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やはり俺ガイルにはAnotherstoryがある

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  1. 1 : : 2015/10/10(土) 19:51:36
    -叫び-
  2. 2 : : 2015/10/10(土) 19:52:02
    ───────本物が欲しい。


    雪ノ下と由比ヶ浜にそう告げてから数日が経ち、以前と少し違う空気が漂う部活動を終えた俺は、いつものように素早く帰宅をしようと駐輪場へ向かっていた。


    靴を履き替え、昇降口を出た俺の目には見覚えのある人物が映る。


    「げっ………、一色っ」


    目に映ったそいつとは、ハッキリ言うと関わりたくない。だから俺はできるだけ顔を下に向け、気付かれないように細心の注意を払う。


    一色の周りを見てみると、髪にワックスをつけ、ちょっとオサレ(笑)をした男共が3人程群がっていた。


    おっ?これならバレずにいけるんじゃね?
    自転車に乗ったら全力疾走すれば完璧。
    八幡勝利の巻。フヒッ。
  3. 3 : : 2015/10/10(土) 19:53:00
    勝利を確信したその時だった。


    ────パァン パァン パァン


    一色のいる方から乾いた音が響き渡った。
    俺は思わず顔をあげ、一色を見る。
    俺はその時見た状況を直ぐに理解できなかった。


    ─涙をポロポロと流し、俯いている一色。
    ─頬を紅葉型に赤く染め、呆然としている男達。


    その光景を見始めてから数秒、少し時間はかかったが俺は理解した。


    ───一色いろはが男達にビンタをした。


    周りの連中は驚いて声が出ないのか、始めは静かだった。
    しかし慣れてきたのか、次第に騒がしくなり、その声に引き寄せられ冷やかしが少しずつ増える。


    そいつらの声で聞こえなかったが、一色の口が確かに動いていた。
    その動きを見て、何となくで言葉を予想してみる。
  4. 4 : : 2015/10/10(土) 19:53:25
    ───あなた達に比企谷先輩の何が分かるんですか?


    刹那、俺の身体が一気に熱くなるのが分かった。
    その後に何が起こるのかは分からない。
    けど、これはわかる。


    ─────一色は俺の"本物"だ。


    一色の口の動きを見たからか、冷やかし共の声が聞こえなくなる。
    聞こえてくるのは、遠くで話している奴らの声と、吹奏楽の音色、活気のある部活動の声。


    そして…、一色いろはの叫び声だった。
  5. 5 : : 2015/10/10(土) 19:55:10
    「───何でそんな酷い事を言うんですか!?
    あなた達に比企谷先輩の何が分かるんですか!?

    そうやって比企谷先輩の表面だけを見て、勝手に評価して、悪く言って………。

    困っている人を放っておけない先輩の優しさを知って下さい!

    人と関わる事に対して真剣に考えている純粋な先輩を知って下さい!

    頼みごとをすると、どんなに無茶な事でも最後まで見捨てず、成功に導いてくれる頼りになる先輩を知って下さい!

    辛い時には傍で優しく慰めてくれる先輩を知って下さい!

    どんなに変な人でも、大変な性格をしている人でも、受け入れてくれる先輩を知って下さい!

    先輩はとてもいい人なんです……………。
    優しくて、純粋で、捻デレで、頼りになって、辛い時や困っている時は必ず助けてくれて、私の全てを受け入れてくれて………。

    そんな先輩を悪く言える程、あなた達はいい人なんですか!?私はそうは思えません!!

    私の"本物"を悪く言わないで下さい!!

    人を表面だけでしか見る事が出来ないあなた達なんて───────」
  6. 6 : : 2015/10/10(土) 19:55:31
    大粒の涙で顔を濡らした顔をあげ、きつく男達を睨む一色。


    ここは重要だとでもいいたいのか、長い間を置いて一色は言葉を放つ。


    「───最っっっっっ低です!!!!!!!!!!!!!!!!!」


    言葉を放った一色は涙を地面に落としながら、その場を去った。


    ポツポツと話し出す冷やかし共の声が騒がしくなる頃、先程まで一色に叫ばれていた男達が逃げていった。


    俺はというと、熱くなる胸が抑えられず、思わず一色がかけていった方向へ走り出していた。
  7. 7 : : 2015/10/10(土) 19:57:17
    -距離-
  8. 8 : : 2015/10/10(土) 19:57:23
    感情に任せて行動するなんて俺らしくない。
    本当にそう思う。何やってんだ俺。
    これじゃあ、その辺のリア充(笑)と変わらないだろ。


    だが……まぁ、悪い気はしない。





    一色を捜し出して数分。
    もうこの辺りは粗方捜した。
    あとは普段誰も行かない校舎裏だけだ。


    「っ、……はぁはぁ」


    普段運動をしてないせいか、汗は滝のように流れ、膝はガクガクと笑っている。


    いや……多分違う。


    俺は必死なんだ。
    一色を…"本物"を掴み取るために。


    目の前にある"本物"を掴み取るために必死に走り回っているんだ。


    必死だからこんなにも辛いのだ。
  9. 9 : : 2015/10/10(土) 19:57:43
    校舎裏に着いた俺の目に映ったのは、校舎を背にしゃがみ、涙を服で拭いながら啜り泣いている一色だった。


    俺は思わず出てしまいそうな声を噛み殺し、一歩、また一歩と、確かに一色との距離を詰める。
    それは、俺が一色に心を許し、心の距離を詰めているとも言えた。


    だが、俺が一方的に心の距離を詰めてしまっては意味が無い。
    そんなことをしてしまっては、"本物"なんて手に入る訳がないのだ。


    だから俺と一色は、互いに距離を縮めなければ駄目なんだ。
  10. 10 : : 2015/10/10(土) 19:58:22
    「……………一色」


    息を整えてから静かに声をかける。
    一色は、突然の声に驚いたのか、身体をビクッと揺らした。
    そして、涙で濡らした顔をあげ、弱々しくこえを出した。


    「………せん…ぱぁい」


    一色が浮かべている顔は、驚いているようにも見えるし、安堵しているようにも見えた。
    ………多分どっちもなんだろうな。


    その顔を確認した俺は、その場を動かずに問いかける。


    「…………どうしてあんな事をした」


    俺の知る一色いろはは、打算的で計算高い。
    そして、一時の感情に流されるような奴じゃない。
    だから、一色が………。
    普段の一色ならば、絶対にこんな事はしないのだ。
    だから…もし、もし俺の予想が当たっているのなら…俺の"本物"は一色だ。
    当たっていて欲しい。
    そんな願望を胸に、一色の言葉に耳を向ける。
  11. 11 : : 2015/10/10(土) 19:58:47
    「先輩…見てたんですね。

    …………私、先輩が悪く言われるのが、我慢出来なくなったんです。

    私、葉山先輩に振られた後、言ったじゃないですか…。
    『私も"本物"が欲しくなったんです』って…。

    それに先輩は言いましたよね。
    『今いっても無理って分かってただろ』って…。

    ええ、分かってましたよ。
    だから私、わざと振られにいったんです。


    ………今までの偽物と決別する為に。


    そして…"本物"を手に入れる為に」
  12. 12 : : 2015/10/10(土) 19:59:03
    そこで一色は大きく息を吸った。
    まさにその行為は、これから大切なことを言うと宣言しているようなもので、俺は耳に全神経を傾けずにはいられなかった。


    そして一色は声を放つ。


    「先輩、私の"本物"になって下さい」
  13. 13 : : 2015/10/10(土) 19:59:22
    一色の言葉を聞いた瞬間、今まで抑えてきた感情が込みあがってくる。
    その感情を押しとどめることなんてできる筈もなく、大粒の涙を瞼に溜めて、脇目もふらずに一色のもとへと歩きだしていた。
    また一色も同じように涙を溜め、ゆっくり…ゆっくりと俺の方へ歩いていた。


    2人の距離がなくなるまで少し時間はかかったが、確かに互いのもとへと辿り着いた。


    俺は一色を胸に抱き寄せ、優しく頭を撫でながらこう返事をする。


    「一色、俺の"本物"になってくれ」
  14. 14 : : 2015/10/10(土) 19:59:42







    その日俺は、初めて"本物"を手に入れた。
    大量に流れる涙を堪えず、そう確信した。









    ───俺と一色の心の距離は、もう無いのだから。
  15. 15 : : 2015/10/10(土) 20:34:55
    -変化-
  16. 16 : : 2015/10/10(土) 20:34:59
    どれ程の時間が流れたのだろうか。
    先程まで、綺麗なオレンジ色に染まっていた空は、真っ暗に染まっている。
    その空には、所々に明るく輝く星が浮かんでいた。


    「………随分暗くなっちゃいましたね」


    まぁ、まだ1月末だしな。
    日が沈むのは早くて当たり前だ。
    だから時間事態はあまり遅くないだろう。

    一色の言葉を聞いた俺は、軽くそんな事を予想した。
    が、携帯を覗いてみると予想はあくまで予想だったらしく、驚くことに20時をまわっていた。


    「げっ!…もう20時過ぎてんじゃねぇか!」

    「えっ!?マジですか!?」


    一色も予想外だったらしく、驚きの声を隠せないようだ。
    俺達はどれだけ抱きあってたんだよ。
    しかも泣きながら。

    あっ、やばい。考えたら顔が熱くなってきた。
    今が冬で良かった。
    熱い顔も寒い風が冷やしてくれるからな。

    因みにメールの新着履歴を見ると、最愛の妹からメールが4件添えられていた。
  17. 17 : : 2015/10/10(土) 20:35:18
    比企谷 小町

    20xx年 1月27日(火)


    ねぇねぇお兄ちゃん。
    どこかに寄り道してるの(。´・ω・)?
    小町、お兄ちゃんが帰ってくる時間知りたいなー(人>ω•*)
    お兄ちゃんが帰ってきて直ぐに温かいご飯食べさせてあげたいし(♡´艸`)

    あ、今の小町的にポイント高い♡
    18:13
  18. 18 : : 2015/10/10(土) 20:35:36
    お兄ちゃん?
    メール見てないってことはないよね(。´・ω・)?
    早く返事ちょーだい♡
    可愛い小町より☆
    18:49
  19. 19 : : 2015/10/10(土) 20:35:50
    ごみぃちゃん?
    なんで返事くれないのかな?
    小町的にポイント低いよ?
    もしかして目だけじゃなくて指先も腐っちゃった?
    指が腐っちゃったから携帯のキーを打つことも出来なくなっちゃったのかな?
    19:38
  20. 20 : : 2015/10/10(土) 20:36:05
    もういい。
    帰ってこなくてもいいからね。
    20:13
  21. 21 : : 2015/10/10(土) 20:39:23
    え?小町ちゃん!?
    どれだけ怒ってるの?
    お兄ちゃんビックリだよ!?

    これ、なんて返事したらいいんだよ。
    言葉間違えれば、本当に今日は家に入れてもらえないかも知れないよな。グスン。

    返事を返そうと言葉を選択してると、不意に右袖が引っ張られたように感じた。
    目を袖に移すと、小さな手でちょこんと掴んでいるのが見えた。


    「あの、先輩……1人にしないで下さいよ」


    そして袖を掴んでいるであろう人物。
    一色いろはがそんな言葉を口に出した。
    あー、はいはい。あざといあざとい。なんて口に出そうと思い、一色の顔を見る。

    顔をうえにあげた俺の目に見えたのは、若干涙を浮かべ、寂しそうな顔をする一色だった。
  22. 22 : : 2015/10/10(土) 20:39:39
    当然その顔に勝てるはずもなく、しどろもどろになりながら一色の望む言葉を言うしかなかった。


    「あ…お、おう。……悪かったな。寂しい思い…させちまって」


    無意識に一色の頭に手をのせて優しく撫でると、一色から「ふわぁ」なんて声が聞こえるが俺は聞いてない。聞いてないって言ったら聞いてないんだからねっ。
    ましてやドキドキなんてしてないんだからっ///……………おえっ。


    ………そういえば小町に返信できてない…。

    ごめん、小町。この雰囲気の中携帯触れるほど俺の神経図太くないです。




    今日の俺………野宿かな……。
  23. 23 : : 2015/10/15(木) 19:51:19
    -にけつ-
  24. 24 : : 2015/10/15(木) 19:51:24
    野宿を半分覚悟した(小町がそこまで鬼じゃないと淡い期待を持ちながら)俺は、一色を送ることにした。


    送ると言った際、一色に「先輩…あざといですよ」なんて言われたが無視をしておいた。
    だいたい俺があざとい訳ないだろ。


    ってことで、俺の自転車の荷台には一色が乗っている。
    荷台に乗れと言った際に、「もしかして可愛い後輩の感触を味わおうとしてます?彼氏でもない人にそこまでできません。ごめんなさい。でも後ちょっとです」
    なんて意味のわからないことを言われて、その後のいろはすが顔を真っ赤にしてました。
    いろはすトマト味でも透明のままだぞ。


    さて、俺は今どうしてるか気になるか?
    答えは簡単だ。一色に抱きつかれて緊張してます。はい。だってしょうがないでしょ。二つの膨らみが背中に当たってるんだから。
    自転車を漕いでいるはずなのに全神経背中に送っちゃってるよ。
    よく漕げてるなおい。
  25. 25 : : 2015/10/15(木) 19:52:18
    そんな不純な事を考えていたら一色から話しかけられた。


    「………あの、先輩」

    「な、なな、なんでしゅか」


    あ、やべ、上手く話せなかった上に噛んじまった。どうせキモイです先輩とか言われるんだろうな。泣きたくなってくる。
    だが、一色から放たれた次の言葉は俺の予想から外れていた。


    「………先輩の背中……温かくて、広くて…とても気持ちいいです。………その…顔も背中にのせてもいいですか?」

    「………はい?」


    今、一色はなんて言った?
    しかも、いいって言ってないのに顔乗っけてるし…。俺の顔、絶対に赤くなってるだろ。
    それに今の声、すっごいマヌケじゃなかったか?
    やばい、一色の顔見れねぇよ。
    あ、こら、そこの人、なんでこっちを見て携帯を持ち出した。
    俺は悪くn((ごめんなさい。お願いですから通報しないで下さい!
  26. 26 : : 2015/10/15(木) 19:52:54

    ─────
    ─────────────

    緊張でガチガチになりながらも、一色を無事送ることが出来た俺は、まだ背中に残る一色の温もりを感じながら、家へ帰っていた。

    一色は家に着くや否や、そそくさと家の中へと入って行ってしまったが、その後ろから見える一色の頬は真っ赤に染まりあがっていて、それがかなり可愛く見えたのは内緒だ。

    それと一色が家に入ったのを確認して、回れ右をしようとした際、閉まったはずのドアが再び開き、姿は見せずに恥ずかしそうな「あの……先輩…その…送ってくれてありがとう…ございました」なんて声だけが聞こえたなんてことはないんだからねっ!ほ、本当なんだからっ!
    ってか一色のお得意のあざと可愛さはどこに行った!このままだとお前のアイデンティティーが消えてあざと可愛い後輩から可愛い後輩になっちまうぞ。

    そんなことを思いながら帰るのは、なんだかくすぐったい気持ちにはなるが、それ以上に心がポカポカと温まり、なんだか幸せな気分になれた。




    因みに家に着いた俺を迎えたのは、可愛い小町ではなく、淡い期待を粉々に砕くドアのチェーンだった。
    ………………え、マジで野宿?
  27. 27 : : 2015/10/19(月) 17:42:53
    -禁断の恋-
  28. 28 : : 2015/10/19(月) 17:43:00
    私の名前は比企谷小町。中学3年生で受験生です。
    そんな小町にはお兄ちゃんがいます。
    名前は比企谷八幡。彼女どころか友達すら殆どいないし、捻くれ者で面倒くさがり、センスは悪いし、目は腐ってる。
    だからお兄ちゃん以上にごみぃちゃんって言葉が似合ってるよね。なんて思ってしまう程、駄目駄目なお兄ちゃんです。


    でも、実は誰よりも優しいってことも知ってます。
    重たい荷物を持っていると、自然に持ってくれる優しさ…。
    道を歩く時は、必ず道路側で歩幅を合わせて歩いてくれる優しさ…。
    他にも困ってる時には必ず助けてくれたり…。
    表す事の出来ないほどの、沢山の優しさを持っています。


    だから、そんなお兄ちゃんの隣りにずっといたくて、どれだけかっこいい人から告白されても、どれだけ人気のある人から告白されても、ずっと断って来ました。
    お兄ちゃんと一緒にいることが幸せで……、
    それが小町の当たり前の毎日でした。
    そして、こんな毎日が続けばいいのにって思っていました。
  29. 29 : : 2015/10/19(月) 17:43:47
    けど、永遠なんてなくて、終わりなんて直ぐ目の前にありました。


    お兄ちゃんが高校2年生になって奉仕部という名の部活に入り、お兄ちゃんと一緒にいる時間が、日が経つにつれて…少しずつ…少しずつ経っていったんです。


    そりゃぁ…お兄ちゃんの良さを理解してくれる人が出来るのは嬉しいし、お兄ちゃんが幸せなら小町も幸せです。


    でも小町は、お兄ちゃんが小町から離れていってしまいそうで……それが凄く怖くて…。
    何度も…何度も枕を濡らしました。


    辛くて、苦しくて、切なくて、悲しくて、こんな気持ちは初めてでした。
    それはまるで…恋をする女の子のようでした。


    だから小町は気付いてしまったんです。
    お兄ちゃんに…いえ、比企谷八幡という男の子に恋をしてしまったんだって。


    恋をした女の子がすることは決まってますよね。
    普通はその男の子にアタックしたり、気をひいたり……。
    でも小町達は兄妹だから…そんな事が許される訳がなくて…。
    何度も…、何度も心に言い聞かせました。


    駄目だよ。お兄ちゃんなんだからって…。
  30. 30 : : 2015/10/19(月) 17:44:23
    だから小町は、お兄ちゃんを諦める為に、お兄ちゃんと他の人をくっつけてしまおうと思いました。
    この気持ちを心の中に永遠にとどめる為に…。
    お兄ちゃんにとって…最高の妹でいるために…。


    だから小町は今日も最高の妹を演じて、お兄ちゃんの大好きな料理を沢山作って待っていよう。


    そう思って料理の下準備を始めました。
    それでもやっぱりご飯は温かい方が美味しいし、お兄ちゃんには出来立てを食べて欲しい。


    だから小町は料理を作るのをストップして、お兄ちゃんが帰るのを待っていました。
    いつもなら、もうとっくに帰ってきてる時間だから。いつ帰ってきてもおかしくない。


    時計の秒針の音が聞こえる中、テレビもつけず、お風呂にも入らず、ただ携帯の画面を見て、お兄ちゃんを待ちました。


    一回目のメールも二回目のメールも返ってこない。
    いつもなら、お兄ちゃんにメールをすれば、15分以内には絶対に返してくれるお兄ちゃんが返事を返してくれない。
    そんな些細なことでもイライラが止まらず、三回目のメールではやっぱりお兄ちゃんを責めてしまう自分がいました。


    そんな子供な自分が嫌なのに、それでもそれをやめることが出来なくて…。
    本当に自分が嫌いになってしまいそうでした。
    だから小町はそんな子供な自分を洗い流そうとシャワーを浴びました。
  31. 31 : : 2015/10/19(月) 17:44:50
    シャワーを浴びたお蔭で、少し落ち着いた小町は携帯をとり、お兄ちゃんからメールが来てないか、直ぐに見ました。


    結果は来てなくて……。凄く怒れて来てしまって…。
    さっき流したはずの子供っぽいところは流れてなく、とても酷いメールを送ってしまいました。


    なんで小町はこんなにも嫌な子なんだろう。
    これじゃあ、最高の妹なんか程遠い。
    このままじゃ……小町なんて…


    ガチャン


    へ?……何、今の音?
    玄関の方からしたよね……。


    ビクビクしながらゆっくりとリビングの扉を開け、音がしないように慎重に歩く。
    そして玄関に着いた私が見たのは、毎日見るあの腐った目をして、アホ毛をチョコンと立てているお兄ちゃんだった。


    「…………お兄ちゃん」

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sswriter_ryu

@sswriter_ryu

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