この作品は執筆を終了しています。
エレン「エピソードⅣ」 ミカサ「新たなる希望」 ⑤ 進撃×スター・ウォーズ
-
- 1 : 2015/11/25(水) 16:32:17 :
- 進撃×スター・ウォーズ、エピソードⅣ、新たなる希望の第5話です。
これがエピソードⅣの最終話になります。よろしくお願いします。
-
- 2 : 2015/11/25(水) 17:14:03 :
- 期待です!!
-
- 3 : 2015/11/25(水) 20:10:12 :
- >>2
期待ありがとうございます!
-
- 4 : 2015/11/25(水) 20:11:59 :
帝国の追撃を逃れ、ハイパースペースへと飛び込んだミレニアム・ファルコン。
その船内で、何とかミカサを救出したジャンはようやく一息ついた。
「中々悪くない救出劇だったろ? 自分でも感心しちまうな。」
少々うぬぼれ気味なジャンだったが、ミカサはすぐに水を差した。
「楽観的過ぎて呆れる。」
「あっ!?」
「帝国はわざと私たちを逃がした。でなければ、こんなに簡単に脱出できるはずがない。」
「あれが・・・・・・簡単だと!? 随分なこと言ってくれるじゃねえか!?」
ミカサは自分達がわざと逃がされたことを確信していた。
「私たちは追われているはず。」
「おいおい、もうハイパースペースに入ったんだ。追跡は不可能だろ?」
__________全く・・・・・・この男は楽観的でうぬぼれ屋。
「それにしても・・・・・・R2が無事でよかった。」
「おい、このドロイドには何が入ってるんだ?」
「あの要塞の設計図よ・・・・・・弱点を解析して戦いを仕掛けるの。」
「はぁ!?」
今更ながら、ジャンは驚いたような声を上げた。
「おいおい、冗談じゃねえぞ!? いいか、俺の仕事はここまでだ。革命なんぞに興味はねえ、あるのは金だけだ。」
「報酬なら心配ない。望むだけあなたに渡そう!」
__________おまけにこいつは守銭奴ときた。
ミカサは投げやりにそう言うと、つっと立ってコクピットから出ていった。
途中、ラウンジエリアからコクピットへと歩いてきたエレンに、ミカサは不満をぶちまけた。
「あの馬面、頭の中は金のことしかない。彼には思いやりといった感情がない。」
「俺にはあるぜ?」
軽口をたたくエレンをスルーして、ミカサはラウンジエリアへと引っ込んでいった。
少し寂しそうな目でエレンはミカサを見、それからジャンの隣へと座った。
「なあ、お前はミカサのことをどう思うんだ?」
「あっ? 考えたくもねえよ。」
「よし。」
小さくガッツポーズをするエレンを見て、ジャンは思わず口を挟んだ。
「まあ勇敢な奴じゃねえのか?」
「!! そ、そうだよな。」
さて、エレンとジャンの間に、それ以上会話らしい会話は成立しなかった。
なんとも気まずい空気の中、ミレニアム・ファルコンは漸くハイパースペースを抜けだした。
-
- 5 : 2015/11/27(金) 00:20:43 :
超巨大なガス惑星、ヤヴィン。
年老いた赤いガス惑星であるヤヴィンは、多くの衛星を従えていたが、生命が生息可能な衛星は3つしかなかった。
そのうちの一つ、ヤヴィン第4衛星、通称、ヤヴィンⅣは、鬱蒼としたジャングルの中に、古い神殿の聳え立つ衛星であった。
http://static.giantbomb.com/uploads/original/4/41342/1087585-yavin4_1280_1024.jpg
http://vignette3.wikia.nocookie.net/starwars/images/f/f8/Yavin_4_Recon.png/revision/latest?cb=20121227215149
聳え立つ神殿のうちの一つ、マサッシ神殿。
反乱同盟軍はここに、軍事基地の一つを置いていた。
そして、ここの指揮を執っているのはドット・ピクシス将軍――――――――反乱同盟軍の中でも1、2位を争う変人である。
ミレニアム・ファルコンから降りてきたミカサを見て、ピクシスはニコニコしながら近づいてきた。
「おお、無事じゃったか! ベッピンちゃん!」
「将軍、セクハラはいけないと思う。」
「ふっふっふっ、そう堅いことを言いなさるな、ミカサ姫。オルデランのことを聞いて気が気ではなかったのじゃからのう。」
ピクシスはそう言うと、急に真面目な態度になった。
既に還暦を迎えていたが、稀代の戦術家として、ピクシスはなお衰えを知らなかった。
「将軍・・・・・・至急R2の中にあるデス・スターの設計図を解析してください。」
「ふむ、このドロイドの中にあるのかのう?」
「この設計図こそ、最後の希望。」
「良いじゃろう・・・・・・至急解析に移ろうぞ。」
ピクシスはR2を引き連れ、司令室の奥へと入っていった。
-
- 6 : 2015/11/27(金) 01:01:46 :
-
「うお・・・・・・・・・・・・すっげえな・・・・・・。」
広い神殿の内部は格納庫となっており、反乱同盟軍の戦闘機で埋め尽くされていた。
http://vignette4.wikia.nocookie.net/starwars/images/9/9d/Yavin_4_Temple.png/revision/latest?cb=20121227220518
正面から見ると、Xの形をした翼を持つXウィング。
上から見るとYの形をした旧式のYウィング。
※Xウィング
http://www.starwars.jp/wiki/images/7/7b/X-wing.jpg
※Yウィング
http://www.starwars.jp/wiki/images/c/cf/Y-wing.jpg
そして、それらの機体の全てには、どこかしらに黒と白の翼―――――――自由の翼の紋章が付けられていた。
「おい、エレンッ!!」
エレンが格納庫の中を見回していると、どこからか、懐かしい声が聞こえてきた。
驚いたエレンが振り返ると、そこには・・・・・・・・・・・・幼なじみのライナーとベルトルトがいた。
「お、お前ら、どうしてここに!?」
「いろいろあってな、話すとなげえぞ?」
「エレン! 君も反乱軍に!?」
「へっ、当たり前だろ、ベルトルト!」
「おう、その意気だ、エレン! また昔みたいに暴れまくってやろうぜ!」
エレンがライナーやベルトルトとの思わぬ再会を懐かしんでいると、後ろから声をかけられた。
「ライナー、ベルトルト。この坊主はお前たちの知り合いか?」
声をかけてきたのは、レッド中隊の隊長を務める男―――――――ハンネスであった。
-
- 7 : 2015/11/27(金) 01:02:43 :
ハンネスが近づいてくると、ライナーとベルトルトは右手を左胸に当て、見事な敬礼をした。
それからライナーは、はっきりとした声でハンネスの質問に答えた。
「俺たち幼なじみの中でも、最高の腕を持つパイロットです!」
「ほう、そりゃ楽しみだ! 俺はレッド中隊のリーダーを務めるハンネスだ。坊主、お前の名前は・・・・・・」
「お、俺、エレン・イェーガーって言います!」
「そうか、よろしくな、エレン。」
「はいッ!!」
エレンも見よう見まねで左胸に右手を当て、敬礼をした。
ハンネスは微笑ましいといった様子で笑顔を見せると、エレンたちの元を去っていった。
「なあ、ライナー、ベルトルト。」
「ん?」
「何だい?」
ハンネスが去った後、エレンは抑えられないといった様子で体を震わせながらこう言った。
「やっと・・・・・・・・・・・・俺たち三人の夢がかなったな。」
「「!!」」
__________いつか約束した、あの日の夢。
三人で一緒に、広い宇宙へと飛び出す。
その夢が、漸く実現することに、エレンは興奮を押さえられなかった。
三人の若者は、暫くの間、一種の感慨のようなものに浸り、昔話に花を咲かせていた。
これから始まる戦いを前に、束の間の休息であった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
同刻。
デス・スター、司令室。
『サネス総督、デス・スターは惑星ヤヴィンへと接近しています。反乱軍基地は、惑星の反対側にあるヤヴィンⅣにあるようです。』
司令室の中にいたサネスの元へ、反乱軍基地に関する情報がもたらされていた。
銀河最強の宇宙要塞、デス・スターは静かに、惑星ヤヴィンの衛星、ヤヴィンⅣへと近づいていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 8 : 2015/11/27(金) 15:07:45 :
- ライナーとベルトルト…どっちがビッグス/ウェッジだろう
あ、ネタバレするの!!で答えなくてもいいですm(__)m
-
- 9 : 2015/11/27(金) 18:39:43 :
- >>8
コメントありがとうございます!
楽しみにしていてくださいねw
-
- 10 : 2015/11/27(金) 18:39:51 :
暫くして、作戦会議室に、反乱軍のパイロットたちが集められた。
中央のモニターにデス・スターの設計図が映し出され、ピクシス将軍は語り始めた。
「このバトル・ステーションは厳重な守りと、帝国軍艦隊の半分にも匹敵する火力を秘めておる。しかも、あのスーパーレーザーはわしらをこの衛星ごと吹き飛ばしてしまうじゃろう。
ただし、その防衛網は大規模な攻撃を想定したものであり、小型戦闘機ならその攻撃を突破することが出来る。」
「将軍・・・・・・小型戦闘機だけでは何もできないのでは?」
「そうじゃなぁ・・・・・・敵も小型戦闘機なぞ眼中にないらしくてのぉ。ミカサ姫が持ち帰った設計図を分析した結果、デス・スターの“弱点”が見つかったのじゃ。」
ピクシスはそう言うと、モニターのスイッチを操作した。
映されていたデス・スターの映像がみるみる大きくなっていき、地表にある一筋の溝を映し始めた。
「とは言え、接近は容易ではないじゃろう。この溝に向かって真っすぐ降下したところにある、直径2メートルの小さな排熱ダクトじゃ。このダクトは主反応炉 に直接つながっておる。
直撃すれば連鎖反応が起こり、デス・スターは破壊されるじゃろう。じゃが、直撃せねば何の意味もない。ダクトはシールドによって守られておる。その為、実弾であるプロトン魚雷しか使えんのじゃ。」
一瞬の静寂。
それから、作戦会議室は俄かにざわめきだした。
作戦を聞いていたパイロットたちは口々に不可能だとか馬鹿げているとかいう声が漏れてきた。
その中でも、沈黙を守っているのはハンネスやイアン、ベルトルトやライナーなど、エースパイロット数名のみ。
ジャンはもう付き合ってられんとばかりに悪態をついていた。
すると、ピクシス将軍は静かに語り始めた。
「・・・・・・確かに、反乱同盟軍結成以来、わしらはずっと負け通しじゃった。じゃが、わしは元来、負けるのは性に合わん。何としても勝ちたいんじゃ。
今、この場から立ち去りたいものは立ち去るが良い。そして、帝国の圧政をこのまま許そうというものも立ち去るが良い。わしは止めはせん。」
-
- 11 : 2015/11/27(金) 18:46:41 :
再び、会議室は静まりかえった。
その沈黙を破ったのは、エレンの一言だった。
「俺は・・・・・・・・・・・・帝国を、許さねえ・・・・・・。」
エレンは立ち上がり、声を上げた。
「俺は・・・・・・・・・・・・銀河帝国に、おじさんを・・・・・・おばさんを・・・・・・アルミンを、そして・・・・・・・・・・・・父さんを殺された。俺だけじゃない・・・・・・そういうやつは銀河中にたくさんいるはずだ!
そいつらの思いを・・・・・・・・・・・・俺は、無駄には出来ねえ。そうだろ!?」
そう言うと、エレンはピクシスをまっすぐ見つめた。
「じいさん! 俺、やるよ! 帝国の奴らを、必ず駆逐して見せるッ!!」
「良く言った! お主は男じゃッ!」
エレンの言葉に、反乱軍のパイロットたちが湧きたった。
「では、健闘を祈るッ! フォースとともにあらんことを!」
ピクシスの檄を聞いてから、反乱軍のパイロットたちは立ち上がり、格納庫へと向かい始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
同刻。
デス・スター、司令室。
『サネス総督、デス・スターはハイパースペースを離脱しました。ヤヴィンⅣがスーパーレーザーの射程圏に入るまで、およそ30分です。』
グランド・モフ・ジェル・サネスの元に、惑星ヤヴィン到着を告げる通信が入った。
すると、サネスの背後に控えていたヴェイダー卿が呟いた。
「今日は帝国にとって輝かしい一日になるだろう。アルミンが死に、反乱同盟軍が壊滅した日としてだ。」
デス・スター、ヤヴィンⅣを射程圏に捉えるまで、残り30分。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 12 : 2015/11/27(金) 22:42:45 :
-
全フライト・クルーは持ち場につけ! 全フライト・クルーは持ち場につけ!
士官の声が響くなか、エレンはジャンとチューバッカを見つけた。
「おい、お前何やってんだよ!?」
「見りゃわかんだろ? 船に金を積んでんだよ。」
激昂するエレンに対して、ジャンは淡々と答えた。
「金を返さなきゃ俺は殺されるからな。そうじゃなくても俺はここからおさらばするつもりだったがな。どうだ? お前も来るか? 暑苦しいが、役に立ちそうだからな。」
「テメエ・・・・・・・・・・・・今自分が何言ってんのか分かってんのか!? 皆戦おうとしているこの時に、テメエは借金を理由に尻尾撒いて逃げるのかよッ!?」
「俺にいわせりゃここの連中はいかれてるね。巻き添えはごめんだな。」
「んだとッ!?」
「いいか!? あのバトル・ステーションに攻撃を仕掛けようなんて自殺行為だ。それは勇気じゃねえ、ただの・・・・・・・・・・・・死に急ぎだ。」
エレンとジャンはしばらくにらみ合い、ややあってエレンが目線を外した。
「・・・・・・・・・・・・ちっ、分かったよ。お前はどうせ、自分が可愛いんだろ?」
エレンは舌打ちをすると、ジャンに背を向けて歩き始めた。
「おい、エレン。」
ジャンに呼び止められ、エレンはジャンのほうへ振り向いた。
「フォースとともにあらんことを。」
ジャンはそう言ってエレンに餞別をおくった。
エレンは何も言わず、再びジャンに背を向けると、そのまま歩き始めた。
このやり取りを聞いていたチューバッカは、ジャンに向けて唸り声を上げた。
「なんだ、チューイ? これでいいんだよ。めんどくせぇことはごめんだからな・・・・・・。」
チューバッカにそう言い聞かせ、ジャンは再びミレニアム・ファルコンにクレジットを積み始めた。
-
- 13 : 2015/11/28(土) 00:41:11 :
-
「どうしたの、エレン?」
イライラしているのを見かねてか、ミカサがエレンに話しかけてきた。
「ジャンの奴、悪い奴じゃないって思ってたのに・・・・・・。」
「仕方ない・・・・・・・・・・・・ジャンにはジャンの道がある、強制はできない。」
「アルミンがここにいてくれれば・・・・・・。」
そう言いながら、エレンはXウィングのコクピットにかけられた梯子を登りはじめた。
エレンのXウィングには、彼の相棒であるR2-D2が搭載された。
「おい、ずいぶん古いR2ユニットだな。交換するか?」
「いや、こいつは俺と苦労を重ねてきた相棒なんだ。」
エレンの言葉に、R2も嬉しそうな電子音を立てた。
「よし、行こうぜ! R2!!」
そのままエレンはXウィングへと乗り込んだ。
「しっかり帰ってくるんだぞ、R2。」
R2の相棒であるC-3POが不安そうに見送る中、機体が浮き上がり、格納庫を移動していく。
<エレン・・・・・・・・・・・・フォースは君とともにある。>
操縦桿を握るエレンの頭の中に、アルミンの声が響いてきた。
近づいてくるデス・スターを駆逐するため、反乱同盟軍の戦闘機、30機がマサッシ神殿を飛び立った。
http://a.dilcdn.com/bl/wp-content/uploads/sites/6/2014/09/Image-1-2400x1200-562320997426.jpg
第5話
ヤヴィンの戦い
-
- 14 : 2015/11/28(土) 13:03:26 :
「警告! デス・スター接近中! 後15分でスーパーレーザーの射程圏に入ります!」
作戦司令室に士官の声が響き渡る。
「いよいよじゃな、ミカサ姫。」
「頑張って・・・・・・エレン。」
作戦司令室からはピクシスとミカサが指揮を執り、惑星ヤヴィンを迂回してくるデス・スターの様子をモニターで確認していた。
今回の作戦に参加した反乱同盟軍の戦闘機は、2つの中隊に分かれていた。
ハンネスが隊長である、Xウィングを中心としたレッド中隊。
イアンが隊長である、Yウィングを中心としたゴールド中隊。
合わせてたった30機・・・・・・・・・・・・絶望的ともいえる戦いであった。
「全隊員、報告せよ!」
ハンネスがレッド中隊に所属する全てのスターファイターに声をかけ、一人一人が応答していく。
ライナーが“レッド3”として応答し、ベルトルトが“レッド2”として応答する。
「レッド5、準備完了 。」
エレンがレッド5として応答し、突撃の準備が整った。
「よし、Sフォイル戦闘ポジション。」
ハンネスの合図で、Xウィングの両翼が開いた。
「偏向シールドを張るんだ! 前面を強化しろ!」
隊員の一人が叫び、Xウィングが一斉にシールドを起動する。
「何て・・・・・・・・・・・・大きさだ。」
ベルトルトがデス・スターのそのあまりの大きさに一言呟いた。
「無駄口をたたくなよ、レッド2。準備はいいか、お前ら?」
ハンネスの言葉に、レッド中隊の全隊員が唾を飲み込んだ。
ハンネスの機体に通信が入る。
「レッド・リーダー、こちらゴールド・リーダー(イアン)。」
「聞こえるぞ、何だ?」
「我々は目標の排熱ダクトへと向かう。」
「よし、俺たちは先陣を切って敵の攻撃を引きつける! 行くぞッ!!」
-
- 15 : 2015/11/28(土) 13:04:49 :
-
ハンネスのXウィングが先頭に立って、レッド中隊のXウィングがデス・スターの地表めがけて突入した。
「撃てッ!!」
地表からはたちまち、緑色のターボレーザーが飛び交い、その間を縫うようにXウィングが飛行していく。
「くっ、に、23度の方向! 砲撃が激しいです!」
ギリギリでレーザーを躱しながら、ベルトルトがハンネスに報告する。
「低空を維持しろ!」
「は、はいッ!!」
涙声になりながらも、ベルトルトは意地になって必死に操縦桿を握った。
「こちらレッド5、突入します!」
すると、エレンが一人突出して地表に攻撃を仕掛け出した。
両翼にあるレーザー砲から赤い砲弾を撃ちまくるエレン。
「おい、無茶するな! 上昇しろ、エレンッ!!」
思わずライナーが叫び、エレンの機体が上昇した。
「大丈夫か!?」
「あぁ、少し撃たれちまったが大丈夫だ。」
「お前だけで戦ってるんじゃねえんだぞ!? 無茶はするなよ。いいな?」
__________そう言えば、エレンは昔っからこんな奴だったな。
懐かしくはあったが、エレンの危なっかしさにひやひやするライナーであった。
◇◇◇◇◇
デス・スターの内部は、反乱軍の攻撃に対応するために、兵士たちや士官たちが慌ただしく往来していた。
司令室も例外ではなく、様々な情報が錯綜する。
その最中に、ヴェイダー卿は士官からの報告を受けた。
「反乱軍の戦闘機は30機です。的が小さすぎて攻撃が当たりません。」
「ではこちらも戦闘機を出すのだ。乗員を各自持ち場につかせろ。」
そう言うと、ヴェイダー卿は司令室から抜け出し、通路を歩き始めた。
◇◇◇◇◇
「気を付けろよ? 右側のタワーからの砲撃が激しいぞ?」
先を行くハンネスが後続のレッド中隊に警告した。
激しいターボレーザーの嵐が右側から降り注ぐ。
その内の一発が味方のXウィングに直撃した。
「!! 離脱しろ!」
「大丈夫だ、持ちこたえてやる!」
撃たれた機体に乗る隊員が、ライナーの忠告にも関わらず奮闘しようとした。
だが・・・・・・・・・・・・
「上昇しろ!」
「大丈、ぐああぁああぁ・・・・・・――――――
ドゴオォオンッ!!
機体は爆発し、この作戦での最初の犠牲者となってしまった。
デス・スター、ヤヴィンⅣを射程圏に捉えるまで、残り7分。
-
- 16 : 2015/11/28(土) 17:56:58 :
「目標の排熱ダクトがある溝は見えてきたか!?」
「いや! まだ見えない!」
レッド中隊が攻撃をひきつけている間にゴールド中隊は目標のダクトがある溝を目指して進撃していた。
ひたすら目標へ向かって真っすぐに進んでいくYウィングの中隊。
攻撃を引きつけるために地表すれすれを低空飛行するXウィングの中隊。
<エレン・・・・・・・・・・・・君の直感を信じるんだ!>
エレンの脳裏に、アルミンの言葉が再び響いてきた。
「分かった、やってみるッ!!」
エレンは再び急降下し、自分の直感を信じてレーザーを続けざまに放った。
ドゴオォオンッ!!
エレンのレーザーは砲台に直撃。
眩しい光を放って爆発、炎上した。
<その調子だ、エレン。>
「アルミン、俺・・・・・・頑張るよ!」
操縦桿を握りしめ、額に汗をにじませ、エレンはデス・スターの表面を羽ばたいた。
『各隊に通告。レーダーに新たな機影。敵のスターファイターが来襲。注意せよ!』
突然、作戦司令室から通信が入った。
「くそ、スコープが壊れてやがる。何も見えねえぞ!」
エレンが思わず毒づくと、ハンネスから通信が入った。
「視覚スキャンを調べろ、坊主! 来るぞぉッ!!」
レッド中隊の背後に、帝国軍のTIEファイターが接近してきた。
そのうちの一機が、Xウィングの背後にピタリとくっつく。
そして、容赦なく緑の光弾を放った。
「うわあッ!!」
ドゴオォオンッ!!
極めて効率的にXウィングを駆逐していくTIEファイター。
デス・スターに配属されているパイロットたちは、選りすぐりのエリートばかりであった。
-
- 17 : 2015/11/28(土) 17:58:09 :
「!! ライナー! 後ろに一機張り付いてるぞ!」
「クソッ! 見えねぇッ!!」
エレンの叫び声に、流石のライナーも気が動転した。
そんなライナーに対して、TIEファイターは容赦なく光弾を浴びせていく。
「ぐっ、うおおおおッ!!」
力いっぱい舵を切り、何とかレーザーを躱していくライナー。
執拗に追いかけるTIEファイター。
その後ろに、エレンはつけた。
__________今だッ!!
エレンは標準を合わせ、引き金を引いた。
ビュウンッ!
ドゴオォオォォンッ!
ライナーを追っていたTIEファイターが炎にくるまれる。
エレンは何とか、親友をピンチから救い出した。
◇◇◇◇◇
デス・スターの内部では、往年の名パイロットが遂に出撃準備を整えた。
「敵は二手に分かれた。ついて来い。」
デス・スターに配属されたパイロットたちの中でも、特に腕の優れた二人を引き連れ、ダース・ヴェイダーは専用のスターファイターがあるハンガー・ベイへと歩き始めた。
◇◇◇◇◇
-
- 18 : 2015/11/28(土) 20:53:16 :
-
「エレン! 君の後ろにスターファイターがッ!!」
「!!」
ベルトルトが叫び、エレンがハッとしたときには、TIEファイターから光弾が容赦なく降り注いだ。
ボシュウ!
「ぐ・・・・・・やられた!」
機体の左上部にあるエンジンが被弾し、煙を吐き始める。
「大丈夫かい!? エレン!?」
「何とか大丈夫だ! R2、直せるか!?」
機体に乗っているR2がアームを伸ばし、被弾した個所を修理し始める。
機体が安定しないなか、TIEファイターはしつこくエレンを追撃した。
ビュビュビュウッ!!
緑のレーザーを続けざまに撃ってくるTIEファイターから逃れるべく、エレンは操縦桿を何度も捻った。
機体がうねるように宙を舞い、緑の光弾を躱していく。
「クソ、ライナーの奴、どこにいんだよ!?」
毒づきながらも追撃を必死に躱すエレン。
すると、正面からXウィングが飛んできた。
一瞬、エレンは飛んでくるベルトルトと目が合った。
エレンは上へと旋回し、ベルトルトがレーザーを放つ。
ドゴオォオンッ!!
TIEファイターが爆発し、その爆風をベルトルトのXウィングが突き抜けた。
「助かったよ、ベルトルト。」
ベルトルトに助けられ、エレンはほっと胸を撫で下ろした。
(こいつら・・・・・・・・・・・・なかなかやるな。)
三人の助け合うさまを傍から見ながら、ハンネスはしきりに感心していた。
特にエレンはこれが初陣に等しい。
「こりゃ、末恐ろしい奴らが出てきたなぁ。」
ハンネスは思わずにやけ、言葉を漏らした。
-
- 19 : 2015/11/28(土) 22:17:37 :
「レッド・リーダー! 聞こえるか!?」
「!! 聞こえるぞ、ゴールド・リーダー!!」
「排熱ダクトのある溝に到着した。これから溝の中へと進撃するッ!!」
ハンネスの元に、ゴールド中隊が遂に溝に到着したとの通信が入ってきた。
「よし、行くぞッ!!」
イアン率いるYウィングの中隊が、一斉に排熱ダクトのある溝へと降下した。
http://img3.wikia.nocookie.net/__cb20130117161338/starwars/images/b/bf/Meridian_trzench-ANH.png
ビュンッ!
ビュビュビュンッ!
溝の底から、上から、取り付けられたターボレーザーの光弾が飛び交う。
「激しい攻撃だな、レーザーの数は!?」
「およそ20基だ。」
イアンと彼の盟友であるミタビ、そして、生き残ったゴールド中隊のメンバーが、降り注ぐレーザーを躱しながら進撃していく。
何機か落とされながらも、目標の排熱ダクトに向けて、Yウィングは着々と近づいていた。
・・・・・・・・・・・・デス・スター、ヤヴィンⅣを射程圏に捉えるまで、残り5分。
-
- 20 : 2015/11/28(土) 22:52:30 :
「よし、標準装置を作動させろ!」
溝の中に突入したYウィングは、イアンやミタビを含め、たった三機しか残っていなかった。
激しい砲弾が飛び交う中、イアンの合図で三人は一斉に標準装置を起動した。
パイロットたちの左目の前に、標準装置が降りてくる。
目標はデス・スター、排熱ダクト。
その装置は排熱ダクトまでの距離を映し出した。
http://www.starwars.jp/wiki/images/d/dc/Y-wing_targeting_comp.jpg
__________後は、排熱ダクトの中にプロトン魚雷を撃ち込めば、俺たちの勝利だ!
逸る気持ちを抑え、イアン、ミタビは慎重に光弾飛び交う溝の中を進んでいった。
すると突然、溝の中が沈黙した。
「何だ・・・・・・・・・・・・砲撃が、止んだ!?」
「!! イアン! 後ろから敵機が!!」
次の瞬間、二機のTIEファイターに挟まれて、TIEアドバンストが一機、彼らの背後へと急接近してきた。
http://vignette3.wikia.nocookie.net/starwars/images/b/b2/Death_star_trench.png/revision/latest?cb=20130310063345
ダース・ヴェイダーの愛機であるTIEアドバンストは、ヴェイダー自身が設計に関わっただけあって、突出した性能を誇っていた。
「俺がやる、援護しろ。」
「「了解ッ!!」」
ヴェイダー卿はそう言うと、三機あるYウィングのうちの一機に標準を合わせ始めた。
「クソッ!! スピードを上げろ!!」
「トップスピードで排熱ダクトへ進撃するッ!!」
イアン、ミタビ、そしてもう一人のパイロットは速力を上げ始めた。
ただでさえ困難な任務を、ヴェイダーの追撃を躱しながら成し遂げなくてはならない・・・・・・。
ゴールド中隊は絶望的な状況に陥った。
-
- 21 : 2015/11/28(土) 22:54:20 :
- 期待です!
-
- 22 : 2015/11/28(土) 22:58:54 :
- >>21
期待ありがとうございます!
-
- 23 : 2015/11/29(日) 15:46:39 :
ヴェイダー卿は静かにねらいを定め、操縦桿のトリガーを引いた。
ビュビュビュウッ!!
「ぐああぁあぁッ!!」
たちまちのうちにYウィングが一機撃墜され、機体が炎にくるまれた。
ヴェイダー卿は猶も、先を行く二機のYウィングに標準を合わせていた。
「クソォ・・・・・・イアン!」
「まだだ・・・・・・このまま突撃するッ!!」
必死に操縦桿を握り、進撃していくイアンとミタビ。
「クソッ! ミタビ! ダクトまではまだなのかッ!!」
だが、排熱ダクトまでの道のりは、あまりにも遠すぎた。
ビュビュビュウッ!!
「あああぁああぁぁッ!!」
ヴェイダー卿から向かって右のTIEファイターが火を噴き、ミタビのYウィングは爆発した。
「・・・・・・・・・・・・失敗だッ!! 一時離脱するッ!!」
イアンは機体を上昇させ、溝から脱出した。
「ハンネス! 聞こえるか!?」
「どうした!? イアン!」
「ゴールド中隊はほとんど全滅・・・・・・・・・・・・ぐああぁあぁぁ・・・・・・――――――」
ドゴオォオンッ!!
ヴェイダー卿の執拗な追撃に遭い、イアンのYウィングも撃墜された。
__________ゴールド中隊、全滅。
-
- 24 : 2015/11/29(日) 15:47:11 :
デス・スターの司令室において、サネスはその時を静かに待っていた。
__________帝国の輝かしい勝利の瞬間。
皇帝には反乱軍が全滅したという報告だけすればそれでいい。
それだけに、部下がもたらした報告にサネスは耳を疑った。
「敵の攻撃を分析しました。このままでは危険です。撤退の準備を。」
「撤退だと!? 勝利を目の前にしてか!? 恐るるに足らん!」
部下の報告を、サネスは一蹴した。
ヤヴィンⅣがデス・スターの射程圏にはいるまで、残り3分を切っていた。
さて、ゴールド中隊が全滅し、作戦司令室は一瞬、沈黙に包まれた。
ややあって将軍の副官であるアンカが言葉を発した。
「ピクシス将軍、ここは危険です! 撤退の準備を――――「ならん。」
「!! では、ピクシス将軍とミカサ姫だけでも――――「わしには必要ないことじゃ。」
「将軍ッ!!」
アンカは大声を上げたが、ピクシスは鋭い眼光で彼女を制した。
「ここで負ければ反乱同盟軍は敗北したも同然じゃ。一つでも致命的な打撃を与えられれば、反乱同盟軍はたちまちに瓦解する。
この戦いは、何としても勝たねばならんのじゃ。」
ピクシスの言葉に、司令室の士官たちがゆっくりと頷く。
反乱同盟軍の明日が、
銀河の自由と平等が、
今デス・スターで戦っているパイロットたちの肩にかかっている。
作戦司令室の士官たちや兵士たちは、彼らと運命を共にすることを覚悟した。
-
- 25 : 2015/11/30(月) 16:18:38 :
ややあって、ピクシスはハンネスに通信を入れた。
『レッド・リーダー、こちらベース1。おぬしらレッド中隊に溝への突入を命じる! ただし、突入に当たり、中隊の半分を残すのじゃ!」
「了解、ベース1」
ハンネスは応答し、次いでエレンに通信を入れた。
「エレン! ライナーとベルトルトを連れていけ!」
「!! しかし!」
「これは命令だぞ! 上空で待機して、俺の合図で突撃しろッ!」
そう言うと、ハンネスは自らの部下二人と編隊を組んだ。
「よし、お前ら行くぞッ!!」
「「はいッ!!」」
ハンネスのXウィングを先頭に、ターボレーザーの砲撃激しい溝の中へ、レッド中隊が突撃した。
暫くして、再び溝を包む沈黙。
「砲撃が止んだな・・・・・・。」
「エレン! 上空から敵戦闘機が来ないか確認しろ!」
ハンネスの後ろについて行ったパイロットたちが叫んだ。
溝の上空を飛ぶエレンたちは、目を皿のようにして敵のスターファイターを探した。
「今のところは・・・・・・待って、ポイント3-5から敵機来襲ッ!!」
エレンが叫んだ頃には、TIEアドバンストと二機のTIEファイターが、ハンネスたちのXウィングに急接近していた。
「行くぞお前ら、標準装置を起動しろ!」
ハンネスの合図で、三機のXウィングは一斉に標準装置を起動した。
その後ろを、猛スピードでヴェイダー卿が追う。
「隊形を詰めろ。」
「「了解。」」
ヴェイダー卿は二機のパイロットへ冷静に命じ、再び前を行く反乱同盟軍の戦闘機に標準を合わせ始めた。
-
- 26 : 2015/11/30(月) 16:19:30 :
ビュビュビュウッ!
ドゴオォオンッ!!
早速標準を合わせたヴェイダー卿のTIEアドバンストが火を噴き、たちまちのうちにXウィングが撃墜される。
「隊長! まだですか!?」
「もう少しだ! 踏ん張れよ!?」
標準装置がピッピッピッと音を立てる。
徐々に標準を示す二本の縦線が狭まっていく。
あと少し踏ん張れば、排熱ダクトまで到着する。
そんな彼らを執拗に追撃するヴェイダー卿。
そして、ヴェイダー卿の乗るスターファイターの標準が、もう一人のパイロットを捉えた。
「た、隊長ッ!!??」
「・・・・・・・・・・・・もう、少しだ・・・・・・。」
ビュウッ!
ドゴオォオンッ!!
「うわあぁあぁぁぁッ・・・・・・」
ヴェイダー卿は光弾を放ち、ハンネスに後続していたXウィングを撃ち落とした。
__________くそ、もう少し・・・・・・もう少しッ!!
標準を示す二本の縦線がますます狭まる。
額を冷や汗が流れていく。
そして・・・・・・・・・・・・
ピピピピピピッ!!
標準装置が排熱ダクトをロックオンした。
ハンネスは、思い切りプロトン魚雷の引き金を引いた。
バシュウッ!
「よし! 発射だッ!!」
-
- 27 : 2015/11/30(月) 16:20:15 :
ドゴオォオォォンッ!!
次の瞬間、大きな爆発が起こった。
爆発近くのフロアが大きく揺れ、耳をつんざくような音が響き渡る。
「や、やったぞッ!!」
上空からその様子を見ていたエレンは歓喜した。
だが・・・・・・
「いや、ダメだ、失敗した・・・・・・。」
ハンネスは暗い表情で呟いた。
「デス・スターの地表で爆発しちまった。中に魚雷が入っていかなかった・・・・・・。」
機体を上昇させるハンネス。
その後ろに、ヴェイダー卿の機体がぴったりとくっついた。
「!! 危ないッ!!」
叫んだエレンが見たものは、ハンネスのXウィングがヴェイダー卿のTIEアドバンストに光弾を浴びせられる光景であった。
「援護しに行きます!!」
「来るなッ!! もう右舷エンジンをやられたッ!!」
救援を申し出たエレンに対し、ハンネスが大声を上げた。
「エレンッ! ライナーッ! ベルトルトッ! お前らが突撃しろッ!! 」
叫んだ直後、TIEアドバンストの光弾が、ハンネスの機体の左舷エンジンに直撃した。
制御を失ったハンネスの機体はデス・スターの重力に捉えられた。
「イエエエエエエエエッ!!」
目を瞑り、あらん限りの声を絞り出し、そして・・・・・・
ドゴオォオォォンッ!!
デス・スターの地表の地表に突っ込み、ハンネスは勇敢な最期を遂げた。
デス・スター、射程圏到達まで・・・・・・・・・・・・後1分。
-
- 28 : 2015/12/01(火) 01:35:58 :
「そんな・・・・・・は、ハンネス、さん・・・・・・・・・・・・。」
打ちのめされたエレンは暫く、呟くような声しか出なかった。
ドクンッ!
だが、彼の内側では、盛んに炎が燃え盛っていた。
そして、刻一刻とその炎は強さを増していった。
「くっ、ライナーッ! ベルトルトッ! 突撃するッ!!」
「覚悟しろよ!? エレン、ベルトルト!?」
「覚悟を決めるよ!」
__________これが、最後のチャンスだ!
エレンの機体が先頭に立ち、三機のXウィングが、最後の希望をかけて排熱ダクトのある溝へと突入した。
溝の中から、上から、取り付けられた砲台から雨のように光弾が降り注ぐ。
その中を、エレンたちは最高速度で駆け抜けていった。
「ほ、砲撃が激しすぎるよ!」
「心配すんな! お前なら躱せる!」
「よし、このまま突っ切るぞッ!!」
ライナーがベルトルトを励まし、エレンが二人を引っ張っていく。
すると、三度、ターボレーザーが沈黙した。
「!! また砲撃がやんだ!?」
「ベルトルト、気を付けろ、来るぞッ!」
「!! センサーを見ろ! ポイント3、後ろだッ!!」
背後から急接近するTIEアドバンストと二機のTIEファイター。
希望を潰し、絶望を与えるべく、暗黒卿は三人を追撃し始めた。
-
- 29 : 2015/12/01(火) 01:36:38 :
「これが最後だ。気を抜くな。」
「「了解。」」
ヴェイダー卿は標準装置を調整し、三人を狙い始める。
そのうちの一機に標準を合わせ、トリガーを引いた。
ドゴォン!
「うわぁッ!!」
ベルトルトの機体に衝撃が走る。
幸い、爆発までには至らなかったが、もう最高速度は出せなくなってしまった。
「ダメだ! 撃たれた! もう機体が持たないよッ!!」
「離脱しろッ! ベルトルトッ!!」
「・・・・・・すまない!」
傷ついたベルトルトの機体が上昇し、溝から抜け出した。
だが、敵機は飛び出したベルトルトに最早興味を示さなかった。
「あの機体に構うな、前を行く二機をやる。」
ヴェイダー卿は前を行くエレンとライナーを執拗に追撃した。
「くそ、あの真ん中の機体! あくまで俺たち狙いか!?」
「ライナー、後は俺たちだけだ! 全力で行くぞッ!!」
レバーを思い切り引き、可能な限りの速度を出して飛行していく二機のXウィング。
すると、エレンの機体が奇妙な音を出し始めた。
「!! R2! 機体がまたブレ出したぞ!?」
先ほど負ったダメージが響き、機体が安定しなくなってしまっていた。
「R2、頑張ってパワーを上げろッ!!」
エレンは叫び、額から汗を流していた。
手にも汗を握り、力を込めて操縦桿を握るエレン。
「急ぐぞ! エレン!」
「分かってる! ライナー!」
まだまだ距離がある排熱ダクトを目指して突っ走る二人。
その背後から、ヴェイダー卿が冷静に標準を合わせ・・・・・・・・・・・・
ビュビュビュウッ!
「ぐああぁあぁぁッ!!」
ドゴオォオォォンッ!!
放たれた光弾がライナーの機体に直撃し、機体は無残にも爆発して消えた。
-
- 30 : 2015/12/01(火) 01:37:22 :
__________嘘だろ?
あのライナーが・・・・・・・・・・・・何で・・・・・・・・・・・・
大切なものをあまりにも失いすぎて、エレンにはもう流す涙も残っていなかった。
射程圏到達まで、残り30秒。
「俺が先頭機をやる。」
ヴェイダーは文字通り最後の一人となったエレンの背後を追跡し始めた。
「しっかりするんだ・・・・・・R2。」
司令室からモニターしていたC-3POも呟いた。
__________もう俺は、大切なものをほとんど失ってしまった・・・・・・。
それでも、心の中の炎は消えはしなかった。
ここで負ければ、すべてを失う。
それだけは・・・・・・・・・・・・許せない。
ヴェイダー卿が追撃する中、エレンは標準装置のスイッチを入れた。
左目の前に小型モニターが現れ、排熱ダクトまでの距離が示される。
__________俺は・・・・・・・・・・・・奪われた自由を手に入れる。
戦え・・・・・・。
戦え・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・戦えッ!!
自分を鼓舞するように、エレンはひたすら戦うことを念じていた。
その時だった。
<・・・・・・・・・・・・フォースを使うんだ、エレン。>
「!! アルミン!?」
-
- 31 : 2015/12/01(火) 01:38:09 :
フォースを通じて、再びアルミンがエレンに語り掛けてきた。
<標準装置のスイッチを切るんだ。>
「!! そんなことしたら・・・・・・。」
<エレン・・・・・・・・・・・・僕を、信じてくれ・・・・・・。>
「・・・・・・。」
エレンは再びスイッチを押し、標準装置を切った。
『どうした、エレン!? なぜ標準装置を切った!?』
「大丈夫だ、問題ない!」
機械ではなく、己の直感に従って、エレンは排熱ダクトへと進撃していく。
そのフォースのさざめきを、ヴェイダー卿も感じ取っていた。
「フォースの強い奴だ。」
そして、同時に、ヴェイダー卿はこうも感じ取った。
__________あのパイロットは、今ここで、何が何でも芽を摘まなければならない。
ヴェイダー卿は何とか標準を合わせ、光弾を発射した。
ドゴォンッ!
ウワアアアァァァオ・・・・・・・・・・・・
「!! しまった、R2が・・・・・・。」
これまでXウィングを補佐し、機体を制御してくれていたR2までもが光弾に撃たれてしまった。
正真正銘、エレンは一人になってしまった。
そして・・・・・・・・・・・・
「ピクシス将軍! デス・スター、射程圏に到達ッ!!」
士官の声が作戦司令室に響き渡る。
遂にデス・スターは、ヤヴィンⅣを射程圏へと捉えた。
「砲撃を開始しろ。」
デス・スターの司令室から、ジェル・サネスは命令を下した。
-
- 32 : 2015/12/01(火) 01:39:28 :
-
「第一次点火。」
スーパーレーザーの制御室において、スイッチが押され、レバーが操作されていく。主反応炉 からエネルギーが装填されていく。
「もう少し・・・・・・もう少し・・・・・・。」
排熱ダクトへ向かって真っ直ぐ進撃していくエレン。
背後から追跡するヴェイダー。
「ここまでだ。」
遂にヴェイダー卿の標準装置がエレンの機体を捉え、ピピピピと音を立てた。
引き金を引き、光弾を発射するヴェイダー。
ドゴオォオォォンッ!
突然、ヴェイダー卿から向かって左のTIEファイターが爆発した。
「何っ!?」
驚いて上空を見上げると、ミレニアム・ファルコンが勢いよく急降下してきた。
「イヤッホオオウッ!!」
ジャンは叫び声を上げ、ヴェイダー卿のTIEアドバンストに向かってレーザーを放った。
レーザーは隣のTIEファイターに直撃し、制御を失ったTIEファイターはTIEアドバンストに激突。
TIEファイターは溝の底に突っ込んで爆散し、ヴェイダー卿の機体は宇宙空間へと弾き飛ばされた。
「ジャンッ!!」
「さっさと仕事終わして帰るぞ、死に急ぎッ!!」
エレンは思い切り、プロトン魚雷のレバーを引いた。
バシュウッ!
放たれた二発の魚雷は、ダクトの中へと入っていく。
「砲撃準備!」
デス・スターの艦内で、放送が鳴り響く。
エレンとベルトルト、ジャンの機体がデス・スターから離脱する。
「砲撃準備!!」
デス・スターがスーパーレーザーを放とうと、唸り声を上げた、その瞬間。
__________デス・スターは、超新星のような光を放ち、大爆発した。
http://vignette3.wikia.nocookie.net/starwars/images/8/89/Exds.png/revision/latest?cb=20130311000241
「やった・・・・・・やったぞぉッ!!」
「でかしぞ、エレンッ!!」
エレンとジャンが交互に快哉を叫んだ。
すると、エレンの頭の中に、再び、アルミンの声が響いてきた。
<忘れないでくれ・・・・・・・・・・・・フォースはいつも、君とともにある。>
-
- 33 : 2015/12/01(火) 19:25:54 :
やがて、英雄たちはヤヴィンⅣのマサッシ神殿へと凱旋した。
Xウィングから降りてくるエレンを、反乱同盟軍の兵士たちや士官たちが熱狂と拍手で出迎える。
その人ごみに混じって、ミカサがエレンの元へと駆け寄ってきた。
「エレンッ!!」
「お、おい、ミカサッ!?」
人目もはばからず、ミカサはエレンに思い切り抱き付いた。
「ケガはない!? 疲れていない!? 落ち込んでない!?」
「お前は俺の母さんかよッ!?」
エレンとミカサのやり取りに兵士たちの間で爆笑が起こった。
するとそこへ、ジャンが笑いながらやってきた。
「!! ジャンッ!!」
エレンが嬉しそうにジャンの名前を呼んだ。
「来てくれると思ってたぜ?」
「何言ってんだ!? 金のために決まってんだろ!?」
笑ってごまかすジャンにミカサがツッコんだ。
「金より大切なもののため、違う?」
「けっ、そういうことにしといてやるよ。」
ジャンは少し照れくさそうなのを隠してそう言った。
暫くして、Xウィングから、TIEアドバンストに撃たれて沈黙したR2-D2が降ろされた。
相棒のC-3POがR2に近寄ると、必死になって声をかけた。
「ああ、R2! 何か言っておくれ! 直りますよね? 直りますよね!? 私の部品を使ってでも直してあげてください!」
「分かった! すぐに修理しよう!!」
必死に頼み込むC-3POに絆され、R2は直ちに修理場へと運ばれた。
-
- 34 : 2015/12/01(火) 19:26:19 :
-
- 35 : 2015/12/01(火) 19:26:44 :
数日後。
マサッシ神殿の光の間において、二人の英雄が表彰されることとなった。
一人はデス・スターを破壊した英雄。
もう一人は、その英雄の窮地を救った英雄。
二人は左右に分かれて居並ぶ兵士たちの真ん中を通り過ぎていき、祭壇の上へと登った。
祭壇の上にいるのは、白いドレスを纏ったミカサ・アッカーマン。
登ってきたエレンとジャンは、ミカサの前に立つと、ゆっくりと頭を下げた。
ミカサはピクシス将軍から受け取ったメダルを、先にエレンの首へとかけた。
顔を上げるとエレンも微笑み、ミカサもくすっと笑みをこぼした。
それからミカサはもう一枚メダルを受け取ると、今度はジャンの首にかけた。
顔を上げたジャンがこっそりウインクすると、ミカサは再びくすっと笑った。
エレンが横目でチラッと見ると、そこにはC-3POと、彼の相棒のR2-D2がいた。
嬉しそうに電子音を立てる相棒の頭に、C-3POはそっと手を乗せた。
エレンとジャンが振り返ると、兵士たちから盛大な拍手が巻き起こった。
__________数多くの犠牲の上に、反乱同盟軍は銀河帝国に対し、大きな勝利を手に入れた。
A New Hope
The end
-
- 36 : 2015/12/01(火) 19:31:21 :
- 以上で新たなる希望は終了になります。
次回はいよいよ帝国の逆襲。ジャンミカの話になります。
よろしくお願いしますm(_ _)m
-
- 37 : 2015/12/01(火) 22:13:15 :
- ジャンミカきたーー!!
楽しみにしてます!
この作品のおかげでスターウォーズ観直さなくてもエピソード7観に行けます!
けど友達にジャンがーとか言っちゃいそうです笑
-
- 38 : 2015/12/02(水) 00:05:30 :
- ランド役に期待
-
- 39 : 2015/12/02(水) 01:36:26 :
- ジャンミカきたぁああああ!
ランドは…期待ですなww
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
-
進撃×スター・ウォーズ ~新たなる希望~ シリーズ
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場