この作品は執筆を終了しています。
果実を乗せた琥珀
-
- 1 : 2017/05/31(水) 11:07:44 :
- 当作品をご閲覧いただき誠にありがとうございます。
作中での時系列はダンガンロンパ3の絶望編、苗木たち78期の面々が編入して1ヶ月経った辺りです。
以下、ネタバレ注意
-
- 2 : 2017/05/31(水) 11:20:29 :
-
江ノ島盾子が早々に絶望することを飽きたというifストーリーです。もしも、そのような二次創作が苦手な方はお引き返しを勧めさせていただきます。
-
- 3 : 2017/05/31(水) 11:22:35 :
- 期待っす
-
- 4 : 2017/05/31(水) 11:25:35 :
- >3 名無しさん、期待ありがとうございます!
-
- 5 : 2017/05/31(水) 11:26:18 :
- 労りの言葉を背に一際目立つ扉を閉めて立ち去る。
ため息混じりに窓から外を覗けば暗い青にくっきりと半月が浮かび上がっていた。
「今日はまた一段と酒が旨そうだ」
ポケットに手を忍ばせて愛用のスキットルを探すが、以前落とした際に生徒が誤って飲んでしまってから持ち物検査をされて取り上げられたのを思い出す。
-
- 6 : 2017/05/31(水) 11:27:47 :
-
「逆蔵くんも酷いよなー。今日はたまたま間違えて持ってきただけなのに」
「酷いもんすか。車かなにかに隠しておけば何も取り上げないっすよ」
見回りに来ていた逆蔵が俺の口から漏れてしまった愚痴を拾ったことに気づく。
「や、やだなー逆蔵くん。俺だって結構気を付けてるってことを口にしただけだよ」
「ならいいんすけど」
然程気にも止めていないようで安堵するが、彼に持ちかけようと思っていた話題を思いだす。
「ところで逆蔵くん。今日の予定は?」
「交代まであと一時間くらいですが、明け方まであります」
「そうか。なら付いて行きがてらに1つ話を聞いてはもらえないか?」
「ああ、それなら構いません」
-
- 7 : 2017/05/31(水) 11:29:55 :
-
日中は笑い声が響き渡る廊下には2つの靴音のみで占めていた。ライトを頼りに見慣れた前を再確認するように進む。
「教員には興味がないか?」
「俺が…っすか?」
先程俺が出てきた一室、学園長室ではスカウティングの調査結果を報告していた。
次年度に入ってくる予定の生徒たちは中々の曲者揃いであることに加え、中でも厄介な問題を抱えた生徒が一人いる。
「男嫌いの女性格闘家が来年度入ってくる可能性が濃くなった。彼女の対策を立てるには、『異性に対して欲を絶対的に抑えられる男の格闘家』が必要だと学園長と天願さんを交えて話してきた」
「だが、俺には何かを教えるなんて知識や技術はありません!」
抗議する声には歴戦を征してきた猛者たる由縁を感じる。そこに俺や仁は目の前にいるまだ青さが目立つ元ボクサーの新たな可能性を見たく思った。
「もしやってくれるなら、君がこれまでに経験してきたことが知識となるだろう。技術は雪染先生や学園長を参考にするといい」
「…あんたの人を見る目には俺も信頼しているし、尊敬もしている。そこまで仰るなら一度この話は持ち帰らせてもらいてえ」
折れた意思表示として彫りの深い目元を荘厳に閉じる。
-
- 8 : 2017/05/31(水) 11:39:22 :
-
屈強な武人にスキットルを返してもらい別れを告げた後、俺は頭の中に翌日のスケジュールを広げながら駐車場へと向かった。
「黄桜先生?」
駐車場の前、学生寮の窓から一人の男子生徒の声が聞こえた。
「日向くんか。消灯時間はもう過ぎているだろ?寝なさい」
「目が冴えちゃったので夜風にもう少し当たったら戻ります。ですが、その前に先生にお礼を言いたくて」
日向創。
向上心が強く、忍耐力が人並み以上にある。それに加え、誰よりも人の心を大切にする学生だと覚えている。
「礼?本科への編入の件でのことかな?」
「はい。こんな俺を予備学科からスカウトしてくださりありがとうございます!」
それは俺の仕事だ。もっと言えば、今俺は外で結果を残した者を探しに行くよりも『予備学科』と呼ばれる内部で才能を見つけ出し、育てていくべきなんじゃないかと悩むことがある。
「俺、自分に才能があることを知れて嬉しかったです!」
ふと、上の人間に対する不満を思い出す。
1つの才能は他人との誤差を生じさせながら個性として存在するというのに、各業界に絶対的なヒエラルキーを確立させようと躍起になっている方針に俺は吐き気を感じていた。
「私情を挟んで悪いが…。俺は、本来のスカウティングとは人材の発掘と育成だと思っている。だから、お前には誰よりも俺のエゴが働いちまっている。気負いしないで精進してくれ」
「はい!ありがとうございます」
「今日はもう互いに休もう。何かあったら、俺らを頼れ」
-
- 9 : 2017/05/31(水) 11:44:09 :
- 家についた俺はリビングのソファーに全身を放り出し、テーブルにはフレンチフライと焼いた厚切りベーコンとそして大好物のウイスキーのボトルとショットグラスを並べる。
「独り身ってのは悲しいねー」
『あんたの人を見る目には俺も信頼しているし、尊敬もしている』
「人を見る目があったら、女房の一人や二人欲しいもんだよ」
友人が娘との確執などで嘆いたりしてくるのを少し羨ましくも思えた。 同じアラフォーでも陽の当たり方と言うものが違うように近頃は感じるようになった。
「けど、まだ俺には野望というエゴがある。まだまだ安寧を手にするべきではないな」
ましてや自分は未だに世界中を歩き回る身。せめて、一ヶ所に落ち着くことができてからでなければ。
「あ、そういえば…」
-
- 10 : 2017/05/31(水) 11:47:32 :
-
「黄桜くん。77期予備学科の九頭竜菜摘を本科に移動することは上も受理してくれたよ」
「そうか。もう一人の子は?」
翌朝、早めに俺は学校に行き、以前報告していた二人の生徒の情報と成績、そしてその内容を学園長を通して上層部からの通達を受け取った。
「難しいところだな。上の方針を曲げかねないからもう少し彼女に成長を期待したいところだが…」
「そうか。なら、そこも戦地としよう」
「頼んだぞ。…っと忘れてた。彼女から手紙を預かっている」
封をされた筒から中身を取り出すと可愛らしい紙に見合った丸みのある字が綺麗に並べられていた。
『黄桜先生へ
この度は私に本科編入の話を持ちかけて下さり、誠にありがとうございます。
今回の結果は根気強く私をご指導してくださった先生のお陰と言っても過言ではありません。
本科に移りましたら、いつか先生のお手伝いができるようになることを目標にこれまで以上の成果をあげていきます。これからもどうぞよろしくお願い致します。
希望ヶ峰学園77期生 サトウ』
「平凡ってさ、何か又は誰かにとっての特別になる素質を持つ人が言われるものだと俺は思うんだよね。故に誰しもが成れるし、誰しもが迷う」
「そうだな」
「仁。俺はな、数年後には俺と似たような才を持つ者とこの学校の形態を変えたいと思ってる」
-
- 11 : 2017/05/31(水) 11:56:01 :
-
「それは、私に対する挑戦状か?」
引き締めた表情には父性とも呼べる慈愛が垣間見えた。俺が理想とする上司は目の前にいる友人、ただ一人。
「いや、お前には俺の上司であってほしい。できれば俺の気持ちを共有してもらいたい」
「以前話してくれた“真のスカウトマン”の在り方の延長線上の話か?」
「ああ、この学園にはそれを理解してくれる若人が多いものでな。
日向くん、サトウさん、狛枝くん、弐大くん、苗木くん、江ノ島さん。
彼らが卒業した時、こちらに来てくれるようならノウハウの全てを教えて俺や学園を、強いては世界を引っ張っていってもらいたい。
そして、お前にはそんな彼らを伸び伸びと働ける環境を作って欲しい」
簡単なことではない。評議員のメンバーやスポンサーを納得させるか、変革させるなどをすることは非情に難しいというのは重々承知の上だ。
「なんだか、若い頃を思い出すな。この椅子に就いてからはそんなこと考えることが無くなってしまった」
-
- 12 : 2017/05/31(水) 12:01:45 :
- 「…宗方くんや天願さん、他にも多くの人が今の学園形態に疑問を持ってくれているだろう」
「仁、俺らはこのまま老いさらばえるわけにはいかない」
「そうだな。俺もまだ、若い。家庭のためにと中立を取っていたが、俺もかつての野望を思い出してしまった以上そうも言ってられない」
若葉が一吹きの風や齢重ねた樹に対して、どれだけ自由になれるか。それは脆くなった古い細胞を持つ俺達の働きにかかっていると確信している。
自らの内に潜んでいた火の存在を互いに確認した俺達は、これから沢山の苦難と戦うことになるだろうが、保身の為だけに耐えてきた今までに比べれば幾分か楽に思えた。
「今優先して俺らで出来ることは前例を作ることと」
「同じ方針の人間を確認して腹を割って話すことだな。そうと決まれば酒の席をだな」
「そうだな。酒の席は案として取っておくとして、リラックスして本音を語れる機会を作らなきゃな」
そして、昨夜飲んだピートの香りが仄かに漂うウイスキーに俺は未来の自分を重ねた。
-
- 13 : 2017/05/31(水) 12:32:13 :
-
これにて、この物語を閉めさせていただきます。
ダンガンロンパの大人達の作品を書いてみましたが、如何でしたか?
洒落こんだ身なりをしながらも渋さを併せ持つ黄桜公一のかっこよさを書きたく思い、衝動的な執筆をしてしまいました為、リアルタイムでご覧いただいた方々には編集等々で大変ご迷惑お掛けして申し訳ございませんでした(。>д<)
また、よろしければ御意見、御感想を頂けますと幸いです。今後の糧や課題として受け入れていきたく思います。
それでは失礼いたします。ありがとうございました
-
- 14 : 2017/05/31(水) 18:03:01 :
- 溢れでるダンディズムを表現するならハードボイルドな描写が良かったかも。会話が多いのが余計だったように思う。
-
- 15 : 2017/05/31(水) 18:11:28 :
- >14さん、御意見ありがとうございます!
ハードボイルドですか…。
なるほど、勉強不足でした。
今後の執筆の参考にさせていただきますので、またご閲覧と意見を下さると幸いです。
-
- 16 : 2017/06/01(木) 05:25:29 :
- 男性嫌いの格闘家って一体何柱ちゃんなんでしょうかね?
-
- 17 : 2017/06/01(木) 21:11:01 :
- >16さん、コメントありがとうございます!
近いうちに書きたいキャラの一人ですので、また読みに来ていただけたらうれしいです(´∇`)
-
- 18 : 2017/06/19(月) 23:48:28 :
- す……すごい作品です(;゚д゚)
まさか、先生側とは……(;゚д゚)
非常に引き込まれました(っ´ω`c)
お疲れさまです(っ´ω`c)
-
- 19 : 2017/06/23(金) 00:05:46 :
- ルカさん、お褒めくださりありがとうございます!
引き込むことが出来たことで慢心してしまいそうです 笑
-
- 20 : 2023/07/13(木) 13:40:27 :
- http://www.ssnote.net/archives/90995
●トロのフリーアカウント(^ω^)●
http://www.ssnote.net/archives/90991
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
sex_shitai
toyama3190
oppai_jirou
catlinlove
sukebe_erotarou
errenlove
cherryboy
momoyamanaoki
16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
ちょっと時間あったから3つだけ作った
unko_chinchin
shoheikingdom
mikasatosex
unko
pantie_ero_sex
unko
http://www.ssnote.net/archives/90992
アカウントの譲渡について
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654
36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな
22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。
46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね
52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑
89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
-
希望ヶ峰が機能している世界 シリーズ
- 「ダンガンロンパ 」カテゴリの最新記事
- 「ダンガンロンパ 」SSの交流広場
- 【sn公式】ダンガンロンパ交流広場