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仮面ライダーぼっち10
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- 1 : 2014/01/02(木) 22:53:09 :
- 仮面ライダーぼっち第10話です。
ゾルダのファイナルベント「エンドワールド」を受けた八幡達。彼等の運命やいかに!?
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- 2 : 2014/01/02(木) 22:56:45 :
- 鼓膜を破るような轟音をたてて、緑色のライダーゾルダのファイナルベントが炸裂する。
爆発、爆発、爆発。
「「「「ウワアアアアアアア!!!」」」」
運が良かったのかどうなのか、俺達はその攻撃の衝撃で鏡に入ってもとの世界に戻れたので、それ以上の追撃を受けることはなかった。
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- 3 : 2014/01/14(火) 10:19:35 :
- 「ぽふっ!もふぅ……。何なのだあの技は。リアルで死ぬかと思ったぞ。」
「ったく……。お前がコンファインベントとっとけばあんなことには……。」
「そうだよ!しっかりしてよね!」
「もふぅ!?そもそも我のエネルギーを横取りしてなければこんなことには……。」
「何かしら?財津君?」
「……。材木座です。」
「ま、過ぎたこと言ってもしゃーねーわな。んで、材木座。お前なんかようがあってここ来たんじゃねぇの?」
「もほっ!ゴラムゴラム。これは失念しておったわ。いかにも!これを……。」
言って材木座は、分厚い原稿用紙の束を渡してきた。
「なに……。これ?」
「小説の原稿みたいだな。」
「いかにも!これはライトノベルの原稿だ!とある新人賞に応募しようと思ったが友人がおらぬゆえ感想が聞けぬ。読んでくれ。」
「今とても悲しいことを言われた気がするわ……。」
なるほど、な。厨ニ病になるくらいだからそういうものを目指すのも当然と言えば当然か。
「なんで俺達?投稿サイトとかあるだろ。」
「それはできぬ相談だなぁ……。あいつらは容赦がないからな。」
メンタル弱ぇー……。
「でもなぁ……。」
ちらりと雪ノ下の方を見ておれはつぶやく。
「投稿サイトよりひどいのがいると思うんだけど……。」
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- 4 : 2014/01/14(火) 10:46:55 :
- 俺達はそれぞれ原稿を預かり、家で読むことにした。
小説の内容は、学園異能バトルラブコメもの。何というか詰め込みすぎ感が出てた。文体も終始一貫してないし。
読むのが朝までかかったせいで、一日中授業に集中できなかった。由比ケ浜の奴は元気そのものだったのでどうせ読んでないんだろう。
俺が部室のドアをたたくと、雪ノ下は珍しく船をこいでいた。
「お疲れさん。」
俺のねぎらいの言葉にも反応を見せない。
そのほほ笑む表情は優しく微笑んでいて、普段とのギャップに驚かされた。
このままずっと見ていたいという思いに駆られる。
好きになっちまうぞ!
と、その時。雪ノ下がゆっくりと目を開いた。
「……驚いた、あなたを見ると一瞬で目が覚めるのね。」
ああ、俺も目が覚めたよ。永眠させてやりたい、この女。
「その様子だと、随分苦労したようだな。」
「ええ、徹夜なんて久しぶりよ。私、この手の物は好きになれそうにないわ。」
「材木座のをライトノベルのすべてだなんて思うなよ。面白いのなんていくらでもある。よかったら……」
「気が向いたら、ね。」
これ絶対読まないフラグだわ。
「やっはろー!」
「由比ケ浜さん、よくこれを読んでそんな状態でいられるわね」
「え?あ、あー……。いやー、あたしもマジ眠いからー。あー、眠い眠い。」
急いで目をこすりだす由比ケ浜これほど嘘が下手な奴も珍しい。
「たのもぉう!」
うっとうしい挨拶とともに材木座が入室してきた。
「さて、感想を聞かせてもらおう。好きに言ってくれたまへ。」
自信満々といった材木座の表情とは対照的に、雪ノ下が珍しく申し訳なさそうな顔をする。
「ごめんなさい。私こういうのはあまりよく知らないのだけれど……。」
「構わぬ。俗物の意見も聞きたかったのでな。」
「そう。では……。つまらなかった。読むのが苦痛ですらあったわ。想像を絶するつまらなさ。」
「げふぅっ!」
一刀のもとに材木座を切り捨てた雪ノ下。
「ふ、ふむ……。参考までに、どこがつまらなかったのか教えてもらえぬか?」
「まず、文法がめちゃくちゃね。小学生よりひどいわ。てにをはの使い方知ってる?」
「ほふぅ……。それは読者に読みやすいよう平易な文章に……。」
「そういうことは最低限の日本語が使えるようになってから考えなさい。あと、ルビの誤用が多すぎる。『能力』に『ちから』なんて読み方はない。」
「わかっとらんなぁ。それが近ごろの流行というものよ。」
「そういういのをなんというか知ってる?自己満足よ。そもそも完結していない物語を人に読ませないで。文才の前に常識を身につけることから始めたら?」
「げべらぼらずッダガバディィガバディィ!」
何故突如カバディを始めた……。痛いところを突かれたらしく、材木座は床をごろごろと転がっている。
「まだまだ言い足りないけど、このくらいにしておきましょう。では、由比ケ浜さん。」
「え?えー……。難しい言葉をいっぱい知ってるね。」
「ゲロボェッ!!」
由比ケ浜……。それは作家志望にとっちゃ禁句なんだよ……。
だってそれ以外にほめるところがないってことだからな。
「じゃ、じゃあ、ヒッキーどうぞ!」
「は、八幡?お主はわかってくれるよな?我が文章の高尚さを……。
ああ、わかってるぜ材木座。俺が今、お前にかける言葉は……。
「で、あれって何のパクリ?」
「ゲヤボッサァァヌッッ!!!」
転がっていた材木座は壁にぶつかり、その動きを止めた。ピクリともしない。ただの屍のようだ。
「あなた、容赦ないのね。私より酷薄じゃない。」
「ま、大事なのはイラストだから、中身はあんま気にすんなよ。」
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- 5 : 2014/01/14(火) 10:47:01 :
- 材木座はしばらくひぃひぃと肩で息をしていた。そして、
「……また、読んでくれるか?」
耳を疑った。何を言っているのか分からず俺が黙っていると。
「また、読んでくれるか。」
もう一度、そう言った。
「お前……。」
「どMなの?」
由比ケ浜が雪ノ下の後ろに隠れながら嫌悪の表情を浮かべている。
「お前、あんだけ言われてまだやんの?」
「無論だ。確かに酷評されはした。もう死のっかなー、とも思った。むしろ我以外死ねと思った。だが……。それでも嬉しかったのだ。誰かに感想を言ってもらえるというのはうれしいものだよ。」
そう言って材木座は笑った。それは剣豪将軍ではなく、材木座義輝の笑顔。ああ、こいつはもうかかっちまってるんだ、立派な作家病に。
書きたいものがあるから書く、それが誰かを少しでも笑顔にできたらなおうれしい。たとえ認められなくても書き続ける。それを、作家病というのだろう。
だから、俺の答えは決まっていた。
「ああ、読むよ。」
読まないわけがない。だってこれは、材木座が、白眼視されても病気扱いされてもやり続けてきたことの証なのだから。
「また新作が書けたら持ってくる!」
言い残して、材木座は去って行った。あんがいあいつの夢がかなうのも遠くないのかもしれない。
そう、材木座義輝は変わらなくていいのだ。
「ていやっ!せいっ!お主らに加護があらんことを!」
……あの気持ち悪い部分を除けばな。
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- 6 : 2014/01/14(火) 10:50:14 :
- あれから数日がたった。
「のう八幡、流行の神絵師は誰だろうな。」
「気が早い。まず賞とってから考えろアホ。」
体育の時間は相変わらずこいつと組んでいる。
「フム。まずはどこからデビューするかか……。」
「だからなんでしょう取る前提なんだ……?」
「売れたら声優さんと結婚できるかな……?」
「いいから。そういうのいいから。まずは原稿書け、な?」
こんな感じでグダグダやっている。きっと青春と呼べるものには遠いんだろうけど、それでも少なくとも、嫌な時間ではなくなった。
ただ、それだけの話だ。
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