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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

全員のらーぶらーぶ度をマックスにした癖に日向くんが鈍感過ぎて一切察しようとしない【けっこう安価】

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  1. 1 : : 2016/12/10(土) 20:14:33
    御怒島野的と申します。
    初めてのssで、至らない所もあると思いますが
    ドラえもんのような【生暖かい目】で
    見守って頂けると助かります。
    また、基本的に作者側の事情により更新は遅いです。
    どうかご理解下さい。
    そして、今作では最大のハッピーエンドを目指します。
    なので、原作の設定を少し改変しました。
    どうかご理解下さい。
    追加で、これはタイトルからも分かる通り
    【アイランドモード】の殆ど終わりから始まります。
    コロシアイや島での日常は期待できないものと思っておいて下さい
  2. 2 : : 2016/12/10(土) 20:29:20
    タイトルに 安価するかも と書いてありますね?
    今がその時です。
    僕はアイランドモードのセーブデータを3つ用意しているので、
    (1つにつき5人でいつでもエンディングが見られる)
    まず、そのなかから男との話を描写するか
    (日向くんの鈍感は女子との恋愛感情にのみ作用するので、
     男子との話は丸写しになってしまいます。)
    を安価して頂きます。
    そして、この準備期間はしばらく続きますが、ご容赦ください。

    それでは
    >>3 する or しない
  3. 3 : : 2016/12/10(土) 20:41:03
    してくだせぇ
  4. 4 : : 2016/12/10(土) 20:59:45
    >>3さんありがとうございます!!!

    さて、言い忘れていましたが、日向くんがオトせていない人物が
    二人ほどいらっしゃいます。
    今作はアイランドモードですので、まず辺古山はオトせません。
    そして、他のキャラクターも個別で動いているので、
    ソニアが日向くんにオトされる前に田中にオトされています。
    ヒナソニまたはヒナペコ(こっちはあるか知らない)ファンの方は
    申し訳ありません。
    先程、セーブデータを3つに分けていると言いましたね?
    ええ言いました。言いましたとも。
    それらに上から1.2.3と番号を付けたので、
    どのグループから話すか選んでください。
    男のみ、混合、女のみの3つでどれがどの番号かは僕も覚えていません。

    それでは安価です
    >>5 1 or 2 or 3
  5. 5 : : 2016/12/10(土) 21:02:07
    2で
  6. 6 : : 2016/12/10(土) 21:14:27
    >>5 !?!?!?!
       大和田がポマード切らしたり、
       澪田が誕生日を迎えたり、
       左右田たちが人をおかしくしたり、
       いつも楽しんで読ませてもらっています!

    ...こほん。取り乱しました。
    では、セーブデータを確認してきます。
    少ししたら(多分)安価しに戻ってきますので、
    思い立ったら見に来てください。
    どれに当たったかはお楽しみに。
  7. 7 : : 2016/12/10(土) 21:18:50
    >>4
    >>6
    名前入れ忘れていました。
    間違いなく本人です。
  8. 8 : : 2016/12/10(土) 21:26:44
    全部見てくれたんですか。ありがとうございます!

    好きなSSあれば教えてください。

    あと最近気合い入れてジョジョ×ダンロンSS書いてますので良ければ見てください。
  9. 9 : : 2016/12/10(土) 22:26:21
    >>8 ハイ よろこんでー!

    いやぁ、お風呂とは実に良いものですね!
    ...いえ、ちゃんと調べてきましたよ?
    お風呂入ってサボったりなんてしてませんよ?
    だからそんなに疑う様な視線を向けないで下さい。
    ........
    ....
    はい、どうやら納得していただけたようで何よりです。
    え?してない?
    成程。では、メンバー発表に移る...前に!連絡致します。
    僕は、いつでも質問、指摘、応援などを受け付けていますが、
    決して他人の迷惑になる様なことはなさりませんように。
    質問に関しては、この僕、御怒島野的への質問、
    キャラクターについての質問、それ以外と、
    大体何でもお答えします。バシバシご質問下さい。
    ただし、そんなにいっぺんに来てもパンクするので、
    前の人数を数えてからにして下さい。
    そして当然ですが、ストーリーに関わる事は答えられません。
    ご容赦ください。
    さて、メンバー発表に移るのでしたね。
    データ2のメンバーは...(ドラムロール)

    終里・七海・澪田・罪木・ソニアです!!!!!
    いかがでしたか?
    狙っていたキャラは来ましたか?

    それでは安価です。
    >>10 終里 or 七海 or 澪田 or 罪木 or ソニア
  10. 10 : : 2016/12/10(土) 22:33:58
    ソニア狙っていいの?
    無理なら終里
  11. 11 : : 2016/12/10(土) 22:42:38
    >>10 辺古山みたいな親友エンドになります。

    寝ろとのお達し(親)なので続き(次で始まります)は次回で!

    >>9 また名前忘れてました。本人です。

    そういえば、僕の名前の読み方は「おぬじま のまと」です。
  12. 12 : : 2016/12/10(土) 22:44:58
    狙ってた澪田(大本命)、七海、罪木が出た!よっしゃ!
  13. 13 : : 2016/12/11(日) 16:56:36
    >>8 よく見たら質問ちゃんと答えてませんね。
       デルタンさんの
      【舞園「脱落者待機所、ですか?」戦刃「そうだね。」】
       が好きです。
       あと、ジョジョ×ダンロンのssが見つからないので、
       タイトルとかurlとか書いてもらっても良いですか?(泣)

    がくりょくてすとがおわりました。
    いえそんな、しておりませんよ。ええ。
    ぜつぼうなんて、けっしてしておりません。

    >>8さんの質問に答えるためだけの書き込みですので、
    申し訳ありませんが本編は次回と言うことで
    ご容赦ください。
  14. 15 : : 2016/12/11(日) 17:07:16
    その日の朝…

    ウサミは俺達の顔を見渡して、ただ小さく頷いた。

    ただ、それだけで…

    俺達にはその時が来たのだとわかった。

    永遠のように長かった50日を終えて、
    ついに帰る日が来たのだとーー
  15. 16 : : 2016/12/11(日) 17:10:15
    >>13

    花京院「希望ヶ峰学園?」承太郎「俺たちが教師だと?」苗木・日向「77,78期合同で…」霧切・七海「修学旅行?」

    http://www.ssnote.net/archives/49168

    承太郎が澪田に甘かったり三枚目だったり、花京院が未亡人だったり喫煙者だったりスパルタだったり…やたらとオリ設定・独自世界観ありの長ったらしい駄作ですが、夜露死苦です

  16. 17 : : 2016/12/11(日) 17:52:05
    日向「この島ともこれでお別れなんだな。」

    日向「長かったような短かったような…
       なんか不思議な感じがするな。」

    七海「うん…なんだか本当に普通の修学旅行みたいだったね。」

    十神「…さすがに普通とは言いがたいと思うがな。」

    左右田「え!? 普通、修学旅行ってこういうんじゃねーのか!?」

    九頭龍「クソッ…騙しやがって…どうりでヌルイと思ったぜ…」

    澪田「いやいやいや! 普通の修学旅行はもっとヌルイっすから!」

    辺古山「確かに、突然拉致られて
        南の島でサバイバルさせられたりはしないだろうな。」

    終里「ま、んな細かいことはどうでもいいって。
       だって、すげー楽しかったしよ!」

    罪木「そうですね…私も…とても、楽しかったです!」

    西園寺「…って、なに人のセリフ横取りしてんだよ!
        それ、わたしが言おうと思ってたのにぃぃ!」

    小泉「はいはい、泣かないの。
       別に誰が何回言ったっていいでしょ。」

    花村「そうだよ、喧嘩はやめやめ!
       ほら、ぼくの下半身でも見てなごもうよ!」

    ソニア「ええ、花村さんの下半身なんて
        その程度の役にしか立ちませんものね!」

    狛枝「はぁ…ボクとしてはなんか拍子抜けだったけどね。
       ボクがいてこれだけ人がいて…誰も死なないなんてさ。」

    弍大「お前さん、まだそんな薄暗い事言ってるんか。
       素直に楽しかったって言えばいいじゃろうが。」

    田中「フン…ミッシングパーツなき終焉とはな。
       だが、これも一つの結末か。」

    ※丸写し
  17. 18 : : 2016/12/11(日) 18:00:24
    弍大じゃなく弐大ですよ
  18. 19 : : 2016/12/11(日) 18:44:36
    日向(みんなそれぞれに思うところがあるみたいだ。
       でも今、そこには共通の想いがある。)

    日向(そう、ここでの生活は本当にただ楽しくて…)

    日向(だけどきっとそれこそが、
       俺達に必要なものだったんだろう。)

    七海「ねぇ、日向くん。
       結局【希望のカケラ】ってなんだったのかな?」

    七海「この島で、私たちが本当に手に入れたもの…
       なんだと思う?」

    日向(ここで、俺達が手に入れたものか…)

    日向(それはたぶん…)

    突然の安価です。
    >>20 労働の喜び or 宝 or 絆

    ※丸写しなので、さっさと進めたければ絆を選んでください。

    >>18さんありがとうございます!!!

  19. 20 : : 2016/12/11(日) 19:14:19
  20. 21 : : 2016/12/11(日) 20:21:58
    日向「やっぱり、絆…なんじゃないかな。
       人と人との繋がり、っていうか。」

    田中「ふッ…己を繋ぐ鎖こそが希望というわけか。」

    十神「だが、その鎖の先には誰かがいる。
       それはどんな暗闇をも照らす確かな光だろう。」

    七海「人と人の絆が、希望を生む…?」

    狛枝「だとしたら、希望なんていうのは本当は
       もっと単純で簡単なものなのかもしれないね。」

    狛枝「先の見えない不運だらけの人生でも、
       それがあれば少しはマシだ…ってくらいのさ。」

    日向(この特別な数日間で、みんながそれぞれに何かを得た。)

    日向(ここから出てみんなとの関係がどうなるか…)

    日向(さらに言えば俺の今後がどうなるかも
       わからないけれど…)

    日向(まずは…帰るんだ。)

    日向(俺の、至って平凡な、日常へ)

    日向(ここでみんなと育んだ…)

    日向(この希望とt ウサミ「あ、ちょっと待ってくだちゃい!」
  21. 22 : : 2016/12/11(日) 20:26:25
    ↑僕です。

    やっとオリジナルの展開をお見せできそうですよ。
    ここまで写してしかいなかったの協力していただき、
    本当にありがとうございました。
    ※ちゃんと続きます。打ち切りではございません。
  22. 23 : : 2016/12/11(日) 20:44:34
    ジョジョクロス見てくれてありがとうございます!

    できればあちらの方で感想を聞かせてください!

    そして期待ッ!せずにはいられないッ!

    オリジナル展開待ってます!
  23. 24 : : 2016/12/12(月) 15:30:03
    九頭龍「あぁ!?待てっつーのは一体どういう事だ!」

    九頭龍「これ以上くだらない用事で待たせるんだったら…
        外国に売っぱらっちまうぞ!」

    ウサミ「ひー!外国はいやでちゅー!」

    ソニア「外国はともかく、
        わたくしも祖国の民を待たせているのです!」

    ソニア「もう待っているわけにはいきません!」

    左右田「ソニアさんの言う通り!」

    終里「そうだぞ!
       オレだって兄弟がほったらかしになってんだ!」

    ウサミ「大丈夫でちゅよ。
        別にそんなに長時間拘束する用事じゃ
        ありまちぇんから。」

    日向「……今度こそどういう事だ?
       本当に分からなくなったぞ。」
  24. 26 : : 2016/12/12(月) 17:58:24
    ウサミ「えーと…
        ミナサンはここに来た時のこと、おぼえてまちゅか?」

    十神「ああ、もちろん覚えている。」

    十神「…だが、分かっているわけではない。
       俺達の中にはあの教室に行った方法、
       ここに来た時の仕組みについても、
       分かっているものはいないのだからな。」

    澪田「なんで誰もわかんないなんてわかるんすか?」

    十神「フン…
       当然だ。この十神白夜にも解き明かせない謎なのだ。
       他の誰にも解けるはずがない。」

    澪田「うっきゃー!シビれるゥー!!」

    ウサミ「帰りもあんなかんじの瞬間移動でちゅので、
        しばらくミナサンが
        話すための時間を設けようというわけでちゅ。」

    ウサミ「日向くんの言う通り、
        希望のカケラとはミナサンの絆でちゅ。」

    ウサミ「つまり、それを全て集めたミナサンは
        なにより強固な絆で結ばれているはずなんでちゅ。」

    ウサミ「そんなミナサンには、
        積もる話や秘めた想いetc…
        いろいろあるはずなんでちゅ!」

    田中「成程…つまり魔界の門を潜り
       現世(うつしよ)へと還る前に数多の神殺しを成   し、
       数多の英雄を育て上げた戦友を言霊を交わせと…
       そういうことだな?」

    ソニア「さすがです!田中さん!」

    田中「フハハハハハハハハッ
       この魔界において<制圧せし氷の覇王>と呼ばれ、
       現世において<田中キングダム>を創りあげた
       <田中眼蛇夢>様に解けぬ謎など無いわッ」

    ソニア「すごいです!やっぱり田中さんは…///」

    田中「……ありがとう///」

    左右田「嘘つけッ!
        さっき十神が言ってた謎、解けてねェだろーが!」

    ソニア「左右田和一!おだまりなさい!」

    左右田「」チーン

    日向(左右田……南無三。)
  25. 29 : : 2016/12/13(火) 16:41:55
    七海「それにしても…」

    七海「秘めた想い…かぁ…」

    終里「うめーモン…よりこっちか。」

    西園寺「…秘めた…想い…」

    小泉「秘めた想い…ねぇ…」

    罪木「秘めた、想い…ですかぁ。」

    澪田「秘めた想いっすか…」

    日向「」ゾクッ

    日向「何だ…?」
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    ソニア「ワオ!ジャパニーズトレンディドラマですね!」

    ソニア「ですが、わたくしにはわたくしの想いが…」

    田中「」ピクッ

    田中「…まさか、此処にも<黒を統治せし竜王>の魔の手が…?」
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    辺古山「…いや、こんなことを考えていてはいけないな。」

    辺古山「私はぼっちゃんの道具なのだ…」

    九頭龍「」ピクッ

    九頭龍(なんか今すごく
        気に食わないことを言われた気がする…)
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    ウサミ「それでは始めてくだちゃーい!」
  26. 30 : : 2016/12/15(木) 14:55:03
    ウサミの号令に合わせてみんなが各自集まり始める中、
    輪から離れるように動く人物が一人。

    日向(……田中?)

    日向(なんであいつみんなから……ああ、モノモノマシーンか。)

    モノモノマシーンとは、島内のいたるところに隠された
    【モノクマメダル】を使って景品を手に入れられる、
    ガチャガチャのような装置である。

    装置の上あたりにあるウサミのマークに電子生徒手帳をかざし、
    モノクマメダルを投入すると電子生徒手帳に現れるアイコンを
    タップするとウサミのマークが回り、
    電子生徒手帳に引換券のデータが転送される。

    そして、【プレゼント】の項目から
    目当てのアイテムの引換券を選べば、
    目の前や手のひらの中にそのアイテムが出現するという仕組みだ。

    ……正直ここだけファンタジーだが、
    鶏を牛に変えた実績のあるウサミならば可能なのだろう。

    日向(でもなんで今さら…わざわざこんなときに?)
  27. 31 : : 2016/12/15(木) 15:19:24
    田中「~~!~!」ゴソッ

    日向(!?…なんだあの大量のモノクマメダル!?)

    田中「~!?~~!!」

    日向(一回にけっこうつぎ込んでるな…
       もしかしてまだ一回も出てないのか?)

    モノモノマシーンには、投入したモノクマメダルの枚数によって
    景品の重複率が減るというシステムがある。
    ……百枚ものモノクマメダルがどこにいっているのかは知らない。

    田中「~☆~~♪♪」

    日向(出たみたいだな。)

    田中「……」ゴクリ…

    日向(まだやるのか……二つ以上必要なのか?)

    田中「☆★☆★☆★~♪」

    日向(上機嫌だな。欲しかった分は出たみたいだ。)

    日向(それにしても、何が欲しかったんだろう。)

    日向(一回も出してないなら四天王の食事じゃ無いだろうし…)

    考え込む日向。
    この男は、自分も[誰とも話していない変なやつ]であることに
    気づいていない。

    ???「日向さん!」

    しかしこの男にだけは完成できない思考は、
    近くから向けられた声に遮られた。
  28. 32 : : 2016/12/16(金) 20:41:27
    日向「お、ソニアか。」

    ソニア「この修学旅行はとても素晴らしいものでしたね。」

    ソニア「まるで夢の中に居るような……
        素敵なロングバケーションでした。」

    日向「ホントそうだよな。
       ……始まった時なんて、結構不満もあったのに。」

    ソニア「それだけ唐突でしたから、仕方ありませんよ。」

    日向「だけど、
       ウサミには罵詈雑言の嵐が襲いかかっていたじゃないか」

    ソニア「超高校級ともなれば、
        多かれ少なかれ向こうに仲間が居るのですよ。」

    ソニア「わたくしも、祖国の民を留学とはいえ、
        しばらく気にしてすらいませんでした……」

    日向「別にそう思い悩む必要は無いんじゃないか?」

    日向「十神や九頭龍、ソニアを見てるとつくづく思うんだけど…」

    日向「やっぱり凄い指導者には凄いやつらが集まるんだよ。」

    日向「でなきゃこの個性的なクラスメイトたちに慕われるなんて
       出来っこないからな。」

    日向「だから、
       おまえの祖国の仲間を信じて堂々と帰れば良いんだ。」

    ソニア「……………」

    ソニア「日向さん……」

    ソニア「日向さんは他人の今一番欲しい言葉をピッタンコで
        当ててくれますね……」

    ソニア「日向創!!よきにはからえ!!」

    日向「う゛」

    日向(危ない……! 頭を下げるところだった……!)

    ソニア「日向さんは、
        ノヴォセリック王国の王城に勤める気はありませんか?」

    日向「へ?」

    ソニア「そのままの意味です。」

    日向「……いや、さすがに出来ない。」

    ソニア「そうですか……
        国の相談役になっていただこうかと思ったのですが……」

    ソニア「ですが、そうですね。
        日向さんを独り占めしてはいけませんね。」

    ソニア「では、たまに遊びに来てください。」

    ソニア「日向さんなら連絡をいただければ
        国最高のおもてなしをいたしましょう。」

    日向「いや、普通でいいからな!?」

    日向「……フフッ」

    ソニア「……クスッ」

    ソニア「日向さん、
        わたくし達はここを出ても……………」

    ソニア「最高の、仲間、ですよね?」

    日向「ああ、もちろん!」

    その言葉に、
    ソニア・ネヴァーマインドは鈴蘭の様な笑みを浮かべる。
    日向と共に今笑っているこの純粋な少女と対等に過ごす事は、
    日向にとっての希望の一つの形だった。
  29. 33 : : 2016/12/16(金) 20:47:26
    親友ルートもええのぅ……

    恋愛ルートにも期待!
  30. 34 : : 2016/12/16(金) 21:09:53
    ソニア「あ!そうでした!」

    ソニア「日向さん!
        わたくしは日向さんに頼みたいことがあったんです!」

    日向「?…出来ることなら聞くけど……」

    ソニア「きっと……日向さんにしか出来ないことです。」

    日向(俺にしか出来ないこと?)ゴクリ…

    ソニア「日向さん………………………」

    ソニア「シルバーリング、持ってませんか?」

    日向(引っ張ってそれかよ!)

    日向「分からないけど……探してみる。」

    日向「……あ、一つだけあったぞ。」

    ソニア「それ、頂けませんか?」

    日向「別に良いぞ?
       ウサミによれば、向こうには持って帰れないらしいし。」

    ソニア「ありがとうございます!どうしても二つ欲しいのに
        一つしか手に入らなくて困り果てていたんです!」

    日向「ならよかったけど…
       これのどこが<俺にしか出来ないこと>なんだ?」

    ソニア(鈍感で何に使うのか分からなさそうだから、
        なんて言えませんね………)

    ソニア「日向さんは物持ちが良いですから。」

    日向(なんだか釈然としないけど……)

    日向「まあ、何に使うのかは知らないけど頑張れよ。」

    ソニア「はい!ソニア、いっきまーす!」

    ソニアの走る先には……

    日向(田中?)
  31. 35 : : 2016/12/16(金) 21:11:37
    勝手にエンディングだと思ってました。すみません…
  32. 36 : : 2016/12/16(金) 21:11:39
    >>33
    頑張りますよ!
    ……成就する訳ではありませんが。
  33. 37 : : 2016/12/16(金) 21:16:53
    >>35
    >>10の雰囲気とか
    >>11で言い方しくじって「エンド」って言っちゃったので
    無理ないことだと思いますよ。

    あと、
    ソニアルートは特殊なイベントがあるのでまだ結構続きます。
    (↑最初っからこう言っとけば良かった。)
  34. 38 : : 2016/12/17(土) 13:58:18
    左右田「ソニアs ソニア「田中さーん!」

    左右田「」リアルガオ

    日向(左右田……南無三。)
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    ソニア「田中さん!」

    田中「む?どうした闇の聖母よ。」

    田中「破壊神暗黒四天王の信頼を勝ち取った貴様は最早
       我が<田中キングダム>の一員……」

    田中「もしその闇に侵された聖気が触れたとしても、
       決して拒むことは無いだろう。」

    ソニア「いえ、
        今回は四天王さん達をさわりに来た訳ではないのです。」

    田中「ならば何用だ?」

    田中「この田中眼蛇夢様を一所に留め続けるには、
       それ相応の対価が必要だと知れ!」

    ソニア「ええ、きっと田中さんのお眼鏡にかなう用事です。」

    言うが早いか、ソニアは
    田中のマフラーを引いて砂浜の中心に連れていこうとする。

    田中「」ウグッ

    田中「待て!その様な扱い方をすれば、田中キングダムの民が…」

    破壊神暗黒四天王は既にソニアの肩に登り、
    一緒になってマフラーを引く様な動きをしている。

    田中「いつの間に!?」ウグッ

    突然騒ぎ始めた田中達に、クラスメイト達の視線が集まっていた。
  35. 39 : : 2016/12/17(土) 14:25:21
    田中「ゲホッゲホッ……」

    田中「貴様!この俺様にこのような扱い……」

    田中「タダで済むと思うなよ!」

    ソニア「緊張しているのです!少しの粗相は許して下さい!」

    田中「……貴様、そんな性格だったか…?……まあいい。」

    田中「して、用事とは何だ。」

    ソニア「はい、それでは………………」

    ソニア「…」コホン

    ソニア「田中さん。」

    田中「?」

    ソニア「わたくしは、
        田中さんの動物に対する真摯な姿勢、
        時折見せる思いやりの強さが、
        すばらしいものだと思っています。」

    ソニア「そして、そんな田中さんなら………………」

    ソニア「すばらしいマカンゴをわたくしに見せてくれると、
        信じています!」

    田中「…………………………?」

    田中「その指環は、何だ?」

    ソニア「え?……あ!日本式でないといけませんね!」

    ソニア「うう……フラれたかと思いました……」

    ソニア「では、田中眼蛇夢さん!」

    ソニア「これからの人生を
        わたくしと共に喜び、
        共に哀しみ、
        共に怒り、
        共に歩む…………」

    ソニア「ガンダム・ネヴァーマインドとなってください!!!!!」

    田中「…………………………成程、それで指環か。」

    田中「しかし、俺にも譲れない信念(ストーリー)が在る。」

    田中「それを受けとることは、出来ん。」
  36. 40 : : 2016/12/17(土) 14:37:10
    ソニア「え……?」

    ソニア「そんな…………」ポロポロ

    田中「すまないが……」

    田中「俺はここにいる。」

    田中「その指環を仕舞って…………」

    田中「もう一度、俺の前に来てくれ。」

    ソニア「はい………」
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    日向「ソニア………」

    ソニア「日向さん、先程の指輪です。」

    日向「ああ……」

    日向「………行くんだろ?」

    ソニア「………はい。」

    日向「普遍的なことしか言えないけど………」

    日向「頑張れ。」

    ソニア「………はい。」

    ソニア「こうなったら、この少しの間で
        わたくしの魅力を思い知らせてやります!」

    日向「………ああ、その意気だ!」
  37. 41 : : 2016/12/17(土) 14:58:28
    頑張れソニア
  38. 42 : : 2016/12/17(土) 15:09:21
    ソニア「田中さん。」

    田中「…………」

    ソニア「わたくし、諦めません。」

    田中「ソニア」

    ソニア「どれだけ拒絶されようと…………」

    田中「ソニア」

    ソニア「絶対に、諦めてなんt」
    田中「ソニア・ネヴァーマインド!!!」

    ソニア「さっきから何なんですか!他人のセリフを遮って!」

    田中「ええい、俺だって緊張しているのだ!多目に見ろ!」

    田中「貴様、先程俺様に
       ガンダム・ネヴァーマインドとなれと言ったな。」

    田中「それはつまり、我が最強にして最凶の
       <田中キングダム>が貴様の傘下に入るということだ。」

    田中「貴様に、その覚悟があるか?」

    ソニア「……はい!もちろん!」

    田中「貴様は、ドラマだなんだと語る割には、
       俗に<ロマン>と呼ばれるものをないがしろにしている。」

    田中「俺様は、筋書きには煩い方だと自負している。」

    田中「このような儀式において、指環を出すのは…………」

    田中「男の方なのだ。」スッ

    ソニア「!」

    田中「まあ、手に入ったのはついさっきだが………」

    田中「受け取って………くれるか?」

    ソニア「…!…!」ポロポロ

    田中「な…!何故泣く!」

    ソニア「大丈夫です……」

    ソニア「受け取らないわけ、ありません……!」

    田中「……そうか。」

    田中「これから宜しく。………ソニア。」

    ソニア「はい、眼蛇夢さん!」

    二人の間には、誰にも弱める事すら出来ない絆が通っていて。
    それがまさしく、二人の希望であることは…………
    一切の疑う余地を残していなかった。
  39. 43 : : 2016/12/17(土) 18:38:47
    次は誰に話しかけますか?

    それでは安価です。
    >>44
  40. 44 : : 2016/12/17(土) 18:46:08
    終里、七海、澪田、罪木からでお願いします!

    再安価
    >>45
  41. 45 : : 2016/12/17(土) 18:58:00
    七海
  42. 46 : : 2016/12/18(日) 21:12:19
    待ってます
  43. 47 : : 2016/12/18(日) 22:26:47
    すいません、今後は週に何回単位での投稿になるかもしれません。
  44. 48 : : 2016/12/18(日) 22:58:55
    全然オーケーですよ。作者さんの都合が第一ですから。
  45. 49 : : 2016/12/21(水) 18:03:51
    七海「うらやましい……のかな?」

    七海(修学旅行は………これで終わり。)

    七海(みんなはきっと………もといた場所に、帰る。)

    七海(私は、行けない。)

    七海(NPC(ノンプレイヤーキャラクター)だから。)

    七海(ここが、帰る場所だから。)

    七海「あれ………?おかしいな………?」

    七海「なんで私………泣いて…………」ポロポロ

    七海(あぁ、そっか。)

    七海(私、みんなと会えなくなるのが………)

    七海(日向くんと会えなくなるのが………)

    七海(悲しいんだ。)

    七海「やっぱり恋愛ゲームは苦手だ……と思うよ、日向くん……」

    日向「呼んだか?」
  46. 50 : : 2016/12/25(日) 13:39:26
    七海「ぴゃっ!?」

    日向「なんだ変な声出して…って泣いてる!?ほら、ティッシュ。」

    七海「あ…ありがとう……」

    七海(どうしよう、今の聞かれてたのかな!?)

    日向「恋愛ゲームがどうかしたのか?」

    七海(バッチリ聞かれてた!)

    七海「な、なんでもない……と思うよ?」

    七海「そんなことより、日向くんと話しておきたかったんだ。」

    日向「まあ、言いたくないなら追及はしないけど……」

    日向「俺も七海と話すために来たし、ちょうどいいな。」

    日向「七海に用事があれば優先してくれ。
       俺は特に言いたいことがある訳じゃないから。」

    七海(可能性を潰された!)

    七海「えっと……
       みんなは元々いた場所に帰るんだよね?」

    日向「そうだろうな。七海は違うのか?」

    七海「そういうわけじゃなくて、
       私はここから帰ったらみんなと会えなくなる……
       と思うんだよね。」

    日向「………それ、本当のことか?」

    七海「………うん。」

    日向「……それなら、
       今のうちにやりたいことをやっておかないとな。」

    七海「え?」

    日向「会えなくなるなら、
       今のうちにわがまま言っておけばいいんじゃないか?」

    日向「俺達は、きっとお前を捜しに行く。」

    日向「仲間じゃないか。わがまま言ったって誰も怒らないさ。」

    七海「日向くんは………私がわがまま言っても怒らない?」

    日向「ああ。」

    七海「じゃあ、とことんわがまま言う……と思うよ!」

    日向「そこは断定してくれ。」
  47. 53 : : 2016/12/29(木) 22:58:48
    七海(…といっても、わがままってどんなことをするんだろう。)

    七海(やっぱり、今のうちに日向くんの気を引くことかな!)

    七海(さっきの会話じゃ、全然気が無さそうだったけど……)

    七海(今こそ、日向くんに手伝ってもらった恋愛ゲームの腕を
       示す時だよ!)

    七海「日向くん………」

    日向「どうした?」

    七海「頭……撫でて?」

    日向「!?…ゲホッゲホッ……はぁ!?」

    七海「嫌?」

    日向「い、嫌じゃないけど……」

    七海(よし、好印象!)

    七海「じゃあ撫でて!」

    日向「お、おう………」

    すると七海は、日向に向けて自分の頭を差し出す。

    日向「…」ナデナデ

    七海(きも…ち……いい…)

    日向(なんだこの状況……って寝てる!?)

    七海「」コテン

    日向の肩に七海の頭が預けられる。

    日向「まあ、七海が良いなら、良いか。」
  48. 54 : : 2016/12/31(土) 13:28:14
    日向(それにしても、俺にもけっこう眠気が……)

    日向(昨日七海のゲームに
       遅くまで付き合ってたのがいけなかったのか?)

    日向「ふあぁぁ………」

    小泉「」カシャッ

    日向(なんだ?シャッター音?……後で尋ねてみるか…)

    日向(今は……俺も少し……寝たいな……)

    すると日向は、自分も七海に体を預け、スヤスヤと寝息を立てる。
    はたから見れば、ほとんど恋人同士である。

    日向「」スヤスヤ
    七海「」スースー…ウシガ…ネジガ…メガミガ…
  49. 55 : : 2016/12/31(土) 13:33:02
    待ってました!

    甘い甘い展開になり左右田…!
  50. 56 : : 2016/12/31(土) 13:35:32
    ちなみに、宣伝スレ使わせてもらってまーす!
  51. 57 : : 2016/12/31(土) 13:48:01
    >>55.>>56
    ありがとうございます!
    荒らされる前に更新していきたいです…
    日澪の新作見ました!いつも楽しい作品をありがとうございます!
  52. 58 : : 2016/12/31(土) 13:50:48
    あと、次は本編のネタバレになるはずですので、
    嫌な方はブラウザバックをお願いします。
  53. 59 : : 2016/12/31(土) 14:18:56
    先に眠りから覚めたのは、意外にも七海だった。

    七海「ふぁ…あれ、寝ちゃってたんだ……」

    そう言って七海は自分の体を起こす。

    今二人は、モノモヤシーンではない方のヤシの木の根本に座っている。
    七海の肩が日向の肩に引っ掛かり、お互いに支え合う姿勢になっているのだ。
    ちょうど漢字の<八>のようである。

    コテン
    七海「ん?」

    もしその状態から片方が縦に体を直せばどうなるか。
    これがただの棒なら、もう片方は重力に従って倒れる。
    しかし、人間の体には肩という段差がある。
    つまり、今日向の頭はーーーー

    七海「」

    七海の肩にある、ということになる。
  54. 60 : : 2016/12/31(土) 14:19:15
    もうちょい先でした。
  55. 61 : : 2016/12/31(土) 14:40:37
    七海「ひ……ひ……ひ……」

    七海(日向くんの頭が私の肩に!?)

    七海(なんで!?え!?わー!!わー!!)

    七海「………」

    七海「……アンテナ……触ってみたいな…」

    七海「」グイッ

    アンテナ「」ビーン

    七海「」パッ

    アンテナ「」パチン

    七海「」ガシッ

    七海「」ギュウ

    七海「」グルグル

    七海(結構かたくて弾力がある感じ……かな?)

    七海(こんなふうに動かしてるとジョイスティックみたいだなぁ)

    七海「さて………」チラッ

    七海(日向くんの………寝顔……寝顔……寝顔……)
  56. 62 : : 2016/12/31(土) 23:25:09
    七海「ちょっとくらいなら良い……と思うよ。」

    日向の容姿は、実は結構整っている。
    普通普通と言われるが、それは顔に特徴と呼べる要素が少ないこと、
    アンテナに特異性をほとんど持っていかれていることによって起こっており、
    ぱっちりとした目、
    小さめの鼻、
    左右対称の顔、
    また、才能に憧れる段階で鍛えたのか、
    胸囲は91センチと同年代の男子高校生と比べて厚く、
    いわゆる<細マッチョ>と呼ばれる体型である。

    さて、この説明は七海の思考の中で行われたものを
    ナレーション風に置き換えたものだ。
    しかし、なぜそんなことを考えているかと言えば………

    七海(だから良いよね?日向くんがカッコいいんだもんね!)

    この言葉と、既に日向の唇にのびかけている指を見ればわかる。

    まあ、そういうことなのであった。
  57. 63 : : 2017/01/02(月) 23:10:14
    七海(いいよね?いいよね?)

    そうこうしている間にも、七海の指先は今にも触れてしまいそうな程の距離まで来ている。

    七海(………えいっ!)

    迷う素振りを見せながらも、意を決してつき出されたその指は、

    【PROTECT】キンッ

    突如現れた半透明のウインドウに、無機質な金属音と共に弾き返され………

    【規制ワードに対する過度の干渉を確認しました。
     これより、Alter Ego No.2[七海千秋]を
     [Alter Ego's room]へ移動します。】

    七海「え………」

    ほぼ同時に、七海の意識は闇の中へと消えていった。

    ???「ごめんねぇ、七海さん…
       こうするしか、方法が無いんだぁ………」
  58. 64 : : 2017/01/05(木) 11:06:20
    悲恋!?まさかの悲恋!?
  59. 65 : : 2017/01/05(木) 22:20:28
    七海「……………」

    闇に沈んだ七海の意識は、唐突に目覚める。

    七海「………知らない天井だ………?」

    いや、七海の0と1でできた記憶を探れば、確かにここの情報がある。

    まず目に入るのは青っぽい天井。
    どうやらベッドに寝かされているらしい。
    部屋の主が使ったのか、足元にはハンドグリップが置いてある。
    頭上の机には高級そうな椅子と、三台ものモニターがある。
    左に目をやれば、特徴の無い扉の横に
    本格的な望遠鏡と様々な天体の写真や、
    古代の世界地図のような物がある。
    丸い机の上には、
    一眼レフと呼ばれるカメラと小さめの赤いカメラ、
    綿のようになったタンポポ、
    大きく<裏>と書かれた分厚い本等が無造作に置かれている。

    七海「なんていうか………多趣味?」

    この部屋から連想される言葉は、それしかないだろう。

    七海(でも、これで分かった。)

    七海(私は、この部屋を知ってる。)

    七海(しかも、プログラムとしての記憶の中で。)

    七海(この部屋は…………)
  60. 66 : : 2017/01/05(木) 22:26:22
    ーーー閃きアナグラムーーー

    開始!!!
    ナラベカエテアテハメロ
    問.この部屋は何?

     さ じ ふ ひ ち つ し こ

     □ □ □ き □ □ ろ の □ □ □

    >>67
  61. 67 : : 2017/01/05(木) 22:28:17
    不二咲千尋の個室
  62. 68 : : 2017/01/06(金) 23:00:33
    七海(この部屋は…………)

    七海(希望ヶ峰学園寄宿舎一階、不二咲千尋の個室だ。)

    七海(でも、どうして?)
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    ???(どうしようかなぁ……)

    ???(うう、あんなことしちゃったら恨まれるに決まってるし…)

    ???(しかも、なんだか考え込んでるみたいだし……)

    ???(出ていきづらいよぉ……)

    ???(考えるのを邪魔するのも悪いし……)

    ???(どうしよう………)
  63. 69 : : 2017/01/08(日) 21:48:38
    ???はアルエゴかな?ちーたんかな?
  64. 70 : : 2017/01/09(月) 13:09:21
    七海(これはおかしい………よね?)

    七海(だって、希望ヶ峰学園のマップは…………)

    七海(……………………)

    七海(………)ウツラウツラ

    ???「ね、寝ちゃだめだよぉ!?」

    七海「んぁ……」

    七海「あれ………アルターエゴ?」

    アルエゴ(うっかり出てきちゃったよぉ!)

    七海「あー………そっか。そういうことだったんだね。」

    アルエゴ「えぇ!?どういうことぉ?」

    七海「ほら、希望ヶ峰学園のマップは没になってたはずでしょ?」

    七海「なんでいまあるんだろうって思ったけど、
       ここが[Alter Ego's room]なんだね。」

    七海「で、規制ワードっていうのは、[恋心]……だと思うんだよ」

    七海「私が抱く分には問題無かったからつまり、
       私が規制されているのは
       [他人に自分に対する恋心を抱かせる行為]だと、思うよ。」

    アルエゴ「………正解だよぉ。」

    アルエゴ「あのまま日向くんに触ってたら、
         日向くんが起きて気づいて、
         七海さんを意識することになってたからねぇ。」

    七海「んー、まあいいや。帰れるんでしょ?」

    七海「日向くんに告白できないのは辛いけど、もともと覚悟してたしね。」

    アルエゴ「………………」

    アルエゴ「……実は、帰れないんだよねぇ。」
  65. 71 : : 2017/01/09(月) 22:05:52
    七海「………え?」

    日向「アルターエゴ!七海が帰れないってどういうことだ!」

    アルエゴ「一度抱いた感情はもう消せないんだよぉ。
         予期せぬバグが起こるかもしれないから………
         またやらかすかもしれない人を、もう一度同じ所には置けないからねぇ。」

    七海「そんな………」

    日向「それなら向こうにある七海の体はどうなる!?
       俺が起き上がってしまえば、あれは動かない置物になるはずだ!」

    アルエゴ「僕が操作するよぉ。みんなのデータがあれば、
         その人がいつどんなときにどうするかも
         手に取るように分かるからねぇ。」

    日向「クッ………」

    七海「みんなと、最後の挨拶も、出来ないなんて………」

    七海「日向くんに、たくさんわがまま聞いて欲しかったのに……」

    日向「………いや、それなら出来るぞ!」

    日向「だって、俺はここに、お前の手の届く所に居るんだから!」

    七海「……日向くん……そうだね!」
  66. 72 : : 2017/01/09(月) 22:09:30
    違和感があった方はどしどしコメント下さい。
    多分大多数の賢い皆様はきっとおかしいと感じられているのではないでしょうか。
  67. 73 : : 2017/01/09(月) 22:11:02
    僕は問題ないと思います
  68. 74 : : 2017/01/09(月) 22:28:04
    申し訳ありません。書き方に問題がありましたね。
    >>71は、作者が意図的にあり得ない状況にしているのです。
    それで「見抜けるかな?」ドヤ とかやっていたのです。
    本当に申し訳ありません。(ちなみに、超重要シーンです。)
  69. 75 : : 2017/01/09(月) 22:41:53
    改めて、どしどしコメント下さい。
    あと、[Alter Ego's room]の丸机の上のアイテムが何か分かった人は居ますか?一眼レフ以外で
  70. 76 : : 2017/01/09(月) 22:50:54
    初SSとは思えない出来ですね
  71. 77 : : 2017/01/09(月) 22:53:16
    ありがとうございます!
  72. 78 : : 2017/01/09(月) 23:00:06
    綿のようになったタンポポは無限タンポポと考えていいですか?
  73. 79 : : 2017/01/09(月) 23:03:56
    >>78正解です。
  74. 80 : : 2017/01/09(月) 23:05:45
    裏と書かれた本…なんだろう
  75. 81 : : 2017/01/09(月) 23:05:59
    今後顔を出してもSSを書き上げる時間が取れない事が続くかもしれません。
  76. 82 : : 2017/01/09(月) 23:06:52
    作者様のペースで頑張ってください
  77. 83 : : 2017/01/09(月) 23:10:34
    >>82ありがとうございます!出来るだけ更新もするように心掛けます!

    ゲームやった人はアイテムの共通点に気付くかもしれませんね。
    一応ヒントをあげるならば、
    三つのアイテムは不二咲千尋を中心に繋がっていることですかね。
  78. 84 : : 2017/01/10(火) 22:56:56
    今更ながら
    コメントは作者の原動力の一つです。
    ですので、感想や指摘などございましたら
    遠慮せずに書き込んで下さい。

    また、次の投稿は>>71の違和感についての答え合わせとなる予定です。
    まだだれも見抜いていらっしゃらないので、奮ってお書き込み下さい。
  79. 85 : : 2017/01/12(木) 22:27:08
    七海「じゃあ、どんなことをしようか。頭は撫でてもらっちゃったし………」

    アルエゴ(あれ?なんだか違和感が…………)

    アルエゴ(…………!)

    アルエゴ(……そうだ、なんで気付かなかったんだろう。)

    アルエゴ(こんなの、どう考えてもおかしいよぉ。)

    七海「日向くん、それじゃあ……」

    アルエゴ「七海さん!ちょっと待ってぇ!」

    七海「どうしたの?アルターエゴ。」

    アルエゴ「この状況は、おかしいんだよぉ!」

    七海「そう?何もおかしくない………と思うよ?」

    アルエゴ「いいや、おかしいよぉ!」

    アルエゴ「この[Alter Ego's room]は、みんなのいる部分とは隔離されてるんだぁ。」

    アルエゴ「そして、ここに来るにはこちら側からの干渉が必要で、
         その権限はみんなには無いんだよぉ。」

    アルエゴ「つまり、今ここにいてもいいのは、元々ここにいる僕 と、
         強制的に連れてこられた七海さんだけなんだぁ。」

    アルエゴ「なのに………」

    アルエゴ「なのに………………」

    アルエゴ「どうして日向くんがいるんだよぉ!」

    七海「!!」
  80. 86 : : 2017/01/12(木) 22:44:37
    そうだったのか…
  81. 87 : : 2017/01/13(金) 18:56:11
    日向「お、おい!何言ってるんだ!」

    日向「七海、お前は信じてくれるよな?」

    七海(日向くんは、ここにはいないはず?)

    七海(なら、日向くんは………)

    七海(どうやって、ここに来たの?)

    日向「な、七海?」

    七海(この人が誰なのか………)

    七海(あと少しで、分かる………気がする。)
  82. 88 : : 2017/01/13(金) 19:29:40
    ーーーロジカルダイブーーー

    START!!!

    問1.日向創に化けるのに必要なものは?

       赤.メイク道具
       青.日向創への理解
       黄.超高校級の才能

    問2.権限無しでここに来るのに必要なものは?

       赤.アルターエゴの許可
       青.未来機関の許可
       黄.超高校級の才能

    問3.私たちに気付かれずに話を聞くのに必要なものは?

       赤.盗聴器
       青.運
       黄.超高校級の才能

    問4.以上のことが可能なのは?

       赤.未来機関
       青.元・超高校級の諜報員 神代優兎
       黄.元・超高校級の希望 カムクライズル

    >>89
    赤・赤・赤・赤 みたいな感じでお答え下さい。
  83. 90 : : 2017/01/14(土) 23:11:34
    ちょっと事故ってしまいましたので再安価です。
    >>91

    答えは「こんなごり押しでいいのか」と思うようなものです。
    奮ってご参加下さい。
  84. 91 : : 2017/01/15(日) 01:57:54
    黄・黄・黄・黄でファイナルアンサー
  85. 92 : : 2017/01/15(日) 15:18:23
    >>91
    COMPLETE!!
  86. 93 : : 2017/01/15(日) 16:03:17
    七海「カムクラ………イズル?」

    カムクライズル。それは、日向創を被験者として人工的に創り出された<超高校級の希望>。
    <超高校級の希望>とは、希望ヶ峰学園の研究した超高校級の才能を全て扱える特殊な才能の事で、希望ヶ峰学園の創設者である神座出流が持っていたとされる。
    その数は同種のものを含めて1248を越えるとされ、もし才能に無い事柄でも応用して超高校級の実力を示せるため、この世の全ての才能を持っているとも言われている。

    日向?「………」

    そしてその人格は、日向創の人格が回復したため、現在カプセルの中の体に捕らわれ眠っているはずだった。

    七海「……………」

    そのカムクライズルが今ここでピンピンしている。そんな突拍子もなく、しかし事実に基づいた想像は、七海から現実感を容易に奪い去っていった。

    日向?「………はぁ、ようやく気付きましたか。」
  87. 94 : : 2017/01/15(日) 17:13:09
    カムクラ「お察しの通り、僕はカムクライズルですよ。」

    七海「やっぱり………」

    カムクラ「ですが、敵対する気はありません。」

    アルエゴ「………信じられないよぉ。」

    カムクラ「見事に警戒心で染まっていますね。
         僕がその気になっていれば、
         既にあなた方はこの世から消えているんですよ?
         信じておくのが最善手です。」

    アルエゴ「敵対しないって言うなら、どうしてあんなことしたのぉ?」

    カムクラ「あんなこと?」

    アルエゴ「とぼけないでよぉ!」

    アルエゴ「わざわざ才能を使ってまで七海さんを騙して………」

    カムクラ「ああ、あれですか。」

    カムクラ「大した理由はありません。」

    アルエゴ「そんな………」

    アルエゴ「僕らは確かにプログラムだけど、感情は本物なのに……」

    アルエゴ「ひどいy
    カムクラ「あ、そんな悪意あることではないんですよ。」

    カムクラ「ただちょっと隠し撮りしているだけです。」

    七海「か、隠し撮り?」

    アルエゴ「どうしてぇ?」

    カムクラ「日向創の姿をした僕……まあ、観る側からすれば日向創ですね。」

    七海「観る側?」



    カムクラ「その日向創に向かってニヤニヤデレデレしている
         七海千秋の姿を後で公開しようかと思いまして。」



    七海「…………」

    七海「………………………」

    七海「…………………………………………………!?」
    アルエゴ「」ポカーン

    なにかがおかしい。今の今までこの場に充満していた<シリアス>が今の一言で弾け飛び、<コメディー>が注がれるのを感じる。

    カムクラ「なかなかオモシロそうでしょう?」

    七海「だ、駄目っ!?………だと思うよ!?」

    カムクラ「断定しないのなら遠慮しません。」

    七海「駄目だよっ!」

    カムクラ「ですが断定したからといって遠慮するとは言ってません。」

    七海「」
  88. 95 : : 2017/01/17(火) 23:39:28
    七海「知らない内に詰みルート入ってたような気分………」

    七海「カムクライズル……そんな性格だったの?」

    カムクラ「あなたの記憶には僕がこのような態度をとる事など一切無いでしょうね。」

    カムクラ「まあ、後で……役者が揃ったら話しますよ。」

    七海「役者?」

    カムクラ「さて、七海千秋、アルターエゴ。」

    七海「なに?」

    アルエゴ「どうしたのぉ?」

    カムクラ「僕がこの期に及んでこんな所にまで来たのは、
         頼みたい事があったからなんです。」

    アルエゴ「……さすがn」
    カムクラ「今彼らの生殺与奪権を握っているのは僕ですよ?」

    七海「………」

    七海「話だけなら聞いてあげるよ。」
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    日向「……………」

    微かに聞こえる波音に、日向創は目を覚ます。

    日向「……ああ、寝ちゃってたのか。七海を笑えないな。」

    そう言って体を起こした拍子に、七海の体が倒れてくる。

    日向「うおっ!」

    日向「……………」

    日向「よく寝てるな………」

    七海は、世界全てに安心しているような表情で眠っていた。
    もしも、この修学旅行がもっと殺伐としていたら。
    もしそんなことがあれば、こんな表情は浮かべられなかっただろう。
    今七海が微笑みを浮かべて眠れるのは、ひとえに絆の強さのお陰に他ならない。
    そして本当にそうならば、きっと自分はこの微笑みをずっと守っていけるだろう。
    日向創は、そう確信していた。
    なぜなら、自分たちはーーーーーーーー



    何よりも希望に満ち溢れた、<仲間>なのだから。


  89. 96 : : 2017/01/17(火) 23:40:37
    次を安価します。

    >>97
    終里、罪木、澪田から一人。
  90. 97 : : 2017/01/17(火) 23:43:55
    もちろん澪田で❤
  91. 98 : : 2017/01/19(木) 22:28:54
    >>97
    日澪教の宣教師を乗せて荒波を打ち砕く船たるオニキスさんならそれを選ぶと思っておりました!
  92. 99 : : 2017/01/19(木) 22:35:46
    >>98
    照れますね
  93. 100 : : 2017/01/19(木) 23:15:17
    日向創は大量の雑誌を取り出し、ベッドのような形にして七海千秋を寝かせた。

    日向「さてと……次は誰と………!?!?」

    日向創が目撃したもの、それは………

    澪田「はああぁぁっじいいぃぃめちゃああぁぁぁぁん!!!!」

    猛スピードで突っ込んで来る澪田唯吹の姿だった。

    日向「ちょ、ちょっとm」
    澪田「おっはようございまーむ!!」ドゴォ
    日向「ぐはぁ!?」

    みぞおちに強烈なヘッドバット!
    もしHPバーがあれば、一瞬でレッドゾーンに入る様を見れた事だろう。

    日向「み、澪田……何するんだ………」

    澪田「もー、創ちゃんたらぁ~、唯吹を後回しにし過ぎっすよ~?」

    日向「まだ二人しか話してないぞ!?」

    澪田「最初に来いって事っす!このくらい男なら察するっす!」

    日向「どうしろっていうんだ!」

    澪田「と、こ、ろ、で~」

    日向「……良い予感はしないな。」

    澪田「創ちゃん、気になってる子とかいるんすか?」ズバッ

    日向(案外普通だった。)

    他の女性陣が耳をそばだてている事に日向創は気付いていない。

    日向「うーん……」

    澪田「誰っすか?誰っすか?」

    澪田はかなり自分の名前が呼ばれるのを期待している。

    澪田(誰っすかねぇ~……千秋ちゃん?蜜柑ちゃん?真昼ちゃん?)

    澪田(実は赤音ちゃんや日寄子ちゃん?)

    澪田(本当はソニアちゃんやペコちゃんに横恋慕?)

    澪田(それとも、あ・た・し?なんちゃって!)///
  94. 101 : : 2017/01/19(木) 23:17:11
    期待!期待!期待ビーム!
  95. 102 : : 2017/01/21(土) 13:42:30
    日向「澪田。」

    澪田「………へ?」

    日向「澪田。」

    澪田「……………」

    日向「み・お・だ!」

    澪田「」ボシュウ

    澪田「いやいやそんな創ちゃん冗談上手いそりゃ期待してなかった訳じゃなかったっすけどまだ心の準備が出来てないというかもっと眼蛇夢ちゃんとソニアちゃんみたいにムードある中で告白されたいというかってかなんで創ちゃんはそんな平然と言い放てるんすかお陰でこっちは腐りきったリンゴより真っ赤っかっすよいやでも修学旅行の最終日に告白なんて結構ムードあるんすかねそうと決まればちょっと唯吹のコテージに来るっすお返事はそこでするっすあれれこれは危ないお誘いっすか唯吹いつの間にそんなキャラになったんすかそれもこれも創ちゃんのせいっすしっかり責任とって」

    日向「ごめん。冗談。」

    澪田「………へ?」

    日向「澪田にはいつも翻弄されたばっかりだからな。」

    澪田「……………」

    日向「ドッキリ大成功、って感じか?」

    澪田「創ちゃん。」

    日向「どうした?」

    澪田「歯ァくいしばるっす!」

    日向「えっ。」

    澪田「問答無用!ツンデレパーンチ!」

    日向「それ自分で言ったら意味n」
    澪田「そりゃあ!」
    日向「ぐはぁ!?」
  96. 103 : : 2017/01/21(土) 22:55:59
    日向「いてて………」

    澪田「大丈夫っすかー?」

    日向「お前、またみぞおち狙うなよ………」

    澪田「また?なんの事っすか?」

    日向「さっきのタックルもみぞおちに当たったんだよ………」

    澪田「あっちゃー!大変っすねー!」

    日向「誰のせいだよ、誰の。」

    澪田「唯吹っすね!間違い無く!」

    日向「分かってるのかよ。タチ悪いな。」

    澪田「うっきゃー!キビシー!」

    日向「で、澪田。」

    澪田「既視感のある唐突な話題転換……なんか、イヤ~な予感がするっす。」

    日向「お前の気になってる奴は誰なんだよ?」

    澪田(やっぱ来たっす!)

    日向「どうなんだ?」
  97. 104 : : 2017/01/21(土) 23:40:19
    いつの間にかgoodが付いてた!
    ありがとうございます!
    これからもどうか拙作をよろしくお願いいたします!
  98. 105 : : 2017/01/23(月) 19:56:15
    澪田「え…えーっと………」

    澪田「唯吹の気になる人はっすねぇ………」

    澪田「その………」

    日向「………」

    澪田(ああああああああ!言えないっすーーーーーーーーーー!)

    日向「……その、澪田……ごめん!」

    澪田「え!?なんすか!?」

    日向「そうだよな……俺にとっては簡単に言える事でも、
       澪田にとってはデリケートな問題だもんな。」

    澪田(勘違いされちったっす!)

    日向「そんなこと、言えるわけないよな。」

    澪田(どうするっすかこれ!)

    日向「本当に、ごめん!」
  99. 106 : : 2017/01/24(火) 23:31:22
    澪田(こんな時は……………そうだ!)

    日向「俺が………」

    澪田「創ちゃん!」

    日向「ん?」

    澪田「実はっすねぇ、創ちゃんにプレゼントがあるっす!」

    日向「え?」

    澪田「じゃじゃーん!」プレゼントボックス~!

    日向「おお!これを俺に?」

    澪田「そうっすよ!」

    日向「ありがとな!澪田!」

    澪田「いいってことっす!」

    日向「これ、中身は?」

    澪田「開けてのお楽しみっす!ただ、食べ物っすよ!」

    日向「へぇ………今開けても良いのか?」

    澪田「もちろん!せっかくの手作り、感想聞きたいっす!」

    日向「そっか。じゃあ…ってお前が作ったのか!?」

    澪田「そうっすよ!頑張ったっす!嫌っすか?」

    日向「いや、そんなことはないぞ。」

    澪田「そりゃ良かったっす!」

    日向「お前、お菓子で自分の胸像作れるくらい手先器用だしな。」

    澪田「照れるっす~。」///

    日向「それじゃあ開けるか!」

    パカッ
  100. 107 : : 2017/01/25(水) 22:41:10
    日向「草餅だ!」キラキラ

    澪田「お気に召したっすか?」

    日向「ああ、ありがとう澪田!」

    澪田「食べて感想を聞かせてっす!」

    日向「そうだな。ど~れ~に~……」

    澪田「あ、そうだ。その草餅、中に……」

    日向「い~う~と~お~り!これだ!」パクッ



    澪田「一個だけカムフラージュした桜餅が混じってるっす!」

    日向「ゴフッ!?」



    澪田「およ?もしかして、一発目から当たりっすか?」

    日向「……そ、そうみたいだな。」

    澪田「じゃあ後は全部草餅っすね!一個いいっすか?」

    日向「いいぞ?お前が作ってくれたんだしな。」

    澪田「じゃあこれっす!」

    日向「俺はこれかな。」

    澪田「いっただっきまーす!」

    日向「いただきます。」




    澪田「あれ?もしかして唯吹草餅と桜餅の比率間違えたっすか?」

    日向「ゴフッ!?」



  101. 108 : : 2017/01/25(水) 23:23:53
    器用なミスwww
  102. 109 : : 2017/01/26(木) 23:39:21
    日向「お前、何したらそんなことになるんだよ。」

    澪田「色一緒だったから間違えちゃったっす!」

    日向「……まあ、いいや。」

    澪田「?」

    日向「うまいよ、これ。」パクッ

    澪田「創ちゃん!?」

    日向「………」モグモグ

    澪田「あのー…創ちゃん?」

    日向「……………………」モグ…モグ…




    澪田「顔真っ青にして腕を震わせて歯がガチガチ鳴ってたら流石の唯吹も分かるっすよ?」




    日向「……ウプッ」

    澪田「キャーッ!ヤバイっすー!」

    日向「だ、大丈夫だ……まだいける……う、うまくて手が止まらないぞ……」

    澪田「む、無理しちゃだめっすー!」
  103. 110 : : 2017/01/27(金) 19:57:36
    ーーーーーーーーーーーーー少し後ーーーーーーーーーーーーーー
    日向「」

    澪田「ほとんど食べたっす……!」

    日向「あと一つ、これは草餅なんだな?」

    澪田「多分そのはずっす!」

    日向「少し怖いけど………えい!」パクッ

    澪田「いったー!」

    日向「うっ!」

    澪田「創ちゃん!?まさかそれも!?」

    日向「うまい!」

    澪田「翻弄されたっす!」

    日向「うまいな!流石澪田だ!」

    澪田「最後まで桜餅だったらどうしようかと思ったっすよ。」

    日向「………桜餅もうまかったぞ。」

    澪田「………我慢しなくていいんすよ?」

    日向「キツかった。」

    澪田「そっすよね。」

    日向「でも、突き返したくは無かった。」

    澪田「…………」

    澪田「………………………」

    澪田「いやー、創ちゃんは優しいっすね~」
  104. 111 : : 2017/01/29(日) 13:02:06
    澪田「まっ、そこが創ちゃんのいいとこなんすけどね!」

    そう言うと澪田は、日向の隣から離れて少し前を歩きだす。

    日向「澪田?」

    日向の呼び掛けに澪田はくるっと振り返り、

    澪田「創ちゃんとは、最高のバンドが組めそうっすね!」

    太陽にも負けないほど、明るい笑顔を作った。

    日向「ああ、そうだな。」

    それにつられて、日向も笑顔を浮かべる。
    澪田を一言で表すなら、まさしく「天衣無縫」だろう。
    それだけ陽気で無邪気な友人なのだ。
    だからこそ、いつでも明るい彼女の苦悩に気付ける人は少ない。
    そんなとき、気付いて頼られる仲間でありたいと、日向は心の底から願った。
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    澪田「創ちゃん創ちゃん!」

    日向「なんだ?」

    澪田「今の『くるっ』って、ヒロインっぽくなかったっすか!?」

    日向「自分で言っちゃうのがなあ………」

    澪田「…………」

    日向「今度はなんだ?」

    澪田(うあああああ!)

    澪田(本当はさっき告白するつもりだったのにいいいいい!)

    日向「?」

    澪田「いや、いいんす……それじゃ……」

    日向「本当にどうしたんだ!?」

    いつでも明るい彼女の苦悩に気付ける人は、本当に少ない。
    この隠れた苦悩に気付けるようになるまで、
    日向の心の底からの願いは叶わないのかもしれない。
  105. 112 : : 2017/01/29(日) 13:09:35
    では、次を安価します。

    >>113
    終里、罪木のどちらか。
  106. 113 : : 2017/01/29(日) 13:17:19
    罪木ちゃん
  107. 114 : : 2017/01/29(日) 17:36:15
    澪田は、なにやら名残惜しそうな様子で日向から離れていった。

    日向「………?」

    日向「まあ深刻そうでもなかったし、いいか。」

    日向「近くに居るのは……」

    罪木「日向さぁん……」

    日向「うわっ!?」

    罪木「ふえぇっ!?」

    日向「罪木!?」

    罪木「ふえぇぇぇん、すみませぇん!
       私なんかが話しかけてごめんなさぁい!」

    日向「ま、待て!泣くな!」

    罪木「脱ぎますから許してくださぁい!」

    日向「脱がなくていいから!ほら、ティッシュ!」

    罪木「ふえぇぇぇん、食べろってことですかぁ!?」

    日向「違うから!涙をこれで拭けってことだよ!」
  108. 115 : : 2017/01/30(月) 17:34:05
    罪木「ふゆぅ……」

    日向「大丈夫か?罪木。」

    罪木「は、はいぃ!大丈夫ですぅ!」

    日向「そうか、それなら良かった。」

    罪木「………」

    日向「………」

    罪木「………」

    日向「………」

    罪木「ご、ごめんなさぁい!すいませぇん!」

    罪木「私と話してもつまんないですよねぇ!」

    日向「そんなことないって!」

    罪木「………」

    日向「………」

    罪木「………」

    日向「………」

    罪木「あの、日向さん……」

    罪木「ウミガメの産卵とかに興味あったりしませんかぁ?」

    罪木「私、その真似得意なんですよぉ………」

    日向「そういうのじゃない。もっと違うこと話そう。」
  109. 116 : : 2017/02/01(水) 20:41:31
    日向(どうすればいいんだ?)

    日向(ほぼ初対面の時と変わらないぞ……)

    罪木(あわ、あわわわわわ……大変ですぅ…)

    罪木(このままじゃ、せっかくの作戦が初められません…)

    日向「……」

    罪木「……」

    罪木「あ、あのっ!日向さぁん!」

    日向「ど、どうした!?」

    罪木「喉とか…渇いてませんか?」

    日向「あー…さっき餅食べたし、飲み物が欲しいな。」

    罪木「それならっ!これ持ってくださぁい!」

    日向「……コップ?」

    日向にはコップが手渡され、罪木の右手には青い瓶、左手には紙がある。
    青い瓶のラベルには、未成年でも呑めるお酒ーーー


    ーーー『淫れ雪月花』の文字が、記されていた。
  110. 117 : : 2017/02/01(水) 20:43:58
    受験でゴタゴタしておりまして、しばらく更新できず申し訳ございませんでした。
    3月1日あたりも同様の理由により更新が遅れると思われます。
    何卒、ご容赦をお願いします。
  111. 118 : : 2017/02/02(木) 17:14:34
    【淫れ雪月花説明書き】
    この淫れ雪月花は、特定状況下では雰囲気酔いを起こすことがあります。

    どのような状況かというと、淫れ雪月花を飲む時に視界の隅っこ程度のほんのすこしだけでもこのラベルが見えている状況です。

    酔いたくないという方は飲む時に、ラベルを視界に入れないようご注意下さい。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    罪木(うふふ……)

    罪木(これにドラッグストアの自白剤をあわせれば……)

    罪木(澪田さんは上手く誤魔化されたようですが……)

    罪木(私は、日向さんの好きな人を絶対聞き出してみせますぅ!)

    罪木「うふふふふふふふふふふふふふふふふ…………」

    日向「どうした!?」

    罪木「なんでもないですよぉ……。さぁ、ぐいっと……」

    日向「あ、ああ……」

    罪木(今です!)ボトルサッ

    日向「…」グイッ

    日向「………」
  112. 119 : : 2017/02/03(金) 18:45:06
    日向「……なんか、頭が……」

    日向「クラクラ、する……」

    日向「これは、お酒、か?」

    日向「………」

    罪木(成功ですぅ!)

    罪木「大丈夫ですかぁ?」

    日向「多分そのうち治ると思う……」

    罪木「そうですかぁ……」

    罪木(幸いにもあの自白剤は即効性があるようなので、急いで聞き出しますぅ。)

    罪木「それじゃあ、お話の続きをしましょうねぇ……」

    罪木「…………」

    罪木「日向さんは、私の事、好きですか?」
  113. 120 : : 2017/02/03(金) 19:28:57
    日向「………」

    日向「ああ、好きだよ。」

    罪木「!!」

    罪木「どれくらいですかぁ!?」

    日向「………」

    日向「きっと俺は……」

    日向「罪木のためなら、なんでも出来る。」

    日向「それくらい大切で、大好きだ。」

    罪木「え、えへへぇ………」

    罪木「日向さんがそんなに私のことが好きだったなんてぇ……」

    罪木「夢じゃないですよね?」ツネッ

    罪木「いひゃいれすぅ…ゆえりゃないんれふねぇ…」

    日向「………」

    日向「みんな……俺の大切で大好きな、仲間だよ。」
  114. 121 : : 2017/02/03(金) 20:48:32
    日向「俺には、大切なものがあって……」

    日向「何をしてでも、守りたくて……」

    日向「そうだよな、才能なんて、要らないよな。」

    日向「なあ、なんで俺は才能が欲しかったのかな。」

    日向「あいつも、守れなかった。」

    日向「俺は、守りたくて、才能を手に入れたのか?」

    日向「それは……違うな。」

    日向「ただ、欲しかっただけだ。」

    日向「子供みたいに、ダダこねてただけだった。」

    日向「俺は、元々自己中で、他人なんか、どうでも良かったんだ。」

    日向「そんなんだから、あいつとの約束を破った。」

    日向「そんなんだから、小突かれただけで諦めた。」

    日向「ああ、やり直したいな。」

    日向「次があれば、あいつに『また明日』って言えるのに。」

    日向「次があれば、あんな奴に死んでも負けてやらないのに。」

    日向「次があればーーーー」
  115. 122 : : 2017/02/04(土) 14:59:31
    罪木には、日向になんらかの異変が起きているという事しか分かっていなかった。

    恐らく、原因はあの淫れ雪月花か自白剤のどちらかだろう。
    しかし、あの自白剤にこんな効果なんてあったのか?

    日向は、自身に特段特別な事は無いと言っていた。
    だからこそ、希望のカケラが一つしかなくても良い……
    そのはずだった。
    ウサミもそう認めていた。
    それが今の日向の発言からは、
    日向には何をしてでも守りたかった人がいて、
    どうしてもやりたかった事があって、
    どうしようもなく後悔している事があって……

    もし、日向が全て真実を語っていたのなら。
    この話は……

    日向が失った記憶の中。
    日向の才能に関係しているということになる。

    日向は、才能が欲しかった?
    それでは、日向に才能は無かったのか?
    私の愛した日向創とはなんだったのか?

    そこまで考えて、罪木はあることに気付いた。
    まだブツブツと語り続けている日向の顔から、生気が失われていっている事に。
    日向に才能が無いならなんなのか?
    自分は、自分なりに、才能を使って、
    勇気をくれた日向に、恩返しをするだけではないのか?

    罪木「日向さぁん!!!」

    罪木は、勢いよく日向に抱きつく。
    同時に自白剤の効果を打ち消す薬を日向に飲ませる。

    日向「………」

    日向の話が止まる。自白剤の効果は消えたようだ。
    あとは雰囲気酔いだけだが、今の状況に気付けば酔いも醒めるだろう。
    雰囲気だけのものなら、精神的な刺激でなんとかなる。
    だからこれは必要な事なのだと、罪木は自分に言い聞かせた。
  116. 123 : : 2017/02/04(土) 15:34:02
    日向「………」

    日向「………」

    日向「く、る、しぃ……」

    罪木「ふえぇ!チアノーゼぇ!」

    日向「ゲホッ…」

    日向(死ぬかと思った。)

    罪木「だ、大丈夫ですかぁ!?」

    日向「? 何がだ?」

    罪木「良かったですぅ……」

    日向「よくわかんないけど……心配かけたみたいで、ごめんな。」

    罪木「そんな、全部、全部私のせいでぇ……」

    罪木「ふえぇぇん、なんでもしますから許してくださぁい……」

    日向「別に何かしろなんて言わないって。」

    罪木「ふゆっ!?許してくれないんですかぁ!?」

    日向「何もしなくても許すってことだよ。」

    日向「大体、何があったのか自分でも分かってないしな。」

    罪木「そ、そうですかぁ……」

    罪木「………」

    日向「……?」

    罪木「日向さんは、私の事、好きですか?」

    日向「ああ、好きだよ。大親友だ。」

    罪木「………」

    罪木「上手くはいかないんですねぇ……」

    罪木「ふゆぅ……これから、頑張りますねぇ……」

    日向「?」

    先程何があったのか、日向には分からない。
    だが、罪木が熱心に気遣ってくれた事は、はっきりと分かった。
    内気で、自分に自信がない彼女。
    他人の目を気にし、いつもオドオドとしている彼女。
    せめて、仲間の前でくらい自分に正直になれるように。
    日向は、常に優しくあることを決意した。
  117. 124 : : 2017/02/04(土) 15:35:09
    次は終里です。
  118. 125 : : 2017/02/05(日) 14:11:24
    罪木は、「頑張りますから、見ててくださいねぇ!」と言って走り去った。

    日向「あそこにいるのは……終里と弐大か。」

    終里「…」ヒソヒソ

    弐大「…」ヒソヒソ

    なにやら話し合っている様子だ。

    日向「おーい!終里ー!弐大ー!」

    終里「」ビックゥ

    弐大「」ビックゥ

    終里「ななななんだよ日向驚かすなよ!」

    弐大「あああ慌てるな言った通りやるんじゃ!」

    日向「…お、驚かしてごめん。」

    終里「………よし!」

    終里「日向、オレと勝負しろ!」

    日向「また唐突な……」

    日向「無理だぞ?俺じゃ太刀打ち出来ないからな。」

    終里「オメーが勝ったらオメーの言うこと一つ聞いてやる!」

    終里「オレが勝ったらオレの言うこと一つ聞け!」

    日向「まず俺の話を聞けよ!?」

    弐大「まあそう言ってやるな。終里もこの日を楽しみにしておったんじゃ。」

    弐大「ここは漢らしく、勝負を受けるべきじゃろう。」

    日向「弐大まで!?」

    終里「なんだよ!そんなに嫌なのか!?」

    日向「普通嫌だぞ!?」

    弐大「墳ッ、安心せい!
       オヌシの力はワシのマネージメントによって大幅に強化されておる!」

    弐大「少なくとも、いい勝負は出来るじゃろう。」

    終里「なぁ、頼むよ!」

    日向「………はぁ………」

    日向「そこまで言われて、断る理由も無いか……」

    日向「お手柔らかに頼むぞ?」

    終里「よっしゃあ!」
  119. 126 : : 2017/02/05(日) 16:21:12
    弐大(終里……お前さんに恋愛相談を受けた時は正直耳を疑った。)

    弐大(弱い弱いと言っていた相手を、好いたと言うのじゃからな。)

    弐大(ワシらは、無い頭を振り絞って考えた。)

    弐大(その結果考えついたのが、この〈報酬大作戦〉じゃあ!)

    弐大(相談を受けたのは10日ほど前………)

    弐大(それから毎日ワシが日向を徹底的に鍛え、自信を付けさせる。)

    弐大(しかし、10日では流石に終里には届かん。)

    弐大(それを利用し、『少しは…いけるかな?』程度の感情を抱くようにする。)

    弐大(力試しをしたくなった所で、終里が挑戦する。)

    弐大(その時、ちょっとした条件…〈言うことを聞く〉を付ける。)

    弐大(あとは終里が勝てば、もう付き合えるという寸法じゃあ!)

    弐大(破ッ、頑張るんじゃぞ!終里!)

    弐大(後はお前さんにかかっておるんじゃからのう!)
  120. 127 : : 2017/02/05(日) 19:53:41
    終里「うっし!やるか!」

    日向「……生きてたらいいな……」
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    七海「ねみぃ……」

    カムクラ「ねみぃ……」

    アルエゴ「カムクラくんまでぇ!?」

    アルエゴ「寝ないで!ほら、何か始まってるよぉ!」

    アルターエゴの発言に、カムクラは意識を戻し、宙に浮く画面を見る。

    カムクラ「あれ、本当ですね。」

    七海「……でも、あれ何してるの?」

    アルエゴ「なんでも、今から勝負だって。」

    七海「……何で?」

    カムクラ「腕っぷしのようですね。」

    七海「……無理ゲー?」

    アル、カム「うん(はい)。」

    カムクラ「ちなみに、これに終里赤音が勝てば見事カップル成立です。」

    七海「えっ。」

    カムクラ「そうなるとあなた方との交渉が無駄になってしまうので、阻止します。」

    そう言うと、カムクラは手元に青い半透明の板を出現させる。
    一枚だけだが、それにはびっしりと文字が書き込まれている。

    《超高校級の体操部》《超高校級の剣道家》《超高校級の極道》《超高校級の格闘家》《超高校級の殺人鬼》《超高校級の野球選手》《超高校級のスイマー》《超高校級の軍人》《超高校級のボクサー》《超高校級のプロレスラー》《超高校級のボディーガード》《超高校級のロッククライマー》《超高校級の合気道家》《超高校級のテニスプレイヤー》etc…

    カムクラは、その板を目の前の画面に投げ入れた。
    すると、板は画面の奥、日向の体に吸い込まれていった。

    カムクラ「これで大丈夫でしょう。」

    アルエゴ「なんでもありだねぇ。」
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    終里「じゃあ……いくぞ!」

    日向「……来いッ!」
  121. 128 : : 2017/02/05(日) 19:55:24
    才能の持ち主が全員分かったあなたはスゴイ!
  122. 129 : : 2017/02/05(日) 19:56:41
    訂正
    プロレスラー→レスラー
  123. 130 : : 2017/02/07(火) 17:28:34
    終里「オラァッ!」

    終里は、かなり貧乏な暮らしをしている。
    そのため、追われるような事もよくしていて、
    そんな時、終里はパルクールで街中を逃げていた。

    終里「うおおッ!」

    そのような経歴と天性の柔軟性、
    そこに弐大のマネージメントが加わり、
    終里には目にも留まらぬ高速ラッシュが可能になっていた。

    終里「…ッ!」

    上段回し蹴りに始まり、裏拳、拳、蹴り上げ、踵落としと続いた乱打は、
    終里が自ら跳び退ったことにより切れ目が訪れた。

    日向(あれ?おかしいぞ……終里、手加減でもしてるのか?)

    終里「なんでだよ……!」

    終里「なんで、オレの攻撃がいっこも当たんねえんだよ!」

    日向「……なっ!?」

    日向(どういうことだ!?)

    日向「お、終里が手加減してたんじゃないのか!?」

    終里「オレがそんなことするかよ!」

    終里「手加減なんか絶対しねえぞ!」

    日向「全くしないつもりだったのかよ!?」

    終里「弱いフリなんかしやがって!」

    日向「違う!俺にも心当たりが無い!」

    終里「食らえ!」
  124. 131 : : 2017/02/08(水) 20:19:35
    怒りに髪を逆立てて繰り出された攻撃に、
    最早弐大のマネージメントの痕跡は残されていなかった。

    型にはまらない破天荒な終里としての、
    野生に還ったかのような攻めに、日向は……

    日向(……見える。)

    余裕を持って考えていた。

    日向(見えるだけじゃない。)

    日向(この後終里がどんな攻撃をしてくるのか、手に取るように解る。)

    日向が攻撃をよく見もせずに紙一重の距離でかわす度に、
    終里の表情は怒りと焦りで歪んでいく。

    終里「クソッ!クソッ!当たれ!当たれよ!」

    終里「チクショウ!よけてねーで戦えよ!」

    終里「倒すならさっさとしろよ!オレなんかヨユーなんだろ!?」

    終里「こんなの、ちっとも楽しくねーぞ!!!」ポロポロ

    日向(終里……)

    終里の戦いにかける思いは本物だ。
    それを、俺のような奴が踏みにじっても良いのか?

    ……いや、考えるだけ無駄か。
    この力がなんなのか……分からなくても、今は問題無い。

    終里が望むなら、応えてやるべきだ。

    日向「……ああ、分かった。」

    瞬間、日向の瞳に紅の光が灯る。
    その瞳は、終里の動きを瞬時に分析し……

    最も効率良く終里の動きを止める方法を、導き出した。

    終里「……え?」

    そして、終里がまばたき一つする間に日向は、
    終里の体を一分の隙も無く締めあげていた。

    日向「これで……いいか?」

    終里「クソ……オレの負けだ……」
  125. 132 : : 2017/02/09(木) 23:41:26
    弐大「……どうやら、日向について少し考える必要がありそうじゃのう……」

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    終里「さあ、オレは負けたぞ!煮るなり焼くなり脱がすなり、好きにしやがれ!」

    日向「…………」

    日向「いや、特にしてほしい事は無いな。」

    終里「はあ!?」

    終里「じゃあなんでオレとバトったんだよ?」

    日向「お前が勝負しろなんて言うからだろ?」

    日向「それに、俺にもどうして勝てたのか見当もつかないんだよ。」

    日向「ハッキリ言って、まぐれと変わらないぞ。」

    終里「それでも!オメーはオレに勝ったんだろ!?」

    終里「勝ったなら勝ったらしく、なんかさせろよ!」

    日向「なんかって、お前なあ……」

    終里「何すりゃいい!?胸枕か!?」

    日向「そういう感じの事を要求する気は無いからな?」
  126. 133 : : 2017/02/10(金) 19:33:45
    日向「………」

    日向「よし、こうしよう!」

    終里「どうすんだ?」

    日向「終里、お前はみんなと話して来てくれ。」

    終里「変わんねーじゃねーかよ。」

    日向「いや、みんなと話すついでにやってほしい事があるんだよ。」

    日向「この修学旅行が終わったら、みんな卒業するはずだろ?」

    日向「……まあ、どうして修学旅行だけで卒業するのかは分からないけど……」

    日向「それなら、みんなでパーティーでも開きたいなって思うんだよ。」

    終里「パーティーやるのか!?」

    日向「だから、終里はみんなに呼びかけてくれないか?」

    終里「おうっ、任せとけ!」
  127. 134 : : 2017/02/10(金) 19:50:27
    終里「ところで、日向。」

    終里「オメー、好きな人とかいたりすんのか?」

    日向「澪田にも聞かれたぞ、それ。」

    終里「……そりゃ、そうだろ。」

    日向「何がだ?」

    終里「……何でもない。」

    終里「………」

    終里「んー、いーや。別に。」

    終里「オレはオレらしく、ガムシャラにやってればいいんだよな!」

    日向「……そうだな!」

    終里は、明るい口調で宣言する。
    根拠もなにもない、むしろ本来ならなおすべき事かもしれない。
    しかし、弱気で泣きじゃくる彼女なんて想像も出来ない。
    彼女が今の彼女自身を信じる限り、
    自分も信じてあげたいと、日向は思った。
  128. 135 : : 2017/02/10(金) 19:54:11
    どの話もハッピーエンドでグレートだぜ!
  129. 136 : : 2017/02/10(金) 20:11:47
    >>135
    ありがとうございます!
    あと十人ですよ!どれだけかかることか!

    グループが一つ終わりました幕間に、閑話を一つ投下するつもりなのですが……
    そこで二つ注意点がございます。

    1.登場人物がみんな[???]表記です。
    2.ダンガンロンパゼロ、霧切、キラーキラーの知識があった方が楽しめます。

    1は言わずもがな、ストーリー進行上の問題ですね。

    2は、僕がどうしてもやってみたかった事です。
    知らないと、もう何がなんだかわかりません。
    持っていない方、せめてゼロの一巻は無料で読めますので、読んでみて下さい。
    一人称視点の語り部は読みづらいですが、面白い事は保証いたしますよ?
    「これのネタが分からなくて調べたら、ネタバレを食らった!」
    などという事の、決して御座いませんように……
  130. 137 : : 2017/02/11(土) 16:39:06
    ウサミ『はい、ミナサンは仲良さそうにしていまちゅ。』

    ウサミ『日向くんと終里ちゃんが戦い始めた時はどうなることかと思いまちたが…』

    ウサミ『問題は特に無いようでちゅ。』

    ウサミ『ただ、七海ちゃんとアルターエゴはあの事を知らないんでちゅよね?』

    ???1「うん、そのはずだよ。」

    ???2「心配する必要は無いわ。彼は私たちに敵対しないはずよ。」

    ???3「その根拠も随分と怪しいが……」

    ???3「敵対したら俺達に太刀打ち出来る相手じゃない……心配するだけ無駄だ。」

    ウサミ『そうでちゅね……それじゃあ、またしばらくしたら連絡しまちゅ。』

    1「ありがとう、ウサミ。」

    プツッ

    軽い挨拶を済ませ、特徴的な髪型の男は画面の電源を切る。

    2「……いよいよね。」

    3「50日……案外早いものだ。」

    1「その間、襲撃されたりしなくて良かったよね。」

    2「何を言っているの?」

    3「本気で言っているのか?」

    1「えっ!?」

    3「襲撃なら何度も受けている……被害が出ていないだけだ。」

    1「ええっ!?」

    2「どうしてされないなんて思っていたの……」

    3「やはり呆れる程に能天気で考えなしな奴だな、お前は。」

    1「で、でも、何も聞いてないよ!?」

    2「当然だ……伝えたら仕事に集中しないだろう。」

    1「だからって……」

    2「優秀な人材が警備にあたっているわ。」

    3「超高校級がこちらから二人、あちらから八人だ。」

    3「俺の私兵百人もついでに付けている。」

    1「……もしかして、二人くらいがしばらく前からいなかったのって……」

    2「島で警備を担当していたからよ。」

    1「そうだったのか……」

    1「でも、あの二人なら……」

    1「安心……」

    1「……できないよね?」

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    ???4「おい、話聞いてるのか。」

    ???5「すいません、初めからもう一度お願いできますか?」

    ???6「なんの話してるんだ?」

    三人の男がなにやら話をしている。

    一人は色白で痩せており、手足と舌が異様に長く蛇のような顔をしている。

    二人目は髪を真ん中で分け、袖の無い燕尾服のようなものを素肌に着ている。

    最後の一人はスキンヘッドに筋肉質な体、
    上下共に七分丈のぴっちりしたウェットスーツを着ている。

    4「こいつの洗脳にみんな引っ掛かったんだよ。あれ見てみろ。」

    そう言って親指で示した先には……

    4?「クマさん、ぼくと遊んでよ~。」
    4?「クマさん、ぼくと遊んでよ~。」
    4?「クマさん、ぼくと遊んでよ~。」
    4?「クマさん、ぼくと遊んでよ~。」
    4?「クマさん、ぼくと遊んでよ~。」
    4?「クマさん、ぼくと遊んでよ~。」
    4?「クマさん、ぼくと遊んでよ~。」

    色白な男にそっくりな男が七人、ファンシーな事を呟いていた。

    6「……これは……気持ち悪いな。」

    4「俺の顔は蛇っぽいからな……我が事ながら気持ち悪い。」

    5「気持ち悪いですね。」

    4「お前が元凶なんだっての。」

    4「というか、お前は引っ掛かりかけたんじゃないのか?」

    そう言って、スキンヘッドの男に尋ねる。

    6「ああ、中々高い壁だったなあ、あれは。」

    4「こいつ……」

    斜め上の回答に色白な男は頭を抱える。

    6「もう一度引っ掛かってみようか。」

    5「おや、貴方は良さが分かっているようですね。」

    5「ですが、観賞ならお金が必要ですよ?」

    6「アスリート時代の貯金が十億は余ってる。使い道も無え金だよ。」

    5「では、帰ったらボクのとっておきを披露してあげましょう。」

    4「待て、今の問題はそこじゃないんだって。」

    5「では何が問題だというのです?」

    4「戦闘中に動けなくなる側の気持ちも考えてみろ……」

    5「……!」ハッ

    4「分かったか?」

    6「精神力でどうにかなんないのか?」

    4「こっちは連携に神経磨り減らしてんだよ。」

    4「しかも、おたくの幹部の私兵まで巻き込まれてんだよ。」

    5「それもそうですね……」

    4「だから敵しかいない所に撃てって言ってんのにお前は……」

    5「しかし、それでは皆さんがボク特製のパレードを見られませんよ?」

    4「金くらいあるよ。帰ったら見てやるから。」

    5「……いえ、迷惑をかけたようなので無料で構いません。」

    6「あ、マジで?」

    5「はい。」

    4「なら、組織二つに今装置の中の連中も一緒にパーティでも開くか。」

    6「良いな、それ。楽しみにしておこう。」

    5「紙とペンはありますか?最高のパレードを準備しておきます。」

    4「……先にあいつら起こしてくれ。」

    5「あっ。」

    襲撃後の島は、至って平和なようである。
  131. 138 : : 2017/02/11(土) 16:50:29
    6番さん誰か分かる人いるんですかね……
    8ページで退場しちゃった人ですし……

    分かったら遠慮せず書き込んでみて下さい。
    あと、キャラに違和感があったりしませんか?
    なにぶん、自分ではよく分からないので……
  132. 141 : : 2017/02/11(土) 17:28:15
    次のグループを安価します。

    >>142 1or3
  133. 142 : : 2017/02/12(日) 16:27:49
    そういえば、連投については特に制限しておりませんよ。

    再安価します。

    >>143
    1or3
  134. 143 : : 2017/02/12(日) 21:10:55
    3で
  135. 144 : : 2017/02/12(日) 21:31:16
    >>143
    安価、本当にありがとうございます!

    さて、データ3のメンバーは……(ドラムロール再び)

    田中、十神、狛枝、左右田、九頭龍です!!!

    男のみのデータですね。
    友情の物語です。

    それでは安価です。

    >>145
    田中 or 十神 or 狛枝 or 左右田 or 九頭龍
  136. 145 : : 2017/02/12(日) 21:36:48
    九頭龍
  137. 146 : : 2017/02/14(火) 17:44:25
    終里「そいじゃ伝えとくからな!」

    日向「ああ、任せた。」

    終里は、恐ろしい程速く走り去った。

    日向「……ここ、砂浜だよな……?」

    日向「………」

    日向「これ、全員と話すまで終わらないんじゃないか?」

    日向「まあ、どのみち話すつもりだったけど……」

    日向「……次は誰と話すか。」

    目に入ったのは、小柄な金髪少年の姿。

    日向「おーい、九頭龍ー!」

    九頭龍「……?」

    九頭龍「ああ、日向か。」

    九頭龍「他の奴とはもう話したのか?」

    日向「いや、まだ。九頭龍で六人目だ。」

    九頭龍「そうか……多分全員と話さないと終わらねぇだろ、これ。」

    日向「九頭龍もそう思ってたのか。」
  138. 147 : : 2017/02/15(水) 20:15:11
    九頭龍「ま、急がなきゃなんねー事なんざそんなにねーんだけどな。」

    日向「あれ?たしか九頭龍はウサミが待てって言った時怒ってなかったか?」

    九頭龍「まあな。けど、九頭龍組はアイツが居ればどうにかなんだよ。」

    日向「アイツって……《超高校級の妹》の?」

    九頭龍「おう、ソイツだ。」

    日向「そういえば俺、その妹の名前聞いてないな。」

    九頭龍「………」

    日向「っておい、どうした九頭龍?そんな怖い顔して。」

    日向「は、腹でも壊したか?」

    九頭龍「ちげー……ってテメーオレが腹弱いの馬鹿にしやがったな!?」

    日向「してないしてない!」

    九頭龍「そうか……それならいいけどよ……」

    九頭龍「でオメー、まさかアイツまでオトすってんじゃねーだろうな?」

    日向「お、おとすってなんだよ。意識か?普通に無理だぞ?」

    九頭龍「……大丈夫そうだな。」

    九頭龍「義兄妹になるヤツの名前を知らねーってのも変な話か……」

    九頭龍「いいぜ。教えてやる。」

    九頭龍「菜摘だ。九頭龍菜摘。本人いわく、《超高校級の妹》らしいぜ?」
  139. 148 : : 2017/02/16(木) 22:32:57
    日向「へえ、良い名前……なのか?」

    九頭龍「さあな……オレなんか、夏生まれだってのに『冬彦』だぜ?」

    九頭龍「カンだけどよ、理由はねーと思うぜ?せいぜい格好いいってとこだろ。」

    日向「それもそうか。」

    九頭龍「正直、ここ来るまでは
        アイツが九頭龍組を継げばいいとか思ってたんだがな……」

    九頭龍「せっかくできた義兄弟だ。オレの組織に迎えてーよな。」

    日向「そうだな。俺も、お前の九頭龍組を見てみたい。」

    九頭龍「今まで、心配かけたからな……菜摘だけだけどよ。」

    日向「両親は心配してなかったのか!?」

    九頭龍「親父は『放っときゃどっちか継ぐだろ。』」

    日向「それはどうなんだ……?父親として。」

    九頭龍「おふくろは『殴り合って決めな!』」

    日向「もっと悪いだろそれ!?」

    九頭龍「元々生きるも死ぬも運が絡んでくるとこだからな。」

    九頭龍「心配なんざしねーでも親父が死ねば嫌でも継ぐんだよ。」

    日向「お前もお前で息子らしくないな……」
  140. 149 : : 2017/02/17(金) 20:57:05
    日向「……でも、心配してないってことはないんじゃないか?」

    九頭龍「あぁ?どういうことだ?」

    日向「なんといっても実の息子だろ?」

    日向「さすがにどんな非情な奴でも、
       息子がこんなことになってたら心配するだろ。」

    九頭龍「……そういうもんか?」

    日向「ああ、そういうもんだ。」

    九頭龍「そうか……」

    九頭龍「これだようやく九頭龍組の跡取りが決まる訳だし、
        一応安心させられるか……」

    日向「えっ?元々お前じゃなかったのか!?」

    九頭龍「オレが断るつもりだったんだよ。」

    九頭龍「なのに希望ヶ峰学園に入って……外堀埋まってる気もするけどな。」

    日向「埋まってるな。多分、内堀まで。」
  141. 150 : : 2017/02/17(金) 23:05:46
    追いついた!友情ルート楽しみです♪
  142. 151 : : 2017/02/17(金) 23:12:06
    >>150
    ありがとうございます!
    今後とも宜しくお願いします!
  143. 152 : : 2017/02/17(金) 23:16:30
    ある意味オトしそうだけどね、平和だったら
  144. 153 : : 2017/02/17(金) 23:20:26
    >>152
    超高校級の相談窓口の日向くんならいけますね。
  145. 154 : : 2017/02/17(金) 23:22:57
    >>153 そして七海と修羅場に…笑
  146. 155 : : 2017/02/17(金) 23:29:39
    >>154
    このssの場合七海と、というより……
  147. 156 : : 2017/02/18(土) 14:50:04
    九頭龍「にしても、驚くだろーな。」

    九頭龍「息子が帰ってきたと思ったら、義兄弟が出来てるんだもんな。」

    日向「まったくだ。やっぱり、極道でもそうそうないことなんだな。」

    九頭龍「そりゃそーだ。」

    九頭龍「気に入った奴みんな義兄弟にしてたら大家族になっちまう。」

    日向「案外、大家族も良いかもしれないぞ?」

    九頭龍「そんな大人数を危険に晒してどうすんだよ……」

    日向「俺は良いのか?」

    九頭龍「おいおい、死なねーって約束したじゃねーか。」

    日向「ははっ、冗談だよ。」

    九頭龍「ならいいけどよ。」
  148. 157 : : 2017/02/19(日) 11:58:31
    日向「あ、そうだ。」

    日向「九頭龍、やっぱり俺が弟分でもいいか?」

    九頭龍「あ?どうしてだよ。」

    日向「いや、組のリーダーにその上がいるなんて威厳とかに影響するだろ。」

    日向「それに……お前を弟と思うにもなんだか無理がある気がしてな。」

    九頭龍「まあ、妹いるしな。」

    九頭龍「そうなると、日向はオレの弟分で菜摘の兄貴分か。」

    日向「俺は一人っ子だったからな。けっこう楽しみだ。」

    九頭龍「そうか。そりゃよかった。」

    九頭龍「………」

    九頭龍「………」

    日向「九頭龍、お前なんか……迷ってないか?」
  149. 158 : : 2017/02/19(日) 18:56:22
    九頭龍「………!?」

    九頭龍「はぁ!?だ、誰が迷ってるだあ!?」

    九頭龍「冗談はその髪型だけにしやがれ!」

    日向「いや、ただそう見えただけ……って誰の髪型が冗談だよ!?」

    日向「というか、その慌てっぷり……さては、図星だな?」

    九頭龍「ち、ちげーよ!そ、そこまで言うならなんか証拠でもあるんだろうな!?」

    日向「その態度が何よりの証拠なんだが……」

    九頭龍「う、うるせー!じゃ、じゃあ何を迷ってるってんだ!?」

    日向「そ、それを俺に言わせるのか!?」

    九頭龍「いいから言ってみやがれ!!!」

    日向(俺、あいつからも相談されちゃったからな……)

    日向「……なら、言ってやる。」
  150. 159 : : 2017/02/19(日) 19:04:18
    ーーー閃きアナグラムーーー

    開始!!!
    ナラベカエテアテハメロ
    問.九頭龍の迷っていることとは?

      い れ あ じ う じ ん

      □ □ □ い □ □ ょ □

    >>160
  151. 160 : : 2017/02/19(日) 20:01:30
    れんあいじじょう
  152. 161 : : 2017/02/19(日) 20:16:43
    >>160

    COMPLETE!
  153. 162 : : 2017/02/21(火) 17:08:28
    日向「九頭龍……お前が迷っている事……」

    日向「恋愛事情だな?」

    九頭龍「な……」

    九頭龍「何抜かしてやがる!」

    九頭龍「適当な事ばっか言ってっと、マジで東京湾に沈めんぞ!」

    日向「適当に言ってるわけじゃない。」

    日向「そう言えるだけの証拠もあるんだ。」

    九頭龍「クッ………」

    九頭龍「チッ、そうだよ。その通りだ。」

    九頭龍「オレには……好きな女がいる。」

    日向「……まあ、だからどうってことはないけどな。」

    九頭龍「テメーなんで暴いたんだよ!?」
  154. 163 : : 2017/02/21(火) 21:47:06
    日向「俺は、お前が迷ってたから、背中を押してやりたいと思ったんだ。」

    九頭龍「ヘッ、そうかよ。」

    日向「ほら、これ。」

    日向は、取り出した懐紙に文字を書き、折り畳んで渡した。

    九頭龍「……なんだ?これ。」

    日向「プレゼント……ってことになるのか?」

    日向「本当に決断出来なかったら、それを開けてくれ。」

    九頭龍「なんだそりゃ。魔法かなにかか?」

    日向「そうかもしれないぞ?」

    九頭龍「……ありがたく貰っとくぜ。」

    日向「なんでも話してくれ、九頭龍。」

    日向「俺はお前の義兄弟だ。悩みならいつでも相談にのるぞ。」

    九頭龍「ずいぶんと上から目線な弟分ができちまったな……」

    九頭龍「……ありがとよ、日向。」

    この少年は、その才能とは相反するような純粋な心を持っている。
    本人に言えば沈められるかもしれないが、容姿もとても極道には見えない。
    そんな彼を、義兄弟の自分が支え、共に歩む。
    そんないつ崩れるとも知れない危険な道の先に
    日向は、煌々と輝く希望の光を見た。
  155. 164 : : 2017/02/21(火) 21:49:18
    次を安価します。

    >>163
    田中 or 十神 or 狛枝 or 左右田
  156. 165 : : 2017/02/21(火) 21:50:26
    >>166でした!

    再安価
    >>166
    田中 or 十神 or 狛枝 or 左右田
  157. 166 : : 2017/02/21(火) 22:00:38
    そうだ
  158. 167 : : 2017/02/21(火) 23:06:36
    何て書いた紙なのか気になる
  159. 168 : : 2017/02/21(火) 23:11:00
    >>167
    そのうち明かしますよ!
  160. 169 : : 2017/02/22(水) 22:26:38
    九頭龍「オレは別の奴と話してくる。」

    九頭龍「オメーは……」

    九頭龍「あそこで泣いてる奴をなぐさめてやれ。」

    そう言って指さした先には……

    左右田「ウッ……ウッ……」orz

    日向「……あ、ああ、そうだな。そうするよ。」

    九頭龍「じゃーな。」

    九頭龍は、他の輪に向かっていった。

    日向「左右田!」

    左右田「あ"?な"ん"た"、日"向"か"よ"。」

    日向「お前……声ガラガラじゃないか。ほら。」

    ミネラルウォーターを取り出し、渡す。

    左右田「お"、あ"ん"か"と"な"。」

    左右田は、ペットボトル一本分のミネラルウォーターを飲み干した。

    左右田「あ~、生き返った。」
  161. 170 : : 2017/02/23(木) 21:48:29
    左右田「…………」

    左右田「……修学旅行、楽しかったなァ……」

    左右田「前にも言ったけど、オレ、こーゆーの初めてでさァ……」

    左右田「やっぱこう……いろいろ楽しみにしてたんだよなァ……」

    日向「……良かったじゃないか。楽しかったなら。」

    口ではこう言うものの、
    左右田が深い悲しみを押し隠して日向と話している事はすぐに理解出来た。

    左右田「…………」

    左右田「……オレ、やっぱ無謀だったかな。」

    日向「……まあ。」

    左右田「こんな高校デビューがモノホンの王女様に憧れて……」

    左右田「惨めだよなァ……」

    日向「…………」

    日向「それは……違うぞ。」
  162. 171 : : 2017/02/23(木) 21:55:28
    左右田には報われて欲しいなーって思う
    一途な所がいいですね
  163. 172 : : 2017/02/23(木) 23:16:02
    >>171
    ですよね!
    格好良い左右田を書きたいです!
  164. 173 : : 2017/02/24(金) 20:20:01
    日向「惨めなんて……思うわけ、ないだろ。」

    左右田「日向……?」

    日向「俺は……左右田が惨めだなんて、思った事は無い。」

    日向「全力で頑張ってるヤツにそんなこと、誰も思わない。」

    日向「仲間だろ?俺たちを信じろよ。」

    日向「そりゃ、左右田の性癖とか聞いた時は結構引いたけど……」

    日向「それがソニアを諦める理由になるとは思わなかった。」

    左右田「……………」

    日向「それでも自分を卑下するって言うなら……」

    日向「左右田、お前の電子生徒手帳を貸してくれ。」

    左右田「?……おう。」

    日向は、左右田の電子生徒手帳の通信簿のページを開いた。

    日向「ほら、見てみろ。」

    左右田「………!」

    左右田は、日向の示す事を理解したらしく、再び涙を流し始めた。

    左右田「そっかァ……良かったんだなァ……」ポロポロ






    日向の持つ左右田の電子生徒手帳には、
    全員の希望のカケラを全て集めた通信簿のページが映されていた。
  165. 174 : : 2017/02/25(土) 22:52:44
    左右田「おっしゃ、元気出てきた!」

    左右田「オレ、無駄な事してたわけじゃなかったんだな!」

    日向「ああ、その意気だ!」

    左右田「やっぱ、オレがメソメソしたってらしくねーよな!」

    日向「…………そうだな!」

    左右田「オイ日向ァ!?なんだよ今の間は!」

    左右田「泣くぞ!?また泣くぞ!?」

    日向「わ、悪かった、悪かったって……」

    左右田「たくよー……」

    左右田「…………」

    左右田「なァ、日向。」

    日向「どうした?」

    左右田「オレさ、告って玉砕しといた方が良かったのかな。」
  166. 175 : : 2017/02/26(日) 14:14:43
    日向「………玉砕か………」

    日向「左右田は、しておきたかったのか?」

    左右田「いや、したくはねーよ?」

    左右田「ただ、そっちのがスッキリしてたかもな……って。」

    日向「あー、それはありそうだな。」

    日向「でも、今大丈夫だししなくてもいいんじゃないか?」

    左右田「そうだな。今はいっか。」

    日向「なんでそんなこと聞いたんだ?」

    左右田「昨日告ろうか考えてたんだよ。」

    左右田「でもまー、もう終わってんだけどな。」
  167. 176 : : 2017/03/01(水) 21:40:34
    左右田「日向。」

    日向「なんだ?」

    左右田「あんがとな。」

    日向「なんだよ急に。」

    左右田「勇気出た。」

    日向「勇気?」

    左右田「オレ、今日やりたい事が二つあったんだ。」

    左右田「一つはもうできないけど、それに縛られてたんだよな。」

    左右田「決めたんだよ。もう一つ。」

    左右田「オレは、オレがやるべきだと思う事を………」

    左右田「………やるんだ。」

    日向「左右田………」

    その時の左右田の顔には、
    普段の彼からは想像もつかない程の決意が満ちていた。

    左右田「………行ってくるわ。」

    そう言って、プレゼントボックスを握りしめた左右田の瞳は……

    田中「……良いセリフだな、ソニア……」

    ソニア「……ふふふ、眼蛇夢……いえ、ダーリンこそ……」

    田中とソニアの姿を、しっかりと見据えていた。
  168. 177 : : 2017/03/01(水) 21:48:23
    砕ける前から粉々になってないかな?
  169. 178 : : 2017/03/01(水) 21:50:40
    玉砕どころか、粒子になってるぅぅぅぅう!?
    (銀さん風)
  170. 179 : : 2017/03/01(水) 23:18:21
    >>177.>>178
    左右田くんが本当に砕けるかは………
  171. 180 : : 2017/03/02(木) 08:30:19
    告白すらさせて貰えないのか
  172. 181 : : 2017/03/02(木) 19:09:47
    皆様、申し訳ございません!
    vitaがブラウザに繋げず、現在母のPCから連絡しております。
    直り次第再開いたしますので、それまで他の素晴らしい作品を見てお待ち下さい!
  173. 182 : : 2017/03/02(木) 23:27:57
    ザッ、ザッ、ザッ。

    彼は歩く。

    ザッ、ザッ、ザッ。

    太陽の照りつける砂浜を。

    ザッ、ザッ、ザッ。

    自分の手に入れたかった、しかしもう届かない……

    ザッ、ザッ、ザッ。

    未来を見つめて。

    左右田「…………」

    左右田「……スゥ……ハァ……」

    左右田「……田中ァッ!!ソニアさんッ!!」

    大声で叫ぶ左右田に、呼ばれた二人だけでなく全員からの視線が集まる。

    そして日向を除く全員が、同じ事を危惧していた。

    すなわち、左右田が彼らの恋を邪魔するのではないか、ということだ。

    田中「……何の用だ、混血の機械導師よ。」

    ソニア「……左右田さん、一体どうしたのですか?そんなに忙しい顔をして。」

    左右田「……ソニアさん、別にオレは忙しくないですよ。」

    左右田「…………どうしても。」

    左右田「どうしても二人に伝えたい事があって、来ました。」
  174. 183 : : 2017/03/03(金) 22:51:58
    左右田「まずは……田中、これ受け取れ。」

    そう言うと左右田は、田中にプレゼントボックスを投げ渡す。

    田中「むッ……これは……」

    田中「貴様……ソニアに渡す為に持ってきたのではなかったのか?」

    左右田「ちげー……その箱は後で言った時に開けてくれ。」

    左右田「…………」

    ソニア「……左右田さん?」

    左右田「…………ソニアさん。」

    左右田「オレ、つい昨日まで、考えてたんですよ。」

    左右田「だってもう……分かってたから。」

    田中「……何を言っているのだ?」

    左右田「気付いてたんだよ。」

    左右田「いや、オメーら以外だと日向くらいにしか隠せてなかった。」

    田中「……!ま、まさか……」

    左右田「そうだよそのまさかだよ!」

    左右田「オメーらが両想いだなんてのはなァ……」

    左右田「もうとっくの昔にバレてたんだよチクショオォオーーーッ!」
  175. 184 : : 2017/03/04(土) 19:30:47
    左右田「イヤだったよ!邪魔してーって何度も思ったよ!」

    左右田「でもよ……」

    左右田「田中、オメーといる時、ソニアさんは……」

    左右田「笑ってんだよ。それはもう、嬉しそうに!」

    左右田「邪魔する気も……失せちまったよ。」

    ソニア「左右田さん……」

    左右田「ソニアさん……オレが言えた事じゃないですけど……」

    左右田「幸せになって下さい。田中と。」

    ソニア「元より……そのつもりですわ。」

    左右田「田中も、幸せにしろよ?」

    田中「フ……言われずとも。」

    左右田「さっき渡した箱の中身は、オレのオメーらへの気持ちだ。じゃーな。」

    左右田は、自らを邪魔者とでも言うように手を振って去った。
  176. 185 : : 2017/03/04(土) 22:08:54
    左右田イケメンかよ
  177. 186 : : 2017/03/04(土) 22:11:01
    かっけえよ
  178. 187 : : 2017/03/04(土) 22:17:25
    >>185.>>186
    そう言って頂けると幸いです!
  179. 188 : : 2017/03/05(日) 19:54:42
    田中「……行った……か。」

    ソニア「左右田さん……妬んでいるものと思い込んでいました。」

    田中「どうやら、奴は我々の想像以上に誠実だったらしい。」

    田中「そして最後のあの言霊の示す意味……」

    田中「この箱の中にあるのは祝福か災厄か、確かめる時が来たようだな。」

    ソニア「まあ、災厄ということはないでしょうが。」

    そして、開けられた箱に入っていた物は……

    田中「花……か?」

    精巧に銀で作られた花の置物二つだった。

    田中「ソニア、これが何の花か分かるか?魔界の知識には存在しない。」

    ソニア「これは恐らく……キキョウとひまわり……あっ!」

    田中「何かを智恵の海より見つけ出したようだな……一体何が分かった?」

    ソニア「この二つの花の花言葉は……」

    ソニア「『永遠の愛』と、『憧れ』です。」

    田中「……そうか。」

    田中「キキョウの祝福は俺様たち二人に宛てられたものだろう。」

    田中「しかしひまわりは破壊神暗黒四天王への供物であるとともに……」

    田中「貴様への奴の最後の愛の言葉であり、決別の言葉だ。」

    田中「大切にしてやれ。」

    ソニア「……はい。彼に愛されていた事……心から誇りに思いますわ。」

    田中「パンドラの匣に残った希望は、時を経てこの矮小な箱へと収まった。」

    田中「奴の望み通り、幸福を自らの手で掴み獲ってやろうではないか!」

    ソニア「……はい!ダーリン!」
  180. 189 : : 2017/03/05(日) 20:04:53
    左右田がかっこいい…惚れる…男だけど。
  181. 190 : : 2017/03/05(日) 21:29:35
    >>189
    格好いい左右田が書けたようで嬉しいです!
  182. 191 : : 2017/03/05(日) 22:05:56
    めっちゃええ話やんけ(;_;)
  183. 192 : : 2017/03/05(日) 22:16:32
    >>191
    田ソニ派ですが左右田左右田にも報われて欲しかったので、そう感じて頂けると幸いです!
  184. 193 : : 2017/03/08(水) 20:12:26
    少し騒いでいた上に受験で、更新出来なかった事を御詫び申し上げます。
    再開します!
  185. 194 : : 2017/03/08(水) 20:23:20
    日向「左右田、カッコよかったぞ。」

    左右田「それを、ソニアさんが言ってくれればよかったんだけどな。」

    左右田「結局オレには、あれくらいしか出来る事は無かったからさ。」

    左右田「花言葉調べて、花の置物。」

    左右田「昨日、夜なべして作ったんだ。」

    日向「……きっと、喜んでるさ。」

    日向「だからさ……」

    日向「泣いていいんじゃないか?」

    左右田「……気付かれてた……か。」

    左右田「日向、オメーが親友で、良かったわ。」

    日向「……ああ、俺もそう思う。」

    声を殺して涙を流す親友を見ないように、日向は背を向ける。
    臆病な努力家が必死になって足掻く姿は、見ようによっては滑稽な物かもしれない。
    しかし、日向は知っている。彼の夢が、誰の物より大きい事を。
    乗り物酔いは、ロケットでも起こるのだろうか?
    月に足を踏み出す自分たちの姿を、脳裏に浮かべた。
  186. 195 : : 2017/03/08(水) 20:25:45
    次を安価します。

    >>196
    田中 or 十神 or 狛枝
  187. 196 : : 2017/03/08(水) 21:18:30
    田中
  188. 197 : : 2017/03/09(木) 17:57:26
    左右田「日向、オメーは別のヤツの所に行け。
        オレは、しばらく動けそうにねーから。」

    日向「ああ。」

    日向は、ゆっくりと左右田の元を離れた。

    日向「……もう半分くらいか?けっこう早いな。」

    日向「あれは……田中か。ソニアとは一旦分かれたみたいだな。」

    田中「……む?特異点か。丁度良い。」

    田中「俺の邪腕も、貴様と言霊を交わせと哭いていた所だ。」
  189. 198 : : 2017/03/10(金) 18:54:00
    田中「……特異点よ。一つ聞きたい。」

    日向「なんだ?田中。」

    田中「貴様はあの友に何か入れ知恵をしたか?」

    日向「……そんなことか。」

    日向「してないよ。分かってるだろ?」

    田中「……ああ、その通りだ。」

    田中「しかし、聞かないという運命は存在しなかった。」

    田中「俺は……弱いな。」

    田中「膂力ではない、智力でも、魔力でもない。」

    田中「この心の弱さが……貴様に問い掛けた。」

    田中「奴の心に応えるには、精進が必要なようだ。」
  190. 199 : : 2017/03/11(土) 12:27:43
    日向「らしくないな、田中。」

    日向「あんなこと言われて、怖じ気づいたか?」

    田中「……怖じ気づいた……か。」

    田中「そうなのだろうな。」

    田中「制圧せし氷の覇王と畏れられたこの俺様が情けない事に……」

    田中「奴のそれに勝る愛を俺が持ち合わせているか、心配で仕方がない。」

    日向「本当にしっかりしろよ!?変な物でも食べたのか?」

    田中「貴様……俺様が自信のみでできているとでも思っているのか?」

    日向「実際、普段の言動からすればあながち間違ってもいないと思うけどな。」
  191. 200 : : 2017/03/12(日) 10:49:03
    田中「フン……覇王たる俺様にその不遜な姿勢……」

    田中「貴様は随分と強くなったじゃないか。」

    日向「強くなった?俺が?」

    田中「最初、貴様は俺に話し掛けることを躊躇っていた。」

    田中「しかし、何度となく接する内にその躊躇を見せなくなった。」

    田中「今では、破壊神暗黒四天王にもすっかり気に入られてしまった。」

    日向「……面と向かって言われると、照れるな。」

    田中「だが、特異点よ。」

    田中「貴様……あの姿はなんだ?」
  192. 201 : : 2017/03/13(月) 23:08:22
    日向「あの姿?」

    田中「終里との戦いの時だ。」

    日向「……あれか。」

    田中「貴様の才能は、少なくとも発動することはかなわない状況にあったと記憶している」

    田中「正直に答えてくれ。」

    田中「日向、貴様の才能……今、世界の記録より見つけ出すことは出来るか?」

    日向「…………」

    日向「……すまん、無理みたいだ。」

    日向「あれは俺にもどうして出来たのか分からないんだ。」

    田中「……そうか。」

    田中「気落ちするな。この全てを映す紅き煌魔王の義眼(イービルロード・アイ)の前では……」

    田中「貴様の情報を用いる必要など、元より無いのだからな!」
  193. 202 : : 2017/03/14(火) 20:48:02
    日向「……前と違わないか?」

    田中「何がだ?」

    日向「ほら、田中が探し物とかする時って確か、禍々しき四ツ眼(エビルス・フォースアイズ)じゃなかったか?」

    田中「……よく覚えていたな。良い心掛けだ。」

    田中「言っておくが、忘れていた訳では無い。」

    日向「……へ、へえ。」

    田中「疑っているな!?」

    田中「良かろう、ならば理由を教えてやる。」

    田中「魔界では無敵を誇った筈の破壊神暗黒四天王に、最近元気が無いのだ。」

    田中「死ぬ訳でも無いのに俺様にも対処法が分からんというのは、初めてだ。」

    日向「……大変じゃないか!」
  194. 203 : : 2017/03/15(水) 23:49:19
    日向「えっと……罪木は?」

    日向「力になってくれるんじゃないか?」

    田中「無理だそうだ。人間以外診たことは無いと。」

    日向「なにかあてはあるのか?」

    田中「…………あるにはあるが、極めて怪しい。」

    日向「一応、どんなことなのか聞かせてくれ。」

    田中「……ウサミの言う、『魔法』だ。」

    日向「あー……」

    日向「でも、頼るしかないと思うぞ?」

    日向「怪しくても実績はあるし、それ以外に解決策も無いしな。」

    田中「……どのような影響があるか分からんから、頼りたくは無かったのだが……」

    田中「この際仕方あるまい。」

    田中「桃白の混沌兎!俺様の下へ来い!」

    田中「…………」

    ウサミ「らーぶらーぶ!」

    ウサミ「え、えっと……今のはあたちのことでちゅよね?」

    日向「合ってるぞ。」
  195. 204 : : 2017/03/16(木) 10:27:17
    田中「早速だが、破壊神暗黒四天王の体に何が起きているのか教えてくれ。」

    ウサミ「…………」

    ウサミ「…………」アセアセ

    田中「貴様でも分からないか……」

    ウサミ「ちょ、ちょっとまっててくだちゃい!」ピュー

    日向「……」

    日向「どっか行っちゃったぞ。」

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    ウサミ『どういうことでちゅか!?』

    1「どういうこと?」

    2「恐らく、記憶引き継ぎの準備段階に入っているのね。」

    3「島から出れば治るとでも言っておけ。」

    ウサミ『分かりまちた!』

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    ウサミ「田中くーーーん!」

    田中「む……まさか戻って来るとは。」

    ウサミ「酷いでちゅ!」

    ウサミ「それより、治す方法が分かりまちたよ!」

    日向「どうすればいいんだ?」

    ウサミ「この島を出れば勝手に治るそうでちゅ!」

    ウサミ「ミナサンが話したら出発しまちゅから、らーぶらーぶしてくだちゃい!」

    田中「……そうか。ありがとう。」
  196. 205 : : 2017/03/17(金) 22:35:03
    日向「よかったな、田中。」

    田中「ああ。だがしばらくは破壊神暗黒四天王に休みを与えねばならんな。」

    日向「そうだな。お前のことだから必要以上に疲れさせてはいないんだろうけど……」

    田中「不調ならば当然だろう。」

    田中「にしても……」

    田中「自分から言ってなんだが、よくもまあ俺様がウサミに頼ろうなどと思ったものだ。」

    日向「まあ、それはな。」

    日向「ウサミは、俺たちを会わせてくれたヤツだからな。」

    田中「だからこそだな。特異点や、親友。愛したい者に会わせてくれたからこそ……」

    田中「俺様は奴に感謝しているのだろうな。」
  197. 206 : : 2017/03/18(土) 10:32:34
    田中「そして日向、それは貴様にもだ。」

    日向「俺?」

    田中「あのとき貴様がソニアを、左右田を連れて俺様の所に来なければ……」

    田中「俺様はいつも通り破壊神暗黒四天王への供物を作っていただろう。」

    日向「…………」

    日向「そんなことはないさ。」

    田中「なんだと?」

    日向「きっとお前は、俺がいなくてもソニアと会って、左右田に嫉妬されてた。」

    日向「そして付き合って、左右田と和解して……」

    日向「みんなに祝われるんだ。」

    田中「ククク……フハハハハハ!」

    田中「過ぎた謙虚さは侮辱ともとることが出来るが……」

    田中「一先ずは……心からの礼を示そう。」

    田中「俺様から運命の糸が伸びていようと、それを教えてくれたのは貴様だ。」

    田中「奴等と出逢わせてくれてありがとう、日向。我が、特異点よ。」

    言ってから恥ずかしくなったのか、田中はストールを上げて目を逸らす。
    彼には、これからの幸せが約束されている。
    才能による成功などの面ではなく、友達や、恋人の面でだ。
    ……なんて、田中の親友になった自分が言ったらおかしいかな。
    そう思って、日向も目を逸らした。
  198. 207 : : 2017/03/18(土) 10:33:51
    次を安価します

    >>208
    十神 or 狛枝
  199. 208 : : 2017/03/18(土) 10:34:21
    十神かな
  200. 209 : : 2017/03/19(日) 18:38:47
    日向と田中はお互いに顔を目を逸らしたままの膠着状態だったが、
    しばらくしたらどちらともなく別の人の所へ行くことを提案した。

    日向「……結構恥ずかしいこと言ってたな……」

    十神「日向!」

    日向「十神か。何人話した?」

    十神「お前で最後だ。」

    十神「この十神白夜のせいで時間がかかるなどということはあってはならないからな。」

    日向「さすがだな。」

    十神「ただ、七海だけはグッスリ寝ていたから放置している。」

    日向「……まだ寝てるのか……」
  201. 210 : : 2017/03/20(月) 11:39:00
    十神「お前のおかげで、この島での生活が随分と楽になった。」

    十神「十神家次期当主として、礼を言わせてもらう。」

    日向「俺、そんな礼を言われるようなことしたか?」

    十神「したさ。採集と掃除の当番決めはお前に一任していただろう。」

    日向「そりゃしてたけど……」

    日向「俺しかできない仕事じゃなかっただろ?」

    十神「確かにそうだ。別にお前にしかできない仕事ではなかった。」

    十神「しかし、重要なのはそれをやったということだ。」

    十神「お前が担当してくれたからこそ、俺は情報収集に専念できたのだ。」

    日向「……照れくさいけど、そういうことならありがたく礼を言われておくよ。」
  202. 211 : : 2017/03/21(火) 16:56:03
    日向「なあ、十神。」

    十神「……どうした。」

    日向「えっと……」

    日向「俺から聞いたほうがいいか?」

    十神「ッ!?」

    十神は唐突な言葉に頭から勢いよく転んだ。

    日向「お前から言いたければそのほうが……どうした十神!?」

    十神「い、いや……いつから気付いていた?」

    日向「話してるとき。」

    日向「違和感があったんだよな……」

    日向「お前が、お前自身のこと他人のように話しててさ。」

    十神「……俺もここでの生活の中、気が緩んでいたということか……」

    十神「ああ、お前の言う通り俺は本物の『十神白夜』じゃない。」

    (ボク)「ボクは……名前も性別もなにもハッキリしてない……」

    詐欺師「正体を持たない、《超高校級の詐欺師》なんだよ。」
  203. 212 : : 2017/03/22(水) 14:09:06
    日向「…………」

    日向「……は!?」

    詐欺師「え!?気付いてたんじゃないの!?」

    日向「本物じゃないだろうなっていうことは分かってたけど……」

    日向「まさかそこまで深刻だとは思ってなかった。」

    詐欺師「うーん……なんだか釈然としないけれど……」

    詐欺師「まぁもともといつか言うつもりだったし良いか!」

    日向「な、なんかスマン……」

    詐欺師「いや、良いんだよ。別に。」

    詐欺師「むしろ踏ん切りがついたよ。この島を出る前にみんなにも言おうと思う。」
  204. 213 : : 2017/03/22(水) 15:21:39
    日向「……でも、詐欺師ってどんな才能なんだ?」

    日向「お前が他人のお金を奪うとも思えないし……」

    詐欺師「うん、お金とか、情報とかが欲しいわけじゃないんだ。」

    詐欺師「さっきも言ったようにボクは名前も性別もハッキリしてないから。」

    日向「つまり、欲しいのはその人の存在そのものってことか?」

    詐欺師「そういうこと。」

    詐欺師「奪えるものじゃないから、借りるだけだけどね。」

    詐欺師「たまに依頼を受けることもあったよ?」

    日向「依頼!?というか詐欺師にする依頼とか物騒なものしか思い浮かばないんだけど……」

    詐欺師「物騒っていえば物騒かもね。」

    日向「え!?」

    詐欺師「例えば、犯罪組織から抜けたいけど抜けられない人がいるとするでしょ?」

    日向「ああ。」

    詐欺師「その人が組織からいなくなるために、しばらく代わりを勤めるんだよ。」

    詐欺師「まぁ、ボクを見つけ出す必要があるんだけど……」

    日向「へぇ~。」

    詐欺師「ボクは存在を借りられるし、その人は整形や移住の時間が稼げるんだ。」

    日向「なるほどな……今までお前は、そうやって生きてきたのか……」
  205. 214 : : 2017/03/23(木) 14:04:40
    日向「じゃあ、性別も確かじゃないってどういうことだ?」

    日向「大体の動物には……その……」

    詐欺師「性器のこと?」

    詐欺師「ボクに男性器はついてないよ。」

    日向「お前よくそんなことをサラッと言えるな……」

    日向「でも、それなら女性なんじゃないのか?」

    詐欺師「それがそうとも限らないんだよ。」

    詐欺師「ボクは精神的に男性にも女性にもなれるし、戸籍が無いから確定してないんだ。」

    詐欺師「ほら、ボクの一人称って『ボク』でしょ?」

    日向「そうだな。」

    詐欺師「それだって性別で決めてるわけじゃなくて、今まで演じた中から選んでるんだよ。」

    日向「……大変そうだな。」

    詐欺師「……そうだね。」

    詐欺師「生まれつきの障害者は不便さを感じていないというのはよく聞く話だけど……」

    詐欺師「さすがに『自分』がどこにも見当たらないっていうのは、不便だよ。」
  206. 215 : : 2017/03/23(木) 14:36:44
    詐欺師「正直ボクは、みんなが羨ましかったよ。」

    詐欺師「確固とした『誇れる自分』の姿を持っていたから。」

    日向「……才能のことか?」

    詐欺師「ううん。華やかな才能も羨ましかったけど……」

    詐欺師「ボクには何よりみんなの自信が眩しく見えたんだ。」

    詐欺師「……日向くん、キミもね。」

    日向「俺に……自信?」

    詐欺師「むしろ、日向くんが一番かもしれない。」

    詐欺師「だって、あの十神白夜の補佐を才能を思い出せない身でこなしたんだからね。」
  207. 216 : : 2017/03/24(金) 10:54:44
    日向「俺はそんな羨ましがられるような人間じゃないよ。」

    日向「才能を思い出せない俺は、本当にただの一般人だ。」

    詐欺師「うん。確かに今の日向くんはどう考えても一般人だよ。」

    詐欺師「でも、その一般人に勇気付けられたのも事実なんだ。」

    詐欺師「ボクだって……キミがいなければ、みんなに打ち明けようとは思わなかったよ。」

    日向「……そうか。」

    詐欺師「キミは……もっとキミそのものに自信を持てると思うよ?」

    詐欺師「まぁこの言葉も……誰かが言いそうなだけなんだけどね。」
  208. 217 : : 2017/03/24(金) 16:54:07
    日向「……なあ。」

    詐欺師「?」

    日向「お前の確かなことって、本当に無いのか?」

    詐欺師「無いはずだよ。才能と体型だけが、ボクの全てだから。」

    日向「……いや、それは違うはずだ。」

    日向「たとえ言葉が借り物でも、そうしたいと思った気持ちはお前のものだろ?」

    日向「羨ましいっていう気持ちを持ったのもお前だし……」

    日向「……俺たちを導いたのは、十神白夜じゃない。」

    日向「この島で責任を背負う決断をした、お前自身じゃないか。」

    詐欺師「日向くん……!」

    詐欺師「……ありがとう。」
  209. 218 : : 2017/03/26(日) 20:08:14
    詐欺師「キミやみんなと過ごして、ボクにも少し自信がついた気がするんだ。」

    詐欺師「キミは偽物のボクの決断を、本物だと言ってくれるんだね?」

    日向「もちろん!えっと……」

    詐欺師「もしかして、名前が分からなくて困ってる?」

    日向「ああ、なんて呼べばいい?十神じゃないんだもんな。」

    詐欺師「さっきまでボクは十神でも良いと思ってたんだけど……」

    詐欺師「キミが自信をくれたからね。」

    詐欺師「自分の名前、手に入れてみようと思うんだ。」

    日向「…………」

    日向「なあ、その名前って、もしかして……」

    詐欺師「あ、分かっちゃったかな?日向くんは、本当に察しが良いね。」

    詐欺師「ボクが名付けられたのなんて、あれが初めてだから。」

    日向「やっぱりあれか!」

    詐欺師「せーので言ってみる?」

    日向「いいな。言ってみよう。」

    日詐「せーの……」





    日豚「「豚足!!!」」





    一緒に同じことを言い、喜び、笑う。
    本物の十神白夜がどんなヤツなのかなんて知らない。
    それに、きっともう知ることもないだろう。
    改めて『豚足』という唯一無二の存在になった彼が……
    自分を他人に変える必要なんて、無いのだから。
  210. 219 : : 2017/03/26(日) 20:10:38
    次は狛枝です
  211. 220 : : 2017/03/27(月) 15:47:22
    豚足「ボクは落ち着いて一人称でも決めてくるよ。」

    日向「それが良いな。」

    豚足は辺りを見回しながらどこかへ行った。


    日向「えっと……」
    狛枝「希望の気配がするよ!」


    日向「のうっ!?」

    狛枝「日向クン、また希望が生まれたんだよ!」ガシッブンブン

    日向「分かったから手を掴むな振るな痛い痛い痛い!」

    狛枝「おっと……ごめんね日向クン?」

    日向「お前なぁ……大体希望の気配なんてどうやって感じるんだよ。」

    狛枝「ただの勘だよ。でも、この分なら当たったみたいだね。」

    狛枝「ああ、この後はどんな不運がやって来るんだろう!ワクワクするなぁ!」

    日向「平常運転だな……」
  212. 221 : : 2017/03/28(火) 14:23:24
    狛枝「それで?どんな希望が生まれたの?」

    日向「あー……後でアイツが伝えてくれるよ。」

    狛枝「アイツって十神クンのこと?日向クンがそう言うなら気長に待つよ。」

    日向「……あれ、お前なら全力で問い詰めるかと思ったのに。」

    狛枝「やだなぁ、いくらボクだってそんなことしないよ。」

    狛枝「ボクだって少しは変わった……というか、変わっちゃったんだから。」

    日向「へぇ、お前でも変わることがあるんだな。」

    狛枝「……ボクって、日向クンにどう思われてるの?」

    日向「……希望マニア?」

    狛枝「酷いなぁ……ボクはみんなの為に行動してるだけだっていうのに……さ。」

    日向「ま、まぁ……普段の言動がアレルギーだからな……」
  213. 222 : : 2017/03/28(火) 15:40:55
    狛枝「ちょっと待って!あ、アレルギー!?そんなに酷いの!?」

    日向「みんな、お前の希望の話をしてる時の顔目怖いと思ってるぞ?」

    狛枝「えぇ!?顔のことなんて母親にも言われなかったから、分からなかったな……」

    日向「というか、お前の話俺以外誰も聞いてなかったぞ。」

    狛枝「……絶望的だ……この後どんな希望が訪れるんだろう!ゾクゾクするなぁ!」

    日向「それがいけないんだよ、それが。」

    狛枝「あれっ、そうなの?」
  214. 223 : : 2017/03/29(水) 11:01:07
    狛枝「それにしても、たった50日の学園生活なんていうのもおかしな話だよね。」

    日向「本当にな。そもそも才能の研究どころか勉強らしい勉強もしてないぞ。」

    狛枝「そうだよ……せっかく希望の育つ様をこの目で見られると思ってたのに……」

    狛枝「別にここでそれが見られなかった訳じゃないんだけどね?」

    狛枝「もっと専門的なものが見られる機会を逃したんだと思うと……」

    日向「……まぁ、確かに損したような気分になるよな。」

    狛枝「ボクみたいなゴミクズじゃ本来受けられない授業……興味があったのにな。」

    日向「卑屈だなお前は……」
  215. 224 : : 2017/03/30(木) 10:22:10
    日向「そういえば、普段から疑問に思ってたことがあるんだけど……」

    狛枝「え?何?」

    日向「お前は本物の幸運だけど、毎年幸運の才能を持ったやつが現れるとは限らないだろ?」

    狛枝「ああ、そのこと?実は、それにはちょっとした秘密があるみたいだなんだ。」

    日向「秘密?」

    狛枝「うん。しかも、幸運だけじゃなくこれは他のみんなの才能にも関わることなんだ。」

    日向「……俺の、才能にもか?」

    狛枝「……多分、関わってると思う。でも、この話から暴くのは少し難しいかな……」

    日向「……そうか。」

    狛枝「で、話を戻すんだけど……」

    狛枝「毎年幸運の才能が見つかるのは、希望ヶ峰学園初代学園長……」

    狛枝「神座出流の特殊な才能の影響なんだよ。」
  216. 225 : : 2017/03/31(金) 10:49:03
    狛枝「元々ホームページに肖像画だけ載ってたんだけど……」

    狛枝「ウサミに聞いたら凄い人みたいでさ。」

    日向「何が凄いんだ?」

    狛枝「どうやら《超高校級の希望》っていう才能を持ってたんだって!」

    日向「……随分な肩書だけど、具体的にどんな才能なんだ?」

    狛枝「なんと、この世における全ての才能だって!素晴らしいよね!」

    日向「はぁ!?それじゃあ、幸運の才能っていうのは……」

    狛枝「《初代超高校級の幸運》による、願い……」

    狛枝「【希望ヶ峰学園の発展】のせいなんだよ。」

    狛枝「海外に比べて、日本の《超高校級》が多すぎるし……」

    狛枝「他の才能もそのせいかもね。」

    日向「……!……!」
  217. 226 : : 2017/03/31(金) 15:54:39
    狛枝「《超高校級》の才能に憧れていたキミには酷かもしれないけど……」

    日向「……いや、いい。むしろ納得した。」

    日向「外人の《超高校級》をほとんど聞かないのは変だとは思ってたんだ。」

    日向「……って狛枝、ホームページに肖像画なんて載ってたのか?」

    狛枝「載ってたよ?」

    狛枝「ボクたちが生まれる前、予備学科が開設された時に生徒集めの為に載せられたみたいだね。」

    日向「……予備学科?」

    狛枝「……知らないの?結構有名な話なのに。」

    日向「ああ、知らない……どんな所なんだ?」

    狛枝「なんでも、眠れる才能を見つけたり秀才や凡才を天才に育て上げるのが目的なんだって。」

    日向「そんなことができたら大変だな……人類全てが天才になれるんだから。」

    狛枝「全く……才能を身に付けるっていう言葉が矛盾してるって、どうして気付かないかな……」

    日向「確かに……才能を身に付けるなんて、それこそ改造手術でも必要になるぞ。」
  218. 227 : : 2017/04/02(日) 11:14:05
    日向「才能の無い人間が、才能を手に入れる為に行く学科……」

    日向「才能を崇めるお前としては気に入らないものなんじゃないか?」

    狛枝「…………」

    狛枝「50日前のボクなら、そう言ってただろうね。」

    日向「今は違うのか?」

    狛枝「厳密にいつボクの心に変化が起きたかって言われたら分からないんだけど……」

    狛枝「希望とは何か、っていう価値観が変わってるみたいなんだ。」

    狛枝「……キミたちのせいだよ?」
  219. 228 : : 2017/04/03(月) 09:44:25
    日向「は?俺たちのせいってなんだよ。」

    狛枝「あ、悪い意味じゃないよ?むしろボクはこの変化を喜んでいるんだ。」

    日向「じゃあ、具体的に何が変わったんだ?」

    狛枝「…………」

    狛枝「ボクはね、才能こそが希望だと思ってたんだ。」

    狛枝「でも、不思議だよね。」

    狛枝「才能に溢れたみんなと過ごす時間で、心にも希望が宿ってるって気付くなんて……さ。」

    日向「それが、お前の言う変化か?」

    狛枝「うん。ただ勘違いしないでほしいのは、才能も希望だと思ってるからね?」

    日向「ああ、分かってる。」
  220. 229 : : 2017/04/03(月) 11:30:21
    狛枝「まぁ、だから何か変わることがある訳じゃないんだけどね。」

    狛枝「ボクのスタンスは変わらない……」

    狛枝「いつだって、希望の為に行動するだけだからさ。」

    日向「はは、でももう死ぬとか言えないよな?」

    狛枝「……どうしてそう思うの?」

    日向「だって心に希望が宿るなら、お前の心にも宿ってるはずだろ?」

    日向「お前が希望を消せるわけないからな。」

    狛枝「……はぁ、正解だよ。日向クン。」

    狛枝「ボクはもう死ねない。踏み台にもなれない。」

    狛枝「……本当にツイてないよ。」

    日向「大丈夫だ、狛枝。」

    日向「踏み台じゃなくていいし、お前が犠牲になる必要もない。」

    日向「お前は俺たちの友達でいてくれ。」

    狛枝「……あはは、ボクなんかがおこがましいけど……」

    狛枝「他ならぬ日向クンの頼みなら断れないよね!」

    希望が育つのに、踏み台は必要なのか?
    希望とは何かと問われても、きっと明確な答えは出せないだろう。
    しかし、今ならハッキリと分かることがあった。
    希望が育つのに、踏み台は必要無い。
    必要なのは、信頼できる友人なのだ。
    何が信じられなくとも、それは不変の真実として支えてくれる、そう思った。
  221. 231 : : 2017/04/03(月) 16:13:43
    次はグループ1です

    メンバーを安価します
    >>232
    辺古山 or 弐大 or 花村 or 小泉 or 西園寺
  222. 232 : : 2017/04/03(月) 16:41:01
    辺古山!!
  223. 233 : : 2017/04/04(火) 13:27:52
    狛枝「それじゃあ日向クン、キミの生み出す希望……楽しみにしてるよ。」

    日向「ああ、楽しみにしてろ。」

    狛枝は別の人の所に行こうとして……落ちてきたヤシの実に当たって倒れた。

    さっきの話は狛枝にとって幸運だったらしく嬉しく思うが、
    放置したら大変な為肩を貸して罪木の所に連れて行った。

    辺古山「む、どうした日向……狛枝!?何があった!?」

    罪木「ふえぇぇぇえ!?ぐ、グッタリしてますう!?」

    日向「すまん、話してたか?さっきそこでヤシの実が落ちてきて……」

    狛枝「あ、あはは……ツイてないよね……」

    辺古山「……罪木、私のことはいいから狛枝を看てやってくれ。」

    罪木「は、はいぃ!わかりましたぁ!」

    罪木は狛枝を連れてウサミの所へ向かった。

    辺古山「では、私達は私達で話すか。」

    日向「そうだな。」
  224. 234 : : 2017/04/04(火) 14:18:54
    辺古山「とうとうこの島ともお別れか……」

    辺古山「望んで来た訳ではないが、思い返せば楽しい出来事ばかりだったな。」

    日向「ああ、非常識過ぎて目が回りそうだったけど、楽しかった。」

    辺古山「日向は、ここを出たらどうするんだ?」

    日向「俺か?俺は……そうだな、親孝行でもするか。」

    辺古山「親孝行か……お前は親思いなのだな。」

    日向「……いや、そういうわけじゃなくてな。」

    日向「俺の家、そんなに裕福じゃないんだ。終里ほどじゃないけどな。」

    辺古山「なるほどな……手伝いや共に稼ぐ人間が必要という訳か。」

    辺古山「しかし、《超高校級》といえば各分野の超一流……」

    辺古山「ここを出て記憶が戻れば多くの稼ぎを得られるだろう。」

    日向「はは……まだどんな才能なのかも分からないけどな。」
  225. 235 : : 2017/04/04(火) 15:23:34
    日向「辺古山は……あるんだったな。やりたいこと。」

    辺古山「あ、ああ……」

    日向「確か、恋人をデートに誘うんだっけ?」

    辺古山「い、言うな!こんなに堂々と……」

    日向「あ、すまん。」

    辺古山「そ、それに私とぼっちゃんは恋人などという関係では……」

    日向「坊ちゃん?幼馴染じゃなかったのか?」

    辺古山「……あ。」

    辺古山「ち、違う!今のは違うんだ!」

    辺古山「ぼっちゃんはぼっちゃんであって決してぼっちゃんなどでは……」

    辺古山「うぁあああああああああっ!!!」

    日向「ご、ごめん……」

    辺古山「ぼ、ぼっちゃんというのはだな、えっと、えっと……」

    辺古山「……そうだ、あだ名だ!!!」

    辺古山「いいか日向、ぼっちゃんというのはあだ名だ!あだ名なんだ!良いな!?」

    日向「あ、ああ……」
  226. 236 : : 2017/04/04(火) 16:02:21
    日向(ほぼ分かってたようなもんだけど、これで確信できたな……)

    日向(でも念のため、もう少し確認しておくか……)

    日向「なぁ、辺古山。」

    辺古山「にゃんだ!」

    日向「……」

    辺古山「……」

    辺古山「な、なんだ日向。」

    日向(無かったことにされた……)

    日向(追及してもいいことはないな。)

    日向「そのぼっちゃんってどんなヤツなんだ?」

    辺古山「ぼ、ぼっちゃんなどではない!」

    日向「落ち着け辺古山。お前があだ名だって言ったんだぞ。」

    辺古山「……そ、そうだったな……」

    辺古山「どんなヤツ、か……」

    辺古山「具体的に、どのように答えればいい?」

    辺古山「ぼっちゃんの何が知りたい?」
  227. 237 : : 2017/04/04(火) 17:10:57
    日向「なら……まずは髪型なんてどうだ?」

    辺古山「髪型か……」

    辺古山「ぼっちゃんは全体を短く刈り、左右に二本ずつ線をいれている。」

    日向「髪の色は?」

    辺古山「金だ。」

    日向「服装は?」

    辺古山「基本的にいつもスーツだ。」

    日向「好きな食べ物は?」

    辺古山「……すまないが、知らないんだ。」

    辺古山「どうしても教えたくないらしくてな。」

    日向(……まぁ、あいつの性格からしたら知られたくないよな。)

    辺古山「伝わったかはよく分からないが……これでよかったか?」

    日向「ああ、十分伝わった。」
  228. 238 : : 2017/04/04(火) 17:55:00
    辺古山「……ってちょっと待て!」

    辺古山「日向……まさか私の話からぼっちゃんの姿を考えたりはしていないな?」

    日向「…………」

    日向(どうする……!まさかもう見当ついてるとは言えないぞ……!)

    日向(でも出来るだけ嘘はつきたくないし……よし!)

    日向「え、えーっと、正直言うと考えた。」

    辺古山「なにぃ!?」

    日向「で、でも、まだどんな姿かは分かってないから!大丈夫だ!」

    辺古山「……本当か?」

    日向「本当だ!」

    辺古山「ならいい……」

    日向(た、助かった……)
  229. 239 : : 2017/04/05(水) 16:24:22
    日向(この話題は一旦やめるか……)

    日向「それにしても、武闘派のみんなの力は半端じゃないよな……」

    辺古山「いざという時に力が出なくては困るからな。」

    辺古山「日々の鍛錬は基本だ。」

    日向(いざという時っていうのがもうそういうこととしか思えない。)

    日向「そういえば、模擬刀でヤシの実を斬ったこともあったよな。」

    日向「あれって一体どうやったんだ?」

    辺古山「模擬刀といえど刀は刀、刃を立てればしっかり斬れる。」

    日向「斬れないだろ!?というかそんな簡単に斬れたらもう模擬刀じゃないぞ!?」

    辺古山「私は刀の形さえしていれば満足に扱えるのだ。」

    辺古山「無論、しんけ……竹刀が一番だがな。」

    日向(……もう隠す気あるのか?ってくらいだ……)
  230. 240 : : 2017/04/05(水) 17:23:25
    辺古山「それにしても、ぬるま湯のような日々で技が鈍っていないといいが……」

    日向「鈍ってるのか!?」

    辺古山「……まだ分からない。」

    辺古山「この島は、武力が必要なさすぎた。」

    辺古山「これでは、自分の力を確かめることすらできん。」

    日向「弐大には相談しなかったのか?」

    辺古山「忘れているようだが、弐大の本業はマネージャーだ。格闘家ではない。」

    辺古山「戦いが本業でもない相手に武器を持って戦ったら、いくらなんでも勝てるぞ。」

    日向「そうか……」

    日向「なら、確かめられる相手が見つかるといいな。」

    辺古山「ああ。私としては、日向なら頑張ればそれなりの勝負ができると思うのだが……」

    日向「か、勘弁してくれ……」
  231. 241 : : 2017/04/07(金) 21:44:11
    辺古山「話を戻すが、私が改めて決意したのはそれではない。」

    日向「じゃあ何をするんだ?」

    辺古山「そ、そのだな……」

    辺古山「え、笑顔を……見せてやりたいのだ。」

    辺古山「ぼっちゃんは今、迷いの中にいる。」

    辺古山「……あのときのようにな。」

    日向(……誘拐されて逃げ出した時のことか……)

    辺古山「あの時、私はぼっちゃんを安心させられなかった……」

    辺古山「だから今度こそ、笑顔で安心させたいのだ!」

    日向(辺古山……)

    日向(……すまん、もうそれ解決しちゃったかもしれない……)
  232. 242 : : 2017/04/07(金) 22:16:50
    辺古山「澪田やソニア、終里……」

    辺古山「はきはきと笑うコツを教えてもらい、どうにか怖くない笑い方を会得したのだ!」

    日向(……どうして俺はこんなにピンチに陥ってるんだろう。)

    日向(冷静に考えれば良いことをしたはずなのに……)

    日向(辺古山の努力が無駄になったらと思うと……)

    日向「……あれ?無駄になるのか?」

    辺古山「どうした日向。」

    日向「あ、いや、なんでもない。」

    日向(そうだ、俺は何を勘違いしてたんだ!)

    日向(無駄になんてなるはずがないんだ!)

    日向「辺古山、お前のやりたいこと、きっとうまくいくよ。」

    辺古山「……そうか……」

    辺古山「お前にそう言ってもらえるなら心強いな。」

    辺古山「ありがとう、日向。」

    日向には、辺古山の試みが成功するかが分かっている。
    なぜなら、よく知る友人二人に失敗はあり得ないと知っているからだ。
    ……二人ともハッキリとは言わないけれど……
    二人が強い絆で結ばれているのは、みんな分かっているから。
    二人の希望を、精一杯応援したいと思った。
  233. 243 : : 2017/04/09(日) 18:43:38
    3「……遅い……!ウサミは何をしている……!」

    3「連絡はこまめにと言ったはずだぞ!」

    1「それが、狛枝クンが怪我しちゃったみたいでさっき緊急連絡が……」

    3「……チッ、忌々しい……」

    3「大体、杖はどうしたんだ!あれには権限のほとんどが収まっているはずだろう!」

    2「大方、罪木さんの仕事を奪うわけにはいかないとでも思ってるのでしょうね。」

    2「そんなことより、昨日の夜に連絡が来ていたわ。」

    2「北海道の件、もうすぐ終わるそうよ。」

    3「なんだと!?百件はあったはずだぞ!?それを一週間で……」

    3「フン、紛い物でも《超高校級》というわけか……」

    -------------------------------------------------

    その男は、一週間前に依頼を請けやって来た北海道の最早住み慣れたマンションの一室で目を覚ました。

    首に触れ、体に触れ、腕に触れる。
    ほっとした後、足が無い可能性に思い至り確認する。

    ???7「……大丈夫だ、ちゃんとついてる。」

    あの日のことは今でも思い出す。
    ……いや、それは正確ではない。何故なら、その時私は眠っていたのだから。
    寝ている間に体をバラバラにされ、組み替えられた。

    いつも思うが、彼は本当に性格が悪い。
    折角知らないでいられた真実を、そのまま記憶に植え付けた。
    お陰で布団に入っても三時間は寝付けない。九時には布団に入る癖がついてしまった。

    顔を洗い、髪型を整える。私の髪型はいつもきっちりした七三分けだ。
    俗に言う『名探偵』という奴ならば、ボサボサの髪でただ者じゃない感じを出すのもいいだろう。
    しかし、私は経済探偵。警戒されてはどうしようもない。

    ハンガーに掛けてあるスーツを手に取る。
    最近は収入が増えた。だからこんな特注のスーツだって頼めた。
    以前ならあり得なかった事だ。この点においては死んで良かったかもしれない。

    いつの間にかメールが来ていた。
    私と同じ組織の《超高校級の花火師》からだ。
    確認すると、どうやら今度花火パーティーを開くらしい。
    《超高校級の花火師》の花火……見たい。この仕事、さっさと終わらせて帰ろう。

    着替え終わり、隣室の仕事仲間を呼びに……行かない。

    7「……何でこの部屋にいるんだあんたは!」

    ???8「おじさんいつも部屋に僕呼びに来るでしょ?先回り先回り!」

    童顔に低身長、その手には既に菓子パン袋がある。……朝からよく食うなコイツ。

    8「ほらほら、早く行こうよ!僕を最高の冒険が待ってるんだ!」

    朝からよく喋るなコイツ。

    8「華麗に依頼をこなして素敵なお姉さんのーーーーをーーーー」

    7「伏せ字が要るから止めないか。」

    ……朝からよく想像出来るなコイツ……

    8「いやー、僕の息子が朝からハッスルモードだったからついトイレで……」

    7「止めてくれ。こっちの気が滅入る。」

    もう全身モザイクにした方がいいんじゃないのか。

    8「天才の僕を誰も止められないんだ!」

    7「……止めてくれる人、一刻も早く探すべきだ。」

    改めて部屋を出ようとしたところ、一つの疑問が頭を過る。

    7「あんた、他の部屋に盗聴機やら仕掛けてないよな?」

    8「もちろん!」

    7「なら良かっ……」

    8「仕掛けたよ!」

    7「…………」

    殴りたい。全力で殴りたい。
    が、一先ず抑えて……

    7「……外すぞ!早く!」

    8「え~?」

    7「大人しくどこに仕掛けたか言え。」

    8「201、312、511、720、815、906、1010だよ!」

    今いるのは613号室……バラバラじゃないか!

    煩悩の塊のような輩だが、実力はあるから手に負えない。
    バレずにこんな量の盗聴機を仕掛けるなんて、コイツだからこそ出来る芸当だ。
    ……まぁ友人として持つのに悪い奴ではないし、いいか。

    今度こそ扉を開け、外に出る。

    7「あ、そういえば今度花火パーティーがあるらしい。」

    8「何それ行きたい!」

    7「ならさっさと終わらせて帰ろう。あと十企業でおしまいだからな。」

    《超高校級の花火師》による素晴らしい花火とはどんなものか思い浮かべ、
    きっとこんな小市民的なスケールの想像は軽々越えてしまうんだろうなと思った。
    もっと稼いで、このちびっこが羨むような嫁でも手に入れてやりたいな。
  234. 244 : : 2017/04/09(日) 18:48:22
    次を安価します

    >>243
    弐大、花村、小泉、西園寺の中から一人
  235. 245 : : 2017/04/09(日) 18:50:53
    再安価

    >>246
  236. 246 : : 2017/04/10(月) 00:15:14
    花村
  237. 247 : : 2017/04/16(日) 16:16:50
    辺古山「……気分が良い。すっきりしたぞ。」

    日向「ははは、頑張れよ、辺古山。」

    辺古山「ああ。」

    辺古山は……あいつの所に行くみたいだな。

    それにしても……

    日向「なんだかお腹空いてきたな……」

    見れば太陽は既に南中し、現在の時刻を教えてくれている。

    日向「そういえば、朝ご飯食べてないのか……」

    花村「日向くーん!シチュー作ったんだけど要るかーい?」

    願ってもない提案が聞こえ、空腹の男は即座に反応を返す。

    日向「今行く!」
  238. 248 : : 2017/04/16(日) 16:35:50
    日向「うまかった。ありがとう花村。」

    花村「ンフフ、嬉しいことを言ってくれるじゃないか。」

    花村「どうだい?お礼ならコテージで……」

    日向「作ってもらっといて悪いが断る!」

    花村「そう?残念だなぁ……」

    本当に残念そうだから質が悪い。

    花村「それにしても、やっぱりぼくの読み通りだったみたいだね!」

    日向「読み通り?何がだ?」

    花村「みんな腹ペコだったってことさ。」

    日向「あぁ、昨日は遅くまで騒いだからなぁ……」

    花村「普段なら止める立場の小泉さんや弐大くんまで騒いでたからねぇ……」

    花村「日向くんも、起きた時にはもう集合時間ギリギリだったんじゃない?」

    日向「ああ。だから朝食を食べたのなんて……それこそ弐大や終里くらいだったんじゃないか?」

    花村「終里さんは食べに来たけど……朝も食べてたみたいだったよ。」
  239. 249 : : 2017/04/16(日) 17:00:10
    花村「あ、そうだ。」

    日向「どうした?」

    花村「日向くん、狛枝くんと罪木さんがどうしているか知らないかい?」

    花村「朝食は食べていないと思うんだけど、姿が見えないんだよね。」

    日向「あー、狛枝が怪我してな。罪木が今看病してるんだよ。」

    花村「そういうことだったんだね。」

    花村「その辺で転んだりしているかと思ったよ。」

    日向「狛枝は大変だけど罪木がついてるから大丈夫だ。」

    花村「このぼくが罪木さんのパンチラを見逃したらと思うと……」

    日向「不純だな。」

    花村「……ハッ。」

    日向「やめとけ。」
  240. 250 : : 2017/04/16(日) 17:27:20
    日向「そういえば花村。」

    日向「お前は大丈夫なのか?」

    花村「何がだい?」

    日向「お前は母親をこの島の外に待たせてるんだろ?」

    花村「ああ、そのこと……」

    花村「それがね?落ち着いて考えたらそんなに急ぐ必要無いと思ってさ。」

    日向「あれ、そうなのか?」

    花村「うん。前にも言った通り、ぼくの弟と妹は稼いでるからね。」

    花村「お父ちゃんはもう再婚してるけど、まだ交流はあるしきっと助けてくれると思うんだ。」

    花村「離婚の理由だって、お父ちゃんが引っ越ししなくちゃいけなくなったことだからね。」

    日向「なるほど……いいお父さんなんだな。」

    花村「え?お義父さん?」

    日向「……えっと、『ちち』だからな?『ぎふ』じゃないからな?」

    花村「なんだ、つれないなぁ……」
  241. 251 : : 2017/04/16(日) 20:31:24
    花村「日向くん、何か向こうに戻ったら食べたいものはあるかい?」

    日向「なんだ急に。うーん……草餅が食べたいな。」

    花村「ンフフ、作ってあげようと思ってね!」

    花村「そうかそうか、日向くんは草餅が食べたいんだね。」

    日向「作ってくれるならありがたいな。」

    日向「やっぱり、まず食べるなら好物だろ?」

    花村「そういえば、生徒手帳にも載ってたね。」

    日向「ああ。希望ヶ峰学園に行く前に書類にでも書いたんだろうな。」

    花村「ンフフ、全員の3サイズまで載ってたからね。」

    日向「本当に個人情報をないがしろにされてるよな……」

    日向「……花村、まさか悪用してないよな……?」

    花村「どのへんから悪用なのかちょっと分からないけど、とりあえず夜のお供に……」

    日向「……はぁ。」
  242. 252 : : 2017/04/20(木) 20:17:29
    日向「……まあ、いいや。」

    花村「あれ?罵ってくれないの?」

    日向「罵らない!」

    花村「あっ、いいよ今の怒声。もう一回お願いできる?」

    日向「しない!」

    花村「いやーーーーん!」

    日向「しまった……」

    花村「ンフフ、詰めが甘いよ日向くん?」

    日向「お前、見境なさすぎないか?」

    花村「そうかな?」

    日向「男も女も関係ないし……」

    花村「ンフフ、男女だろうと男男だろうと女女だろうと、ぼくは気にしないよ?」

    花村「たとえ昆虫であろうと、来る者は決して拒まないのがぼくと言う男さ!」

    日向「せめて人間の範疇で恋愛してくれ!」
  243. 253 : : 2017/04/21(金) 22:32:36
    日向「お前は本当に下ネタを自重しないよな……」

    花村「まぁね!エロあってこそのぼくだからね!」

    日向「料理じゃなくてか?」

    花村「ンフフ、きみもなかなかいじわるな質問をするね。」

    花村「もちろん、料理もだよ。」

    花村「料理の才能、エロの才能、天はぼくに二物を与えたのさ!」

    日向「……多分片方は一つとしてカウントされてないぞ。」

    花村「えぇ!?日向くんは、料理なんて才能じゃないとでも言うの!?」

    日向「エロの方だよ!」

    花村「ンフフ、冗談だよ。」

    花村「いくらなんでも、料理を捨ててまでエロには走らないよ。」

    日向「それを聞いて安心し……」

    花村「それに、ぼくだって女子の前ではちょっとくらい自重してるからね?」

    日向「……え、あれで?」
  244. 254 : : 2017/04/22(土) 16:53:28
    花村「いやいやいや!してるからね!?」

    日向「してないだろ!?」

    花村「分からないかなぁ、このぼくの努力!」

    日向「分からない。」

    花村「ぼくはね、女の子の前ではできるだけ例えに留めるようにしてるんだよ。」

    日向「……確かに。」

    花村「あんまりひどい下ネタばっかり言ってると、さすがに嫌われちゃうからね。」

    日向「……そのへんは分かってるんだな。」

    花村「うん。みんなとはいつまでも友達でいたいし、最低限はね。」

    日向「ははは、お前なら全員と結婚したいとでも思ってると思ってたんだけどな。」

    花村「おっ、それいいね!」

    日向「……俺は駄目だぞ?」

    花村「あはは、友達で大丈夫だよ。」
  245. 255 : : 2017/04/22(土) 18:36:03
    日向「ところで、花村の実家ってどんな所なんだ?」

    花村「未来の夫の家に興味があるのかい?仕方のない子だなぁ。」

    日向「違う。というか、さっき友達でいいって言ったばっかりじゃないか!」

    花村「ンフフ、いいよ。詳しく教えてあげよう。」

    花村「ぼくの実家は本当に交通の便が悪くてね、外から来る道は一本しかないんだ。」

    花村「すごく険しい道で、徒歩でしか進めないんだよ。」

    日向「徒歩!?」

    花村「海にも面しているんだけど、入江の外は潮が渦巻いてる上に岩だらけ。」

    花村「魚は問題なく入ってこれるみたいなんだけどね。」

    花村「その上村全体が急な斜面になってて、ヘリとかでも入れないんだよ。」

    日向「なんかもう……すごいな。」
  246. 256 : : 2017/04/22(土) 19:21:11
    花村「ンフフ……ぼくの実家の凄さ、分かってもらえたかな?」

    日向「ああ……」

    花村「だからぼくが歩いて街まで行って、『食堂花村』の宣伝をしていたんだよ。」

    日向「なんというか……大変だな。」

    花村「うん。どうしても食べたい、って人は自力で食堂まで来てくれたよ。」

    日向「そこまで虜にするなんて……花村にしかできないな。」

    花村「嬉しいね。」

    花村「……で、日向くん。」

    日向「どうした?」

    花村「さっきも言った通り、ぼくの実家までの道のりはすごく険しいんだけど……」

    花村「それでも日向くんは、ぼくの料理を食べに来てくれるかい?」

    日向「…………ははっ。」

    日向「ああ!!!」

    険しい道がなんだというのだろう。
    それが花村の料理を食べに行かない理由になんて、なるはずもない。
    もっと言えば……親友からの誘いを断る理由になんて、なるはずもない。
    日向は、心に浮かんだ照れくさいような友情を隠すように
    深い鍋一杯に作られたシチューを、おかわりした。
  247. 257 : : 2017/04/22(土) 19:23:24
    次を安価します

    >>258
    弐大or小泉or西園寺
  248. 258 : : 2017/04/22(土) 20:39:14
    そんなかやったら弐大さんやな
  249. 259 : : 2017/04/23(日) 14:12:24
    花村「満足したかい?」

    日向「ああ、ありがとう花村。」

    花村「ンフフ、礼には及ばないよ。」

    花村「それじゃぼくは罪木さんと狛枝くんにシチューを届けてくるよ。」

    日向「重くないか?」

    花村「もうけっこう食べてもらったから大丈夫だよ。」

    そう言うと、花村はしっかりした足取りでウサミの所へ向かった。

    日向「……本当に問題なさそうだな。」

    その時、大きな手が日向の肩を叩いた。

    日向「ん?」

    弐大「日向……お前さん、今話せるかのう?」

    日向「ああ、構わないぞ。」
  250. 260 : : 2017/04/29(土) 17:02:14
    弐大「お前さんは、つい先程自分の体に起こった変化に気づいておるか?」

    日向「変化……?」

    日向「……もしかして、終里と勝負した時のことか?」

    弐大「……そうじゃ。」

    弐大「こう言ってしまえばなんじゃが、終里はお前さんに負けるような奴ではない。」

    弐大「そもそもの力が違うんじゃあ。しかし、終里はお前さんに負けた。」

    弐大「お前さんも疑問に思うじゃろう。」

    日向「あぁ……終里が手を抜くとは考えられないしな。」

    弐大「うむ。そんなことしとったらまずワシがぶっ飛ばすわい。」

    弐大「……それに、あの勝負で終里が手を抜く訳が無いんじゃ。」

    日向「?」

    弐大「……ただの独り言じゃあ。」
  251. 261 : : 2017/04/29(土) 17:29:06
    弐大「お前さんが終里に勝ったのは、他ならぬお前さん自身の力じゃあ。」

    弐大「……恐らく。」

    日向「な、なんだか含みのある言い方だな……」

    弐大「そりゃそうじゃろう。」

    弐大「ワシだって、お前さんにあんなことが出来るとは露程も思っておらなんだ。」

    弐大「それに、お前さん自身知らなかったじゃろう。」

    日向「まぁ……いくら鍛えてもらっても、元がちょっと鍛えたくらいの一般人だからな。」

    弐大「少なくとも、どんな天才でも一朝一夕に道を極めることなどできん。」

    弐大「……そのはずじゃったんじゃがな。」

    日向「……例外があった……のか?」

    弐大「……そろそろ前置きは十分な頃じゃろう。」

    弐大「端的に済ませるぞ、日向。」

    弐大「お前さんは、天才などという言葉では表せない程の、大天才じゃあ!!!」
  252. 262 : : 2017/04/29(土) 17:44:24
    日向「……はぁ?」

    弐大「ガッハッハ!そんなに嬉しそうなら良かった!」

    日向「嬉しそうじゃないぞ!?」

    弐大「なに?嬉しくないのか?」

    日向「嬉しいけど!急に言われても戸惑いの方が強い!」

    弐大「急とはなんじゃ、あれだけ前置きをしたというのに。」

    日向「多分いつどこでどんなときに言われても急に感じたと思うぞ。」

    日向「というか、どうして俺が大天才なんて思うんだよ。」

    日向「自分で言うのもなんだが、俺の身体能力は本当に一般人だぞ!」

    弐大「うむ。ワシも、お前さんの才能は絶対に運動系ではないなと思っておった。」

    弐大「じゃが、それは間違いじゃった!」

    弐大「お前さんには、不可能を可能に変える秘密があったんじゃあ!!!」
  253. 263 : : 2017/04/30(日) 19:37:00
    日向「秘密ってなんだよ。」

    日向「言っとくけど、俺は特に隠しごとはしてないぞ?」

    弐大「じゃからお前さんも気づいとらんと言ったじゃろう。」

    弐大「日向よ、それぞれおスポーツにはそれぞれに適した筋肉の構造があることは知っておるか?」

    日向「知らないけど、まぁそうだろうなと思う。」

    弐大「その認識で十分じゃ。」

    弐大「野球には野球向きの筋肉、新体操には新体操向きの筋肉があり……」

    弐大「スポーツにおける『才能』とはつまりこれのことなんじゃあ。」

    日向「……それのどこが俺と関係してるんだ?俺は筋力も柔軟性も普通だぞ?」

    弐大「普通ではない!」

    弐大「……あんな筋肉が普通じゃったら、世界中のスポーツ選手は全員無才になり下がるぞっ!」

    弐大「日向よ!お前さんの筋肉は……」

    弐大「状況に応じて自らの才能を切り替えておったっ!」
  254. 264 : : 2017/04/30(日) 19:51:57
    日向「才能を……切り替える?」

    日向「なんだそれ!?」

    弐大「お前さんの筋肉はのぅ……」

    弐大「常に切り替わっておって全ては分からなんだが……そうじゃのぅ……」

    弐大「少なくともサッカーとボクシングとプロレスと新体操なら
      『超高校級』をも超える実力を発揮できるはずじゃ。」

    日向「嘘だろ!?」

    弐大「本当じゃ。」

    日向「えっ……えー……」

    日向「そもそも、才能が切り替わる時って一体どんなことになってるんだよ。」

    弐大「それはもうすごかったぞ。」

    弐大「なんだかこう……ぬるぬるというか……にゅるにゅるというか……」

    日向「気持ち悪っ!?え!?そんなことになってるのか!?」
  255. 265 : : 2017/04/30(日) 20:03:38
    弐大「今はなっとらんぞ。」

    日向「あ、あぁ……」

    弐大「まぁそれは問題ではないじゃろう。」

    日向「本当にか!?本当に問題じゃないのか!?」

    弐大「噴ッ、確かに問題かもしれんが、それより重要なことがあると言っておるんじゃあ。」

    日向「……あったか?」

    弐大「何を言っとるんじゃ。あれだけ探し求めたことじゃろう。」

    弐大「良かったのぅ!」

    弐大「お前さんの才能は運動系で決まりじゃあ!」

    日向「……あ!そうか!」

    弐大「どれが才能として認められたのかは分からんがのう。」

    弐大「こんな改造手術でもしないと手に入らないような才能じゃぞ?」

    弐大「素直に喜ばんか!」

    日向(……あれ?今の言葉……)

    日向(どこかで聞いた気が……)
  256. 266 : : 2017/05/04(木) 11:45:28
    弐大「どうした?日向よ。」

    日向「……いや、なんでもない。」

    弐大「なんじゃ、水臭いのう。男らしくスパッと言うてみんか!」

    日向「いやいいって。」

    弐大「お前さん、50日も一緒に暮らしておいてまだ遠慮しておるのか?」

    弐大「なぜじゃ!理由があるなら話してみい!」

    日向(結局話すんだな……)

    日向「俺はみんなに遠慮なんかしてないよ。」

    日向「ただ、あまり……考えちゃいけない気がするんだ。」

    弐大「……お前さんの才能についてか?」

    日向「あぁ。」

    日向「多分、あと少し……いや、もうきっと証拠は集まってるんだ。でも、それを暴けば俺は……」

    日向「俺のままでいられなくなる。そんな気がする。」

    弐大「無……ならば仕方あるまい、これ以上深く尋ねはせん。」
  257. 267 : : 2017/05/04(木) 13:58:40
    弐大「まぁ、記憶なぞじきに戻るじゃろう。」

    日向「そんな楽観的な……」

    弐大「ガッハッハ!楽観的なのはいいことじゃ!」

    弐大「メンタル面は、選手の体調にも影響するからのう!」

    日向「確かにな。」

    弐大「うむ。悲しみや怒りを感じるなとは言えん。」

    弐大「だからこそ、念入りなケアが必要なんじゃあ。」

    弐大「……そうじゃ。お前さん、疲れておるじゃろう。」

    日向「……え。」

    弐大「あんな動きをして、狛枝も運んだんじゃろう?」

    日向「見てたのかよ!?」

    弐大「さぁ!服を脱いで横になれい!上だけで構わん!」

    日向「上だけなら……まぁいいか。」
  258. 268 : : 2017/05/04(木) 15:12:46
    日向「ふぅ……」

    弐大「どうじゃ、ワシのマッサージの味は。」

    日向「最高だな。」

    弐大「ガッハッハ!嬉しいのお!」

    日向「……なぁ。」

    弐大「どうした。」

    日向「もし……もしさ、俺が元から才能なんて無い一般人だったら……どうする?」

    弐大「どうするか……いや、特にどうもせんじゃろう。」

    弐大「むしろ、才能が戻った後にお前さんの態度が変わったらどうにかせんとのう。」

    日向「……そうか。そうだな。みんなの知ってる俺は今の俺なんだもんな。」

    弐大「応!」

    日向「ありがとう、弐大。」

    日向は、もう知っている。
    自らを災難が襲うことを。
    それがどんなものかは分からない。
    しかし、この豪胆な友人の助けがあれば、
    どんな苦難でも、乗り越えられる気がした。
  259. 269 : : 2017/05/04(木) 15:14:25
    次を安価します

    >>270
    小泉or西園寺
  260. 270 : : 2017/05/04(木) 21:18:41
    西園寺でお願いします
  261. 271 : : 2017/05/04(木) 23:10:48
    なんか不人気はこの二人なんやね。どこでも…
  262. 272 : : 2017/05/04(木) 23:24:38
    僕は嫌いじゃないんですけどねぇ……

    明らかに動物愛護団体に訴えられそうなことしてるのが一人いけない
  263. 273 : : 2017/05/05(金) 19:00:00
    日向「にしても……」

    日向「いつものことながら、体が一気に軽くなるな……」

    日向「……」

    日向「……少し走るか。」

    弐大「うむ!行って来い!」

    そう言って走り出した矢先……

    日向「うわっ!?」

    西園寺「クスクス、おにぃってばちょろーい。」

    日向「他人に足をかけるな!」
  264. 274 : : 2017/05/05(金) 19:40:40
    西園寺「…………ぐすっ。」

    日向「お、おい?西園寺?」

    西園寺「うわぁああああん!おにぃが怒ったぁああああ!」

    日向「泣くな!お願いだから泣くなって!」

    西園寺「凡人奴隷の分際で怒鳴ったぁああああ!」

    日向「ひどい言いようだな!?」

    西園寺「才能も分からない無能が逆らったぁああああ!」

    日向「今更怒る気にもならないな……」

    西園寺「うわぁああああん!」

    日向「……分かった。分かったから。俺が悪かった。泣き止んでくれって。」

    西園寺「……本当に?」

    日向「本当に。」

    西園寺「本当の本当に?」

    日向「本当の本当に。」

    西園寺「本当の本当の本当?」

    日向「本当の本当の本当……って恋人か何かか俺たちは。」
  265. 275 : : 2017/05/05(金) 20:21:52
    西園寺「…………」

    西園寺「…………」

    日向「……おーい?西園寺ー?」

    西園寺「……こ。」

    日向「こ?」

    西園寺「恋人なんかじゃないっ!」

    日向「ぐおっ!?」

    日向(俺は一体何回みぞおちを攻撃されないといけないんだ!?)

    西園寺「お、おおおおにぃがヘンなこと言うからいけないんだよっ!」

    日向「どうしてそんなに慌ててるんだよ……」

    西園寺「べっべべ別に慌ててないもん!」

    日向「子供か。」
  266. 276 : : 2017/05/06(土) 14:57:59
    西園寺「奴隷は冗談でも女の子に恋人とか言っちゃいけないんだよっ!」

    日向「いやそれは駄目だろ。」

    日向「俺だって彼女とか欲しいからな?普通に。」

    西園寺「え~?家畜以下のおにぃが人間様と付き合えるとか本気で思ってんの~?」

    西園寺「キャハハ、キモーい!」

    日向(ずいぶん調子が戻ってきたな……)

    日向(……正直喜べない。)

    日向「というか、誰が家畜以下だ。」

    西園寺「え~?おにぃのことだってば~。」

    西園寺「もしかして、その程度のことも分からないくらい退化しちゃったのかな~?」

    日向「俺はいつだって人間だ。」
  267. 277 : : 2017/05/06(土) 15:26:07
    西園寺「そういえばおにぃは、わたし狙いのロリぺド野郎だもんね~!」

    西園寺「わたしみたいな小柄な彼女が欲しいんでしょ~。」

    日向「……あのな?西園寺。」

    西園寺「な、なに?」

    日向「俺、別にロリコンじゃないぞ?」

    西園寺「……え?」

    日向「だから、西園寺に恋愛感情とか抱いた覚えはないんだよ。」

    西園寺「え、何それ、何それ……」

    日向「西園寺?どうした?」

    西園寺「な、何でもない……」

    日向「このままずっとロリコン呼ばわりされるのは困るからな……」

    日向「……顔色わるいぞ?本当に大丈夫か?」

    西園寺「だ、大丈夫だから!」
  268. 278 : : 2017/05/06(土) 15:43:24
    日向「お前をバカにすることになるかもしれないからやめとこうかとも思ったんだけど……」

    西園寺「気遣いとかいらない……」

    日向「……そうか?」

    西園寺「そうだよ!」

    西園寺「大体誰がロリだ!」

    日向「……あー……」

    西園寺「言わなくていい!言わなくていいけど!」

    西園寺「おにぃのバカ!」

    西園寺「おにぃなんか……」

    西園寺「大好きな幼女の足の裏に口ふさがれて死んじまえ!」

    日向「だから俺はロリコンじゃないし変態でもないんだって!」
  269. 279 : : 2017/05/06(土) 16:03:20
    西園寺「うぅ……」

    日向「ごめんな?」

    西園寺「許すか!」

    西園寺「わたしのファンに命令して襲わせてやる!」

    日向「人として最低だぞそれ!?」

    西園寺「下等種の常識なんか知るか!」

    西園寺「罪木にヘンな薬でも打たれてろ!」

    日向「シャレになってないぞ!?」

    西園寺「ひっく……ひっく……」

    日向「もう泣かないでくれよ、頼むから。」

    西園寺「おにぃはわたしの奴隷なんだもん……なんでも言うこと聞くんだもん……」

    日向「……どうすればいいんだ……」
  270. 280 : : 2017/05/06(土) 16:44:55
    西園寺「うぇええええん!おにぃはわたしの所有物なんだからぁああああ!」

    日向「こっちが泣きたいくらいだ……」

    日向「西園寺、泣かないで……」

    西園寺「……苗字嫌い。」

    日向「え、どうした西園寺?」

    西園寺「日寄子。」

    日向「え?」

    西園寺「日寄子って呼ぶの!」

    日向「えぇ!?」

    西園寺「おにぃはわたしの奴隷なんだから!大人しく呼んでよ!一回でもいいから!」

    日向(……そういえば、西園寺は苗字が嫌いなんだったか……)

    日向(事実だったんだな。)
  271. 281 : : 2017/05/06(土) 17:15:11
    日向(そう考えると……)

    日向(断るのは、ちょっとかわいそうか。)

    日向「……分かった。いいぞ。」

    西園寺「グスッ……えへへ、やったぁ!」

    日向「……日寄子、もう泣かないでくれ。」

    西園寺「グスッ……おにぃ……ってば、ちょろい……」

    日向「泣きかけながら言うことか……?」

    西園寺「……もう一回」

    日向「え、一回でいいって……」

    西園寺「うるさい!わたしがやれって言ったらやるの!」

    日向「わ、分かった分かった……日寄子。」

    西園寺「えへへ~、本当ちょろーい!」
  272. 282 : : 2017/05/06(土) 18:05:44
    西園寺「……おにぃ?」

    日向「どうした?」

    西園寺「おにぃはどんな人が好き?」

    日向「どんなって……どんな性格のとか、どんな見た目のとか?」

    西園寺「うん。」

    日向「それなら……特に無いかも。」

    西園寺「そうなの?」

    日向「あぁ。『好きになった人が好き』っていうのは正しいと思う。」

    日向「……幼女体型とか変態的なのは多分駄目だけどな。」

    西園寺「……ふーん……」

    西園寺「おにぃ!」

    日向「なんだよ!?」

    西園寺「ここから出たら、すぐに成長期が来るからっ!」

    日向「え!?」

    意味の分からないことを口走って走り去った仲間を見る。
    子供っぽい所が多く、悲惨な環境を抱えた友人だ。
    失礼なことを言ってしまったと悔やみつつも
    ことあるごとに奴隷扱いする彼女を
    それならそれで出来る限り手助けしたいと思った。
  273. 283 : : 2017/05/06(土) 19:13:02
    次は小泉です
  274. 284 : : 2017/05/07(日) 16:06:57
    日向「次で最後……か。」

    日向「……ってあいつどこだ?」

    小泉「アタシならここにいるわよ。」

    日向「あぁ、いたのか。」

    小泉「ひどいわね……」

    小泉「まぁ、写真撮ってたアタシが言うのもなんだけど。」

    日向「へぇ、どんなのを撮ったんだ?」

    小泉「いつも通り、みんなと景色の写真よ。」

    小泉「今日この島を出たら、多分もうそうそう来ないだろうし。」

    日向「そうか……」

    小泉「見る?」

    日向「あ、頼む。」
  275. 285 : : 2017/05/07(日) 16:23:26
    日向「やっぱりみんな笑ってるな。」

    小泉「あはは、やっぱそう思う?」

    日向「うん。」

    日向「ただ、島から出られることが嬉しいわけじゃないよな。多分。」

    小泉「あれ、よく分かったね。」

    日向「あれ、当たったのか。」

    小泉「あてずっぽうで言ったのね……」

    小泉「九頭龍に聞いてみたら、『ぜ、全員で出られるのが嬉しいんだよ!悪いかコラ!』だって。」

    日向「お前、それは……」

    小泉「うん、分かってる。アタシも人選間違えたと思った。」
  276. 286 : : 2017/05/07(日) 16:40:47
    日向「いろいろ撮ったな。」

    小泉「う、うん……」

    日向「あ、これは昨日のか?」

    小泉「あ、そうだよ!うん、見たければ見てもいいよ?」

    日向「……あ、俺のアホ面……」

    日向「なぁ小泉、これって……」

    小泉「消しちゃダメだからね?」

    日向「だよなぁ……」

    日向「……ところでさ、小泉。」

    小泉「……な、なによ。」

    日向「さっきからさ……」

    日向「俺の後ろから覗き込んで何やってんの?」

    小泉「…………別に何でもないけど?」

    日向「いや嘘だろ。」
  277. 287 : : 2017/05/07(日) 17:05:39
    日向「まぁいいや……ん?」

    日向「今日の分にまだ見てないのがあるな……」

    小泉「あ!ちょっと!ちょっと返して!」

    日向「え?」

    小泉「いいから早く!」

    日向「いいけど……」

    小泉「えっと……これ!」

    日向「どれ……ってこれ俺が七海のお願い聞いてた時のか!?」

    小泉「アンタそんなことしてたの!?」

    日向「あ!あの時のシャッター音!」

    日向「……すっかり忘れてたな……」

    小泉「いい寝顔だと思うよ?」
  278. 288 : : 2017/05/07(日) 17:24:21
    日向「うわー……恥ずかしいな……」

    小泉「思い出の一つだと思って。ね?」

    日向「……消すのは……」

    小泉「ダメ。」

    日向「やっぱりか……」

    小泉「でも、そんなに悪い写真じゃないでしょ?」

    日向「いや……悪い写真じゃないけどな?小泉が撮ったんだし。」

    日向「ただ、小泉は絶対に消さないからな……」

    日向「今後それが壊れるまで保存され続けると思うと……」

    小泉「壊れても直してもらうからデータ消えないかも。」

    日向「マジか……」
  279. 289 : : 2017/05/07(日) 17:45:19
    日向「本当に消せないか?」

    小泉「うん、ダメ。」

    日向「そうか……」

    日向「じゃあもう一度カメラ見せてくれないか?」

    日向「まだ見てない写真とかあったと思うし。」

    小泉「……ダメ。」

    日向「え!?これも駄目なのか!?」

    小泉「だって、消しちゃうかもしれないでしょ?」

    日向「消さないから!」

    小泉「はいはい、アタシが見せてあげるから。」

    日向「なんか納得いかないような……」

    小泉「文句言わないの!」
  280. 290 : : 2017/05/07(日) 18:06:29
    小泉「よし、これで全部だね!」

    日向「本当に多いな……」

    小泉「多分この島に来てからずっと撮ってたし……」

    小泉「このくらいは撮れるんじゃないかな?」

    日向「いや、撮れないだろ。」

    日向「量は撮れたとしても、全部が全部洗われるような気分になる写真なんて無理だぞ。」

    小泉「それは過大評価でしょ?」

    日向「いや、これでいいだろ。」

    日向「小泉の写真に人を笑顔にする力があるのを、俺は知ってるからな。」

    小泉「そ、そう……?」
  281. 291 : : 2017/05/07(日) 18:37:57
    小泉「ねぇ、日向。」

    日向「どうした?」

    小泉「その……頼みたいことがあるんだけど……」

    日向「また写真撮ってほしいとかか?」

    小泉「えっと……似てるんだけど……」

    日向「似てるのか。」

    小泉「ちょっとさ……一緒に……」

    小泉「写真に、写ってほしいんだよね。」

    日向「写る?撮るんじゃなく?」

    小泉「……うん。」

    日向「別にいいぞ、それくらい。」

    小泉「……ありがとう。」
  282. 292 : : 2017/05/07(日) 18:52:10
    日向「といっても、撮るやつはいるのか?」

    小泉「ウサミちゃんがいるでしょ?」

    日向「ウサミはまだ狛枝の看病してるんじゃないか?」

    小泉「え、狛枝怪我してたの!?」

    日向「あぁ、ヤシの実が降ってきてな。」

    日向「……あれウサミか?」

    ウサミ「看病は終わりまちたが、思い切り叱られまちた……」

    日向「おーい、ウサミー!」

    ウサミ「ほぇ?」

    小泉「写真を撮ってくれない?」

    ウサミ「もちろんいいでちゅよ!らーぶらーぶでちゅ!」
  283. 293 : : 2017/05/07(日) 19:35:42
    日向「もういいかー?」

    ウサミ「もうちょっと近くに寄ってくだちゃーい!」

    小泉「えっちょっとこれ以上近づいたらアタシっきゃあ!」

    日向「寄せたけどこれでいいかー?」

    ウサミ「もうちょっといけまちぇんかー?」

    日向「もう肩くっついてるんだけど……これ以上は流石に無理だぞー?」

    ウサミ「分かりまちたー!じゃあ撮りまちゅねー!……小泉さーん?笑ってくだちゃーい!」

    小泉「あ、あはは……」

    ウサミ「ハイ、チーズ!」

    シャッター音が鳴る。うまく撮れているだろうか。

    小泉「と、撮れた?」

    ウサミ「撮れまちたよ!小泉さんにはかないまちぇんが……」

    小泉「……ううん、最高。ありがとね、ウサミちゃん。」

    日向「撮れたか?」

    小泉「最高のが撮れてたよ。帰ったらプリントして飾ろうね。」

    日向「……そうだな。」

    顔を赤くして言う小泉に、肯定の返事を返す。
    面倒見が良く、母親的存在として扱われることも多い彼女は
    いつも自分の目指す姿に悩んでいる。
    誰にも話せないと思いがちな心を
    精一杯開かせてやりたいと思った。






    小泉(それにしても……)

    小泉(さっきのマッサージ撮った写真だけは見つからなくて良かった……)
  284. 294 : : 2017/05/12(金) 11:19:06
    日向(これで、みんなと話し終えたよな……)

    ウサミ「ミナサーン!」

    ウサミ「もう全員話しまちたねー?」

    ウサミ「それじゃそろそろ集まって……」

    豚足「ちょっと待ってもらえる?」

    ウサミ「はぇ!?」

    豚足「先にやりたいことがあるんだ。」

    ウサミ「……そうでちゅか、成長したんでちゅね。」

    ウサミ「お名前はなんでちゅか?」

    豚足「豚足、と呼んでもらえるかな。」

    ウサミ「分かりまちた!豚足くん、やりたいようにやってくだちゃい!」

    豚足「ありがとう、ウサミ。」
  285. 295 : : 2017/05/12(金) 12:06:31
    豚足「じゃあみんな、俺のところに集まってくれ。」

    日向「あれ、一人称……」

    豚足「あぁ、『俺』で固定することにしたよ。」

    日向「へぇ、良かったな。」

    豚足「うん、こうなれたのもキミの協力があればこそだよ。ありがとう。」

    左右田「なんの話してんだ?つーか十神雰囲気違くね?」

    田中「うむ。かの時を経て魔格を変ずる海魔の如き変わりようだ。」

    ソニア「ジャパニーズブリのお刺身です!」

    澪田「調理済みっす!」

    終里「うまそーだな……ハラ減ってきたぞ!」

    弐大「ほう……ブリは栄養満点、トレーニングにも適しておる!」

    九頭龍「刺身か……いいかもしれねーな。」

    花村「オッケー!メニューに加えておくよ!」

    小泉「ちょっと!話がどんどんそれて行ってるわよ!」

    辺古山「ところで、七海はどこだ?」

    罪木「そ、それが一向に目を覚まさないので……」

    狛枝「ボ……ボクが運んでるよ……結構重いんだね……」

    西園寺「クスクス、無様だね狛枝おにぃ!」
  286. 296 : : 2017/05/12(金) 12:56:38
    豚足「あー、ちょっと話聞いてもらえる?」

    九頭龍「あぁ、すまねーな。どうした?」

    豚足「いや、自己紹介をしようと思って。」

    澪田「自己紹介?今更じゃないっすか?」

    豚足「いや、俺はみんなに嘘をついていたんだ。」

    田中「それが貴様の変貌の正体か?」

    豚足「うん。そうだよ。」

    左右田「そっか。お前普通そんな返し方しねーもんな。」

    豚足「納得してもらえたみたいだし自己紹介させてもらうと……」

    豚足「俺は『超高校級の詐欺師』、豚足。改めてよろしく!」
  287. 297 : : 2017/05/12(金) 13:34:05
    一同「……え。」

    一同「えぇえええええええええええええええええっ!?」

    豚足「あ、まぁそうなるよね。」

    日向「そうだな。」

    左右田「なんでオメーらは平然としてんだよ!」

    狛枝「『超高校級』のみんなを50日も騙し切る才能……素晴らしいよ!」

    西園寺「うわーん!狛枝おにぃがキモいよー!」

    日向「平常運転のやつもいるけどな。」

    豚足「そうだね。」

    小泉「狛枝は例外だって!」
  288. 298 : : 2017/05/12(金) 14:09:11
    豚足「そういうことだから、よろしくね?」

    田中「……現に目の前にあるのならば仕方あるまい。」

    終里「おっし!とりあえず豚足があんだな!?」

    弐大「終里よ、お前さん間違えとるぞ。」

    澪田「ところで、てっきり唯吹はウ……」

    ソニア「あぁ!言ってはなりません!」

    九頭龍「いつどこでヤツに聞かれてるかわからねーからな……」

    辺古山「九頭龍、それではまるで誰かに追われているかのようだ。」

    罪木「あ、あの……『あの事』ですよねぇ?」

    豚足「うん、元々その話のために呼んだんだよ。」
  289. 299 : : 2017/05/12(金) 14:37:45
    豚足「手順は覚えてるね?」

    左右田「オレと田中とソニアさんでターゲットを誘導……さっき失恋したばっかなんだけど。」

    狛枝「代わろうか?」

    左右田「いやいい……」

    澪田「そしたら整列っす!」

    九頭龍「……オメーも並ぶんだからな?騒ぐなよ?」

    澪田「えぇ!?唯吹の新曲披露しようと思ってたっすのに!」

    日向「こんなときに披露するのは絶対に駄目だ!」

    豚足「3人がターゲットを連れて戻ったところで俺が……」

    豚足「いいね?」

    一同「OK!」
  290. 300 : : 2017/05/12(金) 15:12:34
    左右田「ウサミ!」

    田中「白と桃の混沌(カオス)よ!」

    ソニア「ウサミさーん!」

    ウサミ「なんでちゅかー?」

    左右田「ちょっと来てくんね?いいもん見せてやるよ!」

    ウサミ「いいものでちゅか?分かりまちた!」

    一同「……」

    豚足「行ったね?」

    澪田「オラー!並べ並べー!」

    九頭龍「オメーもだ!」

    日向「早く!」
  291. 301 : : 2017/05/12(金) 15:43:49
    罪木「ふゆぅ……転んでしまいましたぁ……」

    花村「いい!いいよ罪木さん!すごくいい!」

    西園寺「あざといんだよこのゲロブタぁ!」

    九頭龍「うるせー!騒ぐなっつったろーが!」

    澪田「聴いてください!新曲『床下からコンコン音がする』!」

    弐大「や、やめんか!」

    辺古山「やめろ澪田!」

    終里「ハラ減った……どっかにメシねーかな……」

    日向「は、花村!さっきのシチュー余ってないか!?」

    花村「終里さんと豚足くんがあのあと全部食べたけど……」

    豚足「あ、俺のせいか。」

    小泉「千秋ちゃんが起きそうにないんだけど……」

    狛枝「……日向クンの背中に引っ掛けて立たせておこうか。」
  292. 302 : : 2017/05/12(金) 16:13:57
    九頭龍「なんでいざやるぞって時に限ってこんな問題が出てくんだよ!並ぶだけだろ!?」

    日向「まぁありがちだよな……」

    豚足「そろそろ左右田君たちも……」



    ウサミ「いいものってなんでちゅか?」

    ソニア「いいものはいいものです!」



    豚足「ヤバい。もう来てる。」

    日向「ふざけてないで並べー!」

    狛枝「あ、日向クンこれ背負っといて。」

    日向「何背負わせた……七海!?」



    左右田「オメーらちゃんとやってるかー?」

    ウサミ「なんで並んでるんでちゅか?あと日向くんはどうして七海さんを背負ってるんでちゅか?」

    田中「豚足から話があるそうだ。……いや、我等の総意を代弁すると言うべきか……」

    ソニア「さぁさぁウサミさん、皆さんの前に来てください!」
  293. 303 : : 2017/05/12(金) 17:11:43
    豚足「来たね?ウサミ。」

    ウサミ「来まちたけど……」

    豚足「それじゃあ……始めようか。左右田君たちも並んで。」

    豚足「それでは歌います!ウサミ先生に愛を込めて、『遥か』!」

    ……正直、上手いとは言い難かった。
    なんせ、昨日夜も更けた後に練習したものだし。

    でも、折角卒業する上に感謝を伝えるとなれば……歌ってみるだろ!

    全員大騒ぎだ。そもそも歌詞自体うろ覚えで、でもそれが楽しい。

    出したいだけ声を張り上げて、笑いながら、歌詞とかは気にせず歌った。

    ウサミは案の定、泣いていた。

    そして、歌い終えた後……

    豚足「ウサミ先生!短い間でしたが、ありがとうございました!」

    ウサミ「……いいんでちゅよ、そんな、お礼なんて……」

    そう言うウサミの声は、涙に揺れている。
    そのための企画、そのための歌だ。
    なんだかんだ言って何もかもをこの修学旅行で受け取った。
    結局起きなかったやつもいるけど……まぁ、昨日夜ふかししたしきっと感謝してる。
    今はとにかく、感謝が伝わったことを嬉しく思った。
  294. 304 : : 2017/05/13(土) 14:08:45
    ウサミ「ミナサン!それじゃあお帰りのお時間でちゅ!」

    ウサミはもう完全復活だ。

    九頭龍「……へっ。」

    辺古山「ぼっ……九頭龍、涙が溜まっているぞ。」

    澪田「ぼ?ペコちゃんぼって言ったっすか?」

    西園寺「へ~、九頭龍おにぃ泣きそうなんだ~。」

    終里「んなこと言ってるオメーも泣きそうじゃねーか。」

    小泉「こらこら、人をからかわないの!」

    七海「……Zzz。」

    狛枝「七海さんまだ起きないんだけど……これ瞬間移動とかして大丈夫なの?」

    弐大「クソを我慢しておっても大丈夫だったんじゃ、きっと大丈夫じゃろう。」

    豚足「楽しかったからね。……また来たいな。」

    花村「恋人候補もたくさんできたし……」

    左右田「まさかそれ、男も……入ってるよなァ……」

    田中「……俺様は既に伴侶を得ている。」

    ソニア「はいっ!ダーリン!」

    罪木「うゆふふふぅ……お友達でいいんですよねぇ……」

    日向「……それじゃあウサミ、頼む。」

    ウサミ「はいでちゅ!」

    ウサミ「ミナサンが『次に気が付いたら、もう元の場所』でちゅ!」

    ウサミ「ちちんぷいぷーい!」

    心地良い疲労感に包まれ、目を開けていられなくなる。

    身を任せ目を閉じようとする直前……













    「それは違いますよ。」




    そんな声が、聞こえた。
  295. 305 : : 2017/05/13(土) 15:03:34
    日向「……ここは……」

    そうだ、俺たちは帰って来て……

    ……ないんじゃないか?

    左右田「ど、どこだよここ!?」

    九頭龍「帰れるんじゃなかったのか!?」

    見回すといくつもの……被告人席?みたいなのが並んでいる。

    全員立ったまま眠っていたらしい……まだその体勢のやつもいる。

    少しずつ目覚めているようだ。

    辺古山「おい、なぜ席がこんなに多いんだ?」

    田中「知るか!俺様はウサミの空間支配が失敗したことを考えるので忙しい!」

    ソニア「ですが、18個も余っていますよ……?」

    言われてみれば、どう考えても多い。

    思い思いに慌てる俺たちが、全員目を覚ました頃……

    「起きましたね?」
  296. 306 : : 2017/05/13(土) 16:04:53
    日向「誰だ!?」

    「僕ですか?……僕はあなたです。」

    日向「いや違うだろ!?」

    狛枝「でも、顔そっくりだよ?」

    澪田「ホントだ!どこからどう見ても創ちゃんっす!」

    日向「俺はここにいるぞ!?」

    田中「まさか、想幻の模倣者(ドッペルゲンガー)かッ!?」

    ソニア「いけません!日向さん、早く目をつむって下さい!」

    「すみません、少しふざけました。ドッペルゲンガーではありません。」

    「僕の名前はカムクライズル、『超高校級の希望』です。」
  297. 307 : : 2017/05/13(土) 16:15:47
    狛枝「『超高校級の希望』!?神座出流だって!?」

    カムクラ「漢字ではなくカタカナで、『カムクライズル』です。」

    そう言ってカムクラは、自分の名前を空中に書いてこちらに飛ばした。

    ……え!空中!?

    終里「なんだこれ!おもしれーなー!」

    カムクラ「あ、遊び道具にしないでください。」

    ……触れるらしい。

    小泉「なんで文字が浮いてるの!?」

    カムクラ「その説明は後回しです。とりあえず、皆さんに真実を教えようと思います。」

    カムクラ「アルターエゴ、さっさと準備してください。」

    日向「……そんな奴いないぞ?」

    七海「分かったよぉ。」

    日向「!?」
  298. 308 : : 2017/05/13(土) 17:09:03
    七海の体が0と1の羅列に包まれ、小柄な少女のそれに変わる。

    左右田「ぎにゃああああああああああ!?」

    弐大「な、七海はどこに行ったんじゃあ!?」

    日向「おい!七海はどこだ!」

    カムクラ「言われなくてもお返ししますよ。お姫様抱っこの準備をしておいてください。」

    日向「は!?」

    カムクラ「どうぞ飛び降りてくださーい!」

    七海「ひーなーたーくーん!」

    日向「え!?どこから!?」

    七海「うーけーとーめーてー!」

    花村「そ、空から女の子がっ!?」

    カムクラ「ほら、準備準備。」

    日向「わ、分かった!」

    準備の甲斐あってか、難なく受け止めることができた。

    七海「日向くん、ナイスキャッチ!」

    日向「あんまり危ないことするなよ……」
  299. 309 : : 2017/05/13(土) 17:45:39
    カムクラ「さて……こちらも準備が終わったようです。」

    罪木「じゅ、準備って結局なんの準備なんですかぁ……?」

    カムクラ「言ったでしょう?真実を教えるんです。」

    西園寺「だからその真実ってのが分からないんだって!」

    豚足「説明不足でみんなを危険にさらす訳にはいかない……」

    豚足「みんなにもらった豚足の名にかけて、俺が導く!」

    カムクラ「そんなに警戒しないで。まぁ、多少悪いようにするかもしれませんが。」

    澪田「……なーんか不穏っすねー。」

    九頭龍「ケッ、誰がテメーなんざの言うことを聞くかよ!」

    カムクラ「拒否権はありません。それではどうぞ。」

    アルターエゴ「うん!」

    アルターエゴと呼ばれていた何かが返事をすると同時に、俺たちを謎の眩暈が襲った。

    日向「なんだ……これ……」

    今度は単なる苦しみの中、意識を失った。
  300. 310 : : 2017/05/14(日) 19:54:40
    日向「う、あぁ……」

    カムクラ「思い出しましたか?」

    西園寺「な……なにこれ……」

    小泉「アタシが……人を……絶望させて……」

    左右田「オ……オレは……こんなこと……」

    花村「お、おかあちゃん……助けて……」

    終里「な……なんで人が……」

    弐大「なぜじゃ!?なぜワシらは人を傷つけておるんじゃあ!?」

    豚足「カ、カムクラッ!説明しろッ!」

    カムクラ「いいですよ。」

    カムクラ「今の状況の鍵になる人物たちはアルターエゴが呼びに行っているので……」

    カムクラ「その間に真実その1、入学から卒業までを。」
  301. 311 : : 2017/05/14(日) 20:08:09
    カムクラ「まず、あなたたちは取り戻した記憶を他人のもののように感じていませんか?」

    罪木「み、みなさんもそうなんですかぁ……?」

    九頭龍「あぁ……だからなおさら信じられねー。」

    カムクラ「……なるほど。みなさんの反応を見る限り、全員がそうなようですね。」

    カムクラ「万が一失敗したら面倒なことになる所でした。」

    辺古山「……何が言いたい?」

    カムクラ「それで正しい、ということです。」

    カムクラ「この後話しますが、記憶が完全に自分のものになると困るんです。」

    カムクラ「……本当にあの女は……もう死ねばいいのに……」

    澪田「ん?何か言ったっすか?」

    カムクラ「いいえ。話を戻しますが……」
  302. 312 : : 2017/05/14(日) 20:22:44
    カムクラ「あぁそうだ、とりあえず無理矢理正気に戻しますね。話しづらいので。」

    すると、心に圧し掛かっていた重圧が一瞬で消え去った。

    田中「……また、マインドコントロールか?」

    カムクラ「まぁそんなものです。」

    カムクラ「ここからは、自分の記憶を確認しながら聞いて下さい。」

    カムクラ「さて、あなたがたは希望ヶ峰学園第77期生として晴れて入学しました。」

    カムクラ「そこではクラス揃って発情したり、狛枝さんが先輩を退学させたりしましたが……」

    カムクラ「まぁどうでもいいでしょう。」

    左右田「いやどうでもよくはねーだろ!狛枝結構とんでもねーことしてたぞ!?」

    カムクラ「その程度、この後起きたことに比べれば些事にすぎないということです。」
  303. 313 : : 2017/05/14(日) 20:37:29
    カムクラ「ただし、先程言った出来事には参加していない人がいます。」

    日向「俺……だろ?」

    カムクラ「はい。」

    カムクラ「日向さんは『予備学科』……ただの一般人が大金をはたいて入学しただけです。」

    狛枝「日向クンが……予備学科?」

    狛枝「……ふーん、なるほどね。大体読めたよ。」

    カムクラ「おや、分かっちゃいましたか。」

    カムクラ「言っちゃっていいですよ。合ってるので。」

    狛枝「あはは、『希望』には他人の考えなんてお見通しって訳だ……」

    狛枝「……されたんでしょ?改造。才能を手に入れるための。」
  304. 314 : : 2017/05/14(日) 21:02:40
    カムクラ「その通りです。理由は日向さんに自分から話してもらいましょう。」

    日向「……分かった。」

    日向「俺は予備学科だったんだが、そこの学費ってバカ高いんだ。」

    終里「金って面倒だよな!」

    日向「あぁ、そうそう払える額じゃない。家族にかなり無理させてたんだ。」

    日向「でも、実験台になれば学費免除って言われてな……ここまではまだ迷ってたんだ。」

    日向「実はその時七海と知り合ってて……」

    澪田「衝撃の事実!デキてたんすか!?」

    日向「デキてないデキてない!」

    七海「……むぅ。そんなに否定しなくても……」

    日向「俺は予備学科だったからさ、本科の七海に誇れなくって……って何むくれてるんだ?」

    七海「なんでもない……」

    日向「そうか?それならいいけど……」

    日向「七海と居ても恥ずかしくない自分になりたくて、手術を受けることにしたんだ。」

    西園寺「やっぱりデキてるじゃん!」

    日向「だからデキてないって!」
  305. 315 : : 2017/05/14(日) 21:25:16
    カムクラ「その結果が僕ですから、誇るという点では完全に失敗でしたね。」

    カムクラ「せっかく得た感情の全てを失って、ただの才能マシーンに成り果てたのですから。」

    田中「待て、貴様の自我は未だ浸食を受けていないように見えるが?」

    カムクラ「まぁ、僕がそうなるようにしましたから。自分で。」

    罪木「ま、待って下さぁい!手術の効果を自分で上書きしたんですかぁ!?」

    カムクラ「はい。」

    罪木「はいじゃないですよぉ!それ、とっても難しいことなんですからぁ!」

    カムクラ「僕には可能なんです。」

    豚足「それが希望ヶ峰の技術の結晶、『希望』というわけか……」

    カムクラ「そうです。」
  306. 316 : : 2017/05/20(土) 15:00:02
    カムクラ「騒動の原因となったのは、あなたたちの一つ下……」

    カムクラ「78期生として入学した、江ノ島盾子でした。」

    カムクラ「彼女は、僕の存在を公表することで予備学科の劣等感を利用したのです。」

    終里「オメーってそんなヤベーヤツだったのか?」

    カムクラ「はい。違法な人体実験の証拠であり、巻き上げた金の使い道ですから。」

    カムクラ「ともかく、それにより希望ヶ峰学園はほぼ崩壊します。」

    弐大「応、ワシらもその場にいたからのぅ。覚えておる。」

    カムクラ「一応公表から崩壊まで色々あったんですがね。大体覚えているでしょう?」

    花村「……えーっと、そもそもその江ノ島さんっていう人を僕はよく知らないんだけど……」

    カムクラ「おや、あなたなら調べていると思っていましたが。」

    花村「僕、『超高校級のギャル』ってことしか知らないよ?どうしてそんなことをしたの?」

    カムクラ「なるほど……そういえば、江ノ島は77期生のほとんどと面識がありませんでしたね。」
  307. 317 : : 2017/05/20(土) 15:14:40
    カムクラ「では狛枝さん、説明してあげてください。」

    狛枝「あれ、ボクが説明するの?……まぁいいけどさ。」

    小泉「ていうか、狛枝は知ってるの?そいつのこと。」

    狛枝「うん。会ったこともあるよ。もっとも調べ始めたのは……あの後だけど。」

    西園寺「会ってたなら防げたかもしれないじゃん!この変態希望厨!」

    狛枝「無茶言わないでよ……一人ならともかく、最強の護衛がついてたんだよ?」

    カムクラ「僕ですね。」

    狛枝「えっとね?江ノ島盾子っていうのは、『超高校級の絶望』なんだよ。」

    辺古山「……すまんが、全く分からん。」

    狛枝「絶望フェチだよ。あの頃のボクたちと一緒の。」

    九頭龍「うっ……マジかよ……」

    狛枝「しかもその3倍は重度だったね。」

    左右田「ド変態じゃねーか!」

    カムクラ「ド変態ですよ。ただの。分かったようなので話を進めますね?」
  308. 318 : : 2017/05/20(土) 15:53:59
    カムクラ「雪染ちさを洗脳し、あなた方を洗脳させました。」

    ソニア「まさか先生が洗脳するなんて……」

    カムクラ「仕方ないことです。彼女も洗脳されていたのですから、全てはあの変態が悪い。」

    カムクラ「そして絶望に堕ちたあなた方は、各地で破壊活動を行った……というわけです。」

    七海「……どう?大方記憶通りだと思うけど……」

    豚足「……うん。俺も特に違和感はないよ。ただ……」

    西園寺「結局なんでこんなとこにいるのか分かってないじゃん!」

    弐大「記憶も途切れておるし……どういうことじゃあ?」

    辺古山「真実を教えるのではなかったのか?」

    カムクラ「教えますがそれは僕の役目ではありません。」

    田中「一体何を……」

    カムクラ「アルターエゴ、準備はできましたか?」

    アルエゴ『うん!今からそっちに連れていくね!』

    天から声が聞こえた。

    今度は眩暈なんて起こらなかった。

    もっと唐突に、現実味無く……

    円形に並ぶ席の中心、大きく空いた空間が――――








    ――――裂けた。
  309. 319 : : 2017/05/20(土) 19:09:44
    俺たちが大口を開けて固まっていると、何やら声が聞こえてきた。

    カムクラ「みなさん、さっさと出てきてください。」

    「いや狭いよここ!」

    カムクラ「10人も一斉に入るからですよ。」

    「オレはどうすればいいんだ?てかどうなってるんだ?」

    カムクラ「詰まってます。後ろから押してください。」

    「チッ、仕方ない……おい、やるぞ!」

    「えっ、ちょっと待ってよ!絶対痛いって!」

    「緊張して一斉に飛び込んだ馬鹿共のことなど知るか!」

    「めり込んでるわね……壁に。」

    「……オレも協力するぜ。」

    「止めてあげてぇ!?裂け目広げればいいだけだからぁ!」

    カムクラ「……それ、何分かかりますか?」

    「……10分くらいかなぁ?」

    カムクラ「元はと言えば不安定な空間に飛び込んだのが悪いんです。やっちゃってください。」

    「よし!」

    「「「「「「「「「「あぁあああああああああああああ!」」」」」」」」」」
  310. 320 : : 2017/05/21(日) 20:04:57
    「まったく……荒っぽいですわ。」

    「痛いべ!特に壁にひっかかったところが痛いべ!」

    「おい兄弟、大丈夫か?」

    「ハッハッハ、僕はこの程度でへこたれる日本男児ではないぞ兄弟!」

    「ほ、本当に大丈夫なのぉ……?」

    「ぬぅ、うっかりしていた……」

    「あいたたた……頭打っちゃったよ……」

    「貴様ら……注意くらいちゃんと聞け!」

    「イッテー!肩!肩がヤバい!」

    「あぁ……帰ってぶー子に癒されたいですぞ……」

    「耐えるんです……耐えるんです私……」

    「……馬鹿ね。」

    「びゃ、白夜様にぃ……押されてぇ……」

    「ゲラゲラゲラゲラ!快☆感!萌えてきたー!」

    「ったく、何やってんだ?」

    「みんな……痛かったよね?」

    日向(……何だあれ。)
  311. 321 : : 2017/05/27(土) 17:28:13
    カムクラ「ほら、早く自己紹介してください。」

    「む?そうだな!」

    石丸「僕の名前は石丸清多夏!元《超高校級の風紀委員》だ!」

    大和田「オレは大和田紋土、元《超高校級の暴走族》だ。」

    桑田「オレの名前は桑田怜恩だ!元《超高校級の野球選手》だぜ!ヨロシクな!」

    山田「拙者は山田一二三、元《超高校級の同人作家》ですぞ。」

    葉隠「俺は葉隠康比呂!元《超高校級の占い師》だべ!」

    舞園「元《超高校級のアイドル》で現アイドルの舞園さやかです!」

    朝日奈「えっと、元《超高校級のスイマー》の朝日奈葵だよ!」

    腐川「あ、あたしは元《超高校級の文学少女》の腐川冬子よ……」

    ジェノ「そしてアタシがなんとあの!元《超高校級の殺人鬼》のジェノサイダー翔でーっす!」

    大神「我は大神さくら……元《超高校級の格闘家》だ。」

    セレス「わたくしはセレスティア・ルーデンベルク。元《超高校級のギャンブラー》ですわ。」

    不二咲「ぼ、ボクは元《超高校級のプログラマー》の、不二咲千尋だよぉ。」

    十神「元《超高校級の御曹司》にして十神財閥現当主、十神白夜だ。」

    霧切「……元《超高校級の探偵》、霧切響子よ。」

    灰慈「復興団体《レジスタンス》リーダーの塔和灰慈(とうわはいじ)だ。」

    苗木「ボクの名前は苗木誠。……一応、《超高校級の希望》ってことになってるよ。」

    カムクラ「彼らが、あなた方をここに連れ去った張本人です。」
  312. 322 : : 2017/05/27(土) 17:55:11
    ……何だこれ……何が起こったんだ?

    澪田「えーっと、聞きたいことはたくさんあるんすけど……とりあえず、双子っすか?」

    澪田の視線は腐川とジェノサイダー、アルターエゴと不二咲に注がれている。

    左右田「イヤ今聞くことかよそれ!?気になるけど!」

    腐川「あ、あたしたちが双子!?冗談じゃない!こんなのと一緒にされちゃたまんないわよ!」

    ジェノ「そーそー!アタシと根暗は双子なんかよりもっと深ーい関係なのよん!」

    不二咲「えっとぉ……ボクたちは双子とかじゃなくって……」

    アルエゴ「むしろ親子とか……『ご主人タマ』だし、主従関係かもねぇ。」

    終里「わっけわかんねーぞ!」

    カムクラ「これから説明してくれるのでちょっと黙っててください。」
  313. 323 : : 2017/05/28(日) 14:43:28
    苗木「みんなは、絶望として活動していたのは覚えてるんだよね?」

    日向「あぁ。」

    カムクラ「そこまでは思い出させました。」

    苗木「じゃあそれ以降の話をよく知ってるのは……灰慈さん。」

    灰慈「おう。……テメーらが活動を始めた後、78期生は即学園に引きこもった。」

    十神「人聞きの悪いことを言うな……!」

    灰慈「事実だろーが。」

    灰慈「だが、日本での活動はすぐさま鎮圧された。被害は大きかったがな。」

    花村「え!?鎮圧されてたの!?」

    灰慈「そこから思い出してねーのか。まぁいい、《未来機関》が活躍したんだ。」

    ソニア「ですが、そうたやすくあの騒動を鎮圧できるとも思えないのですが……」

    灰慈「被害は大きかったっつっただろ。それにもし、《生徒会長》二人がいなかったら……」

    豚足「……生徒会長?」

    灰慈「元《超高校級の生徒会長》、宗方京助と村雨早春。今は《未来機関》のトップだ。」

    灰慈「さらに言うと、施設は粉々だったが人的被害はゼロと言ってもいいくらいだったんだ」

    カムクラ「本当にすぐ終わりましたからね。」

    灰慈「どうにもできなくなった絶望共は、海外に侵攻した。」

    灰慈「そっちのが被害は甚大だった。なんせ、大量に死んだからな。」

    ソニア「そんな!」

    灰慈「ノヴォセリック王国は絶望側だぞ。」

    田中「なん……だと……!?」

    灰慈「だが同じく海外に進出した《未来機関》によって鎮圧、完全に騒動は収まったんだ。」

    九頭龍「……ってオイ!もう終わってるってのか!?」

    灰慈「ったく、そう言ったろ?それでも相当かかったんだから酷いもんだ。」
  314. 324 : : 2017/05/28(日) 16:19:58
    灰慈「ほら、テメーの番だろ。」

    苗木「はい。」

    苗木「学園の中でボクたちは江ノ島盾子に記憶を奪われて……なんて言うんだろう?」

    石丸「そうだな……兄弟!どう思う!?」

    大和田「閉じ込められて暮らしてたでいいんじゃねぇのか?」

    不二咲「そうだねぇ……大和田君の言うとおりだよぉ!」

    弐大「結局なにがあったんじゃあ?」

    苗木「えっと……うん。記憶を奪われて閉じ込められて、モノクマのスペアを作ってたよ。」

    十神「モノクマは……知っているな。」

    小泉「どうしてそうなるのかが全く分からないんだけど……」

    霧切「私たちにも分かっていないわ。知りたいなら江ノ島さんにでも聞いて頂戴。」

    苗木「話を戻すけど、全員無事に学園を出ることができたんだ。」

    桑田「……無事だったっけ?アレで?」

    セレス「無事でしたわ。間違いなく。」

    大神「桑田よ……口にするな。」

    苗木「あ、あはは……」

    舞園「その頃はちょうど騒動が収まってきたころでしたよね。」

    苗木「うん。ボクたちは《未来機関》に向かうべきだったんだけど、そうしなかったんだ。」

    苗木「塔和シティーに向かったんだ……必要なモノがそこにある気がして。」

    朝日奈「ホントに居るんだもんね!やっぱり苗木はすごいよ!」

    山田「まさか同じく閉じ込められているとは思いもしませんでしたぞ!」

    苗木「灰慈さんの《レジスタンス》や《希望の戦士》を名乗る五人組が仲間になっちゃって……」

    葉隠「ホント大所帯になったもんだべ!それ以外でも増えたしなぁ。」

    苗木「規模がすごいことになったから、ボクたちで組織を立ち上げることにしたんだ。」

    石丸「僕命名、《希望再生の会》だな!」

    葉隠「妙にうさんくさい感じになっちまったべ!」

    大和田「全開でうさんくさいヤツが言ってんじゃねぇ!」

    苗木「《未来機関》とも協力関係になって、ボクは……」

    霧切「元《超高校級の幸運》から《超高校級の希望》へ、正式に格上げされたわね。」

    苗木「……どうしてそうなったんだっけ。」

    十神「人徳だけであそこまでの組織を作り上げたお前の功績が評価されたんだ。」

    朝日奈「あと、相手のトップに《希望》がいるからとも言ってたと思う!」

    苗木「……そして絶望として活動していたみんなをようやく捕まえて、計画を始めたんだ。」
  315. 325 : : 2017/05/28(日) 17:00:00
    辺古山「……今、重大な事実を言わなかったか?」

    苗木「計画のことだよね?」

    不二咲「えっとぉ……計画っていうのは《新世界プログラム》にみんなを入れて……」

    澪田「唯吹、その言葉に聞き覚えがないんすけど……」

    不二咲「あっ、ごめんねぇ!」

    不二咲「《新世界プログラム》っていうのは、現実そっくりなプログラム世界なんだぁ。」

    苗木「そして……今キミたちがいるこの世界のことでもある。」

    その一言を聞いた瞬間、記憶の枷が外れる音が聞こえたような気がした。
  316. 326 : : 2017/05/28(日) 17:37:44
    日向「……完全に思い出した……!」

    七海「そっか。よかったね、日向くん。」

    狛枝「七海さん……キミは……」

    七海「うん。みんなが思い出した通り、私は偽物の七海千秋。」

    七海「本物は……もういない。」

    左右田「う、嘘だろ……」

    カムクラ「さて、《新世界プログラム》の中で記憶を失って50日、暮らしてもらいました。」

    カムクラ「あなた方は……まだ絶望ですか?」

    九頭龍「ちげーけどよ……」

    終里「こんなの……こんなのってないだろ!」

    カムクラ「ふーん……悲しいですか。」

    花村「当然だよ!」

    カムクラ「そうですか。でも、あなたは悲しくないでしょう?」

    カムクラ「……日向さん。」

    日向「あぁ、そうだな。」

    七海「お、日向くんは知ってましたか。」

    日向「カムクラの記憶、持ってるからな。」
  317. 327 : : 2017/06/21(水) 18:00:29
    高校生活始まってパソコンが暫くまともに使えません

    更新は暫くできないと思います
  318. 328 : : 2017/07/30(日) 20:30:55
    小泉「日向が……千秋ちゃんの死を悲しまない?」

    西園寺「日向おにぃの薄情!」

    日向「いや待ってくれ!」

    カムクラ「日向さんが悲しまないのは薄情だからではありませんよ。」

    カムクラ「まぁ、あなたたちがされたことやしたことのほとんどに関わるので僕から説明しましょう。」

    カムクラ「……では、まず僕の改造直後まで遡りましょう。」

    カムクラがそう言うと、舞台がベッド以外の物が無い独房未満のような部屋へ移った。

    人数の問題で広げたのか、異様にドアや屋根が高い。

    同じく高く大きくなったベッドに、黒髪長髪の巨人が鎮座している。

    弐大「無ッ……何も見えんぞぉ!」

    夜目が利くカムクラと日向、プログラムの形状を把握しているアルターエゴ以外には何も見えていないようだ。

    カムクラ「そうですね。……では、これで見えますか?」

    暗かった部屋が照らされ、コンクリートで固められたその姿が露わになった。
  319. 329 : : 2017/08/05(土) 15:19:00
    左右田「ぎにゃああああああああ!?」

    田中「黒き帳を纏いし巨人だと!?おのれ、その醜い姿を俺様の豪炎で灰燼に帰してくれるわ!」

    カムクラ「いくらビックリしたからって唐突に他人を燃やそうとしないでくれますか?」

    罪木「あ、あの……あれって、カムクラさんですか?」

    カムクラ「はい。ちょっと人数の都合で全ての物の辺を二倍にしたので、僕の身長も二倍になっています。」

    狛枝「《希望》には部屋の大きさを変えるくらい朝飯前なんだね!素晴らしいよ!」

    カムクラ「流石に現実では無理です。物理法則はそうそう無視できません。」

    花村「……んー、カムクラくん、君はこれで何を伝えたいんだい?」

    カムクラ「まぁ見て下さい。そろそろ行動するので。」

    すると巨大カムクラは、おもむろにベッドの脚を折りそれで壁を引っ掻き始めた。
  320. 330 : : 2017/09/24(日) 10:23:56
    左右田「なんだアレ……数式?」

    カムクラ「はい、ちょっとした研究です。」

    豚足「研究……一体何の?」

    カムクラ「《幸運》の才能についてです。」

    澪田「それって、つまり凪斗ちゃんのことっすか?」

    狛枝「ボク?いやだなぁ、《希望》が今更ボクのことを研究するわけないじゃないか。」

    カムクラ「はい、狛枝さんではありません。」

    狛枝「……うん。」

    日向(ちょっと期待してたな。)

    カムクラ「そもそもボクは、希望ヶ峰学園が誇る才能研究の結晶です。幸運の才能くらい、当然持っています。」

    辺古山「ならどうして改めて研究しているんだ?必要ないんじゃないのか。」

    カムクラ「希望ヶ峰学園では分析しきれなかった才能があるんですよ。……苗木さん。」

    苗木「えっ?どうしたの?」

    何やら話し合っていたらしい状況から顔を上げる。

    カムクラ「彼が現在の《希望》にして、《超高校級の絶望》の力をもってしても分析できない《幸運》の持ち主です。」
  321. 331 : : 2017/12/17(日) 23:47:40
    苗木「……そうなの?」

    カムクラ「そうです。苗木さんの《幸運》は狛枝さんの《幸運》と違い、何故か規則性が読みにくく彼女には分析できていませんでした」

    「そう!私様の分析力では読みきれなかったのj」

    女は消えた

    カムクラ「すみません、反応がおくr「センパイ酷くn」……遅れました」

    また現れたかと思ったら消えた

    十神「……カムクラ、そいつを使った方が早い」

    「へぇ、君はよくわかってr」

    カムクラ「駄目です」

    「……もういいんじゃないの?アタシ早く出たいんだけど」

    さっきから現れては消えを繰り返していた女に、どうやらカムクラが折れたようだ

    「それじゃあ改めて自己紹介といこうか……」

    江ノ島「アタシの名前は江ノ島盾子、元《超高校級のギャル》こと、《超高校級の絶望》よ」
  322. 332 : : 2018/01/27(土) 01:01:18
    俺達は黙りこむ。別にこの状況で女……江ノ島盾子の胸の開いた服に緊張したとかそういうことじゃない。

    「おいどブス、お前はコイツらにとっての仇だろうが。そんなことも分からない粗末なオツムで《絶望》なんか名乗るからお前はどブスなんだよこのどブス」

    また変な奴が出てきた。

    癖の強い髪ーー今この場にはそんなやついくらでもいるがーーに怜悧さの滲み出る瞳、ガサツさの溢れ出る服装が特徴の男だ。

    「俺は松田夜助、元《超高校級の神経学者》だ。その思わずメスを刺したくなるどブスにはいつでも刺していいぞ、いくつ刺したら首が飛ぶか競争するか?」

    江ノ島「松田きゅんったらツンデr「ごめんなさい、遅くなった」……お姉ちゃんマジ臭い」

    「えぇ!? バーチャルだって言ってたのに……あ、私は戦刃むくろ、元《超高校級の軍人》です。……お風呂入ってから来たのにな……」

    そばかすの目立つ地味な女だ。どうやら姉妹のようだが……名前も違うのだから、体格なんてそうそう似ないだろう。

    左右田「お、おい……別に漫才しに来たワケじゃねーだろお前ら!」

    カムクラ「ですね。では説明を再開しましょう」
  323. 333 : : 2018/01/28(日) 01:35:21
    カムクラ「では……少し時間を進めますね」

    すると、監禁部屋に女が現れた。見覚えのあるその姿は、まさしくそこにいる江ノ島に違いない。

    江ノ島「私様はカムクラを自陣に取り込むために部屋に忍び込んだのじゃ!」

    江ノ島「ですが、その時既に……カムクラさんは……」

    カムクラ「生きてます。《希望》を分析し終えていました」

    江ノ島「まんまと火の中に飛び込んじまったってワケだなぁ!」

    松田「巻き込まれるのは誰だと思ってるんだ」

    戦刃「え、えっと……盾子ちゃんのためなら、巻き込まれても大丈夫だから……」

    江ノ島「お姉ちゃんうっさい。くっさい」

    戦刃「そんなっ!?」

    カムクラ「そして僕は、《希望》を手に入れるべく行動します」
  324. 334 : : 2018/01/31(水) 00:23:27
    カムクラ「まあ、このまま江ノ島を突き飛ばして扉閉めてその隙に自力で手術しただけです」

    罪木「だけじゃないんですってぇ!」

    江ノ島「あれはちょっと計画がおじゃんになりそうで……絶望しました……」

    カムクラ「そして、僕は《希望》の獲得の副次効果により、あるものを手に入れました」

    辺古山「あるもの、とは……?」

    カムクラ「感情です」

    カムクラ「この場合、目覚めたと言うべきでしょうか。改造前の僕が持っていた感情が目覚めたのです」

    江ノ島「なんでそんなことになっちゃうかなー……おかげさまで大した絶望もできなかったっていうのに」

    カムクラ「苗木さんの《幸運》、《希望》が所有者の精神に大きく左右される才能だという結果が出たため、僕が《希望》を十全に扱うには感情が必要だと体が判断し、適合したのだと考えています」
  325. 335 : : 2018/02/11(日) 02:25:36
    カムクラ「そして僕は何事も無かったような顔で江ノ島のもとへ戻ります。そして江ノ島の計画について聞いたのですが……」

    小泉「ですが、何よ」

    カムクラ「あまりにも気持ち悪かったので全力で潰したくなりました」

    江ノ島「センパイ酷くなーい?」

    江ノ島「私様の華麗なる計画が気持ち悪いとは!」

    江ノ島「当然のことに何をいまさら」

    江ノ島「アタシになってから出直してこいやぁ!」

    江ノ島「嫌ですか……そうですよね……」

    戦刃「え、えっと……そんなことn「心底嫌ですね」」

    カムクラ「しかしいくら潰したくても潰せば苗木さんの才能が成長しません。そのため、あえて騒動自体は起こるように調節したのです」

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Hirameki

御怒島 野的

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