私以外私じゃないの
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- 1 : 2016/05/10(火) 23:17:18 :
- タイトル未定なのは、このお話に似合うタイトルが思い浮かばなかった為です。すみません。
進撃のグループにアンケートのスレを建てようと思うので、よろしくお願いします<(_ _)>
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- 2 : 2016/05/10(火) 23:18:59 :
私はただ、皆に嫌われたくなくて、一人でも良いから必要とされたくて…毎日毎日、皆が「可愛い」「女神」と口々に言ってくれる笑顔を振りまき続ける。
それに、小さい頃から私は嘘を付くのだったり、演技をするのだったりが凄く得意だったから、それが嘘の笑顔だなんて誰も気づいていない。
性格も容姿も良しな皆の女神を、完璧に演じられている。
そう思っていた
「貴女の笑顔は、どこか不自然だ」
貴女に言われるまでは
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- 3 : 2016/05/10(火) 23:37:53 :
学校は、とても疲れる場所だ。
友人と言う上辺だけの関係である相手に無理やり合わせなきゃいけないし、聞いてもいない他人の悪口も聞かされる。
自分の思っていることや言いたいことを言える人にとってはまったく苦ではないのかもしれないけど、私みたいに猫を被っている子にとっては、いつ本性がバレるか分からないから無理に気を使って疲れるのだ。
しかも私は皆から“女神”と言うイメージを持たれているため、学校どころか外にいるとき常に気を使わなければならない。
でも、だからと言ってそれをやめようと思ったりなんかしない。
「クリスタさん、あの、またノート書くの忘れちゃって…」
だって、今目の前にいる子みたいに、困ったらすぐさま私を頼ってきてくれるんだもの。
「うん、良いよ!貸してあげる!」
チャックの開いた鞄の中からピンク色のノートを取り出して渡せば、安心したのかほっ…っと息を付いて「ありがとう」とお礼の言葉を告げて席へ戻っていく。
私はそれを最後まで見届けて、一時限目の準備を始めた。
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- 4 : 2016/05/11(水) 13:06:46 :
「気を付け、礼」
4時限目が終わり、今はお昼時間。
班を作って食べる中学とは違い、高校からは自由な場所でお弁当を取ることが出来るので、次々とお弁当を片手に皆教室を出て行く。
教室に残ったのが此処で食べる人たちだけになった所で、私も鞄からお弁当を取り出して、もうそろそろ来るはずの友人二人を待つ。
多分、後十秒くらいかな
いちっ、にっ、さんっ、しっ、ごうっ、ろくっ、ななっ、はちっ、きゅう───
「クリスタぁー!迎えにきましたぁー!」
あらら、後一秒遅れてくればピッタリだったのに。
少し残念な気持ちで教室の扉の方へ向けば、綺麗な赤茶髪をポニーテールにした女の子───サシャがこちらに向かって手を振っており、その隣にはサシャと同じクラスでそばかすが印象的な女の子──ユミルが手招きをしていた。
この二人は小学校からの付き合いで、唯一女神とは程遠い自分──つまり、本当の自分をさらけ出せる仲の友人…と言うか、親友である。
「うん!」
お弁当を両手で持ち二人の元へ駆け寄ると、ユミルは私の肩に腕を回し、「可愛いなぁ、もう結婚しよう」などといつものジョークを口にする。
それらに軽く返しながら、いつもお弁当を食べる場所まで歩く。
もちろん、私が今向かっている場所はこういうお話ではお馴染みの屋上────ではなく、中庭だ。
私達はいつも、中庭にあるベンチに座ってお弁当を食べる。
もし屋上で食べれたら食べたいけど、危ないからって行くのは禁止されてるからね。
「いただきまぁ~す!」
中庭に着くとサシャは一足先にベンチに座り、目にも留まらぬ速さでお弁当を包んでいた袋を開け、がつがつと男子のようにお弁当をかき込んだ。
「そんな急いで食べなくてもお弁当は消えないし、誰も取らないんだからゆっくり食べなよサシャ」
「ふぉんふぁふぉといっふぇお、ふぉいふぃうふぁら」
「食べんのか喋んのかどっちかにしろ!」
二人のコントのような面白いやり取りに思わず学校だと言うことを忘れて「ぷっ」っと吹き出しそうになり、急いで口に手を当てて、女の子らしく小さく笑った。
家だったら普通に大口開けて笑ってるところだけど、此処は家じゃなくて学校だからね。
「っんく。…クリスタもユミルも、早く座って食べましょうよ!」
「うん、食べる食べる」
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- 5 : 2016/05/11(水) 13:07:36 :
- >>4の名無しは私です
すみません<(_ _)>
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- 6 : 2016/05/11(水) 22:21:17 :
「ふはぁ~、もう食べれません…」
「はははっ、そりゃあたしらの弁当半分食えばもう食えねえだろ」
パンパンに膨れ上がったお腹を満足そうに撫でるサシャを、ユミルは腕を組みながら呆れた表情で見つめている。
まあ、いつものことながらもお弁当を半分しか食べれなかったんだから無理もないかな。
いつもは帰りに何かをコンビニでサシャに奢らせるんだけど、今回は余程お腹が空いていたのか、それともただ単に堪忍袋の緒が切れたのか、ユミルはベンチから立ち上がり、「売店に行ってくる」と言い出した。
「クリスタ、お前あれだけで足りんのか?もし腹減ってんならなんか買ってくんぞ?勿論こいつのおごりで」
こいつのおごり…の部分に、ベンチから立ち上がるほどの特大な反応をしたサシャ。
サシャは大きな目を涙で潤ませ「私のですか?私のですか?」っと同じ事を繰り返しユミルに問うが、当の本人はまったくの無視だ。
「ん~…じゃあ、なんか甘いパンが食べたいかな」
そう言うと、ユミルは「分かった」と一言返事を返し、涙目でこちらに助けを乞うサシャを(無理やり)連れてこの場を離れていく。
「さあ、何買うかな。焼きそばパンに、カレーパンに…」
「クリスタぁぁー!!」
自分の名前を叫ぶサシャに、今回ばかりは助けることが出来ない私はただ苦笑いだけ浮かべ、段々小さくなっていく二人の後ろ姿に手を振った。
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- 7 : 2016/05/11(水) 22:43:38 :
「暇、だなぁ…」
ユミルとサシャが売店に行ってから10分、まだ帰ってこない。
幸い中庭には私達しか居なかったから、私は小さくため息をつく。
売店から此処までの距離はあまり遠くないし、今はもうすいているはずだから、五分か四分程度で帰ってこれるはずだけど…
多分、サシャが奢りたくなくて逃げ回ってるのかな?
『嫌ですぅぅぅ!!』
『逃げんじゃねぇぇ!!』
「…ふふっ」
ユミルに追いかけられている涙目なサシャの図が頭に思い浮かび、思わず笑ってしまう。
その時だ
「何を一人で笑っている?」
誰もいなかったはずのこの場に、声が響いたのは
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- 8 : 2016/05/12(木) 03:58:44 :
- 期待
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- 9 : 2016/05/12(木) 16:14:41 :
- 期待コメ、ありがとうございます<(_ _)>
『私以外私じゃないの』を読んで下さっている皆様へ。
期待コメや感想をくれると凄く嬉しいのですが、そのコメントで見にくくなったりしてしまうので、感想や期待コメはこちらにくれたりすると嬉しいです↓長文、失礼しました。
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/1470
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- 10 : 2016/05/12(木) 16:15:17 :
やっ、やばい……笑いだけでなく今さっきのため息まで聞かれちゃったかもしれない。
そう思うだけで、暑くもないのにだらだらと背中や顔から汗が流れる。
今さっきの声は後ろから聞こえたから、声の持ち主が後ろに居ることは分かってるんだけど、何故か首が錆びてしまったように動かなくて、顔を確認することが出来ない。
もしかして、いきなりだったから緊張して動けなく…?とっ、とりあえず、謝らなきゃ…
「えっ、と…不快に思ったのならごめんなさい」
「…別に、不快に思ってはいない。ただ、何故一人で笑っているのかと気になっただけ」
不快に思ってはいない…それにひとまず安心し、小さく息吐く。
「あっ、ごめんなさい!いつまでも後ろを向いてて。今そっち向きます───…っ!」
後ろを振り向いて相手の顔を見た瞬間、息を飲んだ。
絹のようにサラサラで艶やかな黒髪に、整った顔立ちと黒色の綺麗な瞳…モデル並みとまでは言えないけど、スラリとした体型の女の子が立っていたからだ。
この子は可愛いと言うより、間違いなく美人の分類に入るだろう。
「では」
「……うぇ!?」
見つめすぎて一瞬、時が止まってしまったような感覚だったが、黒髪の女の子の「では」っと言う別れの言葉がまた私の時の針を進めた。
私はベンチから勢いよく立ち上がり、「あの」っと黒髪の女の子を呼び止める。
「…名前…教えて、もらえませんか?」
少しおどおどし過ぎかな…でも、初対面なんだからこのくらいが丁度いいよね?大体の人は皆、こんな感じだし。
「…ミカサ」
黒髪の女の子は少しだけ間を空けて、名前を教えてくれた。
ミカサ、か…良い名前、この人にピッタリの名前。
「ミカサ、さん。……わっ、私はクリスタ、クリスタ・レンズです!」
「クリスタ。…そう、良い名前ね」
人に良い名前だなんて…初めて言われたかも。
「ありがとう、ミカサさんも良い名前だね」
そう言って、私はお得意のにっこり笑顔を顔に作る。
いつもだったらそれで微笑み返されるはずなんだけど、ミカサさんは微笑み返すことなく、次の瞬間私が予想だにしなかった言葉を無表情に言い放った。
「貴女の笑顔は、どこか不自然だ」
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- 11 : 2016/05/12(木) 20:09:32 :
「えっ?」
周りの雑音と心臓の音がやけに大きく聞こえてしまうのは、私の思い違いではないだろう。
今、彼女はなんて私に言った?私の笑顔が、不自然?この笑顔が?…そんなはず、ない…絶対に有り得ない。
今さっきまで綺麗だと思っていた黒色の瞳が、一瞬にして私の心を見透かされているような風に思えてしまい、その目を見ていられなくて下を向く。
……私の笑顔はいつも完璧で、周りはそれに騙されてる。
この笑顔が偽物の笑顔だなんて分かる人、居るはずない…。
触れれば今にも爆発しそうになった気持ちを抑えつけるように自分に言い聞かせて、落ち着ける。
そして─────
「ミカサさ───…あれ?」
この笑顔のどこが不自然なのか、それを聞こうと顔を上げればミカサさんの姿は消えていて、立っていた場所には落ち葉が舞っていた。
いつの間に……そう思っていると
「クリスタぁー、買ってきたぞー!」
遠くに、売店に行っていたサシャとユミルの姿を現した。
私は急いでユミル達の元に駆け寄り、黒髪の女の子とすれ違っては居ないかと聞くと…。
「黒髪の女ぁ?ん~、黒髪なんていっぱい居るからなぁ」
「その子、凄い───」
─美人で─
そう言おうとしたけど、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴ってしまい、最後まで言うことは出来なかった。
「あぁ!食べてないのに鳴っちゃいました!」
「くそっ、あの野郎のせいで…昼飯は放課後だ!いくぞクリスタ!」
「えっ、あっ、うん…」
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