変わった時代のその中で
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- 1 : 2016/10/03(月) 19:08:25 :
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初めましての方は初めまして!(*゚▽゚)
覚えておられる方はいないと思うのですが、しばらくの間だけ帰って参りました。
約二年前、続きを待っていてくれた方がいたにも関わらず、報告もなく急に活動停止してしまい申し訳ありませんでした。
今更謝ったところで…という感じかもしれないのですが、区切りをつけてから続きを書いていきたいと思い、この場を借りて謝らせていただきました。
今日からは、終わっていなかったこのシリーズを終わらせるために再び頑張りますので、よろしくお願いしますm(_ _)m
注意
・常に暇人という名前ですが、常に暇だったのは二年前の話で、実際全然暇じゃないのでゆっくり執筆していきます。
・前の話と繋がるようになっていますが、少し書き方を変えました。
・文章力はないに等しいです。頑張ります。
・誤字脱字には気を付けますが、もしあった場合はそっと目を閉じてください。
・コメントは作品が書き終わってから投稿できるようにする予定です。
・最後に、このお話は原作に沿ったお話ではありません。
長々とすみませんでした。
本文はゆっくり書いていくのでお待ちください( ˆ ˆ )/
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- 2 : 2016/10/03(月) 19:18:36 :
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底まで透き通った夏の海に
夕日がゆらゆらと揺れている。
白い砂浜は貝殻を探し回った三人の足跡でいっぱいになっていて、長い間必死になって探していたのがよくわかる。
病院を飛び出して来た三人は、もうすぐ日が暮れるからと帰路をたどっていた。
アルミン「あ、エレン!」
エレン「なんだ?」
アルミン「エレンにはお礼を言わないとねって、さっきミカサと話してたんだ」
ミカサ「えぇ」コクッ
エレン「?…何だよ急にお礼とか、そんな感謝の言葉を言われるようなことをしたか?」
アルミン「言える時に言っとかなくちゃ、急にどこかに行っちゃいそうで怖いんだよ」
エレン「なっ何だよ!俺は急にどこかに行ったりしないし、行くとしても二人には必ず言う!」
ミカサ「…約束ね?」
エレン「お、おう。約束だ」
アルミン「じゃあ、久しぶりに指切りげんまんでもしようか!」
エレン「何だってそんなこと…」
アルミン「いいからいいから!」
半ば強制的に指切りをさせられたエレンだが、笑顔が消える事はなかった。
その笑顔にミカサとアルミンもつられて笑う。
三人の笑い声が一番星の瞬く空にまた響く。
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- 3 : 2016/10/03(月) 23:41:47 :
三人で病院に帰った後、院長や看護師にこっぴどく怒られたが、無事に帰ってこれたからとお咎めなしということになった。
アルミン「ふう…久しぶりに怒られたね…」
病室へ向かう廊下で、アルミンが苦笑いを浮かべながら口を開いた。
ミカサ「でも、楽しかった」
ミカサ「だから、いい…でしょ?」
エレン「もちろん!楽しい思い出がまた増えたな」
アルミン「あはは、本当に二人はこりないね」
病室へ向かうほんの少しの間でも会話が弾む。
しかし、この時間ももう終わる。
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- 4 : 2016/10/03(月) 23:45:01 :
エレン「じゃあ、部屋に着いたし。ここまでだな」
アルミン「そうだね、もう暗いし早く帰らないと」
アルミン「…ミカサ?」
エレン「おい、どうした?…泣いてるのか?」
ミカサ「!…今日は楽しかったと思っていたら…少し涙が出てしまった」
エレン「ミカサも涙脆いな…確かに今日は楽しかったな…」
そう言いながら、エレンはミカサの頭を軽くなでた。
エレン「二人とも、また明日も遊びに来いよ。待ってるから」
ミカサ「…うん」
アルミン「うん、もちろん」
アルミン「あ!明日はクリスタ達も来るかもしれないから、そのつもりだけしておいてね」
エレン「おう、わかった!」
アルミン「…じゃあ、また明日」
エレン「また明日な」
ミカサ「…また、明日」
少し寂しいという思いがよぎるが、また明日という言葉は人を安心させるような気がする。
少なくとも病室に残されたエレンは、そう思った。
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- 5 : 2016/10/04(火) 19:29:17 :
次の日。
学校のすべての授業が終わった、午後3時30分。
HRを終えた教室では、エレンのお見舞いに行くためのメンバーが揃っていた。
クリスタ「よっし、これで準備できたね!」
ミカサ「ありがとう、クリスタ」
ミカサ「エレンもきっと喜んでくれるはず」
クリスタ「えへへ、クラスメイトとして当然のことだよ」
アルミン「じゃあ、準備もできたしそろそろ行こうか」
クリスタの準備した花束や果物を持って、徒歩で約15分程の病院へお見舞いに行く。
それにしては人数が多い気もするが、これも彼の人の良さからかと、アルミンは考えるのだった。
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- 6 : 2016/10/06(木) 14:28:05 :
ガラガラッ
クリスタ「エレン!お見舞いに来たよ!」
エレン「おう!クリスタとユミルか」
ユミル「私はただ、愛しのクリスタについてきただけだから」
クリスタ「あれ?他にも人がいたんだけど、迷っちゃったのかな?」
エレン「アルミンとミカサはまだみたいだしな」
アルミン「あ、呼んだ?」
エレン「お、噂をすればアルミンとミカサか」
ミカサ「相変わらず、元気そうでよかった」
エレン「もうこれで全員か?」
「そんな訳ないでしょ」
凛とした声が部屋に響いた。
声のする方へ目を向けると、病室のドアにもたれ掛かるアニとその後ろに立つライナーとベルトルトの姿があった。
エレン「お、お前ら、来てくれたんだな。ありがとう!」
エレン「てっきり来てくれないかもなって思ってた」
ライナー「なんでだよ、仲間が入院したって聞いたら見舞いくらいするのは当然だろ?」
ベルトルト「ずっと、僕もアニもライナーも心配してたよ」
アニ「最近のあんたは、ライナーとベルトルトとも仲良いからね。私は何があったのか確認しに来ただけさ」
エレン「相変わらず、アニは素直じゃないよな」
アニ「ふん…悪かったね」
エレン「…皆ありがとうな!」
こうして賑やかになったエレンの病室は、
しばらく賑やかさを失うことはなかった。
今日起こった楽しかった出来事や失敗談、明日何をしようかなど、そんな他愛ない話をしていると、まるでいつもの教室にいるかのような感覚になった。
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- 7 : 2016/10/07(金) 20:14:11 :
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エレンはこの時間がとても楽しいと思った。
なんなら、病院での生活も悪くないなと思う程。
しかし、楽しい時間というものはあっという間に過ぎ去ってしまう。
クリスタ「…そろそろ、帰らなきゃいけないね」
ベルトルト「そうだね、もうすぐで暗くなりそうだし」
アルミン「…じゃあ、そろそろ帰ろうか」
気付けば外はもう夕焼け色に染まり、もう日が落ちようとしていたところだった。
エレン「そうか…皆、気を付けて帰れよ!」
クリスタ「うん、エレン。じゃあね!」
ライナー「じゃあな、また学校でな」
ベルトルト「早く元気になってね」
アルミン「また明日もお見舞いに来るね!」
エレン「おう、じゃあな!」
ガラガラッ
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- 8 : 2016/10/08(土) 22:30:47 :
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エレン「……」
一気に静まり返った病室で、エレンはドアを名残惜しそうに眺めている。
エレン「…また、一人か」
その言葉は、エレンに一人ということを自覚させ、さらに辛い前世の記憶を思い出させた。
勝利して喜ぶべき時に、喜び合える家族や仲間がいない…そんな記憶を。
エレン「…うっ、また…あの記憶…」
エレンの頬には涙がつたっていた。
悲しみだけが残された前世の記憶に、涙が止まらないのだ。
しかし、エレンには、嘆く時間もあと少ししか残っていない。
エレン「…今日みたいな楽しい日が、あと何日作れるだろう…」
エレンがそう思うようになったのは
あの日、地下室で手紙を見つけた時からだった。
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- 9 : 2016/10/11(火) 21:28:46 :
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エレン「母さん!地下室の鍵、取ってくれ」
カルラ「あら、珍しいのね。何か調べ物?」
エレン「いや、そういう訳でもないけど…」
エレン「何か急に地下室が気になってさ」
カルラ「?…そう、あんまり下手に物を触っちゃだめよ?」
エレン「わかってるって!」
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今から一年前、エレンが中学の時に特に何の用事もないまま、地下室に行った時の話だ。
この頃から前世の記憶がはっきりしてきていて、もしかすると、知らずの内に記憶に突き動かされたのかもしれない。
地下室を暇潰しがてらに探っていたら、偶然に古ぼけたボロボロの手紙を見つけたのだ。
宛名は、2000年後の君へ
興味を引き付けられたエレンは、好奇心からその手紙を読んでしまった。
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- 10 : 2016/10/13(木) 02:39:25 :
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一枚目も読んでくれただろうか。
さっきも書いたが、
二枚目には重要なことを書いていこうと思う。
俺は未来から来たと言った。
じゃあ、なぜ未来から過去へ来たのか。
それは、俺が過去を変えようと思ったからだ。
俺は手紙を読んで過去に飛ばされてから、巨人に恐怖しながらも
巨人を駆逐する道をひたすら歩んでいた。
だが、ただ歩んで行くだけでは、
次々と仲間が死んでいってしまったんだ。
ついに、俺は一人になった。
この怒りを巨人共にぶつけて、嘆き喚いた。
そして、人類が勝利したんだ。
でも、海を一人で見た時、俺は気付いたんだ。
これが"失敗"なんだと。
俺は、過去を何も変えることも出来ずに、
また同じ過ちを繰り返してしまったんだと。
だから、俺は2000年後に生きている俺に、
"失敗"を繰り返される運命を変えてほしいんだ。
だから、過去…前世に戻ってほしい。
勝手な願いだとは思っている。
だけど、どうかお願いだ。もう仲間が死んでいく記憶なんて思い出したくないんだ。
この悲しい結末を終わらせてほしい。
エレン・イェーガー
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- 11 : 2016/10/14(金) 20:42:52 :
エレン「…あの手紙さえ読まなければ、俺はこんなことを考えなくても済んだのかもな」
エレン「今まで通り、友達や家族と何の心配もせずに思い出を作っていれたかもしれない…」
エレン「でも、こんなこと考えても運命ってのには抗えないんだよな」
病室のベッドに横たわりながら、運命の残酷さを改めて思い知らされた。
なぜ自分がこんなことに…なぜ自分だけが前世に…なぜ…
そんな疑問が次から次へと押し寄せてくる。
そして、何度も何度も運命を呪った。
しかし、運命には抗えない。
エレン「…この話、ミカサとアルミンにも話すべきだよな」
ふと、ミカサとアルミンのことを思い出した。
途端にエレンの考えは揺らぐ。
「前世の二人も守ってあげたい」という思い。
それと同時に、「前世には戻りたくない」という思いもやって来る。
エレン「…もういいや、今日は考えないでおこう」
エレン「もう…考えたくもない…」
弱々しく呟いて、ベッドにうずくまったエレンは、吸い込まれるように眠りに落ちていった。
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- 12 : 2016/10/15(土) 22:58:17 :
次の日。
いつも通り、学校帰りのアルミンとミカサがエレンのところへお見舞いに来ていた。
そして、いつも通りの会話。笑い声。
ただいつもと違ったのは、エレンの表情だった。
いつもなら、3人の中で1番明るく、それこそ底なしの元気とも言えるくらいに元気なエレン。
しかし、今日は少し曇ったような。
そして、どこか悲しそうな表情だった。
ミカサ「…エレン」
エレン「ん?どうしたミカサ?」
ミカサ「今日はどこか元気がないように見える」
エレン「!…そんなことねえって」
エレン「ほら!いつも通りいつも通り!」
そう言って笑顔を作るエレンは、どこかぎこちなく、
見ていた二人をさらに心配させた。
アルミン「やっぱり、今日のエレンはおかしいよ」
アルミン「何かあったの?」
エレン「…やっぱり二人にはバレるんだな」
ミカサ「いつもエレンを見てるから、わかる」
エレン「あはは…まいったな。実は、二人にずっと話そうと思ってたことがあるんだ」
エレン「でも、それもなかなか言いにくくてさ、結構前からずっと悩んでたんだ」
エレン「でも…もう話さないと…いや、話す」
エレン「二人に会って、今、覚悟が決まった」
エレン「今度こそは…」
そう言ったエレンは、先程までのどこか悲しそうだった表情から一変して。
何かを覚悟した、凛々しい表情になっていた。
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- 13 : 2016/10/20(木) 18:53:04 :
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エレン「俺は、前世に戻る」
エレンはずっと隠し持っていた二枚目の手紙を二人に差し出し、力強い口調で前世に行く覚悟ができたという話をした。
そして、その覚悟も決して揺らぐことはないということも話した。
アルミン「だからって…そんな…急すぎるよ!」
あまりにも急な話で気が動転したアルミン。
それと反対に、ミカサは無表情なままだ。
エレン「ごめん、アルミン。ミカサ」
アルミン「そんな…エレン…」
アルミン「ぼ、僕達も…僕達も行くよね!ミカサ!」
アルミン「だって、ミカサならエレン一人で行かせることなんてしないよね!」
ミカサ「…」
叫ぶアルミンにミカサは何も答えない。
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- 14 : 2016/10/23(日) 21:34:03 :
アルミン「ねえ!ミカサ!答えてよ!」
ミカサ「…」
アルミン「ミカサ!!」
ミカサ「…アルミン」
アルミン「!」
ミカサがアルミンを呼ぶと、少し微笑み、
そっと抱き寄せた。
ミカサ「エレンは頑固だから。今、何を言っても聞かないと思うの」
ミカサ「だから、せめて笑って見送ってあげよう」
アルミン「ミ…カサ…」
アルミン「…ぐっ…ううぅ…」
アルミンの頬に大粒の涙が流れた。
まるで小さな子供のように、次から次へと涙が溢れてくる。
その様子を見てミカサは、またアルミンを優しく抱きしめる。
ミカサ「さよならじゃない…きっと…」
ミカサ「そうでしょ?エレン」
エレン「あぁ、きっと来世で会えるさ」
ミカサ「約束…ね…っ」
エレン「あぁ…約束だ…」
今まで泣かなかったミカサも、エレンの言葉に安心したのか、
張っていた糸が切れたかのように泣き出した。
二人を見つめるエレンもまた、涙を堪える。
泣いてはいけないと思い、ふと窓の外へ目をやると、
薄暗い道を街灯の光がぽつんと道を照らしていた。
そこはもう、日が暮れた後だった。
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- 16 : 2017/03/27(月) 01:25:32 :
お知らせですm(_ _)m
大変長らくお待たせいたしました!
執筆を再開させていただきます。
この4ヶ月の間に様々な変化があり、多忙を極めていたのですが、ようやく落ち着いてきたところなのでまたちまちま書き溜めしながら執筆していきたいと思います。
よろしくお願いします!m(_ _)m
(この投稿は後に消します)
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- 17 : 2017/03/27(月) 10:31:02 :
あれから2週間が経った。
エレンはリハビリを難なくこなし、無事に病院を退院した。
そして学校にも通学できるようになるまで回復していた。
今日アルミンと一緒に登校し、退院してから初めて教室へ入ろうとしていた。
エレン「さすがに3週間くらい来てないと、教室にも入りにくいな…」
アルミン「大丈夫だよ!皆、エレンのことを待ってるから」
エレン「そうだよな、元気になったって皆に報告しないとな」
アルミン「うん、頑張れ!」
エレン「…よし!」
ガラガラッ
エレンは緊張した面持ちで教室のドアに手をかけ、一呼吸置いてから一気にドアを開けた。
エレン「…おはよう!」
さっきまで騒がしかった教室が急に静まり返った。
皆が目を丸くして、エレンを見つめていたのだ。
エレン「な、なんだよ…」
アルミン「皆、おはよう!エレンの復活だよ!」
少したじろいだエレンの後ろからひょっこり顔を出したアルミンがそう言うと、一斉にエレンの帰還を祝った。
「エレン!退院おめでとう!」
「やっと帰って来たんだな!おかえりエレン!」
「待ってたよ!」
「寂しかったよー!」
エレン「皆…ありがとな!」
エレンが帰ってきたことで更に騒がしくなった教室は、朝のホームルームが始まるまで、ずっと静かになることはなかった。
エレン「これもいい思い出だな…」
温かな歓迎を受けて、微笑んだエレンの目にはほんの少しの涙が浮かんでいた。
もうエレンは分かっていた。
前世に戻らなければならない時が、刻一刻と迫っていることを。
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- 18 : 2017/04/07(金) 01:03:21 :
それからまた数日が経ったが、この数日の間に大きく変化したことがあった。
アルミン「えっ、皆の記憶が消えてるって?」
エレン「そうだ」
ミカサ「どういうこと?詳しく教えて」
エレン「ミカサやアルミンはいつも俺といるから記憶は消えてないけど、他のクラスのやつとか、俺とあまり接点のない人の俺の存在っていうのが消えてきてるみたいなんだよ」
エレン「今日、同じクラスのやつにも名前を思い出せなくなってるやつもいたしな」
アルミン「それって…」
ミカサ「…」
エレン「あぁ…ミカサ、アルミン」
エレン「そろそろ、俺、行かないといけないらしい」
しばらくの静寂。
放課後のまだ暑い公園には人気もなく、蝉が静寂を掻き消すかのように鳴いている。
アルミン「…そっか」
ミカサ「エレンがいないと寂しくなる…」
エレン「急な事だったし、俺だって寂しい」
エレン「でも…俺も皆も覚悟してたことだしな」
ミカサ「そうね…」
重い空気が漂う。
遂にエレンが前世に戻らなければならない時が来たのだ。
今まで見て見ぬ振りをしてきた事実を唐突に突きつけられ、ミカサは涙をぐっと我慢している。
そんな中、アルミンだけが口を開いた。
アルミン「あ…そうだ、エレンを忘れないように何かエレンの物を僕達に貰えない?」
アルミン「そうすれば、ずっと覚えていられるんじゃないかと思ってね」
エレン「あー、確かに、いいアイディアかもなー!」チラッ
アルミン「そうでしょ!」チラッ
エレンとアルミンは目配せをしてから、少しおどけた調子で話をし始めた。
2人はミカサを笑わせようとする時、いつも決まってこう話しをし始めるのだ。
このいつも決まった2人の笑わせ方に、ミカサはまたかと心の中で思いながら、くすっと少し笑った。
エレン「あ、ミカサ、笑ったな?」
エレン「そんなミカサには、これな」
ミカサ「うん…大切にする」
エレン「それじゃあ、アルミンにはこれだ」
アルミン「うん、ありがとう」
エレン「これで2人共、俺の事忘れないな!」
アルミン「うん、これで完璧だね!」
ミカサには、銀色のリングのネックレス。
アルミンには、金色の刺繍の入った赤いブレスレット。
エレンはいつも自分が身につけていた物を、それぞれに渡した。
エレン「…じゃあ、名残惜しいけどそろそろ行くか」
アルミン「…そうだね」
ミカサ「うん…」
エレン「でも、最後にこうやってお別れを言えて本当によかった」
エレン「ミカサ、アルミン…ありがとな!」
ミカサ「うん、エレンありがとう…元気で!」
アルミン「うん、また来世で必ず会おう!」
エレン「あぁ、じゃあな!また来世で!」
エレンはそう言うと、溢れる涙を堪えてアルミンとミカサに向かって思い切り笑って見せた。
その笑顔につられて、今にも泣きそうだった2人の顔も一気に笑顔になった。
そして、全員心から願った。
「来世では、どんな形でもどんな巡り合わせでもいいから、また3人揃って一生を過ごせますように」と
これを最後に、エレンの存在は現世から消えた。
- このスレッドは書き込みが制限されています。
- スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。
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