達する為には、必要な犠牲と殺生が必要だ」
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- 22 : 2013/11/19(火) 15:53:55 :
ユーク「側近の『金』や『銀』をも、一矢一殺の覚悟で獲《と》りに行かなければならない」
ミカサ「そうね」
ユーク「つまりこの『桂馬』は詰まる所、捨て駒であり、最後の手柄は別の駒が獲《と》る」
ユーク「なんとも、不条理だよな」ハァ
ミカサ「けれど、『桂馬』の活躍は、決して忘れ去られないだろう」
ミカサ「彼の意志は、必ず受け継がれるはず…そう信じたい」シュン
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- 23 : 2013/11/19(火) 15:54:30 :
ユーク「ごめん、どんよりした空気にしちゃったね」
ユーク「梅雨ってだけでも、鬱陶しいのにさ」ハハッ
ミカサ「いいえ、貴方のおかげでまた、気付かなかった事に目を向けて考えさせられた」
ユーク「どうしても、こういったことを考えてしまうんだ」
ユーク「もはや悪癖だ」ハァ
ミカサ「では、気分展開にもう一局、行きましょう」
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- 24 : 2013/11/19(火) 15:57:17 :
ユーク「ありがとう。でも俺が勝つからね?」
ミカサ「私こそ、負けっぱなしは納得がいかない」
ミカサ「ので、頑張るっ!!」ヨーシ!
ユーク「いつも付き合ってくれて、ありがとね」
ミカサ「それは、私の方こそ」ニコ
ユーク「でも、手加減はしないさ」キリッ
ミカサ「望むところ」キリッ
――――――――
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- 25 : 2013/11/19(火) 15:58:14 :
ミカサ「…惨敗」シュン
ユーク「また、戦術を考えてから、おいで」
ミカサ「(最早、私ではユークのストラテジーには、到底及ばず)」
ミカサ「(またそれに追い縋《すが》る事すら、できないのだろうか…?)」ガックシ
ユーク「(俺が、この将棋を通じて感じた事)」
ユーク「(ミカサには、全部は話していない)」
ユーク「(俺もまだ、“これ”の正体が何であるのかを、掴めていないから――――)」
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- 26 : 2013/11/19(火) 15:59:40 :
――――翌朝 食堂――――
ミカサ「ユークは駒に例えると、『桂馬』だと思う」
ユーク「唐突だね」
ミカサ「昨日、貴方が言っていた時に、ふと考えていた」
ミカサ「ここの皆にも各々に個性があって、駒に例えられるのではないかと」
ユーク「面白そうだな」
ユーク「例えばどんな?」
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- 27 : 2013/11/19(火) 16:00:21 :
ミカサ「例えば、クリスタ」
ミカサ「彼女は言わずもがな、『玉』だと思う」
ユーク「彼女も優秀だけど、『玉』だと言われちゃうと、納得せざるを得ないな」ハハ
ミカサ「貴方は、誰か思いついた?」
ユーク「ライナーは、あのガタイでタックルされたら、一溜《ひとたま》りもなさそうだ」
ユーク「だから例えるなら、きっと『飛車』だな」
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- 28 : 2013/11/19(火) 16:02:57 :
ミカサ「上手、その調子」
ユーク「一方、やんちゃなミカサは、きっと斜めから縦横無尽に駆け廻る『角』が似合う」
ミカサ「そうだろうか?」キョトン
ユーク「きっとそうだよ」
ミカサ「でもまた、私の事を『やんちゃ』と言う」
ユーク「本当の事さ」クスス
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- 29 : 2013/11/19(火) 16:03:08 :
ミカサ「私だって、少しは気にしているのに…」シュン
ユーク「…ごめんね?」
ミカサ「別にいい。私の努力で何とかする」
ユーク「まぁ、頑張ってね?」
ミカサ「話を戻そう」
ユーク「そうだな、話が逸れていた」
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- 30 : 2013/11/19(火) 16:03:46 :
ミカサ「それで、他には?」
ユーク「『金』は、きっとベルトルトだな」
ミカサ「どうして?」
ユーク「あいつは目立たないけど、結局のところ何でもできるだろ?」
ユーク「それはきっと、優秀な証拠さ」
ミカサ「なるほど、そう言う視点で捉えたのね」
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- 31 : 2013/11/19(火) 16:06:13 :
ユーク「あぁ、なんだかんだ言って、彼には憧れてるよ」
ミカサ「意外な言葉を聞いた」クスリ
ユーク「そうかい?」
ミカサ「ええ、貴方はあまり人に憧れるタイプではないと思っていたから」
ユーク「…悔しいからさ」ボソリ
ミカサ「え?」
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- 32 : 2013/11/19(火) 16:06:32 :
ユーク「いいや、何でもないさ!」
ミカサ「...?」
ユーク「『香車』は、ジャンって感じがするな」
ミカサ「これはまた、どうして?」
ユーク「あいつは実は、縁の下の力持ちでもあるからな」
ユーク「皆、それに気付かないだけで」
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- 33 : 2013/11/19(火) 16:07:18 :
ミカサ「そうなの」
ユーク「きっと意外な所で、活躍してくれているんだよ」
ユーク「そういう所が…似てるかな?」
ミカサ「ユークが皆の事をしっかりと見ているのが分かって、安心した」ニコ
ユーク「ははっ、じゃあ最後は『銀』だ」
ユーク「勿論これは、アニだな!」
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- 34 : 2013/11/19(火) 16:07:43 :
ミカサ「ほぉ、それはどうして?贔屓?」ニヤニヤ
ユーク「勿論、贔屓目なんてしていないぞ?」
ユーク「ちゃんと実力で判断してる!」
ミカサ「アニのどういったところが『銀』なの?」
ユーク「アニは小柄で、立体機動では前後方向の小回りが得意な事に基づいた」
ミカサ「なるほど、ちゃんと理に適っていた」チェッ
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- 35 : 2013/11/19(火) 16:08:58 :
ユーク「俺もちゃんと考えてるんだよ?」
ユーク「それと、なんで舌打ちしたの?」ネェ チョット
ミカサ「それはそれで安心した」
ミカサ「舌打ちは、聞き間違い」
ユーク「勿論そうさ!」
ユーク「いや、聞こえたよ?」
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- 36 : 2013/11/19(火) 16:09:08 :
ミカサ「きっと気のせい」
ミカサ「それよりも、他の遊びをしない?」
ユーク「いいよ。あの積み抜きゲーでいい?」
ミカサ「ええ、あれは意外とスリルがある事がわかって以来、面白いと思う」
ユーク「それじゃあ、やろうか――――」
――――――――
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- 37 : 2013/11/19(火) 16:10:34 :
ミカサ「むぅ、勝てない」
ユーク「ミカサだって、悪い手はしてないんだけどね」
ユーク「さて、何でだろうね?」
ミカサ「きっと、貴方にはツキを呼び込む力もあるんだろう」ハァ
ユーク「まぁ、そんな落ち込まないで?」
ユーク「こんなスケールの小さいゲームなんだし」
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- 38 : 2013/11/19(火) 16:10:45 :
ミカサ「ええ、そうね。私の持っているツキも逃げてしまう」コイ!コイ!
ユーク「ほかの遊びにする?」
ミカサ「いいえ、今日はこの遊びだけにする!」
ミカサ「貴方に勝ちたい!!」
ユーク「それじゃあ、後3回くらいして、今日はお開きにしようか」
ミカサ「ええ、そうしましょう――――」
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- 39 : 2013/11/19(火) 16:11:37 :
最近は番外編が多いですけど、気にしないでください
Part1終了です。
また、明日!!
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- 40 : 2013/11/20(水) 12:20:41 :
――Part 2――
――――同日 夜 談話室――――
ユーク「ベルトルト、少し話いいか?」ヒョコッ
ベルトルト「珍しいね。いいよ」
ユーク「(珍しい…か。そうだよな。今は別行動扱いなんだし)」
ベルトルト「それで、話って?」
ユーク「今は、2人しか居ない…だからここで話しても構わないだろ?」
ベルトルト「…わかったよ。でもあくまで遠回しにね?」
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- 41 : 2013/11/20(水) 12:21:13 :
ユーク「それは常に弁《わきま》えてるから、大丈夫だ」スチャ
ベルトルト「それで?」
ユーク「どうせだから、これでもしながら話そうぜ?」スッ
ベルトルト「最近、君がハマってるっていう『将棋』かい?」ジッ
ユーク「あぁ、お前も食堂で俺達がやってるの見てて…もう指せるんだろ?」
ベルトルト「…まだまだ初心者だけどね。横目で見ていたから、ルールはもう知ってる」
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- 42 : 2013/11/20(水) 12:22:52 :
ユーク「都合がいい。ゆったりと話そう」パチパチ
ベルトルト「お手柔らかにね?」パチパチ
ユーク「あくまで話がメインだから、邪魔が入りそうなら、これでカモフラージュする」
ベルトルト「なるほどね、そういう意図も含まれていたんだ」
ユーク「以前、お前と『あいつ』がチェスを使って、そうやってたのを横目で見たからな」
ベルトルト「鋭い観察眼だね」
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- 43 : 2013/11/20(水) 12:23:54 :
ユーク「それ程でもないさ」
ベルトルト「…それで、話って何だい?」
ユーク「…お前、実は『あいつ』以上に無理してないか?」
ユーク「…っていう話だ」パチッ
ベルトルト「…この前の話の続き?」パチッ
(『――番外編―― 第8話』参照)
ユーク「あの時、お前は自分の事は一切口にせず、『あいつ』の事ばかり気に掛けていた」
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- 44 : 2013/11/20(水) 12:24:24 :
ユーク「それに気付いて、少し心配でな」パチッ
ベルトルト「ありがとね…でも、僕は大丈夫だよ」パチッ
ユーク「…本当にそうなのか?」ジッ
ベルトルト「あぁ、まずは『彼』の更正が先決だ」
ユーク「…『あいつ』は、そんなに酷い状態なのか?」
ベルトルト「そうだね。今はすっかり『戦士』と『兵士』の人格が分離してしまっているよ」
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- 45 : 2013/11/20(水) 12:25:04 :
ユーク「…そうか、そこまで重傷だったとはな」
ベルトルト「……」
ユーク「その事…『彼女』には、言ったのか?」
ベルトルト「言えるわけがないよ…」
ベルトルト「彼女にだけは、余計な心配は掛けたくない」
ユーク「俺も同感だ…その必要はない」
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- 46 : 2013/11/20(水) 12:25:47 :
ユーク「…今のところはな」
ベルトルト「いつかは…言うつもりなのかい?」
ユーク「そうしなきゃ、始まらないだろ?」
ベルトルト「それは…いつ?」
ユーク「…未定だ」
ベルトルト「…そっか」
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- 47 : 2013/11/20(水) 12:26:48 :
ユーク「『2枚目』を破る前までには、必ず言うつもりだ」
ベルトルト「『彼女』は…“受け入れてくれる”かな?」
ユーク「“受け入れさせる”他…ないんだよ」
ベルトルト「辛い役目だね」
ユーク「仕方ないさ、俺が一番近いんだから…」
ベルトルト「(ユーク…その役目は僕が…)」
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- 48 : 2013/11/20(水) 12:27:13 :
ユーク「ん?どうかしたか?」
ユーク「近くに誰かいたとか?」キョロキョロ
ベルトルト「いいや、そんなんじゃないよ」
ユーク「じゃあ何だ?」キョトン
ベルトルト「これは、僕の中に留めておくよ」
ユーク「だから、そうやって何でも抱え込むのを、俺は心配してるんだよ!」
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- 49 : 2013/11/20(水) 12:27:58 :
ユーク「必要な事だろ?俺達を頼れよ!」
ベルトルト「ありがとう。気持ちは嬉しいよ…でも、“これ”ばっかりはいいんだ」
ベルトルト「(“これ”は…僕の我がままだから…言っちゃダメなんだ)」
ベルトルト「(僕が君を羨ましがっているだなんて…言えるわけがない…)」
ベルトルト「……」
ユーク「……」
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- 50 : 2013/11/20(水) 12:29:08 :
ユーク「(どうやら、俺の作戦は失敗したようだ)」
ユーク「(何にも聞き出せなかった…)」
ユーク「(これでは、俺は…ただこいつに、不安を与えただけだ)」
ユーク「(俺は…無力だな)」
ユーク「(俺にも…)」
ユーク「(俺にこそ!3人を助けられるような力が欲しい――――)」
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- 51 : 2013/11/20(水) 12:29:37 :
――――男子寮 自室――――
ユーク「ただいま」ガチャ
ライナー「よぉ!帰って来たか」
ユーク「…ライナー1人か?」
ユーク「…エレンとアルミンは?」キョロキョロ
ライナー「あいつらは、図書館に勉強に行ったぞ?」
ユーク「こんな時間に?ここですればいいんじゃないか?」
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- 52 : 2013/11/20(水) 12:32:12 :
ライナー「どうも、エレンが集中したい様子でな」
ライナー「アルミンを連れて、教官に許可を取りに行ったようだ」
ユーク「そうだったか…ちょうどいい」
ライナー「どうかしたか?」キョトン
ユーク「ライナー…今のお前は『戦士』か?」
ユーク「それとも…『兵士』か?」ジッ
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- 53 : 2013/11/20(水) 12:35:19 :
ライナー「え?何を言ってるんだ?」
ユーク「……!!」ピクリ
ライナー「俺達は、巨人と戦う兵士になる為に、ここに居るんだろ?」ワハハ
ユーク「……」
ユーク「(…これは、予想以上に重傷だった)」
ライナー「それがどうかしたのか、ユーク?」
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- 54 : 2013/11/20(水) 12:38:27 :
ユーク「(…なんで俺は、もっと早く気付けなかったんだ?)」
ライナー「おーい?」
ユーク「(こんな様じゃ…『戦士』は続けられない)」
ユーク「(いつ何時、支障を来さないとも限らない)」
ユーク「(ベルトルトが自分の心配をする事を放棄してまで)」
ユーク「(ライナーを気に掛けていたのかが、ようやく納得できた)」
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- 55 : 2013/11/20(水) 12:39:01 :
ユーク「……」ググッ
ライナー「おーい、ユーク?」
ユーク「ん?あぁ、すまないな」
ユーク「考え事をしていた」
ライナー「そうか!そういえば、ベルトルトを見なかったか?」
ユーク「ベルトルトならさっき談話室で会って、将棋を指しながら話をしたよ」
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- 56 : 2013/11/20(水) 12:39:18 :
ライナー「そうか、珍しいな!お前達が話をするなんて!!」
ユーク「…は?」
ライナー「いや、だからよ?お前とベルトルトが話をするなんて珍しいなって事だよ」
ユーク「(…ライナーは一体、何を言ってるんだ)」アゼン
ライナー「?」
ユーク「(何をキョトンとした顔をしてる…?)」
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- 57 : 2013/11/20(水) 12:40:15 :
ユーク「(どういう事だ?)」
ユーク「(いまいちよくわからない…とりあえず)」
ユーク「そんな事はないだろ?話くらい普通にするさ」
ライナー「いや?部屋でも寡黙なあいつは、口数は少ないはずだぞ?」
ユーク「いやだから、そんな事はないって」
ライナー「お前はともかく、俺は幼少期からずっとあいつと一緒に居たんだから!」
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- 58 : 2013/11/20(水) 12:40:40 :
ユーク「(…俺だって、10歳からはお前達と行動を共にしていたぞ?)」
ユーク「(まだ核心へ迫れない…俺の理解が追いついていない…のか?)」
ライナー「まぁなんだ、あいつとも仲良くしてやってくれ。あと1年なんだしな」ニカッ
ユーク「あ、あぁ…こちらこそ宜しく?」
ライナー「それじゃあ、俺はもう寝るからな!おやすみ」バサッ
ユーク「あぁ、おやすみ」
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- 59 : 2013/11/20(水) 12:41:20 :
ガチャ
ベルトルト「ただいま」
ユーク「あぁ、お帰り」
ユーク「丁度いいタイミングだったよ」
ベルトルト「…何かあったの?」
ユーク「今この場には俺達3人…正確にはライナーは寝てるから、実質2人だ」
ベルトルト「うん、それで?」
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- 60 : 2013/11/20(水) 12:41:57 :
ユーク「今、『あいつ』と話してたんだ」
ベルトルト「そうなんだ。兵士の『彼』は、どんな感じだった?」
ユーク「…状況は想像以上に、拙《まず》い事になっていた」
ベルトルト「え?どういう事!?」
ユーク「順を追って話していく」
ユーク「まずは帰った後に、『あいつ』が話し掛けて来てな――――」
――――――――
-
- 61 : 2013/11/20(水) 12:42:24 :
ユーク「――――という話の流れだ。わかったか?」
ベルトルト「それは…深刻だね。本当に…」
ユーク「『あの発言』には俺も動揺して、その時は思考が固まってしまった」
ベルトルト「仕方ないよ。それほど今の『彼』は、深刻な状態なんだから」
ユーク「…『あいつ』は俺の事を、同郷だと認識していなかった」ジッ
ベルトルト「どういう事だと思う?」
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- 62 : 2013/11/20(水) 12:42:45 :
ユーク「…あいつ、自身で記憶を改竄《かいざん》してる」
ユーク「おそらく、自分にとって都合の悪い記憶を全て…」ハァ
ベルトルト「だから、(任務として別行動をとっている)君の事を誤認したんだね」
ユーク「あれは『あいつ』が『戦士』ではなく、『兵士』で居続ける為の防衛本能だ」
ユーク「最早、『あいつ』は『兵士』の殻に閉じ篭《こも》ってしまったようだ」ガクッ
ベルトルト「やっぱり、そうだったんだね」
-
- 63 : 2013/11/20(水) 12:43:07 :
ユーク「心当たりがあったのか?」
ベルトルト「実は、さっきの君と同じように」
ベルトルト「僕も『彼』と話が噛み合わなくなる事が、時々あってね…」
ユーク「…なんで、もっと早く言ってくれなかった?」
ベルトルト「ずっと、僕の勘違いだと“思っていた”」
ベルトルト「いや、そう“思っていたかった”んだ!」
-
- 64 : 2013/11/20(水) 12:43:58 :
ユーク「…そうだな。それが“普通”の反応だ」
ユーク「致し方がない」
ベルトルト「…ごめん、もっと早く、君にだけでも言うべきだったんだ」ガクッ
ユーク「済んだ事は、悔やむべきではない」
ユーク「それは、次に繋げよう!」
ベルトルト「『彼女』には、この事は…今は絶対に言えないね」
-
- 65 : 2013/11/20(水) 12:44:19 :
ユーク「あぁ、やはりまだ尚早だ」
ユーク「『彼女』に話す前に、今のうちに対策を考えよう」ハァ
ベルトルト「僕は、どうすればいい?」
ユーク「『戦士』としての記憶が深層心理へ埋め込まれているのなら」
ユーク「『あいつ』から秘密が漏洩する危険性は低いと考えられる」
ユーク「が、何がきっかけで『戦士』の状態に戻るのかは、まだ明らかではない」
-
- 66 : 2013/11/20(水) 12:44:37 :
ベルトルト「それじゃあ...」
ユーク「そこでベルトルトには、この先暫くの間は、『あいつ』へ言葉を掛け続けてほしい」
ユーク「言葉でもダメなら、何かの行動や仕草でも構わない」
ユーク「秘密が漏洩してしまう前に、“一時的にでも”『戦士』に戻す方法を見つける他」
ユーク「俺達が、作戦を成功させる道筋は有り得ない!!」
ベルトルト「わかったよ、やってみる」
-
- 67 : 2013/11/20(水) 12:44:59 :
ベルトルト「いや、必ずやってやる!」
ユーク「その意気だ、ベルトルト。ただし…」
ユーク「他人が居る前で『あいつ』を『戦士』に戻すのは、得策ではない」
ベルトルト「そうだね、“あの時”の記憶が戻って、発狂されたりしても困るからね」
ユーク「あぁ、俺と『彼女』は直接手を下してはいないが…お前達2人は…」ジッ
ベルトルト「うん…そうだね。僕達はもう…」
-
- 68 : 2013/11/20(水) 12:46:27 :
ユーク「それ以上は言うな」
ユーク「その言葉は、自分を苦しめるだけで意味はない」フルフル
ベルトルト「君は、最後の心の支えだよ、ユーク」
ユーク「『彼女』にはまだ言えない手前、俺達でなんとかするしかない」
ベルトルト「頑張ろう、ユーク!」グッ
ユーク「あぁ、“今度は俺達が”『あいつ』を助ける番だ!!」
-
- 69 : 2013/11/20(水) 12:46:56 :
ベルトルト「『彼』には、ずっと苦労を掛けてきたからね」
ユーク「そうだな。ずっと俺達の兄貴分で、面倒を見て貰った」
ベルトルト「今度は僕達が『彼』に返す番だよね」
ユーク「…部屋に誰か近づいて来た」シッ
ベルトルト「エレンとアルミンかな?」
ユーク「わからないが、この話はこれで終わりだ」
-
- 70 : 2013/11/20(水) 12:47:58 :
ユーク「区切りがいいところで終えられて良かったよ」
ベルトルト「そうだね。後少し遅れていたら…」
ユーク「とにかく今は、悟られないように、ベッドに戻ろう」ソソクサ
ベルトルト「僕は、寝たふりをしてるから、説明は頼んだよ?」
ユーク「あぁ、任せとけ」モゾモゾ
ベルトルト「……」シーン
-
- 71 : 2013/11/20(水) 12:48:22 :
ガチャ バタン
エレン「うへぇぇー、疲れたぁーー」グテーン
アルミン「ただいま」
ユーク「よぉ、遅くまで勉強とは、ご苦労さんだな」モゾモゾ
エレン「ライナーとベルトルトは?」
ユーク「もう寝たようだ。疲れていたみたいだな」チラ
ライナー「Zzz」グガーー
-
- 72 : 2013/11/20(水) 12:48:36 :
ベルトルト「ぐーぐー」
アルミン「そうみたいだね。僕達も寝ようか」
エレン「そうだなぁ、疲れたしなぁ」グテテーン
ユーク「エレン、夏だからって、床で寝たら風邪引くぞ?」クスッ
エレン「おうぅ、それはいけねぇなぁ」モゾモゾ
アルミン「おやすみ、2人とも」
-
- 73 : 2013/11/20(水) 12:50:16 :
エレン「おやすみなぁ、アルミン、ユーク…Zzz」
ユーク「おやすみ」チラ
ベルトルト「(良い対応だったよ、ユーク!)」グッ
ユーク「(あぁ、こちらは大丈夫だ!)」コクリ
ベルトルト「……」シーン
ユーク「……」シーン
――――――――
-
- 74 : 2013/11/20(水) 12:51:36 :
ユーク「(ライナーの記憶の改竄…)」
ユーク「(さっきベルトルトと話した通り、状況は芳《かんば》しくない)」
ユーク「(やはり、あの様子では俺の事を…)」
ユーク「(そしておそらくアニの事も、今やただの同期としか認識していないだろう)」
ユーク「(これで俺が直接、ライナーへ干渉する事は出来なくなった…)」
ユーク「(ライナーを任せられるのは、これでお前だけになった)」
-
- 75 : 2013/11/20(水) 12:52:22 :
ユーク「(頼んだぞ、ベルトルト…)」
ユーク「……」
ユーク「(俺は…仲間の1人も助けられず、無力だ)」
ユーク「(俺に出来る事は、ベルトルトに指示を与える事だけなのだろうか?)」
ユーク「(俺がライナーに、“直接”干渉する事ができれば…おそらくは――――)」
-
- 76 : 2013/11/20(水) 12:53:18 :
Part2終了です
この続きは、おそらく2日後
明日は、本編第23話の予定
-
- 77 : 2013/11/22(金) 11:24:10 :
――Part 3――
――――翌朝 食堂――――
ユーク「……」ズーン
ミカサ「おはよう、ユーク」
ユーク「あぁ、おはよう」チラ
ミカサ「隣に座っても、構わないだろうか?」
ユーク「どうぞ?」ハァ
ミカサ「では、失礼する」スチャ
-
- 78 : 2013/11/22(金) 11:24:39 :
ユーク「…隣でいいのかい?」チラ
ミカサ「ええ、構わない」
ユーク「前にも言ったけど、男の人にそんな事したら、勘違いされる事もあるよ?」ハァ
(『――番外編―― 第9話』参照)
ユーク「君みたいな綺麗な顔立ちの子がさ…」ズーン
ミカサ「今はそんな事は、どうだっていい」
ミカサ「ユーク、貴方は…」
-
- 79 : 2013/11/22(金) 11:25:03 :
ユーク「ん?」ハァ
ミカサ「どうも塞《ふさ》ぎ込んでいる様子」
ユーク「そう見えるかい?」チラ
ミカサ「さっきから、下を向いて溜め息ばかり」
ミカサ「どうかしたの?」
ユーク「…誰にも言わないでね?」
-
- 80 : 2013/11/22(金) 11:25:51 :
ミカサ「ええ、約束する」
ユーク「アニにもね」
ミカサ「アニには、言い難い事?」
ユーク「約束してくれ」
ミカサ「わかった。誓おう」
ユーク「ありがとう。それなら話せるよ」
-
- 81 : 2013/11/22(金) 11:26:42 :
ミカサ「話を遮《さえぎ》って申し訳ないけれど、アニは今はどこに?」キョロキョロ
ユーク「アニは教官からの頼まれ事で、席を外してるよ」
ミカサ「そう。でも意外」
ユーク「何がだい?」チラ
ミカサ「いつもの貴方ならば、すぐに彼女を助けに行くはず」
ユーク「確かにいつもの俺なら、真っ先にアニの元へ向かうだろうね」
-
- 82 : 2013/11/22(金) 11:27:38 :
ミカサ「ええ。でも今日に限ってそうしないのは、今落ち込んでいる事と関係があるの?」
ユーク「…まぁ、その通りだよ」ハァ
ミカサ「話してもらえるだろうか?」
ミカサ「貴方の力になりたい」ジッ
ユーク「じゃあ、話を再開するよ」スゥッ
ミカサ「ええ、お願い」ジッ
-
- 83 : 2013/11/22(金) 11:27:57 :
ユーク「…ミカサはさ」ジッ
ミカサ「なに?」
ユーク「…もし、仲間が自分達の元から離れようとしていたら、どうやって引き留める?」
ミカサ「それは、どういう事だろうか?」
ユーク「もし…ずっと共に居た仲間が、仲間でなくなってしまうような危機が生じたら…」
ミカサ「……」
-
- 84 : 2013/11/22(金) 11:28:23 :
ユーク「君は一体、どんな選択をするんだい?」ジッ
ユーク「それを…教えてほしい」
ミカサ「私は…」
ユーク「俺には…どうすればいいのか、解らないんだ」
ミカサ「…ユーク」
ユーク「俺はっ!その仲間の為に…今は何もしてやれないんだ…」ギリッ
-
- 85 : 2013/11/22(金) 11:28:40 :
ミカサ「……」
ユーク「なぁ、ミカサ…君なら」
ユーク「ずっと“親友”を持ち続けてきた事がある、君なら…」ジッ
ミカサ「……」ゴクリ
ユーク「この先、どういう選択をするんだい?」
ユーク「教えてくれ…」
-
- 86 : 2013/11/22(金) 11:29:45 :
ミカサ「……」
ユーク「……」ジッ
ミカサ「…ユークが言った事が」
ミカサ「『友達の気持ちを繋ぎとめておく事』であるというのであれば…」
ミカサ「その答えはきっと、無限の選択肢が広がっていると、私は思う」
ユーク「それは…ずるくないかい?」
-
- 87 : 2013/11/22(金) 11:32:05 :
ミカサ「でも、そういうものだと…私は思っている」
ユーク「それじゃあ…『どうすればいいのか』の解決に…なっていないよ」
ミカサ「聞いて…ユーク」
ユーク「…何をだい?」チラ
ミカサ「可能性が広がっているという事は…決して悪い事ではないと…私は思う」
ミカサ「だって…その中には必ず、“答え”があるはずだから…」
-
- 88 : 2013/11/22(金) 11:34:17 :
ユーク「でも“結果”として、“正解を導かなければ”…意味なんてないよ」
ミカサ「その考え方を否定する事は、私には出来ない…でも」
ユーク「……」
ミカサ「でも…それは、私達に選ぶ権利が与えられているという事」
ミカサ「それは、運命が私達の努力次第で、幾らでも変えられるという事だから」
ユーク「ミカサ…」ジッ
-
- 89 : 2013/11/22(金) 11:35:53 :
ミカサ「だから…『諦めないで!』、ユーク!!」ジッ
ユーク「……」
ミカサ「貴方には、とても大切なものがあるはず」
ユーク「…それは」
ミカサ「それが何であるかは、貴方自身が決めればいい」
ミカサ「私は、絶対に干渉できないから」
-
- 90 : 2013/11/22(金) 11:36:43 :
ユーク「俺の…大切なもの…」
ミカサ「ええ。貴方はそれを守る事だけを、懸命に考え続ければいい」
ミカサ「たった、それだけの事」
ユーク「たった…それだけで…いいのかい?」
ミカサ「それは、“貴方にしかできない事”であり、皆も同じ様に、そうやって生きている」
ミカサ「その“選択”に対して、初めから“結果”を求めてはいけない」
-
- 91 : 2013/11/22(金) 11:37:33 :
ミカサ「“結果”は、最後まで決して…誰にも解らないものだから」
ユーク「大変だな…人の気持ちを繋ぎ止めておく事って」
ミカサ「ええ、とても大変」
ユーク「常に『結果が見えない』だなんて、不安で仕方がないよ…」
ミカサ「でも私達はずっと、その努力をし続けなければならない」
ユーク「何の為だろうね?」
-
- 92 : 2013/11/22(金) 11:44:17 :
ミカサ「それはきっと…私達がずっと勉強し続けて行く為」
ユーク「人生は、ずっと勉強し続ける…ね」
ミカサ「その通り。それを放棄した者は、死んだも同然」
ユーク「手厳しいな、ミカサはさ」クスッ
ミカサ「ふふっ、今日初めて笑った」ニコ
ユーク「そういえば、そうだったな」
-
- 93 : 2013/11/22(金) 11:46:00 :
ミカサ「貴方はやはり、いつも笑っていないと」クスリ
ユーク「そう言うミカサだって、笑顔が似合ってるんだぞ?」
ミカサ「それは嬉しい。でも…」
ユーク「ん?」
ミカサ「その言葉は、アニに言ってあげて。貴方の口から」ニコ
ユーク「一応、聞くけど…どうしてだい?」
-
- 94 : 2013/11/22(金) 11:46:34 :
ミカサ「アニが…一番喜ぶから」ニコ
ユーク「…わかったよ。また今度ね」
ミカサ「ええ、きっと…」
ユーク「ありがとう!気持ちの整理がついて、落ち着いたよ」
ミカサ「どういたしまして」
ユーク「それじゃあ、ご飯食べようか!」
-
- 95 : 2013/11/22(金) 11:48:12 :
ミカサ「ええ、いただきます」スッ
ユーク「いただきますっ!」スッ
ガチャ バタン
トコトコ フラフラ
アニ「ふぅ…やっと終わったよ」クタクタ
アニ「全く、人使いが荒いんだから」プンプン
ユーク「おっ!おはよう、アニ!!」ブンブン
ミカサ「こっちよ」チョイチョイ
-
- 96 : 2013/11/22(金) 11:48:56 :
アニ「2人だけとは、珍しいね」
ユーク「偶には、こういう事もあるよ」
ミカサ「アニが知らないだけ」
アニ「(むっ!なんかムカつく)」ムムッ
ユーク「さっ!アニも早く食べようぜ?」
ミカサ「ほら、ユークもこう言っている」
-
- 97 : 2013/11/22(金) 11:50:20 :
ミカサ「ので、アニも早く」
アニ「わかったよ」
ユーク「あっ、そうだ、アニ!」
アニ「なんだい?」チラ
ユーク「アニは一番、笑顔が似合うからな!ずっと笑顔でいてくれよ?」ニカッ!
アニ「(どきりっ!!)」ピクン
-
- 98 : 2013/11/22(金) 11:50:49 :
アニ「ごほっ!ごほっ!///」ドキドキ
アニ「な、何をいきなり///」ドキドキ
ユーク「だって気持ちは、伝えた者勝ちだもんな!」
ユーク「だろ!ミカサ?」
ミカサ「ええ、その通り」ニコ
アニ「アンタの差し金かい、ミカサ?」
-
- 99 : 2013/11/22(金) 11:51:43 :
ミカサ「別に、悪意を持っている訳ではない」
ミカサ「私は、少し背中を押しただけ」
ミカサ「ので、これはユークの本心」ニコ
アニ「ま、まぁ、いいさ…///」テレテレ
ユーク「アニ」ニコニコ
アニ「恥ずかしいから、そんな眼で見つめないでよ///」モジモジ
ミカサ「(微笑ましい――――)」ニコ
-
- 100 : 2013/11/22(金) 12:31:34 :
おそらく、これで今日の分はおわりです。
しかし、Part2自体はまだ続きがあります。
Part2を2つに区切りました。続きはまた明日
そして今日は、本編24話も前半だけを公開しています
そちらもご覧いただけるとありがたいです
-
- 101 : 2013/11/23(土) 10:33:31 :
――――夜 談話室――――
ユーク「……」
マルコ「…珍しく黄昏《たそがれ》て、考え事かい?」
ユーク「…マルコ」チラ
マルコ「僕でよければ、話を聞くけど?」スッ
ユーク「…俺には、1つの悩みがあったんだ」
マルコ「悩みかい?」
-
- 102 : 2013/11/23(土) 10:33:52 :
ユーク「そう、悩みだ…」
マルコ「また…ミカサ関連かい?」
ユーク「なんで…そう思ったんだ?」
マルコ「最近、君はミカサとも一緒に居る事が多いと思ったからさ」
マルコ「それこそ、アニと一緒に居る時間の長さと同じくらいにね」
ユーク「…そうだったか…やはりな」
-
- 103 : 2013/11/23(土) 10:34:29 :
マルコ「で、悩みの核は?」
ユーク「いや、ミカサじゃない」
マルコ「じゃあ、アニの事?」
ユーク「それは…当たらずとも、遠からずと言ったところだ」
マルコ「…無理には聞かないよ」
ユーク「ありがとな。マルコのそういう所が、俺は気に入っている」
-
- 104 : 2013/11/23(土) 10:35:01 :
マルコ「こちらこそ、ありがとね」
ユーク「…この問題は、俺が自分で考えて、答えを出すべきだからさ」
マルコ「……」
ユーク「だから悪いけど、マルコには溜息は聞いてもらっても」
ユーク「悩みを聞いてもらう事は、出来ないんだよ」
マルコ「人生偶には、そういう事も必要なものさ」
-
- 105 : 2013/11/23(土) 10:35:25 :
ユーク「…そうなのかもな」
ユーク「『人生は最期まで、勉強の繰り返し』だ」
マルコ「誰かから聞いたのかい、それ?」
ユーク「…秘密の人だ」
マルコ「…そうかい」
ユーク「ところで、寝る前の気分転換に、一局付き合ってくれないか?」
-
- 106 : 2013/11/23(土) 10:35:46 :
マルコ「いいよ、僕も強くなったからね?」ニヤ
ユーク「そりゃあ、楽しみだ!」
マルコ「(きっかけは何でも良かったけど、ユークが元気になれそうで、僕も良かったよ)」
――――――――
-
- 107 : 2013/11/23(土) 10:36:17 :
ユーク「…珍しい守り方してるな」ジーーッ
マルコ「うん。“広いけれど浅く”よりも“狭いけれど深く”ね?」
ユーク「『狭いけれど深く』…か」
ユーク「(選び抜いたものだけを守る事に特化した戦術)」
ユーク「(この本質は、『俺の求める答え』の本質と、どこか似ている気がする...)」
ユーク「…!!」
――――――――
――――
――
-
- 108 : 2013/11/23(土) 10:37:34 :
ミカサ『ユークがアニの事を、とても気にしていたから――――』
全く、いつもいつも…何を言ってるんだ、君は――――
ライナー『おい、ユーク。これから3年間、アニの事…頼んだぞ?――――』
当たり前だ…彼女が悲しんでいるところなんて、見たくない!――――
ベルトルト『ユークはもっと僕達を頼っても、良いんだからね?――――』
お前は、いつも俺達の事ばかり気に掛けて…少しは自分を心配しろってんだ――――
アニ『ユーク…いつも私を守ってくれて…ありがとね――――』
“ここ”へ来た時からずっと、君は俺にとっての、最後の家族のような存在だった
そして今、この時を経て、俺は…アニ…君の事を――――
-
- 109 : 2013/11/23(土) 10:38:54 :
――
――――
――――――――
ユーク「……」ツーー
ユーク「(…そうか、忘れていたのかもしれないな)」ポロッ
マルコ「(ユーク…)」
マルコ「どうかしたのかい?」
ユーク「…わかった気がしたんだ」グシグシ
マルコ「…そう、よかったね」ニコ
-
- 110 : 2013/11/23(土) 10:39:16 :
ユーク「きっかけをくれて、ありがとな!」ニッ
マルコ「そうかい。それじゃあ今日は、これで終わりにしておく?」
ユーク「すまないな。途中で止めてしまって」
マルコ「構わないよ。将棋はいつだってできるけどさ」
マルコ「ユークがしたい事は、今じゃないとできないんだろ?」
ユーク「ありがとな!俺はその為に部屋に戻るよ!!」タッタッタ
-
- 111 : 2013/11/23(土) 10:39:41 :
マルコ「あっ!ユークったら、将棋の盤と駒を忘れて行ったよ」
マルコ「本当に珍しいね。彼がこんなミスするなんてさ」
マルコ「彼は…何を感じたんだろうね」
マルコ「……」
マルコ「僕にも…何か少し…」
マルコ「彼の気持ちがわかるような気がするのは…なんでだろうか?」
-
- 112 : 2013/11/23(土) 10:40:05 :
――――男子寮 自室――――
ガチャ バタン
ユーク「ただいま」
エレン「おかえりー!遅かったな」
ユーク「少し、マルコと話をしていてな」
エレン「そうなのか」
ユーク「でも、もう眠いから横になってるよ」スタスタ
エレン「そうか、おやすみ」
-
- 113 : 2013/11/23(土) 10:40:34 :
ユーク「おやすみ」バサッ
ユーク「……」モゾモゾ
ユーク「(何か…掴めた気がしたんだ!)」
ユーク「(もう少しで、『その答え』が見つかる気がするよ、ミカサ!)」
ユーク「(それは何か、将棋と似ているような気もしたんだ!)」
ユーク「(俺が大切に想うもの…それはきっと――――)」
-
- 114 : 2013/11/23(土) 11:04:14 :
2日間に分けたPart3終了です
この試行どうだったでしょうか?
本編も24話を完結させましたので、そちらもご覧ください
明日は、Part4を全て公開します
それでは!
-
- 115 : 2013/11/24(日) 13:18:29 :
――Part 4――
――――翌日 昼 休憩中――――
ユーク「ふぅ…今日の立体機動訓練は、少しきつかったな」バシャバシャ
ユーク「ベルトに体を引っ張られ過ぎて、体中が悲鳴を上げている」ズキズキ
ユーク「はぁ…明日はきっと、筋肉痛だろうなぁ」ハァ イヤダ
ユーク「……」
ユーク「(一晩考え続けて、『答え』はきっと、纏まったと思う)」
ユーク「(“2人”に気付かされるまでは、意識していなかったな…こんな事は)」
-
- 116 : 2013/11/24(日) 13:18:57 :
ユーク「(これもミカサの言葉をはじめ、マルコがくれたきっかけのお陰でもある)」
ユーク「(マルコには昨日お礼を済ませたから、今日はミカサにもお礼を言いに行こう!)」
ユーク「(…昨晩に一睡もしなかったから、今回は本調子を出せなかったなんて)」
ユーク「(お笑い草だな、こりゃ)」
ユーク「(これ以上あいつらに離されない様に、立体機動で点を稼がないといけないのにな)」
ユーク「(はぁ…身体いてぇな…)」ズキズキ
-
- 117 : 2013/11/24(日) 13:19:16 :
タッタッタ
ユーク「(…誰かが近づいて来ている?)」ジッ
ベルトルト「はぁっ、はぁっ!!」タタタ
ユーク「ベルトルトじゃないか」
ユーク「珍しく息切らせて、どうかしたか?」
ベルトルト「……ぜぇぜぇ」ハァハァ
ユーク「あっ!お前も顔洗いに来たのか?」
-
- 118 : 2013/11/24(日) 13:19:58 :
ユーク「すげぇ、急いでいたようだけどさ」ハハッ
ベルトルト「ユーク!聞いてくれ!!」
ユーク「どうしたんだ?大声出して」
ユーク「それに、こんな堂々と近づいて来て大丈夫なのか?」
ベルトルト「あっ、それは大丈夫」
ベルトルト「周囲の確認は、常に怠ってないからさ」
-
- 119 : 2013/11/24(日) 13:20:53 :
ユーク「なら、いいけどさ」
ユーク「それで、一体どうしたんだ?」
ベルトルト「ライナーを『戦士』に戻せる言葉が見つかったんだよ!」
ユーク「…!!」
ユーク「それは…本当か?」ヒソヒソ
ベルトルト「嘘じゃないよ」ヒソヒソ
-
- 120 : 2013/11/24(日) 13:21:34 :
ユーク「“あれから”、お前はあいつに何をしていたんだ?」
ベルトルト「ユークの言った様に、『戦士』に関連のある言葉を掛け続けたんだ」
ベルトルト「勿論、忠告通り、2人の時にだけね」
ユーク「そうか、それでどうだった?」
ベルトルト「うん。『故郷』って言葉に、最も反応を示していたと思うよ」
ユーク「そうか、それならいつ呼び戻しても、状況として大丈夫そうだな」
-
- 121 : 2013/11/24(日) 13:22:08 :
ユーク「それと、記憶が戻った際の後遺症などはあったか?」
ベルトルト「特に叫び出したり、泣き出したりする事はなかったよ」
ベルトルト「ただ…」
ユーク「なんだ?」
ベルトルト「現実を再び見て絶望し…うな垂れたていたようだったよ」
ユーク「それは受け入れなければならない、俺達の宿命だ」
-
- 122 : 2013/11/24(日) 13:22:46 :
ユーク「それについては、事関して(他の事ならばともかく)致し方がない」
ベルトルト「そうだね」
ユーク「…よかったじゃないか」
ユーク「まだ俺達にも、希望は…残っているようだ」
ベルトルト「…そうさ!」
ユーク「それじゃあ、これからもあいつの事は、よろしく頼むぞ?」
-
- 123 : 2013/11/24(日) 13:23:08 :
ベルトルト「うん!任せておいてくれ!!」
ベルトルト「(僕だって、3人の為に役に立ちたいんだ!いや…立つんだ!!)」グッ
ユーク「(『任せて』…か)」
ユーク「(そういえば…そうだったよな!)」
ユーク「(俺ももっと、『視野を広く持って』)」
ユーク「(自分1人で、何でも解決しようとせずに…)」
ユーク「(“仲間を頼る勇気”を持つべきだよな!!――――)」
-
- 124 : 2013/11/24(日) 13:23:40 :
――――夜 食堂 夕食後――――
ユーク「昨日はありがとう、ミカサ」パチッ
ミカサ「お礼は、昨日聞いた」ウーン
ミカサ「ので、もういい」パチッ
ユーク「俺自身の中で、気持ちを整理する事が出来たと思うよ」パチッ
ミカサ「それは、よかった」ウーン
ユーク「でも具体的な方法については、結局、言及していなかったよね」マダカイ?
-
- 125 : 2013/11/24(日) 13:24:07 :
ミカサ「教えてほしい?」ジャア コレダ! パチッ
ユーク「参考までに聞いておきたい」アマイヨ! パチッ
ミカサ「あくまで『参考』までに?」グハァ ヤラレタ! グヌヌ…
ユーク「答えは…俺自身で探し出すからさ」ナヤメ!ナヤメ!
ミカサ「少し、『手』を緩めてくれれば、話そうと思う」モウムリ!
ユーク「君は手加減される事が、嫌いだと思ってさ」
-
- 126 : 2013/11/24(日) 13:24:41 :
ユーク「常に本気を出していた“つもり”でいたんだけど」トウリョウ シナヨ
ミカサ「ええ、確かに手加減は嫌い…え?『つもり』とは?」トウリョウハ イヤ! アキラメ タクナイ!!
ユーク「俺の本気に挑みたかったら、もっと戦術を磨いて出直しておいで」コレデ ツミダ!
ミカサ「…また負けた。全然勝てない」シュン
ユーク「でも、ミカサも着実に上達してるよ?」
ユーク「単に、俺との上達速度に差があるだけさ」ジャラジャラ
-
- 127 : 2013/11/24(日) 13:25:19 :
ミカサ「ぐぬぬ、悔しいが反論できない」
ユーク「じゃあ、もう一局して、俺に近づくかい?」
ミカサ「ええ、是非お願いしよう!」イザ!
-
- 128 : 2013/11/24(日) 13:25:42 :
――――――――
ユーク「ねぇ、ミカサ」パチッ
ミカサ「何?」パチッ
ユーク「昨日、君が言っていた、『大切なもの』について考えてみたよ」パチッ
ミカサ「そう…それで、結論は出た?」パチッ
ユーク「まぁね」パチッ
ミカサ「何とは聞かない」
-
- 129 : 2013/11/24(日) 13:26:19 :
ユーク「そうかい?」
ミカサ「ええ、それは“誰”?」
ユーク「なんだ、そりゃ」ハハッ
ミカサ「ねぇ、教えて」ニヤニヤ
ユーク「その顔、俺の答え…知ってるんじゃないの?」クスッ
ミカサ「いいえ、『貴方の口から』聞きたい」ニマニマ
-
- 130 : 2013/11/24(日) 13:26:50 :
ミカサ「ので、早く答えて。待ちきれない」ワクワク
ユーク「ところで、ミカサ」
ミカサ「あっ!話を逸らさないで」
ユーク「君にとっての『玉』って何だい?」ジッ
ミカサ「『玉』とは、この将棋の?」
ユーク「そっ!俺達が守らなければならない、大事なもの」
-
- 131 : 2013/11/24(日) 13:27:41 :
ミカサ「…なるほど、そういう事」
ユーク「その通り。さっきの君の質問の答えにも相当する代物《しろもの》だ」
ミカサ「私にとっての『玉』は勿論、エレン!!」ドーン!!
ユーク「まっ、それは知っていたけどね」シレッ
ミカサ「そ、そんな…恥ずかしい…///」モジモジ テレテレ
ユーク「(うざっ)」アキレ
-
- 132 : 2013/11/24(日) 13:28:03 :
ミカサ「ユーク、その顔は何?」ジトーーッ
ユーク「何でもないさ」
ミカサ「それで、貴方にとっての『玉』とは誰?」
ユーク「俺は『誰』だなんて言ってないよ?『何』としか」クスッ
ミカサ「ん?私の考えている事と相違する?」キョトン
ユーク「秘密だよ」ニッ
-
- 133 : 2013/11/24(日) 13:28:36 :
ミカサ「そんな!私だけ言うのは、不公平」ブーブー
ミカサ「ので、貴方も白状するべき!」ユサユサ
ユーク「俺が言うだなんて、一言も言ってないさ」
ユーク「君は、俺の質問に答えたに過ぎないのさ」グラグラ
ミカサ「女の子を騙すなんて、男として酷い」
ミカサ「ので、成敗、成敗!!」ポカポカ
-
- 134 : 2013/11/24(日) 13:30:53 :
ユーク「ミカサのポカポカパンチは、随分と優しいな」アハハ
ミカサ「これは貴方なので、特別優しくしている」ポカポカ
ミカサ「ので、素直に教えてほしい」ジッ
ユーク「…仕方ないね。それは…」
トコトコ
アニ「アンタらは、今日も仲がいいね」ムスッ
ユーク「アニも将棋するかい?」
-
- 135 : 2013/11/24(日) 13:31:29 :
アニ「そうだね。じゃあ一局付き合ってよ」
ユーク「楽しみだな!」
ミカサ「アニ、これからユークが重大発表をする」
ミカサ「ので、聞いていてほしい…もがもが!」ジタバタ
ユーク「ミカサはもういいからさ。寮へ戻ってていいよ?じゃあね!」
ミカサ「そんな!酷い…もがもが」ジタバタ
-
- 136 : 2013/11/24(日) 13:32:06 :
ユーク「後はエレンに任せよう。おーい、エレーン!」
エレン「…またミカサが迷惑掛けたな」グイグイ
ユーク「それじゃあ、ミカサの後始末は、よろしくな?」フリフリ
エレン「すまないな。ごゆっくり」グイグイ
ミカサ「(“後始末”扱い……)」ズルズル
-
- 137 : 2013/11/24(日) 13:32:53 :
――――――――
ユーク「…行ったな」チラ
アニ「今のは、少し強引じゃなかった?」クスッ
ユーク「エレンだって、察してくれていただろう?」ニッ
アニ「あの鈍感死に急ぎ野郎にしては…ね」
ユーク「エレンも少しずつ精神的にも成長して、大人に近づいているって事さ」
アニ「アンタも?」
-
- 138 : 2013/11/24(日) 13:33:20 :
ユーク「そっ!俺達、皆そうさ」
アニ「そうかい」
ユーク「それじゃあ、アニ。対局開始だ!」ワクワク
アニ「少しは…手加減してよね?」
ユーク「それじゃあ、アニが強くならないだろ?」
アニ「別に私は、そこまで強くなるつもりはないんだって」
-
- 139 : 2013/11/24(日) 13:33:42 :
アニ「(アンタと将棋で遊んで、一緒に居られれば…それでいいと、思ってるだけだからさ)」
ユーク「じゃあ、途中途中で解説しながら、進めてみようか!」
ユーク「重要な個所が“見えてきて”、戦略が解り易くなるぞ!」
アニ「アンタがしたいようにしなよ?」クスリ
ユーク「よぉーし、じゃあ頑張るぞ!」ウキウキ
アニ「…ねぇ、少し気になっていたんだけどさ」
-
- 140 : 2013/11/24(日) 13:33:58 :
ユーク「なんだい?」ウキウキ
アニ「アンタってさ、いつも『王』じゃなくて、『玉』を使ってるよね」
アニ「なんで?理由でもあるの?」
ユーク「…なんでだろうな」クスリ
アニ「教えてよ」
ユーク「さぁ?何となく使ってただけだから、わからないよ」
-
- 141 : 2013/11/24(日) 13:35:22 :
アニ「ふぅーん」ジッ
ユーク「さぁ、アニの番だ!」ウキウキ
アニ「はいはい」クスッ
ユーク「……」ニコニコ
アニ「――――」
ユーク「――――」
-
- 142 : 2013/11/24(日) 13:37:44 :
ユーク「(――――でも今は、その意味が何となく解る気がする)」
ユーク「(俺が導き出した『あの質問の答え』…それは!)」
アニ「私も一応さ、戦略考えてきたから、ここで試してみるよ」
ユーク「そうか!それは楽しみだ♪」ワクワク
アニ「でもアンタに適うかどうかは、わかんないけどね?」
ユーク「いいさ、それでも♪」ウキウキ
-
- 143 : 2013/11/24(日) 13:38:37 :
ユーク「(俺にとっての『玉』とは。アニ、君の事なんだよ?)」
ユーク「(アニ、君はそこに居て。俺が守るから)」
ユーク「(確かに今の俺は、精々『桂馬』程度の実力しかない)」
ユーク「(けれど、俺がいつか…アニと“あの2人”を守れる力を手に入れられるとしたら)」
ユーク「(絶対に『桂馬』は、“捨て駒”になんてしない!!)」
ユーク「(『金』や『飛車』をも倒せるくらいに強く“扱って”、皆を護ってみせるから)」
ユーク「(だから、アニ。君は俺にとっての…『玉』で在《あ》り続けてくれ――――)」
進撃の巨人Another ――番外編―― 第11話
『各々が想う、護るべき玉《ぎょく》』
La Fin.
-
- 144 : 2013/11/24(日) 13:38:57 :
【投稿完了 / シリーズ名 / 話数 / タイトル / URL】
――本編――
【13/11/23 進撃の巨人Another 第24話 『隠れる』】
http://www.ssnote.net/archives/3249
【13/11/21 進撃の巨人Another 第23話 『行き互い』】
http://www.ssnote.net/archives/3189
【13/11/18 進撃の巨人Another 第22話 『次世代』】
http://www.ssnote.net/archives/2988
【13/11/15 進撃の巨人Another 第21話 『鍵《ヒント》』】
http://www.ssnote.net/archives/2740
【13/11/10 進撃の巨人Another 第20話 『懐古、そして展望』】
http://www.ssnote.net/archives/2440
【13/11/08 進撃の巨人Another 第19話 『待つ者』】
http://www.ssnote.net/archives/2307
【13/11/06 進撃の巨人Another 第18話 『以心』】
http://www.ssnote.net/archives/2219
【13/11/05 進撃の巨人Another 第17話 『志と命』】
http://www.ssnote.net/archives/2140
【13/11/04 進撃の巨人Another 第16話 『選ぶ』】
http://www.ssnote.net/archives/2041
【13/11/03 進撃の巨人Another 第15話 『悪癖』】
http://www.ssnote.net/archives/1992
【13/11/02 進撃の巨人Another 第14話 『クチは...』】
http://www.ssnote.net/archives/1943
【13/11/01 進撃の巨人Another 第13話 『ドウキ』】
http://www.ssnote.net/archives/1886
【13/10/31 進撃の巨人Another 第12話 『人柄』】
http://www.ssnote.net/archives/1841
【13/10/30 進撃の巨人Another 第11話 『危機と嬉々』】
http://www.ssnote.net/archives/1815
【13/10/29 進撃の巨人Another 第10話 『見上げる先』】
http://www.ssnote.net/archives/1748
【13/10/28 進撃の巨人Another 第9話 『辛辣』】
http://www.ssnote.net/archives/1702
【13/10/10 進撃の巨人Another 第8話 『本物』】
http://www.ssnote.net/archives/805
【13/10/10 進撃の巨人Another 第7話 『捨てる』】
http://www.ssnote.net/archives/800
【13/10/10 進撃の巨人Another 第6話 『側』】
http://www.ssnote.net/archives/796
【13/10/10 進撃の巨人Another 第5話 『指令』】
http://www.ssnote.net/archives/795
【13/10/10 進撃の巨人Another 第4話 『再び』】
http://www.ssnote.net/archives/793
【13/10/10 進撃の巨人Another 第3話 『解散式の夜』】
http://www.ssnote.net/archives/792
【13/10/10 進撃の巨人Another 第2話 『見たもの、見るもの』】
http://www.ssnote.net/archives/791
【13/10/10 進撃の巨人Another 第1話 『4人目』】
http://www.ssnote.net/archives/790
-
- 145 : 2013/11/24(日) 13:39:31 :
――番外編――
【13/11/17 進撃の巨人Another ――番外編―― 第10話】
http://www.ssnote.net/archives/2668
【13/11/12 進撃の巨人Another ――番外編―― 第9話】
http://www.ssnote.net/archives/2257
【13/10/27 進撃の巨人Another ――番外編―― 第8話】
http://www.ssnote.net/archives/1550
【13/10/24 進撃の巨人Another ――番外編―― 第7話】
http://www.ssnote.net/archives/1374
【13/10/15 進撃の巨人Another ――番外編―― 第6話】
http://www.ssnote.net/archives/1078
【13/10/14 進撃の巨人Another ――番外編―― 第5話】
http://www.ssnote.net/archives/1040
【13/10/13 進撃の巨人Another ――番外編―― 第4話】
http://www.ssnote.net/archives/941
【13/10/12 進撃の巨人Another ――番外編―― 第3話】
http://www.ssnote.net/archives/923
【13/10/12 進撃の巨人Another ――番外編―― 第2話】
http://www.ssnote.net/archives/878
【13/10/11 進撃の巨人Another ――番外編―― 第1話】
http://www.ssnote.net/archives/845
――雑談――
【13/10/14 進撃の巨人Another シリーズ ――思い出(過去コメント)保管所――】
http://www.ssnote.net/archives/1038
【13/10/12 進撃の巨人Another シリーズ ――雑談所――】
http://www.ssnote.net/archives/924
-
- 146 : 2013/11/24(日) 13:46:23 :
ようやく11話まで終わりました。
ユークがミカサに悩みを相談しているところは、感情を激しく表現出来たと自分では思っています
私としての結構好きなワンシーンでした
ただ回想シーンを書いている時は、少し恥ずかしくなった...
本編で少し会話に詰まり遅れ気味なので、これからどうなるかはわかりません。
-
- 147 : 2020/10/11(日) 11:08:14 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
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害悪ユーザーカグラ
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害悪ユーザースルメ わたあめ
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害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
http://www.ssnote.net/archives/81672
害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
http://www.ssnote.net/archives/81774
害悪ユーザー筋力
http://www.ssnote.net/archives/84057
害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
http://www.ssnote.net/archives/85091
害悪ユーザー空山
http://www.ssnote.net/archives/81038
【キャロル様教団】
http://www.ssnote.net/archives/86972
何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
http://www.ssnote.net/archives/86986
http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=53
http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=56
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