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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

ダンガンロンパ短編集

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  1. 1 : : 2018/11/14(水) 22:19:05
    ・ダンロン短編集

    ・時間軸はバラバラ

    ・一部グロ注意

    ・ネタバレ注意

    ・一応キャラ崩壊注意

    ・各種1レスです

    ・感想等はこちらに書いていただけると有り難いです↓
    http://www.ssnote.net/groups/2397

    以上、ご確認のほど、よろしくお願い致します

    もくじ
    寂しいからそばにいて(>>2

    感謝の魔法(>>3

    終わらぬ矛盾(>>4

    幸福の王女と幸せの青い鳥(>>5

    最速にして最遅な理解(>>6

    キミと私の二重奏(>>7

    暗闇での願い(>>8

    誰が為の殺人か(>>9

    彼女の目には逆らえない(>>10

    新たな歩み(>>11
  2. 2 : : 2018/11/14(水) 22:19:34
    【寂しいからそばにいて】

    ぬくもりを半分こした布団の中。私は隣で眠るあの子の顔を伺う。先程まで泣いていたため頬には涙の跡が残っているが、今は安らかな寝息を立てている。その顔を見て私は小さく微笑んだ

    私の名前は春川魔姫。神明救済会という宗教団体が運営する孤児院に育てられた人間だ。そして、明日にはここを去る身でもある

    ある日、見知らぬおじさん達が孤児院にやって来て、たくさんの寄付を払う代わりに、私かあの子のどちらかを連れていくと言った。一体どこに連れていくつもりなのかは分からない、けどあの子は泣き虫な子、もし知らないおじさんに知らない場所に連れて行かれたら……きっと生きてはいけない。そう思ったときには私が行くと言い放っていた

    出発は明日の早朝。私はここを出ることをあの子に伝えるとあの子は泣きじゃくって行かないでくれと訴えた。心苦しいけど、そういう訳にもいかない。どうにか説得すると、一緒に寝て欲しいとせがまれた。全く、寂しがり屋なんだから

    それから寝るまでの間、色んな事を話した。それはこの孤児院での思い出。何度も何度も繰り返した。いつもは自分のベッドに寝るように怒りに来る先生も、今日は気を使ってか何も言わなかった

    眠っているあの子の顔をもう一度見る。何処に行き何をするのかは分からない。けど、この子のためにも、私が頑張らなければいけないんだ。そのように決心し、私は目を閉じた

    次の日、私はおじさんに連れられある訓練施設に入れられた。それは……暗殺者を育てるための施設。神明救済会の本当の顔は暗殺組織だったんだ

    訓練は本当に辛いものだった。肉体的にも精神的にも。毎日吐いて、泣いて……それでもあの子のために私は挫ける訳にはいかなかった。私の次はあの子。すごく優しいあの子には暗殺者にはなれないし、この地獄を生き抜くことは出来ないだろうから

    そんな日々を耐え、暗殺者となり施設を出た私はあの子に会いに行った。そして伝えられたのは、あの子が死んだという事実。あまりにも衝撃的だった。私はなんの為に訓練を耐えたのだろうと。けれどあの子との思い出が私を生かしてくれたのは事実なのだ。あの子との思い出の場所である孤児院を守る、そう誓いを新たにした

    そして思った。あの子を支えに生きていた私も、あの子と同じ寂しがり屋だったと。ふと上に手を伸ばしても空を掴むだけだった



    「ぬくもりを半分こした」
    で始まり
    「手を伸ばしても空を掴むだけだった」
    で終わる
    「980字以内」
    のSS
  3. 3 : : 2018/11/14(水) 22:20:05
    【感謝の魔法】

    指先が触れた。冷たい扉の、硬い感触が伝わってくる

    「転子よ……」

    魔女のような格好をした、赤毛が特徴の背の低い少女、夢野秘密子はポツリと親友の名前を呟く。彼女が立っているのは親友の個室の前。その部屋の主は、もうこの世にはいない

    夢野は何をするのも面倒だった。歩くのも食べるのも息を吸うことすら億劫。そんな彼女にとって人と関わるなど論外だった。茶柱転子はそんな彼女の考えなどいざ知らずという様子で絡んできた

    生前の彼女の事を夢野はあまり好きではなかった。やたらとハイテンションで自分に迫り、常に騒がしい。しかも自分に接するその様子はどう考えても普通ではなかった。はっきり言ってかなり引いた。時にはいきなり投げ飛ばされた事さえある

    夢野は彼女を疎ましく思う態度を隠そうとはしなかった。それでも彼女はめげずに自分に話しかけてくる。もう一人の親友である夜長アンジーの神にすがった時も、彼女は自分のために夜長に食って掛かったり、自ら生徒会に入ったりした

    何故そこまで自分を気にかけてくれるのか、不思議で仕方がなかった。彼女が自分のために降霊術の依代になると言い、そしてもっと感情を出すように言われた時、彼女と向き合うのも悪くない……そう思った矢先、彼女は殺されてしまった

    彼女に言いたいことは沢山あった。けれど今では恨み言も感謝も彼女に届くことはない。もっと早くから彼女と腹を割って話せばよかった。大切なものは失って初めて気がつくという。その言葉が今、身にしみて感じる

    思えば自分があれほど何もかもを面倒に感じていたのはなんでだっただろうか。ふと、そんな疑問が思い浮かんだ

    きっかけは……そうだ、師匠の失踪だ。マジシャンズ・キャッスルの手によって師匠の魔法が失敗させられ、自身が代わりに魔法の力を見せつけたあの日。師匠が消えたショックから、自分は全ての事がどうでも良くなったのだ

    師匠のためを思ってした行為が結果的に師匠を傷つける事となった。他人のためを思ってしたことが必ずしも良い結果に繋がるわけではない。人間関係とは複雑で骨が折れ面倒だ。それから人と接するのが面倒になった。やがてそれは喋ること、考えること、動くことと広がっていき、いつしか全てがどうでも良くなっていった

    そんな中でも唯一、魔法だけは面倒と思うことはなかった。何故なのか

    自分と師匠のかけがえのない繋がりだったから……それもあるが、それ以上に自分の魔法を見て笑った子供たちの顔を見るのがとても嬉しかったからだ。人との関係を煩わしく感じながら、みんなに笑顔を届けたいというこの思いは、魔法を習い始めた頃から決して変わらなかった

    「ああ、そうか……そうなのじゃな」

    夢野はここまで考えたところで、何かを悟ったかのようにそう呟いた

    何をするにも面倒くさそうにし、笑顔も見せない人間が、人を笑顔にすることなどできるだろうか?他人を笑顔にしたければ、まず自分自分自身が笑えるようにならなければいけない。そんな初歩的なことを、茶柱は思い出させてくれた

    できれば彼女がいる間に彼女の有り難さに気付きたかった。自分の言葉が彼女の耳に届くことはないだろう。それでも、夢野はこう言わずにはいられなかった

    「ありがとうな、転子よ」

    それは優しい呪文



    「指先が触れた」
    で始まり
    「それは優しい呪文」
    で終わる
    「1400以内」
    のSS
  4. 4 : : 2018/11/14(水) 22:20:34
    【終わらぬ矛盾】

    繋いだ手が熱を持つ

    手だけではない。腕に、脚に、顔に、全身に彼の温もりが伝わる。そしてその熱が時間とともに失われていくのを感じる

    「うぷぷ……」

    私様は微かに笑った後、彼の手を離し、思い切り踏みつけたわ!

    すると肉の潰れる音とともに血が吹き出し、あたしの脚にまとわりつく。彼の温もりが再び身を包むのに安らぎを感じる。もちろん、感じるのは安らぎだけではない

    最愛の幼馴染を、絶望の果てに追いやったうえで自らの手で殺した。それだけではなく、死後の彼の肉体を形が残らないほど踏み潰している

    そう考える度に私の中に微かに残る音無の心が絶望しているのが分かる。ああ、なんて素晴らしいのだろう!

    この絶望をずっと感じていたい。そんな事をしたくないと思う心を持ちながら、最低で最悪で最高の絶望を求め、私はそのまま彼の体を踏み続けた。この地獄(天国)のような一時はいつまで続くのだろう。僕も君も終わり方を知らない



    「繋いだ手が熱を持つ」
    で始まり
    「僕も君も終わり方を知らない」
    で終わる
    「420程度」
    のSS
  5. 5 : : 2018/11/14(水) 22:21:00
    【幸福の王女と幸せの青い鳥】

    青い鳥が羽ばたいて消えた。正確には消えたというよりは見えなくなったと言った方がいいでしょうか
    「なっ!?幸せを運びし蒼き鳥が!」
    籠から飛び立った様子を見て、田中さんが驚きの声を上げます

    先程の鳥はミドリツバメという品種で、アメリカ大陸などに広く生息する綺麗な青い体が特徴の鳥です。数日前、不二咲さんが怪我をしていたのを発見し、田中さんが預かっていたんです

    何故日本から遠いところにいるはずのミドリツバメが居たのか。田中さん曰く、悪天候など様々な条件が重なって群れからはぐれてしまった鳥は、本来の生息地を離れ見知らぬ土地に流れ着いてしまうそうです。そのような鳥を迷鳥と言うのだとか。実際、ミドリツバメが日本に来た例は過去にもあるそうです

    そんなミドリツバメがある程度元気になったため、ずっと心配しているらしい不二咲さんに見せようと連れてきたのですが……不二咲さんが籠の扉を開けた瞬間、出て行ってしまったのです
    「ご、ごめんねえ……せっかく連れて来てもらったのに、逃がしちゃうなんて……」
    不二咲さんが今にも泣きそう……というより、半分泣いた状態で謝ります
    「いや、奴の力があそこまで回復していると気付けなかった俺様の不手際だ。貴様が気にする必要はない」
    「そうですわ。あの鳥さんも元気になってブルースカイにホップステップジャンプしたかったのかもしれません」

    わたくしたちがどうにか不二咲さんを励まし見送った後、田中さんが口を開きました
    「さて、闇の聖母よ。不二咲にはああ言ったが、奴はまだ完全なる肉体ではない。不二咲は以前、憐れなる小さき御霊の消え行く様を見ている。生ある状態で俺様の元へ届けられた以上、再び奴に同じ思いをさせぬよう早々に見つけ我が領域へ連れ戻さねばならない」
    「分かりましたわ。もちろん、わたくしも手伝います!」
    「クク……理解が早くて助かる。時に貴様がいつも身に付けている宝石が見当たらぬがどうした?」
    田中さんに指摘され、胸につけているブローチがないことに初めて気付きました
    「おかしいですね……先程まで確かにあったはずなのですが……まさか、鳥さんが持っていったのでしょうか?」
    ツバメ……宝石……まさか!
    「大変です田中さん!早く見つけなければ、鳥さんが鉛の心臓と共にゴミ箱行きかもしれません!」
    「何だと?……なるほど、そういうことか。ならば一刻の無駄も惜しい。破壊神暗黒四天王よお前たちの力も借りるぞ!」
    わたくしたちは小さき命を救うため、動き始めました

    ……二日後、ミドリツバメはある家で見つかりました。何でも、元々その家の飼い鳥だったようです。ちなみに、わたくしのブローチは普通に学校に落ちていました
    正直、恥ずかしい話です。だから綺麗に忘れてください



    「青い鳥が羽ばたいて消えた」
    で始まり
    「だから綺麗に忘れてください」
    で終わる
    「840以上」
    のSS
  6. 6 : : 2018/11/14(水) 22:21:43
    【最速にして最遅な理解】

    謎は謎のままがいい。誰が言ったか、何処で聞いたかは覚えていないが、そんな言葉をふと思い出した

    謎をそのままにし、それを神秘的だの想像の余地があるだのともてはやすのは、速度の遅い人間の戯れ言に過ぎない。《激情にして最速(アレグロ・アジタート)》と呼ばれるこの私には理解不能な感性だ。人は限られた間にしか生きることができない。その時間を結論の出せないものに費やすなど愚の骨頂と言えよう

    そもそも私は探偵なのだ。探偵とは(mystery)を相手にする職業(生き物)だ。謎を謎のままでいいなどと言う探偵がいるとすれば、それは時間を無駄にしているどころか最早死んでいる

    もっとも、決してその戯れ言が必ずしも悪いとは言わない。全ての人間が私のように速度の速い人間ばかりではないのだ。遅い人間は遅い人間らしく、その考えのもと自ら考える事を放棄し、私のようなランクの高い人間に任せ投資だけしていればいい

    速い人間が世界の最先端を担う事で文明の発展速度は飛躍的に延びるだろう。遅い人間は後からゆっくり、我々の成果のおこぼれでもありがたく享受していればいいのだ。時には犠牲になることもあるだろうが仕方があるまい

    今回だってそうだ。茶下君の死体を見たときに謎は解けた。探偵が相手にするのは(mystery)、謎さえ解ければそれをどう利用しようとも問題はない。大金を得るために『黒の挑戦(デュエル・ノワール)』に失敗し、被害者が何人出ようとも私には関係のないことだ

    けれどあの二人は謎を解き、わざわざ全てを明らかにした。おかげで私は金の回収のため、仕方がなく他の生き残りをこの手で殺すはめになってしまった。そして彼女達も始末しようとしていたところで、彼らが現れた

    開いた扉の向こう、佇むトリプルの二人とその中央に立つ数日同じホテルに居た不気味な男。その時私は全てを悟ったのだ。そして絶望した。手渡された拳銃を自らのこめかみに当てながらふと思ったことがある

    なるほど、謎のままでいいとはこういうことか。世の中には、知らないままでいいこともあるのだ。知らなければ、こんな絶望をせずに済んだのに。私は引き金を引いた

    これはただの物語。金に目が眩んだ探偵が絶望しながら自殺しただけの、そんな昔話



    「謎は謎のままがいい」
    で始まり
    「そんな昔の話」
    で終わる
    「980以上」
    のSS
  7. 7 : : 2018/11/14(水) 22:22:09
    【キミと私の二重奏】

    小さな嘘をついた
    「ご、ごめん!みんなに言いそびれちゃった事があるんだ!」
    ここで終わらせる訳にはいかないから
    「実は……私なんだよね。防犯センサーの受信機を持ってたのって」

    コロシアイの首謀者を殺そうとして私が起こしてしまったこの事件。首謀者の殺害には失敗してしまったけれど、その正体を暴くため、私は犯人に名乗りを上げず学級裁判に臨んだ

    だけど今、事件のクロは最原くんなんじゃないかという流れになっている。そして首謀者が動く様子もない。間違えば首謀者も一緒に処刑されてしまうというのに。もしかしたら、首謀者は私達の中にいないのだろうか?

    何にせよここで間違える訳にはいかない。最原くんは黙ったままだ。多分、彼は何かに気づいたんだと思う。それでも何も言えないのは、彼のトラウマ故だろうか

    彼はこの先、みんなが生き残るのに必要な人物だ。だから、彼にはそれを克服してもらわなければならない。そのためにも彼の背を押そう。それが、首謀者も暴けず天海くんを殺してしまった、私にできるせめてもの行為だろう

    ────裁判が終了した

    最原くんは事件の全貌だけでなく、私の真意さえ見抜いてしまった。流石、“超高校級の探偵”だね。私なんかの嘘じゃ敵わないや。今のキミなら、きっとみんなを導いてくれる

    私の物語はここで終わる。それでも……
    これから何かが始まる予感がした



    「小さな嘘をついた」
    で始まり
    「これから何かが始まる予感がした」
    で終わる
    「420以上」
    のSS
  8. 8 : : 2018/11/14(水) 22:22:39
    【暗闇での願い】

    手を伸ばしても空を掴むだけだった
    「百田……」
    寝転びながら伸ばした手をそのままに、私は星の輝く空を見つめながらポツリと呟く

    希望ヶ峰学園を卒業してから数年。百田は先日、念願叶って宇宙へ旅立った。こっちに帰って来るのは大体半月後になるらしい

    一方私はというと、昔より仕事の数が目に見えるほど減っていた。どうやら最原が頑張ってくれているようだ。このままいけば、本当に私が人を殺す必要もなくなるのではないか。そんな期待をしてしまう

    もしそうなったら、私の願いが叶う日も来るだろうか?私は心の中で反芻する。いつか(あんた)と夜空を駆けたい



    「手を伸ばしても空を掴むだけだった」
    で始まり
    「君と夜空を駆けたい」
    で終わる
    「280程度」
    のSS
  9. 9 : : 2018/11/14(水) 22:23:07
    【誰が為の殺人か】

    探し物はここにあるのに、なかなか手に入らない。そこにあるなら手に入れるのなんて容易だと思うかもしれないが、そう事は単純ではないのだ。何せ僕の探し物を得るには、誰にもバレず人を殺さなければならないのだから

    「全く、とんだ番狂わせだヨ」
    目の前で頭から血を流し倒れる女性……夜長アンジーを見ながら僕はそう呟く。この学園生活が始まってから、既に四人の犠牲者が出た。それ自体はさして気にする必要もないが、その犠牲者に赤松さんや東条さんといった、僕の探し物足る人物……姉さんの友達に相応しい女性も亡くなった

    この学園から出るためには人を殺し、学級裁判という犯人追及の場で他の生存者を騙しきらねばならない。僕は姉さんの友達作りを成し遂げるためにも、ここを出なければならないのだが、その方法を考えているうちに候補は四人になってしまった。その候補が全滅してしまっては、僕がここから出る方法はなくなってしまう

    端的に言えば焦っていた。せっかく目標間近だというのに、こんなところで終わってしまうのは非常に残念だ。そんなときに見つけたのが、籠犬村の文献だった。これを使えば完全犯罪が可能なはず。そのための準備をしているときに……夜長さんに見られてしまった訳だ

    (つい殴ってしまった以上、彼女には死んでもらうしかないけど……せっかくのトリックが無駄になってしまったネ)
    犯行の準備を見られてしまったために別の犯行を行うとは、なんとも本末転倒な話だ。何より、勿体ない。そこまで考えて、僕は妙案を思いついた。
    (いや、逆にこの事を利用して……)
    何にせよまずは彼女の始末が先だろう。僕は彼女の傷口をガムテープで塞ぎ、その体を抱え場所を移動した。

    彼女の研究教室に着いてどうにか密室作りの方法を考え準備を終えた後、彼女を殺そうと刀を振り上げたとき、彼女の目がうっすらと開かれる。困惑と死への恐怖を湛えた目を見ながら、死にゆく人間の美しさを確認し刀を振り下ろす。彼女の瞳の色。その緑が目に眩しかった



    「探し物はここにあるのに」
    で始まり
    「緑が目に眩しかった」
    で終わる
    「840字以内」
    のSS
  10. 10 : : 2018/11/14(水) 22:23:25
    【彼女の目には逆らえない】

    「目をそらさないで」

    その一言で、視線を外そうとしたボクの目は彼女の顔に引き寄せられる。そして彼女の真っ直ぐな目を見ていると、無表情を装うとする意志が途端に崩れ感情が表に出てしまう

    「これね」
    やがて目を外し手を伸ばした彼女は、ボクの持っていた二枚のカードのうち一枚を引いた
    「あはは、また負けちゃったよ。やっぱり、霧切さんには敵わないな」
    ボクたちはババ抜きをしていた。仕事の合間の、ちょっとした息抜きだ
    「苗木君が単純すぎるのよ。その思ってることがすぐ表情に出る癖、少しは治すべきよ。学園長として威厳がないわ」
    彼女はそう言うが、ボクだって彼女の目を見なければそう簡単には顔に出さない。それなら彼女の目を見なければいいだけなのだが……それはきっとできないだろう。だって他でもない彼女の瞳なのだから

    彼女の目はどんな謎も解き明かし、一切の嘘も通用しない。その曇りなき眼に、ボクはもちろん、他の多くの人を助けた
    そしてボクは、全てを見抜くようなその目の強さが好きだった



    「目をそらさないで」
    で始まり
    「その目の強さが好きだった」
    で終わる
    「420字程度」
    のSS
  11. 11 : : 2018/11/14(水) 22:23:57
    【新たな歩み】

    青空に手を伸ばした

    高々数時間ほどの出来事に過ぎなかったにも関わらず、随分久しぶりに空を見た気がする。こんなにも晴々と、にも関わらず寂しい青空を見たのは初めてだ。顔を天に向けながら、宗方京助はそんな事を考えていた

    突如始まった未来機関内で行われたコロシアイゲーム。絶望の残党が起こしたと思われていたあの事件の犯人は、未来機関の会長だった天願和夫が起こしたものだった。事件を起こした理由は、苗木によると天願なりに希望のためを思っての行動だったらしい。正直腑に落ちない点はいくつもあるが、全てはもう終わったことだ。首謀者である天願が死んだ以上、真相を知ることはできない

    今回の騒動で、宗方は大事な人間を多く失った

    尊敬した師であった天願は死んだ。自分が殺したのだ。しかしそれは彼が首謀者だと気付いたからではない。彼の言葉と『嘘をつけない』というNG行動により、自分以外の全員が絶望に染まっていると誤解したためだ。結果的には正しかったのかもしれないが、これは怪我の功名に過ぎない。いや、むしろ真相を問いただすことができない事を考えれば、殺したのも大きな過ちであったか

    恋人であった雪染は絶望の残党だった。いつ絶望に染まったのかは分からない。おそらくはあの学園に教師として潜入していた頃だろうが、確証は持てない。それほどまでに雪染の振る舞いは極々自然だったのだ。ずっと側に居ながら彼女の異変に気づけなかった自分が情けない

    親友であり大事な部下であった逆蔵を自らの手で殺した。天願の言葉に騙され、彼もまた自分を裏切っていたと勘違いしたからだ。彼からすれば自分の方が裏切ったように思えただろう。それでも最後まで自分のために行動してくれた。今回のコロシアイを終わらせたのも彼の功績が大きい。そんな彼に謝ることすらできなかった

    今も昔も、自分は世界をより良くしようとしてきたつもりだ。かつては世界の希望を育てる場所である希望ヶ峰の腐敗を正そうと、世界が絶望に染まった後は全ての絶望を滅ぼそうと動いてきた。仲間と、そして何より自らの才能を信じて

    けれど今回で自らの無力さを痛感した。今回だけではない、昔の判断すら過ちだったと思い知らされたのだ

    (雪染……俺は、間違っていたんだな。何もかも)

    もし、ずっと雪染の側にいれば
    もし、あのとき二人の報告に疑問を抱いていれば
    もし、天願の暴走に気付くことができていれば
    もし、閉じ込められたとき少しでも話し合いをしていれば
    もし、天願の言葉に惑わされなければ

    そんな多くの『もし』が、宗方の頭の中に駆け巡る

    ふと視線をそらすと、苗木が彼の仲間たちと共に笑い合っていた

    苗木誠。どんな場面でも諦めず、人々に希望をもたらす彼のことは、宗方もある程度認めている

    だが、この世界はそれだけではダメだ。彼の言葉は人々を動かすが、理想を語るだけの力無き者は時として暴走する。現に彼は絶望の残党だった77期生を庇った。それは宗方にとって暴走以外の何物でもなかった

    絶望は心を蝕むだけでなく時に圧倒的な力として襲ってくる。世界を絶望から救うには情けなどかけず、奴らを徹底的に殲滅しなければならない。希望的観測で奴らが元に戻ると思い保護するなどもっての他だ。そう思っていた

    けれど結果的に彼らは絶望に染まる前に戻っていた。天願によってもたらされた御手洗の行いを止めることができたのも、彼らの功績が大きい。そして彼らは今回の責任を全て自分たちが被ることで、未来機関が求心力を失うのを最低限に留めるつもりのようだ。苗木の判断が未来機関を救うこととなったのだ

    (希望は伝染する……か)

    きっと、今の世界で求められる指導者は、自分ではなく彼のような人間なのだろう。宗方は未来機関の全てを彼に託すことにした

    (未来機関において俺ができることはもうない。俺はただ……俺一人でできることをするだけだ)

    苗木はおそらく絶望に染まった人間をできるだけ助けようとするだろう。そして彼がトップに立った未来機関もそうなる

    今回のことを考えればその判断が間違いとは言えない。それでも、世の中にはどうしようもない人間とはいるものだ。決して絶望から脱することのできない、力で希望を潰そうとする人間が

    そういった奴らと戦い続けるのが、自分の役目だろう。苗木たちの邪魔をさせないためにも。それが自分にできる罪滅ぼしだ。……あるいは、死に場所を求めているだけかもしれない

    (それでも、これが俺にとっての最善の行動だ)

    胸元から一枚の写真を取り出す。友たちと撮った写真を

    数瞬の間それを見つめた後、再び戻し歩き始めた

    彼の新しい物語はここから始まる



    「青空に手を伸ばした」
    で始まり
    「物語はここから始まる」
    で終わる
    「1680字以上」
    のSS
  12. 12 : : 2018/11/14(水) 22:24:26
    以上で本ss集は終了となります

    今回のss、全て診断メーカーで出てきた条件に沿って作られています。各ssの最後に書いてるのがその条件です。軽い気持ちで10作くらい書くか、と思い作り始めましたが……冒頭と最後が決められ、更に文字数も決まっているとなるとなかなか厳しいものですね。どちらか一つならまだいいのですが……まあ、縛りの中で試行錯誤する、というのも楽しいものではありましたけれども

    最初の【寂しいからそばにいて】……以前は単独で作品として出していましたが、一つずつ出すよりまとめた方が見やすいかな、と思い今回の9作と一纏めにさせていただきました。もし見たことがある方がいらっしゃったら新鮮味がなく申し訳ありません

    さて、こんなに短く大したことのない文章群を最後まで読んで下さった皆様方にこの場を借り感謝の意を述べさせていただきます

    本当にありがとうございました
    機会が有りましたら、また別の作品にてお会いいたしましょう
  13. 13 : : 2020/10/25(日) 21:31:30
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…


    72 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:59:38 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    お願いです
    本当に辞めてください


    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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