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メイドハンジの優雅な日常【リヴァハン】

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  1. 1 : : 2015/01/03(土) 12:08:06
    キミドリさん主催のシュチュ固定リヴァハンSS企画に参加させて頂いている作品です。
    興味のある方はこちらに…
    http://www.ssnote.net/groups/1069
    坊ちゃんとメイドというお題です。
    リヴァハンで現パロとなっています。
    お題に添えるか不安ですがぜひ読んで行ってください。
  2. 3 : : 2015/01/03(土) 13:34:23
    ----------

    リヴァイ『おい!ハンジ起きろ。』

    その声で目を覚ますと私は綺麗に整えられたリビングダイニングに居た。

    リヴァイ『お茶でも飲もうと台所に来たら、お前が寝てるから驚いただろうが。』

    ハンジ『あれリヴァイ?貴方が掃除を終えてるって事は今何時…』

    いつの間にかうたた寝して居たらしく時計を振り返ると、

    ハンジ『3時⁉︎てことは…クッキー‼︎』

    確かそれらをオーブンに入れたのは小一時間ほど前……

    焦げてる⁉︎

    そう思ってサッと顔が血の気が引く

    すると後ろから呆れた様な声がした。

    ナナバ『オーブンから取り出して置いたよ…。』

    ハンジ『ありがとうナナバ!』

    リヴァイ『お前には焼き菓子すら頼めねぇのか?』

    メイドのくせに……

    語尾に吐き捨てられた言葉と、

    嘲笑うかの様な仕草のリヴァイに苛立ちを抑えきれなくなる

    ハンジ『失礼だな!ハンジさんには出来無いことなんてないよ‼︎』

    リヴァイ『ほぅ…。』

    ハンジ『なんだよその疑念いっぱいの表情は!』

    ナナバ『いや、もう何十年とここでメイドしてるのにクッキーすら焼けないハンジが悪いよ。』

    ハンジ『…。』

    リヴァイ『クッキーの件はナナバが居たからいいが、いつかこの家を火事に巻き込みそうで怖いがな。』

    ハンジ『…これから気をつける。』

    そう宣言して暫しの沈黙

    すると何か思い出したかのようにリヴァイが向き直った。

    リヴァイ『それはそうと、明日から3日程スミス家に挨拶へ行くからな。』

    ハンジ『スミス家ってあの大貴族の?』

    リヴァイ『あぁ。』

    ハンジ『へーいってらっしゃい!』

    リヴァイ『お前も行くんだよ。』

    ハンジ『え…なんで私まで?』

    リヴァイ『メイドはついて来るのが普通だろうが。』

    ハンジ『そうかな……あっ!リヴァイ坊ちゃんは私がいないとおねんねできないんだね。しょうがないなー着いて行ってあげるよ!』

    リヴァイ『ちげぇーよ。』

    ゴンッ

    鈍い音と共に頭に激痛が走る。

    ハンジ『ってえ!』

    リヴァイ『はぁ…。なんでも良いからとっとと用意してこい!』

    そのままダイニングを追い出された私は大人しく明日の用意をすることにした。
  3. 6 : : 2015/01/04(日) 12:47:49
    しかし…貴族の家に出張なんて初めてのことだ。

    何を持って行けばいいのか分からない。

    私の普段の服装はいかにもメイド服というわけでも無く、むしろボディーガードが着る様なスーツ。

    それを何着かもっていけば良いか。

    そして軽く畳みながらスーツケースにそれらを仕舞いかけたその時、ドアが大きい音と共に勢い良く開いた。

    入って来たのはリヴァイだ。

    そして開口一番

    リヴァイ『言い忘れていたが、今回はメイド服を着ていけ。命令だ。』

    ハンジ『えっ⁉︎何で?』

    リヴァイ『エルヴィン・スミスは大貴族だ。そこへ行くのにお前だけスーツなんえアッカーマン家の面がたたないだろ』

    ハンジ『リヴァイだってスーツじゃない』

    リヴァイ『おれは主だからな。つべこべ言わずに、取り敢えずお前はメイド服を着て行け。』

    ハンジ『どうしても?』

    リヴァイ『あぁ?何でそんなに嫌がる?』

    ハンジ『…動きにくいし。』

    リヴァイ『その点は動きやすいものを支給しているから問題ない。』

    何でその辺抜かりないんだよ。

    私は唇を軽く噛みながらもリヴァイを睨んだ。

    ハンジ『…私に女っぽい服は似合わない。』

    リヴァイ『そんなの着てみなきゃ分からないだろうが。』

    とても優しい口調でそう言うリヴァイ。

    普段優しくないくせにこういう時だけ……。

    あぁ……もう。しょうがない。

    ハンジ『分かった明日は着てみるよ。』

    リヴァイ『そうか。破ったり汚したりすんなよ?』

    ハンジ『しないよ!それより他、何か持って行くものある?』

    リヴァイ『洗顔道具とか泊まるための物だな。…後は掃除道具。』

    ハンジ『いやいや掃除道具はどう考えても要らないでしょ。』

    リヴァイ『いや要るだろ。』

    そのまま少し口論になったが結局はリヴァイだけ、掃除道具を持って行くことになった。
  4. 7 : : 2015/01/05(月) 18:50:20
    ハンジ『はぁ…疲れた。』

    明日の用意を終えた私はソファに倒れこんだ。

    太陽は既に西の空へ沈みかけている。

    ハンジ『さてと料理の手伝いにでも行くか!』

    本職はあくまでリヴァイの側で仕えている事なので家事はあまりしない。

    しかし一応メイドではあるので用事が無い時は洗濯や料理などの雑事も手伝う。

    今日の料理当番はナナバだったはずだ。

    キッチンへ向かうとそこからは香ばしい香りが広がっていた。

    ハンジ『ナーナバ!なに作ってるの?』

    慌ただしいハンジの足音にも気づかず、ずっと鍋と対峙していたナナバが顔を上げた。

    ふわっとしている髪を軽くかきあげながら笑顔を見せるナナバの前ではバラ肉が炒められていた。

    バラ肉といえど勿論ナナバが選んだ最高級品だが。

    ナナバ『ビーフシチューなんだけど、もうちょっと待っていてもらっていい?』

    返答しながらも鍋からは目を話すことの無いナナバの横顔はとても美しかった。

    ハンジ『勿論。それより何か手伝う事はある?』

    ナナバ『んーここは特には。あぁ、そういえば5分ほど前リヴァイが紅茶入れてほしいと言ってたよ。』

    そう言いながらナナバは妖艶な笑みを浮かべた。
  5. 8 : : 2015/01/05(月) 21:28:06
    ハンジ『えっ…私に持っていけと?』

    ナナバ『貴方以外に誰かいる?』

    ハンジ『…分かった。頑張るよ。』

    実は料理なんて作ったこと無い。

    先ほどのクッキーはリヴァイが作ったものを焼いただけ。

    焼くのすらうたた寝してしまい出来なかったけど…。

    料理に関しては切る、刻む等や下処理のみ。

    お湯すら沸かしたことが無い私は少し後ずさったが、それに気づいたナナバは不敵に微笑みながら

    ナナバ『作り方教えてあげるから。』

    ハンジ『ありがとう…!』

    優しい友達に感謝しながら完成したのは、なんとか紅茶の様な色のついている液体だ。

    ハンジ『味見してないけど大丈夫かな?』

    ナナバ『大丈夫だと思う…けど?』

    そう言うナナバも疑問形。

    ハンジ『色だってどちらかというと黒に近い様な…。』

    ナナバ『まぁリヴァイなら飲んでくれるって!』

    根拠不明の自信に後押しされながら、私はリヴァイの部屋へ向かうことにした。
  6. 11 : : 2015/01/06(火) 00:27:10
    廊下の奥にある一室…そのドアの前で私は立ち止まっていた。

    ハンジ『いくらなんでもこの紅茶はね…。』

    そう呟いて引き返そうとしたその時、目の前で声が聞こえた。

    リヴァイ『紅茶ついでくれたのか。』

    ハンジ『えっ⁉︎こっこれは…。』

    説明をぶった切りながらリヴァイは

    リヴァイ『お前が折角ついでくれたんだから飲む。』

    という謎の宣言と共にリヴァイは私を部屋に引き入れた。

    ハンジ『やめた方がいいと思うよ?紅茶ならつぎ直すから!』

    明らかに色のおかしい紅茶を前に私は慌ててリヴァイを止めるが…

    時すでに遅し。

    リヴァイは勢いよく口に紅茶を流し込んだ。

    リヴァイ『…。』

    フリーズしたかの様に固まるリヴァイの顔を恐る恐る覗き込む。

    するとそのまま後頭部を掴まれた。

    ハンジ『えっ⁉︎ちょっ…ん!』

    そして口をリヴァイの唇塞がれる。

    息をする暇も無く紅茶を流し込まれた。

    そして舌を絡みとられる。

    口の中に侵入してくる快感からか力が入らない。

    しかしその時…ドアが開いてナナバが入ってきた。

    ナナバ『ご飯出来た…じゃなくてやっぱり後3時間ほどかかるから。』

    私は慌ててリヴァイを突き飛ばし、

    ハンジ『ちょっと待ってナナバ‼︎勘違いしてない?』

    明らかに勘違いしているナナバに説明する。

    ハンジ『…というわけだよ。』

    ナナバ『そう。とりあえず料理冷めるしダイニングへ行かない?』

    リヴァイ『そうだな。』

    何で2人はこんなに冷静なんだ!

    というかリヴァイは当事者だろ‼︎

    リヴァイを睨んでみるも無視され渋々ダイニングへ向かうことにした。
  7. 14 : : 2015/01/06(火) 22:17:21
    ダイニングに続く扉を開くと珍しいお客様がいた。

    ハンジ『あれっミカサとエレン⁉︎ここに来るなんて珍しいね。』

    ミカサ『ハンジさんお久しぶりです。』

    エレン『こんばんは!』

    ミカサはリヴァイの妹だが2人の両親が数年前亡くなってから、はエレンの家に引き取られていた。

    そしてたまに家へ遊びに来るのだ。

    エレン『リヴァイさんもお久しぶりです。』

    ミカサ『クソチビ…いたのか。見えなかった。』

    リヴァイ『お前眼科行った方が良いんじゃねぇか?』

    ハンジ『2人共本当に仲が良いなぁ。』

    リヴァミカ『良くない!』

    毎回この様に喧嘩しているが、お互い尊敬し合っていてとても良い関係だと思う。

    リヴァイ『ミカサ…何しに来た。』

    ミカサ『貴方に復習するため。』

    リヴァイ『あぁ?何でだ。』

    リヴァイのその言葉にミカサは見下すように、

    ミカサ『貴方がこの間エレンの頭を叩いたからに決まっている。』

    こう言った。

    エレン『おいミカサ!』

    リヴァイ『それはエレンが掃除中に俺の部屋の本棚から、本をとっていこうとした時に偶然当たっただけだろ。』

    ミカサ『その傷でエレンは舌を噛んでしまった。ので口の中が血だらけになり止血するのに3時間かかった。その上全治一ヶ月。そしてその間はフルーツ等口にしみるものが食べれなかった。この報いは今‼︎』

    そう言いながらリヴァイに向かって右手を振り上げるミカサ。

    しかし…

    リヴァイ『俺に仕返しなんて100年早い。』
  8. 15 : : 2015/01/07(水) 23:25:48
    その一言と共に振り降ろされたミカサの右手を受け止め、更にキックを繰り出すリヴァイ。

    対するミカサも負けてはいない。

    防御に徹しながらも反撃の隙を伺っている様だ。

    …これはそろそろ止めないと。

    リヴァイ『ミカサ…いい加減にしろ!』

    声を荒げると同時に大きく振りかざした手を凄い勢いで振り降ろした。

    バンッ

    というとてつもなく大きな音と共に兄弟喧嘩の終止符が打たれた。

    ハンジ『痛ってえ!クソ痛てぇぜ‼︎』

    リヴァイのパンチがミカサにヒットする直前に片手でどうにか受け止めた結果がこれだ。

    リヴァイ『悪いな…ハンジ。』

    ミカサ『…。』

    さすがの2人もしおらしくなっている。

    ハンジ『いや構わないけど…いくらなんでもムキになりすぎだよリヴァイ。』

    リヴァイ『ムキになったのはこいつが先だろ。』

    ミカサ『…クソチビ。』

    尚も戦いの火蓋が切られそうになる。

    しかし…

    エレン『おいミカサ!いい加減にしろよ、お前。』

    ミカサ『エレン…何故。』

    エレン『いくら兄弟の家だからって何してもいいという訳じゃねぇんだぞ!それに早くしねぇとナナバさんが折角作ってくれた料理が冷めるだろ!』

    振り返ったミカサの目に映ったのは暖かな夕食。

    ミカサ『エレン悪かった。私は熱くなりすぎた。』

    そこはかとなく良い雰囲気の若い2人を尻目に大人達は…
  9. 16 : : 2015/01/07(水) 23:53:52
    ハンジ『さぁリヴァイ坊ちゃんはお席に座りましょーね!』

    リヴァイ『あぁ?』

    ナナバ『反抗期?』

    リヴァイ『ちげぇよ。』

    ハンジ『ほらお座りして!』

    リヴァイ『ハンジ…やめろ。』

    ハンジ『坊ちゃん…昔は良い子だったのに!こんな大きくなっちゃって!』

    ナナバ『今も小さいでしょ。』

    リヴァイ『ナナバてめぇ…』

    ハンジ『ほらミカサとエレンを見なさい‼︎しっかりと椅子に座ってご飯を待っているじゃない‼︎』

    リヴァイ『どう見てもひいてるがな。』

    ハンジ『…ナナバそろそろ食べよっか。』

    ナナバ『そうだね。』

    そして5人はビーフシチューを口に含んだ。
  10. 17 : : 2015/01/17(土) 08:59:23
    口の中でふわっと広がるそれはとても優しく素朴な味だった。

    ハンジ『ナナバ、とても美味しいよ!』

    そう感想を述べるとナナバは優しく微笑んだ。

    ナナバ『ありがとうハンジ。』

    もちろん笑顔でも絵になるナナバだが、料理中の表情には敵わないと思う。

    そして、そうやって作られた料理はとても美味しい。

    彼女の手料理が美味しいのは私達の事を第一に考えているからだ。

    アッカーマン家は上流貴族だ。

    しかし、無駄な出資はしない。

    食材に関しては庶民と同じようなものを使用している。

    しかし…ナナバが作る料理が高級味溢れる味なのは一手間一手間かけているからなのだろう。

    本来、完全合理化主義者のナナバは無駄な作業を嫌う。

    だが、料理に関してはどんな作業も厭わない。

    それは彼女がメイドであると共に1人の料理人でもあるから。

    美味しい香り漂うその部屋で仄かな明かりに照らされる五人は本当に幸せそうな表情を浮かべていた。
  11. 20 : : 2015/02/01(日) 18:04:53
    ミカサ『ナナバさん。とても美味しかったです。』

    エレン『ありがとうございました。そしてそろそろ帰ることにします。』

    ハンジ『うん気をつけてね!』

    リヴァイ『じゃあな。』

    ミカサとエレンは食事が終わると帰って行った。

    時計の短針は既に真上をさしている。

    ハンジ『ねぇリヴァイ、明日って何時にこの家出るの?』

    リヴァイ『5時だ。』

    ハンジ『えっ⁉︎』

    リヴァイ『何か問題でもあるか?』

    ハンジ『起きれないってそんな朝早くに…。』

    ナナバ『私が添い寝してそのまま起こしてあげるよ?』

    リヴァイ『…おいナナバ!』

    ナナバ『なに?』

    リヴァイ『お前こんなやつが趣味なのか⁉︎』

    かなり切迫しながら問いただすリヴァイ。

    ナナバ『そうだよけど?ほらハンジ部屋に戻ろう。』

    ナナバはそう言いながら私の手を引っ張る。

    強引なナナバに圧倒され、部屋へ向かい始めたその時…

    フワッと体が浮くような感触に包まれた。

    その流れにしたがいながらふと上を向くとリヴァイの顔がある。

    ハンジ『ちょっとリヴァイ⁉︎』

    驚きのあまり身じろぎしてしまう私を抱きしめるように押さえつけるリヴァイ。

    そこでようやく理解した。

    ハンジ『リヴァイ!何でお姫様抱っこしてるの⁉︎』

    リヴァイ『暴れるんじゃねぇよ。』

    ハンジ『降ろして!』

    そう叫ぶも願いを聞き入れて貰えることもなく、爆笑するナナバをおいてリヴァイは私の部屋へとお姫様抱っこのまま向かった。
  12. 21 : : 2015/02/02(月) 07:32:03
    部屋へたどり着くとそのままベッドへ落とされた。

    ボスッという音がしてふかふかの布団に身が包まれる。

    ハンジ『リヴァイ!急になにするんだよ!』

    リヴァイ『何のことだ。』

    ハンジ『お姫様抱っこのことだ!』

    普段なら声を荒げる私にも表情を変えることはしないリヴァイだが、今回は違った。

    リヴァイ『…気にするな。それよりもう寝ろ。』

    そう呟く彼はとても怒ったような表情をしていた。

    ハンジ『どうしたの?』

    リヴァイ『なぁハンジよ。お前はあの時俺がこうしなかったらナナバと寝てたのか?』

    ハンジ『そんな訳ないでしょ!私は本当に好きな人としか布団には入らない主義なんだよ!たとえそれが全くやましない相手だとしてもね。なんて言うか生理的に受け付けないんだ。』

    リヴァイ『そうか。』

    ハンジ『それで?何が聞きたかったの?』

    リヴァイ『いや何でもねぇよ。』

    リヴァイはホッとため息をつくと安堵の表情でこの部屋から出て行った。
  13. 22 : : 2015/02/03(火) 00:09:26
    その扉が完全に閉まるを確認した私は思わず大声で叫ぶ。

    ハンジ『何言わせるんだよ!というかその前にお姫様抱っこって…。』

    ハンジ『駄目だ…。思い出せば出すほどこっちが恥ずかしくなる。』

    そう呟きながらベッドに倒れこむ。

    きっと顔は真っ赤に染まっているのだろう。

    リヴァイにも見られたのかもしれない。

    ハンジ『何であいつは平気そうなんだ⁉︎大体こっちが恥じらうっておかしいだろ!』

    そう自分に言い聞かせるも火照る頬の熱は下がらない。

    私はリヴァイの事をただの主人としか思っていないのに。

    そう…私たちは本来主従関係であるはずだ。

    なのに…。

    ハンジ『何であいつにお姫様抱っこされただけで心臓の鼓動が早くなるんだろう…。』

    口から溢れ出て来る言葉。

    それらは全て自分の本心。

    こんなの誰にも聞かれたくない。

    しかし私は扉の外でリヴァイが聞いていたことを知らなかった。
  14. 23 : : 2015/02/05(木) 17:23:02
    リヴァイ『クソが…聞こえてるがな』

    リヴァイの複雑な想いなど知る由もないハンジはそのまま深い深い眠りにつく。

    その日はいつになく、よく眠れた。

    何か暖かいものに包まれるような感じがする。

    混沌とした意識の渦から目を覚ますと丁度日が登る頃だった。


    ジリジリジリ

    一日の始まりを告げるアラームより早く起きたのは初めてかもしれない。

    まだ怠い体を何とか起こし、冷水で顔を洗って身を引き締める。

    服を脱ぎ、クローゼットからいつものパンツスーツを取り出そうとして気づいた。

    ハンジ『そうだ…今日はメイド服を着ないといけなかったんだ…。』

    やっぱり着なくて良いかな…

    そう思いかけた時ドアが勢い良く開いた

    リヴァイ『メイド服着ろよ。』

    ハンジ『きっ着ればいいんでしょ⁉︎着ますから…出てって!』

    そう言うとリヴァイは扉をパタンと閉めた。

    ハンジ『あいつはエスパーかよ…』

    絶対に着なくてはならないことを受け止め渋々メイド服に着替えることにした。

    身支度を整え髪を縛ろうと髪ゴムを探す。

    いつもの洗面所の上に手を伸ばすが…

    ハンジ『ない!あれっ…?何で⁉︎』

    大声を出した為かリヴァイが部屋に入ってきた

    リヴァイ『どうし…』

    しかし部屋の奥には入ろうとせず私を見て固まっている

    リヴァイ『お前…髪どうした?』

    ハンジ『髪ゴムが見つからないんだよ!』

    リヴァイ『…もう時間がねぇ。そのままで良いだろ。』

    ハンジ『えっ…でもまだ30分ほど!』

    リヴァイ『ほら早くしろ。』

    それでもなお足掻こうとするが、結局リヴァイに引きずられるようにして屋敷から出たのであった。
  15. 24 : : 2015/02/06(金) 00:10:09
    倹約家のリヴァイにしては珍しい豪華な馬車に乗りスミス家に向かう

    ソファはフワフワしていて正直言って乗り心地が最悪だ

    しかししょうがない事なのだろう…貴族には貴族の掟がある

    スミス家につく数時間…その間リヴァイはずっと眠っていた

    どうやら昨晩あまり眠れなかったらしい

    あと数分で到着するので熟睡中のリヴァイを揺さぶり起こす

    ハンジ『リヴァイ起きて!』

    リヴァイ『ん?』

    ハンジ『起きてくださいお坊ちゃま』

    リヴァイ『気持ち悪りぃ。』

    ハンジ『酷いな!』

    リヴァイ『そんな事よりスミス家では大人しくしてろよ?』

    ハンジ『うっうん…』

    リヴァイ『それとエルヴィンは女癖が悪いから隙を作らないようにしろ。』

    ハンジ『うん…』

    リヴァイ『それと、無理だけはするな。』

    ハンジ『うん…』

    意味深なリヴァイの言葉…私はまだこのリヴァイの言葉を本当には理解していなかった
  16. 25 : : 2015/02/27(金) 18:55:06
    エルヴィン『よく来てくれたなリヴァイ』

    スミス家に着いた私達は、優しい微笑みをした男性に快く迎えられていた

    リヴァイ『あぁ…変わってねぇな。エルヴィン。』
    エルヴィン『リヴァイもな。…ところで、隣の可愛いメイドさんはどなたかな?』

    …可愛い…

    そんな歯の浮くような言葉を言われたことの無かった私の顔は自然と紅くなる

    リヴァイ『照れてねぇで、とっとと自己紹介しろ。』

    ハンジ『初めまして。ハンジ・ゾエです。』

    エルヴィン『ほぅ…やはり…。』

    リヴァイ『どうかしたか?』

    エルヴィン『…いや何でもない。そういえば君達2人が泊まる部屋をまだ言ってなかったな。着いておいで。』

    そう言って胡散臭い顔のエルヴィンに連れてかれたのは、煌びやかな一室だった。

    ハンジ『お風呂も洗面所も着いてる‼︎クソやべぇ!ホテル見たい‼︎』

    リヴァイ『まぁ言いだろう。』

    窓の隅の埃を息で吹き飛ばしながら呟くのはリヴァイ

    エルヴィン『それは良かった。他に何かあったらまた聞いてくれ。では夕食の時間にまた会おう。』
  17. 26 : : 2015/02/27(金) 23:23:48
    エルヴィン『それは良かった。他に何かあったらまた聞いてくれ。では夕食の時間にまた会おう。』

    リヴァイ『了解。』

    ハンジ『ちょっと待て!』

    エルヴィン『何だ?』

    ハンジ『私の部屋は⁉︎』

    エルヴィン『ここだが。』

    ハンジ『じゃあリヴァイの部屋は⁉︎』

    エルヴィン『ここだが。』

    ハンジ『一緒の部屋で寝ろってか!』

    エルヴィン『嫌なら私の部屋に来るかい?』

    ハンジ『アホか!』

    エルヴィン『こんなに可愛いメイドだと知ってれば私の部屋に来させたのだが…』

    リヴァイ『おいエルヴィン!』

    エルヴィン『ははは。冗談だ。』

    リヴァイ『お前がいうと冗談に聞こえねぇ。』

    ハンジ『…で、まさかとは思うけど本当にリヴァイと同じ部屋何てことはないよね…?』

    エルヴィン『同じ部屋だが…何か問題でもあるのか?』

    ハンジ『大有り…』

    リヴァイ『問題ねぇ。』

    エルヴィン『そうか。じゃあまたな。』

    悪魔の様な微笑みをしたエルヴィンは、そう言って去って行った
  18. 27 : : 2015/02/28(土) 23:19:18
    リヴァイ『さて、荷物を解くか。』

    ハンジ『…ちょっと待てちょっと待てお兄さん!』

    リヴァイ『おい!気持ちはわかるがやめろ。』

    ハンジ『細かいことは気にしなーい!それ…』

    リヴァイ『…。』

    ハンジ『…説明して…』

    リヴァイ『もういい。それより同じ部屋にして悪かったな。』

    ハンジ『…いやリヴァイなら構わないけど…何故?』

    リヴァイ『この家に女1人で寝かせてたら、何されるかわかんねぇがな。』

    ハンジ『えっ…』

    リヴァイ『あのエロヴィンに狙われて、綺麗な身のまま帰れた女はいないらしい。』

    ハンジ『…分かった気をつけるよ。』ブルッ

    リヴァイ『まぁ、お前なら大丈夫かも知れないがな。』

    ハンジ『どういう意味…?』

    リヴァイ『お前…女じゃないだろ。』

    ハンジ『いやいやいや…女ですよ?生粋のガールですよ?お・ん・な!』

    リヴァイ『だがお前…俺より胸囲ないじゃねぇか。』

    ハンジ『そんなに信じられないなら、触ってみればいいだろ!』

    ハンジはそう言うとリヴァイの手を掴み自分の胸に持ってこようとした。
  19. 28 : : 2015/03/01(日) 10:21:07


    リヴァイ『おいてめぇ!』

    その時、ガチャリという音と共にドアが開いた。

    エルヴィン『夕食の用意が終わ…。』

    入ってきたエルヴィンが見た光景

    それは…リヴァイの上に覆いかぶさるハンジの姿。

    悲しきかな、リヴァイの反射神経の勢いは凄まじく2人はそのまま倒れこんだのだ。

    エルヴィン『…すまんが鍋が全て壊れてしまってな、あと二時間程かかる。ので、2人で仲良くイチャイチャしててもらって構わない。

    ハンジ『勘違いしないで欲しいエルヴィン!これは事故なんだ‼︎』

    エルヴィン『ほぅ…ハンジが攻めなのか。』

    リヴァイ『人の話を聞けよ!あれは事故だ。そうだ偶然起こった人身事故だ。それとミカサの真似するんじゃねぇ!』

    エルヴィン『…ふっ。』

    ハンジ『エルヴィン信じて‼︎』

    エルヴィン『ああ…信じてるぞ。』

    ハンジ『棒読みすんな!』

    エルヴィン『それじゃあコトがすんだら夕食に来てくれ。』

    リヴァイ『おい待て!』

    パタンとドアを閉め、エルヴィンは去って行った。
  20. 29 : : 2015/03/01(日) 11:43:39
    エロヴィンw怖いw
    ハンジさん、気をつけてね( ;∀;)
    りいひめ、期待です♪
  21. 30 : : 2015/03/01(日) 11:54:01
    >>ゆうひめ
    ここからエルヴィン更に悪い部分が見えて来るから…
    はんたんにはもうナイトがいるしね
    期待ありがと!
  22. 31 : : 2015/03/02(月) 16:47:46
    体を起こす2人…

    気まずい空気の中おずおずとハンジが声を出した

    ハンジ『…取り敢えず…夕食場に向かう…?』

    リヴァイ『あぁ…。』

    夕食会場はとても広く無駄に豪華な食事が、目がチカチカするほど煌びやかな食卓や食器にこれでもかという程のせられていた。

    ハンジ『おいしそー!』

    エルヴィン『今夜の料理はブルターニュ産 オマール海老のコンソメゼリー寄せ キャヴィアと滑らかなカリフラワーのムースリーヌ

    自家燻製したノルウェーサーモンと帆立貝柱のムースのキャベツ包み蒸し 生雲丹とパセリのヴルーテ

    手長海老のポワレとサフランリゾット 濃厚な甲殻類のクリームソース

    国産牛フィレ肉のポワレ 季節の温野菜とマスタードソース オレンジの香りを纏ったブールパチュー

    木の実とキャラメルのタルトフィーヌ 濃厚なミルクのソルベ シナモンの風味だ。』

    ハンジ『…どういう意味…?』

    リヴァイ『サラダ、鮭帆立キャベツ、スープ、肉、タルトみたいな感じなんじゃねぇか?』

    ハンジ『まぁ美味しいから何でもいいか。』

    しばし、無言で食べ進める3人


    20分後


    ハンジ『はー美味しかった!』

    リヴァイ『たまには、こんなのも悪くねぇ…』

    お腹も満たされ人心地ついたのを確認したのか、エルヴィンがボーイらしき人物に声をかけた

    エルヴィン『ゲルガー食後の酒でも持ってきてくれ。』

    そう言われ彼が持ってきたのは…

    ゲルガー『はいよ!トロッケンベーレンアウスレーゼだ。』

    ハンジ『えっトロケルエレンマウスダーゼ?』

    ゲルガー『Trockenbeerenauslese』

    ハンジ『とろけるエレンマウスだぜ?』

    ゲルガー『そんな感じだぜ!まぁ取り敢えず飲んでみな。』

    リヴァイ『おいやめろ!』

    リヴァイの静止も虚しく、ハンジはグビグビとワインを口の中に流し込んだ
  23. 32 : : 2015/03/04(水) 07:31:29
    ハンジ『なんかーあたまがフワッとする……』

    リヴァイ『だからやめろと…。』

    項垂れるリヴァイの気持ちも知らず、そのままハンジは眠りについた

    リヴァイ『もう少し度数の低いものはなかったのかよ』

    文句を言いながら振り向くリヴァイ

    その目に写ったのは、ゾッとする程冷たい笑みを浮かべたエルヴィンだった

    エルヴィン『さて、君に尋ねたいことがあるんだが。』

    リヴァイ『…何だ。』

    エルヴィン『そう身構えなくても大丈夫だ。ただこの子とのなり染めが知りたいだけだからな。』

    リヴァイ『…。』

    エルヴィン『ほら恥ずかしがらなくていいんだぞ?パパに言ってごらん?』

    リヴァイ『誰がてめぇの精処理で出来た副産物だ!』

    エルヴィン『その点に関しては抜かりないから大丈夫だ。』

    リヴァイ『どの点だ!』

    エルヴィン『避に…』

    リヴァイ『当たり前だろうが!』
  24. 33 : : 2015/03/04(水) 23:32:55
    エルヴィン『その口ぶりは経験があるのかね?』

    リヴァイ『ねぇよ!』

    エルヴィン『ハンジか…』

    リヴァイ『違う。』

    エルヴィン『あんな可愛い子どうやって捕まえたんだ?』

    リヴァイ『うるせぇロリコン。』

    エルヴィン『リヴァイ、君は本当に彼女の事を知らないのか?』

    リヴァイ『あ……?』

    エルヴィン『ハンジ・ゾエ、彼女の正体は壁内1の貴族の娘だ。』

    リヴァイ『…。』

    エルヴィン『どうやって知り合った?まさか生きてるとは…。』

    リヴァイ『こいつが居たら問題でもあるのか?』

    エルヴィン『まずは私の質問に答えろ。』

    リヴァイ『…15年前、メイド募集してたらこいつがやって来た。』

    エルヴィン『…そうか。』

    リヴァイ『で、だ、とっとと俺の質問に答えろ。』

    エルヴィン『あぁ。問題なんてない。ただ、失踪届けが出されててね。心配していただけだ。』

    リヴァイ『本当の事を言え。』

    エルヴィン『君こそ。』

    睨み合う2人の顔は、月明かりに照らされて残酷なまでに美しかった

    暫くしてリヴァイがハンジを一瞥し、そした呟いた

    リヴァイ『…俺はもう寝る。じゃあな。』

    エルヴィン『良い夢を。』

    ハンジを抱えて出て行くリヴァイの背後…

    そこで1人、酒を飲むエルヴィンの顔が少し青ざめているのにリヴァイが気付くことは無かった
  25. 34 : : 2015/03/26(木) 17:01:16
    翌朝


    先に目を覚ましたのはハンジだった。

    ベッドから身を起こし、軽く辺りを見回す。

    彼女の目に留まったのは、狭いソファに眠るリヴァイの姿

    ハンジ(そうだ…あの酒を飲んだ後)

    ハンジ『…運んできてくれたんだ』

    リヴァイ『…ん……?』

    ハンジ『あっ…ごめん起こしちゃった?』

    リヴァイ『いや構わねぇ…ゴホッ…』

    ハンジ『…あのさ…何でベッドで寝てないの?』

    リヴァイ『…誰かと同じ布団で寝るのが嫌だって前言ってたのはてめぇだろうが。』

    ハンジ『まぁそうだけど…リヴァイだったら構わないよ。それに…風邪をひかれるよりはましかな。 』

    ハンジはリヴァイに目を向けると、大きなため息をついた。

    ハンジ『顔赤いし、おでこ熱いよ?この様子だと熱もあるだろ。』

    リヴァイ『いや大丈夫だ。』

    ハンジ『そんなわけないから。今日一日安静にしてて。私はとりあえず、何か看護食でももらって来る。』

    そう言い残しハンジは足早に去って行った。
  26. 35 : : 2015/03/28(土) 01:12:14
    広いキッチンには早朝から料理の仕込みをしていたらしいゲルがーの姿。

    ハンジは彼に近づき事の成り行きを説明した。



    ゲルガー『お粥を作って欲しい?』

    ハンジ『あぁ!リヴァイが熱を出して寝込んでるんだ…。』

    ゲルガー『そういうことなら自分で作れ。』

    ハンジ『えっ?』

    ゲルガー『こういうのは愛の魔法で治すものだからな。』

    ハンジ『…愛の魔法とか…見かけによらず乙女趣味だね…。』

    ゲルガー『ひくなよ!とにかく作り方は教えるから自分で作れ。』

    ハンジ『…そこまで言うなら作るよ。作れば良いんだろ⁉︎』

    半ばやけくそになりながらハンジはお米に手を伸ばした。


    数分後


    ハンジ『出来た‼︎』

    ゲルガー『お!いい感じじゃねぇか。後は塩ふって完成だ!』

    ハンジ『ゲルガー教えてくれてありがとう!じゃあ早速食べさせてくるね。』

    ゲルガー『こぼすなよ!』

    気のよい料理人に見送られながら、こぼさないよう慎重にリヴァイの待つ部屋へと歩き出した。
  27. 36 : : 2015/03/31(火) 08:14:03
    ハンジ『リヴァイお待たせ。』

    リヴァイはお粥を見ると開口一番

    リヴァイ『…お前にしてはまともだな。だが…。』

    ハンジ『だが?』

    リヴァイ『クッキー焦がすような奴だ。心して食べなきゃなんねぇ。』

    ハンジ『だから悪かったって!そっ…その代わりお詫びになんでもするから‼︎』

    リヴァイ『ほぅ。それなら…』

    何かを催促するかのようにリヴァイは口を開けた。

    リヴァイ『食べさせろ。』

    ハンジ『…は?』

    リヴァイ『何でもやるんだろ?』

    ハンジ『えっ…うん。』

    リヴァイ『約束の一つも守れねぇのか…?』

    ハンジ『…はぁ…ハンジ様をなめないでほしいな。私はね一度も約束を破ったことがないんだよ…?』

    そして覚悟を決めたかのように袖をまくるハンジ。

    ハンジ『はい…あーん』

    リヴァイ『悪くねぇ。』

    それから無言で食べ進めること15分…

    リヴァイは見事お粥を完食した

    ハンジ『じゃあお皿片づけてくるから。』

    そう言い残しハンジは部屋から出て行った

    その顔が少し紅らんでいたのは言うまでもない
  28. 38 : : 2015/03/31(火) 23:10:33
    ハンジ『ただいま…』

    少し足早に戻ってきたハンジの目に写ったのはリヴァイの寝顔だった…

    そっと布団を被せるハンジ

    するとそれに気づいたのかリヴァイが瞳を軽く開けた

    ハンジ『ごめんまた起こしちゃったかな』

    リヴァイ『構わねえって言ってんだろ』

    ハンジ『でも…』

    口ごもりながらハンジは部屋の扉に手をかける

    そのまま部屋を出ようとしたが…

    グイッと腕を引っ張られベッドに倒れこんだ

    ハンジ『ちょっとリヴァイ⁉︎』

    リヴァイ『暖かいなお前の体。』

    ハンジ『えっ…はぁ?』

    リヴァイ『丁度いい。』

    およそ彼らしくない彼の行動にハンジは少し狼狽えた

    しかし…ふわっとした笑みを浮かべると呆れた様に呟く

    ハンジ『しょうがないな〜もう。今日だけは…お姉さんが添い寝してあげるよ。』

    普段のリヴァイなら激昂するようなことだが、

    リヴァイ『ふっ…悪くねぇ。』

    そう呟くとそのまま2人は眠りについた
  29. 46 : : 2015/04/20(月) 21:54:48

    数時間後

    コンコンという音と共に扉が開く

    エルヴィン『ハンジ…そろそろ夕食の時間だが…。』

    するとその音に目を覚ましたハンジは、気だるそうに瞼を開けた

    ハンジ『ん……そう夕食…ってもうそんな時間⁉︎』

    エルヴィン『そうだが?』

    ハンジ『折角の休日が…なんで起こしてくれなかったのさ!』

    エルヴィン『いや…2人で仲良く寝ていたようだから邪魔するのも悪い気がしてな。』

    ハンジ『……そう。で、夕食?』

    エルヴィン『あぁ。ところで、リヴァイはどうしようか?』

    ハンジ『風邪だしね。寝かせとくよ。』

    エルヴィン『そうだな。』
  30. 49 : : 2015/06/12(金) 21:43:22
    そのままエルヴィンに連れられ、ハンジはダイニングへと向かう。

    夕食は地中海料理?本当に美味しかった。

    今まで食べたことのないほど高級味溢れる味だった。

    ただ…何かが足りない。

    そんな気持ちを持ちながらもハンジは乾いた談話を続けた。

    エルヴィン『そうだハンジ。私の自室に、ワインを飲みに来ないかい?』

    退屈な会話に飽き始めていたので、その提案に苦もなく了承する。

    初めて見るエルヴィンの部屋は、煌びやかな屋敷とは正反対にオ・ト・ナな感じだった。

    そして…エルヴィンに渡されたワインに口づける。

    それを確認すると意地の悪い笑みを浮かべながらエルヴィンが口を開いた。
  31. 52 : : 2015/06/13(土) 07:45:50
    エルヴィン『実は君に渡したい物があってね。』

    ハンジ『何?』

    怪訝そうに首を傾げるハンジに渡されたのは一枚の紙だった。

    その紙の一番上に書いてあったのは…

    ーハンジ・ゾエー

    自分の名前…

    ハンジ『これは?』

    エルヴィン『君の本当の戸籍抄本だ。』

    本当の。に含みを持たせた言い方をするエルヴィンに敵意むき出しなハンジはなんとか口を開く。

    ハンジ『……は?』

    青ざめるハンジを他所にエルヴィンはどんどん話を進めていく…

    エルヴィン『君は裏町の出身者なんかではない。本当の親は有名貴族のリーニド・ゾエ。』

    ハンジ『何を言ってるの…?』

    エルヴィン『君が本当の事を隠して生きているのは…15年前のある事件の所為。』

    ハンジ『…何の話?』

    エルヴィン『その事件で君は家族を失った。その犯人は未だ捕まっていない。』

    ハンジ『違うって…』

    エルヴィン『確実な証拠がここにある。と、そこで君に一つ提案だ。』

    ハンジ『…?』

    エルヴィン『ハンジ、結婚しよう。』
  32. 55 : : 2015/08/01(土) 18:53:17
    ハンジ『……は?』

    エルヴィン『結婚しよう。』

    ハンジ『ふざけないで、もらいたいんだけど。』

    エルヴィン『ふざけてなどいないさ。』

    ハンジ『貴方は…本気でそういうこと言わないでしょう?』

    エルヴィン『本気だ。』

    見つめるエルヴィンの瞳は真っ直ぐで、嘘をついているようには見えなかった…少なくともハンジには。

    ハンジ『…例え、本気だったにしても…どうせ貴方の狙いは財産…違う?』

    エルヴィン『いいや、違う。』

    ハンジ『……じゃあ何?』

    エルヴィン『君は頭が良くて、綺麗だ。これ以外に理由などないよ。』

    ハンジ『そんなわけ無い!』

    エルヴィン『本当だ。それとも、これからそれを証明しようか?』

    そう言って徐々にベッドの方へと、ハンジを追い詰めるエルヴィン。

    ハンジ『……ちょっと…』

    エルヴィン『君が好きだ。』

    柄にも無い言葉に赤くなるハンジ。

    ハンジ『……煩い…。』

    もう既にハンジの身体はベッドに横たわらせられ、その上からはエルヴィンがくみじくように抑えていた。

    そしてそのまま、彼の唇が彼女の唇に触れようとする。

    しかし、

    バンッ!という鈍い音と共にエルヴィンの身体が横に飛んだ。

    あまりの事に固まるハンジはそのまま抱き抱えられた。

    ハンジ『……リヴァイ?』

    そう、リヴァイに。
  33. 56 : : 2015/08/01(土) 19:10:05
    ハンジ『……リッ、リヴァイ⁉︎どうしたの?』

    リヴァイ『どうしたの?じゃねぇよ。お前こそ何やってんだ。そいつはお前の管轄外だろ?』

    ハンジはあくまで、リヴァイの…アッカーマン家のメイドであり、エルヴィンは身分から従っているものの、彼との主従関係はない。

    ハンジ『…いや、まぁそうだけど。』

    エルヴィン『君こそなんだい?リヴァイ…。メイドとお酒飲むくらいいいだろう?』

    リヴァイ『こいつは、俺のメイドだ。あんまり、たぶらかすな。』

    エルヴィン『たぶらかしてなどないさ。私は他家の使用人との交友関係を深めたいと思っただけだ。』

    リヴァイ『そうか。だが、俺は今からこいつに聞きたい事がある。二人きりでな。だから、もう返してもらう。』

    ハンジ『えっ…?ちょっと…リヴァイ!』』

    まだ戸惑うハンジを強引に引っ張るリヴァイに圧倒されたかのようなハンジと鬼気迫る表情のリヴァイはこうして部屋からでていった。

    そして、1人暗い部屋に残されたエルヴィンは…

    物悲しそうな顔で床に入った。

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levihan

ハンジがかり

@levihan

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