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エレン「エピソードⅥ」 ヴェイダー「ジェダイの帰還」 進撃×スター・ウォーズ

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  1. 1 : : 2016/01/10(日) 04:30:43
    長かったスター・ウォーズシリーズも、遂にエピソードⅥ、旧三部作の最終章、ジェダイの帰還まで来ました。


    前作、帝国の逆襲から一年後という設定でお送りします。


    どうぞ、よろしくお願い致します<m(__)m>










    <主な登場人物>





    エレン・イェーガー・・・・・・前作では未熟だったが、今作では力をつけてジェダイ・ナイトとなる。23歳。

    ミカサ・アッカーマン・・・・・・反乱同盟軍の指導者の一人。23歳。

    ジャン・キルシュタイン・・・・・・前作で帝国に囚われ、ケニーに引き渡されてから行方不明。33歳。

    マルコ・ボット・・・・・・ジャンの行方を追っている彼の親友。35歳。

    ベルトルト・フーバー・・・・・・今作では幼馴染みのエレンに代わり、レッド中隊の隊長を務める。23歳。

    キース・シャーディス・・・・・・反乱同盟軍将軍。51歳。

    ドット・ピクシス・・・・・・反乱同盟軍将軍。69歳。

    ギアル・アクバー・・・・・・反乱同盟軍艦隊提督を務めるカラマリアン。

    ハンジ・ゾエ・・・・・・反乱同盟軍最高指導者。53歳。

    ヨーダ・・・・・・隠遁したジェダイ・マスター。

    アルミン・アルレルト・・・・・・死してなお、霊体としてエレンに啓示を与えるジェダイ・マスター。享年57歳。

    ケニー・アッカーマン・・・・・・悪名高き賞金稼ぎ。37歳。

    ジャバ・ザ・ハット・・・・・・タトゥイーンに本拠地を構える暗黒街のボス。

    モフ・フレーゲル・リーヴス・・・・・・銀河帝国総督。30歳。

    トーマス・ワーグナー・・・・・・銀河帝国艦隊提督。40歳。

    ダース・ヴェイダー・・・・・・銀河帝国最高司令官にして、シスの暗黒卿。46歳。

    シーヴ・パルパティーン・・・・・・銀河帝国皇帝にして、シスの暗黒卿、ダース・シディアスという裏の顔を持つ男。











  2. 2 : : 2016/01/10(日) 04:53:11












    遠い昔、遥かかなたの銀河系で・・・・・・

















    聖なる森の月、エンドア。











    その大気圏上空に、巨大な宇宙ステーションが浮かんでいた。
    まだそれは未完成であったが、既にそれは見慣れた、恐るべき形をとり始めている。



    ※第二デス・スター
    http://www.starwars.jp/wiki/images/0/0e/ROJ.jpg












    デス・スターに近づく一隻のスター・デストロイヤー。
    そのハンガー・ベイから、二機のTIEファイターにエスコートされ、一艘のシャトルが発進した。



    ※ラムダ級シャトル
    http://www.starwars.jp/wiki/images/d/df/Lambda_Shuttle.jpg











    「こちらST321。認識コード、ブルー。シールドの解除を求める。」

    『認証コードを確認する。そのまま待機せよ。』










    デス・スター内の帝国軍士官は、突然やってきたラムダ級シャトルの認識コードを照会した。











    『認証コードを確認。シールドを解除する。』

    「侵入する。」











  3. 3 : : 2016/01/10(日) 04:54:18










    建造中の超巨大宇宙ステーションを守るための、目に見えないシールドが解除され、シャトルは広いハンガー・ベイへと着陸した。








    ハンガー・ベイの離着陸を担当する士官は、乗組員を確認した途端に蒼ざめた。



    「ヴェイダー卿が到着された。司令官に伝えろ。」








    帝国軍最高司令官。
    シスの暗黒卿。







    そして・・・・・・


    帝国内で皇帝に次ぐ権限を持つ恐ろしい男。








    直ちに士官やストーム・トルーパーたちがシャトルの両脇に整列を開始し、暗黒卿を迎え入れる準備をする。
    その真ん中を、モフ・フレーゲル司令官は歩き、シャトルの前へと出て待機した。











    プシュウゥゥゥ・・・・・・



    シャトルの前のタラップが、ゆっくりと降りてくる。













    コー  ホー






    その奥から、ヴェイダー卿はその鋼鉄の肺の呼吸音を響かせ、ゆっくりとシャトルから降りてきた。











  4. 4 : : 2016/01/10(日) 04:54:57











    すっかり怯えきった司令官は、ヴェイダー卿に恐る恐る挨拶を交わした。









    「ヴェイダー卿、突然のお越し、誠に光栄です。」

    「世辞はいい、司令官。要塞の完成を急ぐのだ。」










    払いのけるように左手を上げたヴェイダー卿の声は苛立っていた。
    ヴェイダー卿の逆鱗に触れて、絞殺された部下は数知れない・・・・・・。










    「分かっております、ヴェイダー卿。全力を尽くしております。」

    「この俺が急がせてやってもいいぞ。」










    それこそ大変なことだ。
    一体何名の部下が処刑されることになるか・・・・・・分かったものではない・・・・・・。










    「予定通り、この要塞を完成させてみせます。」

    「お前の都合のいい見通しは皇帝陛下には通用せんぞ?」










    そんなことを言われても、無理なものは無理だ。
    ここは、頭を下げて、死ぬ気でお願いするしかない。










    フレーゲルは命を差し出す覚悟で、ヴェイダー卿にこう申し上げた。


    「これ以上早くは出来ません。もっと人員が必要です。」











    すると、ヴェイダー卿は歩みを止め、フレーゲルを見据えた。



    「では、陛下が来られたときにそう申し上げるがいい。」
















    俄かに信じられないという顔をして、フレーゲルはヴェイダー卿に尋ねた。









    「皇帝陛下が、ここに?」

    「おいでになる。この要塞の完成が遅れているせいで非常にご機嫌が悪い。」













    体中から血の気が引くように、フレーゲルには感じられた。
    ここでヴェイダー卿に首を絞められて殺されたほうが、まだ楽だったかもしれない。


    全身から冷や汗が噴き出す中、フレーゲルは何とか言葉を紡いだ。












    「至急完成させます。」

    「それが身のためだ、司令官。陛下はこの俺ほど寛大ではないからな。」













    __________失敗した部下をフォースで絞め殺すほど寛大な暗黒卿は、そう警告してからハンガー・ベイを立ち去っていった。





















  5. 5 : : 2016/01/10(日) 04:55:48































  6. 6 : : 2016/01/10(日) 13:55:54




















    不毛の惑星、タトゥイーン。
    広大な砂漠の尽きるところ、砂ぼこりの舞う西大砂丘海(デューン・シー)のはずれに、その宮殿は存在した。








    ジャバの宮殿―――――――暗黒街の犯罪王、ジャバ・ザ・ハットが本拠地とする宮殿。



    http://www.starwars.jp/wiki/images/9/98/JabbaPalace.jpg











    さて、広大な砂漠の中を、二体のドロイドがこの宮殿へ向けて横切っていた。


    一体は金ぴかの体を持つ人間機械間通訳ドロイドであり、
    もう一体は青色と銀色の体を持つアストロメク・ドロイドである。









    「勿論心配だよ、R2。君も心配じゃないのかい? マルコ様もチューバッカもあの宮殿に向かったっきり帰ってこないんだ。」



    宮殿に向かったまま、連絡のない二人を心配するC-3POに対して、R2は楽観的な電子音を立てた。











    「やれやれ、君がそんなことを言えるのは、ジャバの恐ろしさを知らないからだよ。」



    C-3POはため息をつき、体を震わせた。
    それほどに、銀河におけるジャバの影響力は大きく、その権力は決して銀河帝国も無視できないものだった。















    第1話


    ジャバ・ザ・ハット









  7. 7 : : 2016/01/10(日) 16:31:50












    二体のドロイドは漸く、広大な宮殿の巨大な門の前に到着した。
    鉄製の門は、まるで中に誰もいないかのように、不気味なほど静まりかえっていた。










    「R2、ノックをした方がいいのかな?」



    見かけ通りビビりなC-3POは、おっかなびっくり、控えめなノックをした。








    カンカン・・・・・・


    「誰もいないや、早く帰ろう!」








    もう帰りたくてたまらない様子のC-3POは、簡単なノックでことを済まそうとした。
    すると、ガコンと扉の丸くて小さな窓から、目玉のようなドロイド―――――――ゲートキーパー・ドロイドが姿を現した。



    ※ゲートキーパー・ドロイド
    http://www.starwars.jp/wiki/images/2/2b/Jabbas_TT8L.jpg









    「うわぁ! びっくりした!」



    素っ頓狂な声を上げるC-3POに若干イライラしながら対応するゲートキーパー・ドロイド。
    なんだこいつは、一々ビビりやがって。








    「こちらは、R2-D2です。」



    C-3POが右手を横に差し出してR2を紹介するので、今度はR2をゲートキーパー・ドロイドは見据えた。
    するとR2、早く中に入れろと言わんばかりに電子音を立てたので、ゲートキーパー・ドロイドは身を・・・・・・目を乗り出した。







    こいつ・・・・・・金ロボとは別の意味で腹が立つ。


    そう思っていると、R2がまた電子音を立てた。
    何だって? ジャバ様に直接会いたいだって?









    ・・・・・・・・・・・・こいつは面白いや!



    ゲートキーパー・ドロイドはR2の電子音を聞き終わると、笑いながら丸い窓の中に引っ込んだ。









  8. 8 : : 2016/01/10(日) 16:32:41










    「門前払いだよ! R2!」



    さて、笑いながら引っ込んだのをそう解釈したC-3POは、良い口実を見つけたとばかりに声を立てた。











    「さあ、帰ってエレン様にそう伝えよう!」



    C-3POはそう言うなり、くるっと宮殿の扉に背を向けて歩き始めた。
    すると・・・・・・












    ガコオォオン・・・・・・・・・・・・


    巨大な鉄の扉が、重々しい音を立てて上へと上がり始めた。
    扉が開いたのを見たR2は、我が物顔で宮殿の中へと入っていった。









    「!! R2! 待っておくれよ! そんな・・・・・・R2!!」



    一人だけになってしまうのが寂しいC-3POは、結局R2の後をついて行くことにした。









    「R2! そんなに急ぐ必要はないよ! 待ちなさいってば!!」



    先へ先へとずんずん進んでいくR2を、半べそで追いかけるC-3PO。












    __________もう、何でいつもこうなるの!?











  9. 9 : : 2016/01/10(日) 16:57:40









    ドンッ!


    すると、R2はこの宮殿を護衛するエイリアンであるガモーリアンの一人とぶつかった。



    ※ガモーリアン・ガード
    http://www.starwars.jp/wiki/images/2/23/Gamorrean_Guard_with_Axe.jpg









    ウウウッと威嚇され、後ずさるR2。
    ようやく追いついたC-3POがR2に話しかけた。









    「早くエレン様のメッセージをお届けして帰ろうよ!」



    もう泣きそうな勢いで、情けない声を出すC-3PO。
    そんな彼らに気が付いた他のガモーリアンの護衛たちが幾重にも取り囲む。










    これはヤバイ。
    そう思ったC-3POが後ろを振り返ると、開いた扉がガシャンと音を立てて閉まるところだった。









    「そんな・・・・・・。」



    思わず泣き言を漏らすC-3PO。










    すると、奥の空間から白い肌と触角をもつトワイレックのエイリアン―――――――ジャバの執事を長年務めるビブ・フォーチュナが現れた。



    ※ビブ・フォーチュナ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/2/23/Gamorrean_Guard_with_Axe.jpg









  10. 10 : : 2016/01/10(日) 16:58:20









    フォーチュナとC-3POはハット語で挨拶をし、それからC-3POは要件を話し始めた。



    「私たちはあなた様のご主人であられるジャバ・ザ・ハット様に伝言があります。」











    そこに、R2が付け足すように電子音を立てる。
    人間機械間通訳ドロイドであるC-3POは、R2の言葉をそのまま翻訳した。



    「それと、贈り物を・・・・・・・・・・・・贈り物? 何のことだい?」












    その事を聞いたフォーチュナはR2に贈り物は私が預かろうと話しかけた。
    勿論、良い贈り物なら私からのプレゼントだという気満々。


    この男、ご主人様に気にいられるためなら何だってする男である。
    対して、R2は怒ったような電子音を立てた。








    「こやつが申しますに、贈り物はジャバ様に直接お渡しするように言いつけられているそうです。」



    C-3POは、ホントに勘弁してほしいと思いながらも、R2の電子音を翻訳した。
    いつもいつもR2に振り回されて、とばっちりを食うのはC-3POである。










    「大変申し訳ございません。何分頑固なもので。」



    平謝りをするC-3PO。
    すると、フォーチュナは苛立った様子だったが、ジャバの謁見室へ案内してくれることとなった。










    「何だか嫌な予感がするよ・・・・・・。」


    謁見室へと案内するフォーチュナに、R2とついて行きながら、思わずC-3POはそう呟いた。










  11. 11 : : 2016/01/10(日) 20:27:03










    ジャバの謁見室はさながら、ならず者のエイリアンたちや人間たちの巣窟―――――――大小さまざまな取り巻きがたむろしていた。



    奥の玉座には、ジャバ・ザ・ハットがその巨体を横たえている。
    ドロイドである彼らは感じないが、異臭漂うこの謁見室は、あらゆる犯罪を生み出す巣そのものであった。











    R2-D2とC-3POは、フォーチュナに案内され、ジャバの目の前へと引き出された。










    <ご主人様、お客様です。>



    耳元でフォーチュナが囁くのを聞き、大きく目を見開くジャバ。









    「は、早くメッセージを再生するんだ。」



    C-3POに促され、R2は部屋の中央に青いホログラム映像を映し出し始めた。








  12. 12 : : 2016/01/10(日) 20:27:31









    __________映し出されたのは、黒いジェダイ装束に身を包んだ、エレン・イェーガーの姿であった。









    『はじめてお目にかかります、閣下。自己紹介をさせてください。私はエレン・イェーガー。ジャン船長の友人でジェダイ・ナイトです。
    高名なジャバ閣下はジャンにさぞお怒りでしょうが、どうか彼への怒りを解いてやってください。』








    このメッセージを見たジャバは声を上げて笑った。
    まるで若造の言葉など、歯牙にもかけないと言っているかのように。








    『お互いの利益を考え、不毛な抗争は避けるべきだと考えています。善意のしるしとして、この二体のドロイドを贈ります。』










    「何だって!? エレン様は何とおっしゃったのです!?」



    驚きのあまり、素っ頓狂な声を出すC-3POを尻目に、エレンの映像は話を続けた。









    『二体ともよく働きます。どうかジャンにご慈悲をおかけください。』



    エレンがそう最後に付け加えた後で、メッセージは終了した。










  13. 13 : : 2016/01/10(日) 20:29:21








    「そんな、何かの間違いじゃないのかい、R2!?」



    見捨てられたと思ったC-3POは大慌てでR2に詰め寄るなか、取り巻きの一人である宮廷道化師のエイリアン―――――――サレシャス・クラムが耳障りな笑い声を立て始めた。


    つられて他の取り巻きたちが笑い出し、彼らに交じって人間の賞金稼ぎ、ケニー・アッカーマンも嘲るように笑い始めた。



    ※サレシャス・クラム
    http://www.starwars.jp/wiki/images/d/d3/Salacious_B_Crumb.jpg










    <ジャバ様、あの男はジェダイではありません。>



    謁見室が笑いに包まれる中、フォーチュナがジャバに囁いた。






    ジェダイは23年前の大虐殺によって、ほとんど粛清されたはず。
    仮に生き残っているにしても、こんな若造のはずはないと考えたからだった。










    さて、笑いがひと段落したところで、ジャバはハット語で、嘲るようにドロイドたちに言った。



    <お前たちと取引をするつもりなどない。お気に入りの飾り物を手放すつもりはないからな。>











    ジャバはそう言うと、右手で壁を指さした。







    「そ、そんな・・・・・・。」



    C-3POが、ジャバの指さした方向を見ると、彼は一瞬言葉を失った。











    __________ジャン・キルシュタインは凍らされたまま、一年にわたってこの宮殿のオブジェとして飾られていた。



    http://williambeem.com/wp-content/uploads/2012/09/Han-Solo-in-Carbonite.jpg













    <ジャン船長はあのまま飾られておくのがいい。>



    ジャバはそう言うと、再び大声で笑い始めた。











    「見ろ、R2! ジャン船長だ・・・・・・・・・・・・凍らされたままだよ!!」



    泣き喚くように声を上げたC-3POに対しても、再び笑いが起こった。













    凍っている彼の苦悶の表情が気に入られ、ジャバはわざとジャンを解凍せずにずっと飾り続けては笑いものにしていたのである。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇











  14. 14 : : 2016/01/10(日) 20:31:29
    期待です!!
  15. 15 : : 2016/01/10(日) 20:34:32
    >>14
    期待&お気に入り登録ありがとうございます!

    いつも直方さんには励まされてます!
    頑張りますね。
  16. 16 : : 2016/01/10(日) 22:22:46









    「エレン様は酷い。私の仕事ぶりに満足されていたのに・・・・・・。」



    ぶつぶつと文句を並べ立てるC-3PO。










    結局、R2-D2とC-3POは数名のガモーリアン・ガードに連行され、この宮殿で働かされることになってしまった。
    謁見室から地下室へと降りていき、不気味な監房区画を過ぎると、EV-9D9が監督するサイボーグ室へと連行されていった。



    ※EV-9D9
    http://www.starwars.jp/wiki/images/f/f5/Cyborg_Operations.jpg








    部屋に入ってきたドロイドを見るなり、EV-9D9はC-3POに声をかけた。









    「新入りだね。そこの金ぴか、お前はプロトコル・ドロイドか?」

    「私はC-3PO、にん――――「イエスかノーで答えな。」

    「あ、イエスです。」







    EV-9D9は生物を嫌悪し、ドロイドを病的なまでに嫌う性格をしていた。
    その為、ここに来たドロイドは、彼女によって文字通りぶっ壊れるまで働かされ続けることになる。








  17. 17 : : 2016/01/10(日) 22:23:44






    「何種類の言語を話せるんだ?」

    「私は600万語を超す通信形態に対応し、即座に――――――「それはいい。前のプロトコル・ドロイドがご主人様の怒りを買って、これから分解されるところで困っていたんだよ。」

    「分解ですって?」







    思わずC-3POは尋ねると、彼女の後ろから声が聞こえてきた。
    後ろに目をやると、プロトコル・ドロイドが手足を引っ張られ、引きちぎられるのが見えて、C-3POは怖気づいた。








    「衛兵、このプロトコル・ドロイドは役に立ちそうよ。行動規制ボルトをつけて、謁見室へと連れていきなさい。」

    「た、助けて、R2!!」








    悲鳴を上げるのも構わず、C-3POはガモーリアン・ガードに連行されていった。
    さて、一人残ったR2は不満げな電子音を彼女に向かって立てた。









    「生意気なチビね。いいわ、あなたはご主人様のセイル・バージに乗せてあげる。そこでこき使うとするわ。」



    こうして、R2-D2もめでたくこの宮殿でこき使われる立場となった。










    別のところから悲鳴が聞こえ、R2が振り向くと、さかさまにされたパワー・ドロイドが足の裏に焼きごてを当てられて、改造されているところだった。


    http://www.starwars.jp/wiki/images/2/28/8D8.jpg












    __________取り敢えずは従順に振る舞おう。



    頭の回転の速いR2は、そう判断した。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇











  18. 18 : : 2016/01/13(水) 00:35:34











    夕闇に包まれるジャバの宮殿。










    謁見室で今日も、ジャバが金に糸目をつけずにかき集めた一流のバンドとダンサーによるエキゾチックなダンスが繰り広げられていた。


    ※マックス・レボ・バンド
    http://a.dilcdn.com/bl/wp-content/uploads/sites/6/2015/02/E6S_KEY_65.jpg





    お気に入りのエイリアンバンドであるマックス・レボ・バンドが絢爛豪華な伴奏をつけるなか、部屋の中央で踊っているのは、ジャバお気に入りの踊り子であるウーラであった。
    執事のビブ・フォーチュナに騙され、ジャバに献上されたトワイレックは、ジャバに大変気に入られて首輪を付けられていた。


    ※ウーラ
    https://bplusmovieblog.files.wordpress.com/2013/04/return-of-the-jedi-75.png?w=590









    <もっと歌って踊れ!>



    演奏がひと段落すると、素晴らしい演奏に酔いしれたジャバがアンコールを要求した。
    すると、マックス・レボ・バンドの中でも、特に歌に優れた二人――――――――サイ・スヌートルズとジョー・ヤウザが息の合ったデュエットで、“ジェダイ・ロック”を披露し始めた。



    ※サイ・スヌートルズ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/5/5a/Sy_Snootles.jpg

    ※ジョー・ヤウザ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/f/fb/Yowza.jpg









  19. 19 : : 2016/01/13(水) 00:37:50











    音楽が踊りと結びつき、演奏は即興を交えてその興奮を高めていく。








    その時のことだった。


    踊っていたウーラは、首輪が引っ張られるのを感じた。
    これはもちろん、ジャバからの誘いである。


    ウーラはその誘いを拒否し、首輪につけられている鎖を掴むと、これを撓らせてジャバの手をうってしまった。









    すると、ジャバは強引にウーラの首輪を引っ張り始めた。
    悲鳴を上げるウーラを引っ張り、ジャバは自分の目の前にある地面にまで引きずり出した。


    そして・・・・・・・・・・・・









    「いやああぁあぁぁッ!!」



    ジャバは肘掛けにある秘密のスイッチを押し、ウーラは悲鳴を上げながら、地面の下へと落ちていった。











    ウーラが上を見上げると、格子越しにジャバの取り巻きたちが歓声を上げながら見下ろしている。



    すると、ギイイと大きな音を立てて、ウーラの目の前の大きな鉄の扉が持ち上がり始めた。











    __________次の瞬間、獣の咆哮が宮殿内に響き渡り、ウーラの引き裂かれるような、断末魔の悲鳴が響き渡って静かになった。











    この残酷な処刑に取り巻きたちが歓声を上げるなか、普段おしゃべりなC-3POが無言で顔を背けた。









  20. 20 : : 2016/01/13(水) 02:51:08








    (ドゴッ!)
    (ボカッ!)





    処刑の興奮冷めやらぬ中、今度は宮殿の入り口から物音が聞こえてきた。








    どうやら誰かが入り口で暴れているらしい。
    殴られるような音や悲鳴が聞こえて、ジャバやその取り巻きが入り口のほうを見やると、一人の賞金稼ぎが謁見室へと入ってきた。



    その賞金稼ぎは、首輪と鎖でつないだウーキーを一人引き連れてきた。
    どうやらこのウーキーが手に負えないらしく、入り口に控えていた衛兵たちを殴り倒したようだった。










    賞金稼ぎが引きずってきたウーキーを見たC-3POは、驚愕の声を上げた。



    「き、君はチューバッカじゃないか!?」










    チューバッカを捕えた賞金稼ぎ―――――――ブーシはジャバの目の前に立つと、ユビーズ語で堂々と宣言した。


    ※ブーシ
    http://www.starwars.jp/wiki/images/a/a4/Boushh.jpg









    <ウーキーを捕まえた。賞金をよこせ。>










  21. 21 : : 2016/01/13(水) 02:52:47








    さて、ジャンの相棒であるチューバッカに賞金を懸けた張本人であるジャバはご満悦だった。








    <そうか、怪力のチューバッカもついに捕まったか。>

    「はっ、ざまあねぇなぁ、歩くカーペットさんよぉ?」






    同じ賞金稼ぎであるケニー・アッカーマンもチューバッカをせせら笑う中、ジャバは横柄な態度で通訳ドロイドを呼び寄せた。







    「は、はい、私めはこちらに!」



    おどおどとした態度で傍らによってきたC-3POに、ジャバはハット語で報酬についての話を始めた。
    すぐさまジャバの言葉を通訳するC-3PO。







    「高名なジャバ様はお前を歓迎し、25000クレジット下さるそうだ。」



    対して、ブーシは不満げに、ユビーズ語を話し始めた。
    これを聞いたC-3POは、全身から血の気が引くような思いで、ブーシの言葉を翻訳した。







    「50000クレジット欲しいと。」



    勿論ジャバは怒ってC-3POを突き飛ばした。
    うわぁというマヌケな悲鳴を上げて、C-3POは転倒した。






    「お、お手柔らかに・・・・・・。」



    泣き言をいうC-3POに対し、今度は詰るように話しかけるジャバ。









    「偉大なるジャバ様は、なぜ50000クレジットも支払わなければならないのかとの仰せだ。」



    すると、ブーシはポケットから銀色で球状の物体を取り出した。
    彼は即座にそのスイッチを入れると、ピピピとそれは、音を立て始める。










    「そ、それは・・・・・・サーマル・デトネーター!?」



    驚いたC-3POが声を上げると、ジャバの取り巻きは一様に身構えた。







    とりわけ、ケニーは素早い反応を見せ、ブーシへ向けて即座に銃を向けた。


    「おいおいおい、こいつぁおイタじゃすまねぇぜ?」








    このサーマル・デトネーター、起動すればこの宮殿が吹き飛ぶほどの威力を持つ。
    謁見室に緊張が走る。


















    __________そんな中、ジャバ一人だけがドスの効いた低い声で笑っていた。










  22. 22 : : 2016/01/13(水) 02:53:48









    <この賞金稼ぎはわし好みの悪党だ。恐れ知らずな上に機転も聞く。>



    ハット語で、ジャバはブーシを称賛すると、ケニーも銃を降ろした。
    それからジャバは、C-3POに再びハット語で話しかける。







    「ジャバ様は35000クレジットを下さるそうだ。ここで手をうつんだね?」



    C-3POのこの言葉に納得した様子のブーシは、サーマル・デトネーターのスイッチを切った。
    そのまま彼は、ジャバの取り巻きに迎えられ、彼らの中に加わった。







    ウウウゥウゥゥッ!!


    大声で吠えて抵抗したのも虚しく、鎖で繋がれた首輪を付けられたチューバッカは、ジャバの取り巻きによって地下牢へと連行されていった。

















    さて、チューバッカが連行されていく、その様子を見守っているジャバの取り巻きがいた。
    頭をすっぽりと覆うヘルメットを被ったその男の顔には、そばかすが付いていた。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇











  23. 23 : : 2016/01/13(水) 17:27:00












    静まりかえった夜の宮殿。







    その宮殿の中を、一人の賞金稼ぎが慎重に進んでいく。
    誰もいない謁見室の中を一人進んでいくのは、賞金稼ぎのブーシ。


    音を立てない様慎重に、ブーシは部屋を横切ると、壁に飾られているオブジェの前に立った。









    __________苦悶の表情を浮かべる、ジャン・キルシュタインのオブジェ。









    ブーシはジャンの側にそっと近づくと、その板の側にあるスイッチを押した。
    ガコンと音を立てて、壁にかかっていた板が地面へと降りてくる。


    次にブーシは、板の側面についている装置のスイッチを押し始める。
    一通り装置を操作し終えると、ブーシは一歩下がって、再びジャンを見つめた。










    カーボンに覆われたジャンの体が赤く発光し始め、彼を覆うカーボンが、まるで氷が解けるかのように剥がれ始めた。
    一年ぶりにカーボン冷凍から解凍されたジャンは、ドサッと音を立て、うつぶせに地面に倒れた。








    倒れたジャンの側に、ブーシはしゃがみこんで彼を介抱する。
    解凍されたばかりで、ジャンの体はぶるぶると震えていた。









  24. 24 : : 2016/01/13(水) 17:28:05








    「無理して動かなくていい。カーボン冷凍から解放されたばかりだ。」



    ブーシは先ほど喋っていたユビーズ語ではなく、ベーシック言語でジャンに話しかけた。









    「冬眠のショックが、体に出ている。安静に。」

    「目が・・・・・・目が、見えない。」

    「そのうち見えるようになる。」

    「ここは?」

    「ジャバの宮殿。」








    目の見えないジャンは、常の彼らしくなく、不安がっているようであった。
    ブーシはそんなジャンの手を取り、一生懸命介抱していた。








    「お、お前は・・・・・・誰なんだ?」



    喋りかけてくる相手が誰だかわからず、ジャンは不安そうに尋ねた。
    するとブーシは、ずっと被っていたヘルメットを脱ぎ捨てた。















    「あなたのことを、愛する者。」

    「!! お前なのか・・・・・・・・・・・・ミカサ!?」







    賞金稼ぎに変装し、ジャンを救出しに現れたのはミカサ・アッカーマンであった。
    一年ぶりの再会に胸を詰まらせ、二人はその場で口づけをした。









  25. 25 : : 2016/01/13(水) 17:30:45









    「ここから出なくては・・・・・・立てる?」

    「な、なんとか・・・・・・。」








    ミカサに肩を担がれ、何とか立ちあがるジャン。
    すると・・・・・・・・・・・・











    ほっほっほっほっほ・・・・・・・・・・・・。


    謁見室の中に、響き渡る不気味な笑い声。









    「ちっ、俺は知ってるぞ。その気味の悪い笑い声をな。」



    そうジャンが毒づくと同時に、彼らの後ろにあったカーテンが開かれ、中からジャバとその取り巻きが姿を現した。
    怪しげな賞金稼ぎをわざと泳がせていたジャバは、極上の獲物がかかって上機嫌であった。


    焦点の合わない目でジャンは後ろを見ると、一生懸命に弁明を始めた。









    「なぁジャバ。聞いてくれ、俺は金を返しに来る途中だったんだ。ちと予定が狂っちまったんだよ!」

    <今更遅いぞ、ジャン。お前も腕利きの密輸屋だったが、今じゃバンサのエサだ。>









    ジャンを馬鹿にしたジャバの言葉に、取り巻きたちから笑いが起こる。








    「ま、待ってくれ!」

    <連れていけ!>

    「金は三倍にして返してやる! バカな真似はよせ! ジャバッ!!」








    ジャンの必死の弁明は、聞き入れられなかった。
    取り巻きに両肩を掴まれると、ジャンはそのまま地下牢へと連行されていった。









  26. 26 : : 2016/01/13(水) 17:31:24









    <それと、女をここに連れて来い!>



    次にジャバは、ミカサに目を付けた。
    お気に入りだったウーラを殺してから、ジャバは次なるペットとして、ミカサを選んだのである。








    取り巻きたちに取り押さえられ、ジャバの前に引き出されるミカサ。
    周りが敵だらけのこの状況では、流石のミカサもなす術がなかった。









    「せいぜい気を付けることだ。私には、強い友人がいる。」



    ジャバの前に引き出されたミカサは、ジャバにそう警告した。
    だが・・・・・・・・・・・・









    <それがどうした?>



    今のこの状況では、ただ単にミカサが強がっているようにしか見えなかった。
    そんなミカサに対し、ジャバはその大きな口で舌なめずりをした。








    「もう見ていられないよ・・・・・・。」



    ジャバの傍らにいたC-3POが思わず顔を背けるなか、宮廷道化師のクラムの耳障りな笑い声が謁見室に響き渡った。












    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇











  27. 27 : : 2016/01/13(水) 17:55:02









    ジャバの取り巻きに引きずられて、ジャンは牢獄の中へと投げ出された。









    「くそ、ミカサ・・・・・・。」



    一年ぶりの再会は、ジャバによってあっという間に引き裂かれた。





    __________もっとあいつの側にいてやりたかった。


    ジャンの胸の中に、怒りと悔しさとが交互に押し寄せる。







    目の見えないなか、牢へと投げ出されたジャンは、暫くその場から動けずにいた。
    すると、牢の奥の方から、唸るような声が聞こえてきた。









    「チューイ? お前なのか?」



    その懐かしい声に、ジャンは思わず声を張り上げた。
    チューバッカは一年ぶりに相棒の姿を認めると、唸り声を上げてジャンに抱き付いてきた。








    「や、止めろ、俺は目が見えねえんだよ!!」



    照れ隠しに大声で怒鳴るジャン。








    「で、俺が寝てる間に一体何があったんだ?」



    ジャンの問いかけに、唸り声で答えるチューバッカ。
    長年一緒に相棒やっているジャンには、ウーキーの言語が分かるようになっていた。







    「エレンが? あいつはただの死に急ぎのガキだ。自分の面倒も見れねえくせに俺を助けようだなんて・・・・・・・・・・・・はぁ? ジェダイ・ナイトになりました?
    ったく、しばらく俺が留守にしている間にとんでもない妄想に憑りつかれやがって。」



    ジャンは呆れたような声を上げ、ため息をついた。








    相変わらず悪態をつくジャンを、チューバッカは後ろから抱きしめた。
    そっと頭を撫でつけると、ジャンは少し不機嫌そうに「大丈夫だ。」と呟いた。
















    __________こうして、ジャンを救出するためにジャバの宮殿へと潜入を試みたチューバッカとミカサは、かえってジャバに捕えられてしまったのだった。










  28. 28 : : 2016/01/13(水) 17:56:44
    以上で第1話が終了になります。


    次回もよろしくお願い致します<m(__)m>
  29. 29 : : 2016/01/13(水) 18:34:07


    次回も頑張れ!
  30. 30 : : 2016/01/13(水) 18:36:56
    >>29
    いつもありがとうございます!
    頑張ります!

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hymki8il

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