「ふう……。」
今日も長かった。授業が終わっても部活しないといけないとか地獄すぎる。
我ながらよくやっていると思う。
しかし!明日は土曜日!待ちに待った休日である。自然と家へ帰る足取りも軽くなる。
「キィィィィイイイン!」
ハァ……。休みの前にもう一仕事入ってしまった。冗談じゃないぜ、ったく。
「キャァァッッ!」見ると、蟹のモンスターに、一人の女性が首を絞められている。
「オラァッッ!」
蟹に向かってとび蹴りを放つ。その衝撃でカニはとらえていた女性を放した。
「早く逃げて!」
俺に言われて女性は逃げだした。モンスターは鏡の中へと戻っていく。
「変身!」
本当に、冗談じゃねーよな。こんなの。
憂鬱な気分で、俺は戦場へと向かう。
「ガァァァッッ!」
蟹のモンスターが、両手のハサミを使って攻撃を仕掛けてくる。
「Sword Vent」
「デヤッッ!!」
「キィン、キィン、キィンッ!」
「ブロロロロロロロ……」
しばらく戦いを続けていると、車の音が聞こえた。
ライドシューターの走る音だ。ライドシューターとは、俺達ライダーが鏡の世界へと向かう時に使う車のことである。
「来てくれたか……。」
雪ノ下か由比ケ浜か。どちらにしたって助かる。
「キィィィィッッ!」
俺と蟹の間で車が止まる。
そしてその中から出てきたのは……。
「え?」
蟹のモンスターと同じ黄土色をした不気味なライダー。右手には、カニのハサミを持っている。
「……やべぇな。」」
十中八九、このモンスターと契約しているライダーだ。
ていうかこいつ、モンスターに人間を襲わせてたのか!
「タァァッッ!」
ライダーが、その手に持ったハサミで攻撃を仕掛けてくる。
「オラッッ!」
俺も剣、ドラグセイバーで応戦する。
「グゴォォォッッ!」
背後からモンスターの方が攻撃を仕掛ける。
「ウアッッ!」
「ちっくしょ……。」
「Advent」
俺も契約モンスターを呼び出す。
「やれっ!」
空から巨大な炎を吐き出す。
「グッッ……。」
ライダーとモンスターがともに吹き飛ぶ。
「Strike Vent」
さらに俺が書きで追い打ちをかけると、ライダーは鏡から戦線離脱した。
「ふぅ……。」
まだ体の節々が痛む。冗談じゃないぜ、明日はせっかくの休みなのに気分が台無しだ。
……あいつ、モンスターに人を襲わせてたな。早く何とかしねェと、取り返しのつかないことになる。
いろいろと考えることにして、俺はサイゼリアに入る。考え事ならここですると中学時代から決めている。
「どうしたもんか、な。」
飯を食いながら考える。もちろん小町へ飯はいらないという旨の連絡もした。
「デート?」とか聞いてきたがそんなはずがないのである。毎度毎度あいつはそんなことを聞いてくるが、もはや嫌がらせかと疑うレベル。
「あれ?比企谷じゃん。レアキャラはっけーん!」
声をかけられ振り返ると、
「……お前……は。」
折本かおりが、そこにいた。