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仮面ライダーぼっち9

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  1. 1 : : 2013/12/14(土) 20:55:18
    仮面ライダーぼっち9話です。
    八幡のトラウマ、かおりを撃退した奉仕部。
    そんな彼らはどんな運命をたどるのか……。


  2. 2 : : 2013/12/14(土) 21:39:59
    「おいーっす。」
    「ヒッキー、やっはろー。」
    「あら、今日も来たのね。」
    「んだよ。文句あんのかよ。」
    「よくわかったわね、その通りよ。」
    あの日以来、俺の奉仕部へ向かう足取りは軽い。
    俺が忌み嫌っていた青春なのかもしれないが、俺達は自分の気持ちを偽ったりしていないのでセーフだろう。由比ケ浜は人の顔色をうかがうところはあるが、本当に大切なことは言う奴のようだ。
    居心地がいい。まさか学校でそんなふうに思える場所ができるなんてな。
    キイイイイィィィン!
    「モンスターか。」
    「行きましょう。」
    「がんばろう!」
    モンスターが現れると、三人で討伐へ向かう。
    学校にいる時はそのスタイルが確立しているので、随分楽に撃破できる。
    しかし倒したモンスターのエネルギー配分、俺だけちょっと少ない気がすんだけど……。
    基本的に雪ノ下はエネルギーに貪欲だ。あと、その雪ノ下がやたらと由比ケ浜に甘い。
    結果的に俺の取り分が減っている。
    いや、別にそれはまぁいいんだよ。ただ、ドラグレッダーがさぁ。あいつちょっとえさやらないと俺を食おうとしてくるんだよ。信頼関係も何もあったもんじゃない。
    何とかならんのかなあのアホ龍は。
    まぁ、今日は俺が貰おう。
    「「「変身っっ!!」」」
    敵は、ヤギ型のモンスターだ。
    「Trick Vent」
    「Coppy Vent」
    これが一番の王道パターンだ。雪ノ下が分身してそれを由比ケ浜がコピーする。この技は、最大で8体まで分身できるので、計16人での袋叩きが可能になるのだ。
    それを、
    「Strike Vent」
    「Advent」
    俺が、ドラグレッダーと俺自身の一人と一体で火炎放射攻撃を行い、追撃をかける。
    だいたいのモンスターはこれで倒せる。
    生き残った場合は、俺達三人の誰かがファイナルベントを使ってとどめをさす。
    エネルギー配分は前述のとおりだ。
    「グギャァァァッッッ!」
    今回は、これで倒せたようだ。
    「ふう、他愛もないわね。」
    「えへへ、三人なら負けなしだね!」
    そう言って由比ケ浜が雪ノ下に抱きつく。
    あれ?僕は?俺も戦ったよ!とどめ刺したよ!?
    まぁ、抱きつかれても困るけどよ。困るけどいやじゃない。むしろ推奨。
    「あのさー、今日は俺がエネルギーもらってもいいか?ドラグレッダーが荒れてる。」
    「仕方ないわね。ペットは飼い主に似るというし。あの龍も比企谷君ににて欲求不満なんでしょう。」
    おい、あのモンスターをペットと言うのか?あと俺は別に欲求不満じゃねぇ。性欲をもてあましたりなんてしてない。ほんとだよ?
    「お前なぁ……。好き放題言いやがって。犯すぞ!」
    「あら?強姦予告?最低ね。」
    「ヒッキーまじきもい!」
    「最初に言ってきたのはそっちだろうが……。まぁ、とにかくすまんがこれはもらうぞ。」
    「ガァァァッァァァッ!」
    ドラグレッダーがエネルギーを吸収する。
    「んじゃ、そろそろ戻るか。」
    「そうね、さっきの発言に対しての罰は戻ってから行いましょう。」
    「それはもう忘れろよ……。」
    「ヒッキーマジでキモイから!」
    「うるせえ。お前も犯すぞ。」
    「え!?ええー!?べ、別に嫌じゃないけど最初はちゃんとした場所でっていうかなんて言うか……。」
    「いや、冗談に決まってんだろ。お前そんなこともわかんねぇのかよ。」
    「むっ!そのくらいわかってるし!馬鹿にしすぎだからぁ!」
    そんなくだらない話をしていた、その時である。
    「ドガァァン!」
    俺達三人の中心で、巨大な爆発が起きた。
    「グアアアアァァァアッッ!」
    「ウワアアアアアッッ!」
    「きゃぁぁぁっっ!」
    俺達はその場に転がる。
    ドガァン!ドガァァァン!
    連続で爆撃が怒る。
    なんだ!?
    「どこから攻撃してる!?」
    「とりあえず防具を!」
    「「Guard Vent」」
    「Coppy Vent」
    雪ノ下には契約モンスターダークウイングが変身してマントとなって装着される。俺は龍の足を模した盾ドラグシールドを出現させ、由比ケ浜は俺の盾をコピーした。
    とりあえずの防御体制である。
    爆撃は止まない。
    「あそこよ!」
    雪ノ下の指し示す方、少し高くなった建物の上に、ライダーが大砲を持ってこちらに向けていた。
  3. 3 : : 2013/12/14(土) 21:40:06
    緑色の、ごつごつしたシルエットのライダー。
    ドゴォン!ドゴォン!ドゴォォン!
    「とりあえず、接近するぞ!こっちにはあんまり遠距離武器がない。」
    「わかったわ。」
    「うん!」
    三方向に分かれて敵に接近する。
    それにしても、三人いるところに攻撃を仕掛けてくるとは。なかなかの自信家のようだ。
    「Nasky Vent」
    移動の際に、雪ノ下が超音波攻撃を仕掛ける。
    その攻撃に、敵の攻撃の手が止まる。
    「今のうちよ!」
    どんどん彼我の距離を詰めていく。
    「Shoot Vent」
    敵の方に、新たな武器が装着される。キャノン砲だ。
    キャノン砲と大砲。2つの高火力武器で攻撃を仕掛けてくる。
    ドゴォォォ!ガァァァン!
    その攻撃は苛烈を極めた。
    俺たち全員基本的に近距離戦タイプのライダーなので、少々分が悪い。
    「調子に、乗るなッ!」
    雪ノ下が斬りかかる。
    「ハァッッ!」
    敵はその腹部に向けて、大砲を放った。
    「クッッ!」
    勢いよく吹き飛ばされる。
    かなり高威力の技のようだ。
    「ゆきのん!」
    「ライア!名前を呼ぶな!」
    敵に正体がばれてしまう。本名呼びはどう考えてもこのライダーバトルではタブーなのだ。
    「オラァッ!」
    横に回り、ドラグセイバーで斬りかかる。
    俺の攻撃が、敵の右手をかすめた。
    その衝撃で、敵は大砲を手放す。
    「やぁぁぁっっ!」
    「Swing Vent」
    由比ケ浜固有の鞭の武器、エヴィルウィップで追撃を仕掛ける。
    「ガァァッッ!」
  4. 4 : : 2013/12/15(日) 12:16:41
    「チィッッ!」
    大砲を手放した敵は、キャノン砲で迎撃を試みる。
    俺も由比ケ浜もすんでのところでそれをかわす。
    ドゴォォッッ!
    敵は地面に向けて思い切りキャノン砲を放つ。
    煙幕がたちこめ、視界が一瞬で悪くなる。
    「くそっ!どこに行った!」
    「もう!これじゃ見えない!」
    「龍騎!ライア!遠距離攻撃に警戒して!」
    「了解!」
    「わかった!」
    少しすると、煙幕が晴れた。
    少し離れたところに、さっきのライダーが。
    「これで終わりね。」
    「Final Vent」
    敵ライダーの前に、緑色の牛型の巨人が出現する。
    敵の契約モンスターだ。
    敵は、右手に持っていた銃を巨人に接続する。
    「来る……。」
    どんな技か細かいことはわからないが、今までのあいつの傾向を見るに、大火力遠距離技だろう。
    「はい、おしまい。」
    キュゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!
    巨人の腹部にエネルギーが集まっていく。
    「敵射線上から離れなさい!」
    雪ノ下の警告は、しかしもう遅かった。
    ドガァァァァァッッッ!!
    それは、あまりに強力な技だった。
    何本もの極太のビーム、無数のミサイル、爆弾、大砲攻撃……。ありとあらゆる遠距離攻撃。
    それが一斉に、俺達を襲う。
    無限とも思える爆発。
    「うおあああああっっ!」
    「わぁぁああああぁあっっ!」
    「きゃぁあぁぁぁぁっっ!!」
    とても防げるようなものではない。
    「あれ?もう終わり?」
    敵がつまらなさそうにこちらに寄ってくる。
    「Advent」
    最後の力で、契約モンスターを呼び出すカードをスキャンする。
    「Advent」
    「Advent」
    同様に、雪ノ下も由比ケ浜も契約モンスターを呼び出す。
    三体のモンスターが敵ライダーを襲う。
    「今の、うちだ……。」
    俺達三人は肩を組んで元来た道をたどる。
    こんな状況でなければ胸躍るシチュエーションだが、全員死にかけである。
    まったく楽しくはない。
    「ハァ、ハァ、ハァ……。」
    命からがら、もとの世界へと生還した。
    「ヒッキー、ゆきのん、大……丈夫?」
    「そういうあなたこそ、大丈夫なの?由比ケ浜さん。」
    「え、へへ。うん、なんとかね。」
    「嘘つけ。お前肩で息してんじゃねぇか。」
    「あはは……。あの技、すごかったね。」
    「遠距離戦が私たちにはできない。それを差し引いても、三体一でも押されるなんて……。」
    「あのライダー……。なんとかしないといけないな。」
    「そうだね。戦いを、止めないと。」
    「ハァ……。殺されかけてもそんなことが言えるなんてね。」
    「うん!初志完結ってやつだよ!」
    「それを言うなら初志貫徹な。ま、お前はそれでいいんじゃねぇの。」






  5. 5 : : 2013/12/19(木) 10:22:09
    「ま、あなたたちがどんなスタイルでもかまわないけれど、早急に駆除しないと……。」
    駆除って。さっすが雪ノ下さん!ぶち殺す気満々だ!
    「おーい、やってるかねー。」
    ノックもなしに入ってきたのは平塚先生だ。
    「どうした君たち、三人で息を荒げて。……はっ!まさか3Pか!?」
    「「3P?」」
    「おいお前ちょっと黙ってろよ。」
    思わず口調が荒くなってしまった。二人が意味を知らなかったからよかったものの……。
    「まぁそうかっかするな。なにがあったんだね?」
    しかしその質問に答えるわけにはいかない。
    鏡の世界で殺し合いをしていました、なんて言ったら間違いなく精神科を勧められる。
    いや、案外この人なら興味しんしんで聴くのかもしれないな。
    「別に、大したことではありません。先生には関係のないことです。」
    「私は顧問なのだが……。おいっ!私だけ仲間はずれにするなよぉっ!」
    ちょっと涙目だった。何なんだこの人……。豆腐メンタルかよ。
    思わず話してしまいそうになるが、事が事だからな。
    「あ、あー。あたし、今日ちょっと用事があるんだったぁ。ば、ばいばーい。」
    「由比ケ浜さん、私も途中まで一緒に行くわ。」
    「うん!一緒に帰ろう!」
    ヒシッ、と由比ケ浜がいつものように雪ノ下に抱きつく。
    ふたりはナチュラルに教室を去ろうとする。冗談じゃない!
    俺だけ残されてたまるか!
    「お、おれも病院いかないと。」
    「比企谷、今日は木曜日だぞ?」
    木曜の午後はほとんどの病院は休診だ。
    「知り合いの医者が特別に見てくれるんです。失礼しまーす。」
    逃げるようにして教室を出る。
    「ううう!もっと私にかまえよー!」
    面倒臭い教師だなぁもう。誰かもらってあげて!
  6. 6 : : 2013/12/19(木) 11:02:22
    さて、平塚先生の魔の手から逃れた翌日のことである。
    今日は来ないだろうな、と少し警戒しながら部室へと向かう。
    すると、雪ノ下と由比ケ浜が教室の扉から中の様子をうかがっていた。
    「どうした?おまえら?」
    「ひゃぁっ!」
    「きゃぁっ!」
    「……比企谷君。いきなり声をかけないでくれるかしら。」
    「はいはい、で、どうしたんだよ。」
    「中に不審人物がいるの。」
    「不審人物はお前らの方だろ。」
    「いいから、そういうのいいから。」
    雪ノ下は俺の背中をぐいぐいと押す。
    この野郎面倒な役割を押しつけやがったな!
    ていうかだいたいのことはモンスターがいるから大丈夫だろう。
    自分で行けよ。
    そう思いつつも仕方なく扉をあける。
    その瞬間、フワサッ、と、白い紙が風に舞って部室中に散らばる。
    「ククク、まさかここで会うとは驚いたな。待ちわびたぞっ!比企谷八幡っ!!」
    な、何だと!?驚いたのに待ちわびた!?こっちが驚くわ。
    そこにいたのは・……。知らない、こんなやつは知らない。材木座義輝なんて俺は知らないぞ!
    もうすぐ初夏だというにもかかわらず汗かきながらコートを羽織って指抜きグローブなんてはめてるやつなんて俺の知り合いなわけがない。そんな奴は知ってても知らない。
    「比企谷君。彼はあなたのことを知っているようだけど?」
    雪ノ下がけげんな表情で材木座を見ながら言う。
    「いや、こんなやつしらねぇよ。」
    「まさかこの相棒の名を忘れるとはな……、見下げ果てたぞっ!比企谷八幡っ!」
    フルネームを連呼すんなよ暑苦しいなぁ。
    「相棒って言ってるよ?」
    由比ケ浜が嫌悪の感情を隠さずに言う。
    「クズはしね。」と、その目が語っている。
    「そうだぞ相棒。あの地獄のような時を共に過ごしたではないま。」
    「体育でペア組んだだけだろ……。」
    「まったく、あのようなもの、悪習以外の何物ではないわ。我はいつ果てるともわからぬ身、好ましく思うものなど作らぬっ!あれが愛なら、愛などいらぬっ!」
    「はぁ……。それはわかったけど、いや、わからないけど分かったことにしてやるけど。それで、お前が何の用だよ。」
    「む、我に刻まれし名を読んだか、いかにも、我は剣豪将軍材木座義輝だぁぁっ!」
    なんでこいつはいちいち大声を上げるんだよ……。
    「なんでもいいけれど、あなた何か用があるのではないの?」
    「ムハハハハハハ、すっかり失念しておったわ。時に八幡、奉仕部とはここでよいのか?」
    「ああ。」
    「そうであったか。ならば八幡よ、きさまには我の願いをかなえる義務があるな。時を超えてもまだ主従の関係にあるとは……。これも、八幡大菩薩の導きか。」
    「別に、奉仕部はあなたの願いをかなえるわけではないわ。ただお手伝いをするだけよ。」
    「ふむ、そうであったか。いやぁこれは失敬失敬!」
    「比企谷君、ちょっといいかしら。」
    「ん、どうした。」
    「ねぇ、あの剣豪将軍って何?」
    なるほどな、雪ノ下はこういうのを知らないのか。
    「ああ、あれはな、厨ニ病っていうんだ。」
    「ちゅーにびょう?」
    由比ケ浜が首をかしげる。
    「病気なのかしら?」
    「別に本当の病気ってわけじゃない。」
    厨ニ病。アニメやラノベのキャラにあこがれて、さも自分にもそのような能力があるようにふるまうこと。
    基本的に、発病中よりも治ってから苦しむことが多い。
    ざっくりと二人に説明する。
    「つまり、自分で作った役になりきって演技をするということね。」
    なんかそういうふうに聞くとちょっとカッコいいな。
    さすがはユキぺディアさん。
    一を聞いて十を知るとはこのことか。
    「うー?」
    そして、十聞こうが百聞こうが一も理解しない女、由比ケ浜結衣。
    「あ、ヒッキー今私のこと馬鹿にしたでしょ!」
    「馬鹿になんてしていないと思うわ。ただ、由比ケ浜さんの理解力は著しく劣っていると思ったのではないかしら。」
    「それだめじゃん!もう!二人とも!馬鹿にしすぎだからぁ!」
    「…材木座君、だったわね。」
    「ふむ、いかにも。」
    「あなたの依頼は、その心の病を治すということでいいのね?」
    「…八幡よ。我は崇高な依頼を持ってここに来た。そのようなことではない。」
    なんで俺に言うんだよ、雪ノ下に直接言えばいいだろ。いや、なんとなくわかるけどさ。




  7. 7 : : 2013/12/19(木) 11:09:42
    「話しているのは私よ?話す方の人を見て話は聞く。小学校で習わなかったのかしら?」
    「モハハハハ、これはしたり。」
    「あと、その喋り方もやめて。」
    「クク、それはできぬ相談だなぁ。雪ノ下嬢。我の生き方を変えることなど、もう誰にも出来ぬわ!そう、今となっては我でさえもな。」
    こいつなかなかやるな。雪ノ下相手に引けを取っていない。
    「……仕方ないわね、それは百歩譲って許してあげましょう。それで、なんでこの時期にコートを着ているの?」
    「ふむ。このコートは、障気から身を守るための外装だ。もともと我の体の一部だったが、この世に転生する際にこのような形になった。」
    「じゃぁ、その指抜きグローブは?意味あるの?指先防御できていないじゃない。」
    「これは我が前世より受け継ぎし十二の神器の一つ。プラチナムシューターが射出される特殊装甲で、操作性を保つために指先の部分は開いているのだ。モハハハハハハッッ!」
    「……そう。やはり、あなたの病気は治した方がいいと思うのだけど。」
    「そしてこれがっ!我が最強の武器だっ!」
    そう言って材木座はコートからバックルを取り出した。
    「「「!!!?」」」
    「フフ、これから発せられるオーラに恐れを抱いているようだな。それも仕方ないことよの。見ておれい貴様ら!
    変身っ!!」

  8. 8 : : 2013/12/19(木) 11:55:35
    そうして材木座は灰色の屈強な姿のライダーになった。
    頭部には赤い角が付いている。体の色とつのから推測するに、おそらくサイのモンスターと契約したのだろう。
    「モハッ!モハハハハはっ!これこそが我の真の姿!仮面ライダー、ガイだっっ!!」
    「「「……」」」
    「驚きのあまり声も出ぬか。これで分かったようだな、我は真の戦士であると。」
    ああ、驚いたぜ、材木座。
    その時、キィィィィッ、とモンスター襲来時独特の音が鳴る。
    「見ておれ八幡よ。我の雄姿をっっ!」
    そう言い残し、材木座は鏡の世界に入って行った。
    「とりあえず、俺らも行くか。」
    「ええ。」
    「うん。」
    「「「変身!」」」
    襲来者は、熊のモンスターだった。そのモンスターは、走って材木座に接近し、そのまま攻撃を繰り出す。
    「っ、あのバカ!なんでよけないんだ!」
    材木座は回避行動を取ろうとしない。
    「厨ニ、何考えてんの!?」
    厨ニというのは材木座のあだ名なのだろうか。ちょっとひどすぎる。
    さて、その厨ニこと材木座は……、がしっ!と、敵の振り下ろしてきた腕を掴んで攻撃を止めた。
    「モハハハハハッッ!」
    そして身動きが取れない敵に、とがった角がついた頭で頭突きを繰り出す。
    「グルァァッ!」
    「ゴラムゴラム、一気に終わらせるでおじゃる。」
    「Strike Vent」
    材木座の右手に装着されたのは、サイの頭を模した打撃武器だ。
    ガァン!ガァン!ガァァン!
    一撃の威力が相当大きいのだろう。敵は見る見るうちに弱っていく。
    「これで終わりだ……。」
    「Final Vent」
    必殺のカードをスキャンすると、壁を突き破ってサイのモンスターが現れる。
    サイの頭に足の裏をつけるようにして、材木座とモンスターが合体する。
    そしてそのまま、すごい勢いでサイが突進を繰り出す。
    「材木座クラッシャァァァーっ!」
    とがった頭の角を敵に向けた態勢で、材木座が敵に激突する。
    ドガァァアアッ、と、大きな爆発を立てて敵が爆発四散する。
    「ダークウイング!」
    材木座と契約した際のモンスターがエネルギーを吸収しようとするのを、雪ノ下の契約モンスターダークウイングが奪う。
    ええええええええ……。それはさすがにないですよ雪ノ下さぁん。
    「ム、ムムムムムムムッッ!なんだお主はぁ!それは我の物だったのだぞ!」
    激興した材木座が雪ノ下に襲いかかる。雪ノ下も材木座の方に向かって走っていく。俺と由比ケ浜はとっさのことに判断できず、動けなかった。
    「Sword Vent」
    槍と材木座の武器が激しく衝突する。
    「む、我のメタルホーンを受け止めるとは……。」
    どうやらこの武器はメタルホーンと言うらしい。
    「セアアッッ!」
    パワーは材木座が上でも、スピードでは雪ノ下が勝る。一瞬でその身を引き、そして即座に槍を突き出す。
    「やばっ!」
    材木座が素に戻る。
    「Confine Vent」
    そのカードがスキャンされると、雪ノ下の槍が消滅した。
    「な、なんなの!!?」
    ガキィ!ガキィ!ガキィィ!
    武器をなくして動揺していた雪ノ下に、材木座は容赦なく重い攻撃を見舞う。
    「くぅぅっっ!」
    雪ノ下は体勢を崩す。
    「ま、まだよ。」
    「Final Vent」
    おい雪ノ下、お前!
    契約モンスターダークウイングが飛来する。
    雪ノ下の身をダークウイングが包んだその瞬間。
    「Final Ventは、撃たせぬっっ!」
    「Confine Vent」
    再び使われた打ち消しのカードにより、ダークウイングが消滅する。
    「なっっ!?」
    ダークウイングの力で宙に浮いていた雪ノ下の体が落下する。
    再び無防備になった雪ノ下に対し材木座は、
    「これで終わりだ!盗人め!」
    「Final Vent」
    容赦なく、いや、彼にとっては当然なのだろうが、(自分が倒したモンスターのエネルギーを奪われ、自分を攻撃してきた敵なのだから。)もちろん俺はそれを見過ごすわけにはいかない。
    「やめろぉぉぉっ!」
    「Guard Vent」
    楯を両手に持ち、雪ノ下と材木座の間に割り込む。
    あの超威力の突進を受け止められるかは分からない。だが、やらないわけにはいかなかった。
    「材木座、クラッシャー!」
    ガキィィン!楯は割れ、材木座の体は吹っ飛んだ。
    「ハァ、ハァ、ハァ……。何とか、セーフか。」
    「なんなんだ貴様らはぁ!人の物を横取りしたと思ったら、次は二体一か!卑怯者どもめ!」
    メタルホーン片手に、今度は俺に襲いかかってくる。
  9. 9 : : 2013/12/19(木) 12:10:45
    「落ち着け!馬鹿ぁ!」
    「Advent」
    由比ケ浜が召喚したエイのモンスターエビルダイバーにより、材木座の体は再び大きく吹き飛ばされる。
    「げ、げほげほげほっっ!さ、三体一じゃとぉ!すみません僕が悪かったです許してください!」
    材木座が驚くべき速度で土下座する。いや、それやられたからって見逃さないだろ普通。
    「落ち着け材木座、俺だ。比企谷八幡だ。」
    ちなみに相手が俺の声だけを聞いてもわからないのは、ライダーの仮面によって随分声質が変わってしまうからだ。
    「八幡!?」
    「そうだ、俺達は奉仕部の三人だよ。だから争う必要なんてないんだ。」
    「むぅ……、しかしそちらの御仁は我のエネルギーを強奪したぞ!?」
    「さっさと取らない貴方が悪いのよ。」
    「いや、それに関しては完全にこちらが悪いんだけどよ、何とか穏便にさ。」
    「む、仕方あるまい。以後気をつけてくれよ?」
    「ああ、説得はしてみるよ。」
    たぶん無理だけど。
    「ゆきのん大丈夫!?」
    由比ケ浜が雪ノ下に駆け寄る。
    「え、ええ。」
    「ちょっと宙に!女の子になんてことするのよ!」
    「え!ええええええ!?先に襲ってきたのはそちらではないか!」
    正論である。あの材木座が正論である。
    「うるさい!もう!反省してよね!」
    理不尽すぎる。材木座、ドンマイ。
    「Final Vent」
    俺の聞き間違いだろうか、どこからかそんな音が聞こえた。
    周囲を見渡すと……
    「おい!緑のがいるぞ!」
    離れた高台に、いつの間にか昨日戦った遠距離戦ライダーがいた。
    その前には、牛型の巨人が。
    「あの必殺技が来るぞ!」
    「…もう遅いんだよ。じゃぁね。」
    ビーム、ミサイル、マシンガン、キャノン、大砲……。
    全身武器でできたその体からありとあらゆる武器が射出される。
    もう回避は無理だ!あの技は射程範囲が広すぎる!
    しかし俺の盾は先ほど破壊された。
    「おい材木座!あの消す奴は!?」
    彼が使っていた「Confine Vent」とかならなんとかなるんじゃないか?
    雪ノ下のファイナルベントも消してたし。
    「あ、あれは二枚しかない!」
    「つっかえねぇ!」
    「Guard Vent」
    「Coppy Vent」
    雪ノ下が黒のマントを装備する。防御効果があるらしい。それを由比ケ浜も複製して装備する。
    「ヒッキー私の後ろに隠れて!」
    「すまん!」
    「材木座君!」
    「あ、ありがとう!」
    雪ノ下に手を引っ張られる材木座。何だ、やっぱり優しいじゃないか、あいつ。
    「ほら!こっちよ!」
    雪ノ下は、材木座を自分の前に引っ張った。
    「プギャ!?」
    ゆ、雪ノ下……。材木座を楯に使いやがった。
    と、そこで攻撃が俺達に到達した。
    「「「「ウワァァァァァァァァ!!!」」」」

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kusutti

くすっち天頂

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