このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
escape
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- 1 : 2017/11/17(金) 19:04:24 :
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こんばんは、雨都(あまと)です。
『秋のコトダ祭り』、引き続き参加させていただきます。
第3週のテーマアイテムは『薬』です。
よろしくお願いします。
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- 2 : 2017/11/17(金) 19:05:08 :
最原「ん……ん?」
王馬「やっほー!おはよう最原ちゃん!!」
最原「うわぁ!王馬くん!?何で部屋にいるの!?」
いつものように目を覚ましたら、いつもとは違う光景、いや、いつもとは違う人物が目に入る。
キンキンと煩わしい声が寝起きの頭に悪く響く。
王馬「それはね、ピッキングで開けたからだよ!」
最原「ああ、そう……で、朝っぱらから何の用?」
王馬「そうそう!大変なんだよー!」
最原は少し目が覚めた。
自分たちが置かれている状況において『大変』とは、最悪の事態か若しくはそれを誘発するような事態を表す。
コロシアイが、起きてしまったのか。
実はね、と王馬が勿体ぶる。
王馬「入間ちゃんが開発した変な薬でみんなが病気になっちゃったんだ!」
最原「ああ、そう。おやすみ」
王馬「嘘じゃないよ!オレも病気になっちゃったんだ!」
最原「何の」
王馬「オレのは『正直病』!病気のせいで自慢の嘘が吐 けないんだよ!」
最原「……おやすみ」
王馬「ウェアアァアァアン!!!ひどいよぉおぉぉおぉ!!!」
王馬「っていうかおやすみも何も朝なんだけど?」
最原「……その病気を知って僕はどうすればいいのさ」
王馬「事件でしょ!探偵として突き止めないと!」
最原「入間さんが解毒剤とかワクチンとか持ってるでしょ」
王馬「実は入間ちゃんも自分に薬打って『言わざる病』にかかったから言ってくれないんだよね!」
最原「馬鹿でしょ……もうわかった、起きればいいんでしょ」
大体、王馬のデタラメだろう。
最原はそう思いながら髪を整えて外に出た。
ピッキングで侵入したまでは本当だろうが、にしても下らないイタズラを考えたものだ。
最原「あっ、百田くん、おはよう」
しかし。
それは最原の予想の斜め上を行く事態だった。
百田「終一君か、おはよう」
最原「ファッ!?」
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- 3 : 2017/11/17(金) 19:05:51 :
最原「えっと……百田くんだよね?」
百田「うん、そうだよ。僕は百田だ」
目の前にいるのは、確かに百田解斗だ。
だが、見た目はともかくして纏う雰囲気に以前の彼の面影が全くない。
百田「入間さんに注射器で刺されて……なんだか、様子がおかしいような気がするよ」
最原「え、えぇ……」
王馬「にししし……これで状況が分かったかな?」
王馬「百田ちゃんは『気弱病』にかかっちゃったんだよ」
最原「気弱……」
王馬は本当に病気だとしても普段と変わらなかったが、これはさすがにおかしい。
彼の言う通り、病気による異変が起きていると認めざるを得ない。
百田「僕は食堂に行くよ。終一君も遅れないようにね……東条さんが待ってる」
そう言うと百田はふらふらと校舎に歩いていった。
王馬「あんな百田ちゃんでいいの?この事件が解決できないと百田ちゃんはヘタレのままだよ」
最原「……まずは、みんなの様子を見て回ろうか」
王馬小吉 → 『正直病』
嘘がつけなくなる。
百田解斗 → 『気弱病』
極端に弱気、消極的になる。
入間美兎 → 『言わざる病』
何も喋らなくなる。
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- 4 : 2017/11/17(金) 19:06:24 :
最原「まず僕らの他に中庭にいるのは……」
茶柱「グギイィィィィ!!!!」
エグイサルの上に立って覚醒している女子。
最原「あれは?」
王馬「茶柱ちゃんは『キチガイ病』」
最原「なんだ、いつも通りじゃないか」
王馬「最原ちゃん、茶柱ちゃんのことそんな目で見てたの?」
茶柱「キエェェェェェェ!!!!!」
トランスする茶柱を放置し、王馬に向き直る。
最原「あとは……うわっ!?」
キーボ「ロ差止!!ロ差止!!ロ差止!!」
エクソシストのような気持ち悪い動き方で鉄塊が最原たちに近づいてくる。
最原「王馬くん、これは……」
王馬「キー坊は『差別反対病』だね」
最原「まんまだね」
キーボ「ロ差止!!ロ差止!!」
最原「でもキーボくんらしさがあって別に今すぐ治すようなものでは」
キーボ「ロ差止!!ロ差止!!」
最原「いやよく見たらなんかムカつくね」
キーボ「このハゲーーーー!!!!」
最原「あ゛?」
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- 5 : 2017/11/17(金) 19:07:02 :
最原「さて、校舎に入ったわけだけど」
最原の目に映るのは、エントランスで目を閉じて柱に寄りかかる春川の姿。
強者のオーラを出しまくっている。
最原「春川さん?食堂行かないの?」
春川「……笑わせないでくれ。わた……僕が他人と馴れ合うなんて」
最原「王馬くん、彼女は何病なの?」
王馬「春川ちゃんは厨二病だよ」
最原「真っ先に治してあげなくちゃね」
王馬「えー、一番最後にしようよ!」
最原(これが嘘をつけない王馬くんの正直な気持ちか……なんとムゴいことを考えるんだ君は……)
最原「まぁ面白いし最後でもいっか」
春川「……殺されたいの?(暗黒微笑)」
───────────────
最原「食堂すごいな」
東条「マ゛マーーーー!!!!!」
アンジー「はい、ママはここだよ〜こっち来なさい」
東条「ママ……ママ絵本読んで……」
夢野「アンジーさん、白銀さんが投薬の時間ですわ」
アンジー「絵本読んだらいくね〜」
真宮寺「咀嚼!!咀嚼!!咀嚼ゥ!!粗食ッ!!」
真宮寺「C'est subtil……やはり東条さんの料理でなくては舌が満足しないッ!」
天海「けどさすがは美術部、なかなかお洒落な盛り付けっすよ
#今日のbreakfast
#少しでもいいと思ったらRT
#RTした人全員フォローする 」
最原「一人ひとり説明してくれると助かる」
王馬「東条ちゃんはバブみ病」
最原「一応仕事はしてるみたいだね……」
王馬「仕事が終わるとああやってアンジーちゃんに甘えに行くんだ」
最原「そっか……そのアンジーさんは?」
王馬「アンジーちゃんはお姉様病」
最原「ふぅん」
王馬「夢野ちゃんはマジメ病」
最原「ほーん」
王馬「天海ちゃんはツイカス病」
最原「どうりでインスタ蠅みたいに鼻につくわけだね……白銀さんは?あんまり変化ないけど」
王馬「白銀ちゃんは糖尿病」
最原「何でそこだけリアルなの!?」
王馬「真宮寺ちゃんは月山病」
最原「何て????」
茶柱転子 → 『キチガイ病』
キチガイになる。
キーボ → 『差別反対病』
ロボット差別に今以上に過激になる。
春川魔姫 → 『厨二病』
厨二くさくなる。普段と変わr
東条斬美 → 『バブみ病』
赤ちゃんレベルまで甘えん坊になる。
夜長アンジー → 『お姉様病』
世話好きになる。
夢野秘密子 → 『マジメ病』
真面目になる。
天海蘭太郎 → 『ツイカス病』
承認要求に溺れたクソみたいなタグばかり使うようになる。
真宮寺是清 → 『月山病』
あの人みたいになる。
白銀つむぎ → 『糖尿病』
その名の通り。
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- 6 : 2017/11/17(金) 19:07:57 :
最原「なんか思ったよりカオスになってるな……」
王馬「だから早く解決しないといけないんだよね!」
ゴン太「……」
いつの間にか後ろに立っていたゴン太を見たとき、最原は自分たちが入り口を塞いでいたことに気付く。
最原「あっゴン太くんごめん邪魔だったよね」
ゴン太「うん。入り口を塞いでおきながらまさかの立ち話だなんて、交差点を塞いで信号待ちする車くらい自分のことしか考えないで生きている証拠だよね」
最原「ご、ごめん……」
ゴン太「その単純かつ薄っぺらい生き方にはゴン太も苦笑せざるを得ないよ」
最原「王馬くん、これは?」
王馬「ゴン太は天才病だよ」
最原「なるほど」
ゴン太「む、ゴン太の席がないね。腐っても知恵遅れじゃあるまいし、16というたった二桁の数字が計算できないほど馬鹿な人なんて此処にはいなかった筈だよ」
東条「あ、あうう……」
アンジー「も〜ゴン太、斬美を泣かせちゃダメだぞー」
東条「マッマ……あうぅ〜」
百田「ゴン太君、僕の席に座りなよ。僕は床で食べるよ」
ゴン太「さすが百田君だね。最も効率よく足りない席を用意する方法を心得ている。ゴン太はその要領の良さに敬意を払うよ」
白銀「投薬……投薬……」
最原「解決ったって……入間さんが何も喋ってくれないんじゃ意味がないよ」
白銀「解決といえば『かいけつゾロリ』の『かいけつ』って小さい子わからないよね多分」
最原「ごめんちょっと黙ってて」
ゴン太「探偵という立場にいながら自ら推理しようともせず他人を利用し、それが不可能とわかればすぐに無理だ無意味だと罵る君のその姿勢にはゴン太も苦笑せざるを得ないよ」
最原「こいつムカつくな……」
キーボ「ロ差止!!ロ差止!!」
最原「おまけに面倒くさいのも来やがった」
星「おいおい、何の騒ぎだ」
キーボ「ロ差止!!ロ差止!!」
最原「星くん……ってあれ、星くんあんま変わらないね」
星「何言ってんだ?人が一日二日で変わるわけがねえだろう。まぁもっとも、俺はもう変わることなんてできないさ」
星「……代わりに、誰かの未来を変えてやることはできる。それが俺が俺自身に、そして誰かに対してできる精一杯の手向けさ」
最原「唐突に語り出した」
星「それで?一体どうしちまったんだ」
最原「それが……」
最原は星に一連の出来事を話す。
星「なるほどな……道理でどいつもこいつも腑抜けちまってるわけだぜ。よし、俺が協力してやる。まずは入間の研究教室に殴り込みだ」
最原「お……やっと物語が動いたな」
──────────
星「ここか」
入間「……………」
星「なるほど、どうやら王馬の言うことは本当らしいな。何も喋らねえとは」
王馬「ほんとだよ!」
最原「とにかく、何処かにワクチンか何かあるはずだよ」
星「お、もしかしてこいつじゃあねえのか」
そう言って星が取り出したのは、銃のような形をした機械だった。
それはとてもワクチンのようには見えず、光線銃か何かのようだ。
こちらに銃口を向けている。
星「いっきに3人も消せるとは、ツイてるぜ」
最原「……王馬くん、聞き忘れてたけど、星くんの病気は?」
王馬「星ちゃんはコロシアイ病」
最原「先に言って欲しかった!先に言って欲しかったなー!」
入間「……………」
最原「何も喋んないならいちいちセリフ挟んでこないで!」
獄原ゴン太 → 『天才病』
天才になる。
星竜馬 → 『コロシアイ病』
コロシアイにめちゃくちゃ積極的になる。
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- 7 : 2017/11/17(金) 19:08:25 :
星「おいおい、逃げられると思ってるのか?お前らはもう袋の鼠だぜ」
王馬「あの光線銃、たしか照射した対象を消し去るやつだよ!」
最原「何それ!?」
星「さぁ最原、王馬、大人しく……うん?」
電車が迫ってくるように、大きな音が近づいてくる。
轟音とともに研究教室の壁を破壊してやってきたエグイサルに星は撥ねられて吹っ飛んでいった。
茶柱「ンギイィィィィィィィィ!!!!!!」
最原「茶柱さん!?」
王馬「たは、キチガイに助けられちゃったね!」
茶柱「キエェェェェェェ!!!!!!」
それからしばらく3人でワクチンを探していたが、それらしきものは見つからなかった。
最原「はぁ〜〜なんかもう疲れたんだけど」
王馬「いろんなことに振り回されちゃったね!」
最原「主に君のせいでね」
最原「ん……そういえば赤松さんは?」
王馬「赤松ちゃんなら自分の研究教室にいるんじゃない?」
最原「無事……ではないと思うけど一応様子を見てくるか」
──────────
王馬「普通にピアノ弾いてんじゃん」
最原「だね」
ピアノの美しい音色が聴こえる。
どうやら才能に支障はないようだが、今までの例から考えて彼女も病気を患ったに違いない。
最原「赤松さん?」
赤松「最原くん、来てくれたね」
最原「赤松さnむぐっ」
最原の口は赤松の唇によって塞がれた。
生温かく柔らかい感触が伝わる。
赤松「……好き」
最原「あ、あかま……??」
王馬「にししし……アツいねぇ〜」
最原「王馬くん、彼女の病名は?」
王馬「赤松ちゃんは好きな人にひたすら盲目になっちゃう『好き好き病』だよ!」
最原「え、それってつまり……」
王馬「んじゃオレはワクチン探すからこの辺でサヨナラしちゃおっかな〜」
王馬はスキップしながら去って行った。
赤松「最原くん……」
最原「赤松さん、僕の部屋行こっか」
赤松楓 → 『好き好き病』
好きな人や気になってる人に対してひたすら盲目になる。
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- 8 : 2017/11/17(金) 19:08:55 :
赤松「最原くん……」
最原「赤松さん…」
二人だけの時間を過ごした。
互いに何度も唇を合わせ、互いに何度も身体を求めた。
頭を空に、本能のままに重なった。
愛と欲の境目を行ったり来たり、たまに振り切ったり。
乳房の柔らかさ、恥部の生々しい臭い、人肌の温もり。
頭から足までいっぱいになるくらいに味わった。
……『ずるいな』。
僕がこんなにも人に好かれるなんて、あり得ない。
だから僕は本来、キスもできなければ彼女を部屋に連れるなんてこともできないし、セックスもできない。
ましてや口で致してもらうなんて、相手の方に顔を埋めるなんて以ての外だ。
けど、今はそれが全てできている。
それは皮肉にも、変な薬によって発生したしょうもない病気とやらのおかげだ。
その魔法のような呪いのような病気とやらを治すために立ち上がったのに、そいつの力に頼って快楽を得ているのだ。
好かれないという現実から目を背け、都合のいい力に逃げている。
でも、いいじゃないか。
現実が辛いから人は妄想に逃げる。それと同じことだ。
何も悪いことじゃない。
だって、相手も同意の上の行為だし。
別に治さなくたっていい。
知らない方がいいこともあるように、治さない方がいい病気だってある。
このまま二人で、永遠の快楽に溺れてしまおう。
ああ、気持ちいい。
ああ、温かい。
ああ、いい匂いだ。
あは、あはははは。
あははははは。
あははは─────
「は」
夢から、覚めた。
いや─────薬の効果が切れたんだ。
ああ、僕は部屋で一人だ。
また、この『薬』を打ってしまった。
一体、何本目だ。
僕はまだ、逃げている。
赤松さんが死んだという事実から逃げているんだ。
「終一!」
呼鈴より早く呼ぶ声に反応する。
ドアの前には百田が立っていた。
「終一、今日もトレ………どうした、顔色悪ぃぞ」
「ごめん、今日は体調が悪くて……」
「そうか……まぁ、仕方ねえさ。今日はゆっくり休んで、また明日から頑張ろうぜ」
ドアを閉めて、また一人。
まだ中身のある注射器に伸ばそうとした手を自ら振り払い、ベッドに身体を沈めた。
「はは」
悲しくたって涙も出なくなった目を隠すように手で覆う。
けど、どうなんだろう。
実際、そこまで悲しくなんかないんだと思う。
だって、また会えるんだし。
「薬を打てばいつでも会えるんだから」
最原終一 → 『マボロシ病』
都合のいい幻に包まれる。
END
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- 9 : 2017/11/17(金) 19:09:26 :
- ありがとうございました。
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