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エレクリ「盲目の恋時」

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  1. 1 : : 2018/04/17(火) 20:26:05
    この作品はLialさんの作品を少し路線変更した作品だと思って下さい。

    ほんとにこの作品書きたかった…

    素敵な本家様↓↓

    http://www.ssnote.net/users/SeLial_

    本家作品↓↓

    http://www.ssnote.net/archives/58704


    こちらの更新はとてもとても遅いと思っておいて下さい。
  2. 3 : : 2018/04/17(火) 20:35:40
    期待!!!
  3. 4 : : 2018/04/17(火) 21:22:59
    期待しかない!
  4. 5 : : 2018/04/18(水) 23:56:26
    彼の“それ”は、まだ片手で数えれるくらいの歳で突然起こった。






    毎日の日課のように、幼稚園が終われば近くの公園で遊んでいた。

    今日もいつも通り幼稚園を出て、角を曲がり公園に足を運んだ。


    砂場にダイブした時、
    風がびゅんと吹いた。

    草木が大きく揺れる程の風力。

    いくら子供でも目の前からの強風は耐えられない。

    腕で目元を覆い、強く瞼を閉じた。

    ほんの数秒程の出来事。

    風と草木のこだまは一幕を閉じる。


    少年は目元に乗っかる腕を解き、やけに痛々し

    い瞼を上げた。


    生い茂っていた緑は水分失ったかのように色素を失い、
    紺色の滑り台は空色へと変化していた。

    そう。

    それは一瞬だった。

    少年は初めて疑問を抱く。


    「ねぇねぇ。母さん。」

    「なんだい?」

    「なんですべりだいがみずいろなの?」

    「? 何言ってんだい。いつも通りの紺色だよ。」

    「こんいろ?」


    少年、『紺色』という色が分からない。
    というか、聞いたことがない。

    しかし、『いつも通り』の意味くらいはわかる。

    少年、別に関心興味は皆無であった。

    いつも通りなのならいつも通り。

    大して気にも止めない。



    子供は…否。

    一桁の歳の子は物事をその当時はすぐに忘れる。

    一晩寝れば何も起きなかったかのように記憶から抜けていた。

    今日も幼稚園。

    そして、終わるといつも通り近くの公園に足を運んだ。

    少年はいつものように無邪気な笑顔で遊んだ。





    いつもの紺色の滑り台で。

    いつもの生い茂った緑園の中で。




    今思えば、幼い時はこれ以外にも“それ”があったのかもしれない。

    ただ、その時は一日で治まった程、軽い“それ”であった。
  5. 6 : : 2018/04/21(土) 09:49:26
    きたい!
  6. 7 : : 2018/04/22(日) 00:06:24
    私の“それ”は生まれつきの障害であった。

    ただ、幼い頃はぎこちなく色という存在が目に映っていた。

    そのおかげで、今でも色彩を少しだけ覚えている。


    空は青色。

    草は緑色。

    口は赤色。

    土は茶色。

    小さい頃に描いた絵だけれど、自分で描いたものなのだから、はっきりと覚えているんだ。

    でも、他の色は分からないの。

    きっと普通に暮らしている人達には不思議な感覚だと思う。

    色を目で覚えるんじゃなくて言葉で覚えるって事。

    紫は茄子の色。

    山吹は紅葉の色。

    金は私の髪の色。

    銀はナイフとフォークとスプーンの色。


    先生にはそう教えられたけど、全然理解出来ない。

    ただ、

    教えられた色の中で唯一、理解できた色がある。


    『貴女が眠った時、貴女の瞳には黒色が映るはずよ。』


  7. 8 : : 2018/04/22(日) 00:40:31
    先生は優しかった。

    いつも新しい発見を教えてくれる。

    授業の終わりには、宿題が提示される。

    宿題と言っても、勉強面の宿題ではない。

    勉強だけなら目がなくとも覚えれば良いのだから要らない。

    当時、必要だったのは想像力だけだった。

    公共施設の使い方であったり。

    点字であったり。

    それこそ、色とはどんなものなのか。という宿題であったり。

    数えきれない宿題は一日考えて、答えが出なかったら先生は簡単に教えてくれた。

    それも詳細に。

    ただ、一問だけ答えを出してもらえなかった宿題がある。

    小学校、卒業式前日。


    「クリスタさん。今日の宿題はどんなのが良いかな。」


    周りを見渡せば、私には見えない。想像出来ない色がある。

    母に断言された私はそれを弁解したくて一所懸命に色を想像していた。


    「今日も色の宿題が良い!」

    それは、もう、即答であった。


    「そうね。今日が最後の宿題になっちゃうから難しい色を宿題にしようかな。」






    ……


    ………







    『人は眠る回数を増やす度、黒色が薄くなっていきます。』

    『黒色はどの色にも負けない強い色じゃないの?』

    『そうね。だけど、年月を重ねてゆく度に薄れていくの。』

    『それでそれで?』

    『個人差はあるけどね?黒が薄くなっていくと最終的には白になっちゃうの。』

    『白?白ってどの色にも負けちゃう弱い色なんじゃないの?』

    『嘘言っちゃってたわね。白は本当は一番強いのよ。』





    『人は人生の最後の睡眠を取る時、瞳に映る色は白色です。さて、何故でしょうか。」





    ……


    ………



    その言葉を聞いた日から、丁度三年が経った。

    中学までは市立の中学に在籍していたが、高校になると盲学校に進学した。

    盲学校と言っても、私立の高校と別校舎なだけであって、場所で言えば私立の高校と同一なんだけれど。

    明日から私は高校一年生の肩書きに変わる。

    そして、卒園とともに色すら判別出来なくなっていた瞳が、中学卒業と共に、開かなくなった。










    うん。今日も今日とて、目に映るのは黒一色だ。
  8. 9 : : 2018/05/05(土) 16:15:18
    初めまして。今日。
    またいつか。明日。

    言葉にするとなんだか変に思える。

    ベットから起き上がると雀の鳴き声が窓を通じて野太く聴こえる。

    この時間帯。いつもなら姉が起こしてくれるのだけれど、どうしたのかな。

    あ、そうか。

    今日から姉は大学生か。

    そして、

    今日から私は、


    「高校生かぁ。」

    手触りからして窓。と思われる壁に手をつける。

    ロックを外し、網戸と同時に開ける。

    確かに感じる。

    春の音。

    桜の匂。

    新たな出会いの光。

    瞳で。眼球で。その日々を感じたい。

    が、到底無理な事は知っている。

    瞳に映るのは黒一色。

    瞼の裏の色。

    朝も昼のも夜も黒一色。

    高校生の肩書きになってもそれは変わらなかった。
  9. 10 : : 2018/05/06(日) 21:42:54
    kitaiy。

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