魔術
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- 1 : 2022/02/03(木) 06:48:57 :
- 相当久しぶりに書きます
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- 2 : 2022/02/03(木) 07:14:33 :
- 物語の始まりは12月24日の食事会だった。
大学の同クラス内でクリスマスに予定が無い者同士が集まって傷を舐め合うという趣旨の食事会が催され、私を含む男3人が集まった。
コロナの影響で、同級生とは言えそこまでしっかりと絆や友情が生まれている訳ではなかったが、それでも大学生の男が顔を付き合わせて話す事と言えば課題の愚痴か恋愛話であり、多分に漏れず私達も自然とその話題に移っていた。
「正直さ、大学内で気になってる子居る?」
「うーん………俺は横原かな。お前は?曽田」
「………俺この前大学の子に振られたばっかだから今はそういうの考えられないかな…」
「マジかよ」
そんな会話をした。
「いや、正直俺はいつでも横原に告白出来るで」
「お前マジかよ、まあやるだけやってみれば?」
「いんじゃね?」
ーーーーーーーー
翌日の深夜、私は本来来る予定だった横原にクリスマス会の顛末を語った。会話の流れで恋愛・彼氏彼女の話になり、横原に彼氏が居ない事を確認してから私は頃合いを見て告白の文面を送った。
『俺と付き合いませんか?』
当初、彼女はドッキリか何かだと思ったらしく、『冗談はやめてよ』等と言っていたがやがて私が本気で言っているという事をだんだん悟ったらしく、最終的に私はOKを貰い、私たちは正式に付き合う事になった。
私にとっては人生初の彼女である。恋愛である。今思えば相当に浮かれていた事は事実である。
そして私は彼女の本質を見抜くことが出来なかった。彼女の事情を大きな問題だと捉えられていなかった。
私の恋愛経験の無さ、そして人を見る目の無さが後に全ての関係をおかしくさせる事になる。
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- 3 : 2022/02/03(木) 22:23:37 :
- 慣れない男女のキャッキャウフフの詳細など誰も興味がないであろうためここでは割愛させていただくが、その間に私が知った・気づいた、彼女に関する違和感について書かせていただこうと思う。
まず明かされたのは、彼女には許嫁が居るという事である。ややこしいので少し情報を付け加えておくと、幼馴染の関係であり親同士が大学卒業後に半強制的にくっつけるという事を宣言していた、という間柄だったようである。
次に彼女には恋愛感情というものがまだ育っていないという事である。始めそれを知らされた時、私はよくある自称サバサバ女子のそれか、と思っていたが、嘘をついている雰囲気ではなくどうやら本当の事であったようだ。
最後に彼女は面倒なタイプのメンヘラ・自己中心的人間であるという事である。付き合うまでの会話ではそのような片鱗を見せたことはなかったが、どうやら一定以上仲良くなるとそういう面を見せてくるらしい。
意外だと思われるだろうが、許嫁の件はあまり問題にはならなかった。むしろ二個目・三個目の事情がのちに起こる大騒動の主原因となっていくのである。
大騒動の始まりとなる事件が起こったのは1月11日。付き合い始めて早17日目の事であった。この日のディベートの授業が全ての元凶であった。
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