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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの災厄』
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- 1 : 2016/02/18(木) 12:57:57 :
- 密めき隠れる恋の翼たち~『エルヴィン・スミス暗殺計画』
(http://www.ssnote.net/archives/2247)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスとの1週間』
(http://www.ssnote.net/archives/4960)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの苦悩』
(http://www.ssnote.net/archives/6022)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの審判』
(http://www.ssnote.net/archives/7972)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの否応』
(http://www.ssnote.net/archives/10210)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの溜飲』
(http://www.ssnote.net/archives/11948)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの流転』
(http://www.ssnote.net/archives/14678)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの渇望』
(http://www.ssnote.net/archives/16657)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの血涙』
(http://www.ssnote.net/archives/18334)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの証明』
(http://www.ssnote.net/archives/19889)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの慕情』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの天命』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの微睡』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの再陣』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの謀反』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの杞憂』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの勇敢』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの挽回』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの慈愛』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの青天』
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- 2 : 2016/02/18(木) 13:02:03 :
- 密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの夢想』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの愛念』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの咆哮』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの大望』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの死闘』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの火蓋』
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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの贖罪』
(http://www.ssnote.net/archives/41737)
密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの危難』
(http://www.ssnote.net/archives/42605)
★巨人に右腕を喰われたエルヴィンと最愛のミケを失うが、エルヴィンに仕えることになった隠密のイブキとの新たなる関係の続編。
『進撃の巨人』の最新話に私の想像(妄想)を書き足したオリジナルストーリー(短編)です。
オリジナル・キャラクター
*イブキ
かつてイヴと名乗りエルヴィンの命を狙っていた隠密の調査兵 。
生前のミケ・ザカリアスと深く愛し合っていた。
ミカサ・アッカーマンの年の近い叔母。
※SSnoteのルールに則り感想等を書いていただくグループコミュニティを作りました。
お手数ですが、コメントがございましたら、こちらまで
お願いします⇒http://www.ssnote.net/groups/542/archives/2
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- 3 : 2016/02/18(木) 13:03:49 :
- 「……クッ、やられた――」
調査兵団団長のエルヴィン・スミスはシガンシナ上空で弧を描く樽を見やって、冷静さを欠き、その目には困惑する色を滲ませた。冷酷な指揮官であるはずが、予想外の奇襲を目の当たりし、ブレードを握る左手はグリップが食い込むほど力が込められた。
共に壁上に立つ暗殺者から調査兵へ生まれ変わったイブキはエルヴィンの悔しさを広げる表情を眺めた直後、獣の巨人を睨めつけた。壁上では強風が吹き荒れ、二人が纏う、ダークグリーンのマントのすそがなびいて風に遊ばれているようだ。獣は壁上に向かって、どうだ? と言いたげで、また豪腕を自慢するように右腕を回していた。その動作がイブキを苛立たせた。
「あいつ……!」
戦慄く唇の向こうの奥歯をかみ締めた。傍らのエルヴィンを見上げても、視線は樽が落ちるであろう位置を忙しく探している。
「ねぇ、エルヴィン、あいつだって、人間の姿に戻れるんでしょ?」
「あぁ、きっとそうだろう」
エルヴィンはイブキに視線を合わせずとも、苦虫を噛むような唇で答えた。その冷ややかな口ぶりにイブキの手元のブレードは強く握られた。
「私が……そのときはズタボロにしてやる、覚悟しな……」
封印したはずの闇に潜む暗殺者のイヴの冷酷さに少しだけ触れるようだった。熱を帯びているようでも、冷笑を浮かべる低い声を聞き、エルヴィンはようやくイブキに視線を落とした。
「イブキ、今はそれよりも、兵士たちが気がかりだ」
エルヴィンに言われ、イブキは息を呑んだ。
どんな戦いの最中でも、闇には戻ってはいけない――。
そう亡きミケ・ザカリアスに誓ったはずが、さし迫る争いが憎悪に触れようとしてしまう。団長に仕える兵士として冷静さは常に必要でも、闇に戻るのは必要ない、と背筋を伸ばし改めて自分に言い聞かせた。
エルヴィンと同じ方向に視線を送ったが、イブキは違和感を覚える。樽はすでに爆発してもいい頃でも、上空にはその形さえ見当たらず、また爆音や爆風さえ壁上へ押し迫っていないからだ。
「エルヴィン、爆発は……失敗したとか?」
「いや、どうやら敵の作戦が急きょ変わったかもしれない。巨人にならず、中から飛び降りた」
「ってことは、ミカサたちのところに敵が!」
目を凝らして、シガンシナ区内の朽ち果てた住宅街を眺めれば、巨人化したエレン・イェーガーが家々の合間を駆けていて、周辺の兵士たちが立体起動で飛び交っているようだった。その姿は小さすぎて、判別ができなくてもイブキは自分の姪である、ミカサ・アッカーマンを始め若きリヴァイ班の行方が気がかりだった。
「敵はどこに向かった?」
「恐らく、鎧のところへ……」
鎧が蒸気を上げる方向を眺め、イブキは固唾を呑む。
「あの鎧の中身って死んだんじゃないの?」
「まだ何とも……。巨人の力は侮れない。仕留めたと報告を受けても、死亡までは……」
言いながらエルヴィンは、はっ、と目を見開いた。
「まさか、死に至っていないのを気づいていて、鎧に新たな指示を?」
超大型巨人に変貌を遂げなかったベルトルト・フーバーの行動が読めず、エルヴィンはただ左手のブレードを強く握るしかできない。
シガンシナ区内の兵士たちの動きが変わった。一方の班が鎧が蒸気を上げる方向に飛ぶ。姿は見えなくても、分隊長のハンジ・ゾエが率いる班であろうと、エルヴィンは睨んだ。またもう一方の兵士たちがとんがり屋根が特徴の展望台を備えた建物に集まっていた。兵士の動作が僅かに見えても、目的はうかがい知れない。
壁上に荒れ狂うような強風が流れ込んだそのとき、隠密であるイブキの鋭い聴覚が微かな声を捕えた。
「これは……アルミン!?」
「イブキ、何か聞こえたのか?」
「何を言ってるのかわからない……でも、アルミンが何かを叫んでいるように聞こえた――」
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- 4 : 2016/02/18(木) 13:04:12 :
- イブキがどんなに耳を傾けても、遠すぎてアルミン・アルレルトが何を話しているか聞き取れない。エルヴィンと二人、シガンシナを飛び交い、また朽ち果てた屋根に降り立つ兵士たちを見守るしかなかった。
屋根付近で一人の兵士が立体起動を操作し、班から飛び出した。単独行動が許されない作戦において、たった一人で逸脱したような行動だ。突として、その兵士はシンガンシナの上空に向かって飛び上がる。エルヴィンはそれがベルトルトであると確信した同時に、彼の身体から大輪を描くように眩い光が放たれた。虚を突くような光景に兵士たちは唖然とその広がる光を眺めるしかない。だが、次の瞬間、その大輪が大地に向かって落下し、大爆発を起こした。シガンシナ区内中心の住宅街は爆風で吹き飛ばされ、近くを飛んでいた何人もの兵士が巻き込まれた。巨人化したエレンは身を挺して仲間たちを守った。
壁上に押し迫る空気圧をイブキが感じれば、咄嗟にエルヴィンを抱きしめた。二人は立ち上がっていられないほどの風圧に襲われ、その場でしゃがみ込んでしまった。エルヴィンの視線の先はベルトルトが変貌を遂げたであろう、その地点である。
分厚い層が重なる蒸気が上空を登った。大空に到達する頃、棚引く雲の合間に灰色が混ざり合う蒸気がどこまでも広がるようだった。
「ミケ、助けて……」
エルヴィンの背中に腕を回しながらも、その胸で思わずつぶやく。いつもなら、イブキに危険が及ぼうとした刹那、その胸に染み渡る彼の温かな声を感じない。エルヴィンはイブキのその声を聞いても抱きしめて離さない。しかし、イブキはいつもの声が聞こえないことで、固唾を呑んだ。
「どうしたの? ミケ……」
再び名を呼ぶ。何か疑問を感じているような語尾を聞いて、エルヴィンの抱擁は強くなる。
「だろうな、ミケは……」
少しずつ地上から吹き上げる蒸気が薄くなっていく。その薄れゆく蒸気の合間から、とてつもない大きさの巨人が大地に膝を付く後姿を晒す。エルヴィンの乾いた声を聞いて、ゆっくりと彼を見上げる。
「きっと向こうの……仲間たちの元へ」
冷静な口調でもエルヴィンのその身体は怒りから熱を帯びるようだった。イブキがようやく振り向いて、同じ方向を眺めれば超大型巨人が背中から蒸気を吹き上げていた。静まりつつある轟音に耳を傾ければ、身体が震え出し、ただエルヴィンにしがみ付いた。
「みんな……無事なの? ミケ、どうか……守って」
エルヴィンはイブキの温もりをかみ締めた。グリシャ・イェーガーが残した地下室には辿り着けない可能性が高くなったと、感じずにはいられなかった。また天から降臨する歓迎しがたい災厄が調査兵団を殲滅に追い込むかもしれない。しかし、新たな屍の頂点に立っても、幼い頃から見たかった真実に背を向けてはならぬと、改めて誓った。
周辺の空気と混ざり合って消えつつある蒸気が包む超大型巨人は目の奥の輝きが増した。
鈍く光る眼差しはすべてを壊して奪い去るという強固な意志を剥き出しにした。
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- 5 : 2016/02/18(木) 13:04:32 :
- ★あとがき★
みなさま、いつもありがとうございます。
今回はこれまでで一番短い内容となりました。あの樽の中のベルトルトが上空で変貌すると
思いきや、まさかの展開でした。アルミンが話し合いを、と言っていた前回の独り言は伏線だったようですね。。街中で超大型になれば、ベルトルトは50メートルの身体で歩けるのだろうか?って疑問にも浮かびますが、どういう展開になるのか次回が楽しみです。
またエルヴィンはあの地下室に辿り着けるつけるのでしょうか?イブキは手放せない存在であって、二人してその真実を見つけて欲しい。ミケはいつまでも、イブキの心で生きている。死んでも死にきれないけど、エルヴィンとの関係をそっと見守っている。いつか安らかに…って日がくるのか?
また次回もよろしくお願いします!
お手数ですが、コメントがございましたら、こちらまでお願いいたします!
⇒http://www.ssnote.net/groups/542/archives/2
★Special thanks to 泪飴ちゃん(•ㅂ•)/♡love*
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